粘ったロッテが堀の一振りで延長戦を制した。ロッテは、3点を追う9回、ショートの適時打2ベース、辻のショートゴロ間などで3点を挙げ、土壇場で同点とし試合は延長戦へ。10回、2死二塁から堀が2ランを放ち、今季初となるサヨナラ勝ちを収めた。堀のサヨナラ本塁打は1996年5月15日以来で自身4本目。投げては、10回から登板した神田が1イニングを三者凡退に抑え、プロ入り初勝利を挙げた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | R | |
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オリックス | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 2 | 0 | 6 |
千葉ロッテ | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 | 2x | 8x |
初球だった。延長10回2死二塁。堀は直球だけを待っていたという。そこに、抜けたフォークボールが甘く入ってくる。自然と体が反応していた。打球は左中間席へ。自身にとり1996年以来、4本目のサヨナラ本塁打となった。
9回に3点差をつけられて敗戦濃厚の試合展開だった。それを土壇場で追いつき、ひっくり返した。「みんなが一丸となって追いついた。こういう試合は勝ちたかった」。プロ16年目、34歳のベテランは素直に喜んだ。
この試合前までの打率は2割。決して調子は良くなかった。それでも、自分のバットを信じて初球から振っていけた。「打てなくても同点の場面だから。結果的にサヨナラになっただけ。でも何度やっても気持ちいいね」と笑顔を見せた。
16年目のベテラン堀が一振りで決めた。10回裏1死一塁となったところで、山本監督に「バントで走者を二塁に進めるから任せたぞ」と耳打ちされた。そして巡ってきた2死二塁。過去3本もサヨナラ本塁打を打っているいぶし銀男は冷静だった。「どうにいかしたいと思ったけれど、打てなくても同点で試合は続く。無心で振った」と、萩原の初球を叩いた一打は、小雨の煙る左中間中段まで飛んでいった。今キャンプは右ひじ痛(遊離骨)に悩み2軍調整を余儀なくされた。完全に痛みは取れないが、上手く付き合っていくことを考えている。今春小学生となった二男裕二くんの入学式も、ナイターに備え欠席した。全てを野球に賭ける職人かたぎが、1996年ダイエー戦以来、自身4本目のサヨナラ弾に結びついた。「この勝ちは大きいぞ」と、堀よりも山本監督の方が興奮していた。
手に残る感触だけで十分だった。打球の行方を確かめる必要はない。誰にも止められない“ウイニングラン”。笑顔の堀はホームベース上の歓喜の輪に飛び込んだ。「みんな一丸となって追いついたので、勝ちたかった思いだけで無心でした。もう完璧ですね」。9回に敵失などで同点とし、6−6で迎えた延長10回2死二塁。萩原の初球133キロのフォークを左中間席へ運ぶ2号サヨナラ弾。96年5月15日のダイエー戦(仙台)以来、自身4本目の“祝砲”だった。
キャンプ中の2月11日。目覚めた堀の右ひじに激痛が走った。腕は曲がらず、ボールも握れない。診察の結果は遊離軟骨(ネズミ)。ベンチ入り最年長の34歳は「(野球を)“やるんだ”という気持ちは持ち続けていた」と振り返る。チューブを使った懸命のリハビリで、開幕1軍入りを果たしたが、現在も試合後のアイシングは欠かせない。そんな状態で打った劇的な1発だった。
不振だった打線に復調の兆しが見え、4連敗から2連勝で借金は1。22日からは首位・近鉄との2連戦。勢いを取り戻したマリーンズがパ・リーグの台風の目になりそうだ。
ルーキー神田がプロ初勝利をマークした。先発に転向するシコースキーに代わってこの日から中継ぎでブルペンで待機。延長10回から登板すると2者連続三振の力投で3人でピシャリ。その裏のサヨナラ弾で白星が転がり込んだ。試合後は山本監督から、ウイニングボールに日付とサインを書き込んでもらい「嫁さんに見せてから両親に送りたいと思う」と嬉しそうにボールを握り締めた。
苦労人のバットから、劇的な1発が飛び出した。堀が打席に向かいながら描いたイメージが、現実となった。
「打てなくても同点だ。よーし、初球から思い切って打って、ヒーローになってやる。」延長10回2死二塁の場面だ。萩原の初球、甘く入ったフォークボールを逃さない。「完璧に捕らえることができた」と自画自賛する一撃。平成8年5月15日のダイエー戦で吉田から奪って以来、通算4本目となる2号サヨナラホーマーが、左中間スタンドで弾んだ。
無死からメイが中前打で出た後だ。山本監督が堀に耳打ちをした。「(渡辺に)バントさせるから、お前が決めて来い!」。そういいながら、指揮官は『敬遠策』もあることに気づき、次打者・諸積にアドバイスしようとした瞬間だった。次策を打つことなく、16年目のベテランが、鮮やかに決めたのだった。
堀は平成元年に長崎海星高から入団して以来、ポジションは固定しなかった。内野から外野、そして再び内野に戻り、今年は退団したローズの影響で二塁−三塁を往復した。
「どこでもいい。プロは試合に出てナンボですから…」。守備でもバットでも、ここ1番で頼りになる。銭を獲れる男だ。
延長10回を3人で片付けたロッテの新人・神田に、堀のサヨナラ2ランでプロ初勝利が転がり込んできた。「今日から中継ぎに入ってくれといわれいきなりですからね。嬉しいです。こんなに早く勝てるなんて思っていませんでしたから…」。ウイニングボールは、まず夫人の弥世さんに見せて、香川・高松市に住む両親に送るつもりだ。
3点差を追いついた9回は、外国人トリオの3連打で2点差とした後、1死満塁から辻の一打は遊ゴロ。併殺で終わりと思われた瞬間、相手二塁手が送球を受け損ね、2点が転がり込んだ。
ルーキー神田が嬉しいプロ初勝利を手にした。延長に入る直前、ブルペンには小林雅を含め4人しか残っていなかった。10回を3人で切り抜けた。しかも、葛城、塩谷を切れの鋭いフォークボールで2者連続三振。「あれでまた、流れがうちに傾いた」と山本監督が指摘した通り、サヨナラ劇を演出した。新人ながらこの日で5試合目の登板。前回(16日)はプロ初先発とあって、高松市に住む両親と、昨年クリスマスイブに入籍した弥世夫人をスタンドに呼び寄せた。6回2失点の好投も初勝利はならなかったが、ローテーション入りのお墨付きをもらった。しかし、大阪遠征では登板予定がなく、間隔が空くため今日はベンチに入って登板する準備をしていた。