わたしはかもめ2006年鴎の便り(3月)

便

3月13日

WBC…2次リーグ1組

◇米国4x−3日本(エンゼルスタジアム)

日本は優勝候補の米国に3−4でサヨナラ負けした。日本はイチローが先頭打者本塁打。2回には川崎の左前打で2点を加えた。だが2本塁打で同点をされると、9回には藤川が2死満塁からA・ロドリゲスに二遊間に安打された。日本は8回に三塁走者の離塁が早いと判定され、勝ち越し機を逃したのが痛かった。

123456789R
日本1200000003
米国010002001x4x
王監督
「勝てるチャンスが多かった試合。初戦ということもあって、ものにしたかった。悔しい。(判定変更について)1番近いところで見ている審判員(塁審)の判定を変えることは、日本で見たことがない。野球がスタートした米国でこういうことがあってはならない。」
リー
「ああいう風に判定が覆るなんて、あまり見たことがない。僕らが贈り物をもらったようなもの。」
A・ロドリゲス
「マルティネス監督が今日のMVPだ。判定が覆ったことに驚いた。」

◇韓国2−1メキシコ(エンゼルスタジアム)

123456789R
メキシコ0010000001
韓国20000000x2

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バレンタイン監督“つなぐキヨ”キョーフ!?[夕刊フジ]

◇「内角に対応する打法を身につけそうだ」

ロッテ・バレンタイン監督は今オープン戦で、007に対してV2を阻む敵にオリックスを指名。キーパーソンとして清原を徹底マークしていた。その理由が、「内角に対応する練習をしていた。バリー・ボンズ風に体をくるりと回転させてね。あれがどこまでできるか」(球団関係者)。

2000本安打、500本塁打とプロ21年間での実績は抜群だが、「内角を意識させて外のボールになる球で仕留めるのが基本。西武、巨人時代から変わらない」(パ某球団スコアラー)。

だが、清原次第で、攻略マニュアルの中身を書き換えなければならないからだ。

13日の時点で清原は20打数2安打、打率.100。「内角球を見逃すなど対応はできてない」(同関係者)と、未完のボンズ打法に一安心。とはいえ、それ以上に気になる点が…。「走者のいる状況ではしっかり右打ちを意識してるんだ。打ってる球は外角系のコースだけど、以前なら長打狙いで引っ張って凡退してたからね」(同関係者)

要は清原流のスモール・ベースボールを展開しているというのだ。この流儀こそバレンタイン監督の信条でもあるが、中村紀やガルシアら強打者が揃う打線で短打でつなぐスモール・ベースボールをやられたら…。

清原にお株を奪われそうなバレンタイン監督。ヤッパリ気ニナリマスという心境か−。

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ボビーが敵のCM

ソフトバンクの開幕戦CMに特別出演したバレンタイン監督はこの日、完成版に初めて目を通した。異色のコラボが実現し、ライバル球団の監督が敵地の観客動員のため一肌脱いだ。「倍返し」という挑発的なテーマにも「よくできている。プロフェッショナルだ」と大人の対応。一方で「ソフトバンクはCMでファンを呼ぼうとしているが、ロッテには世界一のファンがいる。CMなんてなくても、みんな球場に足を運んでくれるだろう」と対抗意識をのぞかせた。

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ボビー、審判の“素性”暴露[デイリー]

ロッテのボビー・バレンタイン監督(55)が13日、誤審を引き起こしたデービッドソン審判員を痛烈に批判した。東京都内のホテルでの講演会に出席した同監督は、その前にテレビで米国−日本戦を観戦。「最高の選手が試合をしたにもかかわらず、審判が試合を決めた。非常に残念」と憤慨。デービッドソン審判員を「確か6年前にメジャーの審判を解雇されたはず。今はどうなっているか分からないが、本当に審判をやっているかどうか疑わしい」とし、「彼には渾名がついていた。よくボークをコールすることから“ボーク・ボブ・デービッドソン”。審判なのに、昔から目立とうとしていた」と切り捨てた。西岡のタッチアップには「ミスは見られない」とした上で、「日本と米国の差はない。ただ彼が球審を務めていたことが残念だった」と嘆いた。

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王JAPAN、審判に負けた[デイリー]

2次リーグが開幕し、カリフォルニア州アナハイムで行われた1組で、日本は米国にサヨナラ負けした。8回には審判員の誤審、不可解な判定変更で日本の勝ち越し点がまぼろしとなった。王貞治監督(65)の抗議も実らず、後味の悪い1敗となった。1組のもう1カードは、アジアラウンドで日本に勝った韓国がメキシコに快勝。プエルトリコ・サンフアンでの2組では、アテネ五輪金メダルのキューバがベネズエラに、プエルトリコはドミニカ共和国に、それぞれ勝った。

残念では片付けられない。明らかな誤審での敗戦。指揮官の表情には、怒気が含まれていた。「野球がスタートしたアメリカで、そういうことがあってはならないと私は思います」。試合後の会見、王監督は各国メディアを前に、発せずにはいられなかった。

70年間、日本プロ野球が追いかけてきた米国との真剣勝負が初めて実現した。敵地でも、王JAPANは序盤で3点のリードを奪うなど、力負けしなかった。しかし、力ではない部分が勝敗を分けた。

3−3で迎えた8回、1死満塁。岩村の左飛で三走・西岡がタッチアップ。左翼手・ウィンの本塁返球が大きく左にそれて、確かに1点勝ち越した。歓喜の日本ベンチだったが、直後にならくの底に突き落とされた。

西岡の離塁が早いという米国側のアピールに、二塁のナイト塁審が両手を広げて「セーフ」の判定。しかし、米国・マルティネス監督がデービッドソン球審に抗議すると、判定は一転して「アウト」に。ベンチを飛び出した王監督は米国ファンの大ブーイングの中、約3分間、猛抗議したが、再び判定が覆ることはなかった。

だが、どう見ても西岡が塁を離れたのは、捕球の後。球場のスクリーンには、何度もそのシーンが映し出された。しかも、簡単にジャッジが覆る理不尽さ。王監督も納得できるはずがなかった。

王監督
「1番近いところで見ている審判のジャッジを抗議があったからといって変えるのは、私は長年、日本で野球をやってきたが、見たことがありません。審判4人は同じ権利があると思う。我々の習った野球とは違う。世界中が見ているのに、アメリカのためにもならなかったと思う。」

米国が戦う試合にもかかわらず、デービッドソン球審は米国人。地元びいきの判定という疑念を誰もが持ったはずだ。しかも今大会の審判員はマイナーリーグの審判員。技術面の問題もある。

それでも、前を向くしかない。「今日の試合は終わったこと。考えてもキリがない」。ショックを振り払うように王監督は、第2試合の韓国−メキシコ戦を視察した。「メキシコ、韓国に勝ち、(準決勝で)アメリカにもう1回チャレンジするということ」。次は完全な勝利で、借りを返すしかない。

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A・ロッド“誤審”で勝利確信[デイリー]

米国代表は4番のA・ロドリゲスの1打で辛くも勝利をものにした。マルティネス監督は「すごく緊迫した1戦だった。日本は守備も救援陣の投球もよかった。最後はポストシーズンのような雰囲気になった」と、胸をなで下ろしながら言った。

審判員の判定に“救われた”。8回1死満塁から左飛で勝ち越しを許したと思われた直後、マルティネス監督が「三塁走者が塁を離れるのが早かった」と抗議し、判定が覆った。その直後、ガッツポーズを見せた指揮官は「私は早いと見た。ダッグアウトにいたみんなもそうだ」と、満足そうだった。

A・ロドリゲスは、8回の判定を重要な勝因として挙げた。「判定が変わったのには、すごく驚いたけど、それで『この試合、勝てる』と思った。バック(マルティネス監督)がこの日の最優秀選手だ」と、持ち上げた。

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米メディアも判定変更を批判[デイリー]

西岡の離塁の判定については米各メディアでも取り上げられ、判定変更に批判的な論調が目立った。USAトゥデーは試合展開よりも、事の経緯を詳しく紹介し「テレビのリプレーを見る限り、西岡の判定を変えたのは間違いである」と主張。FOXスポーツのホームページは、ある米国選手がリプレーを見て「(西岡の)離塁は早くない」と語ったと伝えた。ニューヨーク・タイムズ紙は「野球を通じて友好を深めるはずの大会で、最初の事件が起きた」と批判。AP通信はリーの「判定が覆るなんて、そうあることじゃない。我々は贈り物をもらった」という談話を紹介し、事実関係を伝えた。

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ボビー「アンパイアが試合決めた」[報知]

WBC2次リーグの日本−米国戦で、疑惑の判定を下したデービッドソン球審を、ロッテのボビー・バレンタイン監督(55)も痛烈に批判した。13日、テレビ観戦したボビーは「アンパイアが最高のジャッジをしなかったのが残念だ」と声を荒らげた。この日、都内のホテルで講演後、報道陣に囲まれたが、西岡のタッチアップ判定について「西岡はいいプレーをしたのに、球審が非常に間違ったコールをしてしまった」と切り捨てた。さらに、清水への不正投球判定についても「不可解だ。なぜ最初に注意しなかったのか。何度かやった後に言うのはおかしい。昨年11月のアジアシリーズでは何も言われなかったのに」と、まくし立てた。

2人の愛弟子が“被害”を受け、ボビーの怒りはデービッドソン球審への個人攻撃にまで発展した。「彼はメジャーのときから知っている。渾名は『ボーク・ボブ・デービッドソン』。自分が目立つために、他の審判よりもボークを宣告することで有名だったんだ」と暴露。「そんな渾名を持つ人が球審を務めたのが残念。アンパイアが試合を決めてしまったね」と何度も首を振った。

大リーグの審判名簿によるとデービッドソン氏は1983年からナ・リーグの審判に昇格。99年9月に労使交渉中の審判団の戦術として総辞職した際に辞任するまで足かけ17年間在籍、92年にはワールドシリーズの経験もある。ただし、ストライク、ボールの判定が厳しく、ボビーが指摘したようにボークを厳格にとる事でも知られる。また98年9月20日、ソーサ(当時カブス)と本塁打争いを演じていたマグワイア(同カージナルス)の66号と思われた左中間への打球を「打球はフェンス上の黄色いパイプの下」として二塁打に訂正。カージナルスが提訴し、当時のセントルイス地元紙は「彼は66号を奪い取ったメジャー最低の審判」とこきおろした。

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米国命拾い、リー「贈り物をもらった」[報知]

◇WBC2次リーグ1組

メジャーリーガーの意地が、打球に乗り移った。9回2死満塁。バットを折られながら、A・ロドリゲスの打球は中前に抜けた。劇的なサヨナラ勝ちに、ベンチから一斉に飛び出すナイン。「(8回に)判定が変わったのには、すごく驚いたけど、それで“この試合、勝てる”と思った。バック(マルチネス監督)がこの日の最優秀選手だ」殊勲の1打を放ったロドリゲスが、興奮気味に振り返った。

執念の勝利だった。初回、1点を先行されたその裏、無死一塁からジーターがセーフティーバントで内野安打。そして、ロドリゲスが勝因に挙げたマルチネス監督の猛抗議は8回。「あの(タッチアップの)場面では、球審に『どうして彼(二塁塁審)にコールさせたのか』と尋ねたんだ。過去にこれに似たような場面で、(ブルージェイズの監督として)ボストンとシアトルで抗議したことがあったけど、判定が覆ったことはないよ。本当にラッキーだった」どん欲な姿勢が、勝利を呼び込んだ。

1次リーグのカナダ戦の敗北が、米国代表を一丸にした。「勝って当たり前」と思っていた戦いでの敗北で、まさかの2位通過。だからこそ、この日の日本戦も、だれもが必死だった。「判定が覆るなんて、そうあることじゃない。我々は贈り物をもらった」と言ったのは、6回に同点2ランを放ったリー。さらに、フォックスのスポーツ専門公式サイトは、VTRを見た米国代表のある選手が、西岡のタッチアップを「スタートが早かったとは思わない」と、誤審を認めたと伝えた。それでも、大事な試合に勝った。なりふりさえも構わない大リーガー達の団結力が、間違いなくこの日の勝因だった。

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NYタイムズ「陰謀」[報知]

◇米各紙日本寄り

米国の各メディアも、WBC2次リーグの日本−米国戦で西岡のタッチアップに対する判定を大きく報じた。ニューヨーク・タイムズ紙は13日付の電子版で、78年公開の映画「カリフォルニア・ドリーミング」にかけて、「日本にとって、カリフォルニア・スキーミング(陰謀)だった」と見出しをつけた。また、記事の中では、「離塁が早いという抗議は、リトル・リーグ以後は形式上のものと考えられている」とした。

また、捕球後に左翼から送球したウイン外野手が所属するジャイアンツの地元紙「サンフランシスコ・クロニクル」は、書き出しを「アジア出身の審判はどこにいる?」と、大会の審判員32人のうち、22人が米国人で、日本人は1人だけだったことを痛烈に皮肉った。また、この日の2次リーグ4試合の球審は、デービッドソン氏を含め3人が米国出身で、1人は豪州生まれだとも伝えた。

◇韓国紙「詐欺」

韓国の「朝鮮日報」電子版日本語バージョンは、「明らかな誤審に救われた米国 米国が日本戦で厚顔無恥な詐欺劇」と過激な見出しで報じた。記事でも「世界最強を自負するアメリカが、不当なホームアドバンテージでも勝てるならいとわない」とも伝えた。

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王JAPAN激怒!誤審で勝ち越し犠飛幻[報知]

◇WBC2次リーグ1組

なぜだ!どうして?WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)2次リーグ初戦の対米国戦で「王JAPAN」が不可解な判定で、痛い星を落とした。同点で迎えた8回1死満塁からの岩村の左飛で、三塁走者・西岡はタッチアップで生還。塁審はホームインを1度は認めたが、デービッドソン球審が「西岡のタッチアップが早かった」と、判定を覆した。決勝点が幻に終わり、日本はサヨナラ負け。後味の悪さだけが残るゲームになってしまった。

一瞬、目を疑った。デービッドソン球審の右手が上がった。アウトのコール。判定が覆った。嵐のようなUSAコールの中、日本の勝ち越し点が取り消された。「NO、NO、NO]左人指し指を揺らしながら、王監督が一塁ベンチを飛び出した。

スタンドからの激しいブーイングを浴びながらの懸命の抗議も実らない。「野球がスタートした国、アメリカでこういうことがあってはいけないと思います」公式会見で目を充血させながら訴えた。いくら敵地とはいえ、到底、納得の出来ないジャッジだった。

問題のシーンは、エンゼル・スタジアムの記者席のテレビでも、何度も繰り返された。米国の報道陣も、見たくないものを見たように力なく首を横に振る。8回1死満塁。三塁走者・西岡の足がベースを離れたのは、明らかに、左翼手・ウインのグラブにボールが収まった後だった。

王監督の怒りが収まらないのは、ただの誤審ではなく、ルールの不適用で判定が覆されたことだ。「球審、塁審に関係なく、審判は同じ権利を持っている。1番近いところで見ている審判のジャッジを変えるのはおかしい。長いこと野球をやっているが見たことがない」捕手のアピールプレーで、三塁にボールを返球。三塁付近にいた二塁塁審が、セーフと両手を横に広げ、この時点で、日本が4−3と勝ち越しが確定した。マルチネス監督の抗議を受け、デービッドソン球審の独断で判定が覆るとは、誰にも考えられなかった。

初めて実現した日米ドリームチームの真剣勝負に水を差すミスジャッジ。守備でも、首をひねる判定があった。6回、2番手で登板の清水は、マウンド上で右手を口に持っていき、2度反則投球と判定された。「日本でもアリゾナ(練習試合3試合)でも、同じことをやっても何も言われなかったのに」と王監督。2度とも投げることなく自動的にボールとなると、1度目は四球、2度目はリーの同点2ランにつながった。

2次リーグ初戦は、悔やみきれないサヨナラ負け。デーゲームを終えた指揮官は、コーチを引き連れ、午後8時からのメキシコ対韓国戦の視察に訪れた。「今日のことは終わり。もう1回アメリカにチャレンジする。負けたことは悔しいけど、全体的には良かった」残り2試合に勝ち、18日の準決勝。米国相手に今度こそ文句なしの白星を挙げてみせる。

◇チェック権限は二塁塁審にない

ボブ・デービッドソン球審
「満塁でのタッチアップをチェックするのは球審。(二塁塁審の)ナイト審判員はいるべき場所である三塁付近にいたが、タッチアップをチェックする権限はない。それが最初に(問題なしとの)判定を下してしまった。球審の判定すべきところであり、私は離塁が早いと判断した。」

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薮田ピシャリ3K![スポニチ]

4番手で登板した薮田が1回1/3をパーフェクト投球。7回2死三塁からグリフィー(レッズ)をフォークで空振り三振に打ち取ると、8回にも2三振を奪った。「プレッシャーはなかった。自分の投球をすることだけしか考えてなかった」と涼しい顔で話した。試合には敗れたが、今後の戦いに向け大きな戦力となりそうだ。

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清水、反則投球コールに困惑[スポニチ]

2度にわたる反則投球が、清水のリズムを狂わせた。2点リードの6回1死、ジョーンズにカウント1−2としたところでマウンド上で右手を口に持っていった行為を球審に指摘された。さらに1死一塁でリーの打席の前に二塁方向を向いて同じ行為をし、今度は二塁塁審に。こうした指に唾液をつけたり、指を口に近づける行為が、公認野球規則8・02(a)の「禁止事項」に該当し、走者は進塁せずボールカウントだけが増えた。

直後、リーに同点2ランを浴びた清水は「(米国内の)練習試合では何も言われなかった。確認不足と言われればそれまでなんだけど…」と困惑の表情。それだけに「悔しい。もう1回やり直したい」と準決勝の米国戦での雪辱を誓った。

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米国本気!ジーターがバントも[スポニチ]

A・ロドリゲスの打球が西岡のグラブをはじいて中前へ転がると米国ナインは喜びを爆発させた。9回2死満塁。藤川の直球に詰まりながらのサヨナラ打にヒーローは息を弾ませた。

ロドリゲス
「悪い当たりでも、こんなに嬉しいヒットはない。藤川の球は速く感じたが(前の)グリフィーの打席で研究できた。本当にラッキーだ。」

いきなり3点ビハインドの苦しい展開。C・ジョーンズ、リーの本塁打で同点とした後はもうがむしゃらだった。7回無死一塁からジーターが送りバント。9回のサヨナラ機もウィン、ヤングのバントがあった。プライドをかなぐり捨てて奪った1点。2つのバントを決めたジーターは「いい試合にしようと思ったらバントぐらいするさ。日本は素晴らしいチームだから」と話した。

投手陣は先頭打者本塁打を放ったイチローを徹底マーク。2打席目以降は3打数無安打。9回2死三塁では敬遠で勝負を避けた。「(1次リーグで)カナダに負けて1試合の重みを学んだ。もうあんな思いはしたくない」とA・ロッド。苦しんで得た1勝で優勝候補の結束はさらに深まった。

◇米国認めた“判定が勝因の1つ”

米国代表のマルティネス監督は問題の判定について「自分は正しい角度から見ていた。ベンチ全員がスタートが早かったと意見が一致したので抗議した」と会見で説明。大リーグでもタッチアップの判定が覆るのは極めてまれ。A・ロドリゲスは「この日のMVPはバック(マルティネス)」と話せば、リーは「我々は贈り物をもらった」と、判定が勝因の1つだったと認めた。

デービッドソン球審は試合後「満塁でタッチアップをチェックするのは球審。(二塁塁審の)ナイト審判員に権限はない。それが最初に判定を下してしまった。私は離塁が早いと判断した」との声明文を発表した。現在マイナーリーグ所属の同審判員は17年のメジャー審判歴もあり、99年の労使紛争で辞職した22人の1人。98年、マグワイア(カージナルス)の“66号”を「ファンがフェンスの手前で妨害した」と判定。米メディアに「目立ちたがり屋の審判」と批判された。

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ボビーも怒った!「審判がひどい」[スポニチ]

ロッテのバレンタイン監督は米国戦での不可解なジャッジに怒りを隠さなかった。

バレンタイン監督
「西岡のミスと思えない。間違ったコール。最高のプレーヤーがグラウンドにいるのに、審判がひどかった。」

チームから日本代表へ8選手を送り込んでいることもあって、朝6時から千葉市内の自宅でテレビ観戦。“ボビーチルドレン”の西岡のスタートが早かったとされたことに納得がいかなかった。さらにチームのエース清水が反則投球とされたことにも「1回目の時は何も言わずに、後からボールと判定するのはおかしい」。判定を覆したデービッドソン球審は米球界時代から知っており「彼のニックネームは“ボーク・ボブ・デービッドソン”というんだ。なぜならば異常なほどボークを宣告する。彼は目立ちたがり。そんなやつがあそこに立っていることが信じられない」とまで発言はエスカレート。「6年前に審判が大量解雇されたが、それ以来、キャンプでも彼の姿を見たことはない。そもそも今も審判の仕事をしているのかも疑問」と怒りが収まらない様子だった。

◇挑発映像に皮肉で応酬

15日から九州地区のテレビなどで流される3・25開幕戦用のCMフィルムがソフトバンクからバレンタイン監督に届けられた。ヤフードームで打撃をする松中らが「倍返し」と書かれたボールを千葉マリンへ打ち込む過激な内容。そんな挑発映像を見た指揮官は「これでファンの関心を集めるのですか?テレビで告知しなくても千葉マリンはいっぱいになる。なぜならウチには世界一のファンがついている」と皮肉で応酬していた。

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なぜ判定変更!?日本、米国に敗れる[スポニチ]

国別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の2次リーグが12日(日本時間13日)、開幕した。エンゼルスタジアムで米国代表と対戦した日本代表は3−4でサヨナラ負け。8回の攻撃ではタッチアップによる不可解な判定をめぐって、王貞治監督(65=ソフトバンク監督)が猛抗議するなど勝利に執念を見せたが実らなかった。大きな1勝を逃した王ジャパンは14日(同15日)、メキシコと対戦する。

動かない。いや、動けなかった。打球が青芝に転がった瞬間、誰もが固まっていた。A・ロッドを中心にできた米国の歓喜の輪。「U・S・A!U・S・A!」の大合唱が響く中、一塁ベンチの王監督はグラウンドの光景を凝視していた。

スコアでは負けた。でも、試合に負けたと思っている者はいなかった。

「日本で長年野球をやってきて、こんなこと見たことがない。野球がスタートしたアメリカでそういうことがあってはいけないと思う。世界中の人が見ているのに」。敗戦から10分後、王監督は米メディアも詰めかけた会見で怒気をこめてそう言った。史上初めて真剣勝負でぶつかった米国戦。勝てた試合だったからこそ悔しかった。

問題の場面は3−3の8回。米国の5番手・ネーサン(ツインズ)を攻めて1死満塁。岩村の浅い左飛で三塁走者・西岡はスタートを切った。勝負をかけたタッチアップ。ウィン(ジャイアンツ)の返球がそれて勝ち越し点が入った、はずだった。米国守備陣のアピールにナイト二塁塁審も「セーフ」をコール。ところが、マルティネス監督の抗議で判定が覆ってしまう。デービッドソン球審は西岡の離塁が早いとしてアウトを宣告。米国を打ち負かすはずだった「1点」は幻となった。

王監督は、すぐさまベンチを飛び出しブーイングの嵐が起こる中で猛抗議。審判4人制では球審が三塁走者の離塁を判定することが通例だが、王監督は「1番近いところにいた審判の判定を球審が変更するなんて。審判は全員同じ権限を持っているはずだ」と憤慨。“完璧”なスタートを切った西岡も「審判がルールやから仕方がない。と思うけど正直、切り替えられない部分もある」と複雑な心中を吐露した。

金銭面で折り合わずにメジャーの審判員と契約できず、マイナーの審判員で臨んだ今大会。米国の審判員が自国の試合をジャッジするという矛盾。第1回大会ゆえに起こった悲劇。それでも王ジャパンはメジャー軍団を崖っ縁まで追いつめた。イチローが打ち、スモール・ベースボールでピービ(パドレス)を攻略。バックは再三の美技で盛り立てて、投手陣も踏ん張った。

「世界中の人に日本の野球をアピールできた。もう1度、アメリカにチャレンジしたいね」。借りを返す舞台は18日の準決勝しかない。そこまで2試合、絶対負けるつもりはない。

◇米メディアからも疑問が

問題の判定については野球発祥の地である米メディアも疑惑を投げ掛けた。一夜明けて、ニューヨーク・タイムズ紙は電子版で“カリフォルニアの陰謀”との見出しで大きく報道。「たとえ離塁が一瞬早くても、あのような場面で走者がアウトになるのは普通はあり得ない」とすれば、USAトゥデーでは試合展開よりも、事の経緯を詳しく紹介。「テレビのリプレーを見る限り、西岡の判定を変えたのは間違いである」と主張した。試合を中継していたスポーツ専門局ESPNの解説者は4人中3人が米国人審判だったことに言及。「これはメジャーリーグの試合ではない。ワールド・ベースボール・クラシックなんだから、世界中から審判を呼んでくるべき」と公平なジャッジが必要と述べた。

判定については日本を同情する声が多かったが、試合後の会見で米メディアからの質問が相次いだのは、王監督が抗議している間に選手が守備に就かなかったこと。「あまり見られない光景。試合をボイコットするのかと思った」などとして不思議そうだった。

◇松坂、必勝誓う

2次リーグ初戦に敗れたことで日本代表が準決勝進出するには14日(日本時間15日)のメキシコ戦、15日(同16日)の韓国戦連勝が最低条件。韓国に敗れたメキシコは日本戦に全力を注いでくることは確実。それだけに先発の松坂にかかる重圧は相当なものになる。「勝つしかない。勝つための投球をする」と松坂は必勝を誓った。また、メキシコに勝って勢いに乗る韓国相手に先発予定の渡辺俊は「1勝1敗でこようが、どんな形だろうが、自分のピッチングをする」とこちらも表情を引き締めた。

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西岡「もう1度アメリカと」[サンスポ]

イチローとの俊足コンビでチームを引っ張ってきた西岡だが、打撃では2安打1盗塁と活躍したものの、8回の走塁では誤審とはいえ痛恨のスタートミス。守備でも2失策を犯した。「あの場面は“なぜ?”と思いましたけど、判定が覆ることはないですし…。今日はボクのミスで負けましたが、あと2試合に勝って、もう1度アメリカとやりたい」とリベンジを誓っていた。

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アメリカ薄氷勝利…必死になった「スモール・ベースボール」[サンスポ]

詰まりながらも二遊間を抜けると、米国ベンチが空になった。殊勲打のA・ロドリゲスを中心に、マウンド後方で歓喜の輪が広がる。総年俸約90億円のオールスター軍団がプライドを捨て、勝利を素直に喜んだ。「大きな勝利だ。1次リーグでカナダに敗れ、1戦1戦の大切さをみんなが学んだ結果だ」。

1回1死一、二塁で併殺、7回2死三塁で三振と2度の好機で凡退し、9回のサヨナラ機には一部の米国ファンからもブーイングされたA・ロッドだけに、意地の1打に酔いしれた。

執念の抗議で判定を覆したマルティネス監督もホッと胸をなで下ろした。「非常に緊迫した1戦だった。日本は守備も投手陣も素晴らしかった」。

この日は1次リーグから大幅にメンバーを入れ替えた。6打数1安打と不振のデーモンを先発から外し、昨年ア・リーグ首位打者のヤングを1番に、A・ロッドをDHに置き、5番三塁にC・ジョーンズを起用。選手の格より、調子のいい打者を優先させた。

采配面でもプライドはなかった。ジーターの2度をはじめ、送りバントは計4度(1度は失敗)。「最後はまるで(常に緊迫した)プレーオフのようだった」と監督がいうように、普段の豪快な野球とは一変して、スモール・ベースボールに徹した。米国が本気になった証拠だ。

6回に同点2ランを放ったリーは「判定が覆るなんて、そうあることじゃない。我々は贈り物をもらった」と話した。国の威信をかけて日米が真剣勝負に挑んだ歴史的1戦。野球発祥の地・米国は日本の足音を十分すぎるほど感じ取った。

◇ピービ、日本打線に脱帽

先発のピービは相性がいいはずだった日本打線に先制を許す苦しい投球。2戦2勝した一昨年の日米野球以来の対戦となったが、5回を投げて5安打3失点。球数は67球ながら制球も安定せず「相手は(選球眼がよく)振ってこなかったし、ミスがなかった」と日本打線を評価していた。

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王ジャパン、アメリカに“判定”負け…準決勝でリベンジだ![サンスポ]

世界の王が大激怒した。野球の国別対抗世界一決定戦、WBCは2次リーグ開幕、日本は米国と対戦した。同点で迎えた8回、犠飛で三走・西岡剛内野手(21)=ロッテ=が生還し、勝ち越し点を奪ったが、米国側が離塁をめぐって抗議し、不可解にも判定が覆された。勝ち越し点を失った王ジャパンは9回、アレックス・ロドリゲス内野手(30)=ヤンキース=にサヨナラ打を浴び、3−4で惜敗。王貞治監督(65)は残り2戦を勝ち抜き、18日(日本時間19日)の準決勝(サンディエゴ)で米国へのリベンジを誓った。

左手の人指し指を回しながら、背番号89が一塁側ベンチを飛び出した。不可解なジャッジ変更に、王監督の怒りのマグマは沸点寸前まで達する。ブーイングを受けながら、世界の王が5分間の猛抗議。だが再び判定が覆ることはなかった。

王監督
「1番近くで見てる審判のジャッジを変えるということは、私は日本で長年野球をやってきて、見たことがありません。野球がスタートした国でこういうことがあってはならない。」

不可解シーンは3−3で迎えた8回1死満塁だ。岩村の左飛で三走・西岡が生還した。米国は西岡の離塁が早いとして捕手から三塁手にボールを転送したが、ナイト二塁審判はセーフの判定。ところが米国のバック・マルティネス監督(57)が抗議すると、ボブ・デービッドソン球審が認めたのだ。日本の勝ち越し点が消え、併殺となった。

デービッドソン球審は、タッチアップの判断は塁審でなく球審に権限あると王監督に判定変更の理由を説明。試合後、「離塁が早いと判断した」と声明文を出した。だが、テレビ中継では捕球後に西岡がスタートを切ったシーンが繰り返し放映された。権限云々以前に、ミスジャッジは明白だった。

野球の世界的な普及を目的とされたWBCで米国の圧力とも邪推されかねない誤審。王監督も「世界中の人が見ているのに。アメリカのためにもならんよ」と怒気を強めた。歴史的汚点の犠牲者となる形で、痛恨の1敗発進。だが、指揮官は帰り際、不可解な屈辱より、野球大国・米国を追いつめた戦いの内容に重きを置いた。

王監督
「もうその(審判の)話は横に置いておこうよ。アメリカとの真剣勝負の中でよくやった。イチロー、松井(秀)が、活躍するという環境に今、日本があるということをアピールできた。」

初回に前日直接指導したイチローが先頭打者弾。強烈なUSAコールの中、足を絡めたしつこい野球も見せることができた。王監督は試合後、選手を集めていった。

「韓国、メキシコに勝って、もう1回アメリカとやろう!」。2次リーグを勝ち抜けば、18日(日本時間19日)の準決勝で再び米国と対戦する可能性もある。屈辱をエネルギーに換え、王ジャパンはリベンジの舞台に這い上がる。

◇米各紙は判定変更に批判的

西岡(ロッテ)のタッチアップでの生還の判定が覆ったことは、13日付の米各紙でも取り上げられ、判定変更に批判的な論調が目立った。USA TODAYは事の経緯を詳しく紹介し「テレビのリプレーを見る限り、西岡の判定を変えたのは間違いである」と主張。ニューヨーク・タイムズ紙は「野球を通じて友好を深めるはずの大会で、最初の事件が起きた」と批判した。

◇中継局は判定を支持

日本−米国戦を全米に生中継していたスポーツ専門の有線テレビ局「ESPN」は判定を“支持”した。何度も問題の場面を再生。「ハーフステップ(半歩)早かった。判定が覆ったのは正しい」と解説のリック・サットクリフ氏(49)は断言していた。

平林岳マイナーリーグ審判員(元パ・リーグ)
「米国では審判4人の責任分担が状況に応じて明確になっており、あの場面(1死満塁)のタッチアップは球審が判定することになっています。三走に最も近い三塁塁審は左翼への飛球を追い、二塁塁審はタッチアップの可能性がある二走も見ておく必要があるため、角度的に左翼手と三走の両方を見るのが難しいという理由で球審の担当になります。ですから二塁塁審は米国側からアピールされても『セーフ』と判定する必要はなかった。球審の判定を仰げばよかったのです。」
現地で観戦した阪神・星野仙一SD
「球審に権限があるなら、二塁塁審がセーフと判定した瞬間に『いや!アウトだ』と言わなければいけない。米国の抗議でなぜ変わるのか。残念を通り越して情けない。これからは第三国の審判がやらないと。」
日本サッカー協会・川淵三郎キャプテン
「現在、サッカーは第三国の人が審判を務めるのが当たり前。しかも大リーグの審判ならまだしも、世界一を決めるのが3Aの審判だったとは。改めるべきだし、WBCの汚点として残る気がする。」

◇ボビー憤慨「非常に残念」

米国−日本戦をテレビ観戦したロッテのバレンタイン監督は「最高の選手が試合をしたにもかかわらず審判が試合を決めた。非常に残念」と憤慨した。西岡の離塁が早いとの判定には「西岡にミスは見られない。ひどい判定だ」。さらに清水が投球前につばを球につけすぎとクレームをつけた球審を非難。「彼はボーク・ボブ・デービットソンと渾名があるぐらいボークに神経質。目立ちたがり屋なんだろう。彼が球審だったのは日本には不運だった」と顔をしかめた。

◇コミッショナー事務局に抗議電話殺到

都内のコミッショナー事務局には、ファンから50件以上の抗議電話が寄せられた。誤審への批判や「王監督は選手を引き揚げるべきだった」という意見のほか、「米国大使館に電話したが取り上げてもらえなかった」という電話もあったという。またコミッショナー事務局の丸山博規則委員は、誤審の原因となった判定の変更について「確かにマニュアルでは三塁走者のタッチアップを確認するのは球審だが、二塁塁審が1度“セーフ”と判定してしまった以上はそちらが優先される。判定を変更した球審は、二塁塁審から相談を求められたのかが問題。そうでなければ球審の越権だ」と主張した。

◇判定変更は提訴できず

WBC2次リーグ1組の米国−日本戦で、判定が覆って日本の勝ち越し点が取り消されたことについて、大会の技術委員を務める横浜の山中正竹球団専務は「アウト、セーフの問題なので、提訴の対象にならない」との見解を示した。山中専務は試合直後、この試合を担当した技術委員や審判員スーパーバイザーらに判定変更について確認。その内容を「権限のない二塁塁審が最初にセーフ(離塁が早くない)の判定を出したが、本来は球審が判断するところ。その球審が『早いと見た』ということだった」と説明した。

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ボビーも憤慨「ひどい判定」[ニッカン]

WBC2次リーグ1組、米国−日本戦をテレビ観戦したロッテのバレンタイン監督は「最高の選手が試合をしたにもかかわらず、審判が試合を決めた」と憤慨していた。西岡の離塁で判定が覆ったことに「ひどい判定だ」。さらに清水がつばを球につけすぎと反則投球とされたことには「彼(デービットソン球審)はボーク・ボブ・デービットソンとあだ名があるぐらい、ボークに神経質だ。彼が球審だったのは日本には不運だった」と顔をしかめた。

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清水には2度の反則投球判定[ニッカン]

2番手・清水は困惑を隠せなかった。6回、リーに同点2ランを浴びたが、直前にマウンド上で右手を口に持っていったとうことで、2度反則投球と判定された。2度ともボールがカウントされた。1度目は四球につながり、2度目はリーに初球を投じる前だった。「大リーグとの練習試合でも普通にやっていたけど何も言われなかった。確認不足といえば、そうかもしれないけど…」。

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日本、V候補米にサヨナラ負け[ニッカン]

◇WBC2次リーグ1組:米国4−3日本

日本は優勝候補の米国に3−4でサヨナラ負けした。日本は3−3の9回、この回から登板した藤川(阪神)が2死満塁から4番のA・ロドリゲス(ヤンキース)に二遊間安打された。

日本はイチロー(マリナーズ)が右越えに先頭打者本塁打。2回にも川崎(ソフトバンク)が左前打して2点を加えた。しかし、6回に3−3とされ、8回の勝ち越し機を逃したのが痛かった。1死満塁で岩村(ヤクルト)が左飛。犠飛に思えたが、アピールプレーで三塁走者のスタートが捕球より早いと判定されて併殺になった。

プエルトリコ・サンフアンでの2組では、キューバがベネズエラに7−2で快勝した。

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リー正直者「我々は贈り物をもらった」

◇殊勲A・ロッド「最優秀選手は抗議した監督」

メジャーのスター選手達が、興奮を隠そうとしなかった。9回裏2死満塁。4番ロドリゲスの打球が、二塁西岡のグラブをはじいた瞬間、ダッグアウトは空っぽになった。殊勲のロドリゲスは言った。「とても誇りに思う。その試合も勝つか、家に帰るか、NCAA(大学)タイプの雰囲気でやらなきゃいけないからね」。内容や形ではない。ただ、勝利だけにこだわった。

8回表。西岡のタッチアップに対するマルティネス監督の猛抗議も、必死さの表れだった。「(三塁側ベンチの)いいアングルから見えたし、離塁が早いと思った。ダッグアウトの全員が同じように感じたと思うよ」。公式戦中では考えられない判定の変更。ロドリゲスは「すごく驚いたけど、それで『勝てる』と思った。(抗議した)バック(マルティネス監督)がこの日の最優秀選手だ」と話した。リーは「判定が覆るなんて、そうあることじゃない。我々は贈り物をもらった」。サヨナラ劇への流れは、その時点で定まっていた。

ムードは一変していた。カナダ戦で敗れ、2次リーグにはヒヤ汗の末、辛くも進出した。さらにこの日の初回には、最も警戒していたイチローに先頭打者弾。本気にならざるを得ない状況だった。1回裏無死一塁からは、ジーターがセーフティー気味に送りバントを試みた。公式戦中の強敵相手やプレーオフで見せる、ジーターの独自策。2回にも2点を許し、0−3。日本への警戒心は、深まる一方だった。

判定のアシストを受けた気恥ずかしさなど関係ない。勝利を得た。「日本は素晴らしい守備をしたし想像以上に救援陣も良かった。うちの連中は100%でやってくれた」。マルティネス監督は、ホッとした表情で会見場を後にした。

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球審を知るボビー激怒「あんな人間に任せたこと残念」

◇メジャーで対立

WBCに西岡ら選手を送り出しているロッテのボビー・バレンタイン監督(55)が、判定を覆したデービッドソン球審を激しく非難した。

同監督は13日、千葉マリンでのプロモーション撮影と並行しながら試合を見守った。日米を知る立場だけに「中立」を決め込んだが、8回の判定には冷静でいられなかった。「西岡のミスじゃない。コールに間違いがあった」と球審に矛先を向け「彼は『ボークのボブ』。そんなニックネームを持つ人間に球審を任せたことが残念でならない」とまくし立てた。

2人は浅からぬ因縁がある。同球審はミネソタ大で野球部に所属。82年にナ・リーグ審判となった。92年ワールドシリーズをジャッジするなど、経験は豊富だったが、かつてメッツを率いたバレンタイン監督とは判定をめぐり何度も「対立」した。ただこの1戦は、個人的な感情を抜きにしても理解できない判定が多かった。清水のスピットボールも「東京ラウンドでは何も言わなかったのに、何故突然注意するのか」と首をかしげた。

「日本とアメリカに差はない。(敗戦が)いい糧となって、次回また対戦となれば有利に働くのでは」と日本の雪辱に期待した。ただ球審への憤りは最後まで収まらない。「最近、オープン戦でも彼の名前を見ないが、今も(現役の)審判をやっているのか?」と痛烈に皮肉りながら「最高の選手がプレーしているのに、それを裁く審判は最高じゃなかった」。好試合を汚された義憤に駆られていた。

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西岡偉い!

◇「怒りも出ましたけど覆りはしない。自分のミスと反省」

タッチアップの離塁が早いと判定された西岡は、悔しさを胸にしまった。「審判がアウトと言ったら覆るスポーツではない。怒りも正直出ましたけど、覆りはしない。自分のミスと反省して明日から臨みたい」。2安打を放ち、盗塁も決めるなど活躍していたが、9回裏には守備のミスも出た。「チームに悪いことをした。残りを勝って、18日(準決勝)でもう1度米国と対戦して今度は勝ちたい」。不運を嘆かず、今後の雪辱を期していた。

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清水は困惑

2番手清水が2度の反則球判定を受けた。マウンド上で右手を口に持っていったということで、ボークを取られ、2度ともボールがカウントされた。「どこまでがOKか分からなかった。オープン戦でも取られたことがなかったし」と困惑。2度目の直後には、リーに同点2ランを浴びた。「ボール自体は良かったけど、この大会は結果しかない。上原が頑張っていたので、自分でも悔しい」と話した。

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