日本が、来年3月開催の国別対抗戦、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に参加することが正式に決定した。16日、労組日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)の松原事務局長らが東京・内幸町のコミッショナー事務局を訪れ、選手会として参加に了承すると通達した。今後、ヤンキース松井、マリナーズ・イチローらメジャー組にもあらためて出場要請を行い、最強チーム結成を目指す。日本代表監督就任を要請されているソフトバンク王貞治監督(65)は早くも06年1月下旬にも早期キャンプ開始を提案するなど、世界一奪取へ動き始める。
ソフトバンク王監督が16日、「王JAPAN」へ球界挙げての協力態勢を求めた。WBC日本代表監督就任を要請されている王監督は「(結論は)中身を聞いてからだが、選手会が出ると決めたのは一歩前進。そういうことであればことら(監督受諾)も一歩前進だね。球団も前向きに考えているから」と話した。
既に王監督は、昨夏のアテネ五輪で1球団2枠だった選手派遣枠の撤廃など「最強メンバー結成」を条件に掲げている。選手選考も王監督に一任されることが決まり、大きな障害はなくなった。そこで王監督は来春の12球団春季キャンプの早期開催を提案した。
野球協約上、球団が選手を拘束できるのは2月1日以降だが、日本代表メンバーの調整に万全を期すため、来春は特例として、春季キャンプ開始の時期を1月下旬に繰り上げることを訴えた。球団を通じ、王監督はWBCについて「野球の普及振興に意義のあるものだと思います。ぜひ成功させたいですね」とコメント。世界一奪取へ向け、NPB、12球団、選手会が万全の態勢を整えられるか、対応が注目される。
MLBジャパンのジム・スモール氏は、日本参加の決断を歓迎した。都内で取材に応じ「大変嬉しく思う」と話した。また、NPBがヤンキース松井、マリナーズ・イチローらMLBに所属する日本人選手を日本代表に選出したい場合は「まずMLBに選考したい選手のリストを提出してもらう。MLBから所属球団へ、MLBPAから選手本人へその旨を知らせる」と説明していた。
これまで開催方法や時期の問題を理由に「このままでは参加できない」としてきた選手会は、翻意した理由について、松原事務局長は「細かな点での不安は残るが、国際大会の意義の前に参加を決断した。やるからには最強チームで」と語った。最大の不安材料は、けがをしたときの補償や球団の対応だった。同局長は「出場したことによりシーズンへの影響が出てしまうかもしれないが、球団は不利な契約はしないという。それは全球団で徹底してもらいたい」と語った。今後は選手構成やキャンプについて話し合っていく。アテネ五輪で定めていた各球団2人ずつという制限は、今回は設けない方向。
日本プロ野球組織(NPB)と労組・日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)は16日、来年3月開催の国別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」参加で合意。“最強日本代表チーム”で世界一決定戦に臨むことになった。日本代表監督就任を要請されているソフトバンクの王貞治監督(65)も選手会の参加決断を歓迎。今後、マリナーズ・イチローやヤンキース・松井秀ら日本人メジャーリーガーを含めた「ドリームチーム」結成に動くことになる。
NPBと選手会がWBC参加で合意したことを伝え聞いた王監督は「史上初めて世界のトップクラスが参加する大会であるだけに、選手会も賛同してくれたことは野球の普及振興にとって意義あることだと思っている」と歓迎のコメントを発表した。
最強ジャパン結成を目指す王監督は選手会の参加表明を心待ちにしていた。選手会は開催時期や大会運営などに異議を唱え、7月22日の選手会総会でWBC不参加を決議。その後、NPBとの間で出場手当や補償など条件面で折衝を続けてきた。15日に松原事務局長が12球団の選手会長らの意見を聴取した結果「参加」で一致。この日の事務折衝でNPB側に伝えた。松原事務局長は「選手達が快く出られる環境づくりができた。NPB側の誠意が分かり決断した」と説明した。NPBの清武・事業委員長(巨人代表)は「これでアジアから世界に踏み出せる。(王監督には)最強チームということなので(球団)枠は考えずにチームをつくっていただく」とWBCではアテネ五輪で設けられた1球団2人枠を適用しないことを明言した。
今後は王監督の正式受諾を待って日本代表選手の選出作業がスタートする。王構想の柱となるのがイチローと松井秀だ。既にMLB選手会では両選手の参加を見越し水面下で交渉を進めているが態度は明確に示していない。王監督が11月下旬をめどに日本人メジャーリーガー、国内組をリストアップ。メジャー組との交渉が難航した場合には王監督が直接出馬し参加を要請することも考えられる。国内組でもFA権を取得している愛弟子・城島の移籍問題もあるが、世界の王が率いるスーパードリームチーム結成に夢は広がる。来年2月20日前後に宮崎県内で日本代表のキャンプを行い、3月3日からのアジア予選に臨むことになる。
NPB(日本プロ野球組織)と労組・日本プロ野球選手会(ヤクルト・古田敦也会長)が16日、来年3月に開催される国別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)に参加することで合意した。既にNPBが代表監督として就任要請している王貞治監督(65)=ソフトバンク監督=のもと、日本人大リーガーを含めた最強メンバー結成へ大きく動き始めた。
選手会はこの日、東京・内幸町のコミッショナー事務局で参加合意をNPBに回答。運営委への選手会の議席確保や、NPBからの参稼報酬や故障時の補償などをクリアし、古田会長は「選手会も長く望んできた真の国際大会への第一歩です」と歓迎のコメントを発表した。
今後は『王ジャパン』によるドリームチーム結成へと動き出す。巨人・清武球団代表は「12球団で枠などは考えない」と1球団2人までとしたアテネ五輪から前進し、最強チームで世界一を目指す方針を公表。また「スタッフ、キャンプ地も含めて全て王さんに一任する。自分のチームのキャンプを見られないことがないようにする必要もある」と2月の代表チームの直前キャンプをソフトバンクと同じ宮崎で行う可能性も示唆した。
出場30選手(うち投手13人)は11月末をメドに選考を行い、ドーピングの予備検査を経て12月に第1回登録を行う。問題は、ヤンキース・松井秀、マリナーズ・イチロー、ホワイトソックス・井口ら日本人大リーガーの参加だ。ヤンキースオーナーのスタインブレナー氏は大会開催に反対票を投じ、ヤ軍選手の出場にも消極的。さらに日本は3月3日から東京ドームで韓国、台湾、中国との1次予選を行うが、そこへの参加に難色を示すMLB選手は多い。
MLBジャパンのスモール代表は既に松井秀、イチローにはMLB選手会を通じて出場を打診したことを明かしたが、両選手とも参加の意思を固めていない。一方で国内選手にも「MLB選手の補欠では出たくない」という声もあるのが現状。まずは『王ジャパン』のステータスを確立することが、世界一への第一歩となる。
日本代表監督就任を要請されている王監督は、ヤフードームでのソフトバンクの練習後にWBC参加決定の一報を聞いて「一歩前進だね」と喜んだ。その後、球団を通じて「史上初めて、世界のトップクラスの選手が参加する大会であるだけに、選手会も賛同してくれたことは野球の普及振興にとっても意義あるもの」とコメント。孫オーナーも「第一歩を踏み出すことが大切です。国別対抗であるだけに、最強の日本チームを編成いただき、世界一の座を勝ち取って欲しい」と談話を発表した。
日本プロ野球組織(NPB)と労組・日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)は16日、来年3月に初開催される野球の国別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)参加で合意。正式発表した。真の世界一決定戦への代表チーム監督就任を要請されていたソフトバンク・王貞治監督(65)は「こちらとしても一歩前進」と受諾を決意。大会に向けて万全のコンディションを整えるためにも、来春のキャンプインを1月下旬に前倒しするプランを提言した。
最強JAPANを率いる決断を下した。この日、福岡ヤフードームでの全体練習後、選手会合意の上でのWBC参加決定の一報が飛び込んだ。「詳しい話は何も聞いていないので、もうちょっと中身を聞いてからになる。一歩前進したということだから、こちらとしても一歩前進だね。球団も前向きに考えているから」。王監督が慎重に言葉を選びながら、表情を引き締めた。
12日にNPBからの文書による監督就任要請が球団を通じて届いたが、「結果を出せる体制を」と最強メンバーの結成を条件に保留していた。チーム編成に支障がなくなったことで、一肌脱ぐ決意を固めた。
福岡市内の自宅到着後には球団広報を通じ、「史上初めて世界のトップクラスの選手が参加する大会であるだけに、選手会も賛同してくれたことは、野球の振興にとって意義のあるものだと思います。ロンドンオリンピックでは(野球が)競技種目からなくなるだけに、様々な問題はありますが、是非成功させたい」と談話を発表。自身の監督就任については触れなかったが、意欲が伝わる内容だった。
頂点を目指しての様々なチーム強化プランも、頭の中で描かれつつある。「特例としてキャンプを2月1日以前にやる話も出てくるだろうね」と、3月にベストコンディションを整えるため、野球協約に定められた参稼期間(2月1日〜11月30日)の特例措置を訴えた。ポストシーズンにまたがる微妙な問題ではあるが、実行委員会と選手会の合意があれば可能。今後の検討課題となりそうだ。
指揮官の思いは、愛弟子の松中にも伝わる。ヤンキース・松井と並び、代表チームの主砲が期待される男は「本当は若い選手に日の丸を背負う機会を与えたいが、監督に出ろと言われれば出る」と早くも参加を表明。「選ばれるような主力選手は2月1日からガンガン打つようになる。若手の練習量が減るので、1週間ぐらい早めにキャンプに入った方がいい」指揮官と同じくキャンプインの前倒しを求めた。
盟友の長嶋茂雄アテネ五輪代表監督が、果たせなかった夢の続きは「N」から「O」へ託された。イチロー(マリナーズ)らメジャーリーガーの参加は流動的だが、少なくとも国内トッププロの力を結集して、王JAPANが、来春、米国のセンターポールに日の丸を掲げる。
労組・日本プロ野球選手会はこれまで開催時期や補償、手当などの参加条件を不満として参加か否かの回答を保留していたが、NPBの譲歩もあり、最終的に野球の国際化、最強ジャパンの編成という姿勢で一致。12球団の選手会全てが参加でまとまった。
今後は代表監督就任を要請しているソフトバンク・王監督の正式な受託表明を待ち、コーチ陣の人選に着手。11月をメドに選手を選抜し、出場を打診する。チーム編成について、WBC合同委員会の清武委員長(巨人代表)は「球団ごとの(人数)枠は考えず、最強チームを作っていただきたい」と、これまでの五輪などで設けられていた人数制限枠を撤廃する方針だ。
代表を率いることになる王監督には肉体的、精神的、そして所属球団のチーム作りに負担を与えることになる。清武委員長は2月26日に招集する代表キャンプも「(ソフトバンクのキャンプ地の宮崎に)近い場所を用意しないといけない」と全面協力を約束した。
ワールド・ベースボール・クラシックは大リーグと同選手会が主催し、大リーグのトップ選手らが出身国・地域に分かれて世界一を争う。1次リーグは地域別で4組に分かれ、A組の日本は来年3月3−5日に東京ドームで韓国、台湾、中国と対戦。米国や大リーグに有力選手を多く輩出しているドミニカ共和国、プエルトリコなどがV候補に挙がっている。C組のキューバは16日現在、参加を正式に表明しておらず、代替国にはニカラグアが挙がっている。
各組2位までが2次リーグ進出。準決勝は3月18日、決勝は20日に米国で行う。大リーグの公式ルールを基本とするが、シーズン開幕前のため、投手には投球数制限を設ける。五輪などの国際大会と同様にドーピング(薬物使用)検査を実施し、収益の47%が賞金に充てられる。各国代表は27人以上30人以下(投手13人以上)で選手登録の締め切りは12月25日。第2回は2009年、その後は4年ごとに開催する。
日本プロ野球組織(NPB)と日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)は16日、来年3月に大リーグのトップ選手も参加して「世界一」を争う国別対抗戦、第1回「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)への参加を正式発表した。
選手会は開催時期や故障時の補償問題などに難色を示していたが、この日NPBからの最終提案を受け入れ、合意すると回答してきた。
日本代表は昨年のアテネ五輪に続いて全員プロで編成し、監督にはソフトバンク王貞治監督の就任が確実視されている。イチロー(マリナーズ)松井秀喜(ヤンキース)両選手ら大リーグで活躍中の日本人選手も候補となり、代表メンバーは11月末までに決める方針。
WBCはサッカーW杯の野球版として、大リーグ機構と大リーグ選手会が主催。米国、ドミニカ共和国やキューバなど16ヶ国・地域が参加を予定している。日本は来年3月3〜5日に東京ドームでの1次リーグで韓国、台湾、中国と対戦し、2次リーグ以降は米国での試合となる。
ジョニーがマリンスタジアムに帰ってきた。8月28日、オリックス戦。黒木知宏投手(31)の復帰登板を見ようと、全国から多くのファンが集まっていた。徹夜組が球場周辺に列を作り、スタジアムは満員に膨れ上がった。ジョニーの愛称で親しまれているこの男の人気を再認識させられた瞬間だ。
彼の帰りを待っていたのはファンだけではない。仲間達もまた彼の復活を心待ちにしていた。試合開始の午後6時15分。普段ならば、出番に備えて、それぞれ思い思いの時間を過ごす中継ぎ投手陣、そして代打の選手達がベンチ横から彼の投じるボールに見入っていた。
「やっぱり黒木は違うな。オーラがある」。「開幕戦よりもすごい雰囲気だよ」。「何としても勝たせてあげたいね」。実績のある選手達が子供のように興奮しながら話をしていた姿が印象的だ。
黒木という人間のもつ魅力。その一端をヒーローインタビュー後の行動から理解することができる。全力疾走で右翼席に足を運び、2度、3度と万歳三唱をすると、突如、左翼席に向けて走り出した。「こっちのファンにだけ挨拶をする訳にはいかない。ボクを見に来てくれたファン全員に挨拶をしたい」。そうつぶやくとレフトでまた万歳三唱。そして、今度はマウンドから球場全体を見渡し、少しずつ角度を変えながら頭を下げ始めた。こんな心遣いができるのは黒木ならではだ。
右ひじ、右肩。01年に10勝をしたのを最後に黒木は故障に悩まされて続けてきた。まともに投げられない日々が3年続き、ようやく今年、本来の投球ができるようになった。しかし、彼はこれまでのリハビリの日々を無駄なものだとは思っていない。復活した後、遠征先のホテルの夕食会場で彼は若手選手達と食事をしながら、こんなことを口にしている。
「それまで順風満帆にいっていたオレの人生。あのまま、怪我なく過ぎていたら、どんな傲慢で人生、社会の厳しさを知らない人間になっていたかなあと思う。オレはこの数年間の苦労があったから人間的に成長できたと思っている。この経験は必ず生きる。それがいつかは分からないけど必ず生きる。だから、怪我をしたことを全く後悔していない」。
重い言葉である。苦労をした男だからこそ語れる言葉である。そしてその苦労と闘い、乗り越えてきたからこその魅力が、この男にはある。現にこの話を聞いた若手選手達の目は爛々と輝いていた。
誰よりも優勝を切望する男が、戦う集団の輪の中に帰ってきた。役者は揃った。いよいよ、プレーオフ。黒木が心の底から喜んでいる姿が見たい。