ロッテの成瀬が切れのある変化球でタイミングを崩し、6安打完封でリーグ単独トップの9勝目を挙げた。4回にサブローの先制3ランなどで5点を奪い、引き分けを挟んでの連敗を6で止めた。楽天の釜田はプロ初黒星を喫した。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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東北楽天 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
千葉ロッテ | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | 0 | 0 | 0 | x | 5 |
やはりエースは頼りになる。ロッテ成瀬善久投手(26)が楽天打線を6安打完封。チームの連敗を6で止めるとともに1970年(昭45)以来、42年ぶりの前半戦首位ターンを決めた。組み替えた打線も効果を発揮、6番に入ったサブロー外野手(36)が先制3ランを放つなど、5点を奪う快勝だった。
QVCマリンに吹いた10メートルを超える風への対応力が勝敗を分けた。この日はいつもよりグラウンドレベルの風が強く「一塁ベンチ側へ流されそうだった」と、慣れてるはずの成瀬ですらバランスを崩しかねないほど。だが、成瀬は本拠地の風を味方にする術を心得ていた。
「4回ぐらいからスライダーの握りを深くしました」。この日はいつも通りの投げ方をするとスライダーが変化しなかった。問題を解決するため、自分の引き出しの中から、スライダーの軌道を変えることを選んだ。深く握ることで変化を大きくし、緩急の差をつける。いつもは約120キロのスライダーが、この日は115キロほど。その差が打者を泳がせ、風に押し戻されるポップフライを増加させた。
たまにやる対応だが「普通の状況だったら、腕の振りが甘くなるし、あんまりやりたくない投げ方。でも、この風だと、こうした方がいいと思った」。厳しい環境を緊急的処置で切り抜けた。風の影響で一定の変化をしなかったというスライダーは、最後まで楽天打線につかまらなかった。
投げ合った楽天釜田の状況も冷静に見ていた。何度も帽子を飛ばされていた。「今どきの若い子のはやりで浅くかぶってるからかもしれないけど、腕を思い切り振った時に頭がぶれてるから帽子が飛ぶんだと思う」。何度も帽子を飛ばされるのは集中力をそがれる。成瀬はきつめの帽子をかぶり、その不安を消していた。
リーグトップの9勝目を飾ったエースの対応力が、チームの前半戦首位ターンを決めた。42年ぶりと聞いた西村監督は「今年は開幕から、そんなのばかりですね」と、60年ぶりの開幕4連勝で始まったシーズンをつかの間振り返った。後半戦もこのまま突き進みたいロッテ。頼もしい左腕が、その原動力なのは間違いない。
ロッテは16日、楽天11回戦(QVCマリン)に5−0で勝って連敗を6で止め、前半戦の首位折り返しを決めた。4番から6番に打順が下がったサブロー外野手(36)の先制3ランなどで4回に5点を奪い、投げてはエース成瀬善久投手(26)が6安打完封でリーグ単独トップの9勝目。ロッテの前半戦首位ターンは1970年以来42年ぶりだ。
勝利の架け橋が左翼席へ伸びる。同点の4回2死一、二塁。サブローが、楽天のルーキー釜田のフルカウントからの6球目、125キロの真ん中高めスライダーを強振。風速10メートルの逆風を切り裂いて、左翼席へ先制6号3ランを放った。「最高の結果で嬉しかった。このままズルズル行きたくなかった。最後は彼(釜田)の失投だよ」。
1日のオリックス戦(京セラドーム)以来の一発は、ロッテにとって24イニングぶりの得点で、連敗ストップへの貴重な先制弾。実は釜田とは6月24日、Kスタ宮城での初対戦で1安打3四球。「ボールをたくさん見たからうまく対応できた」。36歳のベテランの貫禄勝ちだった。
この日、4番から6番に下がった。4月中旬から、2005、10年の日本一の象徴でもあった「つなぎの4番」を主に任されてきた。「僕が打てなくて負けた試合もあった。(前日15日までの)札幌と福岡の遠征で負け続けた。だから千葉で3つ取り返す」と冷静に受け止め、バットで無念を晴らしてみせた。
一昨年の「史上最大の下克上」日本一に貢献しながら、サブローは昨季巨人にトレードされた。放出したロッテが最下位に沈むのを、複雑な思いで見ていた。オフにFAで古巣に復帰した。
ロッテも変わった。昨季のチーム本塁打は、パの本塁打王、西武・中村の48本塁打にも届かない46本。今季は79試合で35本に到達した。昨季はチーム打率がリーグ最下位、得点も同5位タイ。今季は打率2位、得点3位。打線の奮起が、1970年以来42年ぶりとなる、前半戦首位折り返しの要因でもある。
「みんながつなげて、サブローと今江が決めた。首位ターンは選手が頑張ってくれた結果」。西村監督は静かに話した。過去2度の前半戦首位ターンは、いずれもリーグ優勝を決めている。この日セで首位ターンを決めた巨人とは、70年に日本シリーズで激突して1勝4敗で敗れた。42年ぶりの再戦はあるか−。ロッテが再び走り出す。
成瀬がリーグ単独トップの9勝目を、今季2度目の完封で飾った。風速計が常に10メートル以上を示す強風の中「球場の壁ではね帰ってくる突風で、足を上げると流された。変化球も1球1球、曲がりが違った」と苦心し、序盤は球がばらついた。3回2死二塁で枡田に中前打を打たれたが、中堅手の岡田が本塁で走者を刺した。中盤以降は風で変わるスライダーの曲がり具合を逆に利用し、133球で投げ抜いた。チームの今季最多の連敗を6で止め、「自分が止めたかった」と笑顔だった。
風とケンカするのではなく、味方につけた。お立ち台に上がった。ロッテの成瀬は笑顔だった。「名物の風が僕の味方をしてくれると思った。序盤はどうなるかと思ったが、変化球が1球ごとに違った変化をしたので、こういう投球ができた」。
中堅から本塁方向に風速10メートルの強風が吹いていた。その風は観客席ではね返り、マウンドでは強い逆風となる。そんな中で9回6安打無失点の快投だ。「連敗をどうしても止めたい気持ちだった」。8日のオリックス戦(QVCマリン)から始まったチームの連敗を6で止めた。今季2度目の完封勝利で、リーグ単独トップの9勝目。まさにチームの救世主となった。
立ち上がりは不安だった。「右足をゆっくり上げようとすると、風で押し戻され、思ったように体を前に移動できなかった」。それでも慌てなかった。突風が正面から襲ってくるときは、踏み出す右足を早く下ろした。それほど風を感じないときはゆっくりと右足を上げた。マウンドに吹く風によってフォームを自在に変えた。
武器のスライダーにもひと工夫加えた。7回1死一、二塁では藤田、聖沢をいずれもスライダーで空振り三振。「いつもよりもボールを深く握った」。スライダーを深く握ると大きく曲がりすぎて打者が見やすくなるため、普段は使わない。だが、この日は強い逆風の影響で、深く握って投げると球速が抑えられ、チェンジアップと同じ効果が生まれた。「きょうの風ならば高く上がった大飛球は戻される。横の変化よりも前後の緩急をつけられた方がいい」。両サイドを突くことよりも、タイミングを外すことを優先させた。幕張の風を熟知している左腕だからできる発想だった。
これでチームは70年以来、42年ぶりとなる前半戦の首位ターンも決まった。大毎時代の60年と合わせ、過去2度はいずれもリーグ優勝を飾っている。「何がなんでもという試合で成瀬が完封してくれた」と西村監督。力強いデータの後押しを受け、前年最下位から一気に頂点を狙う。
4番から6番に打順が下がったロッテのサブローが4回2死一、二塁から左翼席へ先制6号3ラン。「本当は中堅から右方向へライナーを打とうと思っていた」と振り返るが、釜田のスライダーを左翼席へ放り込んだ。
6回にも左翼へ大飛球を放ったが、こちらはフェンス前で失速。「6回の方が完璧だったが、風にやられた」と苦笑い。その上で「4番は一発のある人が打つべきところ。本来、僕は6番打者。降格とは思っていない」とご機嫌だった。
前年リーグ最下位のロッテが前半戦の首位ターンを決めた。73〜82年の2期制を除き、ロッテが前半戦を首位で折り返すのは60、70年に記録して以来、42年ぶり3度目。過去2度はいずれもリーグ優勝に結びつけている。
また、前年最下位のチームが翌年前半戦を首位で折り返すのは珍しく、過去に64年阪急、01年近鉄とあるだけでロッテは3チーム目。ちなみに64年阪急は南海に逆転され最終2位、01年近鉄は後半戦で一時首位の座を譲ったが、9月26日オリックス戦で北川が代打逆転サヨナラ満塁本塁打を放ち優勝を決めている。
強風に感謝するように、成瀬は拳を握った。9回も3つのゴロで締めくくり、6安打で今季2度目の完封勝ち。チームの連敗を6で止め「マリンの風も味方してくれるんじゃないかと思ってました」と表情を崩した。リーグ単独トップの9勝目。自身の前半戦ラスト登板を飾る133球の熱投で、1970年以来42年ぶりの首位ターンを決めた。
球団史に残る快進撃を、マリン名物の強風が後押ししてくれた。「4回ぐらいまではまとまらなかったけど、変化球が一定の変化をしなかった。考えすぎなくてよかった」。マウンド上でバランスを保つのも難しい10メートルを超える風の影響で、スライダーでも高さによって沈む球も抜ける球もあった。変化の大きさにもバラつきが出た。いつもとは違う軌道に、楽天打線も対応できなかった。
引き分けた2位・日本ハムとの差を2.5に広げ、42年ぶりの首位ターンに、西村監督は「成瀬が完封して、打つべき人が打って、ナイスゲームですね。(首位ターンは)みんなが頑張ってくれた結果」とうなずいた。42年ぶりについては「今年は開幕からそんなのばっかりだね。(52歳の)僕はまだ生まれてなかったけど」と冗談を飛ばしながら目を細めた。各球団のターゲットとなる後半戦。これまで通りの戦いで、最後まで首位で駆け抜ける。
逆風をものともせず、打球は左翼席へ突き刺さった。ロッテは4回、サブローの先制3ランで24イニングぶりに得点し、連敗を6でストップ。「これでチームも乗っていける」とベテランはお立ち台でうなずいた。
体が開かないよう右方向へ強い打球を打つつもりだった。「緩い変化球だったので引っ張る形になったが、いい打ち方ができた」と自身12試合ぶりの一発を振り返る。
中堅からホーム方向へ10メートルを越える強風が吹いていたが、「低い打球が幸いして入った」と分析。逆に6回の第3打席では完璧にとらえたはずの打球が押し戻されて左飛となり、「これがマリンの野球の面白さ」と本拠地の気まぐれな自然現象に苦笑いする。
打線のてこ入れで前日までの4番から6番へ下がった。「何番に入ろうが嫌でもないし、うれしくもない」と打順にこだわらず、結果を出した。チームは前半戦首位での折り返しを決めたが、「順位はあまり意識せず、勝てる試合を確実に取ることが大切」と過去2度の日本一の経験をもとにチームを引っ張る。
ロッテの成瀬がリーグ単独トップの9勝目を、今季2度目の完封で飾った。
風速計が常に10メートル以上を示す強風の中「球場の壁ではね帰ってくる突風で、足を上げると流された。変化球も1球1球、曲がりが違った」と苦心し、序盤は球がばらついた。3回2死二塁で枡田に中前打を打たれたが、中堅手の岡田が本塁で走者を刺した。
中盤以降は風で変わるスライダーの曲がり具合を逆に利用し、133球で投げ抜いた。チームの今季最多の連敗を止め「自分が止めたかった」と笑顔だった。
ロッテが引き分けを挟んでの連敗を6で止め、42年ぶりの前半戦首位を確定させた。成瀬が6安打完封でリーグ単独トップの9勝目を挙げ、打線はサブローの6号3ランなどで4回に一挙5点を奪った。
球宴まで残り2試合で2位日本ハムと2.5ゲーム差がつき首位での折り返しが確定。ロッテの前半戦首位は1970年以来で、西村徳文監督(52)は「選手みんなが頑張ってくれている結果です」と感謝した。
ロッテ・サブロー外野手(36)が4回、先制3ランを放った。楽天釜田に対し、フルカウントから外角高めのスライダーを左翼席へ運んだ。「前回の対戦で確か四球を3つもらって、ボールをたくさん見てるからうまく対応できた。最後は彼の失投だよ」と、打てた理由を分析した。