わたしはかもめ2006年鴎の便り(3月)

便

3月19日

千葉ロッテ3−11巨人(千葉マリン)

巨人は工藤が5回を4安打無失点。控えが大半の打線相手とはいえ、先発入りに着実に前進した。今後の課題は追い込んでからの微妙な制球か。湿っていた打線は17安打11得点と奮起。阿部が3安打4打点と手嶌の甘い球を打ち返した。

123456789R
巨人50141000011
千葉ロッテ0000020013

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WBC…準決勝

◇韓国0−6日本(ペトコ・パーク)

7回の集中攻撃で5点を挙げた日本が、韓国に雪辱した。7回、松中が二塁打。1死後、代打の福留が甘い速球を見逃さず右翼席に運び、先制点をもたらした。勢いづいた日本は、さらにイチローまでの3連打など、打者一巡の猛攻を見せた。上原は速球にフォークボールを有効に織り交ぜ、7回3安打無得点に抑えた。

123456789R
日本0000005106
韓国0000000000

◇ドミニカ1−3キューバ(ペトコ・パーク)

123456789R
キューバ0000003003
ドミニカ0000010001

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ロッテ・手嶌、ガックリ4回10失点…1軍残留は絶望的[サンスポ]

4回10失点と試合をぶち壊したロッテ・手嶌は「力不足としか言いようがない」とガックリ。新人だった昨季に2軍で最多勝に輝いた大型右腕は、投球動作規則の厳格適用に伴うフォームの変更に失敗。自慢の直球は140キロを超えるのがやっとで、1軍残留は絶望的となり「期待に応えることができなくて申し訳ない」と視線を落とした。

◇豪州キャンプ継続

ロッテの瀬戸山隆三球団代表は、来春のキャンプ地について今季と同様に前半を豪州・ジーロング、後半を鹿児島市で実施することを明らかにした。

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手嶌「力不足」10失点[スポニチ]

先発・手嶌が4回を12安打10失点と炎上。「力不足です。チャンスをもらったのに、期待に応えられなくて申し訳ない」と開幕ローテーション入りは絶望的となった。新人だった昨季はイースタンで最多勝。期待が大きかっただけにバレンタイン監督も「巨人打線と対戦し、いい経験になっただろう。ただ立ち上がりを今後の課題としなくてはいけない」と初回から連打を浴びての5失点に注文をつけた。

◇ボビー、児童愛護会を激励訪問

試合終了後、バレンタイン監督は、親交のあるam/pmジャパン・秋沢志篤会長らと千葉・一宮町の児童愛護会「一宮学園」を激励訪問。昨秋、開催したチャリティーオークションなどで集まった約100万円を寄付した。「彼らに“明るい未来が待っているんだよ”ということを伝えたかった」と指揮官。グラブ、Tシャツ、お菓子を贈り子供達との交流を楽しんだ。

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Mも苦しいけどボビー祝福

ロッテのバレンタイン監督は、WBC日本代表の決勝進出を喜んだ。巨人とのオープン戦後、代表の勝利に「日本チームを尊敬してますし、ウチの選手もやってくれた。気持ちは代表チームと一緒だし、いい戦いをして欲しい」と話した。

日本代表8選手が、米国で戦いを続けている。オープン戦期間での合流はなくなったが、同監督は「試合が始まるときは、しっかり準備されていると思う」と不安を見せない。開幕カードが行われる福岡に帯同するかは「(決定は)日本に帰ってきてから。1つ言えるのはシーズン中、常に帯同しているということ。そういう(故障離脱などない)シーズンにしたい」と明言を避けた。

夢がある。「韓国も、日本も、アジアの実力を世界に示せると思っていたし、示してくれた。今後、真のワールドシリーズもできるんじゃないかと思います」。この日は日本代表が得点する度、スタンドから歓声が目の前の試合状況とは関係なく上がった。1つの戦いはやがて終わる。直後に待ち受ける戦いへ向け、心だけは共に走る。

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俊介がいい、「声」に注意

キューバとは社会人シダックス時代に練習試合で2戦2勝しているといい「アンダースローをぶつけたんだよ。だから渡辺俊介だ。捕手の里崎は打者に寄るのが早い。(構えたコースを)ベンチからスペイン語で指示してくるぞ」と楽天野村監督が具体的に指摘していた。

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薮田、死球冷や汗

不本意な死球で冷や汗をかいた。8回に2番手で登板。1死後、洪性フンに与えた死球で球審から警告。「(2度目に)当てたら交代って言われたんで、どうなることかと思った」。さらに安打を許し2死一、二塁とされたが、何とか無失点で切り抜けた。

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里崎、重圧はなし

攻守に活躍した。7回、3点目を叩き出す左中間へのエンタイトルツーベース。「打撃では、いかなる場面でもプレッシャーを感じることはない。打てばこういうことになるし」。完封リレーしたリードに関しては「今回も最少失点差になると思っていたから、まずは先頭打者を出さないように。1つ1つ丁寧にいった」と満足そうだった。

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45分中断

日本が多村のソロ本塁打で6−0とリードした8回1死走者なし、打者小笠原の場面で降雨により試合が一時中断した。球場側は内野に大型のシートをかけるなど対応したが、約45分後、雨が上がり、試合は再開された。また雨のため、ゲームの開始も約20分遅れた。

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王ジャパン、韓国に完勝!世界一王手[スポニチ]

王ジャパンがとうとう世界一に王手をかけた。「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の準決勝が18日(日本時間19日)、サンディエゴ(米カリフォルニア州)で行われ、日本代表は韓国と対戦。先発・上原浩治投手(30=巨人)の好投に応えた打線は7回、代打・福留孝介外野手(28=中日)の先制2ランなど打者10人を送る猛攻で一挙5点を奪うなどして快勝した。1、2次リーグでは連敗したライバルを下した王貞治監督(65=ソフトバンク監督)は20日(同21日)、世界一を懸けてキューバと対戦する。

サンディエゴの夜空にアーチがかかった。その瞬間、福留は拳を握りしめて叫び、王監督は両手の人指し指を掲げてベンチを飛び出した。0−0の7回。それは世界一への懸け橋だった。

福留
「僕の野球人生でこれ以上のホームランはないですよ。とにかく何とかしたかった。打って本当に興奮しました。」

韓国が満を持して送り込んだ金炳賢(キム・ビョンヒョン)の3球目。88マイル(約142キロ)の甘い直球を逃さない。迷いのないスイング。それは力でも技でもない。メジャー30球場の中で3番目に本塁打の出にくいペトコ・パークの右翼席に叩き込んだ1発は、熱いハートから生まれていた。

今大会6試合で19打数2安打。不振に陥った福留は初めてスタメン落ち。2月末の福岡合宿で右肩を痛めた影響からフォームを崩したのが不振の原因。それでも「痛い」とは口にしない。王監督の「いい場面でいくぞ!」という言葉を胸に、じっと出番を待っていた。

そして7回。先頭の松中が右翼線二塁打で猛烈なヘッドスライディング。その松中も12日の米国戦で死球を受けた左足の痛みに耐えていた。「折れていても出る」。4番のひたむきな姿に誰もが燃えた。「あれでチームの士気が高まればと。何とか流れを引き寄せたかった」と松中。続く多村がバント失敗も、福留の代打2ランが全てを吹き飛ばした。

「あそこは福留しかない。福留も松中も、よく打ってくれた」。王監督が絶賛した2人は96年アトランタ五輪の銀メダリスト。ともにプロ入り後も五輪を経験し、日の丸への思いは人1倍強い。2人だけじゃない。7回2死三塁から2次リーグ初出場の代打・宮本はアテネ五輪の主将だ。「僕は経験ないが、彼らは経験してきてるからね」と指揮官。打線の組み替え福留、そして宮本の代打。韓国との雌雄を決する大一番で王采配が的中した。

「とにかく韓国に勝ちたいという気持ちがチームにみなぎっていた。今までの中でも最高の1勝。自分の野球史の中にも新たな1ページをつくれた。決勝も素晴らしいゲームができると思う。このまま一気呵成にいきたい」。

3度目の正直で宿敵・韓国を完璧に倒した。世界一が懸かった決勝では、福留と松中がアトランタで負けたキューバが待っている。

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里崎、攻守に魅せた[スポニチ]

もはや“意外性”なんて失礼だ。また里崎がやってくれた。7回、2点を先制してなお1死二塁で左翼手の頭上を越える貴重な適時二塁打。「打てばヒーローになって新聞に載る。それだけのことです」。大舞台に強い理由が分かる言葉だ。1次リーグは11打数3安打2打点で打率.273が、2次リーグ以降は11打数6安打3打点の打率.545と爆発している。

守備でも上原を好リード。2次リーグ米国戦で上原をリードした谷繁のリードをベンチで研究。スライダーを多投して韓国打線の目先を変えたのもベテランから学んだすべだった。今大会5本塁打の李承Yを3三振に仕留めた里崎は「2年間、一緒にやった。長所も短所も知っている。向こうが僕を意識していました」と胸を張った。王ジャパンの正妻は「ここまで来たら、世界一の栄冠を獲りたい」と力強く語った。

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薮田「魔の8回」ピシャリ[スポニチ]

今大会のこれまでの韓国戦ではいずれも失点していた「魔の8回」は薮田がきっちり抑えた。2死一、二塁のピンチを招いたものの後続を打ち取り「死球を当てたら即交代と言われていたんですが、大丈夫で良かったです」とホッとした様子。登板する直前には降雨のため45分にわたり中断するアクシデントもあったが、集中力を切らさなかった。

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王ジャパン、韓国粉砕し世界一に王手!福留殊勲の代打V弾[サンスポ]

3度目の正直だ!!日本が準決勝で韓国を下し、WBC初代王座に王手をかけた。両軍無得点で迎えた7回1死二塁、福留孝介外野手(28)=中日=が値千金の代打2ラン。王貞治監督(65)の采配が的中して、この回5点を奪い、結局6−0で宿敵に完勝した。決勝は、20日午後6時(日本時間21日午前11時)。アマ世界一のキューバと対戦する。

魂をこめた打球がサンディエゴの神風に乗る。息詰まる0−0の均衡を、力づくで破る右中間への大飛球。7回1死二塁、福留が放った代打2ランを見届けた王監督が、着弾と同時に渾身のガッツポーズを見せた。

王監督
「(福留は)調子はよくなかったから先発から外したけど、チャンスがあればと思っていた。韓国の投手がサイドに変わったので、あそこは福留君しかないと思って打席に送りました。」

“世界の王”の采配がズバリ的中だ。韓国と3度目の決戦。「2度負けているから」と、まずは打線改造に着手した。大会打率.105の不振の福留を外し、イチローを3番に。その一方で「昨日、今日の練習はよかった」と福留の復調も感じつつあった。試合前には外野にいた福留に歩みより、両肩をもみながら「いい場面がきたらいくからな」。その約束が殊勲の1発を呼んだ。

「届け、届いてくれ!という気持ちだった。技術じゃない。気持ちで打ちました」。値千金の決勝2ランに福留自身も興奮していた。どん底から這い上がった男に勇気をもらった日本は里崎、代打・宮本、イチローのタイムリーも飛び出し“ラッキー7”に6安打を集中。一挙5点で試合を決めた。

「韓国に勝ちたいという気持ちがチーム全体にみなぎっていたよ」と、王監督は言う。その負けん気が、倍返しのリベンジにつながった。選手の様子を見て、決勝進出を信じて疑わなかった王監督は、準決勝第1試合前のキューバ−ドミニカ戦を視察。さらに、19日(日本時間20日)のディナーも予約していた。首脳陣、選手、スタッフ、トレーナーら全員を集めて、総勢約60人の大決起集会をポケットマネーで開く。

この一丸ムードは、たとえ誤審があっても、もう断ち切れない。アマ最強のキューバが相手でも動じることはない。「過去にキューバと対戦した日本より、今回のチームの方が最強だと思っている。決勝まで来たことに自信を持って、思い切って自分達の野球ができればチャンスはある」。

最後に王監督は、高らかに世界一獲りを宣言。神風に後押しされた王ジャパンが、記念すべきWBC初代王者に上りつめる。

◇米国も絶賛

日韓戦を米国内でテレビ中継したスポーツ専門局ESPNは、日本の戦いぶりを「リマーカブル(驚くべき)」と表現し、7回の代打策がことごとく的中したときは「グレート(素晴らしい)」を連発した。アナウンサーのジョン・ミラー氏はベテラン。王監督の1本足打法が誕生した経緯を紹介するなど日本球界の事情に詳しく、放送中も王監督のことを「オーサン」と呼んでいた。

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上原7回無四球8奪K!強力打線にスキ与えぬ“韓封”ショー[サンスポ]

不敗神話は不滅です。WBC準決勝に先発した上原浩治投手(30)=巨人=が、7回3安打8奪三振で無失点。無四球の完璧な投球で韓国打線を黙らせた。これで国際大会は21戦12勝無敗。日本を決勝に導いた右腕が、その存在を世界にアピールした。

マウンドでは表情1つ変えない男が、ベンチ前で何度も、何度も、力強くガッツポーズを作った。我慢の連続だった投球。先制弾の福留を興奮の表情で迎えた。

上原
「7回に5点も取ってくれたので、とにかく最後は0点で抑えようという、強い気持ちがあの回のピッチングにつながったんです。」

攻撃陣が1、3、4回の得点圏走者をかえせず無得点。いつ韓国に流れが傾いても不思議でない状況で、凡打と三振の忍耐投球を続けた。そして飛び出した福留の1発に感情を爆発させると、これに応えるべく、その裏は圧巻の3奪三振(中前打をはさむ)。最も警戒する3番・李承Yも最速144キロで、ねじ伏せた。結局7回3安打無失点。国際試合での無敗は21試合に伸び、12個目の白星をもぎ取った。

3日の1次リーグ・中国戦以来、練習試合も含めて3試合ぶりとなる里崎とのバッテリー。広いアウトコース一辺倒となっていた投球を反省し、試合前に入念な話し合い。「内、外、高め、低め、遊びながら大胆にいこか」と国際規格のストライクゾーンを有効に使った。フォークのイメージを持つ韓国にスライダーを多投。「忘れたころにフォーク」(上原)。強打の韓国打線にスキを与えなかった。

口下手なのか、照れ臭いのか、選手と“熱い話”をする機会は少ない。「上原さんは飄々としていますから。あまり野球の話はしないですよ」とは松坂。そんな上原が前日の練習後、ペトコパークのロッカールームで松坂に言った。「(韓国に)負けたら、お前はオレに文句言うやろ」。勝ってバトンを渡すから−。決勝の先発を務める松坂へ“上原流”の決意表明だった。

「(今大会で)3試合投げたけど、今日が1番よかった。最後に1番いいピッチングができました」。中国戦のウイニングボールは王ジャパン初勝利とあって王監督に手渡したが、この日のボールは守護神・大塚から受け取った。「いい記念やね」。日本に世界一への舞台を用意した国際試合無敗男は、ボールを大切そうにバッグの中へ入れた。

◇強さの秘密は球場にあり?!

国際大会負け知らずの上原は、強さの秘密として球場を挙げた。「色々な国で投げましたが、どこも素晴らしい球場。気持ちよく投げられるのが要因の1つです」。この日も気持ちよくスイスイと投げた上原は、7回を86球で交代。かつてレッズで2度のMVPに輝き、殿堂入りしているジョー・モーガン氏も「球数が少ない。コントロールが素晴らしい」とテレビ解説で絶賛していた。

◇原監督も大喜び

上原の好投を巨人・原監督も手放しで喜んだ。この日は千葉マリンでロッテとのオープン戦を行っていたが、途中経過を逐一チェック。「自分のところの選手が活躍してくれて、本当に嬉しいですね。(勝利の)結果を聞いて、自分の気持ちもカ〜ッと熱くなりました。あと1試合、頑張って欲しい」と初代WBC王者への期待を寄せた。

◇大塚、古巣マウンドでヨッシャー!

守護神の大塚晶則投手(33)=レンジャーズ=が、昨年(パドレス)までの本拠地で締めた。6点リードの九回から3番手で登板。3番から始まる韓国打線を、1四球をはさむ3三振に切った。「(古巣で)決勝ラウンドがあることは知っていたから、ここで投げるのが夢だった。決勝のマウンドにも立ちたい」。会見途中には昨季までの同僚、韓国の朴賛浩投手(32)が歩み寄り抱擁。「日本には、決勝戦でも頑張って欲しい。健闘を祈る」とエールを送られた。

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“恐怖の8番”里崎また大仕事![サンスポ]

お祭り男の里崎がまたも大仕事。上原を好リードし、打っても2安打1打点の活躍。“恐怖の8番打者”の本領発揮だ。「チャンスでプレッシャーを感じないんです。打てばこうして取材されるし、新聞にも載る。今日も申し分ない感触でした」。福留の先制2ラン後の7回1死二塁。里崎の打球は左中間へのエンタイトル二塁打。韓国へのダメージが大きい3点目となった。

また、上原とは練習試合を含めると3試合ぶりのバッテリー。過去2試合の谷繁のリードをベンチから勉強した。「谷繁さんは上原さんと同じリーグで、特徴を知っているから参考になった」。先発を外れ悔しい思いをしながら、準備を怠らなかった。「ここまできたら世界一の栄冠を獲りたい」。日本、アジアを制した正捕手が、世界一の称号を狙う。

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王JAPAN王手!世界一へ21日キューバ戦[報知]

◇WBC準決勝

「王ジャパン」が悲願の世界一に、ついに王手。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)準決勝で、日本は宿敵・韓国と3度目の対決。7回、スタメン落ちしていた福留が代打で先制2ランを放つと、一気の猛攻で試合をワンサイドにした。予選リーグで2度負けた韓国に果たした見事なリベンジ。決勝戦は20日(日本時間21日)、相手はキューバに決まった。王監督の歓喜の胴上げまで、あと1勝だ。

日の丸の誇りを乗せた打球が、右翼席へ消えた。三塁ベンチを飛び出した王監督が、両手を突き上げた。「のどから手が出るほど、欲しかった打のヒーローが出た。あの2ランでたまっていたものが爆発して、流れが一気にきた。そのあとは面白いようにつながった」。韓国へリベンジを果たし、世界一へ王手をかける炎の5点の始まりだった。

7回1死二塁。韓国ベンチが、中継ぎエースの金炳賢を送り出すと、迷わず動いた。「チャンスがあればと思っていました。ちょうどピッチャーが代わって、サイドから放るピッチャーになったので、あそこはもう福留くんしかないと思って、打席に送りました」。プレーボール前から、描いていた必殺のシナリオだった。

この試合、練習試合を含めて初めてイチローを3番に据え、1番に青木を抜擢した。つながらない打線の大幅組み替え。「いい意味で気分転換になったんじゃないか」と、6試合で19打数2安打の不振にあえぐ福留を目覚めさせる意味合いもあった。試合前の打撃練習でも復調の気配を見抜いており、あとは気持ちの問題。サイド右腕に対する、ここ1番の代打で送り出すことを決めておいた。

「自信を持って打席に行けと言われました。あの場面は気持ちだけ。気持ちで打ったという感じです」。迷えるスラッガーが、3球目のストレートを捕らえた放物線は、右越えの先制2ラン。待望の先制点に、ベンチがお祭り騒ぎになると、もう止まらない。なおも1死二塁、里崎が左越えの適時二塁打を放つと、2死三塁、代打・宮本の左前適時打で4点目。とどめは2死一、三塁、イチローが鮮やかに左前に適時打を運び、この回打者一巡、6長短打で5点を奪った。

「決勝に出るというより、2度負けている韓国に勝ちたかった。打順の変更はあったけど、選手達の気持ちが流れを作ってくれた」と指揮官が振り返る。アジア最強、いや世界一を目標に戦ってきたチームにとって、韓国に3連敗は絶対に許されないこと。球場入り前のチーム宿舎と、練習開始前のベンチ裏の2度、王監督はナインにゲキを飛ばした。

その思いにチーム最年長コンビも敏感に反応。「若手が何かを感じてくれればと」と宮本が試合前の打撃投手を務めると、谷繁は、2試合ともビッグプレーに泣かされた右翼に清めの塩をまいた。チーム一丸となって、つかみ取った大きな白星。歓喜のゲームセットの後、いつもはベンチ前で出迎える王監督が、三塁のファウルラインまで足を延ばして、30人の選手全員をハイタッチで出迎えた。

1度は絶望の縁に追い込まれながら、ついに、ここまでたどりついた。実は、17日の練習後のミーティングで、韓国のビデオより、先にチェックしたのが、決勝で当たるキューバとドミニカ共和国のものだった。「1試合ごとに手応えを感じている。最後の試合。自信を持ってキューバにぶつかっていきたい」決戦は、現地20日の午後6時(日本時間21日午前11時)。ミラクルJAPANが、世界の頂点に立つときがやってきた。

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2番手ヒヤリ[報知]

薮田安彦
2番手として8回に登板。死球と安打で2死一、二塁のピンチを背負ったが、李鍾範を内角のフォークで遊飛に仕留め、無失点。決勝にも「自分の力を出すだけ。あと1つなので、頑張ります」。

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ノムさんが助言、決勝は渡辺俊だ[報知]

楽天・野村克也監督は、WBC日本代表の決勝進出を聞き「よかったね。ここまでくれば、優勝しないとな」と話した。さらに「決勝の相手はキューバだろ。キューバには、シダックスが2回対戦して勝っている。そのときの監督が野村だ」とポツリ。キューバ戦に臨む日本代表ベンチには「キューバ戦では、シダックスはアンダースロー(の投手)で勝った。決勝は、渡辺俊介でいった方がいい」「キューバは、ベンチから選手に色々言っている。(相手捕手の動きを打者に伝えることもあるため)里崎は寄るのが早すぎるから、気をつけろ」とアドバイスしていた。

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王ジャパンが韓国に圧勝[ニッカン]

王JAPANが、世界一に王手をかけた。国別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の準決勝で、日本は韓国に6−0で完勝し決勝に進出した。韓国と威信をかけた3度目の対決。0−0で迎えた7回1死二塁、王貞治監督(65)は打撃不振で先発から外していた福留孝介外野手(28=中日)を代打で起用。福留は右翼へ起死回生の決勝2ランを放った。3番にイチローをすえた新打線に火がつき、この回打者10人で6長短打5得点。王采配がズバリ的中した。20日午後6時(同21日午前11時)ペトコパークで、ドミニカ共和国を倒したキューバとの世界一決定戦に臨む。

最大の勝負の場面で、最高の手を打った。7回1死二塁。韓国の3番手、金炳賢から多村が空振り三振の直後だった。王監督が動く。6番今江にかえて、代打福留だ。これまで不動の中堅手、クリーンアップの福留だが、1次リーグからの通算成績は19打数2安打、打率1割5厘。この日はスタメンから外れていた。

王監督
「確かに調子が良くなかったので、外した。ただ、練習の感じは良かったのでチャンスがあれば、と思っていた。横手の金(投手)に代わったし、あそこは福留君しかいない。」

外した福留に運命が巡ってきた。復調の兆しは感じ取っていた。カウント1−1からの3球目、89マイル 約144キロ)の直球だった。振り抜いた福留の打球は、海風の影響で本塁打が出にくいペトコパークでも失速しない。右翼席へ決勝2ランだ。雄叫びをあげ、ガッツポーズ。「何でもいいからとにかく振ってやろうと。調子は関係ない。今日は気持ちで打ちました」。

王監督は両手を突き上げてベンチを飛び出した。のどから手が出るほど欲しかった打のヒーローだ。「あの2ランでたまっていたものが爆発した」。流れが変わった。打者10人6安打の集中攻撃で、5点を奪い試合を決めた。

決意はオーダーに表れた。初めてイチローを3番に据えた。1番中堅には昨季、200本安打を達成した青木を起用した。王JAPANの代名詞にもしていた「9番川崎、1番イチロー、2番西岡」も、あえて壊した。「韓国に2度、負けているし、同じメンバーで戦う訳にもいかない。点を取って負けたのではない。走者を置いた状況で彼(イチロー)に回した方がいい」。「アジア最強」を公言してきただけに、韓国に3度も負ける訳にはいかなかった。

王JAPANだから決勝に進んだ。福留を打席に送る際「とにかく任せたぞ、と(言っただけ)。代打のときにはそんなに(多く)話はしません」と明かす。一方で王監督は試合前、外野にいた福留の元へ近づき、言葉を交わした。「いい場面がきたら代打でいくぞ」。福留への気配りだった。イチローにあえて主将の肩書を付けなかったように、選手の能力を最大限に引き出す環境づくりをする。「手柄は選手が持って行けばいい。思い切ってやればいいんだよ。責任は俺が取るんだから」。常々語る方針は、日本代表の猛者らを率いても同じだ。

「3度目の正直で日本の野球ができた。最高の1勝。自分の野球史の中でも新たな1ページとなった。一気呵成にいきたい」。試合直後に興奮気味に話した。

世界一は目前だ。相手はアマチュア世界王者のキューバ。「過去にキューバとどんな戦いをしたかは知らないが、今回の日本チームは、最強だと思う。やるからには勝ちたい」。王監督は史上最強チームを宣言した。20日午後(日本時間21日)、この言葉を結果で証明する。

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日本−韓国戦、50%が見た![ニッカン]

野球の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準決勝で、日本が韓国に快勝した19日(日本時間)の試合を中継したTBS系の平均視聴率は、関東地区36.2%、関西地区35.0%、名古屋地区31.6%だったことが20日、ビデオリサーチの調べで分かった。関東地区の瞬間最高視聴率は、韓国の最後のバッターを三振に打ち取り、日本が決勝進出を決めた午後3時45分の50.3%。関西地区は同46分に47.7%、名古屋地区は午後3時17分に40.9%を記録した。

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「誤審」審判ボブ、問題なく…[ニッカン]

WBC準決勝の日本韓国戦で二塁塁審を務めたのは、2次リーグの米国戦で、日本に入ったかに見えた勝ち越し点を「三塁走者の離塁が早かった」としてアウトにしたボブ・デービッドソン審判だった。同審判員はメキシコ−米国でも右翼ポールに当たったかに見えたメキシコの打者の打球を本塁打ではないと判定し、すっかり注目された。試合前には「また、あの審判員か」と日本人ファンから不満の声もきかれた。試合は滞りなく進んだ。

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NY紙予想、次回放送権の争奪戦[ニッカン]

19日付のニューヨーク・デーリーニューズ紙が、WBCをビジネス面から分析し、同大会が予想以上の成功を収めていると伝えた。ここまで28試合の中継で全米3000万世帯が視聴。次回大会の放送権を巡り、放送局が既に激しい争奪戦を始めているという。80万枚を予定していた入場券販売は70〜75万枚にとどまったが、日本開催分が伸び悩んだだけで、他会場は好調な売れ行きだった。大リーグ機構のデュパイ最高執行責任者は「日本での3日間が痛かった」と総括した。今後の課題としてアジアでのチケット販売促進、審判に関する混乱、米国選手や球団をいかに巻き込むか、などを伝えている。

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フルスタ宮城の改修終了[デイリー]

楽天の本拠地、フルキャストスタジアム宮城(仙台市)の第二期改修工事がほぼ終了、19日に報道陣に公開された。左右非対称のスタンド、団体で観戦できる個室など、球団が意識する大リーグ風の球場に生まれ変わった。

収容人員は約3千人増の約2万3千人に。健全経営を目指す球団らしく、人気の高いホームの三塁側中心に増席、スタンドは左右が非対称になった。バックネット裏のスタンドは3階から5階に建て増し、個室型の団体席などができた。一塁側スタンドの上部も大きく変わり、試合の日には結婚式などの行事ができるラウンジを新設。ボックスシートは、相撲の升席を思わせるゆったりとした空間。5人座れて1万円と割安感があり、家族連れに人気が出そうだ。

新規参入の昨シーズンは約98万人を動員。球団は「昨年を上回りたい」と意気込む。楽天の本拠地開幕は28日のオリックス戦。

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2年目・手嶌が大乱調[ニッカン]

ロッテの先発、2年目右腕・手嶌が序盤から乱れた。1回に5安打などで5失点。4回まで投げ、12安打10失点と大きく崩れ「力不足としか言いようがない。先発チャンスをもらったのに期待に応えられず申し訳ないです」とコメントするのが精一杯だった。バレンタイン監督は「立ち上がりをしっかりしていかなきゃいけない。その後は良かったと思う」と課題を挙げていた。

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ロッテ、来春も豪州キャンプ継続[ニッカン]

ロッテの瀬戸山球団代表は19日、来春のキャンプ地について、今季と同様に前半をオーストラリア・ジーロング、後半を鹿児島市で実施することを明らかにした。

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王ジャパン決勝進出[ニッカン]

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は準決勝を行い、日本は今大会2敗していた韓国に6−0で雪辱し、決勝に進出を決めた。韓国は1次リーグから7戦目での初黒星だった。先発上原が7回3安打8奪三振と好投。打線は7回に福留の代打2ランで均衡を破ると、里崎、代打宮本、イチローの適時打で5点。8回にも多村の本塁打で1点を加えた。

もう1試合は最強アマ・キューバが、大リーガーを揃え優勝候補のドミニカ共和国を3−1で破った。決勝は20日午後6時(同21日午前11時)から準決勝と同じサンディエゴのペトコ・パークで行われる。

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キューバ決勝進出![ニッカン]

◇WBC準決勝:キューバ3−1ドミニカ

アマチュア最強のキューバが、米大リーグのスターを揃えたドミニカ共和国に競り勝った。ベレス監督は「名は知られていないかもしれないが、チームのためにプレーしている選手の集まり」と、選手達を讃えた。

1点を先制された直後の7回だった。3番グリエルの三塁内野安打に失策が重なり、無死二塁。4番ボレロの代打サンチェスがまた三塁内野安打。捕逸で無死二、三塁となり、そこから二ゴロで同点、中前適時打で勝ち越し、中犠飛で3点目をつかんだ。

相手のミスにつけ込み、積極的な選手起用で3点をもぎ取った。勝負どころでの集中力。アマチュア界に君臨するキューバの底力を見せた攻撃だった。投げてはエースのラソが5回途中から救援。大リーグ屈指の強打者が並ぶ打線を要所で封じた長身右腕は「ドミニカ共和国がこの大会を制してもおかしくなかったが、うちがそこ(大会制覇)に近づいた」と、誇らしげだった。亡命して大リーグでプレーする選手は、代表入りさせていない。監督は「キューバにはたくさんの野球選手がいる。質量共に」と、ここでも胸を張った。

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