わたしはかもめ2005年鴎の便り(10月)

便

10月25日

日本シリーズ…阪神1−10千葉ロッテ(甲子園)

ロッテが3連勝で31年ぶりの日本一に王手をかけた。ロッテは2回ベニーの犠飛で先制。その裏同点に追いつかれるが、4回今江の適時内野安打などで2点を挙げ勝ち越しに成功。7回には代打橋本・西岡の連続適時打、福浦の史上17人目となる満塁弾など打者11人で7点を追加し3試合連続の2ケタ得点を記録した。阪神は、2回関本の内野ゴロで同点に追いつくが、その後はロッテの投手陣から点を奪うことができず3連敗であとがなくなった。なお、8打席連続安打中の今江は第1打席、空振り三振に倒れ記録がストップした。

123456789R
千葉ロッテ01020070010
阪神0100000001
小林宏
「マウンドの傾斜が気になりました。オールスターの時に投げて分かってはいましたが、試合当初は難しかったです。上半身と下半身のバランスが合わなかったですね。でも、ピンチを最少失点で切り抜けたあたりから、感覚が良くなりました。交流戦では外の真っ直ぐと高目を打たれたので、真っ直ぐも変化球も低め低めを意識しました。金本選手をノーヒットに抑えることができましたが、打席ではものすごく雰囲気があったので、絶対に気持ちでは負けられないと思って向かっていきました。スタンドの歓声は、バッターに集中していれば気になりませんでした。マウンドを下りたらものすごく聞こえるけど、投げているときは聞こえなかったです。腰は全く問題ないです。」
今江
「記録は全く気にしていなかったので、三振したけれど思い切って行こうという気持ちは同じでした。逆に記録は止まったけれど、状況に応じてしっかり仕事をしようという気持ちでした。その気持ちが後のヒットにつながったと思います。ツキもありますね。野球の神様が舞い降りてくれています(笑)。あれで次も思い切り行けました。今は心から楽しもうと思って開き直っています。明日も油断しないで自分の仕事をするだけです。」
橋本
「ボール球を振らず、フルカウントになったので真っ直ぐを狙っていました。次の1点を取ると楽になる展開でしたからね。準備はできていません。ベンチに座っていたら、いきなり呼ばれました。まあ、あれこれ考えずに打席に入ったのが良かったんですかね。緊張する暇なく打席に立ちました。明日は油断せずに1勝。バットはもちろん、明日はキャッチャーをしっかりやります。」
福浦
「7回は満塁だったので初球を狙っていました。腰は大丈夫です。マッサージもしっかりやってもらってるし、今日1日やっても全く問題ありませんでした。あと1勝については、集中してみんなで野球をやるだけです。残り試合全力で頑張ります。日本シリーズ2戦目も出たいと思っていたけど、監督に休めと言われたので、休ませてもらいました。」
「みんなのおかげです。気負いはなかったです。残り試合で迷惑を掛けた分、取り返しますよ。もう腰は万全です。」
薮田
「緊張はなかったですね。最後はいい形で終われて良かったです。とにかく、自分のピッチングをしようと心掛けました。プレーオフの方が緊張しましたね。いい経験になって生きています。」

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マリンで跳べない!PVなしで抗議600件[ニッカン]

日本シリーズで、パブリックビューイング(PV)を千葉マリンスタジアムで行わないことに、千葉の“居残り”ファンから抗議が殺到している。PVはパ・リーグのプレーオフ時は行って、約2万人が集まった時もあった。主催したロッテ球団では「東京モーターショーなどと重なり、安全を保証できる警備などが確保できない」として、31年ぶりの優勝が懸かる26日も行う予定はないという。球団のホームページには25日だけで電子メールでの抗議が約600件に上った。

◇近くでモーターショー、警備員数を確保できず

球団がPVを開催しないことをホームページ(HP)で発表したのは25日午前0時過ぎだった。「お問い合わせいただいておりますパブリックビューイングは、日本シリーズでは行われません」。開催できない理由は書かれていなかった。

この対応に、早くも投稿コーナーにファンから抗議のメールが殺到した。その数約600件。コールセンター担当者は「携帯電話とパソコンから、ほぼ同じ300件ずつぐらいメールがきている。電話でも57件のご意見をいただいた」と話す。

内容は「球場が空いているなら入れて欲しい」「31年ぶりなので頼む」「PV開催を考える余地はないのか」というものが大半だった。

PVはパ・リーグ、プレーオフでは、ソフトバンクとの福岡での試合5試合で行われ、約5万9000人を集めた。特に第3戦では約2万人がマリンスタジアムに集まった。

今回PVを開催しないことについて、球団側は「近くの幕張メッセで東京モーターショーの開催があり、警備が重なっている。安全を保証できる警備配置数を確保できない」と説明する。

東京モーターショーは11月6日までで、民間の警備も平日600人、休日800人を配置しているという。

ロッテが31年ぶりの優勝を目指し、ここまで全3試合圧勝で王手。甲子園に行くことができなかった千葉“居残り組”のロッテファンにとっては「聖地」であるマリンスタジアムで飛び跳ねながら応援するのが、心の拠り所だった。

マリンスタジアムでのジャンプは無理でも、心は甲子園の応援組と一緒になって、4連勝での歓喜を迎えることになるのだろうか。

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ロッテ王手!3戦連続10点[ニッカン]

強い!ロッテが、甲子園に舞台を移した第3戦も10−1と阪神に大勝。無傷の3連勝で、31年ぶり日本一へ王手をかけた。3−1で迎えた7回には、今シリーズ初登板のJFKの一角、藤川をも攻略。この回、福浦の満塁本塁打など打者11人の猛攻で一挙7点を奪い、試合を決めた。3戦連続2ケタ得点は日本シリーズ新記録、投手陣も3戦で計2失点と投打とも絶好調で、26日の第4戦で一気に決めてしまいそうな戦いぶりだ。

◇ボビー叫んだ、ナイスゲーム、マタアシタ、カチマショー

歓声と怒号が飛び交う甲子園でも、ロッテの勝利の儀式は変わらなかった。「ナイスゲーム!マタアシタ、カチマショー!」。ナインを出迎えたバレンタイン監督が叫んだ。3戦連続10得点。しかも相手の切り札、藤川を攻略しての圧勝。ダメージも与えて、日本一へあと1つとした。

藤川には、1イニング目の6回こそ3人で抑えられた。しかし、続く7回に襲いかかる。敵失の後、「シリーズ男」今江がすかさず右中間へ二塁打を放ち、無死二、三塁。ここから、代打策と各打者のしつこさが、藤川を追い込んでいく。代打フランコがカウント2−0から粘り、最後は完全にフォークを見切って四球を選び、無死満塁。続く代打橋本も、フルカウントまで持ち込んだ。シーズン255打席で48四球と選球眼の良い橋本は「真っすぐしかない。ボール球だけ振らず、コンパクトにスイングすることを心がけた」と148キロの速球をドンピシャでとらえた。中前へライナーで達する2点適時打。バレンタイン監督は「相手のリリーフ陣は素晴らしいが、粘っていい球を呼び込んだ」と振り返った。

これで藤川をKOすると、一気にたたみかけた。1点を追加し、なおも無死満塁の好機が続き、福浦がトドメを刺す。桟原の内角高め直球を振り切ると、ライナー性の打球はあっという間に右翼席最前列に飛び込んだ。3戦連続10点目となる満塁弾だ。三塁側ベンチで歓喜のハイタッチをかわした直後には、スタンドから氷入りのプラスチック製コップが投げ込まれ、福浦が辛うじてよけるシーンもあった。あまりに大きな一挙7点の猛攻。「もう、こっちの流れだったので甘いボールが来たら初球からいこうと思っていました」。甲子園に場所を移しても、球場の空気を支配したのはロッテだった。

圧巻の3連勝は、シリーズに入っても決して無理をさせないバレンタイン監督の起用法がもたらしたものでもある。同監督は腰痛気味の不動の3番福浦を、23日の第2戦にベンチ入りもさせず欠場させた。福浦もその気遣いを理解。塗り薬、コルセットを持ち歩き、前日は風呂に20分間、3度つかるなどしてスタメン復帰にこぎつけ、大仕事をやってのけた。2番堀もそうだ。パ優勝を決めた17日のプレーオフ最終戦中に腰を痛め、シリーズはこの第3戦が初出場だった。4回の勝ち越しは、その2人が足がかりをつくった。先頭の堀が右打ちで突破口を開き、福浦が詰まりながらも中前打で続いて好機を広げ、併殺崩れと今江の適時内野安打での2点につなげた。

優位な展開で藤川を引きずり出し、叩きのめすことに成功。バレンタイン監督は「2人が休んで、しっかり体調を整えて活躍してくれた」と振り返った。

阪神の熱狂的な応援にも同監督は「チームが怖じ気付くことはない。楽しみながら野球をやっている」と力強い。「とてもいい試合だった。だが、あと1つ勝たなければ終わりではない。明日はシリーズ4戦目の試合。まだまだ先は長いと思っている」と気の緩みもない。26日、4連勝で日本一を決めても、決して不思議ではない。

◇3戦史上最多

ロッテは7回、福浦の満塁本塁打などで7点を挙げた。シリーズの満塁本塁打は通算17本目。失策で出塁した里崎から福浦まで連続で得点し、イニング7連続得点は58年2戦巨人が1回、63年7戦巨人が4回、84年6戦阪急が3回にマークしたのに次いで4度目のシリーズタイ記録。この日も10点を挙げ、シリーズ初の3試合連続2ケタ得点に加え、3試合で30点も昨年2〜4戦中日の27点を上回り最多。今江は10安打となり3戦までに10安打は02年二岡(巨人)の9本を上回り最多と、記録ラッシュとなった。

◇3連勝スタート、V確率81%

ロッテがシリーズ史上初の3試合連続2ケタ得点で3連勝。3試合とも先制したロッテは阪神に1度もリードを許していない。無傷の3連勝は17チーム目だが、1度もリードを許さなかったのは51年巨人、58年巨人、67年巨人、70年巨人、90年西武に次いで6チーム目。過去、3連勝スタートは16チームのうち13チームが優勝しV確率81%と、ロッテが断然有利になった。また、ロッテは中日と対戦した74年が●○●○○○だから、これでシリーズ6連勝。シリーズ6連勝以上は、88、90、91年西武8連勝、00、02年巨人8連勝、75、76年阪急7連勝、60、98年横浜(大洋)6連勝に次いで5度目。

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今江3戦計10安打[ニッカン]

阪神藤川攻略の立役者はノリに乗っているロッテ今江だった。7回表、無死一塁。「特に何も(藤川に対する)指示はなかったんですけど。僕の場合はまた、無死一塁でサインが出てなかったんで。思い切って打ったれと」。フルスイングで右中間二塁打を放ち、一挙7点の足がかりを作った。

続く代打フランコが8球粘った末に四球で出塁。同じく代打の橋本も中前打で、好機を広げた。今江は「本当にみんなが『1つずつつないで』という結果がああいう大量点につながりました」と、ロッテ打線を分析する。

2回表の第1打席で三振を喫し、連続打席安打は「8」でストップした。だが4回表、ボテボテの三塁内野安打でチームの3点目をたたき出した。「あのセーフティーバントみたいなやつで、まだツキがあると思いました。打点もついたし」と、照れ笑いしたラッキーボーイはこの日も2安打で3戦計12打数10安打。

あと1勝で日本一。それでも「プレーオフで王手をかけてから苦しんだので、みんな浮ついた気持ちはない。明日の試合も1球1球集中してしっかりやりたい」と、若武者はいう。今江の言葉はロッテ全員の姿勢そのものだった。

「腰はもう大丈夫。何も考えずに臨んだ。」(初出場で4回に右前打)
西岡
「桟原さんは高校(大阪桐蔭)の先輩。負けたくなかった。」(7回に適時打)

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小林宏も虎封じ[ニッカン]

◇先発防御率0.82

ベースカバーでは、もういつものロッテ小林宏だった。6回裏2死三塁。阪神金本を変化球でゴロに取る。捕球した一塁福浦がそのままベースに入った。ベンチへ戻る足は、1時間前にはない感覚を取り戻している。6回まで1点に抑え込んだ。

王手にも興奮した様子はない。「(甲子園は)すごい気持ちよかったですよ。投げている時は(相手大声援は)耳に入ってない。降りたら聞こえます」。2つの難題が試合前と開始直後に存在した。腰の張りとマウンドの不具合だった。

2回裏には桧山を追い込みながら、四球を与える。過程で落ちる球を右翼方向へファウルされ、首をかしげてた。制球がままならない。「上半身と下半身のバランスが全然悪かった。初めは投げにくかった。オールスターの時もそうで、分かってたんですけど」。試合前からの腰が、自分への不信感を募らせる。

直後の打撃が転換期だった。3回表の1打席目。遊ゴロで「一塁まで走って逆に良くなったんですよ」という。今季、交流戦で打率3割を記録した「打」から「走」への動きが、本来の「投」をよみがえらせた。以降は無失点。変化球を低めへ抑え、チェンジアップに活路を見いだした。修正能力の高さだった。

反射神経が良く、今季は何度も打球に足を出して止めようとし打撲した。「無意識に出てしまう。とっさにトラップしようとしちゃう」。幼稚園からサッカーをやり、プロサッカー選手になるのが夢だった。だが小学校にチームがなく「あったらサッカーをやっていた。野球をやっている自分はいなかったと思う」という。日本野球最高峰の場で「足力」が自らを救った。

バレンタイン監督は「素晴らしいガッツを見せてくれた」と目を細めた。3人目の先発小林宏も好投し、シリーズ3戦で許したのはたった2点、タイムリー0。投手力も、王手まで運んだ。

ロッテは1戦清水、2戦渡辺俊に続いて先発の小林宏が勝利投手。1戦から3戦まで先発投手が3連勝は、51年巨人(藤本→別所→松田)、57年西鉄(稲尾→河村→稲尾)、67年巨人(金田→堀内→城之内)、02年巨人(上原→桑田→工藤)以来5度目だ。ロッテ先発投手の防御率は公式戦が12球団トップの3.18で、プレーオフは7試合(1S、2S通算)で1.85、今シリーズは3試合で0.82。先発投手が抜群の安定感を見せている。

◇OFYが好継投

第1、2戦共先発の完投で出番がなかった救援陣がシリーズ初登場。7回から小野−藤田−薮田が好継投を見せた。小野は1死から連打されたが、関本を遊ゴロ併殺打。藤田は警戒したいた赤星をきっちり三振。薮田は金本と桧山から空振り三振を奪うなど、揃って充実の内容だった。

◇5戦目あればルーキー久保先発

ロッテが、27日の5戦目があった場合の先発にルーキー久保康友投手(25)を起用することが25日、分かった。同じく先発候補だった黒木が、この日ベンチ入りして中継ぎ待機。久保はベンチを外れた。久保は「登板?それについては何も言えない。いつでもいける準備はしています」と頼もしかった。

今季は10勝3敗をマークし、新人王の最有力候補だ。先発陣が豊富なことから、これまでポストシーズンでの登板はなかった。20日にフェニックスリーグ(2軍教育リーグ)で登板した際は6回2/3で8失点したが「セ・リーグのボールが合わなかったこともある。実戦から離れていたし感覚をつかめたことは大きい」。第1戦で好投した清水の中4日登板はなく、シリーズもシーズン中と同様に余裕を持ったローテーションで臨む。

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ボビー代打的中!藤川KO[ニッカン]

3試合連続の圧勝劇だ。歓喜の選手に向かってロッテのバレンタイン監督が「明日も勝ちましょう」と日本語で絶叫した。日本一にあと1勝に迫った。

3−1の7回に7点を奪った。先頭の里崎が失策で生き、今江の二塁打、フランコの四球で無死満塁。リードを確実に広げたい場面。ここで指揮官が動いた。6回1失点の小林宏に代打を送った。右腕の藤川に対して左打者。ここまで2戦2本塁打の李という選択肢もあったが、バレンタイン監督はあえて橋本を指名。「練習中から橋本には雰囲気があったんだ」。指揮官に迷いはなかった。橋本は藤川の変化球を見送り、際どい直球はファウル。最後はフルカウントからの直球を中前に弾き返した。2点打となり、藤川をKOした。「全員が打席で集中し、楽しんでいる」とバレンタイン監督。王手にも「(第4戦も)あくまでも4つ目の試合。ここまでやってきたことを継続するだけ」と手綱を締めた。

◇福浦ダメ押し満塁弾

腰痛で第2戦を欠場したロッテ福浦が先発に復帰し、7回にダメ押しの満塁本塁打を放った。制球が定まらない桟原の初球の直球を叩く。「狙っていた。結果的に本塁打だったが、みんながつなぎ役になっていたからだよ」とチームメートに感謝した。前日は腰痛の回復に努めた。「腰を温めようと思って、風呂に3回ぐらい出たり入ったりした」という懸命の調整が実った。頼れる3番打者は「1球1球集中するだけ」と第4戦へ目を向けた。

◇今江連続安打止まる

ロッテ今江がまた活躍した。第1打席の三振で連続打席安打は8で止まったが、2安打1打点で勝利に貢献。「記録は残念だが、状況に応じた仕事をしようと思った」と気持ちの切り替えが功を奏した。4回2死一、三塁の第2打席では三塁前へのボテボテのゴロを全力疾走で適時打にした。「つきがあると思った。あれで次も思い切り行けた」。7回は藤川から二塁打を放ち、7得点の猛攻を呼び込んだ。日本一まであと1勝。「今は心から楽しもうと思って開き直っている」。何げない一言がロッテの勢いを象徴していた。

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ロッテ日本一確率は8割超[スポニチ]

過去第1戦から3連勝した、延べ16チーム(引き分けを含む)のうち13度が日本一となっており、ロッテの日本一の可能性は8割1分3厘。過去6チームが4連勝で日本一を決めていて、ロッテが第4戦も勝てば、02年の巨人(対西武)以来。一方、3連敗から4連勝は、58年の西鉄(対巨人)、86年の西武(対広島)、89年の巨人(対近鉄)の3度。阪神は4度目の“奇跡”に向け、きっかけをつかめるか。

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ロッテまた10得点!日本一王手[スポニチ]

夢が叶うまであと1勝だ。日本シリーズ第3戦は25日、舞台を甲子園に移して行われ、ロッテが10−1と阪神を圧倒。シリーズ記録を更新する3戦連続の10得点で31年ぶりの日本一に王手をかけた。先発の小林宏之投手(27)が6回1失点と好投、打線も7回に代打・橋本将捕手(29)が中前2点適時打、最後は福浦和也内野手(29)の満塁弾でとどめを刺した。狙うは一気の4連勝。26日にもバレンタイン監督が宙に舞う。

甲子園の魔物もマリンガン打線の前では出る幕がなかった。3試合連続の2ケタ10得点。シリーズ記録を更新する破壊力にバレンタイン監督は誇らしげに胸を張った。

バレンタイン監督
「打者はみんな集中力があり、とても自信を持って打席に入っている。ゲームを待ち切れない感じで楽しんで野球をやっている。それがいい結果につながっている。」

圧巻は3−1で迎えた7回だ。日本シリーズ初登板の藤川に対して、先頭の里崎が失策で生き、今江が右中間二塁打、代打フランコが粘って歩いて無死満塁。先発の小林宏に打席が回ったところで指揮官が動いた。

左の代打は2戦連発中の李承Yではなく橋本だった。「朝からずっと橋本が大きなヒットを打ってくれると予感していた。フィーリングだね」。左投手に代わる可能性も考え、右の初芝と垣内を用意。「李の打席を無駄にはできない」と温存した。

レギュラーシーズンの橋本は四球の数で李の33個に対し、48個という選球眼を誇る。「低めのボール球を振らないようにした」。変化球を見送り、ファウルで粘る。最後はフルカウントからの9球目、甘く入った148キロ直球を中前にはじき返した。「小林宏の代打だったので何としても打ちたかった。監督が予感?打ったから言っているんじゃないですか、ハッハッハ」。藤川を攻略した2点打でベンチは押せ押せムード。西岡の適時打に続き、再び無死満塁で福浦が桟原から右越え満塁弾。7者連続得点で一気に7点を挙げた。

「こっちの流れだったので、甘いボールが来たら初球からいこうと思っていた」と福浦。腰痛で第2戦を欠場。本人は出場に前向きだったが、指揮官は前日の移動日も含めて2日間休養させた。「休んだことによって体調を整え、素晴らしい結果を出してくれた」。ここでもボビー流の選手起用が的中。三塁ベンチには怒った虎党からメガホンや氷が投げ込まれたが「そういったことがあっても怖じ気付く選手はいない」と言い切った。

3連勝で一気に王手。だが、バレンタイン監督は言った。「あくまで4つ目の試合。今シーズンやってきた野球をそのまま出すだけ。明日も勝ちましょう」。31年ぶりの日本一まであと1勝。力強く成長したナインの、熱いファンの夢が叶うまで、ボビーの魔法は解けない。

◇祝勝会準備OK

ロッテの祝勝会会場となる新神戸オリエンタルホテルは、準備に追われた。会場となる10階の屋外広場には、ビンを落としても割れないように床に人工芝を敷く徹底ぶり。シャンパンはリーグ優勝時と同じ260本、ビールはその際の3100本よりも増やす予定だという。日本一になれば、同ホテル初のビールかけ開催。担当者は「今回はやりますよ。2日間でマジック1ですから。私も水中眼鏡を購入済みです」と張り切っていた。

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小林宏「コーンロウ」に戻して虎狩り![スポニチ]

痒い。もう我慢できない。試合後の会見で、小林宏は後頭部、側頭部を何度もかいた。髪の毛をトウモロコシのように編み込む自慢の「コーンロウ」で臨んだ大舞台で6回を3安打1失点。おしゃれな“イケメン右腕”が、小気味いい投球で猛虎打線を翻弄した。

初回は不慣れなマウンドに苦しんだ。2回1死二、三塁からは内野ゴロの間に1失点した。試合前から腰に張りを感じ、体調万全ではなかった。

しかし、3回の打席が転機となった。結果は遊ゴロ。だが、一塁への走塁を終えて腰の痛みは“ふっ”と消えた。「あの走塁で体が慣れました」。3回以降は変化球も低めに決まって無失点。大事を取って6回で降板し、勝利の瞬間を待った。

西武とのプレーオフ第1ステージを前にあこがれの大リーグ・レッドソックスの右腕アローヨをまねて、頭髪を「コーンロウ」とした。9日の第2戦では勝利投手となったが「洗えなくて痒い」という理由で登板後に髪形を戻した。だが普段の髪形で臨んだソフトバンクとの第2ステージ第4戦は敗戦投手に。21日のシリーズ開幕前夜に再び“変身”し、痒みにも耐えながら快投を演じてみせた。

今季は12勝を挙げた。5月には長男・夢行(ゆあん)君が生まれた。会見後、帰りのバスへと向かう通路で阪神・岡田監督とバッタリ出くわした。敵将は軽く会釈すると、視線をそらした。今季最後になるはずの登板は敵将に“顔も見たくない”と思わせる快投だった。

思わぬ遭遇でイヤ〜な汗をかいたせいか「ちょっと痒いです」とポリポリ。それでも力強く言い放った。「今回は元に戻しません!」。もちろん、チームが日本一に輝くまでだ。

◇救援陣ピシャリ

9点差のついた7回から小野、藤田、藪田が無失点リレー。いずれもシリーズ初登板だったが、まずまずの内容だった。8回、赤星を空振り三振に仕留めるなど2奪三振の藤田は「点差は離れていたけど、赤星を出すと勢いに乗るから」としてやったり。9回を3人で締めた藪田も「そう簡単な相手じゃないと思うけれど、プレーオフの経験が生きている」と勢いの差を口にした。

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今江、記録止まっても“ツキ”止まらず[スポニチ]

甲子園に充満した溜息が心地いい。一塁を駆け抜けた今江は思わず照れ笑いだ。4回2死一、三塁、下柳のシュートに体勢は完全に崩されたが、必死にボールに食らいつくと打球はまるでセーフティーバントのように三塁前へ転がった。

「前の打席で三振していたから何とかバットに当てようとした。ヨッシャーと思って走りましたよ」。シリーズ開幕から8打席連続安打。第1打席では下柳のフォークに空振り三振し、記録は止まったが「何とも思わなかった。それよりもあの“セーフティー”でまだツキがあると感じた」と言う。第3打席の7回無死一塁では藤川の149キロを右中間へ運び、この二塁打がこの回7得点を呼び込んだ。

今江にとって甲子園は鬼門だ。PL学園2年時の00年の夏の甲子園では智弁和歌山に7−11で大敗。自身は5打数無安打だった。交流戦は12打数5安打と打撃で気を吐いたが2戦連続で失策を犯した。「甲子園にはいい思い出がない」とこぼしていた。

しかし、そんな今江を奮い立たせる出来事があった。今月、中学時代に汗を流した京都の少年野球チームに所属する13歳の少年が練習中の熱中症で亡くなった。甲子園を目標とし、プロ野球選手になることを夢見ていた後輩の死を知ると、少年の両親に背番号8のユニホームを贈った。

色々な人の思いを背負って、野球をできる幸せを噛み締めた。だから笑顔でガムシャラにプレーする。「プレーオフは王手から苦しんだ。楽しもうとしたけれど、なかなかできなかった。だから日本シリーズは心の底から楽しもうと決めたんです」。

12打数10安打。打率.833で、MVPレースの最有力候補だ。「MVPなんて言わないでください。打てなくなったら困りますから」。31年ぶりの日本一へ王手をかけた。もう甲子園に魔物はいない。誰よりも野球を楽しんでいるのが今江だ。

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ロッテ王手!3戦連続10得点!甲子園でもボビーマジック[サンスポ]

敵地・甲子園でもロッテの勢いは衰えなかった。1−1の4回、シリーズ男・今江敏晃内野手(22)の適時内野安打などで2点を挙げると、7回に代打・橋本将捕手(29)の適時打、福浦和也内野手(29)の満塁弾などで7点を加え、3試合連続の2ケタ得点で10−1と大勝。26日、ボビー・バレンタイン監督(55)率いるロッテが、史上7度目となる4連勝で、31年ぶりの日本一に輝く。

強い、強すぎる。ロッテが3戦連続2ケタ得点、2ケタ安打の3連勝。逆襲を信じた甲子園の虎党も悲鳴を上げるしかない。シリーズ史上、最強打線を襲名するマリンガン打線にあって、この日も今江が、キラリ輝きを放った。

今江
「記録が止まったけど、その後も状況、状況で仕事をしようと思っただけ。藤川さんはスゴイ投手だし、打てたのは奇跡に近い。今は心底から楽しんでやってやろう、という気持ちです。」

シリーズ記録の8打席連続安打をひっさげ、迎えた敵地初戦。注目の2回の第1打席は、下柳のフォークに空振り三振。記録は「8」で途絶えたが、ここからがシリーズ男の本領発揮だった。

4回2死一、三塁で、タイムリー内野安打。再び“安打製造ライン”に乗ると、見せ場は7回無死一塁だ。マウンドには、阪神の誇るJFKの1人、藤川。6回にはクリーンアップが凡退。流れが相手に傾きかけたそのとき、“F”の自慢のまっすぐを右中間に運ぶ二塁打だ。この1打が利いて、一挙7点のビッグイニングを呼び込んだ。

3戦を終え12打数10安打、打率.833。昭和37年の吉田義男(阪神)の持つ、シリーズ最多安打記録の16本(7試合)に猛烈に迫る驚異の数字が生まれている。

こんなサプライズを演出しているのも、やはり“ボビー・マジック”だった。第1戦から2、8、7番と打順を替えるが、面白いほど今江の打順に好機が巡り、今江が作った好機が得点に結びついていくのだ。

実は、バレンタイン監督と、今江の絆は春のキャンプのときから、固く結ばれていた。夕食後に行われた夜間練習には、毎日5人を指名していたが、バレンタイン監督は、フランコ、初芝と熾烈な三塁争いをしていた今江をいつも指名していた。

毎晩2時間、ユニホームを真っ黒にしながらフルスイングを続ける若者の姿に、「これだけ才能が溢れる選手はいない」と、バレンタイン監督も、今季のスパークに胸が躍るのを抑え切れなかった。

愛弟子・今江が打線を引っ張り、甲子園でも勢いを見せつけた“ボビー・ロッテ”。史上7度目のストレートの4連勝での日本一に、力強く王手をかけた。

「いい試合だった。ただ、明日、大事な試合が残っている。王手?先は長いものだと思っているが、ベストを尽くすだけだ」。

31年ぶりの頂点に向けあと1勝。バレンタイン監督は、ナインを頼もしそうに見つめていた。

裏話
敵地入りした24日に、バレンタイン監督はこの日の今江の打席を予言していた。「甲子園ではアウトになるだろう。でもその後もヒットを打ってくれると思っている」と、今江の精神力の強さに期待していた。帽子のツバに「頂点」という2文字を書き「何でも1番になりたいから」という今江とバレンタイン監督の思いは、もちろん「日本一」で一致している。

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小林宏ナイスピー!憧れの甲子園「気持ちよかった」[サンスポ]

大観衆の声が全く耳に入らなかった。いや遮音したと言った方がいいかもしれない。ヤジが飛び交う敵地、甲子園。第1、2戦では清水、渡辺俊がそれぞれ完投勝利。色んなプレッシャーがあるはずの試合で、小林宏は自分の投球だけに集中した。

小林宏
「序盤はバランスが悪く、構えているところと逆にいっていた。それでも(2回の)ピンチを最少失点で切り抜けたのが大きかった。」

1点リードした2回、先頭の今岡を左前打、続く桧山に四球を与えた。しかし、後続を断ち1失点で堪えると、3回には交流戦以来の打席が回ってきた。遊ゴロに倒れたものの「一塁まで走ったらよくなった」とニヤリ。安打こそ出なかったが、得意の打撃で、リズムをつかんだ。

今まで縁もゆかりもなかった球場だが、今年は、何かと縁があった。春日部共栄時代、叶わなかった甲子園出場を後輩が8年ぶりに遂げ、「バットやタオルを贈りましたよ」と果たせなかった夢の実現を、自分のことのように喜んだ。また、甲子園で行われた球宴では念願のマウンドを経験した。2回4安打1失点とイマイチの内容にも遅めの“甲子園デビュー”に笑顔を浮かべた。

そして、この日の大一番。6回3安打1失点と好投。終わってみれば自慢の強心臓が数あるプレッシャーもあっさりはね除けてしまった格好だ。「十分満足です。憧れの甲子園。すごく気持ちよかった」。

帰りのバスに乗る直前には、岡田監督とニアミスする場面もあったが、面食らうどころか、涼しい顔で会釈した。ロッテが誇るイケメン右腕が頂上間近までチームを導いた。

◇OFYが好継投…小野−藤田−薮田

第1、2戦は先発の完投で出番のなかった救援陣がシリーズ初登場。7回から小野−藤田−薮田が好継投を見せた。小野は「慣れないマウンドで球が抜けた」と1死から連打されたが、関本を遊ゴロ併殺打。「シュートで仕留めるのが僕の持ち味」と笑顔。藤田は「(調子に)乗られたら困るからね」と赤星を三振に。薮田も金本と桧山から空振り三振を奪い「明日も普段通りに気負いなく投げたい」と充実した表情で話した。

◇セラフィニが第4戦先発へ

3連勝で迎えた第4戦はセラフィニが先発する。プレーオフ第2ステージでは、第1戦と第5戦に先発。バレンタイン監督の信頼は厚い。「準備はできているよ。楽しみだね」。現在、夫人のレニーさんが来日中で「家族と一緒だとリラックスできる」。心身とも万全の状態で臨む。

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橋本が藤川撃ち!代打で価値ある2点タイムリー[サンスポ]

とてつもなく、価値ある一打だった。捕手・橋本が打で大仕事。7回無死満塁で代打で登場すると痛烈な中前2点適時打。ただの2点ではない。阪神が誇る“JFK”の一角、藤川をマウンドから引きずりおろす、痛快打だった。

橋本
「明日も出てくる可能性のある投手だし、少しでも苦手意識を植え付けないと。短期決戦で打たないといけない投手ですから。」

実は打てる気がしていなかった。カウント0−1から直球を2球連続空振り。「こりゃあ、打てんなと思いました」。しかし、この配球が功を奏した。早い段階で決め球の直球を見られたことで、目が慣れた。しっかりと変化球を見極め、フルカウントから、2球連続の直球もファウル。9球目の148キロ直球を中前へ弾き返した。

通常なら、この場面は左の大砲・李承Y。橋本本人ですら「スンちゃんかと思って、まったく準備していなかった」という打席。その裏にはバレンタイン監督の「ハシモトは朝から打ってくれる気がしていた」という“予感”があったのだ。

「油断せずにあと1つ勝ちたい」と橋本。JFKのFは攻略した。JとKも怖くない。31年ぶりの栄冠は目前だ。

◇腰痛の福浦がダメ押し満塁弾

腰痛で第2戦を欠場した福浦が先発に復帰し、7回にダメ押しの満塁本塁打を放った。制球が定まらない桟原の初球の直球をガツン。「狙っていた。結果的に本塁打だったが、みんながつなぎ役になっていたからだよ」とチームメートに感謝した。前日24日は腰痛の回復に努めた。「腰を温めようと思って、風呂に3回ぐらい出たり入ったりした」という懸命の調整が実った。頼れる3番は「1球1球集中するだけ」と第4戦に目を向けた。

◇西岡が先輩撃ち

核弾頭・西岡が7回無死一、三塁で、代わったばかりの阪神・桟原から中前適時打。大量得点を演出した。西岡にとって、桟原は大阪桐蔭高時代の2年先輩だが「打ったのは直球。高校の先輩なので、負けたくないという思いがあった」と気合の一打をアピールしていた。

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ボビー王手!史上初3戦連続2ケタ得点[報知]

◇日本シリーズ第3戦

ロッテが31年ぶり3度目の日本一に王手をかけた。2連勝で乗り込んだ敵地・甲子園でもマリンガン打線の勢いは止まらない。2点リードで迎えた7回、福浦の満塁弾など打者11人の猛攻で一挙7点を奪い、史上初の3試合連続2ケタ得点だ。投げても先発・小林宏が6回を3安打1失点の好投。投打に阪神を圧倒したボビー・ロッテが、4連勝で一気に決める。

魔物は潜んでいなかった。甲子園の支配者は、漆黒のユニホームをまとったボビー・チルドレン。飛び交う虎党の怒号はロッテの強さの証明だった。「みんなが自信を持って、試合に出るのが待ちきれないといった感じだったね」派手なアクションはない。胸を張り、ゆっくり手を叩き、バレンタイン監督は最強の戦士達を出迎えた。2戦目で打ち立てたシリーズ記録を更新する3戦連続10得点。猛虎を蹴散らし、ボビー・ロッテが最強の称号に王手をかけた。

魔術師がステッキを振った。2点リードの7回。豊富な兵を擁して、3度目の2ケタ得点を奪いにいった。敵失と今江の二塁打で無死二、三塁。指揮官は温存していた強力代打陣を送り込んだ。代打フランコが四球を選び、満塁の絶好機を演出。甲子園を包む虎党の悲鳴をBGMに、ボビーの頭脳がフル回転した。引導を渡すべく、最大のマジックが披露される。無死満塁。「代打・橋本」−。李承Yを残している状況で、捕手の橋本をジョーカーに選んだ。「朝から橋本が大きなヒットを打つ予感がしたんだ。フィーリングだね」予感は現実となった。ファウルで粘った9球目を中前へ2点タイムリー。阪神の切り札・藤川を打ち砕き、日本一の道筋を照らし出した。

橋本起用の決断は、予感だけに頼ったものではなかった。フランコへの四球で藤川の制球難を確認。「それに、李を代打に送ったら相手は左投手を出してくる。代打の代打になって、李の1打席が無駄になるのは防ぎたかったんだ」。猛虎の救援陣を読み切り、橋本の選球眼で押し出しを視野に入れ、李に活躍の場を残す。フランコが四球を選んだ瞬間から、わずか数秒。ボビーは全てのメリットを同時に計算していた。

マジックが決まれば、得点ラッシュは止まらない。西岡に適時打、福浦にはグランドスラムが飛び出し、3たびスコアボードに刻んだ「10」。360度を黄色く染めたスタンドから、7回裏の攻撃を待てずに次々とジェット風船が舞い上がった。反撃を期待していた阪神ファンも望みを失っていた。

「マタアシタ、シマショウ!」。試合後の円陣で指揮官がシャウトした。一気の3連勝で王手。魅惑の魔法を繰り出せば、戦士のバットは快音を奏でる。フィナーレまであと1勝。「阪神は楽天より弱い」などという選手もいない。ボビーが日本を制圧する時が来た。

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福浦トドメ満塁弾![報知]

◇日本シリーズ第3戦

ロッテが3連勝で日本一に王手をかけた。同点で迎えた4回1死満塁、里崎の遊ゴロが併殺崩れになって勝ち越すと、今江の三塁内野安打で加点。7回には2番手の藤川を無死満塁と攻め、代打・橋本が2点適時打。3番手の桟原からは西岡の適時打、福浦の満塁本塁打で、3試合連続の10得点。先発の小林宏から小野、藤田、薮田と盤石のリレーで締めくくった。阪神は2回1死二、三塁、関本の三ゴロの間に同点としたが、3戦連続で適時打なし。先発・下柳は5回4安打3失点と粘ったが、報われなかった。

チームの勢いに乗せられて、体の違和感は完全に消えていた。猛虎の息の根を止める放物線は、頼れる主軸のバットから生み出された。

4回には無死一塁から中前安打で好機を広げ、微妙な判定となった併殺崩れでの勝ち越し点につなげた。そして7回、6−1とリードを広げてなお無死満塁。桟原の初球、内角直球を黄色に染まる右翼席に叩き込んだ。「みんながつないで、チャンスが広まった。何とかしようと思っていた」。今年1月の契約更改の席で、瀬戸山球団代表から「野手のリーダー」に指名された福浦が、その存在感を見せつけた。 満塁男の面目躍如だ。レギュラーシーズンでは今季9打数5安打16打点。抜群の相性は頂上決戦になっても変わらなかった。「理由?何なんですかね。塁に出てくれたみんなのおかげですよ」。塁上を埋め尽くした、3人の走者に対しての感謝の思いが溢れ出た。

故障につきまとわれた1年だった。好調の波に乗ったかと思えば、持病の腰痛が襲った。さらに、右手甲と左ひじの打撲、頭痛…。レギュラーシーズンの欠場は22試合。さらに、猛打を奮ったプレーオフを経て、待ち受けていたのも腰痛の再発だった。23日の第2戦は、ベンチ入りメンバーからも外れた。

満身創痍の体を突き動かしたのは、責任感だった。欠場した試合でも、ナインは圧倒的な猛打で10得点を奪って圧勝。「みんながたくさん点をとっていたから、何とかしたいと思った。今日はいい結果になって本当に良かったですよ」。前日も「腰を温めるために」20分の入浴を3度繰り返した福浦。地道な努力はロッテに王手をもたらした。

31年ぶりの日本一まであと1勝。あと一踏ん張り。「明日も集中してみんなでやってきたことをやるだけ。その結果優勝できたらいいと思います」と福浦。最後の力を振り絞り、苦しみ抜いた1年を最高のフィナーレで飾ってみせる。

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小林宏耐えた!6回散発1失点[報知]

◇日本シリーズ第3戦

ロッテが3連勝で日本一に王手をかけた。同点で迎えた4回1死満塁、里崎の遊ゴロが併殺崩れになって勝ち越すと、今江の三塁内野安打で加点。7回には2番手の藤川を無死満塁と攻め、代打・橋本が2点適時打。3番手の桟原からは西岡の適時打、福浦の満塁本塁打で、3試合連続の10得点。先発の小林宏から小野、藤田、薮田と盤石のリレーで締めくくった。阪神は2回1死二、三塁、関本の三ゴロの間に同点としたが、3戦連続で適時打なし。先発・下柳は5回4安打3失点と粘ったが、報われなかった。

耐え凌いだ。小林宏の勝負どころを心得た投球が日本一への道を明るく照らした。「プレーオフを通じて1番悪かったけど、結果には満足しています」。6回を散発3安打の1失点。打線の強力な援護もありチームを3連勝へ導いた。

不安だらけだった。「ちょっとだけ。問題ない」と話していたものの、腰痛をおしての出場だった。甲子園の低いマウンドにも「上半身と下半身のバランスが合わなかった」と序盤は制球が乱れた。1点リードの2回に1死二、三塁のピンチを招いたが、最少失点に抑え調子を取り戻した。その後はチェンジアップで効果的に打者の的を外し、得点を許さず味方打線にリズムをもたらした。

自分の投球の世界に入り込んだ。耳をつんざく敵地の大応援も「全然耳に入ってこなかった」と打者との勝負に集中できた。今季、オールスターで甲子園の舞台に立てたが、埼玉・春日部共栄時代は甲子園出場がなく「憧れのマウンドだった。すごい気持ち良かった」と最後には堪能する余裕もあった。

ゲンも担いだ。プレーオフ第1Sでは髪形を大胆にコーンロウに編み込んで勝利。翌日には「洗えなくて痒かったから」と元に戻した。しかし、第2Sでは8回、3失点と好投したが勝運に見放された。日本シリーズに合わせて再びコーンロウに変え勝利をつかみ取った。2戦2勝と確実に勝利をもたらすヘアスタイルに「ちょっと痒いですけど、もうほどかないです」と笑った。小林宏の“勝利の象徴”は31年ぶりの日本一を決めるまで変わらない。

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今江12の10!MVP頂き[報知]

◇日本シリーズ第3戦

1度の凡退だけでめげることはなかった。第1打席の2回、下柳の低めのスライダーにバットは空を切り、初戦からの連続打席安打は「8」で止まった。だが、4回、三塁前へのボテボテのゴロが適時内野安打になると、7回無死一塁からは藤川の内角149キロを右中間へ二塁打。一挙7得点のビッグイニングの火付け役となった。「記録が途切れても、不思議と何とも思わなかった。状況、状況でしっかり打とうと思った」。気持ちの切り替えの早さが、自らの勢いを持続させた。

特効薬があった。交流戦では、いずれも失点につながる2失策を犯すなど「良いイメージがあまりない」という甲子園。前夜、同僚の山北がメールで「甲子園の魔物は、甲子園に行ったヤツには出ない。行ってないヤツに出る」と送ってきた。PL学園2年の夏。今江は4番・遊撃で堂々、聖地の土を踏んでいる。「あれで気持ちが楽になりましたよ」。因縁の地で結果を残し、安堵の表情を浮かべた。

3戦で12打席10安打。打率は驚異の8割3分3厘。MVPの最有力候補の座は揺るぎないが「とんでもない。明日、打てないかもしれないし」と慢心は全くない。日本一へ向けて、今江は欲を封じて安打を積み重ねる。

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五輪野球復活へIOCに働き掛け[スポニチ]

国際野球連盟(IBAF)は24日、スイスのローザンヌで大リーグ、日本プロ野球組織(NPB)などの関係者を集めた「五輪野球サミット」を開き、野球の2012年ロンドン五輪での復活へ向け、国際オリンピック委員会(IOC)に働き掛けることで一致した。会議にはIOC理事のバスケス・ラーニャ各国オリンピック委員会連合(ANOC)会長ら有力IOC委員も出席。野球は今年7月のIOC総会で12年五輪からの除外が決まったが、復活へ向けて来年2月のトリノ冬季五輪前の総会で再投票に持ち込むことを目指している。

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「五輪野球サミット」具体策なしも「ロンドンで復活」へ全力[サンスポ]

国際野球連盟がスイス・ローザンヌで米大リーグ、日本プロ野球組織などの関係者を集めた「五輪野球サミット」を開き、野球の2012年ロンドン五輪での復活へ向け、全力を挙げて国際オリンピック委員会(IOC)に働き掛けることで一致した。会議にはIOC理事のバスケス・ラーニャ各国オリンピック委員会連合会長ら有力委員も出席したが、具体的な方策の検討には至らず、「みんなで協力しようということだけで、何かが決まったかというと何も決まっていない」(長谷川コミッショナー事務局長)と不満の声もあった。野球は今年7月に12年五輪からの除外が決まったが、復活へ向けて来年2月の総会で再投票に持ち込むことを目指している。

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国際野球連盟サミット、五輪種目復活へ一致

国際野球連盟(IBAF)は24日、スイス・ローザンヌで理事会を開き、各国連盟会長が自国の国際オリンピック委員会(IOC)委員に直接会い、12年ロンドン五輪での野球の実施競技復活を働き掛けることを決めた。IBAFは来年2月のIOC総会(トリノ)での再投票を目指しており、年内に全IOC委員と面談する方針。ノタリIBAF会長は「(野球の除外は)コミュニケーション不足が最大の原因。野球の真の姿を知らないIOC委員が多かった。まずこれを改善したい」と述べた。大リーグや日本プロ野球組織関係者を集めた前日の五輪野球サミットについて「12年五輪復帰で全員が一致し団結した」と収穫を強調した。

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「TBSを抑える前に横浜売却話は失礼だ」

◇楽天問題で渡辺会長

巨人渡辺恒男球団会長が25日、楽天が横浜の親会社であるTBSの筆頭株主になり、実行委員会で11球団から野球協約違反という見解が出ている問題について言及した。都内で取材に応じ、「だから楽天は横浜の売り先を見つけている訳だ。そこに売ろうと思っているから。(野球協約に反する)二十四杯にならないと思っているから」と語り、微妙な言い回しながら売却の可能性を否定しなかった。しかし同会長は「完全にTBSを抑えた場合の話だろう。TBSを抑えてもないのに、横浜をどこかに売るというのは失礼じゃないか」と語気を強め、楽天がTBSに提案している経営統合の動き次第であることを強調した。

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オリックス、村上F株所有で協約違反の認識否定

阪神電鉄の筆頭株主である村上ファンドの株式45%を所有していることで、巨人渡辺会長から「重複支配」の可能性を指摘されたオリックスは25日、あらためて協約違反の認識がないことを強調した。

渡辺会長は「球団の支配権抹消もあり得る」と強く牽制したが、小泉球団社長は神戸市内の球団事務所で「報道(渡辺会長発言)は見ましたが、マスコミを通じてのやり取りは避けたい。あくまで投資目的であって、オーナー会議でも説明することになるでしょう」と話した。オリックス本社関係者も「阪神を支配しようとする意思は全くない。ただ、(報道されている)村上ファンドへの45%出資について、そのあたりをもっと詳しく説明する必要がある」とし、11月4日のオーナー会議で宮内オーナー自らが説明し、各球団に理解を求めていく方針を示した。

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広島松田オーナーがライブドアへの球団売却を否定

広島松田元オーナーが25日、ライブドアへの球団売却の可能性をあらためて否定した。「(ライブドアから)全く接触はないし、全然何もない。理解の及ばないところだ。売却の意思?全然ない」と話した。ライブドアは広島買収への調査を始めており、前日には巨人渡辺球団会長もライブドア堀江社長の買収意欲に言及。松田オーナーは「色んな形で気をつかってもらってる」と渡辺会長と連絡を取り合っていることを示した上で、仮に堀江社長から会談等の要請があった場合にも「会えば誤解を招くこともある。丁寧にお断りする」とし、11月4日のオーナー会議でも「球団の売薬はしないと明確に説明する」。

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