オールスターゲーム運営委員会は8日、監督推薦選手を発表し、ファン投票選出メンバーと合わせたセ、パ両リーグ各28選手の全陣容が決まった。日本最速159キロをマークした横浜マーク・クルーン投手が選出され、160キロ達成を夢舞台で狙う。またロッテからは7人が選ばれファン投票と合わせ10人が出場。初出場がセ5、パ12の計17人とフレッシュな顔ぶれとなった。
セントラル・リーグ | 守備位置 | パシフィック・リーグ | ||||||
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氏名 | 球団 | 背番 | 回数 | 氏名 | 球団 | 背番 | 回数 | |
落合博満 | 中日 | 66 | 2-18(1) | 監督 | 伊東勤 | 西武 | 83 | 2-18 |
若松勉 | ヤクルト | 75 | 3-14 | コーチ | 王貞治 | 福岡ソフトバンク | 89 | 11-32(1) |
堀内恒夫 | 読売 | 88 | 2-11 | T.ヒルマン | 北海道日本ハム | 88 | 1-1 | |
黒田博樹 | 広島東洋 | 15 | 2 | 先発 | 松坂大輔 | 西武 | 18 | 7(2) |
藤川球児 | 阪神 | 22 | 1 | 中継 | 薮田安彦 | 千葉ロッテ | 20 | 1 |
五十嵐亮太 | ヤクルト | 53 | 5 | 抑え | 小林雅英 | 千葉ロッテ | 30 | 4 |
川上憲伸 | 中日 | 11 | 4 | 投手 | 西口文也 | 西武 | 13 | 4 |
岩瀬仁紀 | 中日 | 13 | 4 | 帆足和幸 | 西武 | 34 | 1 | |
藤井秀悟 | ヤクルト | 18 | 2 | 吉武真太郎 | 福岡ソフトバンク | 34 | 1 | |
石井弘寿 | ヤクルト | 61 | 2 | 杉内俊哉 | 福岡ソフトバンク | 47 | 1 | |
上原浩治 | 読売 | 19 | 7(1) | 金村曉 | 北海道日本ハム | 16 | 3 | |
工藤公康 | 読売 | 47 | 10 | 清水直行 | 千葉ロッテ | 18 | 2 | |
下柳剛 | 阪神 | 42 | 4 | 渡辺俊介 | 千葉ロッテ | 31 | 2 | |
M.クルーン | 横浜 | 42 | 1 | 小林宏之 | 千葉ロッテ | 41 | 3 | |
古田敦也 | ヤクルト | 27 | 16 | 捕手 | 城島健司 | 福岡ソフトバンク | 2 | 9(1) |
谷繁元信 | 中日 | 27 | 8 | 里崎智也 | 千葉ロッテ | 22 | 1 | |
矢野輝弘 | 阪神 | 39 | 5 | |||||
清原和博 | 読売 | 5 | 18(1) | 一塁手 | 松中信彦 | 福岡ソフトバンク | 3 | 6 |
藤本敦士 | 阪神 | 9 | 2 | 二塁手 | 西岡剛 | 千葉ロッテ | 7 | 1 |
今岡誠 | 阪神 | 7 | 5 | 三塁手 | 小笠原道大 | 北海道日本ハム | 2 | 7 |
鳥谷敬 | 阪神 | 1 | 1 | 遊撃手 | 川崎宗則 | 福岡ソフトバンク | 52 | 2 |
荒木雅博 | 中日 | 2 | 1 | 内野手 | 石井義人 | 西武 | 32 | 1 |
井端弘和 | 中日 | 6 | 3 | 木元邦之 | 北海道日本ハム | 10 | 1 | |
岩村明憲 | ヤクルト | 1 | 3 | M.フランコ | 千葉ロッテ | 4 | 1 | |
新井貴浩 | 広島東洋 | 25 | 2 | 福浦和也 | 千葉ロッテ | 9 | 3 | |
種田仁 | 横浜 | 3 | 3 | 李承Y | 千葉ロッテ | 36 | 1 | |
平野恵一 | オリックス | 9 | 1 | |||||
赤星憲広 | 阪神 | 53 | 2 | 外野手 | SHINJO | 北海道日本ハム | 1 | 6 |
金本知憲 | 阪神 | 6 | 8 | 礒部公一 | 東北楽天 | 8 | 2 | |
前田智徳 | 広島東洋 | 1 | 5 | 和田一浩 | 西武 | 5 | 3 | |
青木宣親 | ヤクルト | 23 | 1 | 宮地克彦 | 福岡ソフトバンク | 37 | 1 | |
金城龍彦 | 横浜 | 1 | 2 | |||||
DH | J.ズレータ | 福岡ソフトバンク | 42 | 2 |
※回数欄の数字は選抜回数(監督・コーチの最初の数字は、それぞれ監督、コーチとして出場した回数・後の数字は全出場回数)、( )中数字は上記回数中事故のため不出場の回数。
ファン投票1位の西岡、薮田、小林雅と合わせ、球団史上最多10人が選ばれた。悩みはハードな日程だ。チームは札幌から帰京して球宴に向かう。球宴後は息をつく暇もなく、金沢、富山、福岡と長期ロードが続く。バレンタイン監督は「球宴に出ない選手もいい野球をしてきた結果」と大量選出を喜んだ。疲労の心配については「2試合でその心配はいらない。投手陣も他チームの投手より投球数は少ないからね」と意に介していなかった。
プロ野球のサンヨーオールスターゲーム運営委員会は8日、オールスター戦に出場する監督推薦選手を発表し、ファン投票選出メンバーと合わせたセ、パ両リーグ各28選手の全陣容が決まった。セは落合(中日)、パは伊東(西武)の両監督が指揮を執る。
パ・リーグでは好調のロッテから西岡らファン選出3人を含め、フランコ、李の両外国人選手ら球団史上最多の10人が選ばれた。ソフトバンクからは12勝を挙げている杉内ら7人で、主に中継ぎで36試合に登板している吉武がプロ12年目、宮地が16年目でともに初選出。交流戦で打率トップだった石井義(西武)も9年目で初の大舞台に立つ。注目された西武の中村は選ばれなかった。
セは阪神勢が8人で最多。最多出場は清原(巨人)の18回で、捕手の古田(ヤクルト)は新人から16年連続出場。巨人からは42歳のベテラン工藤が2年連続10回目の選出。初出場がセ5、パ12の計17人とフレッシュな顔触れとなった。
オールスターゲームは第1戦が22日にインボイス西武ドーム、第2戦が23日に甲子園球場で、共にナイターで開催される。
「2005 サンヨーオールスターゲーム」(22日・インボイス西武、23日・甲子園)の監督推薦による出場選手が8日、発表された。ロッテからは渡辺俊介投手ら7人が選出され、ファン投票1位の3人を合わせ、12球団トップの10人が出場する。ロッテからの出場10人は、1951年、71年、74年の8人を更新して球団史上最多。ロッテ勢が球宴を“ジャック”して、後半戦に弾みをつける。
前半戦の主役は、やはりロッテだった。大舞台に送り込まれる精鋭は、球団史上最多の10人。バレンタイン監督は「オールスタープレイヤーらしい野球をしてきた。選ばれてしかるべきだろう」と誇らし気に語った。出場10人はパ・リーグ史上でも86年西武が持つ11人に次ぐ数字。ロッテが“メジャー球団”に成長したことが改めて証明された。
出場選手一覧を手にした清水が、思わずうなった。「阪神は8人か…多いなあ。そう考えるとロッテの10人って、本当にすごいな」。ファン投票1位3人に続き、監督推薦で7人の招集が決定。開幕からのロケットスタート効果で“球宴ジャック”が実現した。
ロッテ勢の大躍進で、甲子園が“プレ・日本シリーズ”の舞台となる可能性も出てきた。パの投手11人中、ロッテは5人。全パ・伊東監督は第1戦(インボイス西武)の「先発・松坂」を明言しており、西口、帆足の登板も確実。甲子園では阪神勢が出場するため、第2戦は「ロッテ投手陣VS猛虎打線」の構図となる可能性が高い。
渡辺俊、清水、小林宏の3本柱から薮田、小林雅へ。リードするのも里崎だ。豪華絢爛リレーについて、渡辺俊は「面白いですね。(清水)直さんの後を投げてもいいし、直さん、(小林)宏之は中継ぎ経験もあるから大丈夫でしょうしね」と大乗り気。バレンタイン監督も「全員が9イニングを投げるなら心配だが、他球団より今季の球数も少ないから心配ない」とGOサインを出した。交流戦優勝後、失速気味のロッテ。10戦士が大舞台で輝けば、巻き返しへのカンフル剤になる。
「当選確実」と思われた西武・中村剛也内野手が球宴メンバーから漏れた。監督推薦の権利を持つ西武・伊東勤監督は「交流戦が終わった直後の状態であれば入っていた。このところ、成績も落ちてきた。若いから機会はたくさんあるので、我慢してもらった」と落選の理由を説明した。
「おかわり君」と言うニックネームが定着した中村は5月上旬から1軍に定着。交流戦を中心に17本塁打して、一躍、人気者となった。しかし、ここ数試合はスタメン落ちすることも多く、本塁打は6月28日の日本ハム戦(札幌ドーム)から遠ざかっている。中村は「まだ早いという気持ちはありました。来年出られるように頑張ります」と話し、気持ちを入れ替えていた。
ソフトバンク・和田毅投手が「球宴落選」のウサを晴らす。南海時代以来チーム40年ぶりの16連勝がかかる9日の西武戦(インボイス西武)に先発する同投手は8日、監督推薦による球宴連続出場の夢を断った西武・伊東監督への報復を宣言した。
ここまで9勝(4敗)を挙げながらの落選。「仕方がない。成績で選べばウチとロッテの選手だけになりますからね」と話したが、無念の思いは次第に、メンバーを選んだ伊東監督率いるレオへ向けられた。「今は打線もいいし、自分がきっちり抑えれば勝つ可能性は高い」と憎い敵将を挑発してみせた。プロ入り3年連続の2ケタ勝利もかかったマウンド。ファン投票1位の同級生・松坂にきっちり投げ勝ち、落選を後悔させる。
「2005 サンヨーオールスターゲーム」運営委員会は8日、オールスター戦に出場する監督推薦選手を発表し、ファン投票選出メンバーと合わせたセ、パ両リーグ各28選手の全陣容が決まった。パ・リーグでは好調のロッテから西岡らファン選出3人を含め、フランコ、李承ヨプの両外国人選手ら球団史上最多の10人が選ばれた。セでは阪神勢が8人で最多。巨人からは42歳のベテラン工藤が2年連続10度目の選出。セは中日・落合、パは西武・伊東の両監督が指揮を執る。
監督推薦で7人が選ばれたロッテは、ここ数年が少なかったこともあり、選手からは「話し相手がたくさんいて心強い」とのコメントが相次いだ。ファン投票と監督推薦を合わせた人数は球団史上最多の10人。バレンタイン監督も「ずっとオールスターのような試合をしてくれていたから、選ばれてしかるべきだ」と誇らしげだった。
オールスターゲーム運営委員会は8日、監督推薦選手を発表し、ファン投票選出メンバーと合わせたセ、パ両リーグ各28選手の全陣容が決まった。セは落合(中日)、パは伊東(西武)の両監督が指揮を執る。
パ・リーグでは好調のロッテから西岡らファン選出3人を含め、フランコ、李の両外国人選手ら球団史上最多の10人が選ばれた。ソフトバンクからは12勝を挙げている杉内ら7人で、主に中継ぎで36試合に登板している吉武がプロ12年目、宮地が16年目で共に初選出。交流戦で打率トップだった石井義(西武)も9年目で初の大舞台に立つ。西武の中村は選ばれなかった。
セは阪神勢が8人で最多。最多出場は清原(巨人)の18回で、捕手の古田(ヤクルト)は新人から16年連続出場。巨人からは工藤が2年連続10回目の選出。初出場がセ5、パ12の計17人とフレッシュな顔触れとなった。
第1戦が22日にインボイス西武ドーム、第2戦が23日に甲子園球場で、共にナイターで開催される。
実行委員会の下部組織で、日本ハムを除くパ・リーグ5球団と巨人で構成するプロ野球構造改革協議会の作業部会が8日、東京・内幸町のコミッショナー事務局で開かれた。この中で、今秋ドラフトでのウエーバー導入とFA権利取得の期間短縮などを目標として、具体的な制度改革案を詰めていく方向性を決めた。
注目のドラフト、FAの制度改革の輪郭が、ようやく浮かび上がってきた。作業部会を代表して、ロッテの瀬戸山代表が初めて方向性を示した。不正防止や経営圧迫を促す年俸高騰の抑制などを理由にウエーバー制の導入を示唆した。「(プロ野球界に)入る時には、ある程度不正が防止されるような形にしたい。メジャーとの(選手獲得)競争になる点は、よく考えないといけない」裏金問題などの不正が発覚した自由獲得枠を見直し、ウエーバー方式を柱に具体案を絞っていく考えを示した。
当初は巨人、ソフトバンク、西武、広島が自由競争を主張していたが、この日、ソフトバンクの角田代表が「12球団バラバラだとまとまらない。譲歩できるやり方を探さないといけない」と説明したように、各球団とも協調する方針に移行した。ウエーバー制は、上位で指名される有力選手にとっては、事前に指名球団をある程度予想できる。このため希望がかなわない場合、直接メジャーに挑戦する選手が増えることが懸念され、人材流出の防止が検討課題となる。
また、自由に球団を選べないウエーバー制はFA期間短縮の再考につながる。瀬戸山代表は「入ったあと頑張れば稼げるし、自分の希望がかなう。例えば西のチームに入ったけど、出身の北海道のファンの前で活躍したいと思えば(移籍)できる。そういう流れになればいいな、と考えている」とFA制度の見直しも示唆した。
輪郭がはっきりしてきたものの、この日の作業部会では原案づくりには至らなかった。週明けに再度作業部会を開いて案を練り、13日の12球団代表者会議で「理念や考え方を中心にA案とAダッシュ案くらいを提示する」(瀬戸山代表)方向。用意した原案は他球団の意見を聞きながら、段階的にウエーバー制の導入を目指すのか否か、社会人、大学生と高校生の分離ドラフトなどと併せて集中討議される。方向性が1本化されるのは、早ければ19日のオーナー会議になる。
球界問題について検討するワーキングチーム(作業部会)が8日、都内のコミッショナー事務局で行われ、ドラフト改革の土台案を作成した。13日の12球団代表者会議で方向性を出し、19日のオーナー会議に諮る予定。作業部会では様々な案が出ているが、今年はドラフトの自由枠を1枠に減らし、FA取得までの期間は国内移籍が7年、海外移籍は9年という案で落ち着く可能性が高い。
その他、練習生制度を含めた支配下選手枠の拡大、コミッショナー事務局の強化といった案も検討されているが、数年かけて実施する方法になりそうだ。ロッテ瀬戸山代表が「ドラフトはプロ野球に入るという意識で、入ってから頑張って結果を出せば稼げて希望もかなうという流れにできればいい」と発言するように、大きな視点を持った意見も出ている。
しかし、あらゆる部分で「将来的に」という注釈が付く。巨人もこの注釈付きで軟化姿勢を見せ始めているが、その文言は実質的に何ら効力は持たない。瀬戸山代表は「将来的なものも絵は描けるし、描きたいと思う。しかし、色んなことが起こり得るから再考できるようにしておかないといけない」と語っており、確約にならない。今年からではなく「将来的」とする理由の説明や、将来的な確約がなければ絵に描いたモチで終わる危険性が高い。
日本プロ野球組織(NPB)は8日、来年3月に予定されているワールド・ベースボール・クラシック(WBC)について大リーグ機構(MLB)、同選手会(MLBPA)と電話会談を行った。NPBは3月予選、7月本戦という分割開催を提案しているが、米側は「来年の分割開催は無理」と返答。ただ、その上で「第2回大会以降については、大会後の運営委員会で分割開催を含めて真剣に検討する」と伝えてきた。NPBは22日の選手総会での決定を待ち、あらためて交渉する。
電話会談は五輪から野球が除外されるというニュースが流れる前に行われたため、その件に関する話は出なかった。五輪の決定がWBCへ与える影響について、巨人清武代表は「直接はないけど、心理的にはあるのではないか」と話した。なお、MLBは米国時間11日に詳細の記者発表を行うが、日本も参加の方向として発表されるとみられる。
野球が12年のロンドン五輪の実施競技から除外されたことについて、大リーグ機構は8日、声明を発表した。「国際オリンピック委員会(IOC)の決定は誤りであり、世界中の野球ファンに悪影響を与えるだろう」と懸念を表明。また、IOCプログラム委員会が評価報告書で普及率の低さを指摘したことには「90年以降、各国の野球連盟は60から122まで増えている」と反論した。
ただし元々、五輪への関心は低かっただけに、大リーグ機構関係者に動揺はない。デュパイ副会長は、来年3月に開催される「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」が「野球の発展を象徴するようなものになるだろう」と述べた。米メディアの反応も冷ややかで、スポーツ専門局ESPNの解説者は「欧州の国々が米国への対抗策として、そう仕向けたのだろう」とコメントした。
横浜の山中正竹球団専務は8日、国別対抗「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)を成功させることが野球の五輪復活につながると提言した。バルセロナ五輪の日本代表監督も務めた同専務は、2012年ロンドン五輪の実施競技から野球が除外されたことに「非常に残念」と落胆しながら、「WBCがうまくいけば、五輪での野球復活の材料にもなる」と強調。労組・日本プロ野球選手会が参加に慎重なWBCへの参加を改めて訴えた。
アマチュア球界のトップとして、公開競技だったソウル五輪ではコーチとして銀メダル、バルセロナでは監督として銅メダルを獲得した山中専務の持論は「国際大会が人を育てる」。それだけに、慎重に言葉を選びながら、しかし大胆に言い切った。「WBCが五輪の代わりになるなら、それはそれでもいいと思う。WBCがうまくいけば、五輪で野球が復活する材料の1つになると思う」。
野球の五輪競技除外は、山中専務にとっても“想定外”だった。「今回のIOC総会でも、雰囲気的には継続されるように聞いていたので、正直それほど心配はしていなかった」それだけに、五輪競技復帰に向け、野球の普及・振興は日本のみならず、メジャーも含めた“野球先進国”の使命になる。
3月開催やMLBとMLBPA(米大リーグ選手会)が主催し15ヶ国を招待するというWBCの運営方法に、選手会は参加慎重論を崩さない。だが、山中専務は積極的に盛り上げていくべきだと主張した。「WBCも、野球振興を狙いとしたMLBの大会。野球をやっている国を1つでも増やす努力は必要。今までにないイベントが開催されるのは、野球の素晴らしさを伝えるいいチャンス」と訴えた。
その先には、もちろん五輪がある。ソウルで銀メダルを獲得した古田はもちろん、小久保(巨人)はバルセロナ、松中(ソフトバンク)、今岡(阪神)、福留(中日)はアトランタ、赤星(阪神)、渡辺俊(ロッテ)はシドニーと、日本球界のトップに立っている選手の多くは五輪という大舞台を踏んでいる。「彼らは五輪を目指すことによって技術、精神面を高めることにつながり、競技者として成長した」そう話した山中専務は、改めて選手会にWBC参加を促した。
労組・日本プロ野球選手会の古田敦也会長は8日、ロンドン五輪で野球が競技種目から除外されたことに「残念なニュースですね」と無念さを滲ませた。自身も公開競技時の1988年ソウル五輪に出場しているだけに「僕個人としては寂しい。また1からか0からのスタートだね」と苦笑したが「ロンドンの次の五輪には(野球競技を)復活させるためにも、僕も含めて関係者がしっかりやるべき」と話した。
これによりWBCがよりクローズアップされるが、古田会長は完全に五輪とは“別物”ととらえている。「WBCが成功してIOCがオッケーという訳じゃないでしょ」また、WBCがあくまでMLBからの招待であることを強調し「あれはサッカーのW杯とは趣旨が違うんじゃないかな。予選もやらないし、位置づけをしっかりやらないと野球ファンを失望させる」と厳しい口調でまくしたてた。
失われた1つの国際舞台。だが、古田会長は「ちゃんとしたものをつくればいいんじゃん。これで本腰を入れなきゃいけない状況になった」と危機感が“真の世界大会”誕生につながることを示唆した。
米大リーグ機構(MLB)などが主催するプロ野球国別対抗戦「第1回ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)=来年3月、米国などで開催=について、日本プロ野球組織(NPB)の作業部会は8日、東京・内幸町の日本事務所でMLB関係者らと電話会談した。
NPBは労組・日本プロ野球選手会が22日の臨時大会で方針を固める事情をMLBに伝えており、この日、それに対する回答書を受け取った。
MLBの歩み寄りは「第1回大会終了後、運営委員会で分割開催を含めた第2回大会の開催形式を真剣に検討する」にとどまった。ただ、日本の参加を強く希望しており、11日(日本時間12日)の会見では「日本は出る方向だが、解決しなければならないことがあり、確定ではない」と発表するようだ。
IOC(国際オリンピック委員会)は8日、シンガポールでの第117回総会で、2012年ロンドン五輪の実施競技から野球、ソフトボールを除外することを決めた。1992年バルセロナ五輪で正式種目に採用された日本の国民的スポーツは、08年北京五輪を最後にわずか5大会で姿を消す。長嶋茂雄・アテネ五輪代表監督は「非常に残念」とコメントするなど、存続を楽観していた日本球界には最悪の事態になった。
恐れていた事態が現実のものになった。IOC総会では、ロンドン五輪の実施競技について現行の全28競技を1つずつ投票にかけた。過半数をとれば実施、満たなければ除外。野球とソフトボールが過半数割れし、除外が決まった。
08年の北京五輪を目指し、リハビリを続ける日本代表・長嶋監督も落胆のコメントを発表した。6日の12年五輪開催地にロンドンが決まり、野球に実績があるフランスのパリが落選した時点で「野球が除外される可能性があるとの話をうかがい、動向を気にかけていました」という。
3年前に北京五輪での除外危機を乗り越えた球界には今回、楽観ムードが漂っていた。当初は「99.9%ダメ」(球界幹部)とみられたが、4月に「過半数獲得で存続」と、比較的ハードルが低い投票方法に決められたからだ。しかし、6月13日にIOCのプログラム委員会が示した報告書には、野球の存続に疑問を投げかける評価とデータが連ねられていた。
五輪は世界最高の舞台と位置づけられているが、野球で最高峰といわれる大リーグのトップ選手は出場していない。またIOC加盟202ヶ国・地域のうち、野球連盟があるのは110にとどまり、普及度が低い。ドーピング違反率は1.24%と全競技で唯一1%を超え、MLBでも薬物違反が続出した。球場建設にコストがかかり、五輪後の再利用が困難。アテネ五輪で入場券の販売率と視聴率が低かった。あらゆる要因が野球には逆風になった。
だが、長嶋監督が「復活」を口にしたように、日本の“お家芸”には1大会だけの除外で復活した前例がある。1964年東京大会から始まった柔道は68年メキシコ大会で外れたが、72年ミュンヘン大会以降は不動の地位を築いている。北京五輪で世界に野球の魅力と楽しさをアピールしていくこと。それこそが、2016年五輪で野球が五輪に復活する最短の道となる。
過去の五輪野球・大会別成績 | |||||
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年 | 大会名 | 金 | 銀 | 銅 | 4位 |
1984 | ロサンゼルス | 日本 | 米国 | 台湾 | 韓国 |
1988 | ソウル | 米国 | 日本 | プエルトリコ | 韓国 |
1992 | バルセロナ | キューバ | 台湾 | 日本 | 米国 |
1996 | アトランタ | キューバ | 日本 | 米国 | ニカラグア |
2000 | シドニー | 米国 | キューバ | 韓国 | 日本 |
2004 | アテネ | キューバ | 豪州 | 日本 | カナダ |
[注]ロサンゼルスとソウル大会は公開競技
五輪種目から野球除外のニュースには、米国の日本人大リーガーも落胆を隠せなかった。ヤンキースの松井秀喜外野手は「残念です…。(野球は)これから先、世界的にどんどん広がっていってほしいスポーツですからね」。野球という競技の深みを知るゴジラだけに、今回の決定は無念でならない。
昨年のアテネ五輪でも大リーガーの出場は認められなかった。来年3月開催予定の第1回WBCにもヤ軍オーナーのジョージ・スタインブレナー氏が反対していることもあり、国際大会への出場は微妙だが、個人的なことより、五輪から野球が消えるという事実を重く受け止め「将来、また復活すればいいのですが」と沈痛な表情。
また、マリナーズのイチロー外野手はアマ球界を気遣い「世界と戦うというモチベーションが(アマには)必ずあったはず。その機会が奪われてしまうのはどうなんだろう」と神妙。
WBCについても「もしそういう大会が行われたとして、また五輪がアマ(野球)の人のためのものになればと思っていたのに…」と残念そうだった。
ソフトバンクの王監督は「スポーツとしてのよさを認めてもらえなくて大変残念」と落胆の表情を浮かべた。来年3月に国別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」開催が決まるなど国際化の流れが生まれる一方での五輪種目からの除外。“世界の王”として日本球界を引っ張ってきた王監督は「野球界としてもう1度入れてもらえるよう頑張らないと」と危機感を募らせた。
日本プロ野球選手会の古田敦也会長も、野球が公開競技時代の88年ソウル五輪に出場しているだけに無念の表情。一方、選手会としての態度が注目されるWBC参加には「これを機に本腰を入れて、いいものを作ればいい。サッカーは年齢を分けているが、2年に1度ある方が面白みがある」と野球を五輪で復活させ、W杯との隔年開催が理想との考えを示した。
東京・内幸町のNPB(日本プロ野球組織)事務局に一報が入ったのは午後1時前だった。巨人、ロッテなど5球団の代表らが構造改革の原案作りを行っていた作業部会の真っ最中。コミッショナー事務局の長谷川一雄事務局長が会議室を飛び出して、各方面に電話するなど慌しく対応するなど一時混乱した様子が漂った。当落が微妙な場合にはNPB幹部がシンガポール入りしてロビー活動を行う案も検討されていたが、楽観ムードの高まりで見送られていた。
五輪種目から野球除外の報に巨人・滝鼻卓雄オーナー(読売新聞東京本社社長)は日本のWBC出場を強く要望した。この日、都内での会合に出席した後「選手会にも考えがあるだろうけど(参加を)やめたりしたら世界の野球界の孤児になっちゃうよ」。読売新聞社はWBCのアジアラウンドの興行にかかわっているともいわれるが「2回目から組織もきっちりやれば、選手も納得するだろう」と話した。
来年3月に開催する野球の国別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」について、主催のMLB(米大リーグ機構)は8日、条件つきに参加する意向のNPB(日本プロ野球組織)に対して、参加を強く希望する返答を送った。
NPBの作業部会はこの日、MLB側と電話会談を行った。NPBが要望する「3月予選、7月本選」の開催時期や、主催の権限などの運営方法について、MLB側は「第2回以降は検討する用意がある」とやや譲歩したとみられる。11日のMLBの大会発表で、日本は「参加の予定」と16ヶ国に名を連ねる見込みで、今後も参加問題は協議が継続される。
球界の中長期的問題を議論するNPB(日本プロ野球組織)の作業部会が8日、都内で会合を開き、13日の12球団代表者会議へむけてドラフト改革などの叩き台の取りまとめ作業を行った。3年程度をかけて高校生と大学・社会人を分離し、最終的に完全ウエーバー制に移行するドラフトと、それと連動してFA取得期間を6年まで短縮させる改革案を煮詰めている段階だ。
国際オリンピック委員会(IOC)は8日、シンガポールで総会を開き、2012年のロンドン夏季五輪の実施競技から野球とソフトボールの除外を決めた。野球は、世界的普及度の低さやメジャー選手の不参加などが理由で、姿を消すことになった。
野球除外は、IOC総会で行われた存続か否かの投票で決まった。現行の28競技を1つずつ投票にかけ、過半数の賛成が得られなかった野球とソフトボールが外れた。前日までは存続する見通しだっただけに、IOCのトーマス・バッハ副会長は「何故外れたかは、委員に聞いてみないと分からない」と首をひねった。
除外の理由は、世界的な普及度の低さ。ディック・パウンドIOC委員は「欧州、アフリカからの広い支持がなかった」と説明。12年大会が野球が盛んでないロンドン開催となったことも影響したようだ。人気や普及度で野球以上に不利とされながら「欧州の伝統がある」(同委員)近代5種は存続。米国生まれの野球は、欧州が主流のIOC委員には「新規参入者」にしか映らなかったのだろう。さらに除外決定の裏には、メジャー選手参加の見通しが立たないことがあった。
前日には、国際野球連盟(IBAF)のノタリ会長が「大リーグ選手会が非協力的」と不満を口にするなどIOC、IBAFと大リーグ側の足並みは、揃わなかった。トップ選手抜きの米国が予選で敗れた04年アテネ大会の入場券は53.2%しか売れず、テレビ放送時間も短かった。欧州での大会で、野球を実施するメリットはなかった。
バスケットボールやアイスホッケーがNBA、NHLのドリームチームで参加したのと対照的な大リーグの冷たい反応が、IOC委員達の気持ちを除外へと向かわせたのかもしれない。IOCのロゲ会長は「永久に資格を失う訳ではない」と話したが、大リーグの協力がない限り、野球が五輪の舞台に戻ることはない。
2012年のロンドン夏季五輪の実施競技から野球とソフトボールの除外が決まった。アテネ五輪の際、プロ野球のドリームチーム結成に尽力した長嶋茂雄・日本代表監督(69)は、最後になるかもしれない08年の北京五輪を、野球競技復活の足掛かりとすべきことを訴えた。
ミスターの無念さが、コメントに滲み出た。野球が実施競技から外された。存続の方向で動いていたはずが、「逆転サヨナラ」のニュースに心を痛めた。
野球の普及、国際化を誰よりも願ってきた。現役時代はもちろん、引退後も球界の発展に努力した。五輪への思い入れも強く、アテネ五輪では、オールプロによる代表編成に尽力。脳梗塞で倒れ本大会の指揮は執れなかったが、代表監督の立場のままでアテネ戦士の支えとなった。現在は08年北京五輪で再び「長嶋ジャパン」結成を夢見ている。野球が北京を最後に表舞台から撤退するなら、懸命のリハビリで3日に東京ドームに姿を見せた長嶋氏にとって、これ以上辛いことはない。
対照的に、野球の本家アメリカは本大会にメジャー参加を認めていない。「ワールドシリーズ」を最高とする大リーグ側と、「五輪は世界最高の選手を集めた最高の舞台」とするIOC側との溝は埋まることはなかった。しかも、大リーグ機構(MLB)は、来年3月に初開催する「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)を野球の世界大会に育てたい意向を持つ。この日の決定にもMLB側から、除外を憂える顕著な反応はなかった。
ロゲIOC会長は「(除外された)2競技のリーダーの努力を望む」とコメントした。そのリーダーがメジャーでない以上、五輪での野球競技復活へ日本の存在は、今以上に大きくなる。長嶋氏も、諦めてはいない。
長嶋ジャパンの偽らざる心境である。
ソウル五輪に出場したヤクルト古田は、早くも復活に向けての尽力を誓った。「これで野球が終わりじゃない。復活するように世界に野球を普及させていくしかない。僕を含めて関係者がしっかりしていかないといけない」と選手会長の立場から力強く語った。
WBC参加への影響については「それはちょっと分からない」と直接の関連を否定。WBC自体については「これをきっかけにサッカーのW杯のようにちゃんとしたもの(組織)をつくればいい。向こう(MLB)は社会人でもアマでもいいと言ってるんでしょ。それこそ趣旨がおかしい」とあらためて現状での参加に異議を唱えた。
バルセロナ五輪で指揮を執った横浜山中球団専務は「五輪で野球人としての誇り、レベルを高めた選手はたくさんいる。不幸なこと」と話した。要因として野球の普及度、プロ選手の参加が解禁になったにもかかわらず、メジャーが参加しない点を指摘した。「五輪復活は野球界全体で早急に取り組まなければいけない課題」とした上で、「野球の最高の舞台をつくらなくてはいけない。MLBの力を今度は利用すればいい」と、WBC参加の重要性を指摘した。
この日、日米大学野球の開幕戦が行われた大阪ドームにも「悲報」が飛び込んだ。河原井正雄監督(青学大)は「ショックです。シドニーやアテネで、プロが負けて泣く姿を見て感動した。これでは若い選手の目標がなくなってしまう」。米代表のスティーブ・スミス監督も顔を曇らせた。今回来日したチームは北京五輪の米代表予備軍で、151キロ右腕のケネディ(南カリフォルニア大)は「僕らは北京五輪出場が夢の1つで残っているが、下の世代がかわいそうだ」と話していた。
巨人渡辺恒雄球団会長は8日、都内で開かれた「読売7日会・東京読売会合同総会」に出席後、野球の五輪除外に関して「ワールドカップとか国際試合をじゃんじゃんやればいいんだよ」と国際化の必要性を強調した。来年3月予定のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への参加はしないとまずいかとの問いに「まずい」とも断言した。滝鼻卓雄オーナーも「野球がなくなっちゃったらおかしいと思わないか」と不満そう。現在、選手会がWBCの3月開催への難色を示していることに触れ「選手会の考え方があるんだろうけどね。それを止めたらますます世界の孤児になっちゃうよ」と話した。
来年3月に初開催される野球のW杯「ワールド・ベースボール・クラシック」を主催する大リーグ機構(MLB)は8日、条件付きでの参加の回答をした日本プロ野球組織(NPB)に対し、参加を強く希望する返答を送った。NPBが要求する運営方法などの見直しや、日本プロ野球選手会が求める開催時期の分離などに関し、MLBは譲歩案として第2回以降は検討する用意があるとの内容を盛り込んだ模様。参加問題に関しては今後も日米の間で協議が継続される。
日本プロ野球組織(NPB)に「野球除外」の最初の一報が入ったのは、球団代表らで中長期的な視点から球界の諸問題を検討するワーキンググループ(作業部会)の会議中だった。出席していた長谷川一雄コミッショナー事務局長が会議室を出て、電話するなど慌ただしく対応した後、再び会議室に戻った。今後の対応などを協議したとみられる。当初、当落が微妙な場合はNPB幹部がシンガポール入りする案も検討されていたが、見送られ、前日までには球界幹部の1人が「大丈夫なんでしょう」とコメントするなど楽観ムードが漂っていた。そこに突然飛び込んできた落選の知らせ。NPBはこの日不在の根来泰周コミッショナーの談話を広報を通じてリリースする方針だったが、広報担当者も作業部会の会議室にこもったままで、事態の深刻さがうかがえた。
2012年ロンドン夏季五輪の実施競技から8日、野球が除外されたことを受け、野球関係者も衝撃を受けた。
国際オリンピック委員会(IOC)は8日、シンガポールでの第117回総会で、2012年ロンドン五輪の実施競技から野球、ソフトボールを除外することを決めた。92年バルセロナ五輪で正式採用された野球は、世界的な普及度の低さなどから支持を得られず、5大会で五輪から姿を消すことになった。女子競技の充実の一環として96年アトランタ五輪から採用されたソフトボールも、4大会で実施しただけで五輪から姿を消すことになった。
IOCはこれを受けて同日夜に理事会を開き、新採用候補のゴルフ、7人制ラグビー、空手、スカッシュ、ローラースケートの中から入れ替え競技を選定。9日の総会に提案し、3分の2以上の賛成があれば採用する。
総会はこの日、現行の28競技が存続に相応しいかを1競技ずつ投票にかけた。野球が存続に必要な過半数の賛成を得られなかったのは、米大リーグの一流プロ選手の五輪参加の見通しが立たないことや、普及度の低さが影響したとみられる。ソフトボールも、人気の低さや競技力が一部の国・地域に偏っていることなどが影響したとみられる。
国際オリンピック委員会(IOC)内では、前日までは全ての現行競技が存続するとの見通しが大勢を占めていた。しかし、結果は日本の有望競技の野球、ソフトボールが除外され、人気という点ではこの2競技をさらに下回る近代5種などが五輪の晴れ舞台に残った。于再清委員(中国)、シン委員(インド)ら、2競技の存続を信じて疑わなかったアジアの委員も「驚きの結果だ」と話した。
北中米、アジアに強豪国が集中する両競技。プログラム委員会の評価でも、野球は世界的な普及度の低さに加え、世界最高峰の米大リーグのトップ選手が出場していない点がマイナス材料に指摘された。欧州やアフリカには、競技を知らないIOC委員もいる。開催地が、野球には無縁のロンドンに決まったことも作用して、逆風が一層強まったとみるのが妥当だろう。ソフトボールも野球の女性版的な扱いとなった。
2012年ロンドン五輪の実施競技から野球、ソフトボールの除外が決定したことを受け、日本の関係者は8日、ショックを隠せなかった。
国際オリンピック委員会(IOC)は8日、シンガポールでの第117回総会で、現行の28競技が存続に相応しいか1競技ずつ投票にかけた。投票前には、カラーロ・プログラム委員長が6月に公表した報告書を説明。続いてオズワルド夏季五輪国際競技連盟連合会長が全競技の存続を訴え、IOCの承認競技国際連盟の代表が新競技の追加を呼び掛けた。質疑応答では11委員が意見を述べ「現在の競技を替えてはいけない」「選手数上限の10500人を守って競技数を増やすことはできないか」などの質問が出た。ロゲ会長は「会場数や17日という期間を考えても競技数は増やせない」などと、1つずつ質問に答えた。
野球とソフトボールが五輪競技から除外された。共に世界的な普及度の低さが大きな要因となり、日本のメダル獲得が有望な2球技が12年ロンドン五輪で姿を消す。
3年前に除外対象に挙げられて以来、日米を中心に存続のロビー活動を重ねてきたが、共にプラス材料は乏しかった。野球は米大リーグの一流プロ選手の五輪参加は見通しが暗いままで、ドーピング(薬物使用)汚染の深刻さが明るみに出てイメージも悪化した。
ソフトボールも必死の存続活動を続けてきた。アテネ五輪に向けて、未普及だった地元ギリシャの代表チーム結成に力を貸した。未普及の国への用具提供や指導者派遣などの地道な努力を重ね、学校教育とのタイアップも図った。だが成果が表れるには時間が足りなかった。
昨夏のアテネ五輪の入場券で野球は53.2%しか、ソフトボールは51.7%しか売れなかった。IOCの評価報告書では五輪でのテレビ放映時間の少なさやメディアの関心の低さも指摘された。存続に向けて、世界中のIOC委員の共感を得るには至らなかった。
球場内に設営された華やかな会見会場で、ルーキーの久保康友投手(24)は満面の笑みを見せていた。パ・リーグの投手部門で、6月の月間MVP。彼は嬉しい受賞会見の後、その感想をこう述べた。
「MVPの会見ってこんなに派手なものだとは思いませんでした。廊下辺りで記者に囲まれてただ話をするだけかなって。だから前もってなにも考えずに会見に臨んでしまった。『受賞の喜びを誰に伝えたいですか?』という質問にはやっぱり両親ですと答えるべきだったかな」。
久保はよく周囲から「ルーキーとは思えない」と言われる。それは彼が非常に頭が良く、冷静に物事を考えているからこそ言われるのである。MVP受賞後のこの感想からも、久保のそんな一面が見えるような気がした。
試合中にも黄金ルーキーに驚かされたことがある。7月4日の日本ハム戦(東京ドーム)。世間は日本ハム先発のダルビッシュ有投手とのルーキー対決に沸き、試合前から注目を集めていた。6回、2失点。両者に勝敗がつかず降板となった後のベンチで彼は私にこう話しかけてきた。「知っています?新庄さんって打席に入るときの音楽(BGM)が毎打席違うんですよ。やっぱりオシャレですね」。
1点もやれない緊迫した展開だった試合で、この男は新庄の入場曲を聴く余裕があったのである。普通、投手はマウンドに上がれば、応援団のラッパの音さえ聞こえなくなるというのに、決して大音響でもないBGMが耳に入っており、それが毎打席違っているということまで気が付いていたというのだから恐れ入る。
もちろん、たゆまぬ努力も忘れない。降板後はベンチでひたすら投手の配球を観察していた。「この状況から考えると次の球はチェンジアップしかないだろうなあ。真ん中低めに落としてくるに違いない」などと先輩投手の配球をこまめに観察し貪欲に研究をしていた。
現在のところ、新人王候補1番手と言われている。この新人離れしたロッテのルーキーが一生に1度しか手に入れることができないそのタイトルを獲得することを私は信じて疑わない。(広報・梶原紀章)