ロッテの藤岡が5月24日以来の5勝目を挙げた。5回まで毎回の7安打されたが2失点で踏ん張った。6回以降の継投も決まった。打線は1回に清田の二塁打で先制し、2回にも根元の2点適時打などで3点を加えた。西武は痛い連敗。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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埼玉西武 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
千葉ロッテ | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | x | 5 |
“東洋大コンビ”が2連勝に貢献。先発したD1位・藤岡は5回2失点。5月24日(ヤクルト戦)以来の5勝目に「焦った時期もあったし、長かった」とホッとした表情。先輩の清田は1回、中堅右に先制二塁打で援護。今季初の2人そろったお立ち台では、清田が藤岡に「先発は5回で終わってはいけない。もっと直球で押して欲しい」とダメ出しを連発し、スタンドを沸かせた。
ロッカー裏の通路に現れたロッテの藤岡は安どの息を吐いた。第一声は「ここまで長かった」。5回2失点で5月24日ヤクルト戦(QVCマリン)以来の白星。「もう少し長い回を投げなきゃいけない。でも勝ちがついたのはいいこと」。もがき苦しんだドラフト1位左腕は5勝目を素直に喜んだ。
活路を見いだしたのはスライダーだ。「今日は曲がりを小さくした、速いスライダーが良かった」。従来の110キロ台ではなく、握りを浅くして120キロ台後半でカットボール気味に鋭く曲げた。東洋大時代に「ちょこんと当てられて野手の間に落ちるヒットがある」と封印した持ち球を解禁したのは、プロでは緩急だけでは抑えられないと学んだから。3回無死一、二塁。その高速スライダーで秋山、中島を連続空振り三振に斬った。
新人王の大本命と目され、開幕直後は順調に白星を重ねたが、4勝目以降は5連敗。7月2日に2軍落ちし、左肩も痛めた。ソフトバンク・武田ら新人が白星を伸ばす中「新人は勝たないでくれ」と思った時期もあったという。「でも焦っても仕方ない。早くケガを治そう」と切り替えて8月中旬に1軍復帰。そこから1ヶ月かかったが、苦しんだ分だけ大きな収穫も手にした。
制球面や直球の最速が140キロ止まりなど課題は残るものの、取り戻した自信も大きい。西村監督も「この勝利でいい方向に持って行ければ」。逆転CS進出への機運が高まる復活劇だった。
ロッテの中継ぎエースの内も復活だ。右脚痛で7月29日に出場選手登録を外れた右腕が、約1ヶ月半ぶりに1軍復帰。2点リードの6回2死二、三塁で登板し浅村を三ゴロに仕留めた。
「もう脚は大丈夫。球の走りとかは関係ない。打者を抑えるだけなので」。西村監督も「今日は6回がポイントだった。内がよく抑えてくれたから、その裏の1点につながった」と絶賛していた。
お立ち台に上がった藤岡は「もっと長く投げないといけない。課題もあったけど、勝ちがついたので」と言うと、口元を緩めた。5回まで毎回の7安打を浴び2失点。それでも要所を7奪三振で締め、5月24日のヤクルト戦(QVC)以来、115日ぶりの今季5勝目を手にした。
苦しみ抜いた4ヶ月だった。6月30日の登板を最後に2軍落ち。左肩痛もあり、1軍復帰は8月までずれ込んだ。嫌でも目に入るのは、楽天の釜田、そしてソフトバンクの武田ら白星を挙げるルーキー達の姿。
「最初は『新人、勝たないでくれ』とも思いました。自分も勝ちが欲しいのはあったけど、焦っても仕方ない。まずは早くケガを治すことを考えました」。4月に3勝を挙げ新人王の大本命といわれた左腕が、どん底までたたき落とされた。
復活への足がかりを与えてくれたのは伝説の左腕だった。2軍調整中の7月17日、23度目の誕生日。「金田さんから食事に誘っていただいたんです」。400勝投手にして元ロッテ監督の金田正一氏から闘魂を注入された。カネやんは「若くて元気なやつが出てこなきゃダメ。昔の金田みたいなやつだ。彼(藤岡)はそうなれる素質を持ってるよ」と期待を寄せた。
この試合から、これまでより速く小さいスライダーを投入。MAX140キロの直球との組み立てで、西武打線の反撃をしのいだ。西村監督は「長かったですね。次はちょっと違う気持ちで投げられるんじゃないかと思う」。チームは9月初の連勝。厚く高いプロの壁を乗り越えた左腕が、CSへの厳しい戦いの中で真価を見せるか。
ロッテの清田が1回に先制二塁打を放った。無死二塁から「タイミングだけ意識して無心で打った」という一打はライナーで右中間を破った。
先発した東洋大の後輩の藤岡を援護し、約4ヶ月ぶりの勝利投手に貢献した。後輩と一緒にお立ち台に上がる念願をかなえたが、壇上では「もうちょっと投げてもらいたい。5回で終わっているようじゃ」と、途中降板した新人に注文をつけた。
ロッテが逆転CS出場へ踏ん張った。2回まで4点をリードも、先発藤岡は3回に2失点と不安定な投球内容。それでも5回まで何とか乗り切ると、中郷、内、南昌、益田、薮田の継投で逃げ切りに成功した。6回2死二、三塁の場面で約1カ月半ぶりに1軍登板し、ピンチをしのいだ内について西村徳文監督(52)は「あそこのピンチを抑えてくれたことが、そのあとの(6回裏の)1点につながった」と、称えた。
ロッテ岡田幸文外野手(28)が貴重な適時打を放った。2回まで4点を奪ったが、3回以降は3イニング連続で無安打。だが6回に井口の安打と里崎の四球でチャンスをつくると、岡田がライト前に運んでリードを3点に広げた。「打ったのはスライダーです。必死にボールに食らいつき拾うことができました。バットの先ですが最高のヒットを打つことができた。ベンチもそのまま打席に送ってくれたので、何が何でも打ちたかった。とにかく自分のできることをしっかりやるだけです」と話した。
ロッテ根元俊一内野手(29)が満塁で勝負強さを発揮した。2回2死満塁でライト前へ痛烈な一打を放って、2者を返した。「1打席目もタイミングは合っていたので、その感じのまま打つことができました。満塁だったので、序盤に大きなリードを奪えたのは大きいですね」と話した。
ロッテ里崎智也捕手(36)が追加点となる一打を放った。2回、先頭の井口が安打と、牽制悪送球で三塁に進み1死後、里崎がレフト前へ運んだ。「ランナーが三塁だったので楽な気持ちで打ちました。相手のミスでもらったチャンス。こういう得点は大きい。今日は何とか藤岡を勝たせてあげたいからね。まだまだ、行きますよ」と、畳み掛ける攻撃を誓った。
ロッテ清田育宏外野手(26)が先制適時打を放った。初回無死二塁から低めの直球を右中間へはじき返して、大学の後輩の先発藤岡に1点をプレゼントした。「自分のタイミングだけ意識して後は無心で打ちました。初回に先制できたのは大きい。前の2試合とも初回にチャンスは作ったが、得点できなかったから、先に行けたのは大きい。後輩の藤岡も投げているし、いいヒットが打てました」と話した。