先発・黒木が1年ぶりの登板を白星で飾り、ロッテがプレーオフ進出と10年ぶりのAクラス入りを、千葉マリン今季最多28918人の観衆の中で決めた。黒木は6回2/3で89球を投げ、被安打7奪三振3の無失点で1年2ヶ月ぶり、本拠地では2001年6月5日以来の勝利。チームは福浦の適時打で先制。その後李の2試合連続25号ソロなどで追加点。貯金を今季最多の33としソフトバンクとのゲーム差は3に。オリックスは対ロッテ6連敗で2年ぶりのカード負け越し。今季6度目の4連敗で4位西武とのゲーム差は1に。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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オリックス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
千葉ロッテ | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | x | 4 |
ジョニーが帰ってきた、勝った。ロッテ黒木知宏投手(31)が地元千葉マリンでのオリックス戦で、今季初登板初先発。今季最多2万8918人の観衆が見守る中、7回途中まで7安打を喫するも無失点で踏ん張り、昨年6月2日以来の白星を手にした。この勝利で、ロッテはプレーオフ初進出を決定。10年ぶりのAクラスも決まった。
やっと、強いロッテの一員に加わった。試合終了の瞬間、黒木は周囲の選手、スタッフ、そしてバレンタイン監督と固い握手をかわした。今季最多のファンが、地鳴りのような「ジョニー!ジョニー!」コールを繰り返した。小林雅からウイニングボールを受け取ると、マウンドに上がり、天を仰いでガッツポーズ。「何と言っていいか分からないよ…」。万感の思いがあった。涙はない。ベテラン小宮山から「本日の主役」と書かれたたすきを受け取ると、最高の笑顔を見せた。
苦難の道のりを象徴する投球だった。初回のマウンドへ向かう時、一塁線の手前で立ち止まった。帽子を取り深々と頭を下げ、しばらくしてからラインをまたいだ。マウンドでは、うつむいたりボールを見つめ、集中力を高めた。初回連打に暴投で、いきなり1死二、三塁の危機。それでも4番ガルシアを内角直球で詰まらせ、二飛で併殺。直球は150キロを誇った全盛期に遠く及ばない最速142キロも、強気に内角を攻めた。毎回走者を背負いながらも、カーブ、スライダー、フォークのコンビネーションで打者のタイミングを外し、1点もやらなかった。「緊張した。内容?冷静に考えられない。いい球を投げていたことは間違いない」と振り返った。
昨年6月2日のダイエー戦で、右肩痛から約3年ぶりの勝利を挙げた。だが同8月16日の西武戦で右ひじ痛から離脱、10月に手術を受けた。今季は2軍で18試合に登板。夏場は日差しで熱くなったプレート板に驚き、デーゲームに体が慣れて早朝に自然と目覚めることが多くなった。昇格へ結果が求められる中でも、右ひじ、左股関節に違和感を覚えた試合は自ら降板を申し出た。
千葉マリンでは、01年6月5日以来1545日ぶりの勝利。「投げることだけでは喜べない。野球生命がかかっていると思って投げた。勝たなければ意味がない」と臨み、数々のドラマをファンに届けてきた男はこの日、プレーオフ初進出と10年ぶりAクラスをもたらした。そして首位に3ゲーム差。「これが第一歩。ソフトバンクに追いつき、追い越したい」。そのためにも「本日の主役」は欠かせない。
黒木の先発と夏休み最後の日曜日が重なり、この日の千葉マリンは5月4日の2万8874人を更新する今季最多2万8918人が入場した。前売り券は完売し、徹夜組が200人。自由席は立ち見も出た。試合後、黒木のインタビュー中に目頭を押さえるファンの姿もあった。「やはりジョニー人気はすごい」と、球団関係者は驚いていた。
ロッテが95年(2位)以来10年ぶりのAクラス(3位以内)とプレーオフ進出を決めた。上位2球団が同率で並んだ場合に同率2球団だけでプレーオフを行う規定があるが、オリックス以下4球団がソフトバンクに並ぶケースはなくなった。ロッテは3位で終えてもプレーオフに進出できる。また、オリックスの敗戦でソフトバンクの2位以内とプレーオフ進出も決まった。
マリンガン打線が1試合3発で黒木を援護した。7回に貴重なダメ押し10号ソロを放った女房役里崎は「打ったのはフォークボール。黒木さんが頑張っていたし、何とか援護できてよかった」。バレンタイン監督は「昨年から今年にかけチームが成長している証し。これからも上を目指してエキサイティングなゲームをするだけ」と話した。
復活ジョニーがプレーオフ進出を決めた。ロッテの黒木知宏投手(31)が28日のオリックス戦で377日ぶりとなる先発。89球の熱投で6回2/3を7安打無失点に抑え、452日ぶりの白星を挙げた。01年7月から度重なる右肩、ひじの故障に泣かされながらのカムバックに、徹夜組を含めたファンも熱狂。試合後は54発の花火が飛び交う中、高らかに雄叫びを上げた。
千葉マリンに「ジョニー」コールがわき起こる。本拠地で挙げた1545日ぶりの白星。マウンドで黒木が4度頭を下げた。左翼席、バックネット裏、一塁側、そして右翼席へ。最後は両拳を突き上げ天を見上げた。
「待ってくれていたファンの皆さん、本当にありがとうございました。長い間、お待たせしました」。ありふれた言葉の中に喜びと感謝がぎっしり詰まっていた。
我慢。年頭に黒木が掲げたテーマだった。377日ぶりの今季初登板は緊張で体が思うように動かない。4日のイースタン湘南戦で146キロを計測した直球は最速で142キロ。「マウンドに上がる瞬間、楽しむ余裕が吹っ飛んでしまった。ファームではもっといい球が投げられたのに…。ドキドキするし、変な汗が出た」。
フォームは手と足がバラバラになり、思い描いた球道が描けない。復活の舞台も毎回走者を背負う“我慢”の連続だった。それでも今季最多2万8918人の声援が、背番号54の背中を後押しした。
開幕から常にファンの声援を浴びて復活する姿を思い浮かべてきた。自宅がある千葉・浦安から2軍が本拠地とする浦和まで車で約1時間半。愛車ベンツのドアノブには赤いチューブが巻いてある。そして助手席に転がるソフトテニスのボール。「ただ車を運転しているだけじゃ、もったいないから…」と信号待ちの時も惜しんで肩、ひじの強化に努めた。
試合後、右翼席にはプレーオフ進出を祝うビッグフラッグが広がった。そして照明を消しての球場内花火54発。「監督、コーチ、選手、ファン。全てが幸せになれた」とバレンタイン監督。まだ31歳。復活への第一歩をしるしたジョニーが、本当の全盛期を作り上げていく。
千葉マリンが男の復活劇に涙した。黒木知宏投手(31)が6回2/3を投げ7安打無失点で、今季初勝利。本拠地・千葉マリンでは1545日ぶりの勝ち星となった。これでロッテのプレーオフ進出も決定。昨季は0.5ゲーム差で悔しい思いをしたチームを、ジョニーがプレーオフに導いた。
体が自然に動き出していた。プレーオフ進出決定の余韻が覚めやらぬ試合終了直後、大歓声に導かれるように黒木が姿を現した。
グラウンドを1周すると、マウンドに上がって深々と頭を下げる。そして、両手を高々と突き上げ、喜びを爆発させた。あの男が帰ってきた。
「何て言ったらいいか分からないね。この強いチームに入って、勝つことができて本当に幸せ。長い間、お待たせしました!!」。黒木の絶叫に再び、千葉マリンが揺れた。
勝てばプレーオフ進出が決まる夏休み最後のホームゲーム。バレンタイン監督が最高の舞台を演出した。昨年8月16日(千葉マリン)以来、377日ぶりの1軍登板。黒木が燃えた。7回途中まで7安打無失点だ。
勝ち星は昨年6月2日以来、452日ぶり。本拠地・千葉マリンでの勝利となると、実に平成13年6月5日以来、1545日ぶり。ジョニーをみんなが待っていた。
この日、右翼席に入りきれなかったファンが左翼席の半分を占拠した。プロ野球改革元年。楽天が新規参入し、交流戦も行われた。魅力的なカードが数多く組まれた。それでも、この男にはかなわない。ジョニーの復活劇に、今季最多の2万8918人が詰め掛けた。そんな中でジョニーが期待に応えた。
振り返れば、ケガの連続だった。昨季、3年ぶりの勝利も、1勝止まり。右ひじ痛に悩まされ、10月にはメスをいれた。復活を目指したが、快進撃を続けるチームに焦る気持ちは募る。
1秒たりとも無駄にしたくない。車に握力器などを持ちこんだ。渋滞や赤信号のとき、黒木の体は復活に向けて動いていた。揺れる車に隣のドライバーから変な目で見られたことは1度や2度ではなかった。
「今日の勝ちは第一歩。昨年で“復帰”は終わっている。本当の意味で“復活”しなくては」と黒木。これでソフトバンクに3差。ジョニーの復活とともに、ロッテが1番高い頂をにらむ。
黒木の復帰登板に、福浦が先制点をプレゼントした。1回無死一、二塁で本柳のカーブをとらえ、右越えの適時二塁打。「ジョニーが初回のピンチを切り抜けたから、何とか先制点を取って楽にしてあげたかった」とニッコリ。
ジョニー復活!!ロッテが黒木の熱投でプレーオフ進出を決めた。約1年ぶりにマウンドに上がった黒木は気迫の投球でオリックス打線を7回途中まで無失点。昨年6月2日以来、452日ぶりの白星を挙げた。さらに本拠地・千葉マリンでの勝利は、なんと1545日ぶり。超満員にふくれ上がったスタジアムは復活祭に酔いしれた。
抑えきれないファンへの感謝の思いが黒木を走らせた。見回せば、今季最多の2万8918人の大観衆は総立ちだ。ヒーローインタビューを終えると、右翼席に駆け出して一礼。次に左翼席へと向かいマイクで「ありがとうございます!」と叫び、最後はマウンド上で5つの方向に深々と頭を下げると、両拳を幕張の夜空に突き上げた。「1545日ぶり?長い間待たせましたからね。感謝してますよ」本拠地・千葉マリンで、ジョニーが見事な復活をとげた。
毎回走者を出す苦しい投球。「ボール自体は2軍で投げていた方が良かった」それでも、何より気持ちで相手を圧倒した。「この強いチームの戦力になるために、ただ投げるだけじゃダメ。勝ちにこだわって投げた」勝負どころでは最速142キロの直球で内角をえぐる強気な攻めで7回2死で降板するまで、本塁生還を許さなかった。
右肩、右ひじの故障、長期にわたるリハビリ…。2002年以降は、ここまで1勝。迷惑をかけた分を取り戻したい。だからこそ、1軍マウンドにこだわり続けた。かつてのエースがプライドを捨て、開幕前にはバレンタイン監督に中継ぎでの1軍登録を懇願したこともあった。「1軍にいてなんぼやからね」充実した先発投手陣の前に、お呼びの声はなかなかかからなかったが、腐らずに黙々と調整してきた。そして、やっと巡ってきたチャンスで最高の結果を出してみせた。
この復活勝利で、チーム10年ぶりとなるAクラス入りと共に、昨年は0.5ゲーム差で逃した悲願のプレーオフ進出も決定した。「これからソフトバンクに追いつき、追い越していきたいですね」黒木の目に涙はなかった。
悪い流れを断ち切れない。初回1死二、三塁の好機をガルシアの二飛で逸すると、ロッテの継投策の前に沈黙。今季10度目の完封負けで4連敗を喫し、11日には最大6まで開いた4位・西武とのゲーム差が一気に1まで縮まった。「これまで頼みの綱だったガルシアがブレーキ。黒木も往年のころと比べたら、打てないウチの打線が不甲斐ない」と仰木監督。試合後は連日のスタッフ会議を行い、コーチ陣に活を入れた。
右ひじ痛を克服した黒木が約1年ぶりの先発で7回途中まで無失点。自身の約1年3ヶ月ぶりの白星と共に、チームの10年ぶりのAクラス確定と、プレーオフ進出を決めた。毎回のように、得点圏に走者を背負ったが「絶対抑えてやる」と、気迫で得点を許さない。1回は連打に暴投で1死二、三塁のピンチを招くが、併殺で切り抜けた。球速は最高で142キロ。それでも変化球を効果的に織り交ぜる組み立てで、試合をきっちりとつくった。右肩痛から復帰した昨季、1勝を挙げたが今度は右ひじを痛めた。2度目の復帰は「ただ投げたじゃ駄目。絶対勝たなければいけなかった」という重圧に打ち勝っての好投だった。「これからも、強いチームに食い込んで頑張りたい」と最後に、ほおを緩ませた。
ソフトバンクとロッテのプレーオフ進出が28日、決まった。ソフトバンクは2年連続、ロッテは初めてとなる。ソフトバンクは日本ハムに6−10で敗れたが、オリックスがロッテに0−4で敗れたため、ソフトバンクが残り21試合に全敗してもレギュラー・シーズンで2位以内となることが確定した。ロッテは95年に2位となって以来、10年ぶりに3位以内に入ることが決まった。昨年から始まったパ・リーグのプレーオフは原則的に上位3チームで優勝を争い、2チームが勝率1位で並んだ場合に限り、そのチーム同士で優勝を争う。今季は2チームが勝率1位で並ぶのはソフトバンクとロッテ2チームに限られるため、両チームのプレーオフ進出が確定した。