未来のエースに背番号「1」が贈られた。ロッテの高校生ドラフト1巡目、八重山商工・大嶺祐太投手(18)が15日、沖縄・石垣市の同校で契約金1億円、年俸1000万円(ともに推定)で仮契約。背番号は1に決まった。「1日でも早く160キロを投げたい」と日本人初の100マイル超えを誓った。
晴れ晴れした笑顔だった。ソフトバンクと相思相愛と言われ、強行指名に涙したドラフトから51日。悩んだ末にロッテ入団を決めた18歳は「チームを代表する投手になって、島の子供達に勇気を与えたい」と吹っ切れた表情で決意を語った。
ロッテは未完の大器に異例のVIP待遇を用意した。契約金は高卒ルーキーでは球団史上最高額の契約金1億円。新人投手では81年愛甲(ロッテ)以来の背番号1を授けた。“エースナンバー”を託された大嶺は「高校時代も1番をつけていたので嬉しいです」と屈託のない笑みを浮かべた。
志は高い。現在、最速150キロを誇る右腕は「もっと球を速くして、日本人で1番速い球を投げたい」と球速160キロを目標に設定した。過去、日本人では伊良部(ロッテ)、山口(オリックス)、五十嵐(ヤクルト)の158キロが最速。恩師の伊志嶺監督も「持ち味は直球。もっと速くして彼の形を作って欲しい」とリクエストした。
スター選手のメジャー流出が目立つ中、大嶺は「海外は全く考えていません」と“生涯ロッテ”を宣言。日本最南端の高校から千葉マリンへ。07年、大嶺のサクセスストーリーが幕を開ける。
ロッテから高校生ドラフトで1巡目指名された沖縄・八重山商工高の大嶺祐太投手(18)=1メートル84、80キロ、右投げ左打ち=の入団が15日決まった。瀬戸山隆三球団社長らが石垣市内の同校を訪ね、契約金1億円、年俸1000万円で仮契約を結んだ。背番号は1。指名直後はロッテ入りに難色を示したが、大嶺は「日本選手で1番速い球を投げたい。島の子供達に夢や勇気を与えたい」と抱負を語った。27日にはバレンタイン監督が石垣市を訪れる予定。
ロッテは、高校生ドラフトで1巡目指名した八重山商工・大嶺祐太投手(18)と石垣島の同校で入団交渉を行い、高校生として球団史上最高の契約金1億円、年俸1000万円で仮契約した。「対戦したいのは(ソフトバンク)新垣投手と(楽天に入団する)駒大苫小牧の田中君。日本で1番速い球を投げたい」と160キロを目標に掲げた。背番号は甲子園で背負った「1」に決定。投手としては球団では81年の愛甲以来。他球団では過去に300勝左腕・鈴木啓示(近鉄)、デビュー戦で無安打無得点を達成した近藤真一(中日)らが着けた。「球界を代表する投手になる。メジャーは考えていません」と涙のドラフトから51日、“生涯ロッテ”を宣言した。
大嶺に“エースナンバー”が用意された。ロッテ高校生ドラフト1巡目指名、八重山商工・大嶺祐太投手(3年)が15日、ロッテと仮契約を結び、背番号が「1」に決定した。契約金は高校生としては球団史上初の1億円で、年俸は1000万円(金額は推定)。ロッテの投手が「1」を背負うのは愛甲以来で、12球団の現役投手では1人もいない。甲子園を沸かせた最南端の球児が、新世代のエースに相応しい番号で、夢への第1歩を踏み出した。
ロッテが待ちに待った「未来のエース」誕生に、ビッグなプレゼントを用意していた。大嶺が幼少の頃からこだわりを持っていたエースナンバー「1」を、プロの世界でも背負うことになった。球団側が空き番号だった「1」を提示する意向を固めた頃から、大嶺側も希望し、相思相愛で決定した。大嶺は「高校時代にも付けていたし、付けやすい番号」と感激した。
過去に「1」を付けて入団した投手はロッテでは愛甲、さらにソフトバンク王監督、300勝投手の鈴木啓示氏らがいる。そうそうたる顔触れだが、現役投手は0人。プロでエースナンバーといえば「18」になるが、瀬戸山球団社長は「新しい歴史をつくって欲しいという気持ちを込めた」と新時代のエースに期待する。
大嶺も、プロ入りを決意したからには「1」番を目指す。最速150キロの直球が1番の魅力だが「日本で1番速い球を投げられるようになりたい。160キロ?目指して頑張ります」と志は高い。潜在能力の高さを、幼少から指導し、育ての親である伊志嶺監督が代弁。「2年以内に1軍に上がって、ケガさえしなければ3、4年目には2ケタ勝てる投手になれる」と断言した。
ソフトバンクと相思相愛といわれた9月25日のドラフトから52日目。「島から出るのは寂しさもあるけど、島の子供達に感動を与えられるような選手になりたい」とすっきりした表情で語った。27日はバレンタイン監督が石垣島を訪れ、挨拶することも決定。離島のエースから日本のエースへ。V奪回を目指すロッテに、頼もしい投手が加わった。
この日の仮契約には大嶺の祖父武弘さん(68)祖母孝子さん(63)も出席した。武弘さんは「一流の選手になって欲しい」と話し、孝子さんは「(離ればなれになって)寂しいことはないけど、早く試合を見に行きたい」と期待した。大嶺はロッテ入りの決め手に「野球をやれたのも、じいちゃんばあちゃんのおかげだったから」と2人の期待に応えたかったとした。
60億円という予想をはるかに上回った落札金額が逆に受諾への判断を鈍らせていた。西武・太田秀和球団社長(55)は会見の席上「金額が金額だったものですから、許された時間の中で慎重に検討しようと思いました」。西武全選手の総年俸の約3倍。一部で妨害入札や不正入札の可能性もささやかれ、慎重にならざるを得なかった。さらに「MLBを通して話を進めてきたが、(米国で)情報が漏れていた。大変遺憾に思う」MLBとの信頼関係が薄れていったのも事実だ。
60億円の使い道について太田球団社長は「選手補強やファンのために使いたい」と説明。レストランに近い三塁側をホームベンチにするといった球場改修計画はあったが、総額10億円程度の改修費が必要だったため、踏み切れないでいた。が、予想をはるかに上回る入札金が問題を解決してくれそうだ。
ポスティングシステム(入札制度)で大リーグ移籍を目指す松坂大輔投手(26)の独占交渉権をレッドソックスが落札。落札額は5111万1111ドル11セント(約60億円)の破格値だったことが15日、日米で発表された。レ軍では正式契約を待たずに松坂を4・2開幕ロイヤルズ戦から4・12マリナーズ戦、4・22ヤンキース戦で起用する案が浮上。イチロー、松井秀との注目の日本人対決がいきなり実現する可能性が高まった。
“世界の怪物”は一点の曇りもない、晴れ晴れした表情で現れた。レッドソックスが史上最高の約60億円で落札したことが正式発表され、松坂は成田空港で早くも新天地での意欲をのぞかせた。
白いジャケット姿の松坂がまず名前を挙げたのはマリナーズのイチロー外野手(33)。レ軍はア東地区の名門。同地区には宿敵のヤンキースがいるが、誰よりもWBCで共に世界一に輝いた“戦友”イチローとの夢対決を熱望した。
話はルーキーだった1999年にまでさかのぼる。5月16日、西武ドーム。当時オリックスで不動の地位を築いていたイチローとの初対戦で3三振1四球とほぼ完璧に抑え込んだ。試合後、ヒーローインタビューで18歳の松坂はこう語っている。「自信が確信に変わりました」−。
今年3月、WBCで日本代表を率いた頼もしい姿は松坂にとって憧れ、目標であることに変わりない。イチローは後輩に「ちゃんと練習してこいよ」とエールを送った。再びルーキーとして臨むメジャー1年目、再会に、松坂の心が躍るのも無理はなかった。
夢の対決を心待ちにしているのは松坂だけではない。レッドソックス首脳も同じだった。 レ軍は今季、先発不足に悩まされ、ア・リーグ東地区3位に転落。V奪回に開幕ダッシュが欠かせないのは明らか。
そこで松坂を開幕直後中4日の必殺ローテで回す案を検討。4・2カンザスシティーでのロイヤルズ戦で2000年の野茂英雄投手(38)=当時タイガース=以来となる日本人2人目の開幕投手を務めた後、中4日で4・7レンジャーズ戦(アーリントン)に先発。
さらに中4日で本拠地フェンウェイ・パークのお披露目となる4・12のマリナーズ戦でイチローと初対決。再び中4日で4・17ブルージェイズ戦(トロント)先発の後、4・22本拠地、4・27ニューヨークで宿敵ヤンキースと初対戦。怪物Vs松井秀喜外野手(32)もいきなり実現する。
松坂の開幕直後からの起用は経営的にも放映権交渉、グッズなどの営業面、さらに日本人観光客による動員力など波及効果が期待されている。
松坂はボラス氏との打ち合わせに備え、ロサンゼルスに向け出国。現地ではトレーニングも続ける。「プレッシャーはあるけど、いい成績を残して敵地でブーイングを浴びたい」。怪物伝説インUSA。その瞬間は刻一刻と近づいている。
ポスティングシステム(入札制度)で大リーグ移籍を目指す西武松坂大輔投手(26)がレッドソックスに入団することが15日、事実上決定した。レ軍が独占交渉権を獲得し、入札金額が5111万ドル(約60億3000万円)だったことも公表した。年俸総額を合わせると100億円の大台を突破するのは確実で、松坂は1年目から厳しい重圧もかかるが、高い評価を裏切らないプレーを誓った。この日の会見後、代理人のスコット・ボラス氏との面会のため渡米した。
松坂の眠れない日々にようやく終わりが訪れた。この日の早朝、太田球団社長から電話でレッドソックスが独占交渉権を獲得したことを知らされると体中の力が抜けた。ただ一言、「よかった…」とつぶやいた。
落札金額を聞いた瞬間は「思いも寄らない金額で信じられなかった」と驚いたものの、すぐに素直な喜びの感情がわいてきた。西武へ最高の置き土産ができ「8年間お世話になった球団と温かい声援への最後の恩返しかな、と。ファンが来たいと思ってもらえる球場にしてもらいたい。それができる十分な金額だと思う」と胸を張った。
同時に、自分にかけられた期待の大きさも実感した。「嬉しい半面、プレッシャーも当然あります」。横浜高時代から国民的な人気を誇る松坂は日本中どこへ行っても温かく迎えられてきた。しかし米国では違う。100億円を超える大金が投じられる新人に注がれるのは優しい視線ばかりではない。熱烈なファンや厳しいメディアが目を光らせるボストンとなれば、なおさらだ。時には心に突き刺さるようなブーイングも浴びるだろう。
松坂 話には聞いてますが、結果が出なければ叩かれるのはトップの世界では当然のこと。成績を残して敵地でブーイングを受けられるようになりたい。
同じア・リーグには、全米に実力を知らしめることができる格好の相手がいる。「対戦したい打者?松井さんもいますけど、僕の中ではやっぱりイチローさんですね」。99年、18歳のルーキー松坂は、イチローとの初対戦で3三振を奪い「自信が確信に変わった」とプロの世界でも一流であることを証明。ライバル不在で日本でモチベーションを失いかけていたイチローに「三振した僕が言えることじゃないけど、勝負以外の楽しみが増えました」と言わしめた。
あれから7年。WBCで日本を世界一に導いた「怪物と天才打者」の名勝負の復活は、松坂にとって大きなチャンスになる。イチローを封じればメジャーで戦う自信が生まれ、同時にファンのハートもつかむことができる。
メジャーでもNO.1を目指す松坂は、最大限に力を発揮できる環境を希望している。レ軍と交渉に臨む代理人のスコット・ボラス氏への要望を問われると「1番は家族のサポート。僕が何の心配もなく野球に集中できる環境を整えてもらえたら」と答えた。怪物右腕は、100億円の価値を証明するための戦いに、全身全霊をかけて臨む。
大学・社会人ドラフト(21日、東京・新高輪プリンスホテル)で希望入団枠(各球団1人)としてコミッショナー事務局から公示された入団内定選手が15日までに出そろった。今年は10球団が行使する。楽天は2年連続で希望枠の行使を宣言しながら合意せず、獲得を断念。これにより1巡目で東洋大の146キロ右腕・永井怜(22=東農大二)3巡目で国学大の嶋基宏捕手(21=中京大中京)を指名する方針で固まった。ともに頭脳派で知られるバッテリーが、野村監督の下で英才教育を受けることになりそうだ。
楽天は希望枠の苦戦により、当初の指名順から繰り上げた東洋大・永井だが、球団内では「真面目で頭がきれる」と評判だ。リーグ戦を終えた現在、社会の教員免許取得を目指し、教育実習に通っている。野村監督のもとで、クレバーな投球術にさらに磨きをかける。大学界屈指の強肩と守備力を持つ嶋については、野村監督が「頭がいいらしいな。主将でリーダーシップもある」と早くも歓迎。名捕手に育てた古田、矢野らに共通する、頭脳派の部分に魅力を感じている。
駒大苫小牧・田中を引き当てた高校生ドラフトとは対照的に、大学・社会人部門では新球団ゆえの苦戦が続いた。希望枠で狙った地元・東北学院大の岸ら、即戦力投手から断りの連絡が相次いだ。「いつから見てくれていたんですか、と言われると返す言葉がない」とスカウト陣。2年連続最下位や、規則に厳しい野村監督のイメージもマイナスに作用した。そんな中で、嶋は早くから調査してきたオリックス入りが有力視されたが、関係者によると「野村監督のもとで学びたい」と楽天入りを希望し、意欲を見せている。
昨年は大学・社会人で12球団最多8人を指名したが、今年は5人の予定。下位で青学大の長距離砲・横川史学外野手、三菱ふそう川崎の俊足・渡辺直人内野手を指名する。一芸に秀でた選手を希望する野村監督のイメージ通りに戦略は進む。最大の補強ポイントである即戦力投手の不足は否めないが、永井と嶋の「頭脳派バッテリー」が不安を一掃してくれそうだ。
不幸にも誤審が起きたとき、監督や選手は明らかに痛みを負う。1球に勝負をかけ、生活をかけている。選手生命を左右する誤審もあり得る。
一方、誤審をした審判員はどうなるのか。「審判の権威」に守られ、平然としていられるのだろうか。セ・リーグ審判部長の井野修(52)に聞くと、少し声を高めて反論した。
その反省会は審判だけで行う。断固として「審判の権威」を主張する審判が、誤審をどう反省するのか。悪意を持って想像すれば「あの監督うるせえな」とか「審判は絶対なのに文句言いやがって」と、全てを球団サイドに求めている恐れもある。
具体的な反省会を振り返ってもらった。井野が審判員を務めた試合でいえば、5月2日、4日のヤクルト−広島(神宮)に連続してトラブルが起きた。2日は本塁打の判定がファウルに覆った。4日は無死満塁で三ゴロを処理したヤクルト岩村が、三塁ベースをまたいだ形で本塁へ送球し、さらに一塁へ転送。本塁→一塁への併殺が完成したかに見えた。しかし、三塁塁審は三塁ベースを踏んだと判断。広島に得点が認められた。どちらも当該審判員は萩原達也(29)だった。
パ・リーグ審判部長の前川芳男(64)も、ミスを犯す審判員が淘汰されている現実を強調した。
セ・リーグ理事会で、審判員を評価する「活動報告書」というものが紹介された。あるベテランの球団代表者は「へえ、こんなのあったんだ。知らなかったよ」と感想をもらした。選手と違い、契約更改や金額が記事になる訳でもない。なかなか審判員の苦労や努力は理解されない。
しかし、厳しい環境で努力しているから誤審が許される訳ではない。そして、もっとも大切な問題は、環境や努力が十分かというところにある。審判が一方的に「努力している」と主張しても、選手との信頼関係にはつながらない。監督や選手は、審判をどのように見ているのだろうか。