阪神が4投手の継投で今季4度目の完封勝ち、連勝で貯金を11とし、首位中日と勝率.005でゲーム差無しの2位とした。阪神は3回、先頭・鳥谷の安打などで2死三塁とし、金本の適時打で先制すると、6回にも片岡のセンター犠飛で1点を加えた。投げては先発・福原が6回を4安打無失点に抑え4連勝で4勝目。福原のあとを受けたJFKもロッテ打線を無得点に抑え、対ロッテ戦5勝1敗とした。ロッテは今季7度目の完封負けで貯金は11。なお、ロッテはヤクルトが敗れたため2年連続で交流戦単独優勝となった。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千葉ロッテ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
阪神 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | x | 2 |
バレンタイン・ロッテが2年連続、交流戦で単独Vを飾った。20日の阪神戦は敗れたものの、2位のヤクルトも黒星を喫し、優勝賞金5000万円を独り占め。今季は開幕ダッシュに失敗したが、交流戦で23勝13敗の好成績。バレンタイン監督は、「セの強豪相手に23回勝つのは至難の業。最後の試合に勝たないと優勝できなかった去年と違って、今年は負けてもできたということだ」と笑顔。何といっても、守護神・小林雅の復活が連覇をもたらした。
今季の小林雅は大奮投。交流戦での成績は3勝13S。救援失敗は5月19日の中日戦のみ(この時は勝ち投手)。7日の中日戦では史上初の6年連続20Sを達成。「いつもと変えたところはありません。しっかり調整してやっているだけですから」と本人は冷静だが、バレンタイン監督は「彼は投手として最盛期に来ている」と激賞する。
まさに旬というところだろうが、それ以上に発奮させるモノがあった。今春、日本代表が初代世界一に輝いたWBCだ。
日本代表には昨季のマリン旋風を反映して投手陣では清水、渡辺俊、小林宏、藤田、薮田、野手では里崎、今江、西岡の8人が選出された。が、「マサは落とされたから。主力の8人が選ばれて自分だけが外された悔しさが、すごく発奮材料になっているんだよね」(球団関係者)。
バッシングも好投の原動力になった。昨季は29Sでパ・セーブ王を獲得したがチーム内での評価はイマイチ。救援失敗が8度あったことから「チキンハート」とまで言われたほど。そのため昨オフの契約更改では球団提示は2億3000万円の現状維持。さすがに「マサのおかげで勝った試合があるのに」という同情論が発生し、2000万円増の2億5000万円&2年契約で落ち着いた経緯があったのだ。
それだけに今季の熱投、「昨年の悔しさが、いい方に晴らせているよね」(球団関係者)と安堵の笑顔だ。
20日で2年目の交流戦が終了。今年の観客数は合計216試合で508万8324人。1試合平均は2万3557人だった。昨年の交流戦は1試合平均2万3449人で、前年比+0.5%とわずかながら増加した。球団別では阪神の平均4万2908人が最多で、2位は巨人の4万1362人。最少は昨年に続き横浜で平均1万2992人だった。また、交流戦前と比較すると、昨年同様にセ・リーグは減少、パ・リーグは増加という結果になった。
交流戦観客数 | |||||
---|---|---|---|---|---|
球団 | 試合 | 観客数 | 1試合平均 | 交流戦前平均 | 昨年交流戦 |
阪神 | 18 | 772,345 | 42,908 | 44,106 | 41,548 |
巨人 | 18 | 744,513 | 41,362 | 41,022 | 41,433 |
中日 | 18 | 550,262 | 30,570 | 31,881 | 30,778 |
ヤクルト | 18 | 285,836 | 15,880 | 21,129 | 15,350 |
広島 | 18 | 248,142 | 13,786 | 13,661 | 13,442 |
横浜 | 18 | 233,853 | 12,992 | 16,366 | 11,859 |
セ・リーグ | 108 | 2,834,951 | 26,250 | 28,089 | 25,735 |
福岡ソフトバンク | 18 | 533,224 | 29,624 | 27,519 | 31,589 |
北海道日本ハム | 18 | 411,572 | 22,865 | 19,603 | 21,205 |
オリックス | 18 | 389,599 | 21,644 | 19,484 | 21,239 |
千葉ロッテ | 18 | 343,857 | 19,103 | 19,384 | 19,592 |
西武 | 18 | 318,918 | 17,718 | 17,377 | 18,994 |
東北楽天 | 18 | 2,56,203 | 14,234 | 13,085 | 14,363 |
パ・リーグ | 108 | 2,253,373 | 20,865 | 19,457 | 21,163 |
合計 | 216 | 5,088,324 | 23,557 | 23,437 | 23,449 |
ヤクルト古田敦也兼任監督が20日、2年目を終えた交流戦について、さらなる改革の必要性を唱えた。真っ先に強調したのは「2分割の方がいいと思います」という開催時期の問題だった。長期間での間延びを懸念しただけではなく「5月には負けたけど8月にはリベンジする、という盛り上がりがあっていいじゃないですか。ファン心理としてもその方が面白い」と話し、2年続いた5〜6月の集中開催に改善の余地あり、と提言した。
日程面の過酷さが様々な部分に及ぼす悪影響も指摘した。「例えば雨が降っているとき、普通なら中断なのに交流戦だからやってしまおうとか、そういう空気はいかがなものかと思う」とも話した。
交流戦の試合数減少を求める声には「勝ちのある試合を増やさないといけない。同じような試合を続けるより、勝ちのあるゲームならいくらやってもいい」と、必ずしも減少が最優先ではない、との認識を示して訴えた。
4年連続シーズン1位へ向け、ロッテ追撃ローテーションを組む。鍵はエース斉藤和だ。20日、投手陣練習で杉本投手コーチは「カズミ(斉藤和)を中心に行く。アイツは気持ちも強いし、簡単に崩れることはないからね」と信頼を寄せた。斉藤和も「大事なところを任されることは嬉しいし、自分でもやならなければと思っている。体調は万全です」と話した。
ロッテが交流戦に単独優勝を決め、優勝賞金5000万円をゲットした。阪神に0−2と敗れたものの、2位ヤクルトも、日本ハムに逆転負けしたために単独Vが決まった。次々と出てくる若手の成長がロッテ躍進の原動力になっている。ヤクルト古田兼任監督は、初タイトルを寸前で逃した。3位は阪神、好調楽天は7位になった。交流戦のMVPは22日に発表される。
試合終了から21分後の午後9時22分。ヤクルトの敗戦が決定した直後に、甲子園球場の三塁側ブルペンで、バレンタイン監督と選手会長の小林雅がガッチリと握手を交わす。試合には敗れたが、2年連続の交流戦単独優勝が決定。賞金5000万円のボードとトロフィーを誇らしげに掲げた。
バレンタイン監督が切り出した。「他の球団がうちに連覇をさせまいと始まった交流戦だったが、我々は昨年、チームが一丸となることを学んでいる」。打倒ロッテを狙うチームを返り討ち。36試合で23勝をマークし、交流戦だけで貯金を10とした。
今季も若手の台頭が、ロッテの強さを支えている。チーム最多の8本塁打を放つ大松と、14日にプロ初本塁打を満塁弾で飾った青野は24歳と23歳。さらにここまで3勝を挙げている20歳の成瀬、右肩痛の薮田の穴を埋める神田と、次々にニューヒーローが誕生する。
バレンタイン監督は「福浦、ベニーといった年俸が高いスターだけではなく、彼らもとても貴重な存在と伝えているつもり」と話す。1軍に昇格させたら即試合で使うのがボビー流。すぐに戦力だ、と本人に認識させるためだ。青野は「早く試合で使ってくれて、結果が出れば自信になる」と話す。再昇格後スタメン2試合目で満塁弾を放つなど、交流戦で打率6割をマーク。激しい競争意識がチームを活性化させ、2軍の選手たちにも大きな刺激となっている。
交流戦が始まる直前は首位と2.5ゲーム差の5位に沈んでいたが、終わってみればパ・リーグ首位をひた走る。あくまでシーズン優勝が最大の目標だ。里崎は「優勝は昨日で決まっている。今日勝てなかったことがシーズンにとって悔しい」と話す。まだ1冠。シーズン、プレーオフ、日本シリーズ…。全てを制し、心から笑ってみせる。
ロッテは今年も賞金5000万円を球団と、選手関係者とで折半する。球団側は、8月に完成するロッテの歴史などを記したミュージアムの建設費用に充てる予定だ。バレンタイン監督は「半分を我々に回してくれるということなので、選手をはじめ、スタッフも加えてみんなで分けたいと思う」と話した。
ロッテ主力打者の交流戦成績 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
選手名 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | V打点 | 打率 |
福浦 | 34 | 124 | 39 | 2 | 15 | 0 | 3 | .315 |
西岡 | 34 | 132 | 40 | 2 | 9 | 11 | 1 | .303 |
今江 | 33 | 121 | 35 | 3 | 12 | 1 | 1 | .289 |
里崎 | 32 | 109 | 29 | 6 | 20 | 0 | 4 | .266 |
ベニー | 34 | 105 | 27 | 4 | 19 | 1 | 2 | .257 |
フランコ | 33 | 105 | 32 | 4 | 8 | 1 | 1 | .305 |
大松 | 29 | 56 | 16 | 4 | 11 | 0 | 3 | .286 |
ワトソン | 14 | 34 | 9 | 2 | 6 | 0 | 2 | .265 |
堀 | 27 | 80 | 20 | 1 | 5 | 0 | 0 | .250 |
大塚 | 28 | 48 | 12 | 0 | 4 | 1 | 2 | .250 |
サブロー | 30 | 56 | 11 | 2 | 11 | 2 | 3 | .196 |
[注]上5人は交流戦規定打席到達。
ロッテ主力投手の交流戦成績 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
選手名 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | S | 投球回 | 失点 | 自責点 | 防御率 |
久保 | 6 | 4 | 2 | 0 | 40 1/3 | 14 | 14 | 3.12 |
小林雅 | 19 | 3 | 0 | 13 | 19 1/3 | 1 | 1 | 0.47 |
清水直 | 6 | 3 | 1 | 0 | 41 | 18 | 14 | 3.07 |
小林宏 | 6 | 3 | 2 | 0 | 41 2/3 | 20 | 19 | 4.10 |
成瀬 | 5 | 3 | 1 | 0 | 29 2/3 | 15 | 14 | 4.25 |
渡辺俊 | 6 | 2 | 0 | 0 | 37 2/3 | 18 | 15 | 3.58 |
小野 | 6 | 1 | 3 | 0 | 39 2/3 | 10 | 10 | 2.27 |
「日本生命セ、パ交流戦」は20日、2連覇を決めていたロッテの2年連続単独優勝で全日程を終了した。ロッテは阪神に0-2で敗れたが、同率優勝の可能性があった2位ヤクルトも日本ハムに2−4で逆転負けした。ロッテには優勝賞金5000万円が贈られ、最優秀選手(MVP)は22日に発表される。
去年よりも優勝トロフィーは重かった。交流戦最終戦、阪神に9度目の完封負けを喫した。それでも「今年はどの球団もウチの連覇を阻みに来た。その中での23勝は非常に価値がある」とバレンタイン監督。ボビーの執念が優勝賞金5000万円をもたらした。
勝負をかけたのは5回だった。2死から今江、堀の連打で一、三塁としたところで、ボビーが動いた。4回5安打1失点で、まだ69球しか投げていない小野に、代打・平下を告げた。
「向こうの救援陣は強力だし、先発がいる間に点を取りたかった」。結果は平下が二ゴロに倒れ無得点に終わった。だが、勝利の女神はヤクルトよりもロッテがお気に入りだったようだ。ヤクルトが敗れての単独優勝に、今江も「ロッテには神様がついてるんですよ!」と声を上げた。若手がチームに新しい風を吹き込み、薮田の穴を神田が埋める昨年より成長したチームがつかんだ2年連続の栄冠に違いなかった。
24日からは西武との首位攻防戦が始まる。指揮官は「これで終わりではない」と力を込めた。そう、最大の歓喜は秋に待っている。
これも1つのボビーマジック?セ、パ交流戦は20日、ロッテの2年連続単独優勝で全日程を終了した。ロッテは阪神に0−2で敗れたが、同率優勝の可能性があったヤクルトが日本ハムに2−4で逆転負け。ロッテには優勝賞金5000万円が贈られる。交流戦の対戦成績はパの108勝107敗1分けで、パが2年連続で勝ち越した。なお、MVPは22日に発表される。
ナインがバスに乗って引き揚げる中、バレンタイン監督は選手会長の小林雅と甲子園に残った。2位ヤクルトが敗戦。2年連続の単独優勝が決まると、ハイタッチで喜びを爆発させ、優勝トロフィーに口づけをした。
「昨年は最終戦で勝利しなければならなかったが、今年は負けても大丈夫だった」。試合は今季9度目の零敗。一時は賞金2500万円が濃厚だったが、強運を味方につけて5000万円をゲット。今季も「ボビーマジック」は健在だった。
WBCに12球団最多の8選手を送り込んだ影響もあって、開幕当初からチームは低迷した。交流戦の突入時はリーグ5位。そんな状況下で、ボビーは若手を積極的に起用した。2年目の大松は巨人戦6試合で3発の決勝弾を放った。6年目の青野はプロ初アーチを満塁弾で飾り、内外野もこなした。3年目の左腕・成瀬は先発陣に食い込み、右肩痛の薮田に代わって神田がセットアッパーの穴を埋めた。
「福浦、ベニーら年俸が高いスター選手だけに頼るチームではない。もちろん彼らの力は必要だが、若手にはそう言い続けている」。チームトップの8発をマークする大松は、ここまで3、5番以外の打順を全て務めた。それでも「どの打順でも打撃を変える必要はない」と“マジック”をかけて、持ち前のパワーと勝負強さを生かした。
昨年は交流戦Vを足掛かりに日本一、アジア王者に上り詰めた。「昨年と違って、どの球団もロッテを勝たせないように向かってきた。しかし、我々はチームがまとまることを身につけている」。新たな“ボビー・チルドレン”とともに連覇を果たした。昨年よりもロッテは強くなっている。
ヤクルトが敗れて単独優勝が決定すると、日本生命・加藤貞夫取締役専務から優勝賞金5000万円の小切手が選手会長の小林雅に手渡された。「半額の2500万はベンチに入るということなので、選手やスタッフでうまく配分したい」とバレンタイン監督。交流戦を3勝13セーブ、防御率0.47の活躍でMVPの最有力候補に挙がる守護神は「この後も失敗していたら駄目なので、しっかりと頑張っていきます」と話した。
プロ野球の交流戦は20日、すでに連覇を決めていたロッテの2年連続単独優勝で全日程を終了した。ロッテは阪神に敗れたが、同率優勝の可能性があったヤクルトも日本ハムに逆転負けした。ロッテには優勝賞金5000万円が贈られる。最優秀選手(MVP)は22日に発表される。同一リーグとの対決は23日から再開される。
沈んでいたボビーの表情に、いつものスマイルが戻った。ロッテは阪神との最終戦に敗れたものの、ヤクルトも逆転負け。単独での交流戦連覇が決定し、優勝賞金5000万円をゲット。運までも味方につけてバレンタイン監督は、誇らしげに優勝トロフィーを掲げた。
この日は小刻みな継投で勝利にこだわったが、ミスも絡み2失点。打線もチャンスをつくりながら、あと1本が出なかった。敵地での敗戦。お立ち台もなければ、表彰式も三塁側のブルペンでひっそり。それでもボビーはこの交流戦で、確かな手応えを感じていた。
大松、青野といった若い選手が日替わりヒーローを演じると、投手陣では20歳の成瀬がプロ初登板初勝利。右肩痛で離脱中の薮田の代わりを、4年目の神田が十分に果たした。
バレンタイン監督は「彼らは1軍で活躍する力があることを証明した。チームの財産だと思う」。高年俸の選手だけに頼ることはない。「全員がチームにとって、価値のある選手だ」。厚みのある戦力。昨年からさらにレベルアップしたチーム力は、ボビーにとって何より心強かった。
「交流戦を通じて、いいチームになった。これからもエキサイティングなシーズンになると思うよ」というバレンタイン監督。まずは1冠。今年もリーグ優勝、日本一、そしてアジア王座へと続くVロードに向けて、王者の行進が始まる。
勝てば単独Vという大一番を任された小野は4回1失点で5敗目(4勝)。3回2死三塁から、金本に遊撃後方に落ちる適時打を浴びた。優勝賞金5000万円の“独占”が、かかっていただけに「交流戦最後の試合だったので、気合が入りました」と振り返ったが、勝ち投手になれず。それでもヤクルトの敗戦で単独Vが決まり、胸をなでおろしていた。
ロッテの交流戦2年連続単独優勝が決まった。
昨年はチーム防御率が2.66でトップ、同打率は.281で3位。これに対し今季は防御率3.28が3位、打率も.265で8位と共に前年よりも悪化した。完封負けもこの日が4度目で、オリックスの5度に次いで、広島と並ぶ多さ。2ケタ得点も昨年の7度から1度に“激減”した。しかし23勝中、1点差勝ちは12球団最多の11度を記録。小林雅も今季交流戦最多の13セーブ。これは昨年最多だったヤクルト・石井弘の10セーブを上回った。
ボビーには天運が宿っていた。トロフィーを高々と掲げた時、敗戦のショックはかき消された。阪神には屈したが、ヤクルトの敗戦により2年連続の交流戦単独優勝を達成。「今年ノ優勝ハ、初メテデスネ!」指揮官は日本語で喜びを表現し、タイトル防衛の歓喜に酔いしれた。
自力での単独優勝を狙い、執念のタクトを振った。5回2死一、二塁。そこまで4回1失点だった好投の小野に代打・平下を送った。「阪神の救援陣は充実している。先発から得点するしかないと思った」結果には結びつかなかったが、積極的なさい配で勝利を目指した。
ヤクルト敗戦の一報が入り、ナインに笑顔が戻った。「神様がいるんですよ」と今江。ロッテは昨年の交流戦から全タイトルを総なめ。強運に感謝しながら、連覇の喜びに浸った。
順風満帆なVロードではなかった。5月から6月にかけてチーム内では風邪が大流行。福浦、今江ら主力選手が体調を悪化させた。「監督にとって、最大の仕事は決断すること」と話すボビー。逆境こそ、手腕の見せどころだった。
交流戦36戦中、繰り出したオーダーは36通り。主力を休ませることで大松、青野が台頭した。投手陣もバーンの不振で成瀬が、右肩痛の薮田に代わって神田が成長。「彼らには“ウチは高年俸選手に頼るチームじゃない”と言ってきた。チームにとって大きな財産になってくれた」マイナス要素さえ力に変え、単独Vをもぎ取った。
「優勝で我々は先に進む力を身につけた。ここで終わる訳じゃない」交流戦Vから、リーグ制覇、日本一、アジア王者まで。ボビーは昨年と同じ栄光の道を歩んでいく。
5回2死一、三塁。そこまで4回1失点とまずまずの投球をみせていた小野に代え、平下を送って勝負に出たが二ゴロ。7回は2死二、三塁と藤川を攻めたが、ベニーが空振り三振。阪神の投手陣に封じられ、有終の美を飾れなかったが、ヤクルトの敗戦で交流戦の単独優勝が転がり込んだ。
リーグ連覇を目指すロッテにとって実りある交流戦となった。20歳左腕の成瀬がプロ初勝利を含む3勝をマーク。2年目の大松は巨人戦で殊勲本塁打を放つこと3度。6年目の青野は満塁本塁打でプロ1号を飾った。
実績に乏しかった若手が頭角を現し、バレンタイン監督はシーズンを戦い抜く手応えをつかみ取った。「スタープレーヤーがいなくても勝てる試合があると分かった。チームはまた1つ、ステップが上がったと感じている」と胸を張った。
昨季は交流戦の初代王者を足掛かりに、日本一に登り詰めた。唯一リーグ戦を1位通過できなかったのが心残りになっていた。ロッテが狙うは“完全制覇”。連覇を達成した交流戦で戦力に厚みを増し、首位固めの態勢は整ったと言っていいだろう。
試合終了から21分後、ヤクルト敗戦が決まり、バレンタイン監督と選手会長・小林雅が握手。2年連続の交流戦単独優勝が決定。賞金5000万円のボードとトロフィーを誇らしげに掲げた。「ほかの球団がうちに連覇をさせないことを念頭に置いた戦いの中で優勝できたことを誇りに思う」とバレンタイン監督は胸を張った。
今季も若手の台頭が強さを支えた。野手で大松、青野。投手では成瀬らニューヒーローが誕生した。バレンタイン監督は「福浦、ベニーといった年俸が高いスターだけではなく、彼らもとても貴重な存在と伝えているつもり」と話す。
昨季は交流戦の初代王者を足掛かりに日本一に登り詰めた。唯一、リーグ戦1位通過を逃したのが心残りだ。「これで終わりじゃない。去年は交流戦後に負け込んだ。この後が大事なんです」と小林雅。今季は“完全制覇”を狙う。
交流戦優勝の表彰式が試合後に行われ、バレンタイン監督と選手会長・小林雅がチームを代表し、優勝トロフィーと賞金5000万円の目録を受け取った。賞金の半分は選手やチームスタッフらに分配される。もう半分は千葉マリンスタジアム敷地内に開設する、球団史を紹介する展示施設の資金に充てられる。
「日本生命セ、パ交流戦」は20日、ロッテの2年連続単独優勝で全日程を終了した。ロッテは阪神に0−2で敗戦も、同率優勝の可能性があった2位ヤクルトが日本ハムに2−4で敗れた。ロッテは優勝賞金5000万円を獲得。最優秀選手は22日に発表される。
セ首位で交流戦突入の巨人は13勝23敗と大きく負け越し11位。昨年最下位の楽天はこの日、巨人を破り、3連勝で締め17勝19敗で7位タイと健闘した。交流戦の対戦成績はパの108勝107敗1分けで、パが2年連続で勝ち越した。同一リーグとの対決は23日から再開となる。
試合前、4選手が参加したスピードガンコンテストが行われ、ロッテが阪神に「先勝」した。「130キロは出したい」と控えめな目標を宣言した西岡が4選手中最速の142キロをマーク。2球とも140キロ超えして肩の強さを証明した。樟南(鹿児島)時代にエースとして甲子園4強入りの実績がある青野は136キロ。2人合計278キロで阪神の266キロを上回った。