ロッテは、先発枠入りを目指す加藤、バーンが共に制球が不安定で課題を残した。野村監督初采配の楽天は、新人2投手がよかった。粘り強い投球で松崎が2回無失点、青山も切れのある球で1回を無失点。朝井は5回9失点と乱調。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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東北楽天 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 5 |
千葉ロッテ | 5 | 0 | 1 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | x | 9 |
まさに王者の貫録だ。昨年の覇者ロッテが最下位、楽天相手に完勝。白星スタートを切ったバレンタインの表情は、自信に満ちあふれていた。
「選手達が楽しんでいた。成長した姿を見ることができたよ。うちのチームは完璧にまとまっている」。野手20人が12安打9得点と爆発しての勝利に、バレンタイン監督は、選手を褒めちぎった。
WBCで主力8選手が抜けても、層の厚さでカバーする。里崎は不在でも、スタメンマスクをかぶった橋本がいきなり相手を圧倒。1回2死満塁で、朝井の直球を右翼席へ満塁アーチを放ち「どんピシャのタイミング。いい感じで打つことができた。完璧です」と声を弾ませた。
試合前には、楽天ベンチに大勢の報道陣がいる光景に「このチームが好きなんですね」と皮肉交じりの一言を発していた指揮官だが、試合後は余裕たっぷりに相手を評した。「楽天は去年よりは、良いチームになるだろう」。連覇に向けて、ロッテが好発進した。
プロ野球のオープン戦が25日、開幕した。昨年の日本一・ロッテは5年ぶりにプロ野球界に復帰した野村克也監督(70)率いる楽天と鹿児島で激突。試合前、“舌戦”を仕掛けたノムさんだが、ロッテが初回、WBC日本代表に選出されている里崎の同期・橋本将捕手(29)が満塁弾を放つなど、貫録を見せつけて圧勝した。また、ブラウン新監督(43)率いる広島はソフトバンクに勝利。セ・リーグ連覇を目指す阪神はオリックスと対戦、3−1で勝った。なお、ヤクルト・中日戦(浦添)、横浜・日本ハム戦(宜野湾)は雨天中止となった。
31年ぶりの日本一、初代アジア王者と昨季わずか38勝の弱小軍団。格の違いを見せつけたのは、橋本の一振りだった。初回、1点を先制して、なおも2死満塁。楽天・朝井の高めに浮いた直球をフルスイングだ。「いいポイントで打つことができました。今までで1番、ドンピシャの当たり。気持ちいいね」白球は右中間スタンドに消えた。会心のグランドスラムだ。
同僚の里崎がいない間に示した存在感。「サト?それは関係ないでしょ。今さら評価が変わることはない」。同い年でもある日本代表捕手との比較論に、背番号33はライバル意識を覆い隠そうとした。しかし、2個の二盗を許した際のワンバウンド送球には「今日みたいな球を放っていては、サトに置いていかれる」と本音をこぼした。
捕手のツープラトン制を敷いた昨年は、日本一に上り詰めた。バレンタイン監督は「MVP」に里崎、橋本の名を挙げた。だが、歓喜に浸りながらも、今季について触れられると「プロである以上は、2人でやっていて満足することはないでしょう」と橋本は複雑な心境を口にした。正捕手へのこだわり−譲れない思いこそが、力を与え続けている。
WBC日本代表8選手を欠いての快勝劇。西岡と同期の早坂も初回に2盗塁を決め、チームに勢いをもたらした。身内への対抗心が、ロッテに相乗効果をもたらしている。バレンタイン監督は胸を張って言った。「ウチはチームとして完璧な形でまとまっている。誰かがいなくても、チームとして戦えるんだ」“飛車角落ち”で証明された底知れぬ力。ロッテの快進撃は今季も止まらない。
舌戦では圧倒も、今年も楽天は弱かった。古希を迎えてプロ球界に復帰した野村監督。初陣を前に「ロッテは日本一らしさが欠けてる。あんなの野球やない。日本一も質が低下した」と、1月の監督会議で予告先発の是非を巡り、意見が対立したバレンタイン監督に“毒ガス”をまき散らした。
しかし、プレーボール後は現実を目の当たりにした。「期待の星や」と送り出した先発・朝井が初回5失点。初のスタメンマスクのカツノリも、初回から3盗塁を許した。5回には吉岡、ショート、山下の3連続二塁打で3点を返すなど見せ場を作ったが、実力差は歴然だった。
「初回に3点まではいいが、5点は取られすぎ。話にならん。チャンスでも攻め切れない?おっしゃる通り。現場復帰の感慨?鈍感だから何もないよ」と言うのがやっと。一方、バレンタイン監督は「パ・リーグのユニホームを着てくれてアリガトウ」、「(マスコミの)ミナサンはあのチームが好きですネ」、「いいチームになりますヨ」と終始、余裕のコメントを出し続けた。
新規参入の昨季、田尾安志監督の下、オープン戦初戦で巨人を破り、パ・リーグ開幕戦でロッテ、ホーム開幕戦で西武に勝ち、節目に奇跡的勝利をマークした。だが、最終成績は38勝97敗1分け。就任時から「38勝できるかな」が口ぐせの野村監督。新生・楽天はいきなり等身大の姿をさらけ出すことから始まった。
WBC日本代表で8選手を欠いたが、強いロッテは変わらない。若手中心で野村楽天に快勝し、ボビーはニンマリだ。
バレンタインVs野村。就任直後から野村監督に「ロッテ野球は参考にならん」と非難されたが、ボビーも1月の監督会議で野村監督の提案した予告先発廃止に真っ向から対立。日米を代表する指揮官に早くも遺恨が勃発していた。
試合前には握手しての腹の探り合い?ボビーは「堀は途中出場。小野も投げるよ」と予告したが両選手とも出場せず。知将にワナを仕掛け、心理戦でも勝利した。
野村監督に報道陣が殺到するのを見て「皆さん、あのチームが好きですね〜」とチクリ。地元・鹿児島出身の青野を先発させる余裕も見せた。パに生まれた因縁カードは、王者が層の厚さで先勝した。
WBC日本代表の主力8選手がいなくても、アジア王者の強さは変わらなかった。機動力と1発を絡めた攻撃で12安打9得点。オープン戦初戦を飾った。「ウチの団結力は完ぺき。シーズン中に誰かが故障したとしても、こんな戦いはいつもできる」。バレンタイン監督は胸を張った。
「キャンプで最も成長した」という早坂を1番に起用した。西岡と同級生の21歳は初回、右前打で出塁すると50メートル5秒5の快足で二盗、三盗を成功。3番・福浦への2球目の暴投で先制のホームを踏んだ。さらに2死満塁と攻めたてると今度は橋本が右中間へアーチをかけた。
こちらは里崎と同じ29歳。昨年も捕手ツープラトン制を任されてきただけに「サト(里崎)がいなくても、評価は大きく変わらない。今は(26日の日本代表戦で対決濃厚な渡辺)俊介をどうやって打つかだけを考えている」と笑ったが、バットを振り込んでできた手のマメは、里崎に負けない打撃を完成させるためのものである。
「今日は選手の成長した姿を見られた」とバレンタイン監督。主力不在が逆にロッテの強さを際立たせていた。
ローテーション入りを狙う左腕・加藤が先発し、2回を3安打1失点に抑えた。「力んだためボールが先行したが、投球の感触は悪くなかった」と2回5失点だった13日のオーストラリア代表戦(ジーロング・ベースボール・センター)より収穫はあったと語った。バレンタイン監督も「今日は全ての球種を試していた。オーストラリア戦よりも良かったね」と及第点を与えていた。
03年のヤクルト戦以来、3年ぶりに鴨池球場で開催されたオープン戦はバックネット裏の指定席が完売するなど、8200人を動員する盛況ぶりだった。また、キャンプを通じて外野席を初開放。右翼席のファンが千葉マリンと同じようにジャンプしながら応援する風景も見られた。狭間球団代表補佐は「03年の客入りは3000人ぐらいだったが、やっぱりアジア王者になったのは大きいね」とご機嫌だった。
WBC組はいなくても、ボビー・ロッテは今年も強かった。今季のオープン戦初戦で、野村楽天に完勝スタートだ。日本代表8人を欠いたが、試合後のバレンタイン監督は「うちはチームとして完璧な形でまとまっている。誰がいなくてもチームとしての戦いができる」と自信を見せた。
野村監督の初戦とあって、この日は楽天側の報道陣がロッテの倍以上集まっていた。アジア王者としてのプライドを持って迎える今季の国内初戦。試合前には「皆さんあのチームが好きですね〜」と日本語でチクリと指摘していたが、試合が始まれば王者としての力を見せ付けるだけだった。
初回から“ニューボビーチルドレン”が魅せる。50メートル5秒5の俊足1番早坂が右前打で出塁すると、すかさず二盗、三盗を決める。「久し振りの試合でめちゃくちゃ楽しかった」と持ち味を存分にアピール。暴投で先制のホームを踏むと、さらに満塁を攻め立て、今度は橋本だ。「今までで1番ドンピシャのタイミング」と、06年満塁本塁打第1号を右中間スタンドにたたき込んだ。昨季は捕手併用制の一翼を担ったが、ライバル里崎がWBC日本代表に帯同している。キャンプ中から好調を維持する打撃で、初戦から存在感を見せつけた。
さらに途中出場の若手成長株、大松、青松、辻らも次々に安打を放ち、計12安打で9得点。「選手達はとても楽しんでいたし、成長した姿を見せてくれた」と指揮官。主力不在は若手にとっては試合出場が増えるチャンス。昨季の今江、西岡のようなニューヒーローが現れれば、チーム力アップにつながることは間違いない。
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12球団選抜 | 0 | 0 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
日本代表 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 3 |
「王JAPAN」が12球団選抜に敗れた。国別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の日本代表壮行試合第2戦は初回、日本代表が1点を先制したが3回に同点とされ、4回に村田の3ランで勝ち越しを許した。6、8回に松中の犠飛で1点ずつ返したが、クリーンアップの安打はわずか1本。イチローも無安打に終わり、打線全体の停滞が浮き彫りになった。
思わぬ形で「スモールベースボール」の弱点が露呈した。王監督が首をかしげる。「チャンスはあったけど。打つ方が本来の調子になっていないね」。積み上げた単打は7本。ビッグイニングをつくれないまま、得点は3点で終わった。
機動力を生かした「スモールベースボール」は、この日も機能した。1回、四球の川崎が二盗。細川の悪送球を誘って1死三塁とし、和田一の二ゴロの間に先取点を奪った。が、松坂が逆転されて計算が狂った。3番手・和田毅が3回を締めて、せっかく呼び戻した試合の流れをつかみきれない。「ボールがもう少し飛んでもいいんだけどね」。王監督は長打力不足を指摘した。
「滑る」と投手陣を困らせるWBC球は、打者にも「飛ばない」と影響を与えている。弘田外野守備走塁コーチは「フェンス手前で急に落ちてくる感じ」と“低反発球”の印象を語った。
6回無死一、三塁。8回1死三塁。松中は2本の左犠飛で貢献したが、追いかける展開を破るにはヒット、それも長打が欲しい。連日の特打も2試合で8打席無安打。「松中はまだ体のキレが出てないね」と王監督。4番の沈黙が打線全体の停滞につながっている。
4打数無安打とイチローを起点とした攻撃ができず、松中のバットが湿ったまま先行を許すと「スモールベースボール」による逆転は難しい。1発勝負の短期決戦は初対戦の投手と当たるため打者に不利と言われる。裏を返せば、1点が2点の重みになる。王監督は「気持ちでカバーしていかないと」と気を引き締めた。打たなければ勝てない。最強打線は宿題を残した。
WBC韓国代表が25日、福岡ヤフードームで韓国プロ野球のロッテと練習試合を行い、6対1で快勝した。日本代表・王監督らが視察する中、2005年にシーズン18勝を挙げ、MVPを獲得した31歳の右腕・孫敏漢(ソン・ミンハン)が先発。3回途中で球数が63球となり降板した。5三振を奪ったが、5安打1失点の内容だった。合計6投手が継投し、4回以降は無失点に抑えた。
打線では巨人・李承Y(イ・スンヨプ)が「3番・一塁」で出場。3回には中前適時打を放つなど、4打数1安打1打点。「コンディションはいい」と笑顔を見せた。王監督は「打線は振れていない感じがしたね。でも、あと1週間で上げてくるでしょう」と警戒。韓国は26日にもロッテと福岡で練習試合を行う予定で、パドレスの朴贊浩(パク・チャンホ、32)が先発するなど、メジャー投手5人で継投する。
アジア王者ロッテの、今季のオープン戦第1号本塁打は、橋本将捕手(29)の満塁本塁打だ。楽天とのオープン戦初戦の初回。1点を先制した後に、2死満塁カウント1−2から楽天朝井のストレートを振り抜き、右中間スタンドに運んだ。13日のオーストラリア代表候補戦でも、チーム唯一の本塁打を放った。ライバル里崎がWBC日本代表に帯同している中で、好調な打撃を強烈にアピールした。
オープン戦初戦の先発を負かされたは6年目左腕加藤が、2回1失点の投球を見せた。「(初戦先発指名は)期待の表れだと思うし、その期待に応えたかった」と話す。13日のオーストラリア代表候補戦の初戦にも先発したが「その時より形になってきた」と手応えはある。
ロッテは26日のWBC日本代表との練習試合(福岡ヤフードーム)で同僚のサブマリン渡辺俊と対戦する。橋本は「俊介を打つことで頭がいっぱい」と意欲十分。早坂も「里崎さんから盗塁してみたいです」と話す。ロッテは小野が先発予定。バレンタイン監督は「明日も練習の一環。渡辺俊にはベストの投球をして欲しいし、我々もいい試合がしたい」と話した。
最近10年のオープン戦満塁1号(※はチーム初戦) | ||||
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年 | 月日 | 選手(所属) | 球場 | 相手 |
97 | 03-02 | 松中信彦(ダイエー) | 福岡ドーム | 巨人 |
98 | 02-22 | 李鐘範(中日) | 宮古島 | オリックス※ |
99 | 03-13 | 清原和博(巨人) | 東京ドーム | ダイエー |
00 | 03-07 | 山下勝己(近鉄) | 大阪ドーム | 西武 |
01 | 03-03 | ロペス(広島) | 松山 | 西武 |
01 | 03-03 | 福留宏紀(オリックス) | 大阪ドーム | 近鉄※ |
02 | 03-07 | 今岡誠(阪神) | 札幌ドーム | 巨人 |
03 | 03-02 | 木村一喜(広島) | 広島 | オリックス |
04 | 02-28 | 高橋由伸(巨人) | 鹿児島 | ロッテ※ |
05 | 03-07 | 谷繁元信(中日) | ナゴヤドーム | 西武 |
06 | 02-25 | 橋本将(ロッテ) | 鹿児島 | 楽天※ |
ロッテ−楽天戦の行われた鴨池球場には8200人のファンが詰め掛けた。外野スタンドも初めて開放し、ロッテの応援団も集まった。狭間球団代表補佐は「例年の倍以上の入り」とアジア王者景気に感謝する。スタメン出場した地元鹿児島出身のロッテ青野は2安打と活躍し、ひときわ大きな声援を浴びていた。
オープン戦が開幕した。最下位からの脱出を目指す注目の野村楽天は、昨季の日本一のロッテと対戦し、5−9で敗れた。5年ぶりにプロ復帰した野村克也監督(70)が「期待の星」と送り出した先発朝井秀樹投手(22)が5回9失点と炎上。初回早々にバッテリーミスで3盗塁を許し、満塁被弾で自滅。試合前、捕手併用制で日本一となったロッテを「学ぶものが何もない」とこき下ろしていたが、結果は完敗。WBCで主力を欠くアジア王者との戦力差も痛感し、ぼやき連発だった。
5年ぶりのプロ復帰となるオープン戦初戦は、完敗だった。怒りの矛先は、初回で試合を壊した先発朝井に向かった。「初回に3点はいいけど、5点はとられすぎ。(先頭打者を出して)2番を歩かせてはいかん。モーションが盗まれてる。くせがバレバレ。カツノリ(の肩)かもしれないけど、三盗で捕手が捕ったときにはスライディングしていたよ」とぼやき、試合後はダメ出しの連続だ。
初回だけで3盗塁、2四球を許し、ロッテ橋本に満塁弾を浴びた内容は、典型的な自滅パターン。2年目一場と共に「期待の星」に指名し、野村楽天初の対外試合のマウンドに送り出したが、5回9安打9失点と散々。「打たれた9安打は全部真っ直ぐ。原因は簡単なこっちゃ。原点能力(外角低めに制球すること)が1割。10球のうち、1球じゃ話にならん」と吐き捨て、制球力を求めた。
早々の大量失点で、注目の采配も振るえなかった。4回1死満塁では、1番森谷が初球を打ち上げて右飛で無得点。俊足だけに策も考えられたが「スクイズでもやれって言うんか?押せ押せで1球目からどんどん打つ場面。技術が足りないだけや」と力なく笑った。機動力野球を目指すが、残塁はロッテの6に対して倍近い11。
試合前、バレンタイン監督と笑顔で握手し、挨拶を交わした。
そんなジョークで、周囲を笑わせた。一方で、対決ムードもあおった。名捕手野村の信念は捕手固定制。「ロッテの野球の真似だけはするなと言っている。学ぶものがない。王者らしさも、捕手らしさもない。時代と共に日本一の質が低下している」と、捕手併用制で頂点に立ったスタイルを否定した。それが、WBCで主力を欠く打線に、しかも捕手併用の橋本にやられた。
消化不良のプロ復帰戦に「感慨?鈍感だから何もない」。想定内の黒星とはいえ、昨季97敗の新球団の一端を目の当たりにしたが、先は長い。試合前のジョークが、ぼやきに変わらなぬよう。