ロッテに天の声が届く。はた目にも奇抜と思える「儀式」が15日、粛々と行われた。バレンタイン監督がスーパーのビニール袋から取り出したのは、おびただしい数のイヤホン。練習前に選手、首脳陣、裏方まで50個以上を配布し、装着するように指示した。
色も形も様々なイヤホンを耳に入れランニングする異様な集団。驚いたのは、その先にラジオも携帯音楽装置もない「空イヤホン」だったこと。何が聞こえるのか?あっ気にとられる報道陣に、バレンタイン監督は「教祖」のような語り口で説明した。
ナインはバレンタイン監督の声を信じながら、アップ練習の20分間、黙々と「瞑想トレーニング」に励んだ。反応も様々。7年目里崎は「何も聞こえません。まだその域に達してません」と戸惑いの表情を浮かべれば、今年40歳の不惑を迎えるベテラン小宮山は「(自分の)心の叫びが聞こえたよ」と深くうなずいた。
関係者によれば全員が共通目標に向かおうとすることで、一体感を高める狙いがあるのだという。バレンタイン監督は「まだ聞こえなくてもいいんです」と、今後もイメージ練習を継続する。「天の声」を聞いた時…。その先には31年ぶりのリーグ優勝が見えている。
な、何の練習だ?ロッテは鹿児島キャンプ第4クールに突入した15日、ボビー・バレンタイン監督が“謎の”トレーニングを導入。イヤホンを選手、スタッフに付けるように指示した。しかし、イヤホンの先に音楽の端末はなく、音が聞こえるはずもない。監督の意図は、一体何!?
イヤホンを装着して体を動かす選手達。音楽で気分を盛り上げ、トレーニングに取り組むボビー流の練習かと思われたが、コードの先にはCDもMDもテープもラジオも付いていない。選手達は、ただイヤホンを耳からぶらさげているだけなのだ。
実に奇妙奇天烈な練習風景。これもボビーのアイデアなのだ。前夜、ふと思いついたという。
練習の目的をバレンタイン監督は、そう説明。まるで“神のお告げ”にでもあったような口ぶり。???選手も一様に腑に落ちない表情だ。
福浦が「正直、今は何も分からない」と言えば、ルーキーの大松は「いやー、んー、聞こえないっすね」。今江は「何か感じろということでしょう。今日は何も聞こえなかった」。新外国人のパスクチも「チームが結束するためのものだと思うが、まだ何も聞いていない」と謎のイメージトレーニングに、ただただ困惑顔だった。
バレンタイン監督は、全員でイヤホンを着けることによって、チームの結束力を強くするとも強調。「勝つぞ!」という強い気持ちを芽生えさせ、結果的にイヤホンから何か聞こえてくるはずというイメトレのようだが、果たして効果は…。
イヤホンの装着はアップの45分間のみで、次の日曜日まで続けられる。次から次へと新しいアイデアを出すボビー。しかし、今回ばかりは謎だらけだ。
ロッテのボビー・バレンタイン監督が15日、珍アイテム「音なしイヤホン」を導入した。どこにもつながっていないイヤホンを選手、裏方全員に配布。「アップの時に装着して、日曜日までに全員が同じ音を聞こえるようになって欲しい」と指示した。音の出ないイヤホンから、全員同じを音を聞け−。突然の仰天指令に、周囲は戸惑いの色を隠せなかった。
練習前の円陣で指揮官が切り出した。「イヤホンを耳に付けて、差し込み部分はシャツにしまってくれ」選手の頭上に「?」マークが浮かぶ。「昨日(14日)、私に『ある声』が聞こえた。日曜までには全員にそれが聞こえると信じる」と訴えた。バレンタインデーに降ってきた“天の声”を、選手に聞かせたいかのようだった。
ナインは一様に不思議がったが、イヤホンから「何か」を聞いた男がいた。39歳、チーム最年長の小宮山だ。「監督が兵隊(選手)の有能、無能を見分けるためではないか。今のままでは危機感を感じる。オレには聞こえたよ、ボビーの心の叫びがね」。
「音なしイヤホン」の導入理由については多くを語らなかったバレンタイン監督。だが、31年ぶりの優勝を本気で目指す指揮官は、チーム内のモチベーションに物足りなさを感じ、高いレベルでの意思統一を求めたとみられる。「選手は(イヤホンから)何かを聞こうとしているはずだ」と祈るように話した指揮官。リミットはあと5日。“絶対優勝”というボビーの叫びはナインの耳、いや、心に届くのだろうか。
塀内が今日の練習から復帰した。インフルエンザが発覚し、9日に緊急入院。13日に退院していた。