わたしはかもめ2005年鴎の便り(10月)

便

10月12日

プレーオフ第2S…福岡ソフトバンク2−4千葉ロッテ(ヤフードーム)

プレーオフ第2ステージの初戦をロッテが制した。ロッテは1点を追う4回、サブローの適時二塁打で同点とし、7回に里崎の1号ソロで勝ち越した。その裏、同点とされたが続く8回、ベニーの2点適時打で勝ち越し、そのまま逃げ切った。3人目の藤田が白星を挙げ、小林雅がセーブをマーク。ソフトバンクはカブレラの1号ソロで先制し、7回には的場の適時打で同点としたが、その後勝ち越せなかった。先発杉内が7回を投げ8安打1四球4失点、8回に連打で勝ち越しを許し、負け投手となった。

123456789R
千葉ロッテ0001001204
福岡ソフトバンク0100001002
セラフィニ
「大事な1戦を任されたので、何よりチームが勝利する事ができて本当に嬉しいよ。良く守ってくれたし、先制されたが逆転してくれ、リリーフ陣も抑えてくれてチーム一丸の勝利だね。この勢いで明日からもいい戦いができるね。」
ベニー
「とにかく、しっかり打ち返すことだけを考えて打席に立ちました。大事な初戦に勝てて良かった。あと2つ勝ってリーグナンバーワンになりたいからね。明日も勝って、一気に優勝を決めたいね。」
里崎
「たっぷり休ませてもらったので取り返さないと…。練習は2日休みました。熱は37度ちょっと。迷惑をかけてしまいました。ホームランは完璧でした。最高の当たりです。また、明日から1つずつ頑張るだけです。」
小林雅
「松中選手は、体がすごく開いていたのでインは危ないと思ってアウトを攻めました。たまたま僕は9回に出る役目だというだけ。先発、中継ぎがよく投げて、野手が9回までに勝ち越してくれているから。みんな乗っているので、乗り遅れないようにしないといけないですね。」
バレンタイン監督
「相手ピッチャーを倒して勝つことは大変なこと。いい先発相手に勝てたのは大きいが、明日もいいピッチャーが出てくるので、全力で戦いたい。」

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初1番大塚!ボビー采配的中[ニッカン]

さあ31年ぶりのリーグ優勝へ、ロッテが最高の白星スタートを切った。ボビー・バレンタイン監督(55)率いるロッテはパ・リーグ覇者を決めるプレーオフ第2ステージ初戦を4−2で制した。2−2の同点で迎えた8回、1死二、三塁からベニーの2点適時打で勝ち越した。今季初の1番大塚起用など、同監督の大胆采配が大事な初戦で的中。苦手杉内を攻略し、王ソフトバンクに競り勝った。第2戦も13日、福岡ドームで行われ、勝てば一気に王手をかける。

敵地福岡ドームでも、ロッテの強さは変わらなかった。その粘り強さに、球場が静まり返った。第1ステージから3戦連続で小林雅が9回を締めて、ゲームセット。ソフトバンクに逆転で先勝した。バレンタイン監督は「また明日も勝ちましょう!」と頬を紅潮させた。

ボビー・マジックは健在だった。今季2敗の左腕杉内をどう攻略するか。答えは今季初めての「1番大塚」の抜擢だった。3回まで完璧に抑えられていたが、4回だ。先頭の大塚がチーム初安打となる左前打で出塁すると、俊足を生かして、2番堀のゴロで二塁へ。4番サブローの右中間二塁打で、同点のホームを踏んだ。5回にも三塁強襲安打を放ち、安定した守備も見せた。同監督は「練習でもとても良かったからね。1番でもやってくれると思った」と起用について説明。昨年、杉内から4打数3安打のデータもしっかりインプットされていた。

大塚
「杉内は登板間隔があいていたのか、キレがなかった。1番?変なことをせず、いつも通りを心がけた。負けられなかった第1ステージの方が辛かった。今度は逆に負けてもともと。勝ったらラッキー、と思ってやった。」

ロッテナインは乗っている。1番打者は第1ステージ初戦が西岡、2戦目が小坂。短期決戦で先頭打者の組み替えは勇気がいるが、決断した。指揮官のやること、なすことズバリとはまる。第1ステージ直前に発熱し、静養させていた里崎が7回に一時は勝ち越しとなるソロアーチ。終盤は小刻みな継投で強力打線の反撃を抑えた。

試合前、ミズノ社のグラブ作りの名人、坪田信義さん(70)の激励を受けた。78年のことだ。メッツのフロリダキャンプに現れた坪田さんのグラブを手に取り「いいものだと思った」と、当時では珍しい日本製を採用。既成概念にとらわれない、柔軟なボビー流はこの日のオーダーにも表れていた。

31年ぶりの優勝へ、一歩近づいた。それでも同監督は「5戦のうちの1つにすぎない。だが相手の球場で勝てたことは大きい」。13日はエース清水を送り込む。勝って一気に王手をかける。

サブロー
「硬さが取れて今日はすんなり入っていけた。」(同点適時打に好守と活躍)
薮田
「先発投手に勝たせてあげたかった。」(7回に同点とされるが、8回に勝ち越し勝ち投手に)
セラフィニ
「チームが勝利することができて本当に嬉しい。」(6回途中まで1失点の好投)

◇日替わりオーダー

バレンタイン監督はメッツ監時代の01年に、開幕から105試合で97通りの打順を組、ライバル球団を驚かせた。このシーズンは最終的には162試合で144通りという文字通りの日替わり打線となった。また00年、ヤンキースと激突したワールドシリーズでも5試合(1勝4敗)で全試合違う打順を組んだ。

◇V確率9分の7、74年は3タテ

ロッテが通算2勝9敗の苦手杉内に黒星をつけて1戦に勝利。パ・リーグで5試合制のプレーオフは過去9度(73〜82年は前後期優勝チームが対戦)行われているが、1戦に勝ったチームは

73年南海
○→●○●○
74年ロッテ
○→○○
75年近鉄
○→●●●
77年阪急
○→●●○○
79年近鉄
○→○○
80年近鉄
○→○○
81年日ハム
○→△○●○
82年西武
○→○●○
04年ダイエー
○→●●○●

過去9度のうち7度優勝。ロッテは過去4度出場しているが、1戦に勝った74年阪急戦は優勝し、1戦に敗れた77年阪急戦、80年近鉄戦、81年日本ハム戦は敗退している。

◇小林雅3連続S

小林雅がプレーオフ第1ステージから3試合連続セーブを決めた。西武との第2戦に続き、1回を完全リリーフ。松中を148キロの速球で空振り三振に仕留めるなど、中軸3人を封じた。「結果が出ているのはいいこと」と先勝を喜びながら「チームの勢いに乗り遅れないよう、僕の役割を果たしたい」と浮かれることはなかった。

◇清水直、自信と誇り

第2戦に先発する清水は、シーズンのリベンジに燃える。ソフトバンクとの決戦を控え「(今季)5回やられているから、1つはやり返しておかないと。真っ向から向かっていって、ナインに勇気を与えたい」。チームを支えてきたエースも今季は10勝11敗。「(エースとして)投げてきたという自身と誇りを乗せてボールを投げたい」。

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ベニーV打![ニッカン]

◇メッツ時代も白星稼ぐMr.プレーオフ

遠くに飛ばせば良かった。同点の8回表1死二、三塁。ロッテ・ベニーは全身の力をバットに託し、ボールにぶつけた。打球は左翼フェンス直撃の2点適時打。「ミスター短期決戦」が白星を引き寄せてみせた。

勝利の瞬間、ベンチではナインとハイタッチを連発だ。「チャンスをもらえたら、生かしたいと思っていた。敵地でやるということは難しい。何とかあと2つ勝って、優勝したい」。

シーズン終盤は右足の故障などでファーム暮らし。それでも2軍戦で7戦連続出場し、4本塁打とプレーオフにあわせてきた。第1ステージ直前に合流。「(外国人)野手は4人いる訳だから、規則上、3人だろう。自分は出るつもりでいるし、あとは監督の判断だから」とプライドをのぞかせた。

メジャーでも勝負強さを発揮してきた。メッツ時代の00年、ジャイアンツとのディビジョン(地区)シリーズで第3戦にサヨナラ弾。ヤンキースとのワールドシリーズでも第3戦で決勝二塁打。そして、この日の勝ち越し打。「みんなが自分のするべき仕事をやる。今はチームとして機能している」と犠飛を放つことだけを考えていた。

00年はメッツ、そして今はロッテでベニーを起用しているバレンタイン監督は「やってくれると思っていた」。ベニーも「ウチの船長は引っ張ってくれる。優勝したい気持ちは強い」と目を輝かせた。登録名をアグバヤニでなくベニーにした経緯も「船長に聞いてくれ。多分、呼びやすいからだろう」と強い絆で結ばれている。あと2勝へ、主砲がバレンタイン丸の原動力になり続ける。

◇里崎貢献弾

里崎が会心のソロ本塁打を放った。同点の7回、杉内のスライダーを左翼席へ一時勝ち越しとなる1発。「打った瞬間いくと思った」。第1ステージでは発熱で体調を崩し、先発出場はなかった。「チームに貢献できなかったので、第2ステージで何とか頑張りたいと思っていた」とマスクをかぶっても好リードで投手陣を引っ張った。

◇マリン5千人PV

ロッテの本拠地、千葉マリンにも約5000人のファンが集まり、声援を送った。1階スタンドを無料開放し、スコアボードのマリンビジョンで試合を生放映した。将利の瞬間は大歓声が起こり、抱き合って喜ぶ姿も。千葉マリンでの生中継は第2ステージ最終戦まで行うが、荒木企画広報部長は「とても盛り上がって良かった。千葉でも多くのファンが支えてくれている」と話していた。

◇虎偵察参上!!岡田監督も

阪神の久保投手コーチ、嶋田バッテリーコーチがスコアラー陣4人とバックネット裏で試合終了まで“偵察”した。嶋田コーチは「参考になるところはあったよ。打者によって傾向が見えていた。今日はロッテがつながったね」と振り返った。13日の第2戦には岡田監督、矢野も加わる。甲子園での練習後に福岡入りする矢野は「日本シリーズに近い試合で見えてくるものもある。自分にとってはプラス」と話しており、両チームの情報収集に努める。

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ボビー魔法のタクト!完璧采配で先勝[スポニチ]

ボビーが魔法のタクトを振った。パ・リーグ覇者を争うプレーオフ第2ステージ第1戦が12日行われ、ボビー・バレンタイン監督(55)率いるロッテがソフトバンクに4−2で先勝した。同点の8回にベニー・アグバヤニ外野手(33)の決勝打で競り勝ったロッテはバレンタイン監督の采配が完璧に的中。31年ぶりのリーグ優勝は、その手腕で引き寄せる。

凱旋してきたロッテナインが三塁側ベンチに集まると、バレンタイン監督は拍手で迎え、そして絶叫した。「また、明日勝ちましょう!」。大事な初戦でマリーンズ・ナインに魔法をかけた。杉内攻略の切り札となったのはデータとひらめきによって生み出された日替わりオーダー。そして勝利に対する嗅覚だった。

右打線
9人中7人。1番には今季初めて大塚を抜擢した。3回まで走者を1人も出せず、0−1で迎えた4回。先頭の大塚がチーム初安打を左前に運び、突破口を開いた。「練習でとても状態が良かったし、交流戦でも2番でいい働きをしていたから」。杉内とは今季未対戦も昨年4打数3安打。相性通りに結果を出した大塚は「1番なんてまさかね。ボビーマジックだね。塁に出ることだけを考えた」と笑ってみせた。
里崎の先発起用
1−1の7回に一時勝ち越しとなる左越え1号ソロ。第1ステージでは体調不良で橋本に先発マスクを譲った。だが、2日間の休みで体調も回復。里崎は「チームに貢献できなかったので何とか頑張りたかった」と言う。選手の心理を読み取る力も指揮官には必要だった。
継投
1−1の6回2死一、二塁。ズレータを迎え、好投していた左のセラフィニから右の小野に早々とスイッチ。「この試合の重要なポイント。ズレータは左に強い。小野が抑えてくれると確信していた」。その小野が得意のシュートで詰まらせ、遊ゴロに仕留めた。
決勝点
2−2の8回無死一塁で福浦の2球目に送りバントのサイン。投球が外れたため福浦は見逃した。続く3球目で送りバントのサインは取り消したが、福浦自らバスターで右中間二塁打。杉内をマウンドから引きずり降ろし、ベニーの決勝2点打につながった。「福浦もバントの構えをすることで甘い球が来ると見越したんだと思う」。積極的な失敗を叱責したことはない。大一番で自主性を重んじる方針が生きたのだ。

「明日も初戦同様にいい投手(斉藤)。このまま素晴らしい戦いをしたい」。31年ぶりの悲願達成へ指揮官のトーンも上がる。ボビーにお任せ、だ。

◇サブロー4番きっちり

サブローも4番の役割を果たした。1点を追う4回2死二塁で右中間に同点二塁打。「初戦は何としても勝ちたかった。最初のチャンスを生かせてよかった」。6回にも左前打を放つなど第1ステージから3戦連続安打、通算11打数5安打、打率.455と絶好調。打線を引っ張る男は「今は先制されても怖くない」と頼もしかった。

◇セラフィニ満足

セラフィニが初戦先発の大役を果たした。「大事な1戦を任されたので、何よりチームが勝利したことが本当に嬉しい。リリーフ陣も抑えてくれてチーム一丸の勝利だね」。2回にカブレラに先制ソロを被弾。しかし、140キロ台後半の直球とスライダーを武器に立ち直って、5回2/3を4安打1失点。試合後は満足そうな笑みだった。

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ベニー、大舞台任せろ!決勝適時打[スポニチ]

左手で背番号26のユニホームを高々と掲げる。そして右手で、いつもの親指と小指を立てた「アロハ」のポーズ。ベニー流の感謝の表現だった。

8回1死二、三塁、吉武の直球を渾身のスイングで叩きつけると、弾丸ライナーとなった打球は左翼フェンス上段を直撃する決勝適時打。「とにかく遠くに飛ばそうと考えた。そうすれば三塁走者は戻ってこられる。フェンスに直接ぶつかったのは見たよ」。

大舞台には強い。バレンタイン監督と共に戦った00年メッツでは、東京ドームで開催された開幕シリーズ第2戦で延長11回に代打満塁本塁打。このシーズンはポストシーズンに出場すると計14試合で打率.320。12試合連続安打をマークし、ワイルドカードから一気にワールドシリーズまで駆け上がった。ヤンキースとの頂上対決を前にしたテレビ番組では「4勝1敗で優勝する」と宣言してのけた強心臓の持ち主だ。

それでも今回は決して万全の状態ではなかった。両太腿の慢性的な痛みと常に闘い続けてきた。右太腿が肉離れ寸前となった9月19日には出場選手登録を抹消され、2軍での調整を余儀なくされた。「ずっと1軍でやってきたのに、なぜと思ったが“ボビーからプレーオフまでに治して戻って来い”との無言のゲキと思った。何も言われなくても何を考えているか分かっているから」。2人の間にあるのは信頼だ。

この間、故障の影響で上半身に頼り切っていた打撃を修正。下半身の状態がよくなるのと同時に調子も上がった。2軍でのラスト5試合は打率.364、4本塁打と復調。「ファームで調整して打撃フォームをしっかりと再確認できたと思う」とバレンタイン監督はベニーを称えた。

「ボビーは船長さん。みんなを引っ張っていってくれる。僕らは強い。最大の目標は優勝だよ」。米国から日本に舞台を移しても、その勝負強さは健在だ。

◇背番号「26」も勝った

100倍の応援団を向こうに回し、背番号「26」も燃えた。真っ黄色に染まった左翼スタンドの一角を、約300人のロッテファンが漆黒に浮き上がらせた。千葉組に加えて九州各地のロッテファンも黒いユニホーム姿で集結。敵地で戦う不利にも千葉市から駆けつけた主婦(32)は「アウエーほど燃えるのがロッテ」とひるまなかった。試合後そそくさと席を立つ3万人の鷹党を尻目に「(日本シリーズで)千葉へ帰るぞ〜!」と雄叫びを上げた。家族4人で声をからした福岡市の会社員(35)は「いつもは肩身が狭いが、今日は最高。4戦目以降のチケットはもういらない」と興奮。横浜から仲間4人で来た会社員、加藤一樹さん(28)は「このままロッテが一気に行く。マリンに帰るぞ!」と気勢を上げていた。

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ボビー先勝!ベニー決勝打!日本でミラクル・メッツの再現だ[サンスポ]

敵地でも強い。ロッテがソフトバンクを力でねじ伏せた。勝負を決めたのは同点の8回、2点タイムリーを放ったベニー・アグバヤニ外野手(33)。ボビー・バレンタイン監督(55)とメッツ時代から“師弟コンビ”を組む男が大舞台で勝負強さを見せつけ、初戦は4−2の快勝だ。13日の第2戦は、ソフトバンク・斉藤、ロッテ・清水が先発する。

ヤフードームの空気を切り裂いて、ライナーが伸びる。敵地がかもし出す静けさのなか、打球は左翼フェンスで音を立てた。バレンタイン監督のまな弟子ベニーが決勝打。プレーオフ第2ステージで先手を取り、福岡のファンを黙らせた。

ベニー
「チャンスがあったら、打ちたいと思っていた。最初はファウルになるかと心配したよ。」

2−2の同点で迎えた8回1死二、三塁。吉武の2球目を振り抜いた。あまりの打球の速さに、単打になったほど。二者を返す値千金の適時打となった。

今年はここまで苦労の連続だった。両ひざに故障を抱えるベニー。昨季は打率.315、35本、100打点と大活躍したが、今季は2軍との往復が続いた。プレーオフ開幕を間近に控えた9月19日。調子の上がらない主砲に監督は3度目の二軍行きを命じた。

「えっ?なぜ?」。最初は疑問を感じたが「彼の考えていることは分かる。スイングを直せというメッセージのはずだ」。以心伝心。そう思い直した。

忘れられない思い出が2人をつないでいる。2000年の地区シリーズ(対ジャイアンツ)第3戦で、ベニーはサヨナラ本塁打。カージナルスとのリーグ優勝決定シリーズでも打率.355の活躍で、メッツをワールドシリーズに導いた。

「ボビーは船でいうと船長。みんなを引っ張ってくれるので、それに応えたいんだ」。その気持ちが、大事な試合の大事な場面で出た。

「やってくれると思っていたが、見事に結果を出してくれた」と喜ぶバレンタイン監督に「優勝することが最大の目標。監督を日本シリーズに連れていきたいね」と陽気なハワイアンが応える。目指すは日本でミラクル・メッツの再現。“船長”を再び、大舞台に導く。

裏話
試合前には、嬉しい友人の訪問があった。野球用品メーカー「ミズノ」のグラブ作り名人、坪田信義さん(72)。ボビーが初めて出会ったのが、1978年のこと。坪田さんのグラブを気に入った監督は、他のメジャーリーガーに先駆けて、同社のグラブを使用した。「注文が多くて、厳しい選手だった。まさか日本で監督をするなんて、思ってもみませんでしたね」。日本での活躍を喜んでいた。

◇里崎が汚名返上の1号ソロ

里崎が7回、杉内から左越え1号ソロ。西武との第1ステージは37度の発熱で体調を崩していたが、汚名返上。大一番で値千金の1発をお見舞いした。「あの回は先頭でランナーもいなかったので、思いきり振った。この福岡での初戦に向けて調整していたので、嬉しいです」と満面の笑みだった。

◇千葉マリン内野席にファン5000人

第1戦快勝に千葉マリンに集結したファン約5000人も大興奮。この日は内野席が開放され、オーロラビジョンに映る戦況に一喜一憂。7回に里崎の左越えソロが映し出されると、マスコットのリーンがダイヤモンドを1周し、ムードは最高潮に達した。留守を預かった荒木企画広報部長は「予想以上に盛り上がってくれた。明日以降も多くのファンにきていただきたい」と本拠地からの“援護射撃”を誓っていた。

◇テレビはソッポ?全国中継は第4、5戦のみ

第2ステージは、福岡では民放局が全試合を生中継するが、地上波の全国中継はテレビ東京系が放送権を得た第4、5戦のみ。10月は各局とも番組改編期で、特別番組を編成しており、差し替えが不可能な状況という。

第1ステージも全国中継はなく、ある在京キー局幹部は「全国ネットに乗せるほどのニーズがない」と冷ややか。昨年はテレビ朝日系が第2ステージの第3、4戦を全国中継したが、視聴率は1けた台と惨敗。昨年の反省から各局とも全国中継を見送ったと思われる。それでもパ・リーグの小池唯夫会長は「試合内容が良ければ相乗効果はある。悲観はしていない」と強気だった。

◇阪神・岡田監督と矢野が第2戦を視察

阪神の岡田監督と矢野が13日の第2ステージ第2戦を視察する。甲子園で練習後、福岡入りする予定で、日本シリーズに備えてソフトバンクとロッテをまとめて丸裸にする。この日の第1戦は嶋田バッテリーコーチ、久保投手コーチがネット裏に陣取り「打者にはそれぞれ傾向が出ていたし、参考になった。つながりはロッテの方があるかな」とは嶋田コーチ。

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ボビーマジック!ロッテ先勝[報知]

◇パ・リーグ プレーオフ第2ステージ

ロッテが1974年以来、31年ぶりとなるリーグ制覇に向けて先勝した。同点の8回、堀、福浦の連打でパ最多勝のソフトバンク・杉内をマウンドから引きずり下ろし、1死後、代わった吉武からベニーが左翼フェンス直撃の2点適時打。決勝点を奪った。バレンタイン監督のタクトが冴え、これで西武とのプレーオフ第1ステージから3連勝。夢の実現に向けて、大きく前進した。

魔術師の采配が敵地を凍らせた。覇権をかけた決戦で、ボビーが繰り出した無数のマジックが、最高の結果を導いた。「初戦?負けるよりは、はるかに勝つ方がいいよね」不敵に笑った指揮官は、巧みに試合をコントロールした。

一瞬の方針転換が勝負を分けた。同点の8回無死一塁、カウント1−0。杉内に今季6打数無安打の福浦に送りバントを命じた。結果はバットを引いてボール。バントの構えに杉内の制球が甘くなるのを見抜くと、指揮官は突如、犠打のサインを撤回した。「こっちの方が打ちやすいと思った」と福浦はバスターを選択。右越え二塁打となり無死二、三塁。バントのサインが福浦にヒントを与え、絶好機が生まれた。

1死後、ベニーが左翼フェンス直撃の勝ち越し2点打を決めた。メジャー時代からバレンタイン監督が惚れ込んだ勝負強さと適応力が最高の場面で発揮された。5番に昇格させた愛弟子の大仕事。「5番に置いたベニーがやってくれそうな予感がした」と会心のスマイルを見せた。

昨年3割30本100打点をマークしたベニーだが、今季は故障もあり、打率2割7分1厘、13本塁打と低迷。「調子を取り戻してプレーオフに戻ってきて欲しい」という言葉と共に9月19日、2軍行きを通告した。「2軍での調整で崩していたフォームも元に戻って、自信を取り戻せた」とベニー。ファームのラスト5試合で4本塁打。ボビーの“再生計画”は成功した。

今季初めて1番に置いた大塚は2安打と活躍した。1番候補の小坂が右足を故障し、西岡は杉内との対戦打率が今季1割台と低迷していた。一方、大塚は昨年、杉内を4打数3安打と打ち込んでいる。「練習でも調子がよさそうだった」とボビーは打順変更を決断したが、期待に応えた。

今季2戦2敗の杉内を攻略。西武との第1ステージから松坂、西口と名だたる好投手と対戦して、白星を3つ重ねた。勝利に沸く三塁ベンチで、指揮官の日本語が響いた。「また明日、勝ちましょう!」狙うは第2ステージ一気の3連勝。ボビーが再び魔法をかければ、31年の呪いは解けるはずだ。

ボビーとベニー
ベニーはメジャーデビューした1998年から2001年まで、バレンタイン監督のメッツでプレー。99年と00年にはポストシーズンに進出した。リーグ制覇した00年は全14試合出場で50打数16安打(.320)、1本塁打、6打点。ジャイアンツとのディビジョンシリーズ第3戦で延長13回にサヨナラ本塁打。ヤンキースと対戦したワールドシリーズ第3戦では同点の8回1死一塁から左中間へ勝ち越し二塁打を放ち、メ軍に唯一の勝利をもたらしている。

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里崎、元気1発プレーオフ1号[報知]

◇パ・リーグ、プレーオフ第2ステージ

同点で迎えた8回、ロッテは無死一塁から福浦の右越え二塁打で二、三塁とし1死後、ベニーの左越え2点適時打で勝ち越した。

悲願への懸け橋を里崎が大きく美しく描き出した。7回無死、杉内が投じた99球目、内角スライダーを思い切り引っ張った。「打った瞬間でしたね」と振り返る会心の一打は、左翼席に吸い込まれた。“つなぎ”で得点を重ねてきたロッテとしてはプレーオフ23イニング目での初本塁打。福岡ヤフードームは02年(当時は福岡ドーム)にプロ初本塁打した思い出の地。背番号22は右こぶしをグッと握りしめながら、ダイヤモンドを回った。

その裏、救援陣が同点とされたため、惜しくもヒーローインタビューの座は逃したが、試合の流れまでは明け渡さなかった。「(ヒーローインタビューは)絶対オレだと思いましたけどね。でも、追いつかれてもいける雰囲気はあった。勝てて良かったですよ」心残りを口にしながらも、笑いは止まらなかった。

責任を果たしたい−その一心を胸に刻み込み、敵地に乗り込んだ。1日に発熱し、西武とのプレーオフ第1ステージは橋本に先発マスクを譲った。その2試合でチームは2失点。焦りはあったが、迫り来る大一番を冷静に見つめ直した。「無理して出てもチームのために良くない。(第2ステージの)初戦が杉内というのは、分かっていたし、そこで頑張ろうと割り切った」。気持ちを抑え、大舞台で結果を出した。

注目を集める戦いになればなるほど燃える“お祭り男”。レギュラーシーズンの首位決戦、9月20日の同カード(千葉マリン)では同点、勝ち越し打を放ち、お立ち台をゲットした。この日もバットだけでなく、守備でも5投手を巧みにリード。相手クリーンアップをわずか1安打に抑えるなど、ソフトバンク打線を2点に抑えた。「(インタビューの)コメントは色々考えていたんですけどね。また、明日以降、頑張りますわ」。球界随一のエンターテイナーが輝く舞台は、これからも残されている。

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小林雅3戦連続セーブ[報知]

◇パ・リーグ、プレーオフ第2ステージ

勝利の瞬間のマウンドはやはり小林雅のものだ。プレーオフ第1Sから3試合連続セーブ。3回を投げて防御率は0.00。ここ1番での集中力はやはり本物だ。試合直後、「結果が出ているうちは調子はいいんだと思います」と自信にあふれた表情で振り返った。

2点リードの9回から登板。先頭の松中を148キロのシュートで空振り三振に斬り、MAX151キロの直球を武器にズレータ、カブレラにも出塁を許さず、中軸をあっさり3人で片づけた。「集中出来る試合を皆がやってくれるので、乗り遅れないようにするだけ。前の投手のおかげで投げられています」とチームメートを褒め称えた。

仲間への思いを形にしている。今季はウイニングボールをナインに捧げている。9月19日のソフトバンク戦は引退を発表した初芝に、8日のプレーオフ第2戦は、その日に二女が生まれた黒木に渡した。「僕1人で勝てるようなことはないですから」。チームリーダーとしての細やかな気遣いは、ただチーム全員で優勝を目指すためだ。

念願のパ・リーグ制覇まであと2勝。「あと2つ、勝って千葉マリンに帰りたいです」小林雅が、自らの右腕で夢を現実にたぐり寄せる。

◇マリンで5000人PV

福岡で戦う選手達に届けとばかりに、パブリックビューイング(PV)が行われた千葉マリンでは、ロッテ・ファン5000人が声を枯らした。試合終了の瞬間には、ヤフードームの左翼席だけでなく、幕張にも「マリーンズ・コール」が響き渡った。

同点の8回、ベニーが決勝の2点適時打を放つと、球場のボルテージは最高潮に達した。白いユニホームを身にまとったロッテ党が、我を忘れて跳びはねた。

開場時には約300人のファンが列をなしたが、平日ということもあり、序盤は客足が不調だった。それでも試合中盤から、仕事帰りの会社員を中心に続々とファンが入場。最終的には5000人が集まり、内野1階席の7割以上を埋めた。

球団も最高の演出で盛り上げた。イニングの間には、チアパフォーマー・「M−Splash」がダンスを披露。スタジアムDJも打席毎に選手名を絶叫し、球場の一体感を作り出した。31年ぶりの日本一へ向けて、ファンの戦いも続く。

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ロッテが敵地で先勝、ベニーが決勝打[ニッカン]

同点の8回、球威の落ち始めた相手エース杉内を先頭から2連打で引きずり降ろすと、勝負の流れは一気にロッテに傾いた。1死後、ベニーが2番手の吉武から勝ち越しの2点適時打を放った。これが決勝点となり、大事な初戦の勝利をもぎ取った。

第1Sを2連勝で突破した勢いをそのまま持ち込んでいる。4回にはサブローが同点打、7回には伏兵の里崎も1発を放った。8回はそこまで無安打だったベニーが「とにかく遠くまで飛ばせば走者を還せると思った」と、内角の速球を引っ張り、左翼フェンス直撃の一打を放った。

今季2戦して2敗の杉内を敵地で攻略しての勝利に、バレンタイン監督は「相手のいい投手を打ったことが大きい。みんながチャンスをしっかりと生かしてくれた」と笑顔を見せた。リーグ制覇へ、一歩近づいた。

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里崎“読み勝ち”弾[ニッカン]

1−1の7回、ロッテ里崎は杉内の初球をフルスイングして左翼席へ運んだ。「大事な場面で本塁打を打つことができて良かった」と勝ち越しの1発を振り返る。

捕手として最も重視している観察眼と洞察力が快打を生んだ。それまでの2打席で杉内が投げた初球は3回がカーブで5回はスライダー。この回も変化球から入ると読み、変化球に的を絞って振り抜いた。

第1Sは直前に風邪をひき、先発マスクは2試合とも同じ29歳の橋本がかぶった。2試合で2失点と投手陣の快投を引き出したライバルとは対照的に「何もチームに貢献できなかった」と里崎は振り返る。福岡に舞台を移した大一番で先発を託され、心中、期するものがあった。

伏兵の1発は、今季2戦全敗と苦しんだ杉内攻略への大きな突破口となった。続く8回に連打で杉内を降板に追い込み、ベニーが2点勝ち越し打。レギュラー・シーズンで快進撃を支えた攻守の要が活躍し大事な初戦をモノにした。

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