ロッテが今季4度目の2ケタ安打で日本ハムを下し、ソフトバンクと並び首位に立った。ロッテは2点リードの5回、一昨年のローズ(現巨人)以来となる、ベニーの2試合連続満塁ホームラン(プロ野球史上タイ記録で史上5人目)で4点を追加、8回にも2点を挙げて逃げ切った。ロッテの先発・清水は、7回途中まで被安打6奪三振9に抑え、今季2勝目。一方日本ハムは小笠原が3試合連続の4号ソロ、アルモンテの39打席目にして来日初の1号ソロの2点に終わった。また先発ミラバルは開幕から今だ勝ち星なしの3連敗。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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北海道日本ハム | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 2 |
千葉ロッテ | 1 | 0 | 1 | 0 | 4 | 0 | 0 | 2 | x | 8 |
ロッテが強い。ベニーが球団史上初の2試合連続満塁弾を放つなど、この日も打線が好調。3戦連続2ケタ安打となる12安打で、チーム打率もパ・リーグ唯一の3割突破だ。日本ハムに快勝し、ソフトバンクと同率ながら、昨年4月10日以来の首位に立った。投げてはエース清水が8回途中2失点で2勝目をマーク。投打のガッチリ噛み合ったロッテが「春の主役」に躍り出る。
満開の桜のように、ベニーの打球がベイエリアの夜空に、美しい放物線を描いた。2点リードの5回1死満塁。日本ハム・ミラバルの内寄りチェンジアップをすくい上げた。高々と舞い上がり、左翼ポール際の上段に飛び込む満塁弾。ダイヤモンドを一周すると、福浦をブ厚い胸板で抱きながら喜びを爆発させた。「ワオー。久し振りに興奮したよ。思わず叫んでしまったね。手応え十分。完璧だった」と声を弾ませた。
6日の西武戦に続くグランドスラム。パ・リーグ4人目、球団史上初の快挙を「名誉なこと」と素直に喜んだ。3回にもチーム2点目のタイムリー二塁打と計5打点の活躍。陽気なハワイアンが14打点で一気にリーグトップに立った。
前日7日のこと。ベニーは初めて上野に花見へ行った。家族4人水入らずのひとときをすごし「ハワイに花見というのは、ないからね。いい時間をすごせた。山の手ラインで電車で行ったよ。幸運をもたらしてくれた」と笑顔を見せた。上野動物園も訪れ、リフレッシュ。昨年は来日1年目で打率3割1分5厘、35本塁打、100打点と好成績を残したが、より日本にとけ込んでいる。
開幕前の「投高打低」の評価を覆すように、打線全体が奮起。3戦連続2ケタ安打と、面白いようにつながる。「みんなが打っているから責任も軽減される」と楽な気持ちで打席に立てる。さらに李、フランコ、2軍にいるパスクチと、好調な外国人枠争いも格好の刺激剤だ。
「最後の首位」だった昨年4月10日は13試合消化で7勝6敗。投打が噛み合った今年は一味違う。「(ベニーの)前に出る走者もよくやってくれている。首位?始まったばかりだが、首位にいてもおかしくない野球ができている」とバレンタイン監督。桜が散っても、ロッテに訪れた「満開の春」は当分、続きそうだ。
2試合連続満塁本塁打 | |||||
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選手(所属) | 年月日 | 状況 | 相手投手 | 球場 | スコア |
藤村富美男(阪神) | 昭28-04-28 | 3回1死 | 大脇(国鉄) | 福井 | ○5−2 |
昭28-04-29 | 3回1死 | 井上(〃) | 金沢 | ○5−2 | |
坂本文次郎(大映) | 昭32-10-11 | 8回2死 | 中西(毎日) | 後楽園 | ●4−13 |
昭32-10-12 | 9回2死 | 植村(〃) | 〃 | ○6−2 | |
秋山幸二(西武) | 平05-08-21 | 1回1死 | 柴田(日本ハム) | 東京ドーム | ●5−6 |
平05-08-22 | 3回無死 | 白井康(〃) | 〃 | ●4−8 | |
ローズ(近鉄) | 平15-06-23 | 4回2死 | 土井(オリックス) | ヤフーBB | ○17−2 |
平15-06-25 | 6回無死 | 山本(〃) | 〃 | ○18−6 | |
ベニー(ロッテ) | 平17-04-06 | 7回2死 | 宮越(西武) | インボイス | ○15−4 |
平17-04-08 | 5回1死 | ミラバル(日本ハム) | 千葉マリン | ○8−2 |
ベニーが6日の西武戦に続いて満塁本塁打。2試合連続本塁打は03年にローズ(近鉄)が放って以来、プロ野球史上5人目。今季のパ・リーグは開幕2週間で早くも7本の満塁本塁打が飛び出し、リーグ年間最多記録(31本=80年)を更新しそうな勢いだ。
西岡が日本ハム戦の5回、無死一塁でバントを試みた際、足が打席を踏み越えたためアウトを宣告された。
4番に負けじと、清水もエースの役割を果たした。序盤から直球が145キロを記録。7、8回に本塁打を許したが、6回まで零封とリズムをつくった。開幕戦こそ、楽天に敗れたが、1日のソフトバンク和田、この日のミラバルと開幕投手対決を制し2連勝。「連戦のアタマを取れ満足。チームもいい攻撃で助かった」と振り返った。
パ・リーグ開幕投手成績 | ||
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選手(所属) | 勝敗 | 防御率 |
和田(ソフトバンク) | 3試合1勝2敗 | 5.85 |
清水(ロッテ) | 3試合2勝1敗 | 1.80 |
松坂(西武) | 3試合1勝1敗 | 1.96 |
ミラバル(日本ハム) | 3試合0勝3敗 | 7.71 |
岩隈(楽天) | 2試合2勝0敗 | 3.38 |
川越(オリックス) | 2試合0勝1敗 | 3.07 |
この日、963人のOLが千葉マリンを埋めた。正午には千葉市内の球団事務所のあるWBGビル1階通路広場で激励会を行い、バレンタイン監督と独身の里崎、西岡が「黄色い声援を待ってます」とOLデー・ナイターへの観戦を呼び掛けた。試合ではOLを内野自由席に無料招待した。
集中力を研ぎ澄まし、ベニーは甘く入ったチェンジアップを振り抜いた。5回1死満塁。左翼席中段へ突き刺さった今季3号はプロ野球タイ記録の2試合連続満塁本塁打となった。
自分のタイミングでボール球に手を出さないことを心掛けた。緩い球にも打撃フォームを崩さず、強い打球が生まれるのは好調の証明だ。バレンタイン監督も「開幕からいい打球を放っていたが、これまでは正面を突いていた。今は外野手を越えるようになっている」と表情を緩める。3回の適時二塁打を含む5打点の活躍だ。
ハワイ出身で寒さには弱い。3割、30本塁打、100打点をマークした昨年も4月は打率.244、5本塁打、20打点。指揮官もスロースターターと認めるベニーだが今年は違う。「昨日上野で家族と花見をして幸運が運ばれた」と予定より早い開花宣言だ。
こんな主砲の活躍などでチームは3連勝。ソフトバンクと同率ながら昨年4月10日以来となる首位に浮上した。「まだシーズンは始まったばかりだが、うちが首位にいることは不思議ではない」。昨季は0.5差で逃したプレーオフ進出。ボビーは失速することなく走り続ける手応えをつかんでいる。
さすがの集中力。清水が7回2/3を6安打2失点で2勝目。363日ぶり首位の原動力となった。
エースの登板に合わせ、球団側も気合満点。「OLデー」として無料でOLを内野自由席へ招待した。4回終了後には、OLが不満をぶちまけるコーナーがスタート。電光掲示板横の画面で映像が映し出され、マイクが向けられると「私の方が仕事ができる!」「ボーナスあげろ!」「数字ばかり言うな!」。あまりの辛らつさに、場内はシーン…。
マウンドに立ったまま、この異様な雰囲気に身をさらしていた清水。心が揺れることも懸念されたが、そこはエース。「自分は野球をやっている。闘争心をだして、向かっていくということを強く思っていた」と、ひたすら集中していた。
思えば清水の登板時は、アクシデント続き。先月19日の中日とのオープン戦(千葉マリン)ではファン参加イベントが長引き、バレンタイン監督が「もう十分だ」とイベントを中断させた。今月1日のソフトバンク戦(同)は「お花見・花火ナイター」で、桜の花びらをイメージした紙吹雪が5回終了後に大量に噴射され、それが風に乗り、試合は5分間も中断。これらの経験があれば、相手打者もOLも(?)怖くない。
「ボールパーク化はいいこと。野球とファンサービスが噛み合っていい野球場をつくっていければ」と清水。もちろん、エースは球団と上司に、不満などありません。
5回1死満塁から、ベニーが左翼へ3号グランドスラム。6日の西武戦(インボイス)に続く2試合連続満塁弾は、一昨年の近鉄・ローズ(現巨人)以来、史上5人目で「もちろん(自身は)初めて」と大興奮。前日7日のオフには、東京・上野公園で生まれて初めての花見をした。「サクラが幸運をもたらしてくれたんだね」と桜に感謝。まさに“満開弾”だった。
2試合連続満塁本塁打 | ||||
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選手(所属) | 年月日 | 状況 | 相手投手 | 球場 |
藤村富美男(阪神) | 昭28-04-28 | 3回1死 | 大脇(国鉄) | 福井 |
昭28-04-29 | 3回1死 | 井上(〃) | 金沢 | |
坂本文次郎(大映) | 昭32-10-11 | 8回2死 | 中西(毎日) | 後楽園 |
昭32-10-12 | 9回2死 | 植村(〃) | 〃 | |
秋山幸二(西武) | 平05-08-21 | 1回1死 | 柴田(日本ハム) | 東京ドーム |
平05-08-22 | 3回無死 | 白井康(〃) | 〃 | |
ローズ(近鉄) | 平15-06-23 | 4回2死 | 土井(オリックス) | ヤフーBB |
平15-06-25 | 6回無死 | 山本(〃) | 〃 | |
ベニー(ロッテ) | 平17-04-06 | 7回2死 | 宮越(西武) | インボイス |
平17-04-08 | 5回1死 | ミラバル(日本ハム) | 千葉マリン |
ロッテが大勝で同率首位に浮上した。初回無死一、三塁から福浦の併殺打の間に先制。5回1死満塁ではベニーが左越え3号満塁弾を放ち、リードを広げた。投げては清水が7回2/3を2失点で今季2勝目。日本ハムは借金生活に逆戻り。
ベニーの雄叫びが響きわたった。美しい弾道が幕張の夜空を駆ける。左翼席上段へ、球団史上初、プロ野球5人目の2試合連続グランドスラム。4番の豪快なアーチが、ロッテに3連勝を呼んだ。ソフトバンクと並び、363日ぶりの首位浮上。その強さは本物だ。
5回1死満塁からのミラクル弾。「2試合連続なんて初めて」と上気した表情でまくし立てた。休日の7日は妻と娘2人を連れて「人生初」の花見に出かける家族サービス。愛娘と動物園にも出向いた優しいパパは、翌日は一転、グラウンドで野獣のごとくキバをむいた。「花を見たことが幸運をもたらしてくれたよ」。2日連続のハッピーな“初体験”に笑顔がやまなかった。
最近3試合で45安打。貧打の前評判など、どこ吹く風の猛打ショーが続く。昨年は同時期の首位から、直後に10連敗を喫したが、同じ轍は2度と踏まない。ベニーが「みんなが仕事をできているから勝ち続けられる」と言えば、バレンタイン監督は「首位にいても不思議じゃない野球ができている」と堂々と話した。
この日、幕張の最高気温は24度。満開の桜に呼応するように、ロッテがアクセル全開で春を駆け抜けていく。
ロッテのベニーが甘く入ったチェンジアップを振り抜いた。「完璧だった」。力強いスイングから放たれた打球は左翼席へ。陽気なハワイアンはプロ野球5人目の2試合連続満塁アーチに雄叫びを上げた。
5回。制球に苦しむミラバルの胸中を見透かした。余裕を失い、カウント2−1からストライクゾーンで勝負を仕掛けてきた1球を確実に仕留めた。3回の適時二塁打を含む5打点の活躍。チームを3連勝に導き、首位に押し上げた。
「チャンスで何とかしたかった。久々に興奮したよ」と誇らしげ笑ったベニーは、こうも言葉を続けた。「ほかの選手が自分の仕事をきっちりやったから、満塁のチャンスが訪れたんだ」。
7日には家族と一緒に上野で桜見物。「初めてのお花見だった。美しい桜が幸運をもたらしてくれた」。ロッテにも、ベニーにも満開の春が訪れている。