ロッテがプロ野球記録にあと2と迫る16残塁を喫するも、昨年5月21日〜27日以来の6連勝を飾り、今季対ソフトバンク戦初勝利。貯金を今季最多の4とし、2位に浮上。ロッテは7回、この日公式戦初となる5安打を放った今江の適時打で同点とすると9回には17試合連続安打中の福浦の適時打で勝ち越した。投げては2人目の藤田が1回2/3を無安打に抑え今季初勝利。小林雅に10セーブ目。ソフトバンクは初回から先制点を挙げるも、投手陣が6人で合計8四球と崩れ逆転負けを喫し貯金3、ロッテと入れ替わり3位となった。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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千葉ロッテ | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | 6 |
福岡ソフトバンク | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
福浦のバットとロッテの白星街道が止まらない。4月の月間MVPに選ばれた福浦が、同点の9回2死満塁から決勝2点適時打。チームを6連勝、今季初の2位に導いた。13年目の安打製造機はここまで打率4割超、得点圏打率は5割。宿敵・ソフトバンクから今季初勝利をもぎ取り、ゴールデンウイークの快進撃が続く。
磨き抜かれた勝負勘とテクニックが、土壇場で生きた。同点の9回2死満塁。福浦は心に決めた。「真っ直ぐでくる」。読みは的中した。7球連続内角ストレート。「引っ張ることは考えなかった」。徹底してきた左方向への意識もまた、揺るがなかった。馬原の151キロ。技術は力に勝り、打球は中前に落ちた。
ヒットメーカーの2点適時打が熱戦に終止符を打った。「本当に嬉しい1本ですね。チャンスなので何とかしたかった」。この決勝打で早くも今季8度目の猛打賞。流し打ちを極めた今季、46安打中、右への安打はわずか8本。「逆方向への意識がいい結果に結びついている」と自己分析する。電光掲示板にはリーグトップの「.426」の打率が光った。
好機になれば、4割打者はさらなる進化を遂げる。「とにかく力まないことが大切。チャンスになればなるほど、ね」得点圏打率は5割。バレンタイン監督は「(9回1死満塁で)辻が併殺にならず、何とか福浦に回して欲しいと祈っていたよ」と正直な心情を吐露した。日替わりオーダーの打線で唯一、3番に固定される男。異次元の打者であることは、ボビーが1番理解していた。
この日、福浦は4月の月間MVPを受賞。スロースターターが開幕から飛ばしたのには、理由があった。3月、ロッテはWBC日本代表に主力8人を放出。バレンタイン監督は「君にチームを引っ張って欲しい」と願い出た。背番号9は“リーダー指名”に燃えた。持病の腰痛が出ないよう細心の注意を払い、ロケットスタートに結びつけた。
千葉(習志野高)が生んだ安打製造機の活躍で、ロッテは怒とうの6連勝。宿敵・ソフトバンクから初勝利を挙げ、今季初の単独2位に躍り出た。「まだまだこれから。どんどん勝っていきたいですね」ヒーローは笑顔を見せず、上を見据えた。ペナントレース1位通過、そして夢の4割へ。福浦が走り続ける限り、ロッテの快進撃は止まらない。
4−4の9回2死満塁。福浦はゆっくりと息を吐いた。「変化球はない。心掛けたのは力まないこと」。馬原が投じたカウント2―2からの7球目。内角への151キロを叩いた打球は詰まりながら中前へ落ちた。
「最後は前へ飛んでくれた。本当に嬉しい」。決勝の2点適時打。リーグトップの得点圏打率.500を誇る、しぶとい打撃でチームを今季初の6連勝と2位に導いた。
この日は3・4月の月間MVPの吉報が届いた。プロ13年目。01年に首位打者を獲得し、5年連続の3割打者にしては意外ともいえる初受賞だった。「いつもスロースターターと言われるが、昨年アジア王者になってもう1度という気持ちでやっている」。この日の3安打で打率も.426まで跳ね上がった。
バレンタイン監督も「昨年は(腰痛や股関節痛など)故障と闘っていたが、今季は目立った痛みがない。WBCには選ばれなかったが、代表選手に劣らない実力を示しているのかもしれないね」。今季4連敗していた相手に序盤は劣勢を強いられたが、7回に相手の継投策に付け込み、今江の2点適時打で同点。さらに9回と、終盤に粘りとつながりを見せた。15安打中、14本が単打での逆転勝ち。「1人が責任を背負うのでなく、できなければ誰かが補う。それがチームというもの」と指揮官。アジア王者に輝いた昨年の勢いが完全に戻ってきた。
勢いに乗るロッテが、ソフトバンクから今季初勝利を挙げ、連勝を6に伸ばした。4−4の9回表、2死満塁から「首位打者」福浦和也内野手(30)の中前打で2点を勝ち越した。ロッテはソフトバンクを抜き去り、今季初の2位に浮上した。またオリックスは楽天を1−0で振り切り、3連勝で4位に浮上。逃げる首位西武は、日本ハムに快勝した。パ・リーグは、ますます熱くなる。
7球続けられたストレートを、今の福浦が見逃す訳がない。4−4の同点で迎えた9回表2死満塁。4球ファウルで粘った後の7球目。馬原の151キロの内角ストレートをたたく。「真っ直ぐでくるという予感があった。変化球は考えていなかった」。詰まりながらも中前に落とすと、2者が生還。クールな男が、珍しく一塁上で左手を高々と突き上げる派手なガッツポーズを決めた。
4月終了までに打率4割2分2厘で「首位打者」を独走。13年目というパ・リーグ史上2番目に遅い月間MVPを獲得した。この日の試合前に記者会見を行ったばかり。「難しい賞を取れて良かった」と素直に喜びを表現する。この日、ソフトバンクの先発は、投手部門で月間MVPを獲得した新垣。負ける訳にはいかなかった。
腰痛に苦しんだ昨季は、手術のためアジアシリーズを欠場。今季は厳しいトレーニングを続けて、昨年のこの時期より体重を2〜3キロ落としている。体のキレを生むと共に、腰、ひざへの負担も軽減。「今はコンディションもベストに近い」と自信を持って話す。WBC組が不在の間はバレンタイン監督からチームを引っ張るようにと、キーマンに指名されていた。首位打者を獲得した01年時と体調を比べても「似ている感じがする」と手応え十分だ。
初回に3点のビハインド負う劣勢の中、逆転で初の6連勝。今季の対ソフトバンク戦5戦目で初勝利を飾った。同点の9回には、無死一、二塁から二塁走者サブローが左飛で三塁へタッチアップ。さらに不調だった今江が5打数5安打の活躍と、福浦の活躍に後押しされるように、持ち前のいやらしい攻撃も出てきた。
バレンタイン監督は「西岡を敬遠されて、福浦に回ればいいと思った。大きい安打を打ってくれた」と絶賛。苦しんだ4月も最終的には貯金3をつくった。月も変わり、5月攻勢を大いに予感させる、王者らしい勝ちっぷりだった。
ロッテ里崎が1試合5三振のプロ野球タイ記録。昨年5月8飛の渡辺俊(ロッテ)以来で12人目(パ・リーグ6人目)。4番打者としては80年7月4日にソレイタ(日本ハム)がロッテ戦で喫したのに次いで2人目。
1試合5三振を記録した選手 | ||||
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年月日 | 選手 | 所属 | 相手 | 打順 |
79-05-29 | 若菜嘉晴 | 阪神 | 大洋 | 7 |
80-07-04 | ソレイタ | 日本ハム | ロッテ | 4 |
86-04-18 | ゲイル | 阪神 | 中日 | 9 |
92-07-11 | 愛甲猛 | ロッテ | 日本ハム | 5 |
93-09-07 | 鶴田泰 | 中日 | 広島 | 9 |
96-05-26 | デューシー | 日本ハム | ダイエー | 1 |
97-06-03 | 大豊泰昭 | 中日 | 横浜 | 3 |
97-06-14 | 金子誠 | 日本ハム | 西武 | 2 |
00-05-06 | 上原浩治 | 巨人 | ヤクルト | 9 |
05-04-16 | 仁志敏久 | 巨人 | ヤクルト | 1 |
05-05-08 | 渡辺俊介 | ロッテ | 横浜 | 9 |
06-05-02 | 里崎智也 | ロッテ | ソフトバンク | 4 |
決勝打の福浦は早くも今季8度目の猛打賞。猛打賞のシーズン最多記録(96年イチローの26度)を更新しそうなハイペースだ。福浦の年間安打ペースは209本にもなる。
里崎が日本タイ記録の1試合5三振を喫した。「記録?知っていましたよ。6打席目は、これで三振だったら日本記録かと思ったけど」と話す。その最終打席で右前打を放ち、6打数1安打だった。
ヒーローインタビューで、ロッテ・福浦が満面の笑みを浮かべる。「本当に嬉しい1本。いいコースに飛んでくれた」。故障が癒えた安打製造機のバットが、チームに今季初の6連勝と、2位浮上をもたらした。
意地と意地の勝負だった。4−4で迎えた9回、2死満塁。ソフトバンクの守護神・馬原が投じてきたのは全て150キロ超の直球。「もう直球しかないと分かった。変化球は考えなかった」。
7球目、内角151キロの直球を、詰まりながらも中堅・大村の前に落とした。勝ち越しの2点打。バレンタイン監督は「福浦に回って欲しいと願っていた」と言うほど、その打撃は神がかり的だ。
18試合連続安打に加え、得点圏打率も.500。開幕前、WBCで主力8人が抜ける中、指揮官に「君がチームの中心だ」と言われた。その期待に呼応するように、打線の大黒柱として君臨している。
「ベンチの雰囲気も明るくなった。去年に近い形になっている」と福浦。その視線には、首位・西武を叩き落すことしか見えていない。
敵地の悲鳴とため息の中、福浦が一塁上で最高の笑顔を見せた。4−4の同点で迎えた9回2死満塁。月間MVP男が、守護神・馬原の直球を中堅に弾き返す2点タイムリー。宿敵ソフトバンクを退けて6連勝。本命がついに2位に浮上だ。
ライバルへの逆転劇を、福浦は満足げに振り返った。バーンが1回に、いきなり3失点。5勝0敗の新垣が相手とあって、一時は敗色ムードが漂った。それでも諦めなかったことがドラマにつながった。
9回にはサブローのビッグプレーも飛び出していた。平凡な左飛で「イチかバチか!!」と二塁からタッチアップ。無警戒のカブレラの裏をかき進塁。逆転のチャンスを広げた。全ての歯車が噛み合う昨季の快進撃が蘇った瞬間だった。
チームが浮上すれば不調の選手も自然と引っ張られる。開幕直後は、打率が2割台前半だった今江が5安打、フランコが3安打と結果を出した。これぞ、バレンタイン監督が考える全員野球。全員が主役を演じている。「全てを1人が背負うのではなく、他の人間がそれぞれを補う」。チームが1つにまとまってきたことに、手応えを感じている。
「初回に3点取られても、決して諦めなかった。みんながガッツを見せてくれた。現状として、打線は非常に調子がいいね」と指揮官。首位・西武の背中がすぐ近くに見えてきた。
好調な打線の中で、1人浮かない表情だったのが里崎。5打席連続三振を喫し、プロ野球記録に並んでしまった。9回には新記録の“チャンス”が巡ってきたが、ここは、なんとか右前打で意地を見せた。里崎は「記録のことは知っていました。危うく新記録をつくるところだった」とヒヤヒヤ。それでも「結局は6(打数)の1(安打)でしょ」と不満な表情だった。
セ、パ両リーグは2日、3・4月の月間最優秀選手賞(MVP)を発表し、セは巨人のジェレミー・パウエル投手(29)と阪神の浜中治外野手(27)、パはソフトバンクの新垣渚投手(25)とロッテの福浦和也内野手(30)がそれぞれ選ばれた。
パウエルは4試合で2完封を含むリーグ最多の4勝をマークし、近鉄時代の2002年以来通算3度目の選出。初受賞の浜中は共にリーグトップの打率.435、10本塁打を記録した。新垣は5試合で5勝を挙げ、昨年9月以来4シーズン連続4度目の受賞。福浦はリーグ1位の打率.422の好成績で、入団13年目で初受賞となった。
3・4月のJA全農Go・Go賞(好走塁賞)を鈴木(巨人)と佐竹(楽天)がそれぞれ受賞したと発表した。