5月26日5月26日ロッテが連敗を4でストップ。ミンチーがわずか99球で被安打2。今季初完投を完封で飾り、5勝目を挙げた。また、ミンチーは史上292人目の1000投球回を達成した。打っては6回に清水将のソロで先制すると、4回には福浦、ショートの本塁打で3−0とした。オリックスは今季3度目の4連敗。2時間4分は、今季両リーグ最短試合。なお1回裏にはパ・リーグ史上3度目の地震による1分間の試合中断があった。
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| オリックス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 千葉ロッテ | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | x | 3 |
球場が揺れた。それもゆっくりゆっくり。ロッテの1回裏の攻撃中、1死一塁から福浦が打席に入ったときだった。
「試合中、初めての体験で驚いた」。ベンチにいたミンチーは腰を浮かして事態を見守った。東北地方で起きた強い地震の影響だったが、試合は午後6時26分から1分間中断した（地震による中断はパ・リーグで3度目）。不思議なもので、これで肩の力が抜けた。
この日も2ケタ失点すれば、5試合連続2ケタ失点の日本記録（近鉄）に並ぶ…。これはミンチーも知っていた。1回は1死から後藤にヒットを許す不安な立ち上がりだったが、地震をきっかけに自分のペースを取り戻した。
2回からはカーブが切れ、真っ直ぐも伸びた。オリックス打線につけ入るすきを与えない。3回以降は四球、安打の2人の走者を出しただけ。わずか99球で今季初完封を飾った。
不名誉な記録を阻止しただけではない。9回1死を取ったところで、史上292人目の投球回数1000回に達した。外国人投手では史上7人目の快挙。台湾勢のほかスタルヒン、スタンカ、バッキーとそうそうたるメンバーの仲間入りを果たした。
「あとどのくらい投げられるか分からないが、ナックル投手になれば42歳までいけるかな」。現在は33歳。42歳まで9年もある。投球回数は2000回、いや、3000回も夢ではない。
「モヤモヤが吹き飛んだ」と表情を崩したのは、4回に先制の1号を放った清水将。5月に入って投手陣に対するリードの悪さが目立ち、ここ10試合、スタメンマスクをかぶったのは1試合だけ。「ホームランより、ミンチーと呼吸のあったリードができたことの方が嬉しい」と、正捕手は守りでの貢献を強調した。
重苦しい空気をミンチーが吹き飛ばした。オリックス打線に三塁を踏ませず、今季初完投を2安打完封で飾り5勝目。4試合連続2ケタ失点の投壊現象を止めると共に、チームの連敗も4で止めた。わずか99球の省エネ投球で今季両リーグ最短の2時間4分で試合を終わらせて「来日してから3本の指に入るベストピッチングだった。今日は中継ぎや抑えを休ませてあげたかったんだ」と笑った。
最近4試合で52失点。5試合連続2ケタ失点となればプロ野球のワースト記録に並ぶ。止まらない投壊。ベンチには清めの塩も盛られた。そんな中でミンチーは自分を見失わなかった。唯一、得点圏に走者を進めた5回1死二塁は塩谷、副島をいずれも140キロ台の直球で追い込み、得意のスローカーブで投ゴロ、中飛に。今春のキャンプから指先を器用にしたいと、本格的にギターを弾き始めた地道な努力が結果を生んだ。
山本監督は「ある程度やってくれると思ったけど、パーフェクトに近かった。ホッとしたよ」と息をついた。外国人では史上7人目となる通算1000投球回を達成したミンチーはまだ33歳。「ナックルボールをもっと自分のものにできれば42歳ぐらいまでやれるよ」と頼もしく締めくくった。
午後6時24分ごろ、宮城沖を震源とした地震が発生。ゲーム途中だったマリンスタジアムでも比較的強い揺れを感じベンチから「タイム」の声が掛かり、約1分間ゲームを中断して様子を見た。宮城県出身の小坂は、「すぐ実家に電話します」と話してロッカーに戻ったが「何もなかったです」とホッとした表情を浮かべていた。ちょうど地震が発生した時に1回裏の打席に入っていた福浦は、タイムをかけた球審に聞いて初めて地震だと気がついた。