西武の中島が5回1死満塁で3試合連続となる3号本塁打を放った。外寄りのカーブを逃さず、右中間席に運んだ。初登板の張は制球が定まらず序盤で7失点。先発入りを目指すロッテの小野は3回1失点ながら安定感を欠いた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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西武 | 0 | 1 | 0 | 0 | 4 | 1 | 0 | 0 | 1 | 7 |
千葉ロッテ | 1 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | x | 8 |
ロッテが、05年の本拠地初戦で苦手の西武に8−7と1点差勝ちした。4回までにサブローの1号ソロなどで8得点。西武の反撃に冷や汗をかいたものの「エキサイティングなゲームだった」とバレンタイン監督はご機嫌。試合後、わざわざ一塁側内野席まで足を運び、低く改修したフェンス前でファンと交流した。
今季の千葉マリンは、ファンを大事にする指揮官の要望で、スタンドの一部が改修された。内野席の金網フェンス上部が約2メートルも取り払われた。昨年まで金網は地上から4メートル30センチまで伸びていた。それが2メートル10センチと低くなり、内野席ファンはプレーを見やすくなった。バレンタイン監督は試合前、報道陣を引き連れ内野席に陣取り「ビューティフル」「ワンダフル」を連発。「どうだい、視界良好だろう。ファンに存分、楽しんでもらうぞ」と「こけら落とし」での大暴れを宣言した。
その言葉通り、5長打を含む11安打に3盗塁の大ワザ小ワザ攻撃で、3年連続負け越しの西武に競り勝った。一塁ベンチ上を「マリーンズ・サイン・ゾーン」と命名。選手とファンの交流の場にする計画も進んでいる。
ロッテが昨年の日本一・西武を相手に競り勝ち。今季の戦いぶりを予感させるシーンは3回だった。先頭の李承Yが四球で出塁。続くフランコのカウントが2−2になると、バレンタイン監督は盗塁のサインを送った。結果的にランエンドヒットの形となり、フランコの右前打で一、三塁。その後、今江の適時打などでこの回3点。決して足が速いとは言えない李にすら、盗塁を試みさせるのが今季のロッテのスタイルだ。
鹿児島キャンプでは野手だけでなく、投手にも連日、走塁練習を課してきた。「盗塁ではなく走塁だ。いいスタートと強いスライディングで誰でも走れる」(バレンタイン監督)の言葉通り、オープン戦5試合で9盗塁。セーフティーバント、ヒットエンドランも積極的だ。走塁を担当する高橋1、2軍巡回コーチは「選手には勇気を持つように伝えている」と話す。長距離打者は少ないが、12球団中5位となるオープン戦通算25得点はまずまず。機動力に活路を見いだす今季のロッテだ。
2回、サブローがバックスクリーンへ飛び込む“今季1号”を放った。「打ったのはストレート。キャンプが終わってから調子が悪かった。ただ(本塁打前の)ファウル1球でタイミングが急に取れるようになった。打撃ってこんなものですよね」。新外国人・パスクチの加入、李承Yの外野手転向などでレギュラー争いは熾烈だけに、大きなアピールとなった。
先発ローテ入りを目指す小野が3回3安打1失点。毎回先頭打者を出して「反省点が多い。ボールが先行してしまった」と苦笑したが「この時期にこれだけ投げられるのは4、5年ぶり」とホッ。ベテラン右腕はここ数年、腰痛に苦しみ、タオルやラケットを持って左投げでシャドーを毎日5分間行うなど、腰のケアは欠かせない。
ロッテが11安打に3盗塁と足も絡め8得点。投げては小野が3回を3安打1失点に抑え先発ローテ入りに前進。三塁の定位置を狙う今江も2打数2安打とアピール。
バットと足で王者に競り勝った。1−1で迎えた2回、先頭のサブローの本塁打など、4本の長短打を集めて3点を勝ち越し。3回にもエンドラン、盗塁を決めて3点を挙げ、突き放した。チーム打率(2割6分4厘)はリーグ最低、盗塁数(49個)も同5位に終わった昨年の醜態はそこにはなかった。ここまでオープン戦4試合で7打席無安打の今江もこの日は2安打。「下半身の動きを変えて、バットを水平にした結果」と笑顔で不調脱出の打開策を説明した。
日本ハムとプレーオフ進出を激しく争った昨季の土壇場。最後の西武との2連戦で連勝すれば、進出をほぼ手中に収めるという戦いで、結果は1勝1敗。ロッテは3位と0.5差での4位と涙をのんだ。「西武はとても強いチーム」(バレンタイン監督)と意識する最大の敵役を相手に11安打に3盗塁を絡ませ8得点。「とてもエキサイティングな内容だ。これまでやってきたことを試合で出せた」と指揮官も胸を張った。
それでも慢心は一切ない。試合後も若手が率先して特打を行えば、李も不慣れな守備練習のために左翼へと走り出した。「今日は勝ったけど、次はいつ勝てるか分からない」と気を引き締めた指揮官。視線の先は既に本番へと向けられている。
先発復帰を狙うロッテの小野晋吾投手がオープン戦に初登板、3回1失点に抑えたが、課題を残した。小野が「反省点は多い」と語るように、1、2回は安打で、3回は四球と全て先頭打者に出塁を許した。「次はぴしっといけるようにしたい」と腰痛から復帰し、次回登板に意欲を見せた。
先発復活を期す小野がオープン戦初登板を3回1失点でまとめた。新球チェンジアップを試投するなどまずまずの内容だったが、小野は「反省点ばかり。3イニングとも先頭打者を出した。1番やってはいけないこと」と首を振った。ここ2シーズン、腰痛に苦しみ、満足な成績を挙げていない。しかし、左投げのシャドーピッチングを繰り返し持病を克服した。「これほど早い時期にオープン戦で投げるのは4、5年振り。自信めいたものは付いた」と話した。