ロッテは19日、3年ぶりに日本球界に復帰したロバート・ローズ内野手(35)の退団を発表した。19日の日本航空機で帰国する。ローズはストレス性の動悸のため17日朝、キャンプ地の鹿児島から緊急帰京していた。球団は今後、任意引退の手続きを取り、年俸などは契約条件に基づいて実働日数分が支払われる。ローズは2000年まで8年間、横浜でプレーし、首位打者1回、打点王2回の実績を残して引退。昨年オフにロッテが打撃の柱として、山本監督自ら渡米して獲得。3年ぶりに復帰した日本球界での活躍が期待されていた。
責任は山本監督にもある。山本監督は昨季終盤に留任が決まると、重光オーナー代行の信頼をバックに、球団通訳と何度も米国を往復するなど外国人選手の補強を自分で進めた。2000年に1度は引退し、2年間のブランクがあるローズ獲得も独断で決めた。
ローズの帰国を球団が発表したのが午後3時過ぎ、山本監督が宿舎の自室から姿を現したのも、ほぼ同じ時刻だった。両腕でバツを作って「終わりだ、終わりだ、終わりだ」と3度吐き捨てるように繰り返した。監督は16日の段階で退団を覚悟していたとし、「今はショックはない」と言い張ったが、自ら渡米し、獲得しただけに落胆の色はありあり。「去る者はしょうがない。今のメンバーで優勝する、優勝してハワイに行こう」と、笑って悔しさを隠した。「獲ってきたのはオレだから、責任はこっちが取ればいい」と、V逸の際は潔く退陣する決意さえ語った。
ロバート・ローズ内野手が19日、ロッテを電撃退団した。ローズは同日、米国に帰国したが、1月22日に来日してからわずか28日の退団は日本プロ野球史上最速。横浜時代に輝かしい実績を残したローズだったが、家族が生活面で不安を訴えていたことや自らの不振がストレスとなり退団を決意した。ケビン・ミラー外野手が中日と契約しながら入団を拒否した事件があったばかりの日本球界が、再びの衝撃波に見舞われた。
成田空港で会見したローズは「私生活の問題もあったが野球への情熱がなくなったこと」と淡々とした口調で電撃退団の理由を説明した。さらに「グラウンドで150%の力を出すのが野球選手。それが出てこなくなった。野球に対する思いがなくなった」とプレーを続ける意欲を失ったことを告白。会見以外は一切の取材を受け付けず家族と共に航空機に乗り込んだ。
横浜時代に首位打者を1度、打点王を2度獲得するなど輝かしい成績を残したローズだったが2年間のブランクは克服できなかった。16日には鹿児島キャンプ3試合目の紅白戦に臨んだが無安打。通算8打数無安打に終わり、その夜に宿舎で山本監督と川北球団代表に退団を申し出た。その際、ローズは「続けるのは難しい。球が見えなくなった」として動体視力の衰えも訴えたという。強く慰留した球団側は一旦帰京して家族と共に静養することを勧め、翌17日に帰京したが、退団−現役引退の決意は覆らなかった。
さらにローズは肉体的な悩みのほか、精神的にもかなり追い込まれていた。都内のアメリカンスクールに通う子供達が環境の変化に戸惑い、登校拒否に近い状態。さらにミッシェル夫人も知人や友人が千葉・浦安市内の自宅マンションの周囲にいないことで精神的に不安定だった。ローズが悩まされた動悸もストレス性のもので、球団関係者の1人は「精神的に極限に近い状態だった」と証言した。
川北球団代表はローズを任意引退選手とすることを明かした上で8000万円の年俸については「計算式にのっとって支払う」と日割り計算する方針を示唆した。今年1月1日から契約が成立したとすれば、ローズに支払われるのはこの日まで50日間分の約1096万円。ロッテはローズが日本に滞在した29日間分で、それだけの代償を支払うが、今季構想の変更を余儀なくされることの方がはるかに痛手だ。中日がミラーとの契約を反故にされる事件が起こったばかり。松井の挑戦で一段とヒートアップするメジャー熱の一方、わずか28日でのローズの帰国。ロッテだけでなくプロ野球界全体が受けたショックの大きさは計り知れない。
今季からロッテに加入したロバート・ローズ内野手が19日、電撃退団、米国に帰国した。退団の理由について同内野手は「野球に対する情熱がなくなった」などと話したが、実際には家庭の事情が大きく影響したとみられる。同内野手に4番としての期待を寄せていたロッテは、キャンプ中の退団という異常事態で、早急にチーム編成の再検討を迫られることになった。
最悪のストーリーが現実となった。キャンプ地の鹿児島から緊急帰京して2日後のこの日、まさかの緊急帰国、電撃退団。成田空港に姿を見せたローズは沈痛な面持ちで胸の内を明かした。
先月22日に来日したときに見せた自信あふれる表情がウソのようなやつれきった顔。来日からわずか29日目で、ローズは日本に別れを告げた。 突然の退団理由を「情熱がなくなった」と説明したローズだが、本当の理由は別。家族が新しい環境に馴染めず、来日からローズ自身、頭を痛めていたのだという。
ミッシェル夫人と4人の子供は横浜時代に日本での生活を経験しているが、今回の住居は千葉・浦安。比較的、外国人の多い横浜では米国人との家族ぐるみの付き合いがあったが、浦安ではそうはいかない。
さらに、子供達も横浜では近くにアメリカンスクールがあり、友達もたくさんいたが、今回は東京まで通学しなければならず、登校拒否にまで陥っていた。ローズ自身、これ以上の負担を家族にかけたくないという思いから帰国、退団という決断を下した。球団側も最終的にこの申し出を受け入れざるを得ない状況となり、この日の退団となったが、獲得に際しての調査段階に甘さがあったという指摘は避けられない。
ロッテは昨年11月からローズ獲得を検討し、山本監督自ら渡米し、本人と面談したという経緯がある。結果的に山本監督がローズに惚れ込む格好となって契約したが、この際、家族の意向など周辺の調査が十分でなかったという声もある。
当初「ローズと心中する」とまで話していた山本監督は、まさかの退団劇に「オープン戦終盤ではないので取り返しはつく」と強がったが、戦力構想を根本的に見直す必要に迫られたことは言うまでもない。自分がまいたタネとはいえ、前代未聞のドタバタ劇。山本ロッテが最大の危機を迎えた。
帰国直前、成田空港で会見に応じたローズの主な一問一答。
ロッテの川北球団代表はこの日、パ・リーグ理事会(18日)が行われた沖縄・宮古島からキャンプ地の鹿児島に戻り、事情を説明。緊急帰京から電撃退団に至った経緯について「家族の問題ということで強くは説得できず、18日の夜に(電話で説得を)断念した」と苦渋の表情で語った。
球団側では今回のローズに限らず、選手が一方的に退団を申し入れたときのことを踏まえて契約を結んでいるという。年俸8000万円のローズも支払いは日割りで、契約条項には「取る取らないは別にして」(同代表)違約金が請求できることも含まれている。
また、既に山本監督からは「新たな4番がいたら獲得して欲しい」との要請があり、本社にも連絡済み。週明けにも担当者を渡米させて、新たな4番、大砲獲得に入ることを決めた。
川北代表は、パ・リーグ理事会(18日)が行われた沖縄・宮古島からキャンプ地の鹿児島に戻り、事情を説明。20日にもパ連盟に任意引退選手として届けを出すと共に、新外国人の獲得に乗り出すことを明かした。既に山本監督からは「新たな4番がいたら獲得して欲しい。」との要請があり、本社にも連絡済み。
8000万円の年俸については「計算式にのっとって支払う」と日割り計算する方針を示唆。今年1月1日から契約が成立したとすれば、ローズに支払われるのはこの日まで50日間分の約1096万円。球団側では今回のローズに限らず、選手が一方的に退団を申し入れたときのことを踏まえて契約を結んでいるという。年俸8000万円のローズも支払いは日割りで、契約条項には違約金が請求できることも含まれている。
ロッテのキャンプ地・鹿児島はローズの帰国と時間を合わせるように、冷たい雨が降りだした。休日には午前中に散歩を行っている山本監督は午後3時に宿舎を出発。報道陣からローズに関して問われ「終わりだ終わり。駄目、駄目」と質問を遮った。その悲愴な顔つきが、苦しいチーム事情を表していた。
大砲の存在は29年ぶりの優勝には不可欠な存在だった。「4番・二塁」の期待を寄せていたローズの突然の退団。急遽宿舎で会見して退団の経緯などを説明した川北球団代表は、同時に新外国人選手の獲得に乗り出す方針を示した。「来週から編成を向こう(米国)に送って調査します。内野手で4番を打てる外国人がいい」と説明。不測の事態に備えて編成部では常時20人ほどの外国人選手をリストアップしており、開幕までに“ローズの代役”を決めたい考えだ。
山本監督は「(ローズを)獲ってきたのはオレだから次の手を打つしかない」と現有戦力でシーズンに臨む意向を示したが、その穴は大きい。現時点ではメイが代役の四番の最有力候補で、ローズへのつなぎ役として3番を予定されていた福浦は「ショックはあるがしようがない。自分達でやっていくしかない」。ショックを抱えたまま、ロッテは23日の広島戦(都城)からオープン戦へ突入する。
選手は休日を利用して観光やゴルフを楽しんだが、宿舎「鹿児島サンロイヤルホテル」に戻ってローズの退団を知り、驚きの色を隠せなかった。特に横浜時代一緒にプレーして再会を喜んでいた波留は「知らなかった。残念です」と言っただけだった。