阪神とロッテの1点を巡る投手戦は、延長12回の末引き分けに終わった。ロッテは3回、西岡の安打などで1死二塁とすると、フランコの適時打で先制。しかしその後は阪神・投手陣の前に今季最多となる15三振を喫するなど3回以降無得点に抑えられた。一方阪神は1点を追う8回、桧山の二塁打などで1死三塁とすると、代打・濱中の犠飛で同点に追いつくものの、ロッテの渡辺俊、藤田、薮田、小林雅の継投の前に得点を奪えず今季3度目の引き分け。ロッテの引き分けは今季初。
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千葉ロッテ | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
阪神 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
プロ野球は5日、各地で交流戦6試合が行われ、パ・リーグは首位を快走するロッテが延長12回、1−1で阪神と引き分け、下位3チームが全て敗れたため、ロッテにレギュラーシーズンで上位3チームに入るためのマジックナンバー「63」が初点灯した。ただし、昨年から実施されているプレーオフ(PO)はリーグの申し合わせ事項により、勝率1位が2球団となった場合、レギュラーシーズン2位と同3位による第1ステージを行わないため、「63」はPO進出に要するマジックナンバーとは異なる。
開口1番「もったいないっすね−」と顔をしかめた。サブマリン・渡辺俊は、100キロ前後のスローカーブで猛虎打線をいなしていたが、勝利目前の8回、思わぬ逆襲にあってしまった。
「調子もよかったし、周りが見えるくらい余裕があった」と7回まで三塁を踏ませなかった。被安打はわずかに3。「もう2度と関西に来るな」というヤジも心地よかった。打席でも連続三振記録を7で止め、甲子園公式戦初登板を最高の形で締めくくるはずだった。
しかし、8回に落とし穴は待っていた。先頭の桧山に投じた初球。簡単にストライクを取りに行ったカーブを右中間二塁打とされた。「もう少し大事に行くべきだった」と反省する間もなく、続く矢野には犠打で走者を進められ1死三塁。そして「内角をあんなにうまくさばかれるとは思ってなかった」という代打・濱中の犠飛で同点に追い付かれた。
「自分の余裕が悪い方向に出てしまった」と唇を噛み締める。たった1球の失投。風やグラウンド状況を計算し、緻密な投球で白星を重ねてきた。そんな好投手でも油断は大敵だった。
ロッテ渡辺俊は9勝目を逃したものの、9回1失点と好投した。今季初の延長戦に突入しても藤田、薮田、小林雅と総力戦で抑え、負けなかった。渡辺俊は開口1番「もったいなかった」と無念の表情を見せた。7回まで零封。8回、先頭の桧山に初球ストライクを取りにいった球を狙われ、二塁打。1死三塁から内角シンカーを「うまくさばかれた」と浜中に犠飛を許した。完封も9勝目もならず「調子は良かったが余裕が悪い方にいった。久し振りに悔しい」と振り返った。
甲子園は02年のオープン戦以来だが、プロ1年目の01年のオープン戦でクルーズにバックスクリーン弾を喫しプロの洗礼を浴びた。だが成長して「投げやすかった。『関西に来るな』とかヤジも心地よくて、吹き出しそうになった。周りは見えていた」という。「負けないゲームはつくれた。切り替えます」と球宴ファン投票で1位を行くサブマリンは、甲子園の野球ファンにも好投手の印象を残した。
ロッテが今季初の延長戦。最後は守護神・小林雅をつぎ込んでの引き分けに、バレンタイン監督は勝利と同じハイタッチでナインを出迎えた。「選手は力強く戦ってくれた。渡辺俊は9回を投げ切って素晴らしい投球だった。引き分けに終わったが、勝ちに等しい内容だ」。開幕から59試合目で上位3位以内に入るためのマジック63が初点灯した。
価値あるドローの立役者は先発・渡辺俊だ。9勝目を狙ったが、9回を4安打1失点。控え投手だった高校時代(国学院栃木)に憧れていた甲子園のマウンドに「とても投げやすかった。観客も多くて、ヤジも心地よかった」と話したが「調子がよかっただけに、もったいない。僕の余裕が悪い方に出た。久々に悔しい」。完封ペースで迎えた8回、先頭・桧山に右中間二塁打されると1死三塁から代打・濱中に左犠飛で失点した。
打線は5回以降1安打と振るわず今季初の引き分け。それでも、指揮官は胸を張って言った。「また次の試合で頑張ろう」。31年ぶりの悲願へ突き進むロッテに、甲子園で希望の光がともった。
阪神・岡田監督は試合後「何とか引き分けた」と疲れ切った表情で話した。前日に4安打と振るわなかった打線を組み替え、ブレーキになった2番に鳥谷、藤本を8番に据えた。だが、ロッテ渡辺俊の緩い変化球にタイミングが合わず、凡打の山を築く。チャンスは5、8回の2回だけだった。岡田監督は「これが野球や」。9回以降は全て3者凡退。打線が延長12回を戦って4安打では勝てない。
9勝目を狙った先発の渡辺俊は、9回4安打1失点の好投もチームが引き分けて勝ち負けがつかず。「初の甲子園は楽しかった」と笑みも浮かべたが「久し振りに悔しい思いもした」と8回の失点を悔やんだ。7回まで阪神打線を3安打に抑えたことで慢心したそうで「調子がよかっただけに、余裕が悪い方に出た。もったいない」と残念そうだった。
両軍の投手が好投し、延長12回引き分けとなった。ロッテは3回、フランコの中前適時打で先制。渡辺俊は7回まで無失点に抑えたが、8回に代打・濱中の左犠飛で追いつかれた。9回以降は両チームとも無安打で、ロッテは15三振、阪神は4安打と決め手を欠いた。
勝利は目前だった。ロッテ先発・渡辺俊が阪神打線を幻惑。7回までほぼ完璧な内容で優位に試合を進めてきたが、思わぬ落とし穴が終盤に待ち受けていた。8回、桧山の二塁打をきっかけに同点にされ、今季初めて突入した延長イニングでも、得点圏に走者を進めながら決定打が出ず。自慢のリリーフ陣を注ぎ込んだ総力戦も、今季初のドローと徒労に終わった。
追加点を奪えなかったことが後々、大きく響いた。スクイズも考えられた1点リードの8回1死三塁の場面でバレンタイン監督は強攻策。しかし、堀、フランコは指揮官の期待に応えられず、凡退。流れを悪くしてその裏、同点に追いつかれた。
「左投手だし、(堀が)打ってくれると思っていた。スクイズは考えなかった」と説明したバレンタイン監督。それでもこの日、西武、日本ハムが敗れたため、上位3チームに入るためのマジックナンバー「63」が初点灯した。
9勝目を狙ったロッテ先発の渡辺俊は、9回4安打1失点の好投だったが、チームが引き分けて勝ち負けがつかなかった。「初の甲子園は楽しかった」と笑みも浮かべながらも「久し振りに悔しい思いもした」と8回の失点を悔やむ。
100キロ台の緩い変化球で、7回まで阪神打線を3安打に抑えたことによる慢心があったという。8回に先頭の桧山への初球カーブを二塁打され、矢野の犠打と浜中の犠飛で1点を失った。
「調子がよかっただけに、僕の余裕が悪い方に出た。もったいない」と逃した勝ち星に悔いが残る口ぶりだった。