わたしはかもめ2006年鴎の便り(3月)

便

3月15日

千葉ロッテ2−6広島(千葉マリン)

広島は大竹が5回1失点と順調な仕上がり。6安打されたが、走者を背負った場面で慌てず、ストライクを先行させた。対照的にロッテの加藤はピンチで投げ急いで6回4失点。攻撃陣では広島の嶋が2ランを含む3安打と好調。

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広島0001120206
千葉ロッテ0010000012

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WBC…2次リーグ1組

◇メキシコ1−6日本(エンゼルスタジアム)

松坂は最速150キロを超える直球が力強かった。この真っすぐを軸にスライダーやチェンジアップが効果的。高めに球が浮き気味だった立ち上がり以外は危なげなかった。打線は4回、小技と長打で4点を奪った。無死一、二塁の走者を手堅くバントで送り、小笠原が右翼線に2点適時打。里崎が右中間本塁打で続き、松坂の力投に応えた。

123456789R
日本0004100016
メキシコ0000000101

◇準決勝進出の条件

日本が韓国に勝ち、米国がメキシコに勝った場合
2勝1敗で日本、韓国、米国が並ぶため、当該国同士の直接対決における1イニングあたりの失点が少ないチームが準決勝に進むことに。既に日本、韓国との対戦を終えた米国の失点率が5.29なので、日本が6得点以下で9イニング以内に勝った場合は日本と韓国が、6失点以上で9イニング以内に勝った場合、もしくは2点差以上で勝った場合は日本と米国が準決勝進出となる。
日本が韓国に勝ち、米国がメキシコに負けた場合
2勝1敗の日本と韓国が準決勝進出、1勝2敗の米国とメキシコは2次リーグ敗退。
日本が韓国に負け、米国がメキシコに勝った場合
3勝負けなしの韓国と、2勝1敗の米国が準決勝に進出。1勝2敗の日本と3連敗のメキシコは2次リーグ敗退。
日本が韓国に負け、米国がメキシコに負けた場合
3連勝した韓国は文句なしに準決勝進出。1勝2敗で並ぶ日本、米国、メキシコのうち、当該国同士の直接対決における失点率が最も低いチームが準決勝へ進むことになるが、日本戦で6失点したメキシコは延長13回以上を無失点に抑えて3点差以上で勝つなどしなければ日本の失点率2.55を下回れないため、脱落がほぼ確定。米国がメキシコ戦で9回1失点以下ならば米国が、9イニング以上で2失点以上すれば日本が準決勝に進むことになる。
日本対韓国、米国対メキシコがともに引き分けた場合
2勝1分けの韓国が1位で2次リーグ突破。日本と米国が1勝1敗1分で並ぶが、直接対決で勝っている米国が準決勝進出となる。

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里崎、豪快2ラン「松坂のリズムが打撃に生きた」[夕刊フジ]

◇リードも光る

「城島がいたら」−。そんな雑音をかき消す豪快な2ランを王JAPANの女房役、里崎(ロッテ)が放った。

3回先頭の第1打席では逆らわずに右翼前に転がすヒットで出塁。好感触をそのままに、4回1死一塁の第2打席では変化球をためて弾き返し、「ランナーを進めることを意識していた」という打球は、そのまま右中間スタンドへと飛び込んだ。

里崎
「満足のいくいい打撃でした。1打席目にヒットが出て、守備の方も松坂がいいリズムだったので、それが打撃の方に生きたと思います。」

打った相手はメジャー通算112勝のロアイザ。「僕はメジャーのことは詳しくないので、逆に知らない分、普通に打てたのかも」と、無欲無心の1打だったようだ。

仮に城島がマリナーズ入りせずにWBCに出場していたら、控えに甘んじ、値千金の1打も生まれなかっただろう。里崎と城島は共に1976年生まれの同期ながら、7年連続ゴールデングラブ、3年連続ベストナインの城島に完全にリードされてきた。

それだけに、日本中が注目する試合での1打に里崎も「いい感じで打てました」と喜びもひとしおだ。

渡米直後の7日にアリゾナで行われた1次リーグの米国−メキシコの試合はスタンドで視察し、「1球目のストライクから打ってくるので、初球に気をつけないと」とポイントをあげた。

2回のピンチには直球1本での勝負を挑み、「今までの松坂は直球がイマイチだったけど、今日は力があった。絶対に抑えられると確信していた」と、松坂の持ち味を引き出し、2ラン同様に本職のリードも光っていた。

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早坂、絶妙バントH

WBC出場の同期生に負けじと、ロッテから快速男が飛び出した。4年目の早坂が自慢の足で開幕1軍をアピールだ。5回1死一、二塁、三塁線へ絶妙なセーフティーバントを転がした。一塁を駆け抜ける早坂のスピードに、広島のサード比嘉は送球すらできなかった。「ここで決めたら面白いだろうと、自分で考えました」。失敗を恐れないプレーにバレンタイン監督は「彼の働きは嬉しい限り。しっかりキャンプで準備した成果だ」と目を細めた。

3回には右前へ力強くはじき返し、課題とされる打撃で成長の跡をみせた。02年ドラフト8位入団。同1位の西岡には実績でも水をあけられたが、走力なら互角。昨季は34盗塁でイースタン盗塁王に輝いた。試合前にはバックスクリーンに映し出されたWBCメキシコ戦の生中継に興奮し「同級生は向こうで頑張っているし、自分はここで結果を残したい」。

代表では二塁を守る西岡だが、ロッテでは遊撃の方針。ベテラン堀が肉体面の不安を抱える二塁争いは、早坂を含めて戦国模様だ。「いつかあいつと二遊間を組みたい。堀さんを蹴落とすくらいのつもりでやっています」と、まずは開幕1軍に意欲を燃やした。

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M勢の活躍にボビーら歓声

WBC日本代表に8人を送り込むロッテ・バレンタイン監督も日本の勝利を喜んだ。試合前の練習中には球場バックスクリーンにテレビ中継が流され、ナインも練習の手を休めながら観戦。里崎の1発には歓声も上がった。同監督は代表に帯同するロッテ中曽根通訳を介し、代表組とは蜜に連絡を取り合い、エールを送り続けている。

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承Y対策自信のサブマリン

渡辺の表情には緊張感がみなぎっていた。準決勝進出をかけて15日の韓国戦に先発する。メキシコ戦の勝利を見届けた渡辺は「今日がどんな展開であれ、絶対に韓国には勝つつもりでいました。同じ相手に2度も負けられない」と闘志を隠そうとしない。

韓国打線は調子がいい。「前回投げて分かっていることがある。それに打線好調はお互いさま。うちの打線も上向きでしょう」。昨年までのチームメート、李承Yを何としても抑えたいところ。渡辺は「この時期にスンヨプがいいのは分かっていた。当然、注意する打者ですが(捕手の)里崎もよく知っている打者ですし心配はありません」と、自信のコメントを並べて球場を後にした。

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「審判は正しい」大会運営側が全面支持

◇「誤審」の回答書

大会を管理、運営するワールド・ベースボール・クラシック・インク(WBCI)は、12日の米国戦(アナハイム)で西岡のタッチアップをめぐり、判定が覆った件に関し、審判団の正当性を認めた見解を出した。

13日に日本が提出した質問と意見書に回答を寄せたもので、同時に回答書の内容について、MLBジャパンのジム・スモール代表が日本報道陣に説明した。同代表は「審判は正しい手順にのっとって判定をした。球審は米国チームの抗議がなくとも判定を変えたと言っている」と、全面的に審判を支持した。セーフの判定から抗議を受けアウトに変更するまで、時間がかかったことについては「時間について規定はない」と一蹴した。

日本側は回答書を受け取り、王監督に意見を聞くなどあらためて協議した。米国審判だけで開催されるに至った経緯など、複数点で納得できない部分があるため、15日に再度、文書を提出することを決めた。

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小笠原先制2点打、里崎2ラン[ニッカン]

◇WBC2次リーグ1組:日本6−1メキシコ

背水の日本を救う4回の4点は「脇役」のバットから生まれた。小笠原、里崎の7、8番コンビが2次リーグ初勝利を引き寄せた。

2回、3回と無死一、二塁を逸し、重苦しいムードで迎えた4回表。松中の左前打と岩村の四球で、みたび無死一、二塁とした。ここを逃せば流れを手放しかねない場面で、2回に犠打を失敗していた多村が再挑戦できっちり送る。1死二、三塁の絶好機。小笠原が初球の外角変化球を体勢を崩しながら右前に運んだ。「何でもいいからバットに当てていこうと思った。無我夢中でどう打ったか、形は分からない」。

口火を切ったヒーローは、それほど集中していた。前日13日にアナハイム近郊の焼き肉店に野手が集合。メキシコ戦の必勝を誓い合った。「最初からテンションを上げて、気持ちを1つにしてやろうということだった」。小笠原が率先して「約束」を守った。

2点先制で緊張が解けたのか。続く里崎は思い切りよく振り抜いた。カウント1−3から、メキシコ・ロアイザの高めスライダーを右中間スタンドに運んだ。「ガッツさん(小笠原)が打ってくれて気楽に打てた。完璧でした」。貴重な2ランのみならず、この日3安打。守っては好リードで1失点リレーを導いた。

気をよくした里崎は、15日の韓国戦にも自信満々だ。「イメージはできているし、問題ない。(大会5本塁打の)李承Y?もう答えは出てます。打てるところ(コース)を打っているだけ。俊介(渡辺)も分かっているでしょう」と1次リーグのリベンジを誓っていた。

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ロッテ・加藤、不満4失点もバレンタイン監督は左腕に期待[スポニチ]

先発ローテ入りを狙うロッテ・加藤だが、6回9安打4失点と不満の残る内容に「得点圏にランナーを置いてからよくなかった」と反省。嶋にはカウント0−3からストライクをとりにいった直球をスタンドに運ばれた。それでもバレンタイン監督は「あの球以外はしっかり投球していた。これからどの程度持ち味を出していけるか」と左腕に期待をこめた。

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ボビー、里崎2ランにガッツポーズ[スポニチ]

千葉マリンではバックスクリーンの大型ビジョンに「日本−メキシコ」のテレビ映像が流された。試合前練習と中継時間が重なったことからロッテ・バレンタイン監督が「選手も気になるだろう」と配慮したもの。4回、里崎が右中間へ2ランを放つと打撃練習を見守っていた指揮官もガッツポーズ。「里崎は素晴らしい。一昨日はスタメンじゃなかった。どうして?」と愛弟子の活躍に大喜びだった。

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里崎2ラン!渡辺俊と韓国封じだ[スポニチ]

アナハイムの青空を切り裂いた打球が一塁ベンチの声援に後押しされ、右中間席へ舞い降りた。先制打の小笠原を一塁に置いて迎えた4回1死一塁。里崎が米大リーグ通算112勝右腕・ロアイザの129キロスライダーを完璧にとらえた。「風が強かったね。大リーグに詳しくないんで、余計なことを考えなかったのがよかったのかも」と本人はおどけたが、昨季ポストシーズンでもブレークした“意外性の男”が本領発揮。値千金の2ランだ。

王JAPANが発表されると早々に正捕手を任された。1次リーグも3試合全て先発出場。しかし12日の米国戦は先発・上原との相性を考慮したため、先発マスクを谷繁に譲った。それでも「自分自身でやれることをやるだけ」と前向きにとらえ、メキシコ、韓国打線の情報分析に全力を注いだ。直球主体で松坂をもり立てつつ、チーム初の猛打賞を達成したのは気持ちを切らさなかった努力の結晶でもあった。

正念場を控えていることは百も承知だ。勝てば、自動的に準決勝へ進む15日の韓国戦。王監督からエースに指名された渡辺俊を再びリードする。昨季、ともにアジア王者に上り詰めた李承Yは今大会5発と絶好調ながら里崎は顔色1つ変えずに言う。「5本とも打つべくして打った。対策?もう答えは出ている。絶対に打たれないし、自信がある」。5日の1次リーグ・韓国戦は渡辺俊とのコンビで2打数無安打。弱点は知り尽くしている。

日本最高のサブマリンもリベンジを力強く宣言した。「2回、同じ相手に負けられない。重圧のない試合より、ある試合がいいよ。0点に抑えるのが1番」。同カードは3死球と制球を乱したが、10日のブルワーズ戦で3回2安打無失点と修整しただけに不安ない。

里崎と渡辺。王監督が世界と戦い、勝つために指名したバッテリーがJAPANを準決勝の舞台サンディエゴへと導く。

◇松中、痛みに耐え2安打

松中が痛みに耐え、4回無死から先制のお膳立てとなる左前打を放った。12日の米国戦で左足を打撲。前夜は一晩中、電気治療を施したが腫れは引かなかった。ドーピング検査などもあり「痛み止めは打てなかった」と球場に先乗りし、温水プールで足首の可動域を広げるだけで試合に臨んだ。それでも2安打と4番の責任は立派に果たした。

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質問状に「問題ない」と回答[スポニチ]

日本代表が、12日の米国戦で審判が判定を覆したことについての質問書と要望書を提出したことを受けてMLBのロブ・マンフレット副会長が14日、文書で回答した。選手団の長谷川一雄団長(コミッショナー事務局長)によると、同副会長は質問状に対して「球審は当初からアウトと言っている。(判定を覆すまで)時間がかかったのは問題ではない。審判の手順に何の問題もない」と回答。公認野球規則9・02(審判の裁定)には抵触しないと主張したという。また、大会運営の改善を求めた要望書についても意見が食い違ったままで、長谷川団長は不満そうだった。

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ここぞの里崎弾!バットでも松坂助けた「カンペキ」2ラン[サンスポ]

快音に乗せられた打球が、中堅右のフェンスを越えた。8番打者とは思えないパワーに、どよめくスタンド。伏兵はニンマリとダイヤモンドを1周した。

里崎
「打った瞬間、ちょっと上がり過ぎたかなと思いましたけど。打球の感じと、野手の感じで、ひょっとしたら行くのかなと思いました。ま、カンペキでした。」

4回1死一塁、里崎が大きな1発を放った。7番・小笠原が先制2点適時打を放った直後に、メキシコの戦意を喪失させる一撃。バッテリーを組む松坂を、バットでも助ける貴重な2ランだった。

今大会では正捕手を務めるが、上原とバッテリーを組んだ1次リーグ・中国戦では単調なリードで苦戦。それ以来、上原登板日は谷繁に先発マスクを奪われるようになった。当然、2次リーグ初戦の米国戦も先発は谷繁。そこで、昨季のアジア王者捕手のプライドに火がついた。

「行けといわれれば、いつでも行ける準備はしていました。(上原登板日も)出たい気持ちはあるけど、僕が出たときに自分の力を発揮できればいい」。その言葉通りに本塁打を含む3安打。昨年のプレーオフで2本の勝ち越し本塁打、ソフトバンクとの最終戦では決勝打を放った目立ちたがり屋・里崎が、短期決戦での勝負強さをついに発揮した。

15日(日本時間16日)には運命の韓国戦を迎える。いかに失点を少なくして勝つかが重要。先発はチームメートの渡辺。大一番にアジア一のバッテリーで臨む。1次リーグの韓国戦で、不完全燃焼に終わったリベンジを果たす絶好の機会だ。

「(1次リーグは)俊介も死球で自滅した感じで失点しましたけど、別に打たれた訳ではない。問題ない。打たれる“自信”はないです」。最後は力強いコメントで打倒・韓国を宣言した里崎。打って守れる正捕手が、王ジャパンのキーマンとなる。

◇アジアシリーズVTR

昨年11月に東京ドームで開催。日本王者のロッテは1次リーグでサムスン(韓国)に6−2、興農(台湾)に12−1で7回コールド勝ち。チャイナスターズ(中国選抜)にも3−1で勝ち、決勝で再びサムスンと対戦した。この試合は渡辺が先発、里崎がマスクをかぶり5−3で勝利。初代アジア王者となった。なおシリーズのMVPは9打点、2本塁打のベニー。

◇日本で同僚も興奮

チームメートのプレーにロッテナインも一喜一憂。広島とのオープン戦前(開場まで)WBCの模様が千葉マリンの大型ビジョンで放映された。バレンタイン監督の提案によるもので、選手は熱戦を横目に練習。里崎の本塁打の場面では歓声が湧き起こった。監督は「素晴らしいデスネ。一昨日(先発で)出ていないのに、どうして!?」と驚いた様子。既にボビーは8選手に、日本代表に帯同している中曽根通訳を通じて「幸運を祈っている」とメッセージを伝えている。韓国戦については「渡辺は緩急をつけ、自分の投球をしている。韓国は勢いに乗っているから、少し休ませるためにも勝って欲しい」とエールを送っていた。

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日韓決戦!さあ渡辺俊とリベンジだ!李斬りに自信「よく知ってる」[サンスポ]

リベンジを果たして準決勝進出だ。韓国戦に渡辺俊介投手(29)=ロッテ=が先発する。1次リーグでは5回途中まで1失点ながら3死球。逆転負けの責任を負ったサブマリンが、雪辱を期してマウンドへ上がる。

真っ直ぐに前を見つめ、口を真一文字に結んで通路に出てきた。メキシコ戦の勝利を見届けた渡辺は、韓国戦に向けて気合十分だった。

「同じ相手に2回負ける訳にはいかない。失点の計算は監督がしてくれると思うので、ボクはできるだけ抑えるだけ。もちろんゼロが1番いいですけど」。リベンジのチャンスが最高の舞台で巡ってきた。1次リーグでは3死球と制球に苦しんだ。一時は2次リーグのローテから外れる可能性もあったが、王監督は渡辺の韓国戦再先発を決断。渡辺も雪辱を期して調整してきた。

韓国打線は前日、米国を相手に10安打7得点。中でも昨季までの同僚、3番・李承Y内野手(29)=巨人=はWBC5試合で5本塁打と絶好調だが、渡辺は自信をのぞかせた。「調子が上がっているのはお互いさま。承承Yも注意はするけど、よく知っていますから」。

2度目の対戦では投手より打者の方が有利といわれるが、渡辺は韓国打線封じの糸口をつかんでいる様子。好調打線をサブマリンが翻ろうすれば、王ジャパン準決勝進出の可能性がふくらむ。

◇川淵キャプテンもエール

日本サッカー協会・川淵三郎キャプテンも、WBCに注目。「1、2回のチャンスで点が取れなくて負けると思った。王さんの気持ちを思うと、変になりそうだった」と安堵の表情をみせた。韓国戦に向けても「先発は渡辺?シュンスケってのは名前がいいから大丈夫だ」とエールを送っていた。

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里崎、王助かり弾[報知]

松坂の好投に、女房役が応えた。4回、小笠原の適時打で2点を先制して、なおも1死一塁。マウンドにはメジャー通算112勝のローアイザがいた。里崎のスイングは、フリー打撃のようにしなやかで、パワフルだった。「メジャーに詳しくないんで、どれだけすごいか分からんかった」究極の“知らぬが仏”。高く舞い上がった打球は右中間席に飛び込んだ。

勝利を決定づける千金2ラン。王監督は「こう言っちゃ何だが、里崎君のは予想外のホームランだったよ」とうれしい誤算に笑みを浮かべた。昨年は打率3割3厘、10本塁打(52打点)。規定打席には未到達だったが「打力があるし、右にも大きいのを打てる」と代表に抜擢したのは、ほかならぬ王監督だった。

本職でも本領を発揮。「大輔(松坂)は間違いなく打たれないと思ってました」怪物の全能力を引き出した。直球で内角を攻め続け、メキシコをねじ伏せた。8回にオヘダにソロ本塁打は許したが、4投手をリードして被安打3、1失点の堂々たる捕手ぶりだった。

勝算あってのタクトが実っての先制点だった。王監督の采配に揺るぎはなかった。無死一、二塁。多村がきっちり送りバントを成功させ、小笠原の右前2点適時打につなげた。「最初は失敗したけど、ノーアウト一、二塁でバントさせた。接戦になると思っていたから、100%、先制点を取らねば、と思っていた。スコアリングポジション、特に三塁にランナーを置くことを念頭に置いてやっていた」。2回、多村は無死一、二塁で送りバント失敗。併殺打を喫した。信じて、再度命じたサインが、待望の先制点につながった。

負ければジ・エンドの土壇場。この試合、福留を5番から3番、岩村を6番から5番に打順を変更。5番から6番に変えた多村は5回2死二塁で中前適時打をマーク。「あの5点目がチームにとってもメキシコにとっても大きかった」と指揮官は言った。

準決勝進出へ望みがつながった王JAPAN。試合後、嬉しい「勘違い」もあった。チーム全員が、韓国戦に勝っても、失点次第では3位になると思い込んでいた。だが、同率の場合の順位を決める「失点率」をはじき出すイニング数の間違いが、混乱を生んだ。白星さえ挙げれば、無条件で2位以上が確定する。「えっ、そうなの。とにかく、明日、勝てばいいんでしょ」王監督も半信半疑のまま球場を後にしたが、その使命は単純明快だ。

◇メキシコ準決勝進出絶望

メキシコは先発・ローアイザの制球難が響いた。「(球数制限内の)80球で完投する」前日、言い放った右腕。が、試合後、「投球が試合を作る。この投球が負けにつながった」と4回7安打4失点の内容を淡々と話した。エストラーダ監督は「これまで戦った相手の中で、1番の手強さを感じた。私個人としては日本が勝つと思う」と日韓戦に向け、王ジャパンにエールを送っていた。準決勝進出は絶望だが、チームに悲壮感はなく「15日は午後9時にディズニーランド入り口で写真を撮ります。取材したい方はどうぞ」と広報発表。気持ちを切り替え、米国戦に臨む。

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韓国封じ渡辺俊に任せろ[報知]

◇「2度もやられる訳にはいかない」

アナハイムの夜風が決戦の時を告げた。2次リーグ通過へ、何としても必要な1勝。15日の日韓対決に勝てば、4強進出が決まる。負ければ、WBCの舞台を去る可能性が極めて高くなる。天国か、地獄か−運命の1戦は、先発・渡辺俊に託された。

胸の内は“エースのプライド”が充満していた。勝利だけを見据え、サブマリンは強気を貫いた。「負けられないのは分かっています。2度も韓国にやられる訳にはいかない。」5日の1次リーグでの韓国戦は、先発して4回2/3 1失点。石井弘が李承Yに逆転2ランを許し、アジアラウンドの頂点を譲った。チームにとって、自身にとっても屈辱だった2位通過。雪辱の機会を待っていた。

宿敵が5連勝中でも気後れはない。「もう相手のことは分かっているから」。1次リーグで対戦し、各打者の特徴は把握した。球数制限も65球から80球に増加。変幻自在の投球は相手を知り尽くしてこそ、威力が増す。「向こうがどう来ても、さらにその上をいくだけ。俊介は絶対に打たれないし、打たせません」。女房役の里崎も言い切った。日本一の黄金バッテリーに死角はない。

韓国のキーマン・李承Y対策も万全だ。「1発にはもちろん気をつけますけどね」と渡辺俊は余裕の表情を見せ、里崎は「打てるコースしか打ってない。打たれる気はしない」と昨年の僚友封じに絶対の自信をのぞかせた。

サブマリンはプロ入り後の目指すタイトルに「最高勝率」だけを掲げてきた。「チームが勝つことが第一なんです」。勝利こそ全て−その哲学は、今こそ生きる。サブマリンが華麗に舞い、世界一へ夢をつなぐ。

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里崎の1発にロッテナインも歓声[ニッカン]

千葉マリンでのロッテ−広島戦の前に、同球場のバックスクリーンでWBCの日本代表−メキシコ戦が関係者の計らいで生放送された。時間帯が広島戦の試合前練習と重なったが、経過が気になるロッテナインはアップの手を休めてチラリチラリ。同僚・里崎の1発が出たときには歓声が上がった。バレンタイン監督は「素晴らしいですね」と里崎の活躍をたたえ、「でも、この前(米国戦)は何で(スタメンで)出なかったのですか?」と正捕手起用を強くプッシュしていた。

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王ジャパン圧勝!望みつないだ[ニッカン]

◇WBC2次リーグ1組:日本6−1メキシコ

日本がメキシコに快勝、1勝1敗として準決勝進出へ望みをつないだ。負ければ2次リーグ敗退が決まった日本は4回に小笠原(日本ハム)の適時打で2点を先制し、里崎(ロッテ)の右中間本塁打で2点を加えた。5回は多村(横浜)、9回はイチロー(マリナーズ)の適時打で加点した。松坂(西武)は5回を1安打無失点と好投し、和田(ソフトバンク)大塚(レンジャーズ)らの継投で逃げ切った。

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