ロッテが逃げ切り首位に浮上した。2回までに4点を先行すると、4−3の7回には角中、今江の連続適時打で突き放した。6回3失点の成瀬が3勝目、薮田は10セーブ目を挙げた。ソフトバンクは千賀が制球に苦しみ、拙守も響いた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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福岡ソフトバンク | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 4 |
千葉ロッテ | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | x | 6 |
ロッテの根元が勝負強い打撃を披露した。2回、2四球と失策で無死満塁の好機に打席に立ち、、右前に適時打。「相手からもらったチャンス。イケイケで打席に入りました。積極的に行こうという強い気持ちで打ちに行きました」。
試合前の段階で、打率.238ながら、得点圏打率はリーグ5位の.346。この日は初回に内野安打を放ち、盗塁に成功。先制のホームを踏む活躍。「普段から集中してますが、得点圏にランナーがいるとさらに集中できます」と話した。
ロッテの先発・成瀬が6回を被安打6、3失点ながら、粘りの投球で3勝目。4回を投げきったところで史上325人目の1000投球回数を達成し、チームを首位に押し上げた。「入団したころは1軍で投げることが目標。1000投球回数もいくとは。これからは1500、2000を目標に1つずつアウトを重ねたい」と話した。
ロッテが今江敏晃内野手(28)のダメ押し打で首位を奪回した。1点を先制した1回に2点目の犠飛。7回にも試合を決定づける右前適時打を放った。4月は打率1割7分1厘と「プロに入ってから、こんなに悪かったのは初めて」という大スランプ。だが不振時も、色んな選手の練習法、技術をマネして修正を図った。復調した5月は打率4割5分2厘と打線の核となっている。今江のマネに迫る。
今江のプロ選手としての源流には「マネ」がある。「子供の頃、落合さんの構え方、原監督のホームラン後のバットの放り投げとか、色々マネた」。格好つけた訳ではない。「うまい人の技術には色々なヒントがある」。だから観察し、自分にいいものだと思えば、試行した。
マネはプロ選手に限らない。自宅での高校野球観戦時。「この子、うまい右打ちをするな」。ドラフト注目選手でもなく、名前も覚えてない。だが流し打ちに目を見張った。「高校生でも長距離打者ではなく、自分と同じタイプの選手を見る」と独自の視点がある。
マネは打法に限らない。ヘルメットのひさしの裏は赤く塗られている。巨人の高橋由から聞いて取り入れた。「視界の上が明るいと、モノがはっきり見える。赤は闘争心も沸くと聞いたので」。用具も対象だ。
その今江も4月終了時に打率1割7分1厘と苦闘した。「感覚が分からない」。プロ人生で最悪のスランプ。同下旬には金属バットで練習してみた。新聞で高橋由が試みたのを見たからだ。「金属は高校生以来。詰まっても痛くない。でもあまり意味はなかったかな」。試行錯誤だった。
5月に入ってもマネは続いた。昨季の自身の安打集DVDを見て、ふと考えた。「いい時はノリさん(DeNA中村)みたいに手首の遊びがあった」。手首をグルグル回すように間合いをはかる中村の構え。「完全にマネする、というより、こういうイメージで遊びをつくろう」。遊びがないと力んで顔が自然とバットに近づき、ボールとの距離感に余裕がなくなっていたことにも気付いた。
色んなことを試し、ゴールデンウイークは徐々に調子を上げた。この日、7回に甲藤の外角低めのスライダーを右前に運ぶダメ押しの適時打。「ずっとあの球にやられていた。あれを捉えられれば幅が広がる」。不振時は右投手の同コースのスライダーに何度もバットを放り投げた。だが課題の球をクリアし、自信を深めた。5月に入り、9試合で31打数14安打7打点。好調ロッテで今江が、誰にもマネできない働きを始めている。
エースで首位奪還だ! ロッテはソフトバンク7回戦に6−4で勝利。先発の成瀬善久投手(26)が6回3失点で3勝目(2敗)を挙げ、通算1000投球回に到達した。エース左腕の粘投で、チームは5日以来の首位に返り咲いた。
1つの目標を達成した。成瀬は4回を投げ終えた時点で通算1000投球回に到達。プロ野球325人目、節目の記録に目尻を下げた。「1000回投げられたことは光栄に思います。まだ通過点なので、1500、2000回と投げ続けたい」。
投球は本来の力を発揮できなかった。味方が2回までに4点先制したが、3回2死から3連打で2失点。6回にも内川に左越え2号ソロを被弾した。
6回を投げて97球、6安打を浴びて3失点。軸足の左足に体重が乗らず持ち前の制球が定まらない。野手の好プレーにも助けられての3勝目。試合後は唇をかんだ。
「ストライクが先行できなかった。技術面の問題です。先発としての仕事は果たしたけど、悔しい」。成瀬は猛省しきりだったが、チームは5日以来の首位返り咲き。西村監督は「記録(1000投球回)のかかった試合で勝つのが1番。勝つのと負けるのではえらい違う」と祝福した。
成瀬の次回先発は交流戦でのDeNA戦(19日、横浜)が濃厚。「自分自身、昨年と一昨年の交流戦には勝ち越していない。チームの状態もいいし、勝利に導きたい」と誓った。日本ハムとの激しい首位争い。エースの力がますます必要だ。
ロッテD4位・益田(関西国際大)が、3番手で8回から登板。1安打1死球に味方失策が絡んで1失点(自責点0)も、3三振を奪った。球団主催のファンが選ぶ3、4月のMVPに選出され「体の調子はいいので頑張ります。いまは最速148キロだけど、150キロを投げたい」と意欲的。西村監督は「先発が6回まで投げれば(後に)3人いる」と“勝利の方程式”の1人として新人右腕に信頼を寄せた。
8安打で6得点。うち単打が7本。ロッテがお家芸の「つなぎ」で首位再浮上を果たした。流れをつくったのはベテランの井口だった。
「成瀬が投げる時は、序盤に点を取ることができていなかった。今日は最初のチャンスをものにできて良かった」。
初回1死二塁から右前適時打。フルカウントからの6球目、スライダーを逆らわずにはじき返した。前日は最大風速18メートルの雹交じりの強風が吹き荒れ、重さ300キロの打撃ケージが倒れるなどして試合は中止となったが、この日は井口が疾風のごとく先制点を叩き出した。
プロ16年目。昨季は打率.265、9本塁打に終わり、チームも最下位。それだけに「今年に懸ける」と逃げ場のない覚悟を口にする。1月の自主トレでは例年以上に激しい練習をこなした。参加した3年目の清田が「こんなに練習するのか」とカルチャーショックを受けたほどで、徹底的に体幹や下半身の強化に努めた。今年で38歳となる井口は「去年は夏場以降にへばった。気持ちは若い頃と同じだが、体はもう違う」と基礎体力に重点を置いた。さらに飛ばないとされる統一球対策として、バットの素材もこれまでのアオダモから、今季はホワイトアッシュとメープルを併用している。
チームは4月14日に打撃不振のホワイトセルが2軍降格。以降は「純国産打線」で戦って22試合目になる。首脳陣が日替わりオーダーを組む中で、唯一打順が1度も替わっていないのが3番の井口。「つなぎ」の打線の不動の中心なのだ。
09年に大リーグから国内復帰し、ロッテに移籍。10年に「史上最大の下克上」としてリーグ3位から日本一に駆け上がったが、まだリーグ制覇は果たしていない。それだけに「今年は優勝してみんなで喜びたい。そのために自分ができることをやるだけ」という。現在、打率.298で、04年のダイエー時代以来の国内での打率3割も視野に入れる。
井口がいる。だから、打線がつながる。だから、ロッテは4度目の首位に返り咲いた。
ロッテ・成瀬が苦しみながらも6回6安打3失点で3勝目を挙げた。序盤に4点の援護を受けながら、制球面が不安定。低めに集める本来の投球が影を潜め、ボールが先行してカウントを取りにいく球を痛打される場面も。
「直球が右打者の外に抜け、スライダーでカウントを稼ぐしかなかった。捕手の里崎さんも配球が大変だったろう」。3回に2点を失い、6回には内川にスライダーを左翼席へ。それでも最低限の責任を果たした。
通算1000投球回も達成。「入団時には何とか1軍で投げたいという思いだった。光栄に思う。1500回、2000回と投げていきたい」と節目の記録をかみしめていた。
ロッテの今江が1回に左犠飛、7回には右前に適時打を放って貴重な2打点を挙げた。第2、3打席では遊ゴロに倒れており「今日は引っかけていたので、7回は二塁方向に打つことだけを頭に入れて打席に立った」と振り返った。
4月は1割台に低迷した打率も、2割4分8厘まで持ち直した。「一時期に比べると良くなったが、まだまだ」と苦笑いだった。
ロッテ・成瀬が通算千投球回達成した。プロ野球325人目。成瀬のプロ初登板は06年5月17日の横浜戦。
「入団時には何とか1軍で投げたいという思いだったので、1000イニングを投げられたことは光栄に思います」と26歳。西村監督は「記録のかかったゲームで勝つのが1番」と粘投をねぎらった。エースの踏ん張りで、チームは試合のなかった日本ハムを抜いて首位に浮上した。
ロッテ西村徳文監督(52)が12年版・勝利の方程式をたたえた。エース成瀬の調子が今一つで6回3失点で継投策に打って出た。8回の益田が1失点したが、中後、益田、薮田の継投で逃げ切った。「6回まで何とか(先発が)投げ切ってくれれば、あの3人がいる。全員信頼してますよ」と笑顔だった。
ロッテのエース成瀬善久投手(26)が6回3失点と最低限の仕事を果たして今季3勝目を挙げ、首位に導いた。3回に2死から3連打で2失点、6回に内川にソロ本塁打を許すなど絶好調とはいえなかったが、リードを維持。4回を投げ抜いた時点で通算1000イニングもクリアした。「今日みたいない投球をしないように頑張りたい」と反省しつつ「今日のこれは通過点。1500、2000イニングと投げ続けられるようにしたい」と新たな目標を設定した。
ロッテ西本聖投手コーチ(55)が3回に3連打で2失点を喫したが、5回まで2失点とまずまずの投球内容の成瀬について評価した。「今日は牽制でアウトにしたりいい流れで来ていたけどね。失点は2死からだったから、気持ちの切り替えをうまくやって欲しい。ここから、成瀬らしいピッチングで踏ん張って欲しいね」とコメントした。
ロッテ根元俊一内野手(28)が勝負強い打撃で追加点を挙げた。2回、ソフトバンク先発千賀の制球の乱れや内野の失策に乗じて得た無死満塁のチャンスに右前へ運んだ。「相手からもらったチャンスだったので、イケイケで打席に入りました。積極的に行こうという強い気持ちで打ちに行きました。序盤で追加点を取れて良かったです」とコメントした。
ロッテ井口資仁内野手(37)が先制適時打を放った。初回1死から根元が遊安と二盗でチャンスメーク。フルカウントまで追い込まれたが、外角低めのスライダーを巧みなバットコントロールでライト前へ運んだ。「成瀬が投げるときは、なかなか序盤に点を取ることができていなかったので、今日は最初のチャンスをモノに出来て良かった。これで、成瀬も思い切っていけるね」とエースを援護した。