5月4日以来の登板、日本ハム先発・多田野が9回2死から大松に右前安打を許すまで無安打、自身初完投初完封でチームの連敗を5で止めた。多田野は9回119球1安打4四球8三振で全てロッテ戦の今季3勝目。9回2死から安打を打たれるのは05年5月13日巨人戦の西武・西口以来パ10人目両リーグ21人目、23度目。1回高橋・8回小谷野のタイムリー、9回高橋の6号ソロで札幌ドーム4連勝。ロッテは先発・小林宏が今季2度目の完投負け、08年3月20日から日本ハム戦8連敗、札幌ドームでプロ入り白星なし5連敗でリーグワーストタイ7敗目。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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千葉ロッテ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
北海道日本ハム | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | x | 4 |
千葉ロッテの大松が土壇場で、ノーヒットノーランの屈辱を免れる安打を放った。9回2死で「プレッシャーはあった」場面だった。前の打席までは「打てそうで狙い球がどっちつかずになっていた」と言うが、この打席は「外の緩い球に絞っていた。(カウント1−0で)内に速い球で勝負する訳ないと思っていた」。狙い通りに来た外のフォークボールを右前に運んだ。
結局、1安打に終わったが、試合後に大松を出迎えるナインには笑みも。大松は「1本打ったら雰囲気は変わる」と、次戦につながる一打と強調していた。
ロッテの新4番大松が無安打無得点を阻止した。9回2死走者なしの場面で打席に立つと、カウント1−0から真ん中低めフォークを右前へはじき返した。「最後の打席は内に速い球は来ないだろうと思って緩い球に絞っていた。我慢しました」と、狙い通りの変化球打ちで一矢報いた。
9回2死まで、日本ハム多田野の制球力とテンポの良い投球の前にアウトの山を築いた。大松は「チェンジアップが打ちやすい所に来て、どうしても手が出てしまった」と悔しがった。バレンタイン監督は「多田野が非常にいい投球で打者がことごとくバランスを崩し、ボール球を打たされてしまった。運良く大松のヒットで記録をつくられなくて良かった」と、悔しさを通り越して淡々と振り返った。
9回2死からノーヒットノーランを逃した投手 | |||||
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投手(所属) | 年月日 | 相手 | 球場 | 打者・安打 | スコア |
菊矢吉男(ライオン) | 40-03-30 | 巨人 | 後楽園 | 水原・右安 | ○2−0 |
近藤久(ライオン) | 40-06-16 | 南海 | 西宮 | 国久・中安 | ○1−0 |
梶岡忠義(阪神) | 48-07-08 | 阪急 | 西宮 | 宮崎剛・中安 | ○6−1 |
※田宮謙次郎(阪神) | 50-03-16 | 国鉄 | 倉敷 | 中村・左安 | ○7−0 |
阿部八郎(阪急) | 50-07-20 | 近鉄 | 日生 | 伊藤・中安 | ○5−0 |
※別所毅彦(巨人) | 52-06-15 | 松竹 | 大阪 | 神崎・遊安 | ○9−0 |
田沢芳夫(南海) | 57-06-24 | 阪急 | 大阪 | 滝田・右二 | ○13−0 |
梶本隆夫(阪急) | 59-06-12 | 近鉄 | 西宮 | 関森・左安 | ○7−0 |
※村田元一(国鉄) | 62-07-12 | 阪神 | 後楽園 | 西山・一安 | ○1−0 |
バッキー(阪神) | 63-05-26 | 大洋 | 甲子園 | 浜中・二安 | ●0−1 |
徳久利明(近鉄) | 63-06-16 | 阪急 | 西宮 | 岡本・右二 | ○7−0 |
小山正明(東京) | 65-07-15 | 阪急 | 東京 | ウインディ・中安 | ○1−0 |
安仁屋宗八(広島) | 66-07-31 | 巨人 | 広島 | 黒江・左安 | ○2−0 |
佐藤公博(中日) | 66-09-26 | 巨人 | 後楽園 | 柴田・左二 | ●1−3 |
上田二朗(阪神) | 73-07-01 | 巨人 | 甲子園 | 長嶋・左安 | ○4−0 |
三沢淳(中日) | 79-06-08 | 巨人 | ナゴヤ | 柳田・右安 | ○1−0 |
仁科時成(ロッテ) | 83-08-20 | 近鉄 | 川崎 | 仲根・右安 | ○1−0 |
仁科時成(ロッテ) | 84-05-29 | 近鉄 | 日生 | 平野・左安 | ○4−0 |
チェコ(広島) | 96-05-18 | 阪神 | 甲子園 | 久慈・中二 | ○2−0 |
西口文也(西武) | 02-08-26 | ロッテ | 西武ドーム | 小坂・中安 | ○6−0 |
吉見祐治(横浜) | 04-10-14 | 広島 | 広島 | 福地・左二 | ○4−0 |
西口文也(西武) | 05-05-13 | 巨人 | 西武ドーム | 清水・右本 | ○6−1 |
多田野数人(日本ハム) | 09-07-10 | ロッテ | 札幌ドーム | 大松・右安 | ○4−0 |
小林宏が8回4失点完投ながら7敗目を喫した。初回に不運な形で先制点を許すと7回に失策も絡んで2失点。8回にダメ押しソロを浴びて万事休す。味方打線の援護にも恵まれず2勝目はならなかった。試合後は無言でバスに乗り込み、悔しさをにじませた。バレンタイン監督は「7回に西岡の失策から崩れ始めた。集中力を欠いてしまったのかはよく分からない」とかばった。
ロッテ・大松が土壇場で、ノーヒットノーランの屈辱を免れる安打を放った。「プレッシャーはあったが、外の緩い球に絞っていた。(カウント1−0で)内に速い球で勝負する訳ないと思っていた」。狙い通り、外のフォークボールを右前に運んだ。結局、1安打に終わったが、試合終了直後にはナインがハイタッチで“ヒーロー”を出迎えるシーンも…。大松は「1本打ったら雰囲気は変わる」と次戦につながる一打と強調していた。
多田野の快投に、ボビーもお手上げだった。9回2死まで無安打。78年に阪急・今井に完全試合を喫して以来、球団史上2度目となるノーヒットノーランの屈辱は逃れたものの、今季6度目の完封負けだ。バレンタイン監督は「打者はバランスを崩し、ボール球を打たされた。運良く大松の安打で記録を作られないで良かった」と胸をなで下ろした。
ロッテ・大松の言葉が象徴的だった。「一見すると打てそうなボールばかりなのでつい体が自然に反応してしまう。それで打席で速い球に的を絞るのか、遅い球にするのか、どっちつかずになってしまった」。打者は本能的に“詰まる”ことを嫌がるから、どうしても速球にタイミングを合わせる。だから泳がされるような体勢で多田野の遅球を迎えに行く打者が目立った。
「緩い球、特に抜いたようなチェンジアップをうまく打たされた」と大松。待球すら許さない多田野の制球と配球が結果的にロッテの“無策”を生んだともいえる。最後の大松は打席で独自に緩い変化球に絞り、さらに「ノーヒットノーランがかかるあの場面で内角はない」と読み切り、外角低めのフォークを右前に運んだ。
バレンタイン監督下では選手任せの奔放な野球を基本原則とするロッテ。この日も試合中に首脳陣から具体的な指示はなかったという。6月26日には日本ハム・ダルビッシュの前に7回終了時まで、今月8日にも楽天・藤原の前に7回1死まで無安打だったのも、決して偶然ではない。
ロッテはリーグ戦再開後の13試合で、終盤に無安打無得点を免れる試合が早くも3度目になった。昨季までも淡泊な一面があった攻撃だが、今は拍車が掛かっている。
試合後の関係者の話を総合すると、試合中は各打者に目立った指示が出ていなかったとみられる。最後の大松も独自の判断で狙い球を絞っていた。チーム一丸で多田野を攻略する姿勢を欠いていたのだろう。選手任せで奔放に打たせることは今季記録した1イニング15得点といった爆発力を生む半面、極端な貧打に陥る危険性とも隣り合わせだ。
しかも、今季はバレンタイン監督の退団が開幕前から決まっている。異例のシーズンで、常にチームの勝利に向かう結束力、向かわせる求心力は危うい状況にある。エース級が相手なら快記録のアシストは時間の問題ではないか、と思わせる淡泊さも、そのことと無関係ではないように見える。
ロッテの大松が土壇場で、ノーヒットノーランの屈辱を免れる安打を放った。
9回2死で「プレッシャーはあった」場面だった。前の打席までは「打てそうで狙い球がどっちつかずになっていた」と言うが、この打席は「外の緩い球に絞っていた。(カウント1−0で)内に速い球で勝負する訳ないと思っていた」。狙い通りに来た外のフォークボールを右前に運んだ。
結局、1安打に終わったが、試合後に大松を出迎えるナインには笑みも。大松は「1本打ったら雰囲気は変わる」と、次戦につながる一打と強調していた。
ロッテ大松尚逸外野手(27)が、日本ハム多田野の無安打無失点を阻止した。9回2死走者なしから、真ん中低めフォークを右前へはじき返し、チーム唯一の安打を放った。「最後の打席は内に速い球は来ないだろうと思って緩い球に絞っていた。我慢しました」と、狙い通りの変化球打ちで一矢報いた。バレンタイン監督も「運良く大松のヒットで記録を作られなくて良かった」と話した。