ロッテが逃げ切り、連敗を3で止めた。1回に井口の適時打、2回に清田の2ランで先行。8回に1点差まで迫られたが薮田が反撃をしのぎ、23セーブ目を挙げた。小野は5回2失点で4勝目。楽天は11残塁の拙攻だった。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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千葉ロッテ | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 4 |
東北楽天 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 |
ロッテ伊志嶺翔大外野手(23)が、新人王を争う楽天塩見から2安打を放った。まずは1回、俊足を飛ばして三塁への内野安打で出塁。チーム10試合ぶりとなる1回の得点につなげた。5回には1死から左前打。「プロで4勝もしている投手。ルーキー同士ではなく、そう意識して、しっかりと戦った。甘い球は少なかったですから」。同期対決の雑念を消し去り、目前のボールに集中した。
塩見攻略で勢いがついたのか、7回には小山から右前打を放ち、7月30日の楽天11回戦(QVC)以来5度目となる猛打賞。打率を2割9分8厘まで押し上げた。再び3割の大台も見えてきたが「打率は意識していない。自分が意識しているのは出塁率ですから」とスタンスは一貫している。
1点差に追い上げられた直後の9回、その言葉を実証した。無死三塁という追加点のチャンス。打てば試合を決められる場面でも冷静に四球を選び、自らの役割に徹した。「打ちたい気持ちもあったが、あそこは次につなげることが大事。今日は最後の四球が嬉しかった」。新人とは思えぬ恐ろしいまでの徹底ぶり。この精神面の強さが伊志嶺を支える。日本ハム斎藤、西武牧田、楽天塩見らライバル達が足踏みをした日に強くアピール。今後も新人王レースをリードしていきそうだ。
野球における走塁技術は盗塁数だけでは測れない。9日から1番に定着しているロッテ・伊志嶺は、初回に新人離れした好走塁を披露した。
同じ新人の塩見から三塁内野安打を放ち、岡田の送りバントで二塁へ。続く井口は中堅方向にライナー性の打球を放った。アウトカウントは1つ。捕球される可能性を考えると、スタートを切るタイミングが難しい場面だが、中堅・聖沢がワンバウンドで捕球した際には本塁手前まで達していた。
伊志嶺は「少し詰まった打球で方向が中堅の正面ではなく、やや左中間寄り。守備位置も確認していたので確実に落ちると思った」と瞬時の判断を振り返った。3試合連続1得点で3連敗中だったチームの初回得点は10試合ぶり。そのままリードを守り連敗を止めた。上川内野守備走塁コーチも「少しでも判断を迷ったらホームに帰ってこられなかった」と評した。
今季5度目の猛打賞で打率.298。9回は四球を選び21個目の盗塁も決めた。新人での3割30盗塁も夢ではないが、数字に表れない部分でも非凡な才能を発揮している。
ロッテは里崎の走塁が光った。3−2の6回1死から右翼線への鋭い打球で一気に三塁を陥れると、続く福浦の浅めの中飛でタッチアップ。本塁へ滑り込み、貴重な追加点とした。
2年ぶりの三塁打と好走塁が勝利につながり、里崎は「ボチボチですよ」と笑みを浮かべた。最終的には1点差に迫られただけに、西村監督も「一生懸命、よく打ってくれて、よく走ってくれた」とたたえた。
ロッテは抑えの薮田がチームを救った。4−2の8回無死二、三塁のピンチで登板。犠飛で1点を返されたが、最少失点で切り抜けると9回も危なげなく三者凡退。最後は草野を空振り三振に仕留めて大きくガッツポーズした。
気迫の投球で連敗ストップに大きく貢献し、23セーブ目を挙げた薮田は「任されたイニングをしっかりいくだけ。1人1人、1球1球仕留めようという意識だった」と重圧の懸かる場面をしのいで汗だくだった。
ロッテの守護神・薮田安彦投手(38)が、気迫のリリーフを見せた。2点リードの8回無死二、三塁でマウンドへ。松井稼頭央内野手(35)に犠飛こそ許したが、続く内村を空振り三振に仕留め、ピンチをしのぎきった。9回、最後の打者・草野大輔内野手(34)を空振り三振に打ち取ると、マウンド上でガッツポーズ。「気持ちでいかないとダメでしょう。準備はしていたし、任されたところでしっかり投げるだけ」と胸を張った。
ロッテ清田育宏外野手(25)が2回、貴重な追加点を挙げる2号2ランを放った。1死二塁で、塩見貴洋投手(22)の初球を狙い打ち。「打ったのはストレート。初球から打てるボールがきたら積極的に行こうと思っていた。ホームランはたまたまだけど、久しぶりのホームランは気持ちがいい」。5月4日以来となる3ヶ月ぶりの1発に笑った。
ロッテが1回1死二塁、井口資仁内野手(36)の中前適時打で1点を先制した。2ボール2ストライクからの甘いフォークを見逃さず、センターへ鋭くはじき返した。「このところは序盤に先制点を取ることができていなかったから、今日は何とかしたかった。同じ相手に3つは負けられないよ」。同一カード3連敗阻止へ、チームリーダーが意地を見せた。