ロッテが今季5度目の同一カード3タテを決め貯金を18とした。ロッテは1回、フランコとベニーの適時二塁打で2点を先制すると6回に2点、7回にも3点を追加。9回には大塚と李の2試合連続、2者連続となるソロホームランで2点を追加した。先発・久保が今季2度目の完投勝利で3勝目。久保はデビュー戦から自責点0に抑えていたが、森笠に30イニングス目に適時打を打たれ、連続イニング自責点0の自身の記録は途絶えた。広島は今季初の同一カード3連敗で、借金は今季ワーストの5に膨らんだ。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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千葉ロッテ | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 3 | 0 | 2 | 9 |
広島 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 |
ロッテは4連敗のあと3連勝を飾り、首位をがっちりキープした。広島に8点差をつける圧勝で、連日の勝利にバレンタイン監督も饒舌になる。「4連敗中にも勝てた試合が3つあったし、内容は良かったから。それを引き続きできていることには、満足しているよ」と表情には自信が満ちていた。
ロッテのルーキー久保は表情1つ変えなかった。ノーヒットノーラン…の雰囲気も漂ってきた6回2死。尾形にスライダーを中前に運ばれた。「ヒットを悔やむ余裕はない」。続く緒方の二塁打で二、三塁の危機を招くが、それでも浮き足立たない。嶋をきっちり左飛に打ち取った。7回2死一、二塁では森笠に二塁打を打たれ、プロ初の自責点がついた。「点をやってはいけない場面で1番悪い球がいった。自分は甘い」と反省。ここでも続く浅井を空振り三振にきって取り、傷口は広げなかった。
早くも2度目の完投で3勝目。「松坂世代最後の大物」は、新人離れした適応力を見せた。本拠地で使用するミズノ社製の縫い目の高い球から、広島では縫い目の低い那須社製の球になった。パでは使用されておらず「山があまりなくて、全然指にかからない」と心配していた。だが、いざ打者に向かうと「球が揺れてくれなかったが、コントロールしやすかった」と逆に利用。低めにスライダー、フォーク、チェンジアップを集めた。最後も新井をフォークでこの日8個目の三振を奪った。デビューからの自責点ゼロは29イニングで途切れたが、悠々と120球を投げきった。
高校以来の打席でも、6回1死一、二塁できっちり送りバントを決めた。これが小坂の貴重な2点適時打につながった。バレンタイン監督は「全ての試合で落ち着いていい投球をしている。(ノーヒットノーランでも)不思議ではない投球だった。ロッテのスカウトは優秀だね。新人王?まだ早いが可能性はある」。ローテーション通りなら、次回登板は巨人戦になる。「どこが相手でも自分の投球をするだけ」。最後まで冷静沈着に、ファンの声援に応えながら球場を引き揚げた。
久保の今季成績(5試合3勝1敗=1軍) | |||||||||||
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月日 | 相手 | 登板 | 勝敗 | 投球回 | 安打 | 本塁打 | 三振 | 四死球 | 失点 | 自責点 | |
1軍 | 04-02 | ソフトバンク | 救援 | − | 0 1/3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
04-24 | 楽天 | 完封 | ○ | 9 | 4 | 0 | 13 | 1 | 0 | 0 | |
05-04 | 楽天 | 先発 | ○ | 5 2/3 | 5 | 0 | 3 | 2 | 0 | 0 | |
05-12 | 阪神 | 先発 | ● | 7 1/3 | 7 | 1 | 4 | 1 | 2 | 0 | |
05-19 | 広島 | 完投 | ○ | 9 | 4 | 0 | 8 | 1 | 1 | 1 | |
通算防御率0.29 | 31 1/3 | 20 | 1 | 28 | 5 | 3 | 1 | ||||
2軍 | 04-06 | インボイス | 救援 | − | 2 | 1 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 |
04-16 | ヤクルト | 先発 | ○ | 8 | 4 | 0 | 6 | 0 | 0 | 0 | |
通算防御率0.00 | 10 | 5 | 0 | 10 | 0 | 0 | 0 |
完投で3勝目を挙げた久保はウイニングボールを迷うことなくスタンドに投げ入れた。「低めの投球と打者にフルスイングさせないことを考えた。球場が狭いので気にしている余裕はなかった」。その表情には満足感が漂っていた。
6回2死まで無安打。尾形の中前打で夢は消え、7回2死一、二塁から浴びた森笠の右翼線二塁打で初登板から続けてきた自責点0の連続イニングは「29」で途切れた。それでも肝っ玉ルーキーは、4月24日の楽天戦(フルキャスト宮城)で初先発完封して以来となる完投勝利でチームに貢献したことが何よりも嬉しかった。
試合前は広島が採用する縫い目の低い球に戸惑った。「変化球の曲がりが違う」と違和感を取り除くために宿舎でも常にボールを手放さなかった。しかし、そんな不安も必要なかった。「全ての球が完璧。ノーヒットノーランをやっても不思議はない」。チームに3連勝をもたらした驚異の防御率0.29の新人にバレンタイン監督も舌を巻いていた。
ロッテの助っ人コンビが初回から爆発。1死一、三塁で4番フランコが「一、二塁間が大きく開いていたのでコンパクトに振ることを考えた」と先制の右前打。続くベニーも三塁手・新井のグラブを強襲する二塁打で2点目を叩き出した。「久保を楽にさせたかった。いい状態で千葉へ戻れるよ」と敵地での3連勝に笑顔を見せていた。
自由枠ルーキー久保(松下電器)のデビューからの自責ゼロは29イニングでストップ。「意識して自分にプレッシャーをかけてたけど、1番悪い球が行ってしまった」と7回2死一、二塁で適時二塁打を浴びた森笠へのスライダーを悔やんだ。広島が使用する縫い目の低いボールにも戸惑ったが、2度目の完投で早くも3勝目。「次も自分の投球をするだけ」と、ローテ通りなら26日の巨人戦(東京ドーム)での先発に静かな闘志。
ロッテが5度目の同一カード3連戦3連勝。初回、フランコ、ベニーの連続適時打で2点を先制。6回に小坂、7回にもベニーの適時打などで加点した。久保は4安打1失点に抑え、2度目の完投で3勝目。3連敗の広島は最多の借金5。
4安打1失点完投。新人としては文句ない内容でも、少しだけ残念そうだった。デビュー以来の自責0が29イニングでストップ。5回まで無安打投球をしながら7回、「今日1番甘い球」を尾形に痛打されて1点を失った。「1点差だったら、あれで負けてしまいますよ」末恐ろしいコメントに、スーパールーキーのすごみが凝縮されていた。
投球の極意を知り尽くしていた。広島が使用する那須社のボールに「ヤマが低い」と感じた。無風で、得意のムービングボールも使えない。抑える術を考えた。「感覚でタイミングを外しました」ある時は左足を止めてゆったり投げ、またある時はクイック。「狭い球場ですから」と低めへの意識も徹底し、ベテラン並みの投球術を展開した。
マウンド以外でも優等生ぶりは変わらない。公募で決まった愛称「SONIC」は松下電器への恩義から採用。ひょうきんなキャラで知られる同期・手嶌が「あの人のようにしっかりするのは無理。だから僕は違う路線でいくしかないんです」と、入団早々“路線変更”を決意したほどだ。
防御率0.29。顔立ちも凛々しく、どこにもスキのない脅威の新人の次回登板は、26日の巨人戦(東京ドーム)が有力。最強打線を牛耳って、全国に久保の名が知れ渡ることになりそうだ。