投手 | 捕手 | 内野手 | 外野手 |
---|---|---|---|
神田 藤田 小宮山 久保 清水直 薮田 加藤 小野 小林雅 渡辺俊 小林宏 セラフィニ 高木 黒木 |
里崎 橋本 田中雅 辻 |
小坂 フランコ 堀 初芝 西岡 今江 福浦 李 渡辺正 塀内 林 早坂 |
諸積 代田 サブロー 大松 大塚 竹原 垣内 パスクチ 井上 ベニー |
リーグ優勝の立役者、里崎が日本シリーズでの活躍を誓った。プレーオフ第2ステージ第5戦の1点を追う8回1死一、二塁、左中間フェンス直撃の逆転2点に塁打を放ち、チームを優勝に導いた。「(プレーオフでは)俺の風が吹いていた。シリーズでもこの風をつかめるように、頑張りたい」。投手陣を支える女房役としてだけでなく、バットでもチームの日本一に貢献する。
腰を痛めている堀は、この日もティー打撃などの軽めの調整に終始した。バレンタイン監督は「堀は今日のティー打撃でまずまずのスイングを見せていたので、順調に回復しているとは思う。あと試合まで24時間ある。24時間経てば(堀がスタメンかどうか)分かると思います」と明言を避けた。
ロッテ・バレンタイン監督と阪神岡田彰布監督が、ファンのために手を組んだ。手場マリン内の会議室で行われた監督会議も終わりにさしかかったところだ。岡田監督のほうから「予告先発はどうしましょう。こちらとしては、差し支えなければやってもいい。ファンも喜ぶでしょうし」と切り出した。
元々予告先発を推進してきたバレンタイン監督に異論があるはずもなく「こちらもOKです」と即決。ロッテ清水、阪神井川の両先発が、その場で発表された。
相手投手が分かることは、ボビー・マジックとも表現される日替わり打線を組む上で、ロッテに有利といわれる。だが岡田監督は「こっちから言おうと思っていた。色んなプラスの要素がある。打順とか戦略とかファンのためとか。全然不利やったらOKする訳ないよ」と、意外なほどの自信を見せた。バレンタイン監督も「阪神も同じ位置に複数の素晴らしい選手がいる。お互いメリットがあるんじゃないか」と話した。
共に熱狂的なファンを持つチーム。2人の監督は先発を隠すより、正々堂々と勝負できる環境を選んだ。バレンタイン監督は「ファンにとっては素晴らしいこと。報道陣にとってもね。事前に先発投手のことをあ〜だ、こ〜だと言えるんだから」と笑わせた。会議はわずか20分ほどで穏やかに終了。プレーボールを待つだけになった。
予告先発決定に、監督会議に同席していたセ・リーグ大越事務局長が注文を付けた。「予告先発は今年だけの措置です。今後はやりたくない球団も出てくるかも知れません。6球団の総意ではないのでご了承ください」と、あくまで今年だけの特例とした。来年度以降は、再び監督会議で両球団の意向を反映させる方針を示した。
監督会議で規則適用については、交流戦での申し合わせ事項をあらためて確認。バッテリーの打ち合わせ回数に関しては、シーズン中は延長戦に入った場合、1度とされていたが、シリーズでは延長打ち切りが12回から15回になるため、岡田監督の提案で3イニングごとに1度に変更された。
両チーム成績比較 | ||
---|---|---|
ロッテ | 項目 | 阪神 |
136 | 試合 | 146 |
84 | 勝数 | 87 |
49 | 敗数 | 54 |
3 | 引分 | 5 |
.632 | 勝率 | .617 |
.282 | 打率 | .274 |
.307 | 得点圏打率 | .303 |
.393 | 満塁打率 | .353 |
740 | 得点 | 731 |
1336 | 安打 | 1401 |
278 | 二塁打 | 242 |
34 | 三塁打 | 21 |
143 | 本塁打 | 140 |
101 | 盗塁 | 78 |
48 | 盗塁死 | 31 |
902 | 三振 | 1079 |
488 | 四死球 | 571 |
56 | 犠打 | 85 |
39 | 犠飛 | 36 |
93 | 併殺打 | 104 |
.248 | 代打率 | .245 |
3 | 代打本塁打 | 4 |
3.21 | 防御率 | 3.24 |
479 | 失点 | 533 |
28 | 完投 | 11 |
12 | 完封 | 13 |
33 | セーブ | 29 |
55 | ホールド | 104 |
1162 | 被安打 | 1283 |
131 | 被本塁打 | 140 |
826 | 奪三振 | 1208 |
327 | 与四死球 | 434 |
51 | 失策 | 70 |
137 | 併殺 | 139 |
.990 | 守備率 | .987 |
4 | 捕逸 | 9 |
.339 | 盗塁阻止率 | .417 |
勝率 | ||
.559 | ホーム | .618 |
.708 | ビジター | .616 |
.686 | 交流戦 | .618 |
.613 | 1点差 | .424 |
.625 | 延長戦 | .643 |
ロッテは前回出場の74年、施設上の問題で宮城球場ではなく後楽園球場を使用した。52年のフランチャイズ制施行後、ロッテが本拠球場でシリーズ勝利を挙げれば巨人との70年第4戦(東京スタジアム)に6−5で勝って以来2度目となる。
阪神のJFKに対抗する、ロッテの救援陣YFK(薮田、藤田、小林雅)の1人薮田が、日本シリーズでもフル回転する。この日の練習後、落ち着いた表情で「(プレーオフでは)あの雰囲気の中で楽しんでできた。甲子園でも普段通りです。楽しんで。気持ちで投げていきたい」。
パ・リーグの覇者ロッテと、セ・リーグの王者阪神が初対決する日本シリーズ開幕戦が22日、ロッテの本拠地・千葉マリンで開幕する。監督会議で予告先発が合意され、第1戦はロッテ清水直行(29)、阪神井川慶(26)と公表された。シーズン、交流戦でも開幕投手を務めた清水は21日の公式練習で、早くも集中モード。一方、阪神を牽引する今岡誠内野手(31)は4連勝宣言だ。頂点に立つのは31年ぶりのロッテか、20年ぶりの阪神か。いよいよ22日午後6時15分に試合開始となる。
気合がほとばしる。清水は決戦前日に、早くも臨戦モードに入っていた。強めのキャッチボール、ランニングなどを終えロッカー室へ戻る時、報道陣の質問に答えようとはしない。固く閉ざした口が、決意の表れだった。
練習前は、言葉を残していた。アップへ向かう途中、阪神の印象に「つなぎの打線ですね。まず、赤星を出さないようにして、1、2、3番が動いてくるので、そこをしっかり対策したい」と答えた。あとは自分の調整だけに集中する。プレーオフを勝ち上がってきたことだけに満足などしていない。口を閉ざしたのも、責任の大きさを痛感している証しだった。
リベンジも期している。阪神との交流戦登板日には、甲子園に地元・武庫川団地の野球チームを招待。それにもかかわらず、火だるまにされた。だがプレーオフ第2ステージ第2戦(13日)では、シーズンで2勝5敗と打ち込まれたソフトバンク打線を7回2失点に抑えている。日本シリーズでも阪神に借りを返すチャンスが訪れた。
シーズンは10勝11敗とチーム4番目の勝星だった。開幕に指名したバレンタイン監督は「たくさんの大事な試合に彼は投げてきた。当然、彼が出るべき試合だと思う。偉大な投手だし、シリーズの開幕という栄誉を与えてもおかしくない。開幕も交流戦の初戦も彼だった。明日(22日)投げない理由はない」と、全幅の信頼を口にした。31年ぶりの日本一へ、エースが第一歩を踏み出す。
ロッテ−阪神の日本シリーズは22日、千葉マリンで開幕。ロッテのバレンタイン監督はプレーオフに出場していない渡辺正とパスクチをスタメン起用する方針で、初戦から“マジック采配”で虎退治に挑む。
相手の手の内が分かれば“マジック”の輝きはさらに増す。急遽決まった予告先発にロッテのバレンタイン監督がニヤリと笑った。「元々予告するつもりだったし、ファンにとってもいいこと」。
嬉しいのはファンだけじゃない。多彩な起用法で31年ぶりのリーグ制覇を果たした指揮官の心も躍った。日本一を決する大舞台の初戦。打ち崩すべき投手は井川だ。「グレートな投手だ。いい直球を持っているし、変化球の切れはいい」と称えてみたが、その頭脳には打倒左腕のイメージが早くも出来上がっていた。
プレーオフではベンチにも入っていなかった秘密兵器の投入だ。ソフトバンクとの第2ステージ第5戦で腰痛で途中交代した堀の代わりに、この日からチーム合流した渡辺正を2番・二塁でスタメン起用する。ロッテの渡辺は俊介だけじゃない。今季は腰痛の影響で、1軍出場はわずかに20試合にとどまったが、走攻守を兼ね備えた97年のドラフト1位にバレンタイン監督は信頼を寄せる。
「ファームやフェニックス・リーグでいい報告は受けている。40人の枠に入っているということはスタメンもあるということ」。日本シリーズの登録選手枠は40人。シーズン中は28人だが、シリーズは試合ごとにベンチ入り25人を40人から選ぶことができる。この制度をフル活用する。
さらに左の大砲・李承Yに代えてパスクチを「7番・右翼」で起用。今季は33試合出場ながら8本塁打を放った右のパワーヒッターを含めて右打者を先発で7人起用する。
「日本シリーズは究極のエンジョイ。シーズンをジェットコースターに例えるならば上がったり、下がったりしていたけれど、今1番楽しいところに向かっている」。スケールアップした全員野球でボビーが究極のマジックを描く。
腰痛を抱えるベテラン堀の開幕起用は見送られることが濃厚となった。この日から練習を再開したが、フリー打撃は行わずマッサージに専念。「出場?分かりません。頑張るだけ」と話したが、コンディションを重視するバレンタイン監督は無理をさせずに25日の第3戦(甲子園)以降で先発起用する模様。また右太腿裏痛の小坂はシリーズを通して出場が微妙な状態だ。
守護神・小林雅が“ノースロー”で最終調整した。ソフトバンクと戦った17日のプレーオフ第2ステージ第5戦から1度もブルペンには入っておらず「プレーオフでたくさん投げてますから」とランニングとキャッチボールで汗を流した。15日の第3戦では4点リードの9回に同点に追いつかれる失態もあったが「あれで、もう緊張しなくなった」と頼もしかった。
エースで初戦必勝だ。ロッテは第1戦に清水直行投手(29)が先発する。リーグ開幕、交流戦に続く今季3度目の“開幕投手”。過去2戦は勝ち星はついていないが、3度目の正直で初戦をモノにする。
練習中、笑みを浮かべながらも、目はいつもの“それ”ではなかった。今季3度目の“開幕投手”に決まった清水は終始硬い表情だった。
いつもは口数が多く、周囲を楽しませる背番号18。しかし、この日は、黙々と最終調整を行った。
今季は2年連続で開幕投手に指名された。しかし、8回1/3、6安打3失点で負け投手になった。交流戦の初戦でも先発したが、8回0/3、4安打1失点で勝敗はつかず。いずれも好投しながら、白星がつかなかった。
負けられない理由がある。いや、できた。この日の監督会議。バレンタイン監督が提案していたはずの予告先発案を、岡田監督が先に切り出した。敵将はパのルールに合わせてきた。これで、清水がKOされるようなことがあったら…。3敗まではできるシリーズとはいえ、ただの1敗では済まされない。チームに与えるダメージも計り知れない。
バレンタイン監督は自信を持って、清水をマウンドに送り出すことを決めた。31年ぶりの日本一へ、エースが“3度目の正直”をものにして、チームに勢いをつける。
“エンジョイ・ベースボール”の集大成だ。バレンタイン監督が、阪神との決戦を前に、持論の“明るく、楽しく”を選手に徹底した。
この日の練習開始前には、選手を右翼定位置付近に集めて円陣。そこでも「明日はみんなで楽しもう」と、ボビー流の“ゲキ”を飛ばした。
心の中では、2000年のワールドシリーズを思い浮かべていた。メッツを率いて、ワイルドカードから勝ち上がり、ヤンキースと対戦。世界一は逃したが、ミラクル・メッツと全米を沸かせた。
「あのときの前日の気持ちと似ている。同じエキサイティングな気持ちだ」。名将・バレンタイン監督が、シリーズでもあのときと同じ最高の笑顔でタクトを振る。
プレーオフ第2ステージで腰を痛めた堀が全体練習に参加。入念なストレッチ後、ティー打撃を行った。ただ、まだ万全とはいえず「やってみたら、できるんじゃないかな。先を見据えて無理はしたくないし…」と困惑顔。一方、バレンタイン監督は「順調に回復している。試合が始まるまで、まだ24時間あるから」と出場に含みを持たせた。
リリーフトリオ『YFK』の一角を担う薮田が阪神打線の印象について「すごい打者ばかり。とにかく先頭打者を出さないようにしないと」。とはいえ交流戦では阪神の打者18人に対して、9三振を奪った右腕。初の日本シリーズの大舞台にも「ボクの出るのは緊迫した場面だけど、雰囲気を楽しみたい」と頼もしかった。
小林雅はプレーオフ終了後は投球練習を行わず、日本シリーズに臨むことになった。「状態はいい。もう炎上はしない」と活躍を誓った。プレーオフ第2ステージ第3戦では4点リードの九回に登板しながら追いつかれた。それでもチームの信頼は変わらず、第5戦の最後を締めて優勝を決めた。阪神も強力な救援陣を誇るが「興味はない。僕は打者1人1人を抑えるだけ」と意に介さなかった。
腰痛で欠場が確実なロッテ・堀の代役として、3年目の早坂圭介(21)が大抜擢されることが濃厚となった。今季、レギュラーシーズンで出場のない早坂が日本シリーズに出場すれば86年の西武・安部以来、史上4人目。スタメンなら史上初のこととなる。
「9番・二塁」での出場が見込まれる早坂の名を、一躍広めたのはリーグ優勝を決めたソフトバンクとのプレーオフ第2S第5戦。腰を痛めた堀に代わって2回の守備から二塁で緊急出場すると、4回には“プロ入り初安打”。7回の守備では抜ければ追加点というゴロを好捕し、勝利に貢献した。
早坂の今季の活躍の場はファームだったが、奇しくもその頂点を決めるファーム日本選手権の相手も今シリーズと同じ阪神だった。「2軍でも阪神は雰囲気が違いました」。その雰囲気に飲まれたのか、3打数無安打で失策も犯した。「あの時はまさかこのシリーズの舞台に立てるとは夢にも思ってもいませんでした」。
それでも臆することはない。「自分の役割を果たすだけです。負けず嫌いなんですよ。堀さんの欠場で負けたとは言われたくないです」と闘志を見せた。「自分でもラッキーボーイだと思います。でも将来はロッテの顔になりたい」。その第一歩を踏み出す絶好の舞台がやってきた。
大一番を前にして、胸の中にあった引っかかりが取れた。監督会議を終えて、再びグラウンドに姿を見せたボビーの表情は、実に晴れやかだった。愛するファンのため、訴えてきた予告先発制度が実現した。「元々(阪神がしなくとも)予告するつもりだった」と会議の席上で阪神側に強く要求するつもりはなかったが、岡田監督からの逆提案に「ファンにとっても喜ばしいことだ」と報道陣に囲まれながら、バレンタイン監督は何度もうなずいた。
チームにとってもメリットの方が大きい。ほぼ固定メンバーの阪神打線に比べ、相手投手の左右や、相性を最大限に考慮して、毎試合のように先発オーダーを変更していく“日替わり打線”はロッテの看板。毎年のように、貧打に泣いていたが、昨年のチーム打率リーグ最下位から、今年は一気にトップへ浮上した。レギュラーシーズンの総得点は、球団記録を大幅に更新する740点。先発投手があらかじめ予告されれば、メンバーも決めやすくなる。
一方で、清水、渡辺俊、小林宏、セラフィニ、久保、黒木ら先発陣が豊富なロッテにとって、猛虎を混乱させることは十分に可能だった。「阪神もセラフィニと渡辺俊じゃ、構え方は全然違ってくるでしょう」とバレンタイン監督。しかし、いかなる対策を立てられようとも「残りはビッグゲームだけだが、その試合を任せられる投手がいることを喜ばしく思う」。自慢の投手陣を前に「信頼」の2文字に揺るぎはない。
指揮官にとってはメッツ時代の2000年ワールドシリーズ以来の頂上決戦。「その時に近いものを感じる。とても似た雰囲気だ」と高鳴る鼓動を抑えきれない。頂点まではもう一踏ん張り。「もちろんどっちかが4勝するまで終わらない。それが、うちであることを祈っている」決戦前の要望は通った。あとは、もう1つの大きな願いをかなえるだけだ。
極限まで集中力を高めた。シリーズ開幕投手の大役に、清水から並々ならぬ意欲が伝わってきた。練習を終えロッカーに消えた直後、予告先発が発表された。だが清水は広報を通じ「明日は大一番。集中したいんで勘弁して下さい」とだけコメントを残し、球場を後にした。
揺るぎない信頼はエースの証しだ。プレーオフ第1Sの開幕投手は、シーズン終了後に空いた登板間隔を考慮、好調を維持していた渡辺俊だった。第2Sでも好投したサブマリンを中6日でシリーズ開幕に起用する考えもあったが、バレンタイン監督はエースにマウンドを託した。「彼を使わない手はない。シーズン、交流戦と何度も開幕をやってきている」と自信を持って初戦に送り込む。
清水は今季は10勝11敗で防御率3.83。躍進するチームの中で思うような結果を出せなかった。シーズン、交流戦といずれも開幕戦で好投しながら勝利には結びつかなかった。それでも信頼は変わらない。満を持して登板したプレーオフ第2S第2戦で、7回を4安打2失点と好投したことが決め手となった。エースにはエースで挑む。指揮官は「相手のいい投手に対して、投げてもらいたかった」と阪神・井川とのガチンコエース対決を決めた。悲願の日本一へ。その第一歩を背番号18が記す。
今オフ導入する準支配下選手(仮称)を対象とした第2次ドラフトを11月18日、大学・社会人ドラフトの直後に開く。21日開かれた実行委員会で確認した。1球団70人の現行支配下選手枠とは別に育成主眼の選手を保有できる制度で、選手枠委員会(委員長=広島・鈴木球団本部長)で検討してきた。球界の底辺拡大などが狙い。2軍戦出場の方法などが検討されている。低年俸の準支配下選手を増やし、支配下選手を減らすことを不安視する選手会とは近く折衝。支配下選手の下限を65人に設定するなどの案で承諾を得る構え。11月10日実行委員会で詰める。第2次ドラフトの対象は大学・社会人で、指名順は従来のドラフトに準拠。先の高校生、大学・社会人、準支配下の指名総人数は120人の上限を維持する。
12球団の代表者らによるNPB(日本プロ野球組織)の実行委員会が21日、千葉市内のホテルで開かれ、現行の支配下選手枠70人とは別に、20人程度の「準支配下選手」を保有できるようにすることで合意した。このため11月18日の大学生・社会人ドラフト当日に、準支配下選手を採用する“2次ドラフト”を実施することになった。
準支配下選手は育成を目的とし、2軍戦やアマとの交流試合などに出場できるようにする。選手会が人件費節減などに利用しないよう求めているため、支配下選手枠の下限を「65人」と定め、それを満たした場合に採用できる。指名人数は高校生、大学生・社会人、準支配下の3ドラフトを合わせて協約で規定された120人を超えないこととする。
2次ドラフトの指名順は大学生・社会人と同じでウエーバー制。最終的な実施方法などは11月10日の実行委で決定する。
また、来年3月の国別対抗戦、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の外野守備走塁コーチに、前巨人コーチの弘田澄男氏(56)が就任することが決まった。
球界を揺るがす一連の株問題を受け、実行委員会では根来泰周コミッショナー(73)が「野球協約改正委員会」の設置を提案して承認された。11月4日のオーナー会議での承認を受け、早急に立ち上げる方向で、球界は“防衛策”としての協約改正に迅速に取り組むことになった。
11日の有識者会議でコミッショナー権限強化などの提言を受けていた根来コミッショナーは、この提言について説明した上で同委員会の設置を提案。「誰からも反対はなかった。協約には法的効果を伴う部分と紳士協定のような部分がある。この時代だから、法的効果を伴うものに直した方がいい」と話し、オーナー会議で当該球団のオーナーから詳しい説明を求める考えも示した。
また、根来コミッショナーは日本シリーズ前に問題が起こったことについて「こういう時期に迷惑な話。不愉快だ」とした。
村上ファンドが阪神電鉄本社に提案している球団株の上場問題についても討議された。セ・リーグは実行委員会前に開いた理事会で「球団株の上場は好ましくないとの認識で一致した」と豊蔵会長。悪質株主の介入や文化的公共財としてのあり方などを理由に連盟としての意見を報告した。「株式上場の考えはない」とする阪神の野崎連盟担当は「セは反対で一致していたが、パの見解はなかった」。パ・リーグは「討議をしていない」とし、ソフトバンク・角田球団代表は「ウチは反対」。パ球団のなかには「親会社の経営戦略」と賛成意見もあったという。
球界が楽天にダメ出しした。21日、千葉市内のホテルで実行委員会が行われ、楽天本社が横浜球団のオーナー企業であるTBS株を大量取得した件で、楽天を除く11球団が現状が野球協約183条に違反するという見解を出した。楽天は同条の注釈を持ち出し、正当性を主張したが、確信犯でありペナルティーをという意見も出るなど、孤立した形となった。11月4日のオーナー会議で三木谷浩史オーナー(40)が事情説明をする。また、阪神電鉄の筆頭株主となった村上世彰氏(46)率いる投資ファンド(通称村上ファンド)に出資しているといわれるオリックスにも、同会議で説明を求めることになった。
楽天井上取締役は協約183条の「利害関係が客観的に認められない」という注釈にある特例を出して、現状の正当性を主張した。だが、他球団から支持する声は出なかった。会議後、根来コミッショナーは「実行委員会としては、楽天球団を持ちながら横浜球団の親会社であるTBS株を持つことは協約に違反だろうということになった」と明言した。
11月4日のオーナー会議で、あらためて三木谷オーナーから説明を受けることになった。だが、実行委員会のメンバーも各オーナーの意向を受けて出席しており、同様の結論に至ることは確実。現状を違反ととらえた上で、誓約書の提出や球団売却を求めるなど解決策を見いだしていく可能性が高い。
また、球界内の道義的な点も指摘された。協約違反と理解しながら行動した確信犯という見方が強く、横浜峰岸社長は「違反を承知でやったのなら、ペナルティーがあっていいのではないか」と強く非難した。ロッテ瀬戸山代表も「楽天は球界に参入するとき、協約順守を誓約してサインしている訳だから」と困惑していた。楽天井上取締役は「実行委員会は委員会の、楽天には楽天の考え方がある」と話し、物別れかという質問に「そうですね」と答えた。
次回オーナー会議でも現状が協約違反と認識されれば、コミッショナーが何らかの指示を出す可能性が高い。ただ、問題の183条も条文は曖昧で、フジテレビはヤクルト球団の株式を有し、フジテレビの子会社のニッポン放送が横浜球団の株式を持つ現状もある。楽天の主張通りと解釈することもできる。根来コミッショナーは「こういう問題を含め協約には問題がある。現協約には法的効果を伴う部分と紳士協定のところがある。法的効果を伴うよう改正した方がいい」と、根本的な問題解決にも乗り出す考えを示した。
楽天は実行委員会の席上でTBSとの経営統合問題に結論が出るまで「観察期間」を設けるべきだと主張した。経営統合が両社で検討されている過程で、球団の所有が議論される点に疑問を示した。同委員会で楽天は183条の注釈の適用を求めた。一方で経営統合されれば、協約違反になることは認めており、中途半端な状態で結論が出されることに反発した。本社幹部は、野球協約は親会社への拘束力がない点を挙げ「楽天本社は横浜球団で不正をするためにTBSの株を購入した訳ではない。本社の経営戦略が野球協約で制限されないはず」と話した。オーナー会議で三木谷オーナーが同じ主張を繰り返す予定という。
「楽天は協約違反」−。プロ野球実行委員会が21日、千葉市内の幕張プリンスホテルで開かれ、楽天本社が横浜の親会社TBS株を大量保有した問題で、球団の二重保有を禁じた野球協約に抵触するとの見解を示した。特例を主張した楽天は「1対11」で敗れた格好で、文書による回答と11月4日のオーナー会議で三木谷浩史オーナー(40=本社会長兼社長)の事情説明を求める。
野球界は楽天にNOの結論を下した。採決した訳ではないが、実行委員会は1対11で協約違反との見解が確定した。
球団の二重保有を禁じた野球協約183条には「ただし」と文字通りただし書きがあり「他球団との利害関係が認められない場合」の例外規定がある。楽天の井上取締役は「ただし書きが適用されるべく主張したが、本文を適用すべき、とのことだった」と話した。
違反を強く追及したのはTBS株を買い占められた当事者、横浜の峰岸球団社長だった。「ついこの間、誓約したばかり。承知の上でこういうことをされたらペナルティーはあるのではないか」。昨年、協約順守を誓った上、新規参入した楽天に怒りをあらわにした。既に売却先にUSENの名も挙がる現状に「不快感どころか、実害も出ている」と訴え、ドラフト活動で選手家族の「TBSのつもりだったのにUSENだったらどうしよう」との声を紹介した。
今後、楽天には文書回答を求め、11月4日のオーナー会議で三木谷オーナーから事情を聴く。ただ、楽天・井上取締役は「実行委員会には実行委員会の、楽天には楽天の考えがある」とし米田代表は「オーナーも同じ主張のはず」と譲らない。
また新たに二重保有で問題視されたのがオリックス。阪神電鉄の筆頭株主となった村上ファンドに45%と伝わる大量の出資をしている点を突き、巨人・清武代表が「実態は分からないが、オリックスが間接的に複数球団を支配しているのではないか」と切り込んだ。
オリックス・小泉球団社長は「ファンドの当事者が投資目的と公言している。協約違反の認識はない」と話した。出資の事実は認めたが、詳細はオーナー会議で宮内オーナーの回答を待つ。
協約想定外の問題で「違法性をどう解消するか」(巨人・清武代表)の具体論までは見いだせず「親会社の問題はオーナー会議マター」(伊藤NPB顧問)となった。
横浜買収に名乗りを上げている有線放送大手のUSENは実行委員会の見解に静観の構え。この日、実行委員会後に横浜の峰岸球団社長があらためて球団売却の意思がないことを強調したが、同社の広報部は「何もコメントできません」と話すにとどまった。それでも今後の楽天の動向次第では一気に買収が動きが加速する可能性もあるだけに、予断を許さない状況は続きそうだ。
NPB(日本プロ野球組織)の実行委員会が21日、千葉市内のホテルで開かれ、楽天が横浜ベイスターズを所有するTBSの筆頭株主になった件を議論した結果、楽天を除く11球団は「楽天は野球協約に違反している」という認識で一致した。根来泰周コミッショナー(73)は、11月4日のオーナー会議(札幌)で楽天・三木谷浩史オーナー(40)から説明を受けた上で、さらに議論を重ねることを要望。横浜からはコミッショナーによる制裁を求める声が挙がった。
約2時間半の議論は白熱した。協約違反を主張する横浜と、違反はないとする楽天。だが結論は“有罪”だった。
根来コミッショナーは実行委の結論を説明し、11月4日のオーナー会議で三木谷オーナーからの“釈明”を求めて、再び議論すると説明した。
委員会では横浜・峰岸球団社長が楽天の野球協約違反を訴えた。昨年の新規参入の審査で、楽天は野球協約順守の誓約をした。だが今回、協約183条(下記)違反となるTBS株を取得し、さらに三木谷オーナーが「楽天球団の存続、横浜球団の売却」を示唆したと主張した。
これに対して楽天は、183条の「ただし書き」の「利害関係が客観的に認められないと実行委員会およびオーナー会議が判断した場合」に該当すると反論。巨人・清武球団代表は「違反は明らかだ。(楽天とTBSの経営統合という)企業戦略上(球団の処遇を)“待って”という意見だったが、企業戦略と野球協約とで、協約が下位ということにはならない」と強調するなど、支持は得られなかった。
最終的には根来コミッショナーが、議論を引き取り「全体の意見としては違反である」と結論を下した。「楽天はあくまでただし書きが適用されるという立場です。オーナー会議でも(主張は)そうなると思います」と楽天・米田球団代表は厳しい表情を浮かべた。
横浜が主張するペナルティーについて、野球協約9条で裁決、制裁の権限を持つ根来コミッショナーは「オーナー会議で事情を聴いてからしないといけない」と発言を控えた。オーナー会議でも「協約違反」の結論に至れば、最悪参加資格の剥奪という事態も想定される。最悪の事態を回避するには株式保有の実態が解消できればいいが、現実的に楽天がTBSの株式を手放すとは考えにくい。オーナー会議での三木谷オーナーの“反論”が注目される。
楽天を除く11球団が『楽天は野球協約の183条に違反している』と、統一した認識を示した件を受け、井上球団取締役が実行委員会後に対応。「楽天は、183条のただし書きが適用されるということを主張しました。実行委員会のほうは(183条の)本文が適用されるという判断でした。実行委員会は実行委員会の考えが、楽天は楽天の解釈があります」と、受け取り方の違いを強調した。
この日、実行委員会に異例の出席をした横浜・峰岸球団社長は「楽天は協約違反」との結論に安堵の表情を浮かべた。「協約を守るのは当たり前だ。少なくともボクはルールを大切にしてきた」と強調した。大学生・社会人ドラフト(11月18日)に向けたスカウト活動では、球団売却に対する不安、不信を招くなど「実害も出ている」と訴えた。
フジテレビがヤクルト球団の20%、同社の100%子会社のニッポン放送が横浜球団の約30%の株式を保有している問題について、11月4日のオーナー会議で根来コミッショナーが実態を報告することになった。ヤクルト・倉島専務によると、既に同コミッショナーはフジテレビからの事情聴取を終え「協約上の実効支配という形ではなく、協約違反とはならない」(同専務)との報告になる見通し。
渡辺球団会長は無関心を装った。この夜、滝鼻オーナーと会食後、実行委で楽天に対する批判的な意見が噴出した件を聞かれ、「TBSがどうしたんだ。君らの質問がよく分からんから、答えようがない。もっとはっきり喋ってくれ」と苦笑いを浮かべて帰路についた。
巨人の清武球団代表は21日の実行委員会で、オリックスが村上世彰氏率いる投資ファンド『MACアセットマネジメント』の株式を45%保有していることを指摘。同ファンドが阪神電鉄の筆頭株主になったことで、オリックスによるバファローズとタイガースの“二重支配”の可能性について、厳しく追及した。
会議では、清武代表がオリックスの小泉球団社長に株式保有の有無を問いただす場面もあったという。しかし、小泉社長は「運用について出資元は関知しない。(株保有の有無は)申し上げる訳にはいかない」と回答を拒否した。
委員からは11月4日のオーナー会議で宮内オーナーに説明を求める意見があり、根来コミッショナーはこれを了承した。
批判の集中攻撃を受けた小泉球団社長は「ファンドの当事者である村上氏が(株式取得は)投資目的で経営支配が目的でないと話している。私達もそう認識したい。野球協約違反という認識はない」と話した。
実行委員会に先立ってセ・リーグの理事会が21日、千葉市内のホテルで開かれ、球団の株式上場について反対の立場を取ることで一致した。阪神電鉄の筆頭株主となった村上ファンドが球団の上場を要求しているが、セ6球団は「不特定多数が株を取得できるようになれば、悪質株主の介入も想定される。野球協約の理念と一致しない」(豊蔵会長)という認識で合意した。また、平成19年度からのプレーオフ導入について11月7日に実務者レベルでの「プレーオフ検討委員会」の第1回会合を開くことになった。
プロ野球の実行委員会が21日、千葉市の幕張プリンスホテルで行われ、TBS株式を保有した楽天本社に対して、球団の二重保有を禁じている野球協約に違反しているとの見解で一致した。楽天の井上智治球団取締役(50)は実行委員会とオーナー会議が了承すれば特例が認められる協約の「ただし書き」部分の適用を求めたが、横浜の峰岸進球団社長(63)はペナルティーの適用を訴えるなど、強い不快感を示した。結論は11月4日のオーナー会議で下される。
楽天が「確信犯」だったことが、実行委員会で明らかになった。2時間半の会議は、そのほとんどを球界を席巻する「株問題」に費やした。
問題は、楽天本社が楽天球団を100%子会社にしながら横浜球団の株式を約7割所有するTBSの筆頭株主になったことで、野球協約第183条で禁じられている「一法人の複数球団保有」に抵触する−という点。
実行委員会では協約違反で一致したが、楽天側は反論した。井上取締役は「実行委員会は(協約の)本文(※1)方が適用されるケースだといい、楽天はただし書き(※2)を適用するべきだと主張しました」と説明。オーナー会議と実行委員会で承認すれば了承される「ただし書き」の適用を強く求めた。
楽天の開き直りに、横浜は「非常に不愉快である」と意思表明した。不信感を強めた理由は、楽天本社が「確信犯」だったこと。協約違反を認識しながらTBS株を買い、「特例」の適用を主張。さらに楽天の三木谷オーナーは横浜の売却を進めている−などと伝えられている。具体的な罰則は検討していないものの、峰岸社長がペナルティーの適用を訴えたほど、横浜の不快感は大きい。
井上取締役は歯切れが悪く、「実行委員会には実行委員会、楽天には楽天の解釈がある。物別れ?そういうことです」と話し、足早に会場を去った。親社の経済行為が発端ということで、実行委員会では結論が出ず、問題の決着はオーナー会議に持ち越されることになった。他球団が反対すれば「ただし書き」は効力を発揮しない。三木谷オーナーの釈明、各球団オーナーの判断が注目される。
楽天によるTBS株の大量保有問題で、野球協約違反に巻き込まれた横浜・峰岸進社長(63)は、セの理事会で「楽天にはペナルティーを科すべきではないか」との考えを表明した。
理事会、実行委員会に初めて出席した峰岸社長は、「協約がほかの経済活動の中で劣後にされるのはおかしい。野球界の中では1番守らなければならないこと。協約はロウ(法)ではないがルールなんだから」と楽天本社が取った“経済活動”は協約違反と反発。今回の騒動でスカウト活動にも支障が出ていることも訴えた。
結論は11月4日のオーナー会議に持ち越しになったが、実行委員会では楽天以外の全球団が「楽天は協約違反」で一致。峰岸社長は「オーナー会議での(違反解消の)答えが横浜売却というのであれば、それは違うと思う」と話し、楽天本社が、TBS株か楽天球団のいずれかを手放すことが協約違反解消の道であるとの考えを示した。
根来コミッショナーが次回、11月4日のオーナー会議で野球協約改正のための小委員会設置を提案する。同コミッショナーは球団の親会社が絡んだ株問題に対し、「親会社が関与している話であるから、その責任者に聞いて議論する」と、楽天・三木谷オーナーらの事情聴取を行うこと明言した。有識者会議で提案されている球界改革案についても、協約改正を必要とするものが多く含まれており、「協約には法的効果を伴う部分と紳士協約的な部分がある。このような時代だし、法的効果を伴う協約に改定した方が良い。(実行委レベルでは)反対はなかった」と、今後1年から1年半をかけて改正していく考えを示した。
日本シリーズの監督会議が21日、千葉マリンスタジアム内の会議室で行われた。日本シリーズでこれまで実施されていなかった予告先発を行うことで両監督が合意し、第1戦はロッテ清水、阪神井川と公表された。
ロッテ・バレンタイン監督の呼び掛けに阪神岡田監督が応じたもので各試合後に発表される。規則適用については、交流戦での申し合わせ事項をあらためて確認。バッテリーの打ち合わせ回数に関しては、シーズン中は延長戦に入った場合、1度とされていたが、シリーズでは延長打ち切りが12回から15回になるため、岡田監督の提案で3イニングごとに1度に変更となった。
ロッテは21日、午後3時から2時間半の練習を行った。投手陣がバント練習をこなしたほかは、シーズン中のメニューを消化して最後の調整を終えた。
バレンタイン監督は「阪神は素晴らしいチームだが、私の準備はできている。選手もそうだろう」と余裕の口調で話した。練習前にはナインに「明日からシリーズが始まる。しっかり楽しもう」と言い、雰囲気を盛り上げた。第1戦先発の清水は終始硬い表情で、広報を通じて出したコメントも「大一番に集中したいので勘弁してください」と、緊張感を漂わせた。しかし、サブローが「プレーオフと比べて硬さはない」と話すように、ほとんどの選手はいい緊張感に包まれているようだった。
横浜の峰岸進球団社長は21日、セ・リーグ理事会で横浜の親会社TBSの筆頭株主になり、野球協約が禁じる1企業の複数球団所有に抵触する可能性がある楽天に対する処罰を提案したことを明らかにした。同社長は「183条違反を承知の上でやっているのか。何らかのペナルティーはあるのかなという気持ちだとは言った」と話した。さらにTBSの問題で横浜球団売却まで取り沙汰されており、同社長は理事会で「(大学・社会人ドラフトに向けての)スカウト活動に支障がある。実害としてこうむっている」と説明したという。
今オフから準支配下枠が導入されることが確実となった。21日の実行委員会で承認され、今後は労組日本プロ野球選手会と協議した上で正式決定する。支配下選手70人のほかに、育成を目的とした選手の保有が可能になる。野球のすそ野拡大にもつながるという考えから検討されてきた。協約で定められた最低年俸440万円は保証されない。また、アマ側は準支配下選手でもプロ選手と認識する考えで、アマに戻る場合は規制が出る見込み。
正式決定すれば11月18日の大学・社会人ドラフト後に、高校生以外を対象として準支配下枠ドラフトを行う。巨人清武代表は「準支配下選手は全員ではないが、ファームの試合に出られる」と説明した。選手会の要望により支配下選手を最低65人保有していない球団は、準支配下枠選手を保有できないルールになる見込みだ。
野球協約の改正に向け、改定委員会(仮称)が発足することになった。実行委員会で根来コミッショナーが提案し、了承された。次回オーナー会議でも了承されれば人選され本格的に発足する。根来コミッショナーは「小委員会をつくって早急に協約改正に向かいたいと意見を述べた。反対がなかったのでオーナー会議でも説明する。その委員会の中で、今起きている具体的な問題を念頭に置いて協約を考えなければいけない」と語った。オーナーの1人に議長を務めてもらい、球団代表などからメンバーを選ぶ。法律の専門家も交え、現状よりも法的効果の強い協約を作成する。基本条項をつくり、細部は申し合わせ事項として分離するものになる可能性が高い。また、協約だけでなく、球団親会社の問題にも一定の対応ができるよう親会社とNPBが何らかの契約を結ぶ案も出ている。協約改正は、プロ野球界のあり方を見直す作業になる。
村上ファンドによる阪神の株式取得問題が、オリックスにも飛び火した。21日、12球団代表者が集まった実行委員会で、巨人清武英利球団代表(54)が、オリックスが村上ファンドに出資している関係において、オリックス、阪神2球団を間接支配していることを示唆した発言を行った。「村上ファンドに影響力を及ぼしているのは、例えばオリックスでしょう。MACアセットマネジメントの株式を45%持っていて、それが、今回阪神電鉄の株式を持っている」。
清武代表は、村上ファンドの中核にあるMACアセットマネジメントが、阪神電鉄の株式を約40%大量取得し、その一方、オリックスはこのMACに45%出資していることを指摘。つまり、オリックスがオリックス・バファローズと阪神タイガースを間接支配しているとも受け取れる構図を問題視したものだ。横浜峰岸社長は「オリックスが45%もっているとすれば阪神を支配しているようにも見える。オリックスの説明は万全ではないと受け止めた」と反応。ヤクルト倉島専務も「いいか悪いか、違反なのかというより、まず事実がどうであるかを明確にすべき」と話した。
11月4日のオーナー会議では、議長役のオリックス宮内オーナーから説明を求める。楽天、横浜の問題だけでなく、株取得による複雑な相関図が浮き彫りになって、球界はさらにうごめきそうだ。
オリックス小泉球団社長はあくまで投資の一環と反論した。本社による出資の有無については明言を避けたが「MACアセットマネジメントとオリックスが連結している訳でもない」と強調。その上で「あくまで投資目的であって、ファンドの当事者(村上氏)も経営支配目的でやっているのではないと公表されてますから。私共にも協約違反にあたるという意識はありません」と話した。阪神球団株の上場問題については「オリックスの意見は固まっていない」と話すにとどめた。