ロッテが7安打5得点と効率のよい攻撃で、ソフトバンクの開幕からの連勝を5で止めた。ロッテは1回、先頭の西岡が四球で出塁、続く堀の二塁打で無死二、三塁とすると、福浦の一ゴロで1点を先制。3回ベニーの適時打で1点追加し、7回には代打初芝の適時打とレフト・宮地のエラー、堀の適時打でさらに3点を加えた。投げては先発の清水が被安打4、奪三振4の無四球で三塁を踏ませずに、昨年7月6日オリックス戦以来、自身5度目の完封勝利、無四球完封は自身2度目。ロッテは3連勝で単独2位に浮上した。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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福岡ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
千葉ロッテ | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | x | 5 |
無敗のソフトバンクに、ロッテのエースが立ちはだかった。清水直行投手がソフトバンク打線を4安打に抑え、無四球完封。ライバルの連勝を5で止めた。途中、球団が企画した「桜吹雪」がグラウンドに舞い、試合が中断するアクシデントもあったが、ファンサービスがマイナスとなってはならぬと熱投。0行進を続けた。まさにエースの仕事だった。
清水が、気持ち良さそうにタオルで汗を拭った。チームの連勝を3に伸ばし、ソフトバンクの連勝を止めた。昨年4月30日の西武戦以来、プロ入り2度目の無四球完封。お立ち台で「気持ちいいです。完封よりも無四球を狙っていた」と口にすると、ファンの大声援を受けた。
3月26日の楽天との開幕戦で岩隈とのエース対決に敗れ「力み過ぎた」と反省した。この日も相手は開幕投手の和田。「エース対決で負けないぞと、強い気持ちを持って投げた。集中して低めに丁寧に投げた」という。7回無死一塁の危機では松中を、2死一、二塁ではカブレラを、いずれも内角への逆球だったが気迫で見逃し三振に仕留めた。
集中力は途切れなかった。営業企画で5回終了時、「お花見ナイター」と題して桜を模した大量の紙吹雪がスタンドから舞った。が、風向きを読み違え、フィールド内に飛散。警備員14人がほうきとちりとりを持って清掃作業を行った。清水はマウンドに上がったが、異例の5分間中段。「相手には迷惑をかけたが、ボールパーク化しようとやったこと。間違いじゃない。ここで自分がコケたら台無しになる。だからこそ抑えたかった」と振り返った。
自らの企画も成功させた。勝利投手になった場合、自らデザインした、しかもその日使用した「サポータータオル」をファンにプレゼントするもの。勝てない場合は新品になる。快勝で、見事に汗にまみれた貴重品を贈ることができる。「プレーが第1だけど、球場に足を運んでもらうために色々考えていきたい」。試合後はわざわざ球場正面に出て、ファンの応援に感謝の気持ちを表した。渡辺俊に続き、ここまでパ・リーグ2度の完封はいずれもロッテ勢。まだまだスタジアムを盛り上げるつもりだ。
堀、初芝のベテラン2人がソフトバンク和田攻略に貢献した。堀は初回の先制点につながる右越え打など2安打。初芝は7回に代打で適時二塁打を放ち、和田をマウンドから降ろした。これが今季初安打の初芝は「バットが折れた分、ヒットになった。折れなかったら(左翼線への)ファウルだった」と、折れたバットに感謝していた。
開幕5連勝の王ホークスをロッテのエース清水が4安打の無四球完封で止めた。「抑えていてもあれだけの強力打線。正直、ホッとした」。昨夏のアテネ五輪日本代表で同僚だった和田とのエース対決。楽天との3・26開幕戦では岩隈に投げ負けただけに雪辱の気持ちもあった。
アクシデントにも動揺しない。球団は「お花見デー」のイベントで5回終了後に桜の花びらを模した紙吹雪を舞わせ、花火300発を打ち上げた。ところが大量の紙片がグラウンドに落ちて5分間の中断。それでも「あれで負けたら営業も球団も何をやっていると言われる。集中力を切らしてたまるかと思った」。7回2死一、二塁ではカブレラを140キロ内角直球で見逃し三振に斬った。
バレンタイン監督も「清水には最適な休憩だった。その点では最高の演出だった」とジョークを交えて今季初勝利の右腕を称えた。
売り出し中の今江、西岡に負けじと堀、初芝のベテランコンビが活躍だ。7回1死一、三塁の場面で登場した代打・初芝は左翼線へ適時二塁打。さらに2死二塁からは堀が左前へタイムリー。「チームに貢献できてよかった。若手に負けない気持ちは当然あるよ」と普段はクールな堀も3連勝に表情が緩んでいた。
ソフトバンクは開幕からの連勝が「5」で止まり、今季初黒星の王監督は「どうせ全部勝てる訳じゃないんだから。今日は清水がよかったよ」とお手上げの様子。わずか4安打での完敗に、さばさばした表情だった。昨季の対戦では開幕から5連敗するなど、通算10勝15敗2分け。苦手な相手との初戦でつまずいた格好だが「明日は、明日」と気持ちを切り替えていた。ソフトバンクグループの入社式に出席してから観戦した孫オーナーも「残念ですが、しようがない。でも、まだはるかに貯金のほうが多いですから、これから頑張って欲しい」と前向きに話した。
清水がソフトバンク打線をわずか4安打に抑える力投。自身2度目の無四球完封勝利に「気持ちいいです。開幕で勝てなかったので、何とか勝ちたかった」と笑顔をみせた。楽天との開幕戦では岩隈に投げ負けていただけに「チームが浮上するには僕が勝たないと」とエースの自覚でつかんだ勝利だった。
桜吹雪で試合中断という前代未聞のハプニング。「お花見・花火ナイター」と銘打ったこの日の試合の五回終了後、300発の花火と共に球場の8ヶ所から大量の紙吹雪が噴射された。この収集に手間取り、5分間の中断となった。バレンタイン監督の「最適の休憩になった。その点では完璧な演出」というジョークも、勝ったからこそいえた?
ロッテは投打の歯車がかみ合い3連勝。序盤に四球を足掛かりに2点リードすると、7回には代打・初芝の適時二塁打などで3点を追加した。清水が8回を被安打4の完封勝ち。ソフトバンクは投打に元気なく、開幕連勝が5でストップした。
固く結ばれていた口元が、ようやく緩んだ。9回、最後の打者、松中を力ない一ゴロに打ち取ると、清水はカバーに入りかけたベース付近で小さく拳を握りしめた。113球。開幕から無敗のソフトバンク打線を4安打に封じ、今季初勝利を昨年4月30日の西武戦(千葉マリン)以来、プロ2度目の無四球完封で飾った。
前回登板で味わった屈辱を肥やしにした。9年ぶりに本拠地で迎えた26日の開幕戦。3失点で楽天に“歴史的勝利”を献上した。「力みすぎた」という反省を生かし、制球を重視。初回、川アに安打を許すも、後続のバティスタ、松中に満足なスイングをさせずに抑えると、2回から6回2死まで1人の走者も許さず、反撃の糸口すらつかませなかった。
集中力も維持した。この日、球場では「花見ナイター」と銘打って5回終了後、桜の花びらを模した紙吹雪を飛ばし、300発の花火を打ち上げた。数分後、桜吹雪は整備を必要とするほどグラウンドに無数舞い落ちた。
5分間の中断。ストレッチをしたり、立ち話をする野手をよそに「6回は本当に集中した。あそこを頑張らないとみんなで盛り上げようとしていることが台無しになる」と企画者のことにも思いを巡らせながら静かに待ち、最後まで気持ちを切らさなかった。
「自分が投げて何回も負けているようではダメ。前回(岩隈との)エース対決に負けたのもあって、1−0でもいいから絶対に勝ちたかった」と清水。エースの意地で相手の勢いを封じ込めた。これで3連勝。大黒柱の挙げた1勝が、チームに勢いをつける。
天敵に、初黒星をつけられた。ソフトバンク・孫オーナーが観戦した御前試合で、ソフトバンクが投打に精彩を欠いた。「次回に、やり直せばいい。全部、勝てる訳ではないんだから」完封負けで、開幕からの連勝を5で止められた王監督が、苦そうにコーヒーをすすった。
右肩打撲の松中が、3試合ぶりに復帰。ベストメンバーで挑んだが、清水に完全に封じ込められた。無安打の三冠王は「清水が良かった」と、肩を落とすしかない。自慢の打線がわずか4安打に終わると、開幕投手の先発・和田も粘り切れない。「全ては四球です」と、声を絞り出した。7回途中までの5失点で、3点は四球の走者が生還したものだった。
3度目の観戦となった孫オーナーは「勝負は時の運。まだまだ、はるかに貯金はあるんだから…」と、気にとめなかったが、昨季も10勝15敗2分けと負け越したロッテ戦で、不安を残す1敗。指揮官も「嫌なイメージを拭い去りたい」と、初戦に意気込んでいただけに、嫌なムードが漂う。日本一奪回へ、打倒・西武の前に、まずはロッテへの苦手意識の一掃が、課題になってきた。
ソフトバンクの連勝を止めた清水は「ソフトバンクを走らせる訳にはいかないですから」と胸を張った。昨年7月以来の完封勝ちを無四球で飾る、抜群の内容だった。
開幕戦では楽天岩隈とのエース対決に敗れただけに「今回は絶対に負けられなかった」と言う。伸びのある速球を低めに集め、7回は無死一塁で松中、2死一、二塁ではカブレラをいずれも見逃し三振に仕留める気迫の投球を見せた。「思い切り腕を振って投げたら、球審の腕も上がった」と笑顔で振り返った。
ファンと選手が一体となっての勝利だった。3月27日の開幕2戦目。千葉ロッテマリーンズは楽天相手に26−0と大勝、今季初勝利を手にした。26得点は球団新記録。毎日オリオンズ時代の50年5月31日、東急フライヤーズ戦に挙げた23得点を上回っての新記録樹立となった。そして投げては先発の渡辺俊介(28)が9回、被安打1、無失点の好投。最高の形で今季、最初の勝利を手にした。
「とにかく球場の雰囲気がすごかった。鳥肌が立った。やっぱりロッテの応援は日本一だなあと思ったね」。渡辺俊介はそう振り返った。ライトスタンドを中心に一塁側までマリーンズファンがスタンドを埋め尽くしていた。声を枯らして繰り広げられた大声援。勝利の要因はその応援だと言う。
「もし、自分が敵チームだったらこの応援は相当、やりにくいだろうと思う。本当に助けられている」。試合後のヒーローインタビューを終えると渡辺俊介は右翼席を目指して走った。そしてファンと一緒になって何度も万歳三唱を繰り返した。「もし可能なら1度、外野で応援してみたい。本当にそう思うね。よく『ファンと一緒に闘う』というけど、ウチはまさにその言葉通り」。
マリーンズベンチにはホーム、ビジター関係なく背番号「26」のユニホームがつるされている。これはベンチ入り25選手に続く26番目の戦士はファンだという意味。選手、フロントのマリーンズサポーターと一緒に優勝を目指すのだ、という熱い思いが込められている。
26得点をとっての今季初勝利。それは26番目の戦士へのチームからのメッセージ。背番号「26」のユニホームを手に何度もガッツポーズを繰り返していた渡辺俊介は心の底で叫んでいた。今年こそ、必ず、この日本一のファンと優勝を分かち合うと。