ロッテが競り勝ち。4回にホワイトセルのソロで追い付き、田中の適時打で2点を勝ち越し。4−5の7回にはサブローの2点適時打で再逆転した。南昌がプロ初勝利、新人の益田も初セーブ。オリックスは継投失敗で4連勝を逃した。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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千葉ロッテ | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 6 |
オリックス | 1 | 0 | 0 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 |
9回のマウンドはロッテの新人益田直也投手(22)にとって未体験の空気感だった。開幕戦のプロ初登板時は「全然、緊張しなかった」。緊張とは無縁だと思われた。だが、初めて守護神の場に立たされると「今までと全然、違う」。チームは大不振で3位転落の危機。守護神だった内の右足首痛による登録抹消で、益田が最後のとりでだった。1点リードの9回、重圧がのしかかった。
オリックスは1番からの攻撃。「1人出ると(4番)李大浩に回る。2点差なら1発もOKだけど、1点差だからサヨナラになる」。最速148キロの直球、球宴でオリックス平野に助言を受けたフォークを投じる。後藤を中飛に仕留めてプロ初セーブを挙げると、快感が体を突き抜けた。「メッチャ気持ちいい!」。守護神のみが味わえる至福の瞬間だった。
挫折を味わったからこそ、9回の重さを知った。ドラフト4位は開幕からセットアッパーに定着。6月まで防御率1点台をキープしたが、疲労蓄積やフォームの悩みで7月に失速した。球宴前の同17日の楽天戦でプロ初黒星、翌18日は1死も取れずに交代させられ、初めて涙を流した。
だが仲間から言われた言葉で、よみがえった。「背中に抑えてやるという気持ちが見えない、春先はそんなんじゃなかったと言われた」。技術以上に精神力が大事な時がある。原点に立ち返り、球宴後、5戦連続無失点と立ち直った。
この日は女手一つで育ててくれた母しのぶさんも観戦。プロ初登板の夜に「今年はハラハラさせないように抑えるから見てて」とメールした。当時は最終回を投げる姿を想像もしなかった。チームにとっては7月7日以来のセーブで、球団の新人セーブは5年ぶり。「期待されての9回。それに応えられる投球をしたい」。新人の守護神は92年の河本以後は出ていない。まだ守護神に定着した訳ではないが、最終回を務める覚悟はある。
プロ初勝利の味は、ちょっと苦かった。1点リードの7回。2年目右腕・南昌は勝ち投手の権利を得て2イニング目に上がったが、1死満塁のピンチを招き降板。薮田が無失点で白星を守ってくれたが「先頭を出して力んでしまった。今日は助けてもらいました」。喜びよりも反省が口を突いた。
歩んできた道のりも苦しかった。立正大3年秋に明治神宮大会で全国制覇を果たした。だが、4年春に右肩を痛めた。ドラフト2位で入団したものの1年目はリハビリで棒に振った。その間に巨人・沢村、日本ハム・斎藤、そしてチームメートの伊志嶺ら同じ大卒新人がブレーク。「頑張れと言われても、頑張れないことが悔しくて…」。その分、誰よりも走り込むことを心がけてきた。
完治した今季、7月31日に1軍に昇格を果たした。それが昇格6日目で初登板から3試合目、心配をかけた両親もスタンドから見守る前で“持ってる”初勝利だ。「先発にこだわりはない。ケガをしていても取ってくれたチームに迷惑をかけた。与えられたところで貢献していきたい」。遅れてきた“佑ちゃん世代”の大物が、その遅れを取り戻すだけの時間は、たっぷりある。
新クローザー誕生だ!ロッテのドラフト4位右腕・益田直也投手(22)=関西国際大=が5日、オリックス14回戦(京セラドーム)の9回を3者凡退に抑え、初セーブを挙げた。
「めっちゃ気持ちいい。いままでの登板とは全然ちがった」。1番からの上位打線を抑え、1点の最少リードを守った。川端を見逃し三振、スケールズを左飛、後藤を中飛に斬る完璧な内容。チームの連敗を「2」で止めて、2位死守に貢献した。
新人ながらシーズン序盤からセットアッパーを務め、リーグ2位の28ホールドを記録。しかし、前半戦終盤は精彩を欠き、7月18日の楽天戦(QVCマリン)では8回に1死も取れずに2失点して同点にされ、ベンチで涙を流した。
「打たれて悩んだ時期もあったけど、乗り越えた。今は自信がある」と益田。西村監督は「気持ちもしっかりして、球も開幕時のキレに戻った」と絶賛。若い抑えの誕生。苦境のロッテにプラス材料が加わった。
益田は和歌山県出身。三塁側の内野席では母・しのぶさん(46)と祖父・末法さん(65)が初セーブを見届けた。しのぶさんは「プロになってまだ半年。起用していただいている監督さんの期待に応えて欲しい」と感無量。末法さんは「本人は『背番号の数(52)だけ登板したい』と言っていた。体に気をつけて頑張ってもらいたい」と期待していた。
野球のない五輪なんて…。かつて五輪代表から漏れた経験を持つロッテ・サブローが意地の決勝打だ。1点を追う7回2死二、三塁。平野の149キロ直球を右前にはじき返した。「1番いい投手が出てきたのでコンパクトに振った」。シーソーゲーム。逆転2点打で決めた。
4年前の悔しさは忘れていない。「五輪には出たかった」。07年12月、日本代表として北京五輪アジア最終予選(台湾)に出場。しかし翌08年は左太腿裏を痛め本大会の代表入りを逃し、晴れ舞台に立てなかった。
サブローは「そんなに見ていない。野球がやっていないので、(自分では)盛り上がらない」。今大会から野球は除外された。北京での「最後の五輪」に出場できなかった男が、五輪フィーバーに沸く時期に野球で奮闘。「今は順位より貯金を増やしたい。もう負けられへん」。ベテランの反骨精神は頼もしい。
ロッテのルーキー益田が今季47試合目でプロ初セーブを挙げた。1点リードの9回、1番から始まった川端、スケールズ、後藤を3人斬り。
「一発があるので(4番の)李大浩に回さないよう注意した。(セットアッパーとして)8回に投げるのと全然違った。めっちゃ気持ち良かった」。直球の最速は148キロを計測。右足首痛で2軍落ちした守護神・内の代役だが、重要な役割だけに西村監督は「できれば固定したい」と益田の適性を評価していた。
ロッテのサブローがシーソーゲームを制す逆転打を放った。1点を追う7回2死二、三塁、ここで救援した3連投の平野の直球が甘くなったところを逃さず、2点右前打。失策が絡んだ好機をものにし「相手のミスでもらったチャンスをつなげられた」としてやったりの表情。西村監督は「よくあそこで打ってくれた」と目を細めた。
チームが不調だった7月は打率1割7分1厘と不振で「僕がしっかりしていないからチームがこうなっている」と言う。首位争いに絡むためにも「もう負けられへん」と決意を込めた。
ロッテのドラフト4位ルーキー益田直也投手(22)が初セーブを挙げた。1点リードの9回、1番から3人で抑え「めっちゃ気持ちよかった。1人でも出したら(4番の)李大浩に回る。1点差の場面を3人で締められた」と充実感に浸った。
一時は右肩の張りで不調に陥ったが、この日は150キロ近い直球とシンカーでねじ伏せた。内の不在でやりくりが続く抑えを益田で固定することに、西村監督は「もう少し考えさせて」と結論を保留しつつも「調子のいいころに戻った」と評価した。
ロッテのドラ1ルーキーで、2軍調整中の藤岡貴裕投手(23)が5日、イースタンのヤクルト戦(浦和)で5回6安打1失点と粘投し、復調を印象づけた。初回2死二塁から、ヤクルト武内に右前適時打を浴びて先制を許したが、2回以降は毎回走者を背負うもののホームを踏ませなかった。直球は5回に最速146キロをマーク。奪三振6で、そのうち4個をスライダーで奪うなどキレも良かった。「粘り強く投げられたのが良かった。1日も早く1軍に上がりたい。いつ呼ばれてもいいような準備は出来ている」と話した。
ロッテ・サブロー外野手(36)が再々逆転となる2点適時打を放った。1点を追う7回2死二、三塁からセットアッパー平野の直球をライト前にはじき返した。「インコース寄りのボールだけど、うまく右に打つことができた。こういう展開だから、いかにチャンスをモノにできるかだね。相手のミスでもらったチャンスを勝ち越しにつなげられられたのは大きい。まだ、守りには入らないが、このまま勝たないとね。もう負けられへんよ」と話した。
ロッテ田中雅彦捕手(30)が2点適時打を放った。同点とした4回1死二、三塁から投手の足元を抜くセンター前への当たりで、走者2人が生還した。「中郷が初先発で頑張っているし、楽にしてあげたかったから、いいところで打つことができて良かったです。ゴリ(今江)がしっかり送ってくれたので、最低外野フライでもいいから、点に結びつけたかった。久しぶりのタイムリーが、いいところで打てて嬉しい」と話した。
ロッテのジョシュ・ホワイトセル内野手(30)が3号同点ソロを放った。4回無死、フィガロの高めの直球を自慢のパワーでレフトスタンドに運んだ。「フィガロはパワーピッチャーで1打席目もストレートでやられていた。そのパワーボールに負けないように強いスイングを心掛けたよ。少し振り遅れてしまったが、しっかりたたいた分、よく伸びてフェンスオーバーしてくれた。ナイスパワーだね」と話した。