1−1の同点で迎えた3回、ロッテはショートの適時打で勝ち越すと、4回には井上純の移籍後初安打初打点となる適時打などで2点、6回にはメイの適時打を口火に打者一巡の猛攻で一挙6点を取り近鉄を突き放す。結局7回にメイのソロでダメを押したロッテが、今季2度目の2ケタ安打で快勝し、3連勝を飾り5割に復帰。近鉄は、10の四死球を与えるなど、投手陣が乱調、今季初の連敗を喫した。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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大阪近鉄 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 3 |
千葉ロッテ | 1 | 0 | 1 | 2 | 0 | 6 | 1 | 0 | x | 11 |
ロッテ打線が突然の大爆発。6回には11人攻撃で一気6点など今季最多の14安打で11得点にベンチは笑顔のオンパレードだ。開幕カードを除けば、01年9月8日の日本ハム戦以来576日ぶりの勝率5割。山本監督は左うちわの快勝に「主軸が回転し始めて、周りも何をしたらいいのかというのが分かってきている」と軽い足取りで監督室に消えた。
3連勝の主役は2号ソロを含む3安打3打点の4番メイ。この日は新外国人フェルナンデスが試合前のフリー打撃に初参加。気になる大砲の打撃を一塁側のカメラマン席からこっそりと偵察した。「別に気にしてない」と言いながらも、3回まで観戦したライバルの前で先制打を見せつけた。
勝ち越し打を叩き出したショートを外野に回し、三塁フェルナンデスのプランも浮上。助っ人トリオの激しい“バトル”がロッテ打線を上昇気流に乗せていくはずだ。
尻に火がつく、とはまさにこのこと。ショートがアチチチッ…といよいよ本領を発揮した。
「チームに貢献できてよかった。ただそれだけさ」。笑顔はない。3回と6回にタイムリーを放ち2安打2打点。それでも、腹のそこから喜べない事情があるからだ。
キャンプ中に電撃退団したローズに代わる助っ人、フェルナンデス(前韓国プロ・SK)が今月1日に入団会見のため来日した。
同じ三塁手だが実績が違いすぎる。メジャー経験がなく昨年3Aで打率.356をマーク、首位打者になった自分に対して、フェルナンデスは元大リーガーで、韓国プロでプレーした昨年は打率.281、45本塁打、107打点だった。
ショートは以前に「宿舎、食べ物、移動の際の乗り物…。今まで経験したことのないメジャーな毎日が送れる」と喜んでいたが、ウカウカしていられなくなった。開幕直後は大不振だったが、フェルナンデスが来日した1日以降は、これで16打数7安打5打点の大当たりだ。
チームは14安打11得点と爆発。勝率を5割に乗せた山本監督は「この状態が続けば、メイを含めて野手を3人制に」と構想を明かした。フェルナンデスは今月中旬に再来日する。それでもショートは、差をつけておこうと必死だ。
この日、28歳を迎えた小野がバースデー勝利を飾った。人気漫画「鉄腕アトム」と同じ誕生日ということで「僕も鉄腕になれるように頑張ります」とリラックス。6回まで123球と制球に苦しんだが、5安打1失点に抑え込んだ。3月31日の日本ハム戦(千葉マリン)で右ひじの尺骨神経に違和感を覚えたが「チームの勢いもあったので、点を取られても取られないようにと思って投げました」とホッとしていた。
初めての誕生日マウンド、自宅で28本のロウソクを立てたケーキを前に待つ愛妻と長男、今季最多の14安打で初の2ケタ11得点を挙げた打線、藤田・舩木の救援、そして黒木知…。多くの力を味方につけた勝利に、笑顔なのに涙が浮かんだ小野。
前回登板の3月31日の地元開幕戦は、7回に2本塁打を浴びて敗戦党首。その日は右肩痛の黒木知が、2シーズンぶりの復活舞台に目標設定していたマウンドでもあった。小野も、ここ2年、腰痛と右肩痛に悩んだ。苦しみを共有したからこそ、帽子のつばの裏に、黒木知の背番号54を書いて臨んだ。敗戦後、黒木知から留守電が入っていた。「負けたけどよい試合だった。オレも頑張る」と。だから千葉で勝ちが勝った。