ロッテは今季7度目の完封勝ちで貯金を6に増やし、連敗を3でストップした。ロッテは1回、福浦のタイムリーで先制すると、6回と8回にも福浦がタイムリーで2点を追加。先発・小林宏は9回を被安打5、奪三振8、四死球0、無失点で今季2度目、自身4度目の完封勝ち、05年8月26日以来となる自身2度目の無四球完封勝利で今季11勝目。楽天は今季7度目の完封負け。先発・ドミンゴは7回1/3を被安打7、奪三振9、3失点で今季2敗目を喫した。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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千葉ロッテ | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 3 |
東北楽天 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
「里崎さんのリードがよかった。助けてもらった」という言葉通り、ロッテ・小林宏の完封勝利は、捕手・里崎との二人三脚で挙げたものだ。
というのは、この日の小林宏、調子が良かった訳ではない。立ち上がりから直球がシュート回転した。だがフォーク、チェンジアップ、シュートなど多彩な球を、制球よく投げられる。だから里崎はそれら変化球をうまく織り交ぜ、要求。そしてそれを要求通りに投げ込むと、直球の調子の悪さなどなんのその。相手打者のバットが面白いように空を切った。
唯一のピンチは5回。2死無走者から草野の内野安打を二塁手が悪送球し、草野は二塁へ。鉄平に左前打を打たれ一、三塁となったときのことだ。小林宏は集中力を切らさない。
「失策から点を取られると、チームに元気がなくなる。抑える」と心に決め、続く藤井を一直に抑えて切り抜けた。チームの士気も上がったし、小林宏自身も自信を深め、2試合連続完封につながった。
これでチームトップの11勝。最多勝争いの一角に食い込める可能性もでてきたが、本人は「勝ち星よりも防御率の方が気になる」と淡々としたもの。調子が悪くても完封し、その結果に少しもおごらない。エースの風格が備わってきたようだ。
蒸し暑さも吹き飛ぶ笑顔だった。9回、最後の打者・礒部を二ゴロに打ち取ると、グラブを叩いて喜んだ。駆け寄る里崎と抱き合った。何よりチームの連敗を3で止めたことが嬉しかった。「自分で止めたい気持ちは強かった。1点でも与えると勢いが出るので、ゼロで抑えたかった」。2試合連続の完封で11勝目、お立ち台で気持ちよさそうに汗をぬぐった。
無四球、5安打8奪三振の快投だった。序盤は直球の制球が今一つだったが、チェンジアップをうまく織り交ぜていった。「最初から完投したいと思っていた。回を追うごとに良くなり、うまく修正できた」。走者を背負っても最後まで集中力を切らさず、不調の中継ぎ陣を休ませることもできた。
この白星で8月は、03年から13連勝。「結果がいいだけです」と照れた。しかし、例年調子の良くない7月に走り込むことが、「8月に生きているのかも」とも分析する。世間は帰省ラッシュの時期。だが右腕にとって“夏休み”は全く無縁だ。
バレンタイン監督は「自信を持って投げている」と拍手を送った。最多勝争いも見えてくるが「防御率が重要。成瀬が(リーグ)1位なんで負けられません」ときっぱり。後輩の存在を刺激にして、背番号41はゼロを並べ続ける。
蒸し暑い、仙台の夜。小林宏は長い右腕をしならせ、心地いい風をチームに吹き込んだ。
「回を追うごとに、よくなった。これまで完封は、年1回ぐらいだったんですけどね」。前回登板した3日の日本ハム戦に続く完封勝利に、満面の笑み。角度のある直球とチェンジアップを効果的に使い、被安打5の無四球ピッチングで11勝目(3敗)を挙げた。2試合連続の完封勝利は球団としては92年の園川(現二軍投手コーチ)以来。チームの連敗も「3」で止め「中継ぎ陣を休ませるため、完投するつもりだった」と喜んだ。
まさに夏男。03年8月25日の近鉄戦以来、これで、8月の登板は自身13連勝。楽天の田中が駒大苫小牧高時代から8月に敗戦投手になっていないことが話題だが、小林宏も勝るとも劣らない。暑い夏場に備え、7月から走り込みを強化したことで体調は万全。「体重も落ちていないし、食欲もありますよ」と自信をみなぎらせた。
日本ハム、ソフトバンクの上位2球団も勝っただけに、ゲーム差は変わらない。それでも負けない夏男の存在が、上位2球団には脅威なはずだ。
ロッテ・小林宏が3日の日本ハム戦に次いで2試合連続の完封勝利。今年、巨人・高橋尚と横浜・三浦がマークしているが、ロッテでは92年の園川以来15年ぶり。パ・リーグ記録は3試合連続で過去6人(7度)が記録しているが、ロッテの投手は前身時代を含めてもいない。次戦で球団史上初&リーグタイ記録の3連続完封を狙う。また8月の成績は、03年8月25日(近鉄戦)からこの日で13連勝。
福浦がチームの全得点をたたき出した。1回1死三塁でドミンゴの速球をとらえて中前に先制打。6回は右前打で追加点を挙げ、8回には2番手・吉田からこの日3本目の適時打を放った。それでも、今季は不振に苦しんでいるとあって浮かれた表情は見せない。試合後は「調子が良くなかったので、何とかチームに迷惑を掛けずにやっていきたい」と控えめに話した。
異例の真夏日が続く杜の都で“夏男”はさわやかに笑った。小林宏が5安打の完封でチームトップの11勝目。8月は03年以来13連勝の無敵月間だ。「サト(里崎)さんのリードが凄く良かった。初回から気持ちは変えずに1回、1回丁寧に投げようと心掛けた」。3日の日本ハム戦(千葉マリン)から2試合連続完封勝利は、92年園川以来の球団タイ記録。名誉のヒーローインタビューでは、先輩・里崎を立てた。
登板直前のブルペンでは「真っ直ぐが走らないし最悪だった」(里崎)という。しかし、チェンジアップに活路を見いだし、序盤は完璧にピシャリ。1点リードの5回に2安打と失策で2死一、三塁のピンチを迎えたが、後続を断って楽天打線の希望の灯を消した。
昨オフから筋力アップ、体重増加に着手した。今年7月に夏を乗りきるスタミナ対策で走り込んだが、体重を落とさないよう、佳世夫人の協力を得て食事に気を配った。努力の成果は、05年の自己最多12勝にあと1と迫る勝ち星に表れている。
ライバルは21歳で防御率、勝率でリーグトップを快走中の成瀬だ。「あいつに負けたくない。勝ち星より防御率を気にしています」。チームの連敗も3で止まり、バレンタイン監督は「小林宏は自分がいい投手だという自覚を持ち、自信を持って投げている」と絶賛。3位に甘んじるチームにも希望の灯がともった。
ロッテ小林宏が8月登板13連勝で、チームの連敗を3で止めた。観客もうちわが手放せない熱帯夜の中、103球の省エネ無四球完封で今季11勝目を挙げた。「ブルペンでは全然良くなかったけど、回を追うごとに良くなった」と、試合後は涼しい笑顔も見せた。
前夜の劇的勝利で勢いに乗る楽天打線を、わずか5安打で零封した。「1点でも与えると勢いに乗るし、どうしてもゼロに抑えたかった」。現在パ・リーグでホットな打者の1人、警戒していた山崎武も冷静な攻めで打ち取り、狙い通りの内容に納得の表情だった。
得意の8月に入り、自身プロ入り初の2戦連続完封をマークした。初の月間MVP受賞(04年)、初完封(05年)も同じ8月。高校時代は甲子園と縁のなかった“夏男”は「自分でも何でいいのか分からないんですよ」。報道陣から要因を聞かれても、苦笑を浮かべて首を傾けるばかりだ。
「2試合嫌な感じ(サヨナラ)で負けていたので、どうしても自分で止めたかった」と、チームの重い雰囲気を吹き飛ばした結果を唯一熱く話した。03年(8月25日近鉄戦)から負けを知らない8月で、勢いよく回る小林宏の右腕がさらに加速し始めた。
年 | 日 | 相手 | 勝敗 | 回 | 球 | 安 | 四 | 死 | 振 | 責 |
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03年 | 25 | 近鉄 | ○ | 8 | 108 | 4 | 2 | 0 | 5 | 3 |
31 | ダイエー | ○ | 8 | 99 | 4 | 2 | 0 | 5 | 2 | |
04年 | 4 | ダイエー | 6 1/3 | 125 | 6 | 4 | 0 | 8 | 4 | |
11 | 近鉄 | ○ | 9 | 130 | 4 | 2 | 0 | 8 | 2 | |
18 | 西武 | ○ | 7 | 113 | 5 | 4 | 0 | 6 | 1 | |
27 | 近鉄 | ○ | 7 | 126 | 7 | 4 | 0 | 4 | 1 | |
05年 | 2 | 楽天 | ○ | 9 | 132 | 6 | 2 | 0 | 12 | 1 |
9 | 日本ハム | 7 | 87 | 4 | 1 | 0 | 5 | 2 | ||
17 | 西武 | ○ | 8 0/3 | 128 | 4 | 0 | 1 | 4 | 1 | |
26 | オリックス | ○ | 9 | 114 | 7 | 0 | 0 | 6 | 0 | |
06年 | 2 | 西武 | ○ | 7 2/3 | 116 | 8 | 1 | 0 | 5 | 1 |
9 | 楽天 | ○ | 5 | 87 | 11 | 0 | 0 | 4 | 4 | |
18 | 日本ハム | ○ | 7 2/3 | 104 | 5 | 1 | 0 | 6 | 1 | |
25 | 楽天 | 9 | 126 | 6 | 3 | 1 | 10 | 1 | ||
07年 | 3 | 日本ハム | ○ | 9 | 121 | 4 | 3 | 0 | 11 | 0 |
11 | 楽天 | ○ | 9 | 103 | 5 | 0 | 0 | 8 | 0 |
福浦が先制・中押し・ダメ押しと、チーム全得点をたたき出す3本の適時打を放った。1回、6回、8回と小林宏を援護する活躍にも「今までチームに迷惑を掛けていたので、何とかしたかった。得点に絡めて良かったです」。今季、福浦が初回に打点を記録して試合の成績は12戦10勝になり、本人も勝利へ貢献できたことを素直に喜んでいた。
真夏の蒸し暑さが、夏男にはちょうどいいのかもしれない。ロッテ・小林宏が11日、3日の日本ハム戦に続いて、自身初の2試合連続完封勝利。5安打、無四球、103球で楽天を料理した。「どうしても負けを止めたかったから、勝てて嬉しい」。ヒーローは、涼しい顔で言い切った。
ブルペンから調子は今一つだったというが、マウンドに上がると一変した。チェンジアップを有効に使い、3回まで完全投球。唯一のピンチは5回2死一、三塁。藤井を一直に切り抜けると、それ以降は危なげない投球だった。
これで8月は03年から13連勝。「何でいいのかよく分からないけど、ちゃんと食べるようにはしてますけどね」と笑った。チームの連敗を3で止め、2試合連続サヨナラ負けの悪夢も払拭した右腕に、バレンタイン監督は「素晴らしいできだった」と手放しで褒めていた。
ロッテ西岡が2戦連続のマルチ安打で、チームの連敗ストップへ貢献した。6回の走塁では楽天ドミンゴと本塁で、7回の守備でも二塁ベース上で山崎武と激突するなど大当たり?だった。「体は大丈夫。チームが勝てたので良かったです」と、笑顔で球場を後にした。
ロッテ福浦が初回の先制適時打に続き、1−0の6回にも右前適時打を放ち、リードを広げた。福浦は、2戦連続サヨナラ負けしている嫌な雰囲気を払拭する打撃に「昨日は終盤に悪い流れとなって負けてしまっているので、さらに気を引き締めてプレーを続け、連敗を止めたい」と手綱を締めた。
ソフトバンクのリッキー・ガトームソン投手(30)によるドーピング違反が発覚した問題で11日、球団側は週明けの13日にもNPBに対して文書による異議申し立てを行う考えを明かした。ガトームソンに20日間の出場停止が科されたが、本人より球団の責任が大きいと判断し、処分軽減を求める。
また、ソフトバンクは球団内に再発防止委員会の設置も検討。前所属のヤクルトが前日(10日)、禁止薬物を含む発毛剤の使用禁止を本人に指導していたと発表したが、木村寛広報室長は「ガトームソンを再聴取?ないとは言えない。ヤクルトさんに聞かないといけないかも」と、再調査する可能性を示した。一方、ガトームソンが発毛剤使用を報告したトレーナー(7月末に退団)とは、現時点でも連絡がつかない状態という。
ある少年との出会いが西岡剛内野手(23)を目覚めさせた。開幕して間もない頃のこと。京セラドームでのオリックス戦に1番遊撃で出場。しかし、4打数無安打に終わり、打率は1割8分8厘と低迷していた。
「野球のことで、めちゃくちゃ落ち込んでいた時期。そんな時に、たまたま、あるテレビ番組を見て、ハッとさせられた」。
思い通りのプレーが出来ないことにフラストレーションはピークに達していた。そんなもんもんとした思いの中、なにげなくホテルの自室で見たテレビ番組。それは、宮城県に住むある10歳の少年に関する特集番組だった。彼は200万人に1人の発症率といわれる難病の進行性骨化性線維異形成症(FOP)と闘っていた。筋肉や細胞が骨になってしまう難病で、現状では明確な治療法は見つかっていない。しかし、少年は病気としっかりと向かい合い、日々を前向きに生きていた。画面を通して見た10歳の少年の懸命に生きる姿に、自然と涙がこみ上げてきた。そして、不甲斐ない自分を悔いた。
「本当に自然と泣きそうになった。彼に比べてオレってなんて小さいのだと。野球で打てないぐらいでクヨクヨしている。世の中には難病と向き合いながら、しっかりと生きている人もいるのに、好きな野球を職業としながら、悩んでいる自分が馬鹿馬鹿しく思えた」。
偶然に見たテレビ番組を機に、西岡は悩むのをやめた。そして、不思議と打率も少しずつ上昇し始めた。今ではプロ入り以来、最高の状態にある。
西岡は7月14日のソフトバンク戦(千葉)に少年とその家族合わせて4人を球場に招待している。旅費や宿泊費は、西岡が負担した。それはキッカケを与えてくれた少年への感謝の気持ちによるものだった。
「今日はありがとうと言いたかった。勇気を与える仕事をしているはずのオレが反対に勇気をもらった。そして、それを機に調子もよくなった。それを伝えたかった。ありがとうって感謝をしたかった」。
残念ながら試合は雨天中止となったが一塁側ベンチにて、しばし談笑。少年の要望からキャッチボールを楽しんだ。2人だけの会話。2人だけの時間が流れた。
「何かの縁でこうやって会えたのだから、これで終わりにしたくない。ずっと付き合っていこうな」。そう約束して別れた。それから数日後。少年が西岡と出会った夜、プレゼントされたバットを大切そうに抱きながら眠りについたとの手紙をちょうだいした。それを伝え聞いた西岡は嬉しそうに笑った。少年と西岡の交流はこれからも続く。少年は難病と闘いながらも一生懸命に生きていく。西岡も負けてはいられない。