清水直が開幕5連勝。スライダーなど変化球がよく切れ、8回まで3安打、本塁打の1点に抑えた。6回にメイの二塁打と連続四球で無死満塁と攻め、堀が2点中前打を放って逆転。9回は小林雅が三者凡退で締め、7セーブ目を挙げた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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西武 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
千葉ロッテ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | x | 2 |
風速12メートルと吹き荒れたマウンドが心地よかった。冷静な判断力と集中力。清水直がまた勝った。開幕から無傷の5連勝。それも毎週土曜日の登板で“サタデー直行”の称号襲名だ。
チームメート、そして“魔物”を味方につけた。初回1死から小関に右翼線二塁打を許したが、後藤武を投直併殺。「ここ(千葉マリン)でやっている以上、何とか工夫しなきゃいけないでしょう」。いずれも直球をシンでとらえられた結果を踏まえて、2回から強風時に威力を発揮する高速スライダー主体の投球に切り替えた。8回まで14個の内野ゴロでわずか3安打の1失点。これで5度の登板全てでチームの連敗を阻止してみせた。
“山本マリーンズ”のコールが鳴り響く中、山本監督は「プレッシャーの中でよく投げてくれた。いつも5割とか連敗とか」と目を細めた。近鉄・岩隈と並ぶハーラートップ。清水直が投げれば負けない。不敗神話がロッテの進撃合図だった。
4勝目を挙げた19日のオリックス戦(千葉マリン)では、長男の龍之介クン(3)と試合後のインタビューに臨んだ清水直だが、この日は1人。「実は風邪をひいて、こられないんです。まだ野球そのものが分かっていないと思うんですが、それでも来れば、頑張ろうという気持ちになりますから…」と残念そうだった。それでも、この日の白星が、龍之介クンにとって、元気の出る最高の良薬となったはずだ。
千葉マリン名物の突風を味方につけた。中堅から本塁に吹く風は、この日はMAX12メートル。まるで春嵐のような気象条件を“追い風”に、清水直が勝利に突き進んだ。
背中から吹く強風は、バックネット裏のスタンドで跳ね返って、本塁付近では逆風となる。変化球がよく落ちる条件が整うわけだ。1回、カーブやスライダーの曲がり具合いを確認すると「今日はカーブの落ち具合がいい」。その後はカーブ中心の組み立てで、レオ打線を手玉に取った。
9回、守護神・小林雅の助けを借りたが、8回をわずか3安打1失点で堂々の開幕5連勝。しかも、どの白星もチームが負けた後に挙げたものだけに、価値がある。「直(清水)はホントに良い仕事をしてくれる」。昨年はチームの開幕連敗を11で止めた男のさらなる奮投に、山本監督も目を細めるばかりだ。
今季の活躍の陰には、奮起材料がある。シーズン前の3月、夫人の明美さんと相談し、念願のマイホームを購入。それも東京都世田谷の高級住宅地にある“億ション”だけに、一念発起の出費となった。「ローンを早く返したい」。まだ4年目で年俸5400万円の右腕は、昨年(14勝11敗)以上の成績を残し、大幅昇給を狙っている。
ロッテ投手の開幕連勝記録は、村田兆冶の11連勝(昭和56、60年)。4月の月間MVPを同じ5勝の近鉄・岩隈と争う27歳は、ファンと自らの夢を乗せ、またマウンドに向かう。
20日のオリックス戦でサヨナラ本塁打を打った堀が、再び決勝点をたたき出した。0−1の6回無死満塁で前進守備の二塁・高木浩の頭上を抜く2点タイムリー。「前の打席の三振で気合が入った。二ゴロかと思ったがラッキーだった」。11打席ぶりの安打が、チームに再び貯金をもたらした。