わたしはかもめ2007年鴎の便り(1月)

便

1月5日

渡辺俊“ドリームボール”封印解く[スポニチ]

ロッテの渡辺俊介投手(30)が5日、千葉県君津市の新日鉄君津球場で始動し、01年以来6年間温めていた“ドリームボール”の封印を解いた。左打者対策として開発したチェンジアップは時速80キロの超遅球。アンダースローのチェンジアップは異例中の異例で、打者にとっては脅威だ。伝説の野球漫画「野球狂の詩」で水原勇気が駆使したドリームボールばりの魔球で、渡辺俊がよみがえる。

寒風吹きすさぶグラウンドで、渡辺俊がボールを握り替えた。親指と人指し指でつくった「OK」の形で包み込み、右腕をしならせる。「ずっと試してきたもの。モノにできれば使います」。シンカー、スライダー、カーブに加える4種類目の変化球はチェンジアップだった。

プロ1年目の01年。5月19日の近鉄戦で研究中のチェンジアップを投じたが、中村(現オリックス)に満塁本塁打を被弾。以来、封印を余儀なくされた。15勝を挙げた05年は日本一、初のアジア王者に輝いたが、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)からスタートした昨季は5勝どまり。小宮山から教えを仰ぎ、封印を解く決意を固めた。

左打者対策の一環だ。昨季は対右打者の被打率.214に対し、左打者に.290。90キロ前後のスローカーブも有効だったが「(左打者の内角に)入ってこないボールが欲しかった」という。球速は「遅くしておけば速くできる。打者が嫌なのは僕の強いボールではない」と超遅球を予告。さらに、アンダースローのチェンジアップは相手打者にとって未知の軌道となり、水原勇気のドリームボールのようなウイニングショットとなる可能性を秘める。

9日には自主トレのため鹿児島入りし、翌10日にはブルペンで魔球の感触を確かめる。「今までにないものが欲しい。優勝するためにやれることをやります」と決意。「より遅く」を意識しながらも、サブマリンは高みへと駆け上がる。

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ロッテ渡辺俊が古巣から07年始動[ニッカン]

ロッテ渡辺俊介投手(30)が5日、千葉県君津市の古巣・新日鉄君津(現かずさマジック)グラウンドで始動した。ランニングやキャッチボールなどで汗を流した。報道陣から今季目標とする数字(成績)を質問されると「昨年は間違って口走ったので、今年は言いません。テーマも、思っている部分はあるけど適当な言葉が見当たらないので…」。V奪回へ向け、黙して語らずの姿勢を見せた。

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渡辺俊が古巣で始動[報知]

ロッテの渡辺俊が5日、社会人時代の古巣、千葉県君津市のかずさマジック(旧新日鉄君津)の球場で始動し「今年はプロ人生を左右する年。優勝奪回のためにやれることをやる」と話した。この日はランニングやキャッチボールで汗を流した。チェンジアップ習得に本格的に取り組むという。「2、3年ずっと取り組んでいる。今までと違う球種が欲しい」と、キャッチボールで何度も感触を確かめていた。

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ロッテ、ワトソンと契約更新[報知]

ロッテは5日、ワトソンと年俸40万ドル(約4760万円)プラス出来高払いの1年契約で合意したと発表した。またフランコ、パスクチ、バーンの3選手と今季の契約を結ばないことを通告したことも発表した。

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ロッテがワトソンと再契約…バーン、フランコらは解雇[サンスポ]

ロッテは5日、マット・ワトソン外野手(28)と年俸40万ドル(約4720万円)プラス出来高の1年契約で合意したと発表した。ワトソンは昨季5月に入団し、64試合出場で打率.274、5本塁打、20打点。またケビン・バーン投手(33)、マット・フランコ内野手(37)、バレンチノ・パスクチ外野手(28)の3選手に今季の契約を結ばないことを通告したことも発表した。

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根来コミッショナーが協約改訂に意欲[ニッカン]

今月限りで3年の任期を満了する根来泰周コミッショナー(74)が5日、野球協約の改訂に向けて強い意欲を示した。年末年始は例年同様に「過去からの協約、機構の定款、アグリーメントなどを隅々まで読んだ。難しい問題が多いが、この組織も透明性を求めていかなければいけない。できる限りのことをやっておかないと」と話した。24日のオーナー会議で改訂の現状報告されるが、完成には至らない。そのため根来コミッショナーは退任後も、協約改訂にはかかわっていく考えを示している。また、後任コミッショナーについては「実行委員会が選ぶべきで、私は口を出さない。意見を聞かれたこともない」と話していた。

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「父子の絆」(5)

◇ゴミ回収中もダッシュで下半身強化

04年、大嶺祐太(18)が八重山商工に入学してきた。もっとも全日制の入試に失敗、定時制での入学だった。これを「偶然と見るか、必然と見るか」と問われ、伊志嶺吉盛(53)は「さて、どちらだったのでしょう」と笑う。夕刻から授業が行われる定時制ならば、昼間は空いている。それならば、と伊志嶺はゴミ回収車に「息子」を乗せることにする。

ちなみに石垣市が作った「ごみ収集地区割り図」を取り寄せてみる。伊志嶺親子の担当地区は2ヶ所ある。1つは八重山商工から石垣空港へと結ぶバイパス。空港通りの2辺に囲まれた石垣市東部地域で「市の4分の1にあたる」(石垣市役所)1周6〜7キロ。伊志嶺に言わせれば「1地区、時間にして回収に4、5時間かかる」広さである。もう1つは、市の北方、沖縄県最高峰・於茂登岳(526メートル)の西側で海岸沿いを「く」の字に延びる地域。「リゾートホテル、新興住宅が多く、ゴミ出しが近年増えてきている」(石垣市役所)場所でもある。市街地で平坦な東部地区に比べ、西部は道が海岸線に沿って曲折し、アップダウンも激しい。この2ヶ所を日にち別に回る作業である。

ゴミ回収車の運転は伊志嶺、大嶺は回収口のある後方に、もう1人の従事者と共に取り付く。朝5時半からの約6キロのランニングを終え、午前8時半には回収の仕事が待っている。ゴミ指定場所が近づくと、制限速度50キロの道を走っている回収車は速度を落とす。ダッシュした大嶺がゴミ袋をつまみ上げし、口を開けた回収口に投げ込む。そして再び車に取り付く。これを午後1時近くまで繰り返す。

「ゴミを集めたと思ったら、車を走らせる。いつも車ばかりを追いかけていました」と大嶺は振り返る。伊志嶺は計算ずくだった。「祐太が近づいてきたらエンジンを吹かす。アクセルを踏む。それが野球のためになる」と信じ込んだ。

もっとも笑えない話もある。「ゴミ回収とはいえ、運転中も野球のことばかり考えていた。だから、バックミラーで祐太の動きを確認もせず車を走らせ、本人を積み残したことが何回もあったよ」。取り残された大嶺はいい迷惑ではあったが、それが下半身強化につながったのは事実だろう。

仕事が終わると、午後2時から4時まで八重山商工グラウンドで「親子」だけの練習が始まる。ケージを使って打撃練習、キャチボール、100球ほどのボールを持ち出し、ネットに向かって投げる。そして定時制の授業が待っている。小中学野球で一緒だった全日制のチームメートと練習ができるのは週末だけだった。

アルバイト料は1日2000円。これを直接本人に手渡す訳ではない。伊志嶺は月2回、金額がまとまったところで祖父・武弘(68)に預けた。「そのまま現金で渡したら、何に使うか分からないからね。島ということで遠征費用もかさむし、その一部にでもしてもらいたかったんです」。武弘も「あの子は無駄遣いはしませんでしたね。アンダーシャツやら、何か野球に関係するものを買う時だけお金をもらいに来ました。遊びには使いませんでした」と言う。

ここまでは思惑通り、順調だった。ただし、それは「息子の反乱」までの、ほんのひとときの静寂でしかなかった。(敬称略)

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