ロッテ渡辺俊介投手(36)が足かけ10年で新球を習得した。キャンプ初日から5日間ブルペンに入り続け、6日は球数157球。「覚えたての(球)があるんで。しっかり覚えるためです」。この時期は直球主体の投手も多い中、連日3割近い比重で投げているのがチェンジアップだ。直球に近い軌道だが、フォークのように回転数が少なく、シュート気味に外に落ちる。
実は初めて試したのは04年。カーブ、スライダー、シンカーは持っている。でも「打者が嫌がる、回転の汚いボールがなかった」。親指と人差し指でOKサインをつくるように握って投げたが、思うように変化しなかった。以降、「毎年真剣にやってましたよ。結果が出なかっただけで」。試合で試したこともあったが、完成度が低く、捕手から要求されなくなった。11年には同じサブマリンの西武牧田に投げ方を聞いたが、はまらなかった。
試行錯誤の末、昨年11月には中指以外の4本の指でボールを挟むような握りに変えた。すると初めて、イメージと実際の軌道が重なった。斉藤投手コーチも「アンダースローの変化球は切るか抜くかだから難しいんだけど、様になってきた」と評価。日本ハム稲葉ら左打者への大きな対抗策になる可能性を秘めている。
プロ13年目。これまでも遅いシンカーやスクリュー系など、毎年のように新たな挑戦をしてきた。「引退するまでは成長してかないと飽きられる一方。新しい武器は毎年欲しいですよ」。飽くなき探求心を持つベテランが、1つの答えにたどり着いた。
プロ13年目、36歳のサブマリンが「新魔球」の完成間近だ。第1回WBCでは日本のエース格だったロッテ・渡辺が、ブルペンで157球。そのうち約50球をチェンジアップに費やした。
「覚えたい球があるんで、投げられるだけ投げている」。地面すれすれから繰り出された球は、ふわりと浮き上がってから打者の膝元付近でストンと落ちる。野球漫画「ドカベン」の中の里中の魔球「スカイフォーク」と酷似する。球速はシンカーより10キロほど遅い100キロに届くか届かないほど。フォークに似た軌道を描く渡辺のチェンジアップは回転が不規則で、「汚い回転の方が打者は嫌がるから」。ブルペンで受けた捕手の江村も「捕るのも難しい。落差は20センチぐらいありますね」と驚きの表情を浮かべた。
悲願の新球でもある。渡辺がチェンジアップの習得に本格的にトライしたのは04年。「試合でも投げたことはあるけど、そのうち里崎からサインが出なくなって…」。下手投げ投手が投げるチェンジアップはカーブと逆で、リリースする瞬間は球の握りが下向きにならなければならない。だから、ふわっと抜くように投げるのが難しい。長きにわたって試行錯誤を続けた結果、昨年11月にたどり着いたのが現在の握りだ。それまで親指と人さし指でつくった「OK」の形から改良したところ、「自分がイメージしたように変化した」という。
足かけ10年でついにゴールが見えてきた新球。それは左打者対策、中でも日本ハム・稲葉を意識してのボールだ。「カモにされてきた左打者をきりきり舞いさせてやりたい。稲葉さんは筆頭です。2000安打にずいぶん貢献したんでね」。過去、対稲葉は73打数33安打で被打率.452。宿敵を封じるために、左打者の内角に入ってこないチェンジアップが欲しかった。
「長くやっていると打者が慣れてくる。引退するまでは成長しないと」。スカイフォークで新境地を切り開く。
侍ジャパン代表候補のロッテ・角中がフリー打撃で17本の柵越え。右翼方向に約7メートルの風が吹いており「風がなければ2、3本だった」と謙遜したが、仕上がりは順調だ。
5日には視察に訪れた山本浩二監督から代打の切り札に指名されたばかり。「自分は打撃しかないと思うので、そこをしっかり見てもらいたい」。日を追って練習量も増やしており、この日も居残り練習で1番最後までバットを振り続けた。
ロッテ・唐川侑己投手(23)が6日、新兵器となる透明のマウスピースを使用して初めてブルペン入りし、直球とカーブを中心に計66球を投げた。「今日初めて使ったのでまだ分からない。明日使わずに投げて、どっちがいいか考えたい」。感触次第では、本格的に導入する。
昨年11月にかかりつけ歯科医のススメで、歯型を取り作製した。「専門家の人が言うには、踏ん張ったりしたら、歯が削れてしまうらしい。その防止のためにも作りました」と明かした。
昨季は前半戦で8勝したが、後半戦は右肘痛で離脱。伊東監督からは、先発の柱として期待されている。「今年はまず、ケガをしないこと。そして、1年間投げ続けて優勝に貢献したい」。シーズン通して活躍するために、必要なことはどんどん取り入れていく。
昨季巨人でプレーし、ロッテに加入したディッキー・ゴンザレス投手(34)が6日、キャンプ地の沖縄・石垣島で初めてブルペンに入った。
直球にスライダーを交え、7割程度の力で42球。「最初にしては力があったし、コントロールもよかった。今後はオープン戦から逆算してブルペンに入っていくよ。日本で9年プレーした経験をいかして、1年間ケガなくやりたいね」と満足げだった。
伊東監督は特打で大松にトスをあげるなど熱血指導。今季から内野手登録となった大松に対し、「余計な動きが大きすぎる」と、バットを短めに持ちコンパクトに振るようアドバイス。「彼が(中軸を打って)チームを引っ張っていくくらいの存在になれば、チーム力はあがっていく」と期待した。
前巨人のゴンザレスが初めてブルペン入りし、直球とスライダーの計42球を投げた。「思った以上に状態がよく、力も入ってコントロールもよかった」と満足顔。伊東監督は「だいたいストライクゾーンにきていたし最初にしては好感触」と合格点だ。起用法については「セットアッパー、抑えも考えているが実績としては先発がいいのか。これから、色々試したい」と話した。
腰痛で別メニュー調整中の今江が7日から全体練習へ復帰する意向を示した。6日はマシン打撃などを行い、順調な回復ぶりを見せた。
走攻守全ての動きで怖さはなく「大丈夫」と喜んだ。トレーナーも復帰を許可したそうで「もう1回(腰痛を)やらないようにしないと」と自らに言い聞かせた。
新加入のゴンザレスが今キャンプで初めてブルペンに入り、42球を投げた。昨季まで巨人でプレーした右腕は「思った以上に良かった。元々30球前後(の予定)だったが、いい気分になってきたので(増えた)」と満足そうだった。
伊東監督は起用法に関し、先発、中継ぎ、抑えと全ての選択肢を考えている。この日の投球練習後にはゴンザレスに直接、自らの考えを伝えた。指揮官は「試合に入っていく中で(起用法を)試したい」と述べた。
ロッテの唐川侑己投手(23)が6日、ブルペンで66球を投げた。周りの投手が100球以上を投げ込む中で、けがから復活に向けて調整を続ける。「しっかり自分の形をつくること。徐々に腕が振れてくればと」と冷静に話した。
昨季は練習のやりすぎで、肘と肩の故障が相次ぎ8勝に終わった。「練習をしないといけないと思っていた。もっと余裕を持たないと」と言う。完全復活を目指す唐川は「期待してもらっているのは分かる。先発投手として(ローテを)回りたい」と静かに意気込んだ。
ロッテのディッキー・ゴンザレス投手(34)が6日、沖縄・石垣島キャンプで初のブルペン入り。変化球を交え42球を投げた。「最初にしては力も入ったし、制球もよかった」と納得顔。同投手は昨季まで巨人に在籍。伊東監督からは、抑え候補にも名前を挙げられているが「監督の指示に従って、与えられた役割をこなしたい」と語った。
ロッテ角晃多内野手(22)が沖縄・石垣島で6日、キャンプ恒例の声出しを行った。元巨人でストッパーとして活躍した角盈男氏を父に持つ。
昨年支配下登録となり、今回が1軍キャンプ初参加。プロ5年目だが「今年は1軍で1試合でも多く勝利に貢献できるように一生懸命頑張ります」と、初々しく気持ちのこもった挨拶だった。
厳しいキャンプを乗り切るために選手が持ち込んでいる必需品を探る企画の第3回は、ロッテ・藤岡貴裕投手(23)が昨年に続いて持参したマニフレックス社の高反発マットレスだ。
昨年、知人から贈られた“相棒”は、畳んで運べる薄めのタイプ。「ベッドの上に敷いています。睡眠は大切。練習で疲れるし、次の日に影響してしまうので」と手放すことができない。
昨年は左肩の違和感もあり、6勝7敗に終わった。今年は先輩の成瀬らと自主トレに励み、キャンプでは初日から連日ブルペン入り。成瀬に教わった新球チェンジアップの習得にも挑んでいる。「ケガをせず、1年間しっかり投げられるようにしたい。ローテを守り、できるだけ勝ちたい」。
1月8日に結婚し、6歳年上の新妻から「頑張ってきてね、といわれています」と気合が入っている。心と体の充実を得た左腕の2年目に注目だ。