ロッテが今季10度目の2ケタ得点で3連勝、34年ぶりの貯金20とした。ロッテは1回、堀の1号ソロで先制、2回にはベニーが8号ソロを放つ。さらに7回にはベニーの適時打、8回には福浦が2号2ランを放ち、9回にも橋本の2号2ラン、堀、福浦の連続適時打など打者一巡の攻撃で一挙6点を挙げた。投げては先発小野が6回2/3を無失点に抑え、藤田、薮田、山ア健のリレーで、今季7度目の完封勝ち。一方の巨人は11安打を放つが3併殺打。今季2度目の完封負けで、借金を4とし、最下位脱出はならなかった。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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千葉ロッテ | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 6 | 11 |
巨人 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
李のパ・リーグ記録に並ぶ、6戦連発はならなかった。巨人投手陣に外角を攻められ、無安打。「自分のスイングができなかった。ホームランもヒットも打てなかった。でもチームが勝って良かった」。8回に二ゴロに終わった後で交代したが、9回にチームが猛攻。バレンタイン監督は「(李をベンチに)下げてしまって後悔している。まだホームランを打つチャンスがあったのに」と気遣った。
パ首位ロッテが、交流戦首位巨人との「頂上決戦」第1Rを11−0の圧勝で制した。先発小野が、宝刀シュートで3併殺と粘り7回途中まで無失点と好投。自慢の救援陣も踏ん張り、重量打線相手に完封リレーだ。打っては上原に2発を含む4発を見舞い、11点を奪った。これでもかと強さを見せつけ、貯金を両リーグ最速、球団史上2番目の早さで「20」とした。
バレンタイン監督が「ナイスゲーム!ナイスピッチング!」と声を張り上げて選手を迎えた。ヒーローインタビューでは、小野が胸を張った。「強いロッテを全国にアピールできた」。好調巨人に完勝。パ首位を走ってきた力を、長野のファンに、全国中継のお茶の間のファンに見せつけた。
小野の最大の武器、シュートが冴え渡った。走者こそ出すが、本塁にかえさない。初回2死一、二塁では清原を遊飛に仕留めた。4回1死一、三塁では村田を三ゴロ併殺、5回無死一塁で仁志を三ゴロ併殺、7回無死一塁では村田を遊ゴロ併殺。ピンチの度、内角シュートで脱していった。7回途中で9安打を許しながらも、攻めの投球で5勝目。「単打ならしょうがない。長打に気をつけて、気持ちで負けないようにした」と振り返った。
アクシデントにも負けなかった。初回、無死一塁でいきなり二岡の打球が右ヒザに直撃。「痛かったけど、逆にあれで目が覚めた」。今春キャンプは右足首ねんざで別メニューでのスタート。それでも「自分のペースでやっていける」とプラス思考で逆境を乗り越えてきた。高校時代は巨人ファン。憧れていた相手に気迫で向かっていった。
後を受けた藤田、薮田、山崎も相手打線にツケ入るスキを与えず、今季7度目の完封勝利だ。大量得点しても、きっちり投手陣が締めて次の試合につなげているのが強さの要因でもある。小野の帽子のツバに書かれた言葉は「Be Confident」(自信を持て)。巨人に完勝したロッテが、さらに自信を深めた。
ロッテが貯金を20の大台に乗せた。開幕から48試合目での貯金20は、90年西武が39試合目で記録して以来のスピード到達。ロッテにとっては、毎日時代の50年に43試合に次ぐ2番目の早さだ(パ・リーグでは2期制を含め10位)。ロッテの完封勝ちはソフトバンクに並び最多の7度目となったが、3月27日楽天戦○26−0、5月4日楽天戦○10−0、8日横浜戦○18−0、24日巨人戦○11−0と、2ケタ得点の完封勝ちが4試合。4度も2ケタ得点の完封勝ちを記録したのは68年巨人以来。
パ・リーグの貯金20到達ペース | ||||||
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年度 | 球団 | 試 | 勝 | 敗 | 分 | 最終 |
65 | 南海 | 34 | 27 | 7 | 0 | 優勝 |
73後 | 阪急 | 35 | 27 | 7 | 1 | 2位 |
79前 | 近鉄 | 37 | 28 | 8 | 1 | 優勝 |
90 | 西武 | 39 | 29 | 9 | 1 | 優勝 |
55 | 西鉄 | 42 | 30 | 10 | 2 | 2位 |
71 | 阪急 | 42 | 30 | 10 | 2 | 優勝 |
50 | 毎日 | 43 | 31 | 11 | 1 | 優勝 |
62 | 東映 | 44 | 32 | 12 | 0 | 優勝 |
61 | 南海 | 47 | 33 | 13 | 1 | 優勝 |
05 | ロッテ | 48 | 34 | 14 | 0 | ? |
[注]73年阪急は後期優勝し、プレーオフで敗れ2位。
最後は連打ショーで、ロッテが力の違いを見せつけた。5−0で迎えた9回に、6連打を含む7安打を集中させて6得点。橋本の2ランを口火に、代打初芝、西岡、堀、福浦、サブローが、巨人3番手の真田に容赦なく襲い掛かった。6連打が途切れても、1死から大塚がトドメの左前適時打。巨人に、これがつなぎの野球、を見せつけた。バレンタイン監督も「とてもいいチーム状態。みんなが楽しみながら勝利に貢献している」と興奮を隠さなかった。
序盤は、巨人のお株を奪う1発攻勢だった。1回、堀が上原の出はなをくじく1号先制ソロ。「高く上がって、風がスタンドに運んでくれた。やっと1号がでて嬉しいよ」。2回はベニーだ。8号ソロは、レフトポールを巻き込みながら場外に消えていった。ベニーは「(ファウルに)切れるかと心配だったよ」とご機嫌だった。
頂上対決の第1ラウンドは、相手がエース上原先発にもかかわらず14安打を浴びせて大勝した。2ケタ安打は今季21度目。李の6戦連発はならなかったが、つなぎのロッテは全員が主役になることができる。1発あり、つなぎあり。バレンタイン監督は「大きな怪我人がなければ、いい状態を続けられる」。意気揚々と引き揚げた。
あまりの強さにバレンタイン監督も苦笑いを浮かべるしかない。「唯一の心残りは李スンヨプを下げたことだ。もう1度回ってくるとは思わなかった。本塁打を打つチャンスがあったのに…」。
パ・リーグ記録となる6試合連続本塁打に挑んだアジアの大砲を、二ゴロに倒れた8回の第4打席で交代させてしまったのだ。まさか9回にこんな猛攻が待っているとは…。6者連続安打を含む打者11人攻撃。それは指揮官の想定をはるかに超えた。
球場は巨人ファンでぎっしりと埋まった。しかし際立ったのはロッテの強さばかりだ。初回、左越えに今季1号となる先制ソロを放った堀は言う。「こんなことを言うのも悪いが巨人に対する特別な感情はない。僕らはユニホームを見て戦っている訳じゃない」。2回に左翼ポール際へ8号ソロを叩き込んだベニーも「セ・リーグのエースを打たなければ、パの首位は本物でない」と胸を張った。
打っては14安打11得点、守っては4投手で完封リレー。投打で巨人を圧倒すると、貯金はついに今季最大の「20」。71年以来、34年ぶりの大台突入だ。「チームのみんなが楽しんでいる。全員が勝利に貢献してくれている。今が最高の状態だ」。今季6度目の3連勝。通路に響くバレンタイン監督の言葉はどこまでも力強かった。
噂は本当だった。ロッテは本当に強かった。パ・リーグ首位のロッテが24日、交流戦首位の巨人と長野で頂上決戦。ところが試合は…。エース・上原浩治投手(30)らG投手陣をメッタ打ちにして11−0の快勝だ。試合前にはガムを3箱ほど贈ったが、ガムを噛み潰した巨人は、苦虫も噛み潰した。
肌寒い長野の夜が超ホットだ。快勝。完勝。爆勝。巨人ファンで埋め尽くされたスタジアムからは、ロッテの強さに溜息がもれた。昭和46年以来、実に34年ぶりの貯金「20」に到達だ。
「小野はシュートが走っていた。打線は(史上最強打線といわれる)巨人に負けず劣らず活発だったね」とバレンタイン監督。試合を作ったのは先発の小野だった。
7回途中まで9安打されながらも無失点。一方の打線も、史上最強打線のお株を奪う。4発を含む14安打11得点の猛攻だ。
「ロッテの強さを全国にお見せできて、嬉しい」と小野。得意のシュートで内角をぐいぐいと攻めた。4、5、7回は右打者をいずれもインコースのシュートでつまらせて3併殺。粘りの投球で5勝目を手にした。
平成14年に腰を痛めたが、今季ようやく復活した右腕。腰痛のケアのため、バドミントンのラケットやタオルを使用して、左腕でのシャドーピッチングを毎日5分間程度、行っている。効果は抜群。田村トレーナーも「全く問題ない」と太鼓判だ。
実は…。試合前、ちょっとした戦い?があった。「“欲しい”といってきたチームにはあげています」と球団関係者。巨人ベンチにガムが3箱。すなわち、巨人からリクエストがあった、ということだ。ガム(ロッテ)を噛み潰す−。そんなつもりが、あいにく噛み潰したのは“苦虫”だった。
巨人を相手に、強さを証明した。勢いだけではない。パ・リーグのライバルチームのあるコーチもこう“証言”する。「(ロッテが強いのは)シーズン前から分かっていたこと。ソフトバンクとの2強にどう食いついていくか。皆さん(報道陣)の評価が、現実より低かっただけの話だよ」。
この強さ、本物だ。快進撃はまだまだ続く。
過去に1度、昭和45年の日本シリーズで対戦している。巨人は第1戦の延長11回サヨナラ勝ち(黒江の本塁打で1x−0、堀内が完封)から3連勝。第4戦は5−6で敗れたものの、第5戦は6−2で快勝し、4勝1敗でV6を達成した(同48年までV9)。シリーズMVPは長嶋茂雄。公式戦では打率.269と不振だったが、シリーズでは打率.421、4本塁打と大爆発。一方のロッテはロペス、アルトマン、有藤ら主軸の不振が最後まで響いた。
ロッテの貯金20到達 | ||||||
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年度 | 月日 | 試 | 勝 | 敗 | 分 | 最終 |
昭25 | 05-21 | 43 | 31 | 11 | 1 | 優勝 |
昭27 | 08-15 | 86 | 53 | 33 | 0 | 2位 |
昭29 | 07-18 | 77 | 47 | 27 | 3 | 3位 |
昭30 | 07-24 | 77 | 48 | 28 | 1 | 3位 |
昭31 | 06-06 | 53 | 36 | 16 | 1 | 4位 |
昭32 | 08-27 | 96 | 56 | 36 | 4 | 3位 |
昭34 | 07-26 | 78 | 47 | 27 | 4 | 2位 |
昭35 | 06-26 | 60 | 39 | 19 | 2 | 優勝 |
昭45 | 07-10 | 62 | 41 | 21 | 0 | 優勝 |
昭46 | 07-07 | 64 | 41 | 21 | 2 | 2位 |
平17 | 05-24 | 48 | 34 | 14 | 0 | ? |
[注]最終はシーズン最終順位
パ・リーグタイの6試合連続本塁打に挑んだ李承Yは、無安打。「自分のスイングができず、ホームランもヒットも打てなかった」と反省しきり。バレンタイン監督は、もう打席が回ってこないと判断し、8回の守備で退かせたが、9回に打線が爆発。同監督は「もう1度、打席に立つチャンスがあった。ホームランだったかもしれない」と後悔しきり。
ロッテは初回、堀の1号で先制。2回にもベニーの8号で追加点を奪い、8回には福浦の2号2ラン、9回にも橋本の2号2ランなど大量6点を追加し11−0の大勝、3連勝で貯金を今季最多の20とした。
普段の温和な表情は消えていた。重量打線を前に、小野はふてぶてしくマウンドをさばいた。安打を浴びるほど燃えた。ピンチを招く度、闘争心がわき起こった。宝刀シュートに、その思いを乗せた。6回2/3を9安打無失点。「とにかく気持ちで向かっていった」攻め続けた背番号29が、勝利の立役者だった。
“特効薬”があった。初回、二岡のライナーが右スネを直撃。無死一、二塁のピンチを招いたが「あれで目が覚めた」と小野。ローズ、小久保を連続三振に斬ると、清原も内角シュートで遊飛に打ち取った。橋本も「フワフワしていたのに(打球を当てて)気合が乗ってきた」と効果を実感。痛みと引き替えに、本来の姿を取り戻した。
勝負所は伝家の宝刀に託した。無死からの走者を出した4、5、7回。ピンチをしのいだ3度の併殺は、全て胸元のシュート。上空の強風にも「マウンド上はそうでもない。(千葉)マリンの風の方が厄介ですよ」とサラリ。真骨頂の粘りと度胸を見せつけた。
今季5勝目。復活ロードを歩む小野に、後押しがあった。今季主流となったミズノ社の低反発球。縫い目が高い新球の導入を「少しずつ変化が大きくなりますね」と歓迎する。シュート、カットボールといったムービング系の使い手にとって恩恵は甚大。巧みにバットの芯を外す投球術が冴え渡っている。
上原に投げ勝っての価値ある1勝。打線も相手エースが降板すると、終盤に大量点を奪って11得点を挙げた。「今日は強いロッテを全国の皆さんにお見せできて嬉しい」と小野は叫んだ。5勝1敗、防御率は1.97。00年に「サンデー晋吾」として一世を風靡した男が、鮮やかに復活した。
ロッテが先発小野ら4投手の完封リレーで好調巨人をねじ伏せた。11安打を許したが得点は「0」。
上向きだった巨人打線を要所で断ち切った。象徴的だったのは小野が奪った3度の併殺打。4回は1死一、三塁から村田を三ゴロ、5回は無死一塁で仁志を三ゴロ、7回も無死一塁で再び村田を遊ゴロと、走者を出しながら併殺で仕留め、巨人打線が勢いづくのを抑えた。右打者の内角を鋭く突く決め球のシュートが効果的で、交流戦という対戦データのない点を生かした。
9安打も全て単打。7回途中でマウンドを降りた小野は「大事なところで併殺が取れた。単打は仕方ないと思っていたから、走者が出ても気にならなかった」。淡々とした口ぶりに、強力打線を翻弄した自信をのぞかせた。
日本プロ野球選手会(古田敦也会長)は24日、国別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の参加問題に関する見解を示した文書を実行委員会宛てに送付した。文書では開催時期が3月であることや、主催が大リーグ機構であることなどの問題点を指摘。25日に開かれる実行委員会で慎重な議論を行うよう申し入れている。
選手会の松原事務局長は「国際的な大会を行うことには賛同しているが、開催時期などに問題もある。時間をかけて話し合う必要がある」と語った。NPBでは25日の実行委でWBC参加に関する意見を各球団から吸い上げることになっているが、参加に消極的な球団もあり、意見集約は難しい状況だ。
日本プロ野球選手会(古田敦也会長)は24日、来年3月に初めて開催される予定の野球の国別対抗戦「ワールドベースボールクラシック」への日本の参加について、25日に行う日本プロ野球組織(NPB)の実行委員会で慎重に議論するように申し入れた。
選手会による各球団の選手の意見集約では、トッププロによる国別対抗戦への参加には好意的な意見が多かったが、特定のプロリーグである米大リーグが主催することと、選手の調整や通常シーズンへの影響から開幕前の3月開催という時期が問題点として挙がった。
NPBとしても、12球団が25日の実行委員会に「ワールドベースボールクラシック」についての方針を持ち寄って協議することになっていた。
労組・日本プロ野球選手会(会長・古田敦也)が24日、25日に開かれるプロ野球実行委員会(議長=小池唯夫パ・リーグ会長)宛てに、来年3月に開催される野球のW杯「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」への参加を慎重に議論するよう求める文書を提出した。
文書はコミッショナー事務局に電子メールで届いた。選手会が指摘する主な問題点は3月開催と運営形態。開幕を控えた調整とペナントレース人気への影響を懸念。16ヶ国・地域の国別対抗戦WBCを米大リーグ機構(MLB)と米大リーグ選手会が主催することの不公平を訴えた。選手会の松原徹事務局長は「要望とか意見ではなく、一緒に議論しましょうということ」と説明。開催時期は実行委員会で各球団が了承しているものの、議論の余地は残されている。
大会の招待状を受け取った日本プロ野球組織(NPB)でも、各球団が運営会社の設立や利益配分の割合などについてMLBの独断専行に不快感を訴え、参加を疑問視する声さえ噴出した。25日の実行委員会で意見を集め、7月のオーナー会議をめどに結論を出す方向だ。
西武鉄道の後藤高志新社長は24日、東京都内で就任会見を開き、懸案の西武球団の売却問題について「恒常的な赤字を放置できない」との厳しい見解を示した。従来の「継続保有」の主張から変化し売却に踏み込んだ発言として注目される。同社は同日開かれた臨時株主総会、取締役会で同社長らの新体制を承認。グループ改革の一環として球団問題も本格検討に入る。
西武グループ再編のカギを握る西武鉄道の後藤新社長が球団の継続保有に厳しい見解を示した。
「球団といえども私企業で経済的合理性が問われる。恒常的に赤字を生み出すようではシナジー(相乗)効果があるとはいえ、放置できない」。これまでは「グループ再生のシンボル」「売却は日本一球団に失礼な話」…と一貫して継続保有の姿勢を示していた。今回は売却を視野に入れた発言として注目される。
後藤新社長は2月にみずほコーポレート銀行副頭取から次期社長含みで特別顧問となり、この日の臨時株主総会で就任。都内で会見に臨んだ。
「球団単体での収支にこだわる。いつまでも容認できない。赤字を縮小しゼロにし黒字にする。いま取り組んでいる改善策をいずれ検証する時が来る」。継続保有の条件に年間20億円と言われる赤字解消を挙げた。
だが黒字化は相当な難題だ。昨年日本一に輝いた球団だが、今季も観客動員は不調。西武戦も10試合観戦した後藤新社長も「ライオンズは地元密着のチームづくりをしていないのではないかと感じた」と球団運営の問題点を指摘した。
西武鉄道は来年1〜3月に球団親会社のコクドを吸収合併し「新西武鉄道」となる再編案を西武グループ経営改革委員会から受けている。今回の新経営陣は球団運営にも携わる。後藤新社長は昨年の堤義明氏(前コクド会長)辞任以降、空位のままの球団オーナー候補とも伝えられる。
昨年11月にはコクドが複数企業への売却打診が表面化。今年3月末に最終答申を示した改革委員会も草案では「球団売却の具体案検討が必要」と盛り込んでいた。
今季、2軍と球場の命名権を買収した情報通信会社インボイスの木村育生社長は球団買収に前向きな姿勢を示している。
同時に就任した西武鉄道の平野直樹新会長は球団保有に関し「以前からこの問題は白紙と申し上げている。まだ具体案の検討には入っていない」と話すにとどまった。また球団の赤字解消策について、石橋正男副社長が「今展開中の交流戦に合わせ、池袋から西武球場前まで直通電車を走らせるなど、今まで以上に策を出している」と説明した。
西武鉄道は24日、本社のある埼玉・所沢市で臨時株主総会と取締役会を開き、社長に元みずほコーポレート銀行副頭取の後藤高志氏、会長に旧運輸省OBで元JR西日本副社長の平野直樹氏の就任を決議した。
西武鉄道は、今後のグループ再編プランでコクドとの合併を予定している。その場合には現在コクドの100%子会社である西武ライオンズも、西武鉄道の傘下に入ることになる。
都内のホテルで行われた就任会見で平野新会長は、年間20億円を超える赤字を出している西武球団の売却問題について「結論を出す時期を含めて白紙」とした。後藤新社長は「単体としての収支にこだわっていかなければならない。赤字を改善できる余地があるのか検証していかなければならない」と今後、独立採算ができるか否かで保有か売却かを判断する方針を示した。
また西武の球団オーナー職は、有価証券報告書の虚偽記載で逮捕・起訴された堤義明前コクド会長が昨年10月に辞任して以来、空席となっているが、後藤社長は「社長になったばかりで念頭にない。本業にエネルギーを傾注していきたい」と現時点ではオーナーに就任しない意向。現在は星野好男球団社長が、オーナー代行を兼務している。
西武鉄道の新社長に就任した後藤高志社長(前みずほコーポレート銀行副頭取)が24日、都内のホテルで会見し、売却が取りざたされる西武ライオンズについて「恒常的な赤字をいつまでも容認していく訳にはいかない。まずはゼロにして、黒字にできるよう検討していきたい」と発言。毎年20億円といわれる赤字の早期黒字転換を継続保有の条件に掲げた。
後藤氏はこの日、所沢市内の西武鉄道本社の株主総会で取締役に選任され、午後の取締役会で新社長に就任。グループ再編を進める中で球団への影響力は大きいが、売却については従来通り白紙を強調した。また、空席となっているオーナー職への就任や、球団に経営陣を送り込むことについても「そこまで考えは及んでいない。まずは本業をしっかりやりたい」と、西武鉄道とコクドとの一体再生を優先する考えだ。
観客動員も12球団中9位と落ち込んでいるライオンズ。インボイスに球場と2軍の命名権を売却するなど赤字体質の改善は急務となっているが、いまだ抜本的、具体的な改善策はない。西武戦に10度ほど足を運んでいる同社長は「すぐに増加はない。我慢のしどころ。これまで必ずしも地元密着のチームづくりをしていなかったようにも見えるし、色々な改善努力をしながら考えていきたい」と話すにとどまった。