わたしはかもめ2005年鴎の便り(10月)

便

10月7日

8日マリンは渡辺俊に“追い風”[ニッカン]

パ・リーグのプレーオフ第1ステージが8日、千葉マリンで開幕する。西武は初戦先発の松坂大輔投手(25)に完投を望み、一方、ロッテ先発の渡辺俊介投手(29)は千葉マリン特有の風を味方につけ、西武打線を抑え込む構えをみせた。

◇公式戦初対決

ロッテ先発の渡辺俊介投手(29)は決戦を翌日に控えても、リラックスした表情を見せた。普段通りにランニングなどで汗を流し、大勢の報道陣に囲まれてもピリピリした様子は全くなかった。気にしていたのは風向きだ。「明日はどんな風になるんですかね?」。千葉測候所によると、8日は南西の風3〜4メートル。曇り時々晴れ、という。「良い情報ですね。とてもいい風が来る」と歓迎した。

今季15勝、防御率リーグ2位の2.17と活躍した要因の1つが、風を味方につけたことだった。特に千葉マリンで南西の風は、中堅から本塁に吹く。これがバックネットではね返ってくる。つまり投手にとっては逆風。サブマリンには、直球はより伸びてライジングボールとなり、カーブにはブレーキがかかり、シンカー系はより沈んでいく。「精一杯利用したい」と操るつもりだ。

松坂とは公式戦でプロ入り後、初対決となる。「大事な試合で大輔と投げ合えて嬉しい。すごいな、と思うし、光栄です」と意欲を燃やした。バレンタイン監督も「チーム状態は完璧。いい気分で明日(8日)を迎えられる」とサブマリンvs剛腕対決に自信をのぞかせた。

渡辺俊
「マリンスタジアムでのプレーオフ。幸せだし楽しみですね。西武は毎年Aクラスに入る優勝を狙えるチーム。短期決戦だとスキがないですね。でも、こちらもスキは見せません。まだ、実感はないですね。お客さんが入ってから気持ちが高まると思います。いつも通り頑張るだけですよ。中9日になりますが、シーズン中は何度もありましたから。いつもどおりの調整はできました。西武に対して苦手意識はありません。ただ、1発があるので気を引き締めて投げないと。いい風が吹いてくれれば利用したいですね。」
サブロー
「シーズン中と同じ。4番といっても、つなぐことを意識して次に回していきます。ランナーがいなければ塁に出ることを心がけます。とにかく集中して頑張ります。」
バレンタイン監督
「チームのコンディションは最高。いい気分だ。ファンの応援や選手の1年間のたゆまぬ努力でここまで来たと思う。明日から、段階の違う野球が始まる。去年もプレーオフに出場するに相応しいチームだった。今年は出場できて幸せだ。これからどんどん先に進みたい。グランドで出たら全力で戦って欲しい。プレーオフの経験はないが、しっかりした戦いはできる。いい仕事をして欲しい。」

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ロッテ決起集会!プレーオフへ三位一体[スポニチ]

パ・リーグのプレーオフ第1ステージは8日、千葉マリンでレギュラーシーズン2位のロッテと3位の西武の対戦で開幕する。31年ぶりの優勝を目指すロッテは7日夜、千葉マリン近くで前夜祭を開催。小雨の中、集結した約8000人のファンに、ボビー・バレンタイン監督(55)が必勝を約束した。一方、2年連続日本一を狙う西武は松坂大輔投手(25)が先発を務める。

小雨が落ちる幕張の夜空に、大歓声が響いた。球界史上初の決起集会。ファン約8000人を集めたイベントは開始から1時間経過した時、最高潮となった。

午後8時、スペシャルゲストの登場だ。白煙が立ち上るステージに、バレンタイン監督が両手を上げて駆け上がり「ソウデスネ、イキマショウ」と意味不明の?絶叫。そして「皆さん、球場に来てください。球場に入れない人は、ここのスクリーンに来て見てください。一緒にプレーオフ、頑張りましょう」と日本語で呼びかけた。

「26番目の戦士」と称されるロッテ・ファンとの共闘宣言だ。この日のために球場正面広場に設置された200インチの特別スクリーンは、第1ステージの全試合放映が決定。3万人を収容するスタンドだけでなく、球場周辺も約5000人のファンで埋め尽くし、打倒西武を実現させるのだ。

「ベンチ、フロント、ファンが三位一体となってプレーオフへなだれ込みたい」(荒木企画部長)との狙いは大成功だ。唯一の心配は決戦前夜という指揮官の“体調”だったが、選手で参加した初芝、諸積、ベニーと共に球団応援歌「WE LOVE MARINES」をファンと大合唱。一体となった心に舞台を下りても「アンビリーバブル!」を何度も繰り返して喜んだ。

ボビーが手にした26番目のパワー。この勢いこそがチームを西武撃破、そして日本シリーズへと導く。

◇風は渡辺俊に味方

先陣を切る渡辺俊はランニング、キャッチボールなど軽めの内容で最終調整。「マリンで試合ができるのは幸せだし、楽しみにしている」と余裕たっぷりに語った。

そんな柔らかな表情がさらに崩れたのは、8日の天候を伝え聞いた時。千葉気象台によれば、8日の千葉市内は3メートルの風が南西から吹くという。千葉マリンに当てはめれば中堅からホーム方向。バックネットで跳ね返った風が地上10センチから繰り出される投球を魔球に変えるのだ。

サブマリンが「直球は浮き上がるし、カーブもブレーキがかかりやすい。精いっぱい生かします」と言えば、バレンタイン監督も「彼は必ずいい投球をしてくれる」と信頼を寄せる。西武・松坂とは初対決。「こういう舞台で投げ合うことができるのは幸せ」と屈託がない笑顔を見せていた。

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ロッテ、プレーオフ開幕投手は渡辺俊!対レオ今季3勝負けなし[サンスポ]

パ・リーグのプレーオフ第1ステージ(3試合制)は8日、千葉マリンスタジアムでレギュラー・シーズン2位のロッテと同3位の西武の対戦で開幕する。先に2勝したチームが同1位のソフトバンクと戦う第2ステージ(5試合制)に進み、その勝者が阪神との日本シリーズ出場権を獲得する。第1戦の先発投手はロッテが渡辺俊、西武は松坂と発表された。

昨年、わずか0.5差で、プレーオフ進出を逃し、悔し涙を流してから1年、貯金35という堂々とした成績で、ロッテがプレーオフの舞台に立つ。相手は昨年の日本一西武。そのエース松坂を倒さなければ、3位につけた18.5もの大差も水の泡となることは監督、選手誰もが承知している。

渡辺俊
「今までにない大事な試合で、大輔と投げ合えるのは光栄です。ただ西武は毎年Aクラスで、いつも優勝を狙える位置にいる。いやらしく、スキのない野球をしてくるだけに油断できません。」

栄えある第1戦を任された渡辺俊も気を引き締めた。不思議なことにパを代表する松坂と渡辺俊が先発で対戦するのは公式戦ではこれまでなかった。もっとも経験がなくとも渡辺俊は、松坂相手の試合で余分な失点は致命傷となることは分かっている。

松坂の今季ロッテ戦の成績は2勝1敗、防御率3.22。年間を通じて好調なロッテ打線でさえ攻略は簡単ではなかったが、その一方で渡辺俊の西武戦の成績は、3勝0敗、防御率2.19。机上の計算で打線が松坂から3点取れれば、勝利は転がりこんでくることになる。

チームトップの15勝で今季の快進撃を支えた渡辺俊。6月までに9勝(1敗)し、球宴ファン投票でも、1位を走り続けた。しかし最後の最後で、松坂に逆転を許した。「今年はチャンスだと思ったのに…。さすが松坂です」。プレーオフの舞台で、球宴の借りも返す意気込みだ。

「(渡辺俊は)勝利のチャンスをもたらしてくれるはず。(2つ)勝って先に進みたいね」とバレンタイン監督も期待をかける。松坂に敗れることになれば、第2戦を勝っても、再び最終戦でリリーフで出てくる松坂と対戦する可能性が出てくる。打倒松坂が第2ステージへの道。全力で松坂退治に臨む。

◇ボビーファミリーが来日

プレーオフを観戦するため、バレンタイン監督の家族が来日した。中でも義父のラルフ・ブランカ氏(79)は米大リーグ・ドジャースの元投手で、1951年のナ・リーグプレーオフ最終戦で、サヨナラ弾を浴びたことで、米国ではよく知られている。「彼はプレーオフの恐さをよく知っているよ」(バレンタイン監督)。義父が味わった“呪い”を振り払うためにも、快勝を披露したいところだ。

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渡辺俊に千葉マリンの神風![報知]

◇プレーオフ先陣

パ・リーグのプレーオフ第1ステージ(3戦制)は8日、千葉マリンで開幕する。西武を迎え撃つロッテは7日、同球場で最終調整を行い、第1戦先発の渡辺俊は「いい風が吹いたら精一杯利用したい」と中堅方向からの浜風を待望。幸い、千葉測候所の予報では渡辺俊にとって最高の風が予測されており、快投の条件は整った。夜には球場正面にファン8000人が集結して「前夜祭&決起集会」を開催。バレンタイン監督がファンとの共闘を求め、決戦前夜の千葉マリンは大フィーバーとなった。

決戦の地に神風が吹く。第1戦に先発する渡辺俊の気がかりは、風だけだった。風向き次第で効果が倍増する緩急自在の投球術。天候が回復傾向と知ると、引き締まった表情が和らいだ。「晴れに向かう時はいい風が吹くのでよかった」最強の援軍を手に入れ、風使いのサブマリンは勝利を確信した。

幕張の風が味方についた。アンダーハンドからの投球は風の影響を受けやすい。渡辺俊が理想とするのは、センター方向から吹いてバックネットで跳ね返る風速4、5メートルの浜風。千葉マリンの電光掲示板に風向きが「↓」と表示されれば、鬼に金棒。直球は浮き、シンカーは沈み、カーブにいっそうブレーキがかかる。

8日の第1戦は当初、雨予報。天気が下り坂の場合、千葉マリンの風向きは渡辺俊の理想と逆になるケースが多く、「雨が降りそうだったから(理想と)逆になると思ってました」と覚悟していた。だが、この日の千葉測候所の予報では「雨は午前中までで、午後は曇り。風向きは南西の風3、4メートル」。海岸の千葉マリンでは予報より風速が多少増すため、完璧な風が吹くことになる。

渡辺俊は今季、千葉マリンで13試合登板。理想の風「南西の風4、5メートル」が吹いた場合は、3試合3完投、防御率は0.33という驚異的な成績。バレンタイン監督も「渡辺は必ずいい投球をしてくれる」と信頼を置く。「風はこっちが慣れている。いい風が吹いたら精一杯利用したいですね」と笑ったサブマリン。マウンドに吹く浜風はそのまま、31年ぶりの悲願に突き進むロッテへの追い風になる。

◇ロッテ決起集会に8000人

千葉マリン正面広場が赤く燃えた。プレーオフ開幕前夜に行われた前夜祭&決起集会に、雨天にもかかわらず、ロッテ党が8000人も集結。スペシャルゲストとして登場したバレンタイン監督は、全身に降り注ぐ大歓声に「ロッテの応援は本当に1番ですね」と、日本語で感激を表現した。

このイベントでは、ファンが選ぶ「今季の千葉マリンベストゲーム10傑」も発表された。第1位は3月27日の開幕2戦目の楽天戦(千葉マリン)。ファンの背番号と同じ「26」得点をたたき出した大圧勝劇で、ファンもまた、ロッテの大躍進を確信した。ロッテ党のすごさを改めて認識した指揮官は「皆さんと一緒に明日のプレーオフを頑張っていきたい」と、またも日本語でファンとの“共闘宣言”を高らかに行った。

選手では初芝、諸積、ベニーも登場。今季限りでの引退を表明している初芝は「僕にとって最初で最後のチャンス。皆で(優勝を)勝ち取って、花道を飾らせて下さい」と大観衆に大声で訴えかけた。

最後は打ち上げ花火で締めくくられた大集会。景気づけは終わった。あとは、声をからし続ける26番目の戦士達へ、31年ぶりの優勝で報いるだけだ。

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NPBが野球協約改正へ…「球団の株式上場禁止を」明文化[サンスポ]

NPB(日本プロ野球組織)が野球協約の抜本的な改正に乗り出すことが7日、明らかになった。11月4日に札幌市で開かれるオーナー会議で議論する。村上世彰氏率いる通称「村上ファンド」が、阪神電気鉄道に対して同社の100%子会社である阪神タイガースの株式上場を提案しているが、改正協約では「球団の株式上場の禁止を」を明確に定めることになりそうだ。

NPBでは昨年の球界再編騒動のころから、根来コミッショナーが現行協約の不備を訴えており、改正の準備を進めてきた。既に実行委員会でも改正すべき点を詰めている。協約の本体は組織や球団の参加資格などとし、ドラフトやFAなど各論については分離・独立させる抜本的な改正を行うことになる。21日の同委で最終的な意見集約を図ったうえで11月4日のオーナー会議で協約改正へむけた実務的な委員会を発足する。

またオーナー会議では、ヤクルトの球団株式をフジテレビが、横浜の株式をフジテレビの100%子会社となったニッポン放送が所有している件で、株式の持ち合いについての協約上の解釈を明確にする。また村上ファンドが阪神電鉄に提案した球団株式上場については「球団株式がスポーツの公共性にふさわしくない人物や企業に所有される恐れがある」(コミッショナー事務局関係者)と、根来コミッショナーも非上場を支持している。そのため「上場禁止」の明文化を議論する方向に向かいそうだ。

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機構側「協約改正委」設置へ[スポニチ]

機構側は「協約改正委員会」(仮称)を設置して“防衛策”を講じることになった。コミッショナー事務局の長谷川一雄事務局長は7日、阪神球団株の問題に関連し11月4日のオーナー会議で野球協約の改正が正式な議題となることを認めた上で「協約が(今の時代の流れに)追いついてないので、根本的に変えなければいけない。具体的には(ワーキング)チームをつくってやるしかないだろう」と語った。

野球協約では、第31条で球団保有者の変更は実行委員会とオーナー会議の承認が必要と定めている。しかし、球団株の上場は想定外で、長谷川事務局長は「株式を公開すればどういう人が株主になるか分からない。12球団が公正に試合するのにはどうか」と説明。小池パ・リーグ会長も「プロ野球は公共文化財で普通の商売とは違う。検討が必要だ」とした。

協約見直しは昨年の球界再編から指摘されており、早急に協約改正委を立ち上げ球団株上場を規制する改正案などが検討されることになる。

◇メリット:資金調達力UP、デメリット:成績が株価に影響

球団が上場した場合のメリットとしてまず考えられるのは、資金調達力の強化だ。増資するなどして、親会社の意向に関係なく資金を調達できる。株をファンが持つことで、球団とファンとの距離が縮まり、今以上の一体感が生まれる。株主優先シートなど優待特典が球団の魅力を増し、サービスの向上にもつながるなど、球団がグループ全体にもたらす波及効果が大きくなる。

一方、上場すると、あらゆる買収の対象になるデメリットも生じる。また、チームの成績が株価や収益に直接影響を及ぼすことも想定される。上場する以上は株価を上げて、より高い配当を出さなければならず、経営責任がより求められる。さらに、株を保有するファンと保有しないファンの間で差別化が進む可能性もある。

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ボビー絶叫!!嵐を呼ぶぜ!!モ〜レツ8000人前夜祭

◇花火300発

この日夜に千葉マリンの正面広場で行われたファン決起集会には8000人ものファンが集まった。大型ビジョンではファンが選ぶ今季ベストゲームが放送され、広場は人で埋め尽くされた。特設ステージにはバレンタイン監督、初芝、ベニー、諸積も登場。バレンタイン監督は日本語で「たくさんのサポートありがとう。今シーズンはこれで終わりじゃない。これからが大事。皆さん一緒に頑張りましょう!」と熱く叫んだ。300発の花火も上がり、最高潮に達した。

◇勝利のカミ様!!小林宏仰天ヘア

2戦目に先発予定の小林宏が仰天ヘアスタイルを披露した。一昨年に伸び気味だった髪を3時間かけて編み上げる「コーンロウ」に変えた。「ずっとこの髪形にしたいと思っていた。気合?そういう意味もある」と語った。交流戦ではMVPに輝いたが「普段とは違う短期決戦になりますからね。気負わずに頑張りたい」と大舞台で本領を発揮するつもりだ。

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ファーム選手権、ロッテ加藤vs阪神能見

ファーム日本一を決める「ファーム選手権」が8日、スカイマークスタジアムで行われる。イースタン覇者のロッテと、ウエスタン覇者の阪神で争われる。先発投手はロッテ加藤、阪神能見。ロッテナインはプレーオフ、阪神ナインには日本シリーズ出場へのアピールの舞台ともなる。

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王ジャパンコーチ案固まる

◇「現役」避け水面下で人選

「王ジャパン」の組閣案が7日、明らかになった。来年3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する日本プロ野球組織(NPB)は、12球団の総意として、すでにソフトバンク王貞治監督(65)に監督就任を要請した。王監督は最強チーム結成などを条件とし、まだ正式に返答をしていない。ただ、NPBは水面下で様々な準備を進めており、王監督をサポートするコーチ陣を検討してきた。この日までにほぼ固まり、各氏へ要請した。王監督の正式就任を待って発表される。

組閣案では、投手コーチに元巨人コーチの鹿取義隆氏(48)、元巨人の武田一浩氏(40)、打撃コーチに元日本ハム監督の大島康徳氏(54)、内野守備走塁コーチ(三塁コーチ)に元横浜コーチの辻発彦氏(46)。外野守備コーチ(一塁コーチ)は人選を急いでいる。世界と戦う大会のため、大リーグなど海外の野球にも精通する人を選んだ。鹿取氏は米国マイナーへのコーチ留学経験があり、他の3氏は大リーグ中継の解説に携わっている。また、2月中旬から3月下旬まで拘束されるため、現役コーチは避けた。今後、もし4氏が球団コーチに就任する場合、兼任は避けてもらう方針という。

WBCは16ヶ国・地域の代表チームが優勝を争うもので、3月3日から東京で1次リーグ(アジア予選)を行い、3月中旬に米国などで2次リーグ、準決勝、決勝は米サンディエゴで行われる。日本代表は2月20日から福岡で合宿を行う予定で壮行試合も計画している。

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特報スコープ、ロッテ躍進[読売新聞]

プロ野球・千葉ロッテマリーンズが、8日からのパ・リーグプレーオフに挑む。10年ぶりのレギュラーシーズン2位は、バレンタイン監督の采配はもちろん、球界再編を機に進んだ球団改革など、様々な要因があった。31年ぶりの優勝を狙う「躍進ロッテ」の強さの秘密に迫った。

◇ふるさと球団、成長の時

9年ぶりの本拠地開幕を翌日に控えた今年3月25日の夜、バレンタイン監督は千葉市美浜区のホテルで開かれた「開幕前夜祭」に出席していた。県内の経済人などが組織した「かもめ会」が主催し、バレンタイン監督は「皆様の力をいただき、優勝したい」と力強く宣言した。

会場で、ある会員はつぶやいた。「本当はもっと早く経済界を挙げて支援すべきだった。チームが強ければ、こうした組織も自然発生しただろうけれど…」。

同会は昨年8月、球界再編でロッテの合併が浮上し、千葉を拠点とするプロ野球球団が消滅する危機を迎え、急遽結成された。裏を返せば、ロッテが千葉に来た1992年から、県経済界の支援は決して十分ではなかったと言える。

理由は幾つかある。東京には人気で勝るセ・リーグの巨人、ヤクルトが本拠地を構え、「千葉都民」が増える県内でのロッテへの注目度は伸び悩んだ。

また、バレンタイン監督が率いた95年を除くと、千葉移転後は4位以下のBクラスに定着。巨人、ヤクルト、そして埼玉の西武と、優勝を重ねるチームが近隣に居並ぶ中、「万年Bクラス」の球団の求心力は高まらなかった。

そんな状況を、最も悔しく感じながらプレーしていた1人が、習志野高校から93年のドラフト7位で入団し、野手のレギュラーでは唯一地元出身の福浦和也内野手だ。自身は首位打者に輝いた2001年から4年連続3割で声援に応えてきたが、「ファンが増えるにはチームが強くないといけない。最下位で球場が満員になる訳はないですから」と言い切る。

躍進を果たした今年は、「注目度も数段あがり、ボビー(監督)も地域密着を盛り上げて、ファンと一体化してきたと思う」と実感している。

一方、銚子商出身で、エースとして74年にロッテの日本一に貢献し、01年まで11年間、スカウト部長を務めた木樽正明・現巨人編成調査室調査役は、低迷するチームで苦心した1人だ。

千葉移転後の10年を、「パ・リーグの中でも弱く、川崎時代の印象も悪かったのでスカウトには苦しんだ」と振り返る。「球界再編で県民の関心が高まった今年の2位に意味がある。こんな躍進が続けば、必ず千葉のふるさと球団として定着するはず」。現在身を置く巨人との日本シリーズを夢見ながら、自身が獲得した選手達が活躍するチームにエールを送る。

木樽調査役の手で、ロッテに導かれた福浦は語る。「千葉で生まれ育ったので、地元を盛り上げたい。もちろん目標は日本一です」。

真のふるさと球団へと成長するために、31年ぶりの日本一を目指す戦いが、8日から千葉マリンスタジアムで始まる。

ロッテの日本一
リーグ優勝は過去4回。1950年、発足1年目の前身・毎日オリオンズがパ・リーグ初代王者として松竹を4勝2敗で破り、初の日本シリーズを制した。74年、金田正一監督率いるロッテが中日を4勝2敗で破り、24年ぶりの日本一。大毎時代の60年は日本シリーズで大洋に、70年には巨人に敗れた。

◇支えた「日本一の応援」

千葉マリンスタジアムには、プロ野球ファンでなくても行ってみたくなる場所がある。毎試合、選手と同じ白いユニホームを身にまとったファンで埋め尽くされるライトスタンドだ。

鳴り物の使用を控え、手拍子を刻みながら1人1人が声を張り上げるスタイルは、プロ野球の応援に新しい風を吹き込んでいる。

ロッテが千葉に移転したのは1992年。当時はメガホンを手に応援し、負けてグラウンドを引き揚げる選手に罵声が浴びせられた。ほかの球場も同様で、当たり前のことだった。

変化のきっかけは、95年のバレンタイン監督就任だ。当時から応援団への対応などを担当する横山健一・営業係長によると、大リーグ出身監督を迎えたことを受け、日本式応援スタイルの見直しが始まった。

ファンとの話し合いを通じて、「応援する方も選手も、楽しくやれる雰囲気を作ろう」との考え方が徐々に浸透していったという。98年にプロ野球ワーストの18連敗を喫した際にも温かい声援が続き、「ファンとチームの誇りとなった」(横山係長)。

今季レギュラーに定着し、打率3割1分の好成績で首位打者争いにも顔を出した今江敏晃内野手(22)は、「打てない時でも大きな声で応援してくれる。すごく勇気づけられるし、『やらなあかん』と思いますよ」と感謝する。どんな時も温かく背中を押してくれる声援にこたえようと、選手達は成長を続けてきた。

現在の応援スタイルは他球団をも感激させる。好プレーがあれば、相手チームの選手でも拍手を送る。2002年に西武が優勝を決めた翌日、千葉マリンスタジアムで対西武戦が行われると、ロッテファンから「イハラコール」が起こり、当時の伊原春樹・西武監督を「今までで1番ジーンと来た」と感激させた。

試合が終われば、応援団が自主的に観客席でゴミ拾いを行う。「試合後の右翼席は本当にゴミ1つない。ファンのマナーは恐れ入ります」。球場の業務まで手伝ってしまうファンの姿に、千葉マリンスタジアムの芝入好夫・総務経理課長も、感謝の言葉を惜しまない。

ロッテは今季、背番号「26」を欠番にし、そのユニホームを毎試合ベンチに掲げた。ベンチ入りできる25人の選手と26人目の選手であるファンが、「共に闘っていく」(バレンタイン監督)という並々ならぬ思いを「欠番」に表した。

選手達が、しばしば口にする言葉がある。「ロッテのファンは日本一です」。日本一の声援を送る「26番」に肩を並べたいという気持ちも、今季の快進撃を支えていた。

観客動員数
昨年までは概数で発表され、「水増し」との批判を受けていた。球界再編問題を契機に、今季から実数発表になった。球団経営の透明性を高める狙いがある。ロッテの主催ゲームの観客動員数はリーグ4位で、1試合平均1万9618人。トップはソフトバンクの3万1117人。

◇野球公園化楽しむ観客

夕暮れ迫る千葉マリンスタジアムは、試合前から盛り上がっていた。9月22日のホーム最終戦。試合開始まで1時間以上あったが、球場前の特設舞台では、球団マスコットやチアリーダーたちと子供達が楽しそうに踊っていた。

「野球はメーンディッシュ。球場をトータルで楽しめないと」。そう語るのは、球団の誘いで今年1月、外資系の通信会社から転身した荒木重雄・企画広報部長だ。荒木部長が今季進めたのが、球場でファンを飽きさせず楽しませる「ボールパーク化」の取り組みだった。

浮かんだアイデアは次々と実行に移した。試合前の球場前イベントのほか、ナイター全試合で300発の花火を打ち上げ、球場のビアガーデン化も試みた。荒木部長が「アイデアの宝庫」と評するバレンタイン監督との連携で、ベンチ上でのサイン会も実現。試合後には、グラウンドでのキッズベースランニングや、球場前ステージでの選手が飛び入りするライブも行った。

荒木部長は言う。「収入増は観客が大勢来て成立する。それを強固にするには長い時間球場にいてもらい、観て、聴いて、食べて、選手に触れられる、五感をくすぐる場所にしなければ」。

昨年、年間の赤字額が37億円に達した球団経営の健全化のため、観客を増やすだけでなく、球場の滞在時間を長くすることにも力を注いだ。

ファンとの連携も、新たな関係を模索した。

球場に近い、バレンタイン監督の住む幕張ベイタウン(千葉市美浜区)には今年6月、「ベイタウン・マリーンズクラブ(BMC)」が発足した。今年の開幕日、監督の出陣式が同地区で開かれた。6月22日にはクラブ側の働きかけで、監督の母校・南カリフォルニア大の学生バンドが招かれ、ファン主導の応援イベントも実現した。

BMC事務局長の鈴木勝彦さん(65)は、「地元と何かを一緒に作り上げていこうとする荒木部長の姿勢に共感した」と語る。こうした触れ合いを通じ、会員は400人になった。

改革1年目のレギュラーシーズンを終え、主催ゲームの観客動員数は133万4014人。概数発表だった昨年(159万6000人)に比べると、実数では「約1.5倍」とされる。グッズ収入も「1.7〜1.8倍」(荒木部長)と改革効果は表れ、選手の活躍を後押しした。

「通信事業の規制緩和でもそうだったが、産業が生き残れるかは、元々そこにいた会社がどう変わり、業界全体を変えられるかにかかっている」。

「ボールパーク化」というキーワードに、そんな改革への思いを託した荒木部長。千葉マリンスタジアムを、1日満喫できる球場に成長させたいと願っている。

球場の規制緩和
千葉マリンスタジアムは県立幕張海浜公園内にあり、県や市町村が主催しない限り、周辺での物品販売行為は禁止されていた。昨年6月、条例の審査基準が緩和され、県などが後援する場合も可能となった。今季は、全ての試合で県と千葉市の後援によって物品が販売された。千葉市も外野フェンスの広告を解禁した。

◇攻める異色の編成部長

高層ビル群を北風が吹き抜ける昨年2月。東京・西新宿のロッテ本社で、重光昭夫オーナー代行に問われた。「編成はできますか?」。約1ヶ月前に球団入りしたばかりの宮田隆さんは示された編成部長のポストに驚きながら、「はい」と即答した。

宮田部長は重光武雄オーナーが目指した「ロッテ改革」のリードオフマンだ。JTBからベースボールマガジン社に入り、「週刊ベースボール」担当時に12球団相手の営業やパ・リーグ担当副編集長にも就いた経歴を見込まれての編成部長への抜擢だった。この起用が、外部から20人以上の人材を招く球団改革の第一歩だった。

新人獲得やトレードなどを指揮する編成部長は、プロ選手の出身者が就くのが通例。しかし、全球団の内部事情を知る「営業のプロ」の宮田部長は、異例の人事にも気後れしなかった。

自らの役割を「トータルプランニング」と位置づけ、まずは全編成部員に12球団のポジション別年齢構成表を配った。その表は「20〜25歳の1軍投手がゼロ」「外野手の高齢化」というロッテの弱点を浮き彫りにした。昨年のドラフトでは、この2点を最重要課題に据え、自由枠は松坂世代最後の大物、松下電器の久保康友投手に狙いを定めた。

在京セ・リーグを含む4球団の競合だったが、「新生ロッテが勝負するんだ。一歩もひくな」と部下を鼓舞。チームの合併問題が浮上した際も、「合併してまで球団経営の強化を目指す強い意志の現れ」といった交渉のプラス材料に変え、久保に「自分を必要としている」と感じさせることに成功した。

誠意を貫き、ピンチを好機ととらえて攻めに転じる手法は、長い営業時代に培ったものだった。

それから1年。新編成部長がかかわった新人達は驚くほどの光を放った。

プロ初先発で初完封の離れ業を演じた久保は10勝を挙げて新人王に当確。イースタン・リーグでは、もう1人の自由枠、手嶌智投手が1日現在1位の10勝を挙げ、竹原直隆外野手が本塁打王を独走。大松尚逸外野手が竹原と共に打点王争いをし、9年ぶりのイースタン優勝に貢献した。

1969年、岸信介元首相の仲介で球団経営に乗り出したロッテ。宮田部長は「球団所有の目的意識がはっきりしないまま、三十数年来てしまった」と指摘する。そして、「親会社が誇れるブランドイメージを持つ」という目的意識の再構築が、自らの役割だと自覚する。

「過去にセ・リーグと競合した選手が、うちを選ぶなんてあり得なかった。さらにブランドイメージを高めるには、常に優勝争いをする球団を作るしかない」。改革の1番打者は「会心の一打」の余韻に浸ることなく、強く誇れるチーム作りを目指し、攻め続ける。

◇絶妙起用日替わり打線

「全員が、いいチームで戦っているという自信がある。監督も同じだ」。9月21日、千葉マリンスタジアム。首位ソフトバンクとの直接対決で3連勝し、2ゲーム差に詰め寄った夜、バレンタイン監督は言い切った。ベテランから若手まで全ての戦力が満足な状態でプレーオフに進める確信が、赤みを帯びた顔にみなぎっていた。

バレンタインマジック−。自ら指揮をとった1995年以来、4位以下のBクラスが定着していたチームを10年ぶりの2位へと導いた手腕は、まさに魔法のようだ。その采配術を解き明かすのに不可欠なキーワードが、「日替わり打線」だ。

バレンタイン監督が9年ぶりにロッテに戻った昨年、投手陣はリーグ2位の防御率をあげるなど、すでに高い評価を受けていた。一方でチーム打率はリーグ最下位、盗塁もリーグ5位と、攻撃力に課題を残した。

そこで監督が取り入れたのが打線を固定しない「日替わり打線」。その代表が西岡剛(21)、堀幸一(36)、小坂誠(32)の二遊間トリオを、1、2番に交代起用する手法だった。

象徴的だったゲームが、5月10日の交流・阪神戦。3〜4月に打率3割4分、10盗塁をマークし、月間MVPに選ばれた3年目の西岡が先発から外れると、「1番・遊撃」の小坂が2盗塁2得点し、「2番・二塁」の堀も適時打で3−0の勝利に貢献。「過去の試合は関係ない。この試合は小坂と堀が活躍すると思った」という指揮官の期待にこたえた。

西村徳文ヘッドコーチは言う。「打順は相性などをみて監督が決める。適度な休養と競争心をあおることの両方の狙いがある」。

体調維持と競争心。その両面への効果をにらんだ起用の結果、西岡は41盗塁で盗塁王に輝き、小坂もリーグ3位の26盗塁。18年目の堀は打率3割5厘で9年ぶりの3割を果たした。3人の活躍は、打率2割8分2厘、盗塁101の、いずれもリーグ1位の成績をあげたチームの象徴となった。

選手の体調管理を行う高橋純一コンディショニング担当は「足腰に負担がかかる人工芝ではベテランの故障を防ぐ絶妙な起用法だった」と合理性を指摘し、堀も「これだけ疲れがないのは(起用法のためと)否定しませんよ」と、日替わり打線効果を認めた。

28日、最終戦が行われた札幌ドームで指揮官は言った。「突きつけられた課題を乗り越え選手達は成長を続けている。プレーオフでも楽しんで頂けるものを見せられると信じている」。

31年ぶりのVをかけた最後の戦いへ、確かな自信があふれた。

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