ロッテが今季4度目の4連勝、貯金を今季最多の21し交流戦でも首位に浮上した。ロッテは2−2の同点で迎えた4回、大塚の3号ソロで勝ち越すと、小林宏がスクイズを決め1点追加。5回には、ベニーの適時二塁打で加点し、その後は藤田、薮田、小林雅の継投で逃げ切った。先発・小林宏は6回0/3を被安打8奪三振6、3失点でハーラートップタイとなる7勝目。小林雅は14セーブ目を挙げた。巨人は今季14度目の逆転負けで東京ドームでの連勝も5で止まる。清水の連続試合安打は22でストップ。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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千葉ロッテ | 0 | 0 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 |
巨人 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 |
巨人に連勝した瞬間、ベンチでロッテ小林宏は飛び上がって歓喜した。ナインとハイタッチをかわす。左翼席を埋めたロッテファンの声援が東京ドームを揺るがした。今季4度目の4連勝で交流戦でも首位に浮上。トップに並ぶ7勝でヒーローインタビューを受けた小林宏は、ドラマのような長男誕生を報告した。「今日はすごく特別な日。子供が生まれました。着替えて会いに行きます」。そして「頑張りました。幸せにします」とテレビを通して家族に語りかけた。
この日の午前2時、佳世夫人(20)と千葉・浦安市内の病院に向かった。同6時まで付き添い、自宅で3時間ほど仮眠。昼に病院に戻り、午後2時半に球場入りした。出産のメールが届いたのは登板直前の同5時。「嬉しかった。疲れ?全然ない。変な投球はできないと思った」。マウンドはもちろん、打席でも発奮した。1点リードの4回1死三塁で、内海のチェンジアップを鮮やかな初球スクイズ。貴重な4点目を入れた。3回にも二塁打を放ち、福浦の右前打で1点目のホームを踏んだ。
「どんな球でも食らい付こうと思った」という執念が巨人を圧倒した。交流戦対策としてバレンタイン監督が重視した「投手の打撃」が実を結んだ。春季キャンプでは毎日、投手の練習メニューで打撃、バント練習を繰り返した。小林宏は前回18日の広島戦でも、二塁打と押し出し四球を選んだ。2試合で6打数2安打の打率3割3分3厘、2打点の活躍だ。
触発された打線も今季22度目の2ケタとなる12安打。小林宏は本職でも7回途中まで8安打を許しながら、粘りの投球で巨人打線を抑えた。チームはパ5球団、セはヤクルト以外の5球団に勝ち越し。ウイニングボールを持った小林宏は「嬉しい。最高の日になった」と球場から再び病院に急いだ。
交流戦順位表 | |||||||||||
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試 | 勝 | 敗 | 分 | 勝率 | 得 | 失 | 本 | 打率 | 防御率 | ||
1 | 千葉ロッテ | 17 | 11 | 6 | 0 | .647 | 88 | 47 | 24 | .277 | 2.19 |
2 | 巨人 | 17 | 10 | 6 | 1 | .625 | 81 | 81 | 23 | .273 | 4.18 |
2 | 阪神 | 17 | 10 | 6 | 1 | .625 | 82 | 58 | 15 | .275 | 2.95 |
2 | 福岡ソフトバンク | 17 | 10 | 6 | 1 | .625 | 85 | 54 | 18 | .272 | 2.69 |
2 | ヤクルト | 16 | 10 | 6 | 0 | .625 | 65 | 56 | 12 | .259 | 3.31 |
6 | オリックス | 17 | 9 | 6 | 2 | .600 | 84 | 72 | 18 | .266 | 3.62 |
7 | 西武 | 16 | 9 | 7 | 0 | .563 | 74 | 70 | 21 | .264 | 4.34 |
8 | 広島 | 17 | 7 | 9 | 1 | .438 | 83 | 94 | 21 | .281 | 5.08 |
8 | 横浜 | 16 | 7 | 9 | 0 | .438 | 69 | 72 | 15 | .247 | 4.05 |
10 | 北海道日本ハム | 17 | 6 | 11 | 0 | .353 | 57 | 89 | 15 | .232 | 4.83 |
11 | 東北楽天 | 16 | 4 | 12 | 0 | .250 | 52 | 100 | 11 | .237 | 6.07 |
12 | 中日 | 17 | 4 | 13 | 0 | .235 | 55 | 79 | 10 | .259 | 4.80 |
特別な1勝に小林宏の目は潤んでいた。打って、投げて、そしてパパになった。「人生最良の日。午後5時すぎにメールが届きました。それまでドキドキしていたけれど、逆に気合が入った」。試合開始の1時間前、午後4時59分に佳世夫人(20)が浦安市内の病院で長男を出産。深夜2時から朝6時まで愛妻に付き添っていただけに、仮眠もわずか3時間。それでも疲れはない。
勝利への執念はバットに乗り移った。「立っているだけはイヤ」と1点を追う3回、先頭打者として中越え二塁打を放ち、福浦の右前打で同点のホームを踏む。4回にはスクイズも決めた。春日部共栄時代は20本塁打以上を放ち、プロ3年目には当時の山本監督(現巨人ヘッドコーチ)から打者転向を勧められたほどのセンスを持つ。
本職でも7回途中まで3失点。ハーラートップタイの7勝目を挙げ、チームも4連勝で貯金21。交流戦の首位に浮上した。「この勝利は新しい家族のためにささげたい」とバレンタイン監督。トレードマークの金髪をなびかせ、ウイニングボールを手にした新米パパは病院へと急いだ。
守護神・小林雅が通算150セーブを挙げた17日以来8日ぶりの登板で今季14セーブ目。小田の打球が左太腿裏に当たるアクシデントもあったが1死一、二塁のピンチをしのいだ。「子供が生まれた日に先発勝利なんてめぐり合わせはそうそうないので、何とか(小林)宏之にウイニングボールを渡したかった」と満面の笑みだった。
全国中継の巨人戦で主役を演じたのが小林宏だ。7回途中まで8安打3失点でハーラートップタイの7勝目。しかし、チームの勝利に貢献したのは、直球でもフォークでもなく、慣れないはずのバッティングだった。
3回、内海の直球を強振。左中間二塁打を放ち、1点目のホームを踏んだ。そして6回には「どんな球でも食らいつこうと思った」とスクイズに成功。巨人に強烈なダメージを与えた。
春日部共栄高時代は5番打者。投手として地元では有名だったが、通算16本塁打、巧みなバットさばきで他校の投手に恐れられていた。
登板翌日は当然休養、と思いきや、そうはいかなかった。監督が好打者をベンチに置いておく訳がない。「投げた次の日に、よく外野で出されましたよ」と高校時代を振り返った。まだ芽が出なかったプロ3年目には当時の平野2軍監督から「転向してみるか?」と野手転向を薦められた。投手にこだわりたかったため即答で断ったが、受けていれば今ごろ、李承YとDHの座を争っていたかもしれない。
試合開始前の午後4時59分。長男の誕生という嬉しいニュース。「変なピッチングはできない」と自分にプレッシャーをかけた。25日の午前2時。陣痛の始まった佳世夫人と病院に直行。6時まで付き添った。「帰って寝たら?」と言われ、帰宅して3時間の仮眠。病院に立ち寄ってから球場入りした。「ドキドキしていたけど、生まれたことを知って、落ち着きました」と満面の笑みを浮かべた。
「人生最良の日。忘れられない1日になりました」と話し、ウイニングボールをジーンズのポケットに忍ばせた。チームの貯金は21。金髪のイケメン・パパが、打撃でロッテを交流戦の首位に押し上げた。
フランコ、李承Yの助っ人2人をスタメンから外して巨人に連勝。バレンタイン監督は「1人、2人、突出した選手で勝ってる訳じゃない」とニヤリだ。巨人については「いいチームだけど、いい状態じゃないのかな」と心配する余裕まで見せた。
小林宏之投手(26)の夫人、佳世さん(20)が千葉・浦安市内の病院で長男(第一子)を出産。2920グラム。母子共に健康。
まるで敵地だ。長野から東京ドームに場所を移した巨人に、未体験の重圧がのしかかった。左翼席の約7割を占める黒一色のロッテ大応援団。野太い声の声援は回を追うごとに、天井で大音響に変わった。
「サッカーの応援だよ。サッカー場にいるみたいだった…」。ロッテに2連敗を喫した堀内監督が思わず、通路でつぶやいた。好機になれば、一糸乱れずピョンピョン飛び跳ね、投手交代でも大合唱のロッテ応援団。噂には聞いていたが、ここまでとは…。
試合は選手がするものという概念を根底から覆すほどの“サポーター”の熱狂ぶりに、G守備網はズタズタ。1点を先制後の3回、内海が投手の小林宏に左中間突破の二塁打を許すと、そのボルテージは最高潮に達した。
ロッテ〜、ラララ…。平常心を失った内海はこの後、2番・堀の打席で暴投し、あっさり同点。さらに極め付けは4回。今江が中前打で一塁をオーバーランすると、中堅・ローズが一塁に返球。が、清原はこの動きを見ておらず、球は無人の一塁ファウルゾーンを転がり、これが決勝点につながった。
「僕が(ローズの動きを)見切った」と反省しきりの清原に対し、「向こうはミスが出ても勢いで取り消せるが、こっちはミスが点になる」と肩を落とす堀内監督。チームの勢い、いやサポーターのパワーが、巨人の歯車を狂わせた。
ロッテは同点の4回、大塚のアーチで勝ち越した後、ローズの失策につけこんで加点、5回にもベニーの適時二塁打で突き放した。先発の小林宏から抑えの小林雅まで4投手が盤石のリレーで逃げ切り。小林宏はハーラートップタイの7勝目。巨人は先発・内海の乱調が響いた。
勝利の瞬間、小林宏は飛び跳ねて喜びを爆発させた。試合1時間前に佳世夫人(20)が第1子となる長男を出産。「生まれてきた子供のために頑張ろうと思いました。すごい特別な日になりました」右ポケットにしまい込んだウイニングボールを触りながら、モデル並みのマスクはたちまち“パパの顔”に変化した。
運命の巡り合わせ。週1回の登板日を知っていたかのように、予定日の2日前に待望の長男が生を受けた。「無事に生まれたので、気合が入りました」7回途中まで3失点でハーラートップタイの7勝目。得意の打撃でも、4回に千金のスクイズを決めるなど1安打1打点。打ってよし、投げてよし、おまけに顔もスタイルも抜群。完全無欠の“イケメンパパ”は「頑張りました。幸せにします」と妻と長男に約束した。
チームメートも新米パパを援護した。5回までに5点を奪うと、盤石の継投で逃げ切り。今季ロッテは5点以上奪った試合で24勝無敗。“不敗神話”を象徴する試合運びで、交流戦でも首位に浮上。バレンタイン監督は小林宏に「今日の勝利をヒロユキのお子さんにささげるよ」と粋な言葉を投げかけた。
4連勝で貯金は今季最多の21。「1人、2人の力で勝っている訳じゃないからね」と指揮官。ロッテのチーム力は、運命の日を迎えた男をヒーローにした。「忘れられない日です。今から、会いに行きます」ウイニングボールを握りしめ、小林宏はまだ見ぬ息子の元へと車を走らせた。
ロッテの小林宏が記念すべき日に投打の主役となった。7回途中まで3失点と好投し、打っても貴重な1安打1打点をマークした。
試合直前に佳世夫人が第1子を出産。それだけに負ける訳にはいかなかった。連絡を受けた小林宏は「長男が誕生して最初の試合。何が何でもいい投球をしたかった」と力が入った。前夜からの付き添いで睡眠時間も十分ではなかったが、まだ見ぬ子へ好投を誓い、マウンドに上がった。
打っては3回に左中間への二塁打。そして4回には1死三塁から初球スクイズも決めた。自らのバットで自らを助けた。
これで、ハーラートップに並ぶ7勝目をマークし、チームの貯金も最多の21。父親になった日に手にした大きな勝利に「人生最良の日です。今日は忘れられない」と万感の思いを口にした。
プロ野球実行委員会(小池唯夫議長=パ・リーグ会長)が25日、東京・内幸町のコミッショナー事務局で開かれ、来年3月開催予定の国別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」参加問題が議論された。各球団とも参加に前向きな姿勢は示したものの、米大リーグ機構(MLB)主催の大会運営や、利益配分、開催時期などの問題点を指摘する声が相次いだ。
日本ハム・小嶋オーナー代行は「組織委員会をつくろうと言ってきたのに、そうなっていない」と主催権を独占する米国側を批判。巨人・清武球団代表も「条件をつけて(MLBと)議論しなければいけない」と再交渉の必要性を強く主張した。
近日中にも日本プロ野球組織(NPB)が日本側の対案、質問事項などを文書でMLBに伝えることになった。24日に日本プロ野球選手会から実行委に提出された、3月開催の見直しなどを求める文書も添えられる。小池議長は「2回目以降に(日本が)組織運営に参加する確約が得られれば状況も変わってくるだろう」と語っており、今後、MLBが大会運営方式の見直しに応じるかどうかがカギとなりそうだ。
ドラフトでの不正防止策についても協議した。学生野球憲章で金品の授受を禁じている大学生と社会人との区別、調査機関など詳細はワーキンググループ(作業部会)が原案をつくり、明文化していく。楽天の井上取締役は「新人獲得にあたり、いかなる利益供与もしないというのが原則」と話した。自由獲得枠やウエーバー制などドラフト制度改革については作業部会が作成中の叩き台を基に今後協議を進める。
日本プロ野球が来季にもドーピング(薬物使用)検査を導入する可能性が出てきた。実行委で議題に上がったもので、12球団とも承認の方向で一致している。阪神・野崎球団取締役は「メジャーでも決めているし、国際大会でもやっている。日本でも必要だろう。今シーズン(導入)は無理でも今年中には決めることが必要ではないか」と語った。今後、検査内容や衆知期間などの具体案を詰めながら、選手会とも話し合いを行う。
プロ野球実行委員会が25日、東京・内幸町のコミッショナー事務局で開かれ、来年3月に開催される予定の野球のW杯「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」への参加について、「無条件降伏」をしない方針を固めた。
小池議長(パ・リーグ会長)は「現状の条件のまま参加するという話にはなっていない。国際大会への積極的な参加は12球団賛成だが」と日本プロ野球組織(NPB)の姿勢を説明。今後は12球団の要望をまとめ、米大リーグ機構(MLB)に提出。渡米も視野に入れ、条件面の変更を求める考えを示した。
問題となっているのは運営形態と開催時期。NPBに届いた招待状と要項によると、メジャー関係者が多数を占める大会運営会社を設立。営業権を統括し、スポンサー決定も主導権を握る。多国籍で形成されるメジャーは出場選手が多いとはいえ、利益配分の割合は米国(MLBと選手会)の35%に対してNPBは7%。このままではアジア第1次リーグ(東京ドーム)さえ自由にならない。楽天の井上取締役は「屈辱的な部分がある」と表現した。
さらに労組・日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)は開催時期を問題視。実行委員会に慎重な議論を求める要望を提出した。開催時期はオーナー会議で了承されたが、再度検討する。
MLBは7月前半のオールスター戦で大会要項を発表する構え。NPBに残された時間は少ない。
プロ野球オールスターゲーム運営委員会は25日、若手選手によるフレッシュオールスターゲーム(7月24日、サンマリン宮崎)の出場予定選手40人を発表した。新人では巨人の野間口、楽天の一場、日本ハムのダルビッシュらが選ばれた。
昨年まではイースタン、ウエスタン両リーグの対戦だったが、今年からセ、パ両リーグの対決に変更された。監督はセ選抜が中日の佐藤、パ選抜は日本ハムの岡本両2軍監督が務め、最優秀選手には賞金100万円が贈られる。
フレッシュオールスター出場予定選手 | ||||||
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セ・リーグ選抜 | パ・リーグ選抜 | |||||
背番 | 名前 | ドラフト | 位置 | 背番 | 名前 | ドラフト |
71 | 佐藤道郎 | 中日 | 監督 | 80 | 岡本哲司 | 日本ハム |
74 | 高橋一三 | 巨人 | コーチ | 79 | 秋山幸二 | ソフトバンク |
70 | 木戸克彦 | 阪神 | 71 | 古賀英彦 | ロッテ | |
79 | 岩井隆之 | 湘南 | 85 | 加藤英司 | 神戸 | |
68 | 長峰昌司 | 中日 | 投手 | 16 | 涌井秀章 | インボイス |
14 | 上原厚治郎 | ヤクルト | 20 | 寺原隼人 | ソフトバンク | |
13 | 野間口貴彦 | 巨人 | 11 | ダルビッシュ有 | 日本ハム | |
40 | 桟原将司 | 阪神 | 17 | 手嶌智 | ロッテ | |
39 | 梅津智弘 | 広島 | 21 | 内竜也 | ロッテ | |
19 | 染田賢作 | 湘南 | 65 | 近藤一樹 | 神戸 | |
11 | 一場靖弘 | 楽天 | ||||
28 | 川本良平 | ヤクルト | 捕手 | 61 | 星秀和 | インボイス |
27 | 岡崎太一 | 阪神 | 62 | 山崎勝己 | ソフトバンク | |
61 | 武山真吾 | 湘南 | 64 | 鶴岡慎也 | 日本ハム | |
65 | ホッシャ | 中日 | 内野手 | 56 | 黒瀬春樹 | インボイス |
39 | 梶本勇介 | ヤクルト | 8 | 江川智晃 | ソフトバンク | |
32 | 長田昌浩 | 巨人 | 50 | 市川卓 | 日本ハム | |
10 | 比嘉寿光 | 広島 | 54 | 嶋村一輝 | 神戸 | |
59 | 山本芳彦 | 広島 | 53 | 坂克彦 | 楽天 | |
23 | 藤田一也 | 湘南 | ||||
51 | 中村一生 | 中日 | 外野手 | 23 | 城所龍磨 | ソフトバンク |
62 | 普久原淳一 | 中日 | 65 | 鵜久森淳志 | 日本ハム | |
25 | 亀井義行 | 巨人 | 10 | 大松尚逸 | ロッテ | |
38 | 林威助 | 阪神 | 66 | 由田慎太郎 | 神戸 | |
52 | 赤松真人 | 阪神 | 33 | 平石洋介 | 楽天 |
日本球界が大リーグに「NO!」を出した。実行委員会が25日、東京・内幸町のコミッショナー事務局で行われ、来年3月に開催予定のワールド・ベースボール・クラシックについて検討した。
大リーグ機構(MLB)と同選手会(MLBPA)が送付してきた大会要項では、主催者両組織が全権を握る形で他国には不利な条件が多い。参加について検討した結果、現在の米国案では承認できないと意見がまとまった。今後は、質問と提案、労組日本プロ野球選手会(古田敦也会長)の意見書などをまとめた文書を米国側に出し、条件改善の交渉に入る。
議長を務めるパ・リーグ小池会長は「国際化は重要であり、開催自体は前向きです。しかし、今のままでは難しいですね」と語った。不利な条件として利益配分がMLB、MLBPAが17.5%ずつ、日本が7%と倍以上の差がある。東京開催を予定しているアジア予選についても、スポンサー選択などは米国側に主導権がある。
さらに大会で赤字が出た場合は、各国で負担するなど多くの問題を抱えている。また労組選手会では開幕直前の3月開催という時期についても疑問を投げ掛けている。
米国側はMLBジャパンのジム・スモール・マネージングディレクターらが韓国を訪れ、日本より先にアジア諸国から出場の承諾を得ようとした。これに成功すれば日本が孤立する恐れもあったが、韓国野球委員会(KBO)首脳が「進展した話はない。今は韓国の方針も固まっていない。できるなら日本と歩調を揃えたい」と語るなど、日本と同調する姿勢を変えなかった。今後は韓国ら他国を交えて、米国側と交渉する可能性もある。あまりに不平等な条件で大会を強行開催しても真の国際化にはつながらない。今後の交渉が注目される。
ドラフトなど構造改革に大きな進展はなかった。ワーキングチーム(作業部会)から社会人野球にヒアリングした内容などを報告。あらためて不正防止についても確認しあったが、具体的な提案には至らなかった。今後は作業部会を中心に具体案をつくり新ドラフトについては7月のオーナー会議で決定を目指す。