守備のスペシャリストに贈られる「第34回三井ゴールデングラブ賞」の受賞者が8日、東京・大手町の三井物産本社で発表され、31年ぶり日本一となったロッテは球団最多の5人が受賞。二塁手部門の西岡剛内野手が21歳3ヶ月、三塁手部門の今江敏晃内野手が22歳2ヶ月と、各ポジションの最年少記録を更新しての初受賞。内野の4ポジションをロッテ勢が占めたが、これは1992年の西武(一塁・清原、二塁・辻、三塁・石毛、遊撃・田辺)以来となった。
また、西岡はベストナインでは遊撃手部門で選出されており、同賞と異なるポジションでの受賞はパ・リーグ初。投手部門の西武・松坂大輔投手(25)はリーグ最多の6度目の受賞。ソフトバンク・城島健司捕手(29)は捕手部門で両リーグ最多の7年連続7度目の受賞。
セ・リーグはリーグ優勝の阪神から矢野輝弘捕手、シーツ一塁手、赤星憲広外野手が選ばれた。最多勝の広島・黒田博樹投手は初受賞。巨人は昨年に続き受賞者なし。ベストナイン、ゴールデングラブ共に受賞者なしは球団史上初のこと。
鉄壁の守備陣が最高の評価を受けた。パ・リーグでは1992年の西武以来の内野手全ポジションでの賞総なめ。「しっかり守れるチームは強い。誰もが納得できるんじゃないですか」。二塁手で受賞した西岡が誇らしげに胸を張った。
若き精鋭達にとっては記録ずくめの戴冠となった。ベストナインは遊撃手部門で選出された西岡だが、ゴールデングラブ賞と守備位置が異なるのはパ・リーグで史上初。また、21歳3ヶ月での受賞も二塁手では、リーグ最年少記録だ。
今江も負けていない。同じポジションの中村(ドジャース3Aラスベガス)の華麗な守備に憧れて、最大の目標として掲げてきた賞だけに「素直に嬉しいですね。チームの勢いに乗せられました」とスマイル全開。こちらも三塁手の受賞としてはパ・リーグ最年少記録(22歳2ヶ月)。ロッテでは75年の有藤以来2人目の選出となった。
もちろん現状に満足する気は毛頭ない。「今年はがむしゃらにやってきた結果。実力的にはまだまだです」と西岡が首を横に振れば、続けて今江も「来年はもう少し華のあるプレーで、お客さんを喜ばせたい」と意気込んだ。飽くなき向上心を胸に“ボビー・チルドレン”はさらなる進化を遂げていく。
なお、選考は全国の新聞、通信、放送各社のプロ野球担当記者の投票で行われる。
パ・リーグの外野手部門で2年連続、阪神時代を含めて9度目の受賞となった日本ハム・新庄剛志外野手は「今年のオレのゴールデングラブ賞はおかしい」と、せっかくの受賞にも怒りをあらわにした。104票を集めて、外野手部門の堂々トップだったが、自分の中では今季のプレーに納得できる部分が少かったのか「1年間この賞を心の中で目指して取り組んでいた選手に申し訳ない。来年からは、印象ではなく数字で選んで欲しい」とコメントした。
守備の名手に贈られる三井ゴールデン・グラブ賞が8日、発表され、31年ぶりの日本一に輝いたロッテが福浦和也一塁手(29)と西岡剛二塁手(21)、今江敏晃三塁手(22)、小坂誠遊撃手(32)でパ・リーグの内野手部門を独占した。ロッテはサブロー外野手(29)を含め、球団最多の5人が受賞した。
パではそのほか、西武の松坂大輔(25)が3年連続で投手部門リーグ最多の6度目の受賞。城島健司(29)は捕手部門で両リーグ最多の7年連続受賞。日本ハムの新庄剛志外野手(33)は2年連続で、阪神時代を含めて9度目の受賞となった。
セ・リーグ制覇の阪神は矢野輝弘捕手(36)とシーツ一塁手(33)、赤星憲広外野手(29)が受賞した。荒木雅博二塁手(28)は2年連続でリーグ最多の168票を獲得。中日からはそのほか井端弘和遊撃手(30)と福留孝介外野手(28)も選出された。最多勝の広島の黒田博樹投手(30)は初受賞。巨人からは2年続けて選出されなかった。
昨季1人も選ばれなかったロッテからは、球団最多の5人が選出された。パ・リーグで内野独占は平成4年の西武(清原、辻、田辺、石毛)以来。二塁手の西岡は21歳3ヶ月、三塁手の今江は22歳2ヶ月で共にポジションの最年少記録を更新。今江は「他のうまい選手に引っ張られた。来季は華のあるプレーを見せたい」と言えば、西岡も「実力ではまだまだだけど、来年もしっかりレベルを上げたい」と一層の飛躍を誓った。
9度目のゴールデン・グラブ賞に輝いた日本ハム・新庄が、物申すだ。「今年のオレの受賞はおかしい。この賞を目指し、取り組んでいた選手に申し訳ない。来年からは印象ではなく、数字で選んで欲しい。素晴らしい賞の価値がなくなってしまう」。今季は右手負傷もあり、108試合出場にとどまった。守備には人一倍プライドを持つだけに、自分に対する厳しい意見となった。
三井ゴールデン・グラブ賞が8日発表され、31年ぶりの日本一に輝いたロッテがパ・リーグの内野手部門を独占した。また松坂大輔(西武)が3年連続で投手部門リーグ最多の6度目の受賞。城島健司(ソフトバンク)は捕手部門で両リーグ最多の7年連続受賞となった。セ・リーグ制覇の阪神は矢野輝弘捕手とシーツ一塁手、赤星憲広外野手が受賞。最多勝の黒田博樹投手(広島)は初受賞。巨人からは2年続けて選出されなかった。
二塁手としての受賞にロッテ・西岡は「びっくりしました」と驚いた。というのもベストナインは遊撃手で受賞。今年のロッテを象徴するような2ポジションで2つの勲章に「小坂さん、堀さんに色々教わりながら、がむしゃらにやった結果」。印象に残るゲームに、1イニング3連続ファインプレーを演じた西武とのプレーオフ第1ステージ第2戦を挙げて喜びを噛み締めた。
守備のベストナインを記者投票で選ぶ「三井ゴールデングラブ賞」が8日、発表され、ロッテは一塁福浦、二塁西岡、三塁今江、遊撃小坂と、同賞史上3例目の内野4部門独占、球団史上初の5人が選出された。西岡、今江はそれぞれのポジションで最年少受賞。若手がのびのびとプレーし、鉄壁の守備で31年ぶりの日本一へ駆け上がった今季を象徴する選出結果となり、10日開幕のアジアシリーズへ弾みをつけた。ソフトバンク城島は捕手部門で両リーグ最多の7年連続7回目、日本ハム新庄は2年連続で阪神時代を含め9度目の受賞となった。
ゴールデングラブ賞の受賞が決まると、ロッテV戦士達は次々に喜びの声を上げた。ナインはこの日、アジアシリーズ会場となる東京ドームで汗を流した。練習中に受賞ラッシュの知らせを受け「僕自身、守備をすごく重要視しているので、1番欲しかった。すごい嬉しい」(サブロー)「プロに入った時からゴールデングラブ賞が欲しかったです」(今江)と、素直に喜びの声を上げた。
選手達が受賞を喜ぶのは、今季のバレンタイン監督の戦術をしっかり理解している証拠だ。10勝投手を6人も輩出した投手王国も、バックの守りがあってこそだった。それも二遊間を中心に、定位置を固定しない斬新な起用法に対応してきたのだから、喜びもひとしおだった。
中でも西岡は、ベストナインを遊撃で、ゴールデングラブ賞は二塁での“変則ダブル”受賞。「普通そういうことないですよね。光栄です」。“全ての選手が複数ポジションを守れる”というチームコンセプトを体現した男は笑顔を見せた。
さらに、西岡と今江は各ポジションで史上最年少の受賞というおまけもついた。2人は、バレンタイン監督が昨季から手塩にかけて育てた選手。春季キャンプの夜間練習では、同監督自らノックバットを握ったこともあった。そんな積み重ねを経ての選出に、西岡は「しっかり守れたチームが強いということを、だれが見ても納得してくれると思う」と胸を張った。
この日、大量選出の報を前に、都内の外国人特派員協会で日本一監督として会見したバレンタイン監督は「よく何点取ったかということが重要視されるけど、それを何点防いだかというのがあって、初めて野球は成立する」と持論を展開し、守備の重要性を訴えていた。同監督にとっても、この日の結果は胸を張れるものだったに違いない。
10日からはアジアシリーズが始まる。セラフィニ、福浦がケガのため欠場し、堀、小坂も出場できるかは微妙だ。それでも、シーズン中から守備面で様々なオプションを持ってきたロッテだけに、その優位は揺るがない。
守備位置 | パ・リーグ | セ・リーグ | ||
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投手 | 松坂大輔 | 西武 | 黒田博樹 | 広島 |
捕手 | 城島健司 | 福岡ソフトバンク | 矢野輝弘 | 阪神 |
一塁手 | 福浦和也 | 千葉ロッテ | シーツ | 阪神 |
二塁手 | 西岡剛 | 千葉ロッテ | 荒木雅博 | 中日 |
三塁手 | 今江敏晃 | 千葉ロッテ | 岩村明憲 | ヤクルト |
遊撃手 | 小坂誠 | 千葉ロッテ | 井端弘和 | 中日 |
外野手 | SHINJO | 北海道日本ハム | 福留孝介 | 中日 |
サブロー | 千葉ロッテ | 赤星憲広 | 阪神 | |
大村直之 | 福岡ソフトバンク | 金城龍彦 | 横浜 |
ロッテ勢が内野の4ポジションを独占した。ゴールデングラブ賞は、72年から採用されたが(72〜85年はダイヤモンドグラブ賞)、1球団が内野を独占したのは、34年間で3度目。パでは92年の西武以来となった。また、ロッテの最多受賞は、これまで73年成田(投)有藤(三)弘田(外)、74年村上(捕)有藤(三)弘田(外)の各3人で、5人は球団史上初めて。
ゴールデングラブ賞の内野手独占 | |||||
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年 | 球団 | 一塁手 | 二塁手 | 三塁手 | 遊撃手 |
92 | 西武 | 清原和博 | 辻発彦 | 石毛宏典 | 田辺徳雄 |
98 | 横浜 | 駒田徳広 | ローズ | 進藤達哉 | 石井琢朗 |
05 | 千葉ロッテ | 福浦和也 | 西岡剛 | 今江敏晃 | 小坂誠 |
パではベストナインと7ポジションで顔触れが代わった。ダブル受賞は城島と今江だけ。西岡はベストナインも受賞したが遊撃で選出。違うポジションでのダブル受賞は初。
2年連続、通算9度目のゴールデングラブ賞に輝いた日本ハム新庄剛志外野手は、他の選手へ気づかいを見せた。自信のある守備に対してのこだわりなのだろう。今季は右手の故障の影響で106試合出場にとどまっており、広報を通じて「今年のオレのゴールデングラブ賞はおかしい。1年間この賞を心の中で目指して取り組んでいた選手に申し訳ない。来年からは、印象ではなく数字で選んで欲しい。そうでないとこの素晴らしい賞の価値がなくなってしまう」とコメントした。
新庄は01〜03何のメジャー在籍時を除き、阪神時代から実質7年連続で、この賞を受賞した。日本へ復帰した昨季は捕殺8、失策5を記録。今季は守備率9割9分1厘、捕殺3、失策2の成績だった。守備率はリーグ8番目で、新庄にとってはやや物足りない数字に終わった。
もっとも、同賞は数字だけで評価されるものでもない。新庄の場合は、例えば、相手がその強肩を恐れて進塁や本塁生還を狙わないなど、記録に表れないチームへの貢献もある。右中間や左中間を抜けようかという打球を止めるプレーも評価される。それでも人一倍、守備と球界全体のことを考える新庄は、手放しで喜ぶことはできなかったようだ。
プロ野球のアジア王者を決める「KONAMI CUP アジアシリーズ2005」(10−13日、東京ドーム)に出場する韓国・サムスンライオンズ、台湾・興農ブルズ、中国・チャイナスターズが8日、来日。都内のホテルで、日本代表のロッテを交えた4監督の記者会見が行われた。去就問題で揺れるロッテのボビー・バレンタイン監督(55)はチャンピオンリングを作成し、来季、贈呈セレモニーを行うプランを選手に披露して残留を示唆。初代アジア王者へ向け、一致団結を図る。
アジア制覇に向けて東京ドームで行われた全体練習。投手がノックを受けている時間を利用し、バレンタイン監督が、野手やスタッフに、あるプランを披露した。
メジャーでは恒例のチャンピオンリング。昨季86年ぶりに世界一に輝いたレッドソックスも今季の本拠地開幕戦で選手、スタッフらに豪華な指輪を配った。ロッテを31年ぶりの日本一に導いたボビーはレンジャーズなどで監督経験もあるだけに、当然の発想だった。
メジャーでは通常、翌年の本拠地開幕戦で贈呈セレモニーを行うが、ロッテは2試合目となる見込み。満員が期待できる開幕戦に続き、2戦目の集客増を狙ったものだが、もちろんセレモニーはボビーも参加が前提で、自ら来季残留を示唆した格好だ。
日本一の直後からロッテを襲った監督の去就問題。現在もメジャー3球団が獲得に興味を示している。この日、日本外国特派員協会で行われた会見に出席したボビーは「オファーはあるが、今話すのは時期尚早」と現状を説明した。
自身の去就問題でチームに動揺を与えたことは否めない。10日からは、初代アジア王者を決する戦いがスタートするだけに、自らチャンピオンリング構想で残留を示唆し、あらためて士気を高めようという、これもボビー流操縦術だ。
「一生懸命かつ楽しんでやる。多くのファンに見てもらいたい」。最後まで楽しく、そしてファンと一体になって、ボビーがアジア初代王座を目指す。
会見に先立って監督会議も行われ、日本球界で問題になっている2段モーションについては、「各国審判が適用している基準にもとづく」(NPB・丸山規則委員)ことが確認された。今大会では当該国以外の2ヶ国から審判が出されるため、来季からの厳格適用の対象とみられるロッテ・小林雅らが日本の審判に2段モーションを指摘されることはない。頭部付近への危険球も、日本での即退場ルールは適用されない。また大会ではミズノ社の国際公認球を使用する。
初代アジア王者を目指して、ロッテの選手達は戦闘モード。全体練習で野手陣は、キャッチボールやシート打撃などで汗を流した。一方の投手陣は、国際大会に戸惑う面が多い。今大会は国際公認球を使用。シーズン中と異なるボールに清水は「変わってもやるしかない。いつも対応しなきゃいけないのは投手ですから」と気持ちを切り替えていた。
ロッテの大谷幸弘コンディショニング担当(46)が退団した。
プロ野球のアジア王座を争う「KONAMI CUP アジアシリーズ2005」(10〜13日・東京ドーム)に出場するサムスン(韓国)、興農(台湾)、チャイナスターズ(中国選抜)が8日、来日し、日本シリーズを制したロッテを交え、監督会議、レセプションパーティーが開かれた。
東京ドームでの練習でロッテの李スンヨプが看板直撃弾4発を含む10本のサク越えを放ち「千葉に比べ、ここは打球が飛ぶ。もう1度フォームを洗い直したい」と気を引き締めた。使用球は五輪などで使う国際野球連盟公認の「ミズノ150」だが、今季公式戦で使用した低反発球「ミズノ556」と比べ「打球が飛ぶのは確か」(サブロー)。古巣サムスンとの対戦を前に李は「ホームランを打って負けるより、打たないでも勝てるように貢献したい」と誓った。
サムスンとの開幕投手に今季12勝を挙げた小林宏が指名された。この日はブルペンで57球の投球練習。「調子は日本シリーズからキープできている。相手のビデオも少しずつ見て、研究しています」。韓国ではスライダー、チェンジアップが変化球の主流とあって、フォークで先陣をきる。また2戦目の興農戦は清水、3戦目のチャイナスターズ戦は黒木の先発が濃厚。決勝戦は万全を期してサブマリン渡辺俊を投入する。
宣銅烈(ソン・ドンヨル)監督(42)が優勝宣言を行った。96〜99年と在籍した中日時代に日本の実力を知るが「野球は意外性のスポーツ。劣勢でもやってみる価値はある。優勝を目指したい」と語った。新人監督ながら韓国一に導いた背景には「守りの野球」への転換がある。カギを握る選手に、新人で自身と同じクローザーに抜擢した呉昇桓(オ・スンファン)を挙げ「前半にリードできれば」と自慢の救援陣で逃げ切りを狙う。
メジャーとの交流でチーム力を上げ、2年連続で台湾シリーズを制覇。今大会への出場を「今後へ生かすための非常に重要なチャンス」ととらえている劉榮華(リォ・ロンファ)監督は、キーマンにエースの陽建福(ヤン・ジェンフ)を挙げた。「彼が重要な役目を担う。うちのチームは27、28歳の選手が中心で、経験がいいプレーにつながってる」と自信をのぞかせていた。
73〜76年とロッテに在籍したジム・ラフィーバー監督(63)が古巣との対戦、また30年以上前、ドジャースで同じ内野手だったバレンタイン監督との対戦に「私の人生の中でのハイライト。楽しみだ」と感慨深く語った。08年北京五輪に向けての強化で中国棒球協会に招かれ4年目。「挑戦者として意思統一でき、精神状態はいい。強豪と対戦できるこの機会を生かしたい」。中国野球の歴史を切りひらく意気込みだ。
プロ野球のアジア王者を決める「KONAMI CUP アジアシリーズ2005」(10−13日、東京ドーム)に出場する韓国・サムスンライオンズ、台湾・興農ブルズ、中国・チャイナスターズが8日、来日。都内のホテルで、日本代表のロッテを交えた4監督の記者会見が行われた。
31年前のV戦士、チャイナのジム・ラフィーバー監督(63)が古巣ロッテに挑む。
ラフィーバー監督は昭和48年からロッテに在籍し、49年の日本一に貢献した。しかも、ロッテを今季31年ぶりに日本一に導いたバレンタイン監督はドジャースの後輩。奇妙な縁で結ばれた2人が初のアジアシリーズで対戦することになった。
チャイナは今回参加の4ヶ国・地域で唯一リーグ戦優勝ではなく、選抜チームの資格で出場。現状では他の3球団に後れを取るが、同監督は五輪まで代表監督を務めることが既に決定。強化策の一環として“大物食い”を狙っている。
「監督としてチームを優勝に導くことがいかに難しいか。あらためて祝福したい」とボビーをホメ殺しにしたラフィーバー監督だが、頭の中は既に古巣打倒のための秘策でいっぱいだ。
台湾・興農の劉監督は、「日本と韓国は野球大国だし、中国も伸びている」とライバルに警戒感を隠せなかった。それでもロッテ、サムスンと同様に4連勝のスイープで台湾シリーズを制した勢いもあり、「27歳前後の選手が多いから、経験でチャレンジしたい」と密かに闘志を燃やした。
中日の元守護神、サムスン・宣銅烈(ソン・ドンヨル)監督は鮮やかな凱旋だ。就任1年目でサムスンを3年ぶりの韓国制覇に導いて、アジアシリーズの出場権を得た。打撃優先の伝統があるチームを「中日時代に学んだ継投重視」に作り変えたと胸を張り、「私の現役時代のプレーを知っている日本のファンに、いいプレーを見せたい」と誓った。
プロ野球のアジア最強チームを決める「コナミカップ アジアシリーズ2005」(10〜13日・東京ドーム)に出場するチャイナスターズ(中国代表)、興農(台湾)、サムスン(韓国)が8日、来日し、日本代表のロッテと共に東京・港区の高輪プリンスホテルで会見に臨んだ。ロッテは会見前、試合会場となる東京ドームで練習を行ったが、大会で使用する国際野球連盟公認球で長打を連発。得意の「つなぐ野球」に1発を加え、アジア覇者を狙う。
メジャー級のパワーが宿った。東京ドームでのフリー打撃。ロッテ打撃陣が描く放物線が、次々とスタンドへ消えていった。日本一軍団のバットから相次ぐ看板直撃弾。つなぎを身上として日本一に輝いたロッテが、大一番を前に驚異のパワーアップを遂げた。
平凡な右飛がスタンドに届く。突然の飛距離増に“つなぎの4番”サブローは目を丸くした。「ビックリしました…。すごい飛びますね」。サブローだけではない。アベレージヒッターの西岡、今江らもサク越えを連発。バットに当たればフェンスを越える。非力打線の突然変異には、理由が存在した。
この日の練習は、アジアシリーズを見据えて、ミズノ社の国際野球連盟公認球を使用。昨年のアテネ五輪でも使われ飛距離は「飛ばないボール」と「飛ぶボール」の中間に位置するが、年間通じて低反発球を使用してきたロッテにとっては“新兵器”となった。特大弾を連発した里崎は「めっちゃ飛ぶ。(低反発球とは)打感が全然違う」と効果を実感。ピンポン球のように飛んでいくボールを「どちらかといえば、去年までの飛ぶボールに近い」と分析した。
打球が飛びやすい東京ドームであることを考慮しても、驚きの飛距離。バレンタイン監督からキーマンに指名された李承Yは「よく飛ぶけど、力むとバランスを崩す。しっかり自分を見つめ直したい」と嬉しい悲鳴をあげた。
最強投手陣に加え、チーム打率は12球団トップの2割8分2厘。指揮官が「バランスの取れたよいチーム」と評するロッテに欠けていた要素は、1発だけだった。「飛ばないボール」を使用するうちに自然と磨かれた長打力。ボールの恩恵で唯一の死角も消えた。完全無欠のボビー・ロッテが、アジアの頂点を視界にとらえた。
ロッテ・瀬戸山隆三球団代表(52)は8日、ボビー・バレンタイン監督(55)の契約問題に関して、「あとは来年の構想を(監督に)発表してもらうだけ」と残留が濃厚であることを示唆した。来季の戦力補強、コーチ陣容についても協議を進めており、契約交渉は大詰めを迎えているようだ。
ドジャースなどメジャー3球団の次期監督候補に挙がったボビーの引き留めに、球団は出来高を含め、最大3年総額15億円の大型契約を検討していた。この日、アジアシリーズの歓迎レセプションに出席した瀬戸山代表は「来季は残ってもらうことになる」と明言。残留を基本線に交渉が順調に進んでいることをうかがわせた。
一方、バレンタイン監督は日本外国特派員協会での会見でドジャースとロッテについて言及。「妻の家族が1940年代からつき合いがあり、私も(オーナー特別顧問の)ラソーダと37年のつき合いがある」とド軍との関係を話しながらも、「チャンピオンになること以外にも挑戦はある。世界的に尊敬されるチームに育てるのも挑戦だ」と続投へのモチベーションを見せた。決断時期について、バレンタイン監督は「語るのは時期尚早」と明言を避けたが、10日以降には同監督と重光オーナー代行のトップ会談が行われる予定で、早期決着の可能性は十分ありそうだ。
ロッテの瀬戸山隆三球団代表(52)は8日のアジアシリーズのレセプション後、去就が注目されているボビー・バレンタイン監督(55)の来季残留を示唆する発言を行った。同球団代表とバレンタイン監督は7日に千葉マリンで会談しており、3年総額15億円に近い条件で合意したものと見られる。10日以降に予定される重光昭夫オーナー代行(50)との交渉で残留を表明する可能性が濃厚となった。
アジアシリーズのレセプションに出席した瀬戸山代表は、バレンタイン監督の去就問題について「来年も残ってもらうことになっている。あとはボビーに構想(コーチ人事)を発表してもらうだけ」との発言を行い、残留に自信を見せた。
その背景にあるのが、7日に千葉マリンで行われた会談だ。瀬戸山代表は「契約の話はしていない」としたが、関係者の話を総合すると、10月31日に提示した3年総額12億円を上回る条件を提示。重光オーナー代行は5日に上積みを示唆していたことから、3年総額15億円に近い金額が提示され、バレンタイン監督が了承したものと見られる。
そのバレンタイン監督はこの日午前、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見。「日本で困ったことといえば、言葉のバリアーぐらい。それも55歳にしては最高速で学んでいると自負している」と残留に前向きとも受け取れる発言を行った。
さらには「(日本一になり)もう日本でチャレンジすることはないのでは?」と聞かれると「勝利は小さなチャレンジを積み重ねた結果。世界的に尊敬されるような球団にすることもチャレンジ」とも発言。これまでの退団を示唆した発言とは明らかに方向転換だ。
ある球団幹部は本紙の取材に「最善の条件は提示している。あとはバレンタイン監督の意思次第」と答えるなど「マネーゲーム」からの撤退も示唆していた。7日に提示した条件は、ある意味でロッテとしての最大限の誠意。それにバレンタイン監督も応えたという見方もできる。
次回交渉は韓国出張中の重光オーナー代行が帰国する10日以降に行われる。ファンが待ち望んだバレンタイン監督の残留は、その場で正式決定することになりそうだ。
ドジャースなどメジャー球団の監督候補としても名前が挙がっているバレンタイン監督の去就は、外国メディアも注目している。8日も外国人特派員協会で行われたインタビューで「ロッテから来季の監督にという話はもらっているが、まだそれについて話すのは時期尚早。まあロッテはかつて私をクビにしたし、ドジャースだって私をトレードに出したから、同じようなものかも」と笑いを誘っていた。一方、瀬戸山代表は都内で行われたアジアシリーズのレセプション後「ちゃんと残留になりますから。数日中に監督から来季の構想とかも披露してもらえるでしょう」と自信を見せた。
プロ野球の初代アジア王者を争う「KONAMI CUP アジアシリーズ2005」(10〜13日・東京ドーム)に出場するロッテ(日本)サムスン(韓国)興農(台湾)チャイナスターズ(中国選抜)の4監督が8日、都内で会見し、それぞれ意気込みを語った。アジア最強の栄冠で今年を締めくくりたいロッテのバレンタイン監督は「気合を感じる」と、勝利を握る鍵にサムスンで56本塁打をマークしたことがあるイ・スンヨプの活躍を挙げた。サムスンを率いる元中日の宣銅烈監督は、10日の初戦でロッテと対戦。爆発力のある打線との対決に向けて「うちは投手力を中心とした守備のチーム」と力を込めた。
「KONAMI CUP アジアシリーズ2005」に出場する4ヶ国・地域が8日、都内のホテルに集まり、監督会議や記者会見、歓迎レセプションを開催した。出場するのは日本代表の千葉ロッテ・マリーンズ、台湾代表の興農ブルズ、韓国代表のサムスン・ライオンズ、中国からは08年北京五輪を見据えて中国選抜チーム、チャイナスターズ。10日から13日まで、東京ドームで初のアジア王座をかけて試合が行われる。31年ぶりに日本シリーズを制したロッテの戦いぶりが注目される。また、サムスンを率いる宣銅烈監督は元中日で、チャイナスターズを率いるジム・ラフィーバー監督は元ロッテと、日本ファンは懐かしい顔に会う機会にもなる。