わたしはかもめ2005年鴎の便り(10月)

便

10月23日

日本シリーズ…千葉ロッテ10−0阪神(千葉マリン)

ロッテが12安打10得点、日本シリーズ初の2試合連続2ケタ得点で2連勝を飾った。ロッテは2点リードで迎えた6回、サブローの1号2ラン、フランコの2者連続となる1号ソロ、李の2試合連続となる2号2ランの3ホーマーが飛び出し、5点を追加。さらに8回、今江がタイムリーを放ち、シリーズ記録を更新する8打席連続安打をマーク。この回、計3点を挙げ、連夜の2ケタ得点を達成した。ロッテ先発・渡辺俊は4安打無失点で史上11人目となるシリーズ初登板初完封を記録した。阪神は散発4安打に抑えられ連敗。

123456789R
阪神0000000000
千葉ロッテ11000503x10
今江
「チームに勢いがありますから、それに乗せられていることが大きいですね。記録は知っていました。新聞を見ていたら載っていたので。それに球場でも周りから言われました。22試合連続試合ヒットの時、打ちたいという気持ちが強過ぎて失敗したので、平常心を心がけたのが良かったですね。打ちたい、打ちたいではなく、基本通りに狙いました。勉強しました。昨日良かったので、同じリズムでやりました。打順が2番から8番に下がって、ホッとしましたよ。ありがとうという感じです(笑)。最後のヒットは力みました。誰かがラッキーボーイになると思っていましたが、まさか自分がなるとは思っていなかったですよ(笑)。」
渡辺俊
「緊張感はなかったです。プレーオフの方がありました。プレーオフの経験は大きかったです。今日はシーズンと変わらず、平常心で投げることを心がけましたが、それができました。それに(相手が)慣れていない分、高めの球に手を出してくれたので助かりました。3回はバントをやめてくれましたが、バントがなくなっても右打ちされたら同じことですからね。上手く切り抜けました。それに、6回のピンチをしのいだことが大きかった。交流戦では7回を3安打に抑えていたのですが、慢心して打たれました。あの時のことを思い出したので、もっと丁寧に投げました。今日の勝利は嬉しいですけれど、まだ途中。自分でも抑えているんです。」
サブロー
「打ったのは多分ショートだと思います。初戦からインコースが多かったので、インコースは意識していました。打った瞬間感触がありました。僕の場合は打った瞬間じゃないとスタンドに届かないから。求めていたバッティングができましたね。第1、第2打席凡退したけれど、状態は悪くなかったです。第2打席は三振したけれど、次はいけるなって感じました。プレーオフは、もう本当にどん底でしたから。でも、僕が打つとみんな打つんで、僕が目立たないんですよ(笑)。」

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史上初の2戦連続2ケタ得点

◇2戦連続4安打も初

今江が1戦の第1打席から8打席連続安打。66年2〜4戦で柴田(巨人)が2四球を挟んでマークした7打数連続安打を抜くシリーズ新記録となった(連続打席安打は98年大塚の6打席が過去最多)。1試合4安打は23度目のタイ記録だが、1人で2度は黒江(巨人)が69年6戦と70年5戦、駒田(巨人、横浜)が87年1戦と98年5戦で記録したのに次いで3人目。2試合連続4安打はシリーズ史上初めてだ。

◇6連打は3度目

ロッテがシリーズ史上初の2試合連続2ケタ得点をマークした。6回には3本塁打を含む6連打で5点。シリーズで1イニング6打数連続安打は、78年6戦阪急が5回(1犠打挟む)、03年2戦ダイエーが2回(6打席連続)にマークしたのに次いで3度目のタイ記録。また、1イニング3本塁打以上は78年6戦阪急が5回に記録して以来、27年ぶり6度目。2試合連続3本塁打以上は78年1、2戦ヤクルト、81年4、5戦巨人に次いで3度目と、記録ずくめの攻撃を見せた。

日本シリーズ・イニング最多本塁打
チーム年(回戦)相手打者
4巨人72(5)阪急3王、長嶋、黒江、森
3巨人53(2)南海7※与那嶺、千葉、南村
巨人63(7)西鉄4柴田、王、池沢
巨人69(6)阪急6※王、長嶋、黒江
阪急78(6)ヤクルト5島谷、ウイリアムス、福本
ロッテ05(2)阪神6サブロー、フランコ、李

※は三者連続

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ボビー興奮!猛爆連勝[デイリー]

これでもか、これでもかと打ちまくっての12安打10得点。シリーズ初の2試合連続2けた得点で、阪神投手陣を粉砕した。バレンタイン監督の「ナイスチーム!!ナイスチームデスネ〜!!マ〜タシマショウ!!」という意味不明?な発言も飛び出す。猛虎を子供扱いするような完璧な展開に、ボビーの思考回路も吹っ飛んだ。

22日の第1戦で2安打を放った福浦が腰痛で離脱。プレーオフで故障した堀、小坂の復帰のメドも立たない。「堀、福浦らを欠いて、シリーズを戦うのは厳しい」。だが、そんな指揮官の不安も全員野球で一掃した。

序盤はシリーズで絶好調の若手・西岡、今江が打線を引っ張った。6回はサブローだった。プレーオフ第2ステージでは18打数3安打と不振にあえぎ、優勝を決めた瞬間に涙をこぼした男が、「下半身を使って打つことを思いだした」と左翼へ貴重な2ランを打ち込んだ。フランコが2者連続弾で続き、第2ステージ第5戦で、代打の代打を送られた李には2試合連続弾も飛び出し一挙5点を加えた。

主力が離脱しても、だれかがカバーする。死闘を繰り広げたプレーオフで苦しんだ選手達が、シリーズで大きな力を発揮している。指揮官は「プレーオフを戦い、選手が自信をつけているのは確かだ」と話す。

さぁ甲子園だ。「ミナサ〜ン、イッショニ、コウシエンヘ、イキマショ〜!!」。ボビーが26番目の戦士達に呼びかける。本拠地・千葉マリンで最高のスタートを切った。もうここへは戻らない。大きな力を受け、ボビーの体は日本野球の聖地で舞う。

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シリーズ新、今江8連続H[デイリー]

「デヘヘへ…今はもう、野球が最高に楽しいです!!」。“ゴリ”の愛称に相応しく、大好物になった「シリーズ記録」をむさぼり食った。流星のごとく誕生したシリーズ男・今江だ。

シリーズ新、8打席連続安打の金字塔。そして1度、やってみたかった夢もかなった。「陸斗!やったよ!」お立ち台で、生まれたばかりの長男の名前を叫んだ。

虎党が束になってヤジっても、止められない。2回、5回に安打を放ち、6回1死。「平常心でセンター返しや!」。江草の真ん中123キロを狙い通りに中前へ運び、第1戦から7打席連続安打。シリーズ新記録だ。

8回1死三塁からは、「ちょっと力んだ。きれいに打てんな」と言うように、外角直球を打ち上げた。が、シリーズ男にはツキもある。白球は二塁手の頭上を越え、右前にポトリ。「8打席連続安打」「初打席から8連続安打」を達成した。

「まさか自分がねえ〜」とにやけっぱなしだ。第1戦で、まずは史上13人目の「シリーズ初打席初本塁打」でデビュー。そのまま4打席4安打を放ち、タイ記録の1試合4安打。濃霧7回コールドとなり“1試合5安打”は夢となったが、連打ショーは終わらない。打率は驚異の10割だ。

シーズンでは、8月に「背番号8」の先輩、ミスター・ロッテ有藤道世氏の記録を超え、22試合連続安打を達成した。大舞台ではPL学園の先輩清原の異名『お祭り男』を継承だ。2軍時代、その清原から「おう、頑張っとるな」と声をかけられた。「めちゃめちゃ嬉しかったです」。意志は受け継いだ。

さあ甲子園だ。「目指すは頂点!」。マンモスのば声を快感に、夢の記録を更新する。

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渡辺俊が無四球完封[デイリー]

スコアボードに並んだ9つの「0」は、サブマリンの誇りだ。シリーズ初登板で無四球完封勝利。渡辺俊が史上3人目の快挙を達成した。

100キロを割るカーブと、タイミングを絶妙に外すシンカー。「高めを振ってきてくれたんで」と、猛虎打線をわずか4安打と術中にハメた。バレンタイン監督も「打撃のリズムを崩す彼の特徴が、まさに表れた」と大きくうなずく。

中学時代、父の勧めで下手投げを試みた。赤ん坊のころ、手ではなく足の指をおしゃぶりしたほど軟らかい体だった息子に、素質があると見抜いたからだ。国学院栃木高時代は西武・小関の2番手投手。必ずしも野球エリートではなかったが、“非主流派”に活路を見いだし、最高峰の舞台で、技巧派としての存在感を揺るぎないものにした。

ロッテ党の“俊介コール”に、声高らかに応えた。「ここに帰ってくるか分かりません」−。

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渡辺俊が初登板完封[ニッカン]

渡辺俊が投げれば、マリンガン打線が爆発する。今季のロッテ快進撃の法則は、日本シリーズでも生きていた。大量点を背に、悠々とシリーズ初登板完封の快挙。出迎えにマウンドへ来たバレンタイン監督から肩をもまれて「嬉しい。シーズンと同じようにたくさん点を取ってもらい、気持ちよく投げることができた」と笑みがはじけた。

勇気のいる高めのコースを効果的に使った。6回1死一、三塁の危機で打席にシーツ。初球に94キロのスローカーブでタイミングを外し、最後は内角高めシンカーで詰まらせ、二塁ゴロ併殺だ。「狙い通り。セの打者は慣れてないので、高めを振ってきてくれると思った」と手玉に取った。

楽天を26−0で完封した開幕2戦目を筆頭に、リズムの良い投球で打線を乗せ、大量援護を受けた試合が多かった。この日も「打たれて相手に勢いを与えたくない。起こしたくない打者が多い」と気持ちを緩めず無四球完封だ。パ優勝に王手をかけたプレーオフ3戦目では、7回零封の好投も延長サヨナラ負けを喫した。「野球の怖さを感じた。いい経験をして、今日に生きた」と振り返った。

リーグMVPの有力候補となる活躍を見せてきた。その要因を「家族のおかげ」と明かす。「年中緊張するときつい。オン、オフをはっきりした」という。明子夫人(30)は新日鉄君津時代のマスコットガールだ。まず登板直後は飲酒もしてリラックス。そして次回登板3日前から「嫁も試合に全精力を注ぐ」と支える。「集中力が落ちる」とテレビをつけても映画を見たりせず、ゲームも控える。腕を守るために1歳の長男向輝君も抱かなくなる。

「『何もしなくていいよ』といわれるから、楽です。冷蔵庫にすら何も取りにいかなくてもいい。冷蔵庫には麦茶、お茶、ウーロン茶、ジュース、アイスコーヒー、紅茶…。隙間が全くないほど全種類揃っている」と感謝した。12月には第2子が誕生予定。「優勝にちなんだ名前を付けたい」と励みとなっている。バレンタイン監督は「どの球種も制球が良かった。素晴らしい投球」と称えた。展開がもつれれば、最終7戦目に登板する。「その前に優勝したいが、最善の努力をする」。ロッテは、一分のスキもなく甲子園に向かう。

橋本
「緩急を使えたし、いつも通りのリードができた。俊介さまさまです。」
日本シリーズ初登板完投投手
投手(所属)相手(回戦)スコア投球回打者安打四死球奪三振
51藤本英雄(巨人)南海(1)5−09361017
別所毅彦(巨人)南海(2)7−0933614
53入谷正典(巨人)南海(5)5−0932606
61スタンカ(南海)巨人(1)6−0927313
79鈴木啓示(近鉄)広島(2)4−0931619
85池田親興(阪神)西武(1)3−0934614
89香田勲男(巨人)近鉄(4)5−0935358
90渡辺智男(西武)巨人(3)7−0937535
98斎藤隆(横浜)西武(3)4−0930313
00高橋尚成(巨人)ダイエー(5)6−09302012
05渡辺俊介(ロッテ)阪神(2)10−0930404

◇5年ぶり11人目

渡辺俊が00年5戦高橋尚(巨人)以来、11人目のシリーズ初登板完封勝利を記録した。2ケタ得点差の完封勝利は、52年2戦藤本(巨人)が南海相手に11−0で記録して以来、2人目になる。今季の渡辺俊は3月27日楽天戦で26−0、5月8日の横浜戦で18−0の完封を記録しているが、シリーズでも大量援護を気にせずスイスイ投げきった。ロッテは1戦の清水も完投しており、1、2戦共完投勝利は79年近鉄(井本、鈴木哲)以来8チーム目。連続完投勝利スタートは、過去7チームのうち6チームが日本一になっている。

日本シリーズ・2ケタ得点差完封試合
年(回戦)チームスコア相手
52(2)巨人11−0南海
94(1)西武11−0巨人
03(2)ダイエー13−0阪神
05(2)ロッテ10−0阪神

◇ロッテ第3戦は小林宏

ロッテのバレンタイン監督が第3戦の先発投手を明かした。この日の試合後、「小林宏でいきます」と明言した。小林宏は試合前にブルペン入りし「調子はバッチリです」。第3戦は髪を編み込んだコーンロウ・スタイルで気合を入れている右腕に託すことになる。ロッテは24日、甲子園で練習を行う。その後、あらためて先発を予告する予定だ。

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今江8打席連続安打[ニッカン]

◇シリーズの顔だ、第1戦から全部ヒット!!新記録達成

霧が晴れたら、記録ラッシュの夜だった。ロッテはサブマリン渡辺俊介投手(29)が史上11人目の初登板初完封すれば、打線も史上初の2戦連続2ケタ得点と爆発。第1戦で4安打2打点と大暴れした今江敏晃内野手(22)がこの日も4安打とこちらもシリーズ初で、8打席連続安打の新記録まで樹立した。濃霧コールド勝利の「珍勝」から一夜明け、この夜も10−0と圧勝。25日、敵地甲子園での第3戦でバレンタイン監督(55)率いるボビー・チルドレン軍団が31年ぶり日本一へ、一気に王手をかける。

内角球をフルスイングする。右へ、だ。記録ではなく、今江が勝利のために右打ちする。8回裏1死三塁。既に7打席連続安打のシリーズ新記録を樹立していた4打席目だった。フラフラッと上がった打球は、ダイビングする二塁手の後方に落下した。初戦から凡打なしの8打席連続安打。記録より、打点にベース上で笑みがあふれた。

止まらない。2回の1打席目に右前打。5回にも中前打でタイ記録。6回には3本塁打が出た直後の執拗な中前打で新記録を達成。前夜の2番から8番に打順が変わったことにも「ホッとしたというか…。あっありがとうございます」と前向きにとらえていた。連夜のお立ち台では「陸斗、やったよ」と、14日に生まれたばかりの長男の名前を叫ぶ。ラッキーボーイの笑みがはじけた。

苦い経験がある。今季は22試合連続安打を記録も8月18日の西武戦でストップ。打ちたい気持ちが前に出る。途絶えた後、西武カブレラの構えをまねたり、試行錯誤を繰り返した。首位打者争いも最後の最後で脱落。この日の記録も「22試合の時に色々勉強させてもらったからだと思う」と繰り返す。たどり着いたのは「センター返しで自分を落ち着かせようと。同じリズムで打席に入ろうと思った」と打席の前の動きを一定にした。

ネクスト打席に入る前、革手袋のベルト部分を締めない。両足を大きく上げてから、バットのグリップにスプレーする。「ジャンプしたりして待ってます」。構築した自分の儀式は、決戦でも同じだった。「4打席目はイメージ通りでした。ヒットが出るなら、ああいう形になると」と、苦悩の日々が結果をイメージできる域まで導いていた。

お祭り男にはPL学園の先輩にもあたる清原がいる。「いやいや、まだまだです。あんな偉大な方と…」と恐縮しまくった。だがシリーズ男に浮上した自負はある。「誰かが出るやろなと思ってたけど、まさかボクがこういう形に出るとは思わなかった」。連続記録を続行したまま敵地に乗り込むが「甲子園はね、ボクはあまりいいイメージがないんでね。2連勝で10−0なんて、後が怖いですね」と手綱を締めた。今江が輝き続ければ、頂点は見えてくる。

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またボビー采配、次々的中[ニッカン]

◇大きいプポ効果

またもやボビー・マジックだ。バレンタイン監督の采配が次々に当たる。シーズンわずか4安打の塀内を2番に起用し、初回に犠打を決める。3番に上げDH起用の里崎は6回に安打で出塁し、生還。前日4安打ながら8番に下げた今江はこの日も4安打。9番で先発マスクの橋本は8回にダメ押し三塁打だ。

ここまでチームが機能するには、しっかりした準備が必要だ。ロッテはプレーオフ中も、統計アナリストのプポ氏を中心に、阪神の公式戦全試合のデータを蓄積。同氏は「毎日、ミーティングだよ。攻撃陣もそうだけど、投手だって2日で被安打9。主軸の前に走者を出さないし、赤星には野手の間に打たせない。完璧だろ」という。

バレンタイン監督が打順を考える方法について、プポ氏は「複雑すぎて説明できない」という。指揮官の頭には、相手投手との相性やカウント別の打撃成績などに加え、7回以降限定の得点圏打率など、細部にわたる記録がインプットされているからだ。

同時に、2回に李が安藤に13球を投げさせて四球を選んだように、ナインに「クオリティ・アット・バット(安打でなくても意味ある打席)」の意識が高いから、打線がつながる。試合後、「ナインにはアドバイスは何もしてないよ。彼らは素晴らしいプロだし、自分達で何をすべきか知っているから」と話した同監督。「準備と信頼」。それがボビー・マジックの正体だ。

◇福浦腰痛欠場でロッテ打線変更も関係なし

ロッテ福浦和也内野手(29)が23日、腰痛のため日本シリーズ第2戦(千葉マリン)のベンチ入りメンバーから外れ、欠場した。病院には行かなかったが試合前のフリー打撃は行わず、アイシング治療を受けた。前日の第1戦は3番一塁で先発出場し4打数2安打と好調だったが、バレンタイン監督は「腰の張りが強かったんで1試合休ませた」と説明。「第3戦には万全で戻ってきて欲しい。(同じく腰痛の)堀に関してもそう。彼らがいないと厳しい」と、甲子園での復帰に期待した。

◇ロッテのオーナー代行興奮

ロッテ重光オーナー代行は、連勝に興奮ぎみだった。試合後にロッカー室前まで行き、記者に囲まれているバレンタイン監督に手を振って祝福。「プレーオフで死闘を演じてきただけあって、シリーズの重圧もなく伸び伸びやっている。強くなったと感じます」と嬉しそうに語った。ただ「阪神はいいチーム。まだ分かりません。甲子園も行くつもりです」と付け加えることも忘れなかった。

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李2戦連発左腕攻略[ニッカン]

「アジアの大砲」が決戦の舞台で目覚めた。6回、ロッテ李が第1戦の井川に続き同じ左腕江草から右翼席へ特大2ラン。「交流戦で三振に打ち取られていた。昨日と今日と左投手から打てて嬉しい」。この回3発目の特大アーチで阪神に引導を渡した。

この2戦目に照準を合わせていた。「先発は右。第1戦より、この試合に備えてテンションを上げてきた」と安藤対策を練っていた。2回の第1打席は13球粘って四球で出塁。6回は投手が江草に交代しても、過去の対戦イメージから戸惑いはなかった。

日本一になりたい理由がある。優勝チームが進出するアジアシリーズには、韓国代表で古巣サムソンが出場。李も対戦を熱望する。ネット裏には偵察部隊が先乗りしており「先輩の皆さんの前で打てたことは嬉しい」と李。母国で「ライオンキング」とも呼ばれた男が、トラを圧倒した。

シリーズ第1、2戦連続本塁打
選手(所属)相手
58豊田泰光(西鉄)巨人
61穴吹義雄(南海)巨人
63ウイルソン(近鉄)巨人
72長池徳二(阪急)巨人
76王貞治(巨人)阪急
78マニエル(ヤクルト)阪急
81ソレイタ(日本ハム)巨人
85バース(阪神)西武
90デストラーデ(西武)巨人
91デストラーデ(西武)広島
99秋山幸二(ダイエー)中日
00城島健司(ダイエー)巨人
02カブレラ(西武)巨人
03城島健司(ダイエー)阪神
04和田一浩(西武)中日
05李承Y(ロッテ)阪神

◇サブロー1号

ロッテのサブローが6回に、リードを4点とする価値あるシリーズ1号を左翼席に放った。不調だったプレーオフから調子が上向いた。きっかけは亡き恩師の「アドバイス」。02年まで打撃コーチを務め昨年7月に急死した高畠康真さんがシリーズ直前、袴田バッテリーコーチの夢に現れて、「サブローにもっと野球を楽しめと言っておいてくれ」と告げに来たという。その一言を聞き「気持ちが吹っ切れました」。

フランコ
「自分の前でいい仕事をしてくれたから、何とか続きたいと思っていた。」(6回、サブローに続く2者連続本塁打)

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今江8打席連続安打、ロッテ連日の10点[スポニチ]

史上初の快挙に千葉マリンが沸いた。23日の日本シリーズ第2戦は、シリーズ史上初の2試合連続2ケタ得点を記録したロッテが10−0で阪神を圧倒し2連勝を飾った。今江敏晃内野手(22)は4打数4安打と爆発し、第1戦から8打席連続安打のシリーズ新記録をマークした。31年ぶりの日本一へあと2勝。25日から甲子園に場所を移し、第3戦で一気に王手を狙う。

勝利の余韻が残る幕張の夜空に、今江の応援歌が力強く響いた。2万8354人で埋め尽くされたスタンドから「熱くなれイ・マ・エ!」の大合唱。トレードマークの笑顔をはじけさせた22歳の若武者は、帽子を取って何度もスタンドの歓声に応えた。

ミラクルボーイだ。22日の第1戦で史上13人目となる初打席初本塁打を達成しただけじゃ満足できない。この日も2回に右前打すると、5、6回は連続中前打。第1戦から第2戦にかけて日本シリーズ新記録となる7打席連続安打を打ち立てた。

「朝、自分の新聞記事を読んで、記録のことは知っていた。無理だとは思ったけれど1打席目でいい感じで安打が出たので思い切ってやろうとした」。8回の1死三塁ではドン詰まりの打球を右前にポトリと落として記録を8打席連続に更新した。「やっぱり(7〜8月に記録した)22試合連続安打の経験が大きい。あの時は開き直ってフルスイングしたら(記録が)止まってしまった」。基本に忠実に、あくまでもセンター返し。プレッシャーに耐え抜いた経験が大一番で生きた。

チームメートからは「ゴリ」と呼ばれている。01年のドラフト3巡目でPL学園から入団し、当時のコーチ陣から名付けられた愛称だ。ゴリラのように力強く、そして目標である「ノリ」こと中村紀洋(現ドジャース)のようになってほしいとの願いが込められている。同じ関西出身で強肩強打の三塁手。自宅にはルーキー時代にその中村からプレゼントされたグラブが今も飾られている。

今季からミスターロッテと呼ばれた有藤通世氏(本紙評論家)の背番号を背負っている。「ロッテで1番世間に誇るべき背番号をつけている今江が、記録を達成したことはやるべきことを成し遂げているから」とバレンタイン監督。この日は2番から8番へと打順を変更したが、どんなオーダーにでも柔軟に対応できる今江への信頼は厚い。

「阪神はまだまだこんなものじゃないと思っている。これからも1球1球、集中して頑張りたい」。舞台は甲子園に変わるが勢いはそのまま。シリーズ打率は1.000。ゴリのバットがチームを日本一へと導く。

◇ビックリ塀内

またボビーマジックだ。2番・二塁で先発に抜擢された6年目の塀内が、初回無死二塁からきっちり投前へバント。つなぎ役の仕事を果たして先制点を演出した。今季わずか15試合の出場で先発はたった2試合だけ。試合前は緊張した表情だったが6度のゴロをはじめ無失策と完璧な守備をみせて「もう必死。ホッとしました」と試合後は笑みをこぼした。

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渡辺俊、危なげなく4安打完封[スポニチ]

ベンチ裏で報道陣に対応していた渡辺俊の顔が一気に緩んだ。「パパ、パパ」。園川投手コーチに抱かれた1歳7ヶ月の長男・向輝(こうき)くんが手を振っていた。「球界で1番ボールが遅いパパだよお」と園川コーチ。「言っていることが分かる年なのでやめてください」と照れ笑いした。

地面スレスレの下手から繰り出されるサブマリン投法で4安打完封。3回無死一、二塁はバントを試みる藤本を高低をつけた投球で追い込み、一邪飛。後続も内野ゴロで仕留めた。6回1死一、三塁はシーツを内角シンカーで二ゴロ併殺。90キロ台の変化球と120キロ台の直球を織り交ぜチームを連勝に導いた。

日本シリーズ初登板で完封するのは00年の巨人・高橋尚以来11人目。チームでは初めてだ。初登板で、しかも無四球完封を達成したのは過去に2人しかいない。「本当に嬉しい。プレーオフを経験して大舞台を楽しめるようになった」と笑顔がはじけた。

交流戦で対戦したデータに加えて、さらなる研究も怠らなかった。セ・リーグにも自身と同じ極端に下手から投げる投手は不在。そこで広島の小山田、梅津ら横手投げに阪神打線がどう対応しているかを夜中までビデオで研究。快投につながった。

バックネット裏には向輝くんを抱く明子夫人(30)の姿があった。12月には第2子を出産予定。「ハラハラ、ドキドキするので」と胎児への影響に配慮し、今季は極力、観戦を避けてきたが、今年最後の登板になるかもしれない夫の晴れ舞台に足を運んだ。渡辺にとって、夫人とお腹の子供を不安にさせる投球だけはできなかった。

今季はチームトップの15勝。プレーオフでも2試合で計14回を1失点だった。この試合、マウンドで感情を表したのは試合終了の瞬間だけ。この結果は必然でもあった。

シリーズがもつれれば第7戦に先発する予定。「準備だけはしておきます」。会見を終えた“2児のパパ”は、笑顔で家族の元へと向かった。

◇橋本“最高女房”

シリーズ初出場の橋本が渡辺俊に首を1度も振らせない好リードで完封を演出。打席でも8回、今季初となる三塁打で10点目を叩き出した。前日、6月5日の交流戦で阪神相手に渡辺俊を9回1失点と好リードしたビデオを自宅へ持ち帰り再チェック。高低を使ってゴロを打たせるイメージ通りの投球内容に「三塁打はまぐれだけど、完封は充実感がある。嬉しい」と胸を張った。

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止まらないロッテ打線、サブロー4番弾[スポニチ]

何という破壊力だ。2戦連続の2ケタ10得点。千葉の夜空に舞った3発の花火がシリーズ史上初の快挙を彩った。「今年のチームは、ずっとビッグイニングをつくってきた。昨日も今日もそれが出せた」。2−0の6回、バレンタイン監督自慢の連打が一気に機能した。

まずは4番のバットが強烈なボディーブローを放つ。1死から里崎が左前打で出塁すると、サブローが左翼ポール際に1号2ランだ。「何とかつなごうと。本当のクリーンアップは5、6、7番ですから」。“ボビーマジック”の象徴である、つなぎの4番らしいセリフだった。プレーオフ第2ステージでは3戦目から無安打。重圧を感じ始め、好機でことごとく凡退した。迷える4番にシリーズ開幕の22日、袴田バッテリーコーチが声をかけた。ロッテの元打撃コーチで昨年すい臓がんで他界した高畠導宏氏が夢に出てきた話を聞かせたのだ。「サブローに、もっと野球を楽しめって言ってくれって」「ホンマですか!」。高畠氏の写真を財布に携帯するサブロー。亡き師匠の天国からのアドバイスに「気分が楽になった」と下半身主導の打撃を取り戻し、豪快な1発を生んだ。

4番の復活にフランコも右越え1号ソロ。さらにベニーが左翼線二塁打でつなげば、李スンヨプが2戦連発の2号2ランを右中間に叩き込んだ。「何よりも、昨日も今日も先発で出られたことが嬉しい」。03年に韓国で56本塁打のアジア記録を樹立したライオンキングが虎の息の根を止めた。トドメとばかり今江も中前打で怒涛の6連打、5得点。8回にも3点を加えて快挙を達成した。

バレンタイン監督は言った。「みんな素晴らしいプロの打者。私が言葉をかけなくても自分達でやるべきことを理解して実力を発揮してくれる」。25日の第3戦。日々進化していくマリンガン打線が敵地でも大暴れする。

◇3番里崎口火打

里崎がプロ初の3番で先発。6回にバットを折りながら左前打し6連打の里崎口火を切った。「3番?いつもと変わらない。しょぼいヒットだったから相手のショックが大きかったんじゃない」。今季は捕手2人がポジションを替え先発出場することは5回あり、里崎はきっちりDHの役目を果たしたが、目標はあくまでお立ち台。「ゴリ(今江)に持っていかれてる」とうらやましそうにヒーローインタビューを眺めていた。

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ミスターロッテだ今江!MVPもらった!シリーズ新8の8[サンスポ]

連勝だ!!強すぎるッ!!地元で波に乗るロッテは先発の“サブマリン”渡辺俊介投手(29)が阪神打線を4安打完封、打っても“ゴリ”今江敏晃内野手(22)が日本シリーズ新記録の8打席連続安打をマークするなど、3本塁打を含む12安打の猛攻。シリーズ初の2試合連続2ケタ得点となる10−0で阪神に連勝した。25日から舞台を甲子園に移して第3戦が行われるが、ロッテの強さはホンモノ。勢いはもう止まらないッ!!

魂のこもった打球が二塁手の頭を越えた。その瞬間、2万8354人のスタンドからはどよめきと大歓声。日本シリーズ新記録となる8打席連続安打。一塁ベース上で今江の笑顔が弾けた。

今江
「記録は少し意識していました。でも、無理やろなって。すごく嬉しいです。」

7点リードで迎えた8回1死三塁。江草の3球目を振り抜くと、右前にポトリ。渋い打球だったが、シリーズ史を塗り替える一打となった。

第1戦で2番に抜擢されると先制アーチを含む4安打と大活躍。この日は8番で臨んだが、2回の第1打席に右前打を皮切りに2夜連続の4安打。31年前のチームリーダー有藤道世氏から“ミスター・ロッテ”を継承した背番号『8』は、従来の6打席連続を一気に2打席も更新。今回のシリーズでは全打席安打という快進撃だ。

ノリノリの若者は、チームでも人気者。チームメートからは、その風貌から『ゴリ』の愛称で親しまれる。この日先発の渡辺俊とは同じ美容院に通う仲。渡辺俊は「オレが紹介したから調子良くなったんじゃない?」とゴリのブレークぶりを勝手に分析する。

1、2戦の活躍で、早くもMVP確実の呼び声も高い。短期決戦には必ずラッキーボーイが誕生するが「誰か出るやろなと思ってたけど、まさか自分がなるとは。びっくりです」と本人も戸惑い気味だが、打席に立てば安打が出るという打ち出の小づち状態。今江が爆裂モードに突入した。

◇4番・サブローが復活の1発

プレーオフ第2ステージから前日まで22打数4安打(打率.182)。不振にあえいでいた4番・サブローが、6回1死一塁から左翼ポール際へ復活の1発を放った。「うまいこと打てました。自然とガッツポーズが出てしまいました」。そしてこの回は6連打5得点の猛攻。「ウチは5、6、7番がクリーンアップ。本当の主軸につなげました」とおどけて見せた。

◇続いたフランコ弾

サブローの2ランから2球後。次打者・フランコが右翼席へ2者連続のアーチを架けた。「うまく打つことができたね。サブローがいい仕事をしたから、何とか続きたかったよ」。メジャー時代にプレーオフ出場経験もある強力助っ人。「チームは非常にいい雰囲気です」と頼もしい。

◇李が2戦連発

李承Yが6回、2戦連発となる2ランを右中間席へ叩き込んだ。「自らテンションを上げて打席に入りました。集中することができた」。それでも、笑顔だったのはここまで。低めのボール球に手を出してしまう場面も多く「もっと四球で塁に出ることができた。修正して次の試合に臨みたい」。鋭い眼差しは早くも甲子園を向いていた。

◇この日の“マジック”は2番・塀内

この日の“ボビー・マジック”は2番でスタメン起用した塀内。第1戦、2番で4安打の今江を8番に下げ、今季レギュラーシーズンで先発出場わずか2試合の6年目の伏兵を抜擢した。スタメン発表にスタンドも一瞬どよめいたが、1回無死二塁からキッチリ投前に犠打を決め、先制点をお膳立て。「緊張したに決まってるじゃないですか」と試合後も興奮気味だった。

◇福浦が腰痛でベンチ外れる

福浦和也内野手(29)が腰痛のため、日本シリーズ第2戦(千葉マリン)のベンチ入りメンバーから外れた。病院には行かず、今後の出場は当日の様子を見て決める。

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ロッテ連勝!渡辺俊4安打完封!史上初2試合連続2ケタ得点[サンスポ]

連勝だ!!強すぎるッ!!地元で波に乗るロッテは先発の“サブマリン”渡辺俊介投手(29)が阪神打線を4安打完封、打っても“ゴリ”今江敏晃内野手(22)が日本シリーズ新記録の8打席連続安打をマークするなど、3本塁打を含む12安打の猛攻。シリーズ初の2試合連続2ケタ得点となる10−0で阪神に連勝した。25日から舞台を甲子園に移して第3戦が行われるが、ロッテの強さはホンモノ。勢いはもう止まらないッ!!

猛虎打線をモノともしない。サブマリン渡辺俊が日本シリーズの桧舞台でデッカイ仕事をやってのけた。史上3人目となるシリーズ初登板での無四球完封で、31年ぶりの日本一の夢をグッと手元に引き寄せた。

渡辺俊
「平常心。シーズン中と同じ気持ちで投げました。打線も点を取ってくれて、気持ちよく投げることができました。」

お立ち台では口調こそ淡々としていたが、快投に胸を張っていた。地上スレスレ5センチから放たれる“魔球”がさえた。6月5日の交流戦で対戦してはいるが、4ヶ月半ぶりに体験する“俊介ワールド”に、阪神打線もなす術がなかった。

激戦のプレーオフを経験して、サブマリンはさらに一回り、グレードアップしていた。

6回1死一、三塁のピンチ。自分のすぐ左を通過するシーツの打球をあえて捕球せず、2塁手に任せた。「あそこ(二塁ベース付近)に守っているのは分かったし、変に捕りにいって、弾いてもね」と冷静な判断で二ゴロ併殺に切り抜ける。

さらに6回終了時で7点の大量リードも「起こしたくない打者もいるから」と絶対に気を緩めなかった。思い起こすのは15日のプレーオフ第2ステージ第3戦(ヤフードーム)。先発した渡辺俊は7回無失点で降板したが、9回に守護神・小林雅が4点差を同点とされて延長で敗れた。これで勢いに乗ったソフトバンクに連敗を喫した。

勝負は、特に短期決戦は1つのプレーで流れが変わる。だからこそ最後まで全力で抑えた。終盤はたった1人の走者も許さず、シーツ、金本、今岡の中軸を計10打数無安打。寝た虎を起こすことはない、3戦目以降も眠っていてもらおう、という訳だ。

連勝して、25日からは敵地・甲子園に乗り込む。「素晴らしい球場で、素晴らしいファンに囲まれて野球をするところ。いい試合を期待している」はバレンタイン監督。最後はまた右翼席に向かって「ミナサン、イッショニ、コウシエンニ、イキマショウ!!」。もう地元に戻るつもりはない。敵地でイッキにトドメを刺す。

その時
一塁側の内野スタンドでは渡辺俊の両親、夫人の明子さん、長男・向輝ちゃん(1つ)が完封勝利を見守った。渡辺俊がお立ち台に上がると最前列の席で向輝ちゃんを抱いた父・秀夫さん(58)が祝福の声援を送った。「(6回の)1死一、三塁のピンチも抑えるんだから、まだまだ成長してますね」と秀夫さんは息子の雄姿に感激の表情。試合後は、園川ブルペン担当コーチが、報道陣に囲まれる渡辺俊に向輝ちゃんを抱いて渡すなど、家族愛いっぱいの風景に包まれた。

◇橋本えぇ女房

渡辺俊をリードした橋本は「俊介さまさまだけど、僕も自信になる」と胸を張った。「イメージ通りの攻めができた」とポイントに挙げたのが6回1死一、三塁。マウンドで渡辺俊と「ゲッツーだぞ」と確認し、シンカーでシーツを二ゴロ併殺打に仕留めた。8回には適時三塁打を放ち、打撃でもアピールした。

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渡辺俊、初登板無四球完封[報知]

◇日本シリーズ第2戦

シリーズ初登板で完封!ロッテ・渡辺俊介投手(29)が史上11人目の偉業を成し遂げた。サブマリンから繰り出す緩急をつけたピッチングに、猛虎打線はわずか4安打。無四球での初登板完封(史上3人目)というおまけまでつく、危なげないピッチングだった。打線に大量の援護をもらいながらも、最後まで自分のペースを崩さなかった。

押し寄せる祝福の嵐の中で、サブマリンに優しい瞳が戻った。大歓声に包まれ、さわやかな笑顔がはじける。細身の右腕が猛虎を手玉に取った。4安打シャットアウト。「本当に気持ちよく投げられました」。打のヒーロー・今江と万歳三唱を繰り返しながら、渡辺俊は勝利の余韻に浸った。

無風の千葉マリンで、風を感じていた。「平常心でいこうと決めていました。チーム全員にいい風が吹いていますね」。2度のピンチを冷静にしのぎ、勝利を運んだ。3回、連打で招いた無死一、二塁。藤本に送りバントを許さない。シンカーと直球で追い込み、カーブで一邪飛。流れを渡さなかった。

2度目のピンチは芸術的に切り抜けた。6回、再び連打で1死一、三塁。「セ・リーグの打者は高めを振ってくれますからね」。内角高めからシンカーを落とすと、シーツを注文通りの二ゴロ併殺。最大の危機を切り抜けた渡辺俊を妨げるものは、もうなかった。残り7イニングは全て3者凡退。2000年高橋尚(巨人)以来5年ぶりのシリーズ完封を無四球で飾った。

大舞台の免疫は十分。プレーオフを経験した渡辺俊の心にはアドバンテージがあった。「第1ステージは緊張感があったけど、だんだん舞台を楽しめるようになってきました」。第2ステージ第3戦では7回無失点と好投しながら、9回に小林雅が4失点炎上。「野球の怖さを学んだ」という1戦を糧に、最後まで集中力を保ち続けた。

大きな目標がもうすぐ実現する。地道に努力を重ねてつかんだプロへの切符。「日本一のアンダースローを目指したい」プロ入りした00年に立てた誓いは、もう少しで現実のものなる。「日本一?まだ分かりませんよ。僕の中では抑えてるものがあるんです」と高ぶる感情をしまい込み、歓喜の瞬間を待っている。

次回登板は第7戦。最終戦にもつれ込めば、完全無欠のサブマリンは再び千葉マリンに降臨する。「僕は背番号1をつけたことがないんですよ」。野球を始めた小1から大学時代まで、1度もエースになれなかった男のサクセスストーリー。あと2勝で、夢はかなう。

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今江がシリーズ新記録、8打席連続安打[報知]

◇日本シリーズ第2戦

ロッテが日本シリーズ史上初の2試合連続二ケタ得点と、渡辺俊の完封で連勝した。1回に今岡の失策で先制。2回に橋本の併殺打の間に2点目を挙げ、主導権を握った。爆発は6回。サブローの左越え1号2ラン、フランコの右越え1号ソロ、李の連夜の右中間2号2ランで5点を追加。8回にも江草の3暴投、今江のシリーズ新記録となる8打席連続安打、橋本の右中間適時三塁打で合計12安打、10得点を挙げた。阪神は渡辺俊の遅いカーブに崩され4安打。シーツ、金本、今岡の主軸が無安打と沈黙した。

レコードラッシュが止まらない。大音量の「今江コール」はいつまでも鳴り響く。シリーズ新記録となる連続安打は背番号と同じ「8」まで伸びた。2夜連続のお立ち台。「陸斗(りくと)、やったよ〜!!」14日に生まれたばかりの長男へ向けたメッセージが、幕張の夜空にとどろいた。「1度、言ってみたかったんですよ」カクテル光線に照らし出された笑顔がまぶしく映った。

ホームラン、バント安打も交えて4安打を放った前夜(22日)。打順は2番から8番に変わったが、勢いは持続させた。2、5回の安打であっさりと6打席連続安打のシリーズタイに並んだ。「1、2打席で安打が出て、周りからちょこちょこ(記録を)言われましたね」しかし、周囲の雑音にも動じず、6回の第3打席では、江草のスライダーをきれいに中前へ。あっさりと新記録を打ち立てた。

失敗を糧にした。7月17日から8月17日にかけて“ミスター・ロッテ”の有藤通世氏を上回る22試合連続安打をマーク。それでも、当時を「打ちたい、打ちたいという気持ちが出てしまった」と振り返る。記録が途絶えた後は、力みの目立つ打撃で不振に。3割4分近くあった打率は3割1分まで下がって、レギュラーシーズンを終えた。

「22試合で止まった経験は大きかった。色んな勉強ができました」と今江。過ちは2度も繰り返さない。大記録を前にしても「平常心で、力を抜いて、センター返しで」と呪文のように唱え続けた。そして、快打は生まれた。

8回の第4打席でも、内角球に詰まらされながらも二塁後方にポトリ。“シリーズ男”には、運も味方についている。スタンドでは「IMAE 8 Mr.October(10月)」のボードも揺れた。「良いこと尽くめの1年。最後にチームが優勝できたら1番良いですよね」。今江の終わりなきヒットパレードは、そのまま「日本一」への道しるべとなる。

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マリンガン爆発!シリーズ初2戦連続10点[報知]

◇日本シリーズ第2戦

記録ずくめの大勝で、ロッテが連勝。31年ぶり3度目の日本一に大きく前進した。ロッテは6回、サブロー、フランコ、李承Yの3アーチで、この日も阪神投手陣を粉砕し、10−0の大勝。2試合連続の2ケタ得点、今江の8打席連続安打は、いずれもシリーズ史上初の記録になった。本拠地連勝スタートのV確率は73%。第3戦は25日、場所を甲子園に移して行われる。

本拠地を包んだ大歓声は、とどまることなくマリンの空にこだました。シーズンでチーム打率リーグNO.1を誇った打線の破壊力は本物。2試合連続の2ケタ安打と史上初となる2試合連続2ケタ得点。セ界制覇を遂げた虎投のプライドを、ロッテ打線が2夜連続でズタズタに切り裂いた。

悩める4番が“祭り”の幕開けを告げた。2点をリードした6回、今季初めて3番に入った里崎が左前安打で出塁した1死一塁。安藤の132キロ、シュートをはじき返したサブローの打球は、黄色に染まった左翼席中断へと吸い込まれた。貴重な追加点となるシリーズ1号2ラン。4番の約1ヶ月ぶりとなる意地に満ちたアーチが、ビッグイニングへの呼び水となった。

続くフランコは動揺を隠せない安藤の2球目を右翼席へ運ぶ。さらに、ベニーが左翼線二塁打を放った直後、代わった江草から李承Yが右中間スタンドへ2試合連続の2号2ランを放り込むと、もう止まらない。今江が左前安打で6者連続安打のシリーズタイ記録をマーク。一気に試合を決定づけた。

「昨日から内角が多かったので内角を意識していた。いい打ち方をしないとファウルになっていた。上半身でなく、下半身で打てるようになってきている」と自画自賛のサブロー。プレーオフ第2ステージで18打数3安打、1打点と苦しんだ主砲は大きな1発で完全復活を告げた。

大阪出身で幼いころから阪神ファン。自前のユニホームを着て甲子園に通った。「相手が阪神じゃなかったら、ここまで燃えてなかった」。熱く燃えた結果が、皮肉にも愛着ある縦縞のユニフォームに袖を通した猛虎党の歓声を悲鳴に変えてしまった。

さらに心を揺るがす出来事もあった。先日、袴田バッテリーコーチから生前、コーチとして指導を受けた「高畠(導宏)さん(享年60歳)が夢に出てきた」と聞かされた。その中で師匠は「もっと野球を楽しめ」と説いたという。第1戦の試合前、袴田コーチからそのことを耳にして肩の力が抜けていくのを感じていた。

プレーオフ7戦で2本塁打のチームが日本シリーズの舞台に立ち、2戦で7本塁打と大物打ちに変化した。「特にバッターにアドバイスはしていない。素晴らしいプロのバッター達だし、自分達で何をすべきか把握してくれている。その力を発揮してくれたのだと思う」。組んだ打線が当たっての会心の連勝劇。しかし、バレンタイン監督は慎重に言葉を選んだ。焦る必要はないという考えからだ。自信を取り戻した主砲を核に据えた打線に、死角は全く見当たらない。

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ロッテ11・20Vパレード早くも決定[報知]

ロッテが23日、祝勝会とパレードのスタンバイに入った。祝勝会は千葉マリンで日本一を決めた場合は一塁側の駐車場、甲子園の場合は神戸市内の宿舎で実施する。千葉マリンの一塁側駐車場は通常、ロッテ選手が利用。リーチがかかった場合は祝勝会の会場として使用するため、瀬戸山球団代表は「選手にはタクシーで来てもらうかもしれない」と話した。第4戦か第5戦(甲子園)で日本一が決まった場合には、神戸市内の宿舎が会場となる。第2ステージ終了後、球団関係者を神戸に派遣して詳細の打ち合わせを済ませており、準備に抜かりはない。また、優勝パレードを11月20日に行う方針も決定。千葉マリンのある幕張エリアは規制が厳しいことから、千葉駅周辺を中心にルートの選定を進めていく。

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ボビー絶賛「世界で最高」[ニッカン]

日本シリーズ史上初の2試合連続2ケタ得点にバレンタイン監督は「彼らは自分達が何をすべきかを理解している」と冷静に語った。選手に浸透した「つなぎの意識」が大舞台で生きている。2点リードの6回。1死無走者から里崎の左前打の後、サブローがファウルで粘って失投を呼び込み、左翼席へ2ラン。フランコがソロ本塁打、ベニーが二塁打を打ち返し、李が2試合連続アーチで、今季1度しかなかったイニング3本塁打を記録した。続く今江も安打してシリーズ記録に並ぶ6連打で、ダメ押しの5点。傑出した打者がいないのに、リーグ1位の打率2割8分2厘と740得点で爆発力は証明済み。大リーグで指揮を執っていたバレンタイン監督から「世界中で最高の野球ができている。彼らを誇りに思う」と喜ばせたのだから、この強さは本物だ。

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今江が快記録8連打[ニッカン]

ロッテ今江が8打席連続安打で、シリーズ連続打席安打の新記録をマークした。3本塁打などで5点を追加し、ほぼ勝敗の帰趨が決した6回1死走者なしの場面でも気持ちを切らすことなく中前に安打し、新記録を樹立。「記録は知っていたんで、嬉しい」と笑みを浮かべた。さらに8回には「イメージ通り」と振り返る二塁手の後方に上がった飛球が、グラウンドにポトリと落ち、記録を8に伸ばした。スコアボードのシリーズの打率表示は、「1.0」(10割)のままだ。基本はセンター返し。「打ちたい、打ちたいではなく、基本通りに(中堅を)狙った」と言う。激闘のプレーオフの合間に、長男の陸斗君が誕生した。精神的な支えができたことで、プレーへの集中が高まる。若武者の勢いがロッテの今を象徴している。

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4番サブロー2ラン[ニッカン]

6回1死一塁、サブローの「打った瞬間に本塁打と分かった」という打球が左翼スタンドに飛び込んだ。6回表のピンチをしのいだ後の1発はチームを勢いづけ、フランコのソロ、李の2ランを誘発。勝負はここで決まった。シーズン後半から4番を任されてきたが、プレッシャーは重くのしかかった。プレーオフ第2ステージでは18打数3安打の不振。そんな迷える4番にシリーズ前、袴田バッテリーコーチが声をかけた。「俺の夢に高畠さんが出てきて『サブローにもうちょっと楽にプレーしろと言ってやれ』と言われたんだ」。高畠さんは昨年7月に亡くなった。球界の名コーチとして数々の打者を育て、02年限りでロッテを退団するまでサブローも指導を受けた。師匠の言葉に気を楽にしてシリーズに臨んだ。第1戦の2点二塁打に続く2ラン。輝きを取り戻した4番は「最高の舞台の中で試合ができて幸せ」と満面の笑みを浮かべた。

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