ロッテが今季初勝利。3点を追うロッテは2回、竹原のタイムリーで1点を返すと3回以降井口、西岡らのタイムリー、8回に今江の1号3ランで突き放した。2人目の小宮山が今季初勝利。昨年から4連勝、西武戦の勝利は99年4月22日以来10年ぶり。43歳以上の勝利は浜崎(阪急)、工藤、山本昌に次いで史上4人目で、43歳6ヶ月は自身の記録を更新し球団新記録。西武は1回に石井義、G.G.佐藤のタイムリーで3点を先制するがリードを守れず。先発・帆足は昨年9月5日Bs戦以来の6失点で1敗目。自身のロッテ戦の連勝が3でストップ。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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埼玉西武 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 5 |
千葉ロッテ | 0 | 1 | 1 | 0 | 4 | 1 | 0 | 3 | x | 10 |
井口の加入効果が西岡に表れた。5回1死一、三塁からの逆転二塁打の場面だ。3連打で攻勢に転じているにもかかわらず、打席に向かう西岡は井口に漏らしたという。「打てんかったら、カバーしてください」。オープン戦から本調子でない。さらに昨季11打数2安打に終わった帆足が相手だ。だが、そんな弱音は共感されることもなく、強い口調でしかられた。「どうでもいいから思い切り振れ」。
それがファウルにこそなったが初球の強振に表れ、低めの球に食らいついての2点二塁打に結びついた。さらに続く井口の打席では三盗を決め、井口の、2日間で3本目となる適時打も呼び込んだ。「何かの時、井口さんは頼れるし、安心感がある。僕だけでなくチーム全体にプラス」。試合後は前向きな発言に変わっていた。
初回から3点を先制された敗色を、5連打でかき消した効果を「一発でなく、つないで取れたのは大きい。西武には嫌なイニングだったんじゃないですか」と井口。「チームが井口中心にまとまりそうな予感がする」。開幕戦前に、相手の渡辺監督は警戒を強めていたが、その予感は強まったに違いない。
タイムがかかると、ロッテ西岡剛内野手(24)はネクストサークルの井口資仁内野手(34)に歩み寄った。自分の調子がつかめず弱気になっていた。1点を追う5回1死一、三塁。チャンスにもかかわらず「打てなかったらカバーしてください」と思わず口にしていた。「そんなこと言わずに思い切り振ってこい」。シンプルな井口の言葉に、ハッと我に返った西岡は初球から振っていった。西武帆足の3球目、沈む難しい球をとらえると左中間への逆転2点適時二塁打となった。
ともに2打点ずつを挙げ、2人が中心となって試合をひっくり返した。井口のIと剛のTで、西岡自ら「IT革命を起こす」と名付けたコンビが機能した。開幕前、こうならなければいけないことを意識しながら西岡は井口に提案していた。「IT革命のTシャツをつくりましょう。僕が7割方デザインしますんで」。井口も「任せるよ」と同調し、結束はさらに固まっていた。
今季、何度となくロッテを勝利に導くであろうITの力での初勝利。「いいアドバイスがあったり、今日のヒーローは井口さん。2人でお立ち台に立ちたかったんですが、照れて来なかったので、次は一緒に上がりたい」と西岡が言えば、井口も「今日はコツコツ打っただけ。もっと爆発した時に上がりますよ」と頼もしく言い切った。2人が並んでお立ち台に上がるまで、そんなに時間は必要ないかもしれない。
小宮山が歴代3位の年長記録となる43歳6ヶ月で勝利投手となった。5回、リードを2点に広げられ、なおも三塁に走者を置いたピンチで登板すると、中村を三ゴロに抑えて無失点で切り抜けた。「平常心でした。若い子だと心臓が口から飛び出しそうな感覚とかもあるんでしょうけど、そういうのもなかったしね」と振り返った。ただ最年長記録が浜崎(阪急)の48歳4ヶ月だと聞かされると「頑張りますって言いたいけど無理。頑張りません」と言って笑わせた。
千葉ロッテが集中打で逆転勝ち。2点を追う5回、西岡の逆転2点二塁打など5連打で4点を奪い、8回には大松、サブローが安打で続き今江が左中間へ1号3ランを放った。先発小林宏は5四球と制球を乱し、5回途中4失点で降板した。西武は1回に3点を先制したが、先発帆足が踏ん張れなかった。
千葉ロッテ・井口が、つなぎのバッティングで2試合連続の適時打。3回2死二塁、じっくり球を見極めてカウント2−3都市「つなぎの気持ちで打った」と球足の速い打球で三遊間を破り、5回の第3打席でも左前適時打。「剛(西岡)が三盗してくれたので楽な気持ちで打つことができた。前の打者たちがつないでくれたので自分も続きたかった」と新4番が勝負強さを発揮した。試合後のお立ち台に呼ばれたが西岡に譲った。「逆転打を打ったのは剛ですから」と謙虚に話した。
千葉ロッテ・小宮山が43歳6ヶ月で勝利投手となり、工藤(横浜)に次ぎ球界3番目の高年齢勝ち星を記録した。5回1死三塁の場面に2番手でマウンドへ。緩い球で三塁ゴロを打たせ、ホームで三走をタッチアウト。「大事な仕事ができた」と悪い流れを断ち直後の逆転劇を導いた。
最年長勝利記録は浜崎真二(阪急)の48歳4ヶ月。18年目のベテランは記者に記録更新を問われると「頑張れません。無理」と笑わせた。
ロッテの今季初勝利の立役者は、新3、4番コンビだった。2点を追う5回、3連打で1点差に迫りなおも1死一、三塁から、まずは西岡が逆転の左中間適時二塁打。さらに西岡の三盗で1死三塁から、井口も左前適時打で続いた。王者・西武を圧倒する5連打。一気に試合をひっくり返した。
西岡の逆転打をアシストしたのは井口だった。打席に入る前、西岡が声をかけた。「打てなかったらお願いしますね」井口は「いいから、思い切って振ってこい」と笑顔で送り出した。
西岡は開幕戦で走者を置いて2度凡退。調子をつかめず弱気になっていた。心理状態を見抜いた兄貴分は、言葉でそっと背中を押した。お立ち台に立った西岡は「僕はいいとこ取りしただけ。井口さんと2人で立ちたかった」と感謝した。
3回にも適時打を放ち、2安打2打点と存在感を見せた井口は「僕はコツコツやっただけ。(お立ち台は)もっと爆発したときにね」と笑った。キャンプ中にお互いの頭文字を取って、「IT革命を起こしたい」と宣言した2人。つなぎの野球を象徴する3、4番が、チームを引っ張っていく。
バットと声で井口がロッテ移籍後初勝利を呼び込んだ。1点差に詰め寄った5回1死一、三塁。「僕が打てなかったらカバーしてください」と耳打ちしてきた3番・西岡に「どうでもいいから思い切っていってこい!」。猛ゲキに応えた西岡が左中間に逆転2点二塁打を放って昨季3戦3敗の天敵・帆足をKOすると、自身も左前打で続いて5連打4得点のビッグイニングを仕上げた。
「チャンスでうまく打てました。4番は意識せず、つなごうといつも思っている。僕はコツコツやっただけで逆転打はツヨシ(西岡)。お立ち台はもう少し爆発したらツヨシと2人で立ちたい」。3回にも2試合連続適時打となる左前打を放ち2安打2打点。4番の仕事を果たし、堅守でももり立てた。それでも満足はしていない。西岡と球団関係者から促されたお立ち台は“辞退”した。
プレーで、背中で引っ張るニューリーダー。井口効果は随所に表れている。石垣島キャンプで連日アーリーワークをともにした一番弟子・竹原が2回に反撃の口火を切る左前適時打。つなぐ4番に触発されたようにつながった新マリンガン打線は、14安打に足も絡めて10点を叩き出した。
二遊間と3、4番で機能する「ITコンビ」。球団では3〜5月の球団ポスターに2人を交互に起用するなど売り出し作戦を展開している。“IT革命”を宣言している西岡は言った。「きょうのヒーローは井口さん。いいアドバイスもしてくれましたし。僕のお立ち台はただのいいとこ取りだと思うし、本当は井口さんと一緒に立ちたかった」。互いに謙虚な姿勢を忘れない名コンビ。そろってお立ち台に上がる日は、すぐにやってくる。
43歳6ヶ月の小宮山が、自身の持つ球団最年長勝利記録を塗り替えた。2点リードされた5回1死三塁の場面で登板してピンチを切り抜けると、その裏に味方が逆転。1回1/3を無失点に抑え「だてに長くやっていない。緊張することもなく、大事なところでいい仕事ができた」と振り返った。球界では史上3番目の年長勝利。阪急・浜崎が持つ48歳4ヶ月のプロ野球記録更新については「頑張りたいと言いたいところだけど頑張れません」と笑顔でかわした。
開幕2戦目の始球式を有藤通世氏(スポニチ本紙評論家)が務めた。球団名がロッテとなった69年は新人だった有藤氏は「球団40周年の開幕カードでの始球式は特別な思いがある。今は観客が多いし球団のこれまでの努力を感じる」と感慨深げ。4年ぶりV奪回を目指すチームには「井口も入って去年より投打とも力は上。球宴まで勝率5割でいければ面白い展開になる」と期待していた。
チームの窮地を大ベテランの小宮山が救った。ロッテが2点を追う5回1死三塁のピンチでマウンドにあがり、そこから1回1/3を2安打無失点。43歳6ヶ月での勝ち投手となった。
「だてに長くやっていない。若い投手なら口から心臓が飛び出るくらい緊張するけど、ここのところ、そういう緊張はないなぁ」。前夜の清水に続き、この日の小林宏と2日連続の先発KO劇。開幕から悪い流れになりかねない状況で、小宮山が踏ん張った。
プロ野球の最年長勝利は、浜崎の48歳4ヶ月。記録更新を報道陣に尋ねられると「頑張りますと言いたいところだけど、頑張れません。宣言する。無理!!」とニヤリ。あと5年は無理でも?今年は頼れる存在となりそうだ。
社会貢献活動に力を入れるロッテの井口は試合前、千葉市に車椅子(7万円相当)を10台贈呈。米大リーグ時代も同様の活動を続けていたが、シーズン中もソフトバンク・川崎、杉内らと養護施設などを訪問する予定。「千葉県はもちろん、地方も含めて積極的にやっていきたい」。開幕から大活躍の井口だが、球場の外でもファンに夢を与える。
9月に44歳になるロッテ小宮山悟投手(43)が今季初勝利を挙げた。5回1死三塁での救援にも「平常心を保つことが大事」。緩急を駆使して2者を内野ゴロに仕留めた。相手に、一気に傾きかねなかった流れを食い止めると、直後に味方が逆転。「だてに長くやっていない。緊張することはない。もう少し緊張した方がいいのかな」と終始、貫禄を漂わせた。
ロッテ今江敏晃内野手(25)が、ダメ押し3ランを放った。2点差に追い上げられた8回1死一、二塁の場面で、低めの球をすくい上げて左中間スタンドに運んだ。この日は養護施設の児童を球場に招待していただけに「打てて良かった。ホームランの人形も渡せたしね」と喜んだ。5回には逆転につなげる5連打の口火を切り、6回にも絶妙なプッシュバントで追加点につなげるなど活躍が光った。「施設の子を呼んでると、なぜか打てるんですよね」と、見えない力を実感していた。
井口は二走・西岡のスタートを見た瞬間に三盗の成功を確信した。ロッテが5回に逆転し、なお1死二塁でカウント0−3。打てのサインで来た好球だったが、あえて見送った。「外野フライでも1点の場面になり、1−3でバッティングカウントにもなる」。この打席で適時打を放つのだが、勝負強さと共にクレバーさが際立っていた。
連日の2打点。しかし、井口加入によるプラスは、個人成績だけにとどまらない。逆転打を放った西岡は「井口さんに思い切っていけ、と言われた。僕が凡打でも、カバーしてくれる安心感がある」。早川が今江の二盗を助けるために悪球を空振りする場面も。井口が身上とするチームプレーは、確実に浸透している。
随所に井口効果が見えた今季初勝利。西岡の「ロッテにすごくプラスになる方。このチームに来てもらったことを感謝したい」というセリフも、大げさに聞こえなかった。