ロッテが土壇場の逆転サヨナラで6連勝、勝率5割に戻した。4点を追う9回、伊達を攻め代打・橋本将、福浦、フェルナンデスの3連打で同点。さらに2死三塁から堀が右前へサヨナラ打した。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
日本ハム | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
千葉ロッテ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2x | 2x |
9回裏まで0−1の劣勢をはね返しての逆転劇で6連勝、4月29日以来の5割復帰。決めたのはまたも堀だった。1点を追う9回裏に代打・橋本将、福浦、フェルナンデスの3連打で同点。代打・原井が送りバントに失敗して併殺、2死三塁となってムードがしぼんだかに見えたが、堀が伊達の真っ直ぐを逆らわずに右へはじき返した。4月20日オリックス戦でのサヨナラ本塁打に続き、チーム今季2度目のサヨナラを生み出した。
堀が目の色を変える出来事が起こったのは、4日の西武ドームでの試合前。松坂に完全に抑え込まれた翌日、山本監督は堀を監督室に呼び寄せた。「山本監督と話しました。『このままでは、ずっと休むことになるぞ』とも言われて、これじゃイカンだろと思いましたね」と言う。励ましとも、最後通告とも受け取れた。「決して楽になった訳じゃないけど、気分転換になった」という山本監督との会話の中で、自分の存在価値を再認識した。以降、21打数11安打9打点で3本塁打の大爆発。2001年5月以来2年ぶりの6連勝の立役者となっている。
ロッテはベテラン堀のサヨナラ打で2年ぶりの6連勝。勝率も5割に戻った。ベンチは盆と正月がきたような騒ぎで、殊勲の堀を取り囲む輪の中心にいたのが山本監督。お立ち台で「最高です」と絶叫する掘を頼もしそうに見つめながら「先発の高木もよかった。(9回先頭の)橋本もよく打った。堀も、みんなよくやった」とまくし立てた。
予想は的中した。待っていたのは直球だけ。堀が心に描いていた軌道は、現実のものとなって自らに迫る。迷いはない。強く振った。9回2死三塁、伊達の投じた2球目。内角の直球に左肩を開く。しかし、打球は右中間に飛んだ。技術よりも、むしろ気迫で運んだ打球だった。4月20日のオリックス戦(千葉マリン)のサヨナラ2号2ラン以来、今季2度目のサヨナラ打。16年目のベテランが一塁ベース付近にできた歓喜の輪に消えていった。
平坦な道のりではなかった。4日の西武戦(西武ドーム)の試合前。この日まで二塁手としてチャンスを与えられていた堀だが、この時点で打率は.222。山本監督は堀を監督室に呼び寄せた。「このままじゃずっと最後まで休むことになるかもしれないぞ」。ファームでは若手が結果を残している。34歳に対する事実上の“最後通告”を言い渡したのだ。しかしそれが堀の中の何かを変えた。「このままではいけないという気持ちが強くなった」と言う。以降、21打数11安打9打点で3本塁打の大爆発。01年5月以来2年ぶりの6連勝の立役者となっている。8回まで無得点。試合の流れを一気に覆す勢いがロッテにはある。
筋書きのないドラマに山本監督も大興奮だ。コーチ陣を置き去りにして歓喜の輪に飛び込んだ。興奮する指揮官は「オレがもう訳分からないよ。2点差だったら追いついていないかもな」。4月27日以来の勝率5割復帰に満面の笑みをこぼした。これで、首位のダイエーとは5ゲーム差。梅雨入り直前の関東地方。熱い季節はパ・リーグにももうすぐやってくる。