昨年の交流戦MVPの小林宏が今季無傷の3連勝、ロッテの連敗は5でストップし勝率5割復帰を果たした。ロッテは3回西岡の2号2ラン、フランコの適時打で3点を先制、さらに続く4回にも西岡の適時内野安打で加点。1点差とされた7回には首位打者・福浦の2点適時打で差を広げた。先発・小林宏は7回を投げ3失点、後を受けた薮田、小林雅のリレーで逃げ切った。広島は5回に栗原の4号2ラン、6回には新井の犠飛で3点を返し1点差とするが、7回に中継ぎ陣が踏ん張れず連勝は2でストップし、借金は4となった。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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広島 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 |
千葉ロッテ | 0 | 0 | 3 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | x | 6 |
この人が打てば浮上間違いなし?12日の広島戦でロッテ・西岡が1発を含む猛打賞。豪快スイング&快走で大貢献で、チームの連敗を5でストップさせた。「本塁打は正直狙ってた。ホームランバッターじゃないけど、ボクみたいな打者が打てばチームの雰囲気が変わるから」と笑顔。バレンタイン監督も「何かしてやろうという闘志あふれるプレーを見せてくれた」。リードオフマンの活躍でマリンガンも本格始動に入った。
ロッテ・西岡の1発がチームを変えた。
3回無死一塁。走者を進めるのがセオリーで、西岡も「バントも考えた」。だが、沈滞ムードを吹き飛ばすには、打つしかないと考え直した。「でも、ここで打ったらチームの雰囲気が変わると思った。ぶっちゃけ、狙ってた」。ロマノの直球を、見事に右翼席へ叩き込む先制2号2ラン。5連敗だったチームが、これで息を吹き返した。
西岡が本塁打を打った試合は04年から8連勝で、通算でも11勝1敗。バレンタイン監督も「西岡が本塁打を打てば、打線が活気づく」と効果を認めた。
1発を含む3安打、3打点で、チームを再び勝率5割に押し戻した。7回に内野安打で一塁へ走り込んだ際に、勢い余って首をひねり途中交代したが「もう大丈夫!」。波に乗ったリードオフマンが、チームを上位へと導くはずだ。
1点差に詰め寄られていた7回だった。ロッテ小林宏が最後の力を振り絞る。直前に2ランを浴びた栗原を、外角138キロ直球で見逃し三振。後続も打ち取り、重責を果たす。自身3連勝で、5連敗中だったチームをトンネルから脱出させた。
基本に立ち返っていた。「先に点を与えないこと、無駄な四球を出さないようにした」と振り返る。それでも「7回で92球は多い。簡単に追い込んでから打たれた」と反省も忘れない。「チームの勝利を考えて投げた」と、追撃され崩れそうな自分を奮い立たせた。
今年もセ・リーグの高い壁になる。昨季の交流戦では6戦5勝でMVP。それだけではない。昨年以前のオープン戦、交流戦、さらに日本シリーズも含めセ球団相手に、これで10連勝の負けなし。「全く知らなかった。関係ないし、気にしなかった」と、意識してできることではない。無心の投球が不敗神話をつくり上げた。
バレンタイン監督は「今日も素晴らしい出来だった。ホームランもいいフォークだったし、打者がうまく打った」と賛辞を贈った。交流戦初代王者が、小林宏と共に上昇していく。
小林宏の対セ・リーグチーム成績 | |||||||
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試合種別 | 試合 | 勝−敗 | 投球回 | 安打 | 失点 | 自責点 | 防御率 |
交流戦 | 7 | 6−0 | 19 2/3 | 54 | 16 | 16 | 2.90 |
日本シリーズ | 1 | 1−0 | 6 | 3 | 1 | 1 | 1.50 |
オープン戦 | 13 | 3−0 | 35 1/3 | 33 | 8 | 7 | 1.78 |
小林宏の交流戦成績 | |||||||
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年月日 | 相手 | 勝敗 | 投球回 | 安打 | 三振 | 失点 | 自責点 |
05-05-11 | 阪神 | ○ | 7 0/3 | 9 | 5 | 1 | 1 |
05-05-18 | 広島 | ○ | 7 1/3 | 9 | 5 | 5 | 5 |
05-05-25 | 巨人 | ○ | 6 0/3 | 8 | 6 | 3 | 3 |
05-05-31 | 広島 | ○ | 6 1/3 | 7 | 3 | 1 | 1 |
05-16-07 | 巨人 | ○ | 7 | 6 | 7 | 1 | 1 |
05-16-14 | ヤクルト | ○ | 9 | 10 | 7 | 2 | 2 |
06-05-12 | 広島 | ○ | 7 | 5 | 6 | 3 | 3 |
通算 | [防]2.90 | 49 2/3 | 54 | 39 | 16 | 16 |
西岡がパワーとスピードで暴れまくった。3回裏に右翼席へ先制の2号2ラン。「走者が一塁だったので進めたい気持ちもありましたけど、何とか勢いをつけたかったので来た球を思い切り打ちました。ぶっちゃけ、狙ってました」と話した。4回には足で適時内野安打を勝ち取るなど猛打賞だった。
2つの不敗神話が両立した。昨年から、小林宏は交流戦6連勝、西岡がアーチをかければ8連勝。2人の白星請負人が奮闘して、ロッテがトンネルを抜け出した。
勝利の扉を開いたのは西岡だ。3回無死一塁。「走者を進めたい気持ちもあったけど、何とか勢いをつけたかった。ぶっちゃけ、狙ってました」。強振に導かれた2号2ランはチームに活気を運んできた。4回には自慢の足で適時内野安打。7回の走塁で首をひねって交代したが、バレンタイン監督は「西岡は何かを起こそうというプレーを見せてくれた」と猛打賞のヒーローを持ち上げた。
マウンドでは小林宏が躍動した。チェンジアップを効果的に使い、7回3失点。無傷の3連勝に「とにかく連敗を止められてよかった」とクールに振り返った。昨年の交流戦に日本シリーズ、オープン戦を加えれば、対セは実に10連勝。交流戦初代MVPの神通力は本物だった。
負けない要素が重なり、悪夢の5連敗を脱出。西岡は「連敗中のムードは最悪。少しは雰囲気、変えられたかな」とちゃめっ気たっぷりに笑った。5位とはいえ、首位に2.5差。混パを制する時間は、十分に残されている。
連敗ストッパーはやっぱり“ミスター交流戦”だった。小林宏が7回3失点で3連勝。昨年からの交流戦連勝も6に伸ばし、チームの連敗を5でストップした。「とにかく連敗を止めたかった。交流戦負けなし?気にしてなかった。チームの勝利しか考えなかった」。
WBCでは右足の故障で米国での2次リーグ以降の登板機会はなかったが、私生活でも大ショックを受けていた。後ろ髪を梶原広報に切ってもらうと1直線に“金太郎カット”。「このままじゃ生きていけない」と丸刈りで帰国した。あれから2ヶ月が経過、伸びた髪が球界のファッションリーダーの好調を支えている。バレンタイン監督も「素晴らしい出来」と絶賛。球団がファンに公募していた小林宏の新しい髪形も近日中に発表される。お披露目はもちろん交流戦のマウンドだ。
西岡も“不敗神話”を更新した。3回無死一塁で9試合ぶりの先制となる右越え2号2ラン。1発を放った試合は04年から8連勝となり「連敗でチームのムードは最悪。送りバントも考えたけど雰囲気を変えたかった。ぶっちゃけ狙ってた」と胸を張った。4回2死三塁では今度は足を生かし一塁内野安打で4点目。7回の遊撃内野安打で首を痛めて途中交代したが、猛打賞も記録した。
21歳の一振りが、重苦しいムードを吹き飛ばした。3回無死一塁からロッテ・西岡が先制2ラン。5連敗していたチームに元気とパワーを注入した。
さらに西岡は4回2死三塁で一塁内野安打。ベースカバーに入るロマノを追い抜く自慢の俊足で追加点を演出した。「ハッスルした走りが今のチームに必要な流れをつくってくれた」とバレンタイン監督も絶賛だ。
交流戦に入って阪神に2連敗。やること全てが空回りし、王者は2年ぶりの5連敗と苦しんでいた。試合前には、ボビーが選手全員を集めミーティング。沈む選手達に語りかけた。「ここまで負けても首位と2.5ゲーム差。元気を失う理由はどこにもない」。混戦のパ・リーグは、たとえ5位でもすぐに再び上位をうかがえる位置にいる。落ち込みがちな選手の頭を切り替えさせた。
「西岡は何か起こそうというプレーを見せてくれた。今日は打線が2アウトから得点できたことも大きい」とボビーは確かな手応え。今季は3戦目で初勝利。交流戦初代王者がここから巻き返しを図る。
ベースボール犬のエルフちゃん(ラブラドールレトリバー、雌、11ヶ月)が今季2度目の1軍マウンドに登場。始球式を務めるイラストレーターのリリー・フランキー氏にボールを渡した。前回はグラウンドを暴走したが、この日は無事に成功。球団関係者は「練習の成果が出てよかった」とホッとした表情を浮かべた。これで2軍を通じて、エルフちゃんの登板日は5戦負けナシ。マリーンズの“勝利の女神”だ。
ロッテ小林宏が、チームの連敗を5で止めた。先発し7回を3失点。「とにかく先に点をやらないようにした」と、5回までの無失点投球が打線にリズムを呼んだ。交流戦は、やはり強い。昨季は6試合に登板し、5勝0敗でMVPに輝いた。バレンタイン監督はこの日の試合後、「今日も素晴らしい出来だった」と賛辞を送った。巻き返しが始まる。
バレンタイン監督と夕食を共にした時、ふと気になって聞いてみたことがある。「ボビーのお父さんは、どのような仕事をしていたのですか?」。唐突で、深い意味のない質問に、監督は懐かしそうな顔をしながら、静かに話し出した。
「私のお父さんは大工の仕事をしていました。家を造る仕事をしていたのです。私にとっては子供の時から尊敬する存在で、いつかはお父さんに認められる人間になりたいと思っていました」。
そして、こんな昔話を披露してくれた。それはニューヨークメッツの監督を辞めた直後の03年のこと。長いこと野球に携わってきた監督にとって、この時は唯一の空白といえるような期間だった。評論家の仕事はあったものの比較的、自分の時間が持てた唯一の時。そんな時に、ふとある計画を思いついた。
「子供のときから父の仕事にも興味があって勉強もしていた。だから造ったことはなかったけど、家を造るノウハウを持っていたつもり。父親を驚かして、認めてもらおうとこっそりと家を造ることを決めたのだよ」。
材料を買い込み、持ち運び、自宅の庭があるスペースに大きな小屋を建て始めた。それは2ヶ月にもわたる作業だった。木を削り、柱を建て、全てが自家製。監督1人で小屋を造り上げた。そして、釘をあと1つ刺せば全て完成という段階であえて作業を終え、父親を自宅に招いた。
そして父親に言った。「もし、私がやった仕事を認めてくれるのなら、最後の作業はお父さんの手で行ってください」。父親は誇らしげに、そして嬉しそうに力いっぱい釘を打ち込み、立派な小屋が完成した。
「あの時、お父さんが見せてくれた嬉しそうな顔は忘れられない」。懐かしそうに振り返るその顔は、このときばかりは子供の顔に戻っていた。
親子の関係。最近は胸の痛むニュースが多い。子供が親を尊敬し、親は子供に愛情の全てを注ぐ。そんな当然の親子関係が薄れているように感じられてならない。監督にとっては親子の関係が今も貴重な財産となり、生きる支えとなっている。こんな社会だからこそ、親子の関係の大切さをロッテの指揮官という立場から今後、伝えていきたい。監督は切にそう願っている。