12月9日12月9日王JAPANは、サブマリンで世界一だ。来年3月に開催される「ワールド・ベースボール・クラシック」（WBC）で日本代表監督を務めるソフトバンク王貞治監督（65）が9日、ロッテ渡辺俊介投手（29）を日本代表チームのエースに指名した。この日、出場を迷っているヤンキース松井秀喜外野手（31）をのぞいた日本代表29選手が発表された。王監督は変則投手が過去の日米野球で米国相手に活躍しているデータを踏まえ、世界で最も低いアンダースロー渡辺俊を切り札に初代王者を狙うつもりだ。
世界の強豪を下す大役を王監督は、サブマリン渡辺俊に託した。日本代表メンバーの発表会見。ヤ軍松井をのぞいた29選手の名を読み上げた王監督は、質疑応答の冒頭でアンダースローの渡辺俊をエースに指名した。メンバーの選考基準を問われたときだった。
渡辺俊は今季15勝4敗で防御率2.17。西武松坂、巨人上原ら各球団の主力投手が代表入りする中、ロッテを31年ぶりの日本一に導いた実力だけでなく、王監督はデータにも着目している。「川尻とか、昔で言えば、大友さん。サイドスローの投手が（日米野球で）相手を苦しめてきた。渡辺君が相手を困らせる投球をしてくれるはず」。王監督もプロ入りする前の1953年。日米野球で巨人大友工投手が当時ニューヨーク・ジャイアンツ相手に、9回7安打1失点完投した。最近では98年の日米野球で阪神川尻（当時）が全米打線を9回途中まで無失点と手玉に取った。今回のWBCではボンズ擁する米国、オルティス、ラミレスがいるドミニカ共和国、デルガド、I・ロドリゲスらのプエルトリコと、各国にメジャーを代表するスラッガーがずらり。中南米でのウインターリーグを視察した鹿取、武田投手コーチらと協議の結果、屈指の強打者を抑える切り札として渡辺俊をローテーションの軸に据える案を編み出した。
王監督がシーズン中に自ら出場を打診したのは渡辺俊の1人だけだった。大きな期待を背負うことになった渡辺俊も、この日、気合をみなぎらせた。「シーズン中からはっきりと言ってもらっていたので、気持ちの準備はできていた。野球人生の中で、いい経験になる。精一杯頑張ってきます」。もちろん、アジア予選を勝ち抜くためにも、今秋にロッテがアジアシリーズを制したデータも頼もしい。王監督は「（アジア予選の）3試合はトップでゴールしたい。3つ勝てば、アメリカでの戦いが楽になる。（先発8人のうち）3人を選んで必勝態勢でいく」。世界の頂点へ、マウンドすれすれから投げ込むアンダースローが、王ジャパンの命運を握る。
渡辺俊ほど低い位置から投げるサブマリンはいない。現在メジャーで横手投げのスタイルで投球しているのは、マイヤーズ、ブラッドフォード（共にレッドソックス）、ロッキーズの韓国人右腕金炳賢ら数人しかいない。さらに今季先発を務めたのは金だけで、ほとんどの投手がワンポイントかショートリリーフとして起用されている。ユニークな投球スタイルはリリーフとして効果的であるが、先発としては球速が遅く、打者が慣れると攻略されてしまうため適さないというのが一般的な考えだ。渡辺俊が先発すれば、中南米の主力となるメジャーの中心打者達も、戸惑うことは確実だ。
里崎智也捕手（29）が、日本代表の正捕手の座を狙う。9日、チームメートの渡辺俊らと共に日本代表発表会見に出席。「このメンバーに入れて光栄。選ばれたからには世界一を目指して、ファンの皆さんの期待に応えたい」と抱負を語った。
中国、台湾、韓国と争う1次リーグでは里崎の頭脳がチームのカギを握る。先のアジアシリーズでは実際にその3ヶ国のチームと対戦。中国以外は単独チームとの試合だったが「アメリカでやっている選手も入るだろうけど、各国の野球がこういうものというのは分かった。アジアシリーズの経験を生かせる」と話す。ロッテから最多8人が代表入りしたことも「王さんとか、外からの評価で選ばれたのは嬉しい」と前向きに受け止めた。
今季の里崎は盗塁阻止率4割をマークし、リーグ1位の実績を残した。打撃面でもポストシーズンに計3本塁打と、短期決戦での勝負強さも実証済み。今度は日本代表のためにフル回転する。
ロッテ渡辺俊はダブルの「おめでた」を喜んだ。日本代表エースの指名を受けたことに加え、8日夜には第二子の長女が誕生した。会見前夜も午前0時ごろまで明子夫人（30）に付き添い「今度は女の子だし『パパ格好いい』って言われたい」と笑顔を見せた。
日本代表入りは00年のシドニー五輪以来。ただその時は「アマチュアだったし、中心（選手）ではなくてサブだった。今回は中心として出られるしワクワクしている」と話す。地上すれすれから繰り出すサブマリンはメジャーリーグ勢の脅威になる。「山田（久志）さんもアンダースローは日本人が考えたフォームと言っている」と純国産スタイルに自信を見せた。
また、韓国代表入りが確実な李承燁内野手（29）との対戦も熱望。開幕が1ヶ月早まることになるが「元々肩は休めない方。優勝して満足してしまっている部分もあるしちょうどいい」と新たなモチベーションにする。
王監督からJAPANのエースに指名されたのは、ロッテ・渡辺俊だった。シーズン中「君を中心に考えている」と直接、日の丸のエースを託された。「非常に光栄でした。シーズン中に言ってもらって、気持ちの準備はできている。ロッテと日本の名に恥じないように頑張りたい」と意気込みを語った。
日本代表はシドニー五輪に次いで2度目だが「シドニーはアマチュアでサブだったが、今回は違う。主力として出場できるのでワクワクしている」とはやる気持ちを抑え切れない様子だ。
王監督も「彼の特性は国際大会で通用する。相手を困らせることが、十分できると思う」と太鼓判を押した。アジアラウンドは渡辺俊に加え西武・松坂、巨人・上原を先発に起用する考えだが、その中で中心として期待しているのが渡辺俊だ。
渡辺俊は昨年の日米野球で、オルティス（レッドソックス）に特大の本塁打を浴びた。そのオルティスがドミニカ共和国代表に名を連ねている。「人生であそこまで飛ばされたのは初めて。何とか雪辱したい」。エースとしても、個人としても、WBCにかける思いは強い。
代表候補選手はWBCが指定する代表キャンプ合流日（アジアは来年2月26日）から敗退するまでの期間、チーム帯同が義務付けられている。イチロー、井口ら大リーガーも米国だけ参加することはできない。最終メンバーの登録日は各国の初戦の数日前を軸に調整中。大会ルールはWBC技術委員会で決定され、使用球は大リーグ公認球となっている。
日米野球で被弾レッドソックス・オーティズ斬り誓うロッテのエースから日本のエースへ。王監督からエースに指名された渡辺俊は、「みんなの前で名前を出していただき、気持ちが盛り上がった。チャンピオンを目指したい」と、決意を新たにした。
ロッテからは12球団最多の8人が選出された。「心強い。球宴でもたくさん（10人）選ばれたので、投げていて楽しかった。今度もそんな雰囲気でやれると思う」と背番号31。もちろん、イチローや青木など、堅守を誇る他球団の選手をバックに投げるのも「どこに打たれても抜かれる気がしない」と大歓迎だ。
代表選出は2重の喜びだった。8日午後9時40分に、明子夫人（30）が東京・江戸川区内の病院で第二子となる長女を出産したばかり。3250グラムの元気なまな娘のために、「子供も2人目で忙しくなるけど、頑張らなきゃ」と力投を誓った。
渡辺俊ならではの目標もある。絶滅の危機に瀕していた下手投げを全国区に復活させ、次は「山田（久志）さんが『アンダースローは日本人が考えたフォームだ』とおっしゃっていた。世界に広められたらいいと思いますよ」と“宣教師”として太平洋を渡るつもりだ。
気になる相手もいる。昨年11月の日米野球で160メートルの超特大アーチを許したオーティズ（レッドソックス）は、ドミニカ共和国代表で出場予定。「今度は雪辱したいですね」とリベンジを誓った。来年3月、地上10センチからの投球に世界中が酔いしれる。
こちらロッテ・渡辺俊にもベビー誕生だ。8日に夫人の明子さん（30）が第二子の女児を出産。バラ色のオフがさらに華やぐことになり「（オフの子育てが）2人分になるので忙しくなりますね」と笑顔を見せた。
日の丸を背負うサブマリンに、王監督は「エース」の期待を寄せる。ソフトバンク勢以外ではただ1人、シーズン中に声をかけたのが渡辺俊。「緩急で抑える特長を持った投手。国際大会で相手を困らせる投球ができる」と強調した監督に、本人も「早くから声をかけていただいたので気持ちの準備はできていた。アンダースローは日本人が考えたフォームというし、人生の大きな経験になる」と意気込む。
首脳陣にはライバルだけでなく、MLB審判の判定傾向のデータも要望し、準備も怠りない。サブマリンが世界を驚かす日は近い。
アジア王者のロッテからは大量8人が代表入り。先発3人、中継ぎ2人の5投手の代表入りに女房役の里崎は「投手とのコミュニケーションは不安だったし、ウチから5人いるのは心強い。シーズンと同じように投手を生かす配球ができる」と笑顔。里崎のほか俊足の西岡、勝負強い今江と野手も特徴ある顔ぶれ。「ボビーの母国」での大暴れがバレンタイン監督への恩返しになる。
来年3月に開催される野球の国別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック」（WBC）の日本代表が9日、発表されマリナーズのイチロー外野手、ホワイトソックス井口資仁内野手、パドレス大塚晶則投手の日本人大リーガー3選手を含む29選手が決まった。ヤンキースの松井秀喜外野手は保留となった。日本代表は次の通り。
王ジャパンは、主催者が設置しようとしている投手の球数制限に対して徹底的に反対する姿勢を示した。米国側は先発、リリーフに分けて、それぞれ60～70球、40～50球程度の球数制限を儲ける方針を固めている。そのほかに連投を制限する可能性も高い。理由について、MLBジャパンのジム・スモール氏は「選手に保険を掛けている関係もあり、選手を守る必要がある。制限がないと保険もきかない」と語っている。だが、日本側は「それでは本来の野球ではない」として反対していく。
会見にも出席した武田一浩投手コーチは「球数制限は鹿取さん（投手コーチ）とも頭を抱えていますよ。あれがなければねえ」と、嘆いた。制限数は正式に発表されていないものの、先発も制球に苦しめば3回、4回で降板する可能性が出てくる。連投が制限されれば、接戦が続いた場合に万全のリレーができない。球数や連投はチームの方針によるもので、勝敗を左右する重要事項でもある。それを制限されては、世界一を目指す真剣勝負に水を差すことは間違いない。
スモール氏は「技術委員会で決めることで、近々、会が開かれる予定。そこで日本の意見を言えばいいと思います」と語った。長谷川コミッショナー事務局長は「もちろん日本の意見を述べるつもりです」と話している。ただ、王監督は「微調整する必要はあるだろうけど、こういう大会をやることが大切であってルールにのっとってやります」と、制限付きも覚悟していた。諸問題が残る大会ではあるが、言い訳にはできない。
ロッテが今季限りでソフトバンクを自由契約になった瑞季（田中瑞季）内野手（25）の獲得を発表した。今季は1軍出場なし。04年まで76試合に出場し通算2割4分6厘。身体能力が高く、内野ならどこでもこなせる守備にも定評がある。10日に千葉マリンで入団手続きを行う。