ソフトバンクが逆転勝ちで連敗を止めた。1−2の8回に松田の右中間二塁打で追いつき、9回1死二塁から代打松中の適時打で勝ち越した。8回2失点の摂津は負けなしの4勝目。ロッテは終盤に踏ん張れず、今季2度目の3連敗。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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福岡ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 3 |
千葉ロッテ | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
ロッテは勝利の方程式が崩壊し、逆転負けで3連敗を喫した。
先発の成瀬が7回1失点と好投したが、2番手の益田が2−1の8回2死二塁から松田に右中間適時二塁打されて同点に。9回には抑えの薮田が1死二塁から代打・松中に決勝の右前適時打を浴びた。今季初黒星の薮田は「一塁が空いていたし、厳しいコースを攻めて抑えたかったけど…」とうつむいた。ともにチーム最多タイとなる10試合目の登板。西村監督は「今までしっかりやってくれている。責める訳にいかない」とかばった。
ロッテは開幕から機能してきた継投が決まらなかった。2−1の8回にルーキーの益田が同点とされ、9回は薮田が同い年の松中に勝ち越し打を許した。
このところ成瀬が登板する試合で、打線が十分に援護できていない。それだけに、何とか逃げ切りたかったところだ。西村監督は「ここまでしっかり仕事をしてくれている。次はやってくれるでしょう」と救援陣をかばった。
ロッテ西村徳文監督(52)が益田、薮田の勝利の方程式に変わらぬ信頼感を示した。この日は8回に益田、9回に薮田が失点し、3連敗目となったが「ここまでしっかりやってきた訳だから、そこを責めることはできない」と擁護した。
ロッテ成瀬善久投手(26)が7回1失点の好投を見せたが、開幕戦以来の勝利をつかめなかった。2回から4イニング連続で得点圏に走者を置いたが、粘りの投球で無失点。7回は1死三塁から内野ゴロの間に1失点したが、後続を断ち、114球を投げ抜いた時点で降板した。だが益田、薮田の勝利の方程式が崩れ、勝利はならず。西村監督は「成瀬が投げる時に、なかなか点が入らない。辛抱してもらって、いつか打線も打ってくれるはず」とエースをおもんばかった。
ロッテ益田直也投手(22)がセットアッパーの洗礼を浴びた。1点リードの8回から登板。2死二塁までこぎつけたが、松田への初球の直球が真ん中に甘く入り、右中間突破の二塁打を浴びて、同点に追いつかれた。今季、リードした場面で9回目の登板だったが、初めて失点した。「一塁も空いていたし、ボールでもいいと思っていたけど甘く入った。自分の力不足です。(勝ちが消えた先発の)成瀬さんに謝りました。『大丈夫、気にするな』と言ってくれました。でも申し訳ないです」と反省していた。
ロッテ里崎智也捕手(35)が2回の先制打に続き、4回も適時打を放った。2死一、三塁から初球のカーブをレフト前へ運んだ。「初球を狙っていたわけではないが、気が付いたら振っていました。2死から作ったチャンスだったから、得点に結び付けたら相手へのダメージは大きい。いいバッティングが出来ました。9連戦の初戦。勝ってチームに勢いをつけたいね」とコメントした。
ロッテ里崎智也捕手(35)が14打席ぶりの安打となる先制打を放った。2回2死から清田が四球で出塁。盗塁を決めた後、里崎が外角の直球を逆らわずにライト前へはじき返した。「怪我でスタメンを離れ、チームに迷惑をかけていたし復帰してからも打ててなかったので、いい所で1本打ててホッとしてます。成瀬の時にはいつも援護できていなかったので、今日は早い回に先制出来たのは良かった」とコメントした。
野球界の現象、話題、事件を様々な角度から掘り下げる新企画『検証』がスタート。第1回はセ・リーグが今季から導入した「予告先発」を取り上げる。先発投手を前日に発表することで観客動員アップを期待したが、選手やコーチなど現場では歓迎の声が高いものの、期待された営業面や実際の試合での効果はいまのところ“不発”。有意義なものにするためには、球団の努力が求められそうだ。
喜んだのは現場の選手だけなのか?予告先発の導入は、観客動員が2010、11年と2年連続で前年を下回ったことに危機感を持ったセ・リーグ関係者が、動員アップを狙ったものだ。
しかし、肌寒い4月のナイターは例年観客が伸び悩むこともあり、開幕からまだ20試合程度の現時点では、セ・リーグの観客動員に予告先発による目立った効果は見えていない。それどころか、阪神、巨人、広島、DeNAの4球団は1試合平均観客数が2010年より減っており、効果は「不発」といえるのが現状だ。
巨人の営業関係者は「東京ドームでの試合は開幕からまだ6試合と少なく、観客の数など正確な数字はまだ出せていない。そのため現段階では予告先発を導入したことによる影響などは詳しく分からない」と慎重な姿勢だ。
パ・リーグでは楽天・田中と日本ハム・斎藤の投げ合いが毎回抜群の集客力を見せ、野球ファンの注目も高い。セ・リーグでは彼らのような全国区の人気を誇るスター投手が少ないのも、予告先発の効果が表れにくい一因か。
それでも、広島の営業関係者は「当日券で来る人の割合は増えた。とくに前田健太投手の登板日は当日券に並ぶ人が非常に多かった」と、マエケン効果に好感触を得ている。
一方で、前売り券の販売が好調な阪神・南球団社長は「阪神としては(メリットは)ない。本当にファンのためになっているのか。球団のスタンスとしては、当初から反対だ」と断言。「シーズンが終わった後にセ・リーグ全体で検証すべきだ」と話している。阪神は最後まで予告先発の導入に反対姿勢だっただけに、オフに一波乱起きそうな予感だ。
予告先発の導入を現場のコーチらは歓迎した。とはいえ、その効果は球団によって違う。
大のプロ野球ファンとして著名な演出家のテリー伊藤氏は、セ・リーグの予告先発導入について「これではパ・リーグの真似をしただけ。やるからには新しい取り組みを示して欲しかった」とバッサリ。「野村(克也)さんや落合(博満)さんのように試合前の探り合い、駆け引きもプロ野球の面白いところ。そういう意味で魅力が減った」と嘆いた。
熱狂的な阪神ファンでタレントのダンカンも「僕は大反対だった」と否定的な立場だ。「野球ファンにはグラウンドの外でもドラマがある。親子で『明日は誰が投げるんだろう』って話をしながら球場に行く。それも楽しみなんです」と力説。「やるんだったらスタメンも全部発表しちゃう。それくらいやるんだったら、変えようとしている意志も伝わる」と大胆な改革を要求した。