左腕エース成瀬が、球団とバレンタイン監督の泥沼騒動を封印して勝利を目指す。6日のソフトバンク戦に先発。「気にしないといったらウソになるけど、ゲーム優先で自分の投球をするだけです」と話した。4日にブルペンで55球を投げて最終調整。「いい感じでした。今回は120球くらい投げたい」と7勝目を目指す。
1.5ゲーム差に迫る3位・ソフトバンクとの2連戦(ヤフードーム)に向けてロッテは福岡入り。6日の成瀬と7日の小林宏の両先発は同球場で汗を流した。連勝すれば順位が入れ替わり、5月3日以来の勝率5割復帰となるだけに気合十分。成瀬が「とにかくチームの勝ちに貢献したい」と言えば、小林宏は「しっかりゲームをつくる」。昨季は2人で貯金25をつくった復調気配の両輪で一気に浮上する。
ロッテ・瀬戸山球団社長は、バレンタイン監督が要求している直接会談をシーズン終了まで“封印”する姿勢をあらためて示した。「今は上位を争っている重要な時期。選手に余計な気遣いはさせられない。監督にもシーズンに集中してもらいたい」。来季続投は明言済みとあり、指揮官が望む10年以降の契約は適当な時期がきてから話すという正論を展開した。辞職勧告を受けたとする指揮官が「社長は(自分の)去就問題以上に重要なことがあり、それをやっているのでしょう」とコメントをしていることにも「私がまた何か言ったら、水掛け論になるだけ」と大人の対応で受け流した。
去就問題が浮上しているロッテのボビー・バレンタイン監督(58)が5日、弱気発言を連発した。2日の「辞職勧告」暴露以降、退団も辞さない強硬な姿勢を見せてきたが、この日は「球団が言っていないと言っているし、辞職勧告はこちらの聞き間違いだったんだろう」と、一転してトーンダウンした。
これまで、4年契約が切れる2010年以降の契約再延長を求める言動を繰り返してきた。「半永久政権」という重光オーナー代行との口約束も盾にしてきた。しかし、ここへ来て突然の方針転換。「(3年契約の2年目オフに契約延長した)05年もそうだったが、私から契約の話をしたことはない。1年残して契約の話をするのが球団のやり方なんだろう」とまで言い出す始末だ。
発端となったのは、7月19日の瀬戸山球団社長ら球団フロントとの会談。「全く契約の話はしていない」とボビーは強調した。関係者の話を総合すると、会談の中でボビーが監督の座に興味を持つWBCの話題になり、球団側が「現役監督のWBC指揮官就任は難しい」という見解を示した。これが誤解を招いたと見られる。
雪解けのために熱望するトップ会談は、当分実現しそうもない。社長からはクライマックスシリーズ進出をかけた重要な時期であることを理由に却下された。信頼する重光オーナー代行も海外に滞在中で、帰国は10月以降の予定。「私の立場で、社長を挟まずにオーナーと直接話をすることはできない」今回の指揮官の発言が即解決につながるとは考えにくく、球団の反応が注目される。