ロッテは4回に今江の6号2ランで先制し、さらに1死からの4連打で2点を加えた。先発の西野は8回途中まで無失点で6勝目。8回1死満塁のピンチを切り抜けた松永の好救援が光った。ヤクルトは好機であと1本が出なかった。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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東京ヤクルト | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
千葉ロッテ | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | x | 4 |
「投手、江村−」。8回裏、ヤクルト選手交代のアナウンスを聞いたロッテ江村直也捕手(21)は、体に力が入るのを感じた。1死走者なしで巡ってきた、5歳上の兄将也との初対決。3ボール1ストライクからはじき返した内角高めの140キロは、遊撃手の正面をついた。「打ってやろうと思ったんですけどね。想像以上に球が来てて、ビックリしました」。全球直球の真っ向勝負は、兄に軍配が上がった。
プロ入り前からの念願だった。高卒3年目の江村は、社会人を経て入団した兄よりプロ歴で2年上回る。「僕は兄がいたから野球を続けられたし、兄も僕がいたからプロを諦めなかった」。尊敬し合い、前日2日も2人で食事に出かけた仲良し兄弟。オフに打撃投手を頼んだことはあるが、真剣勝負は生まれて初めてだった。伊東監督も「プロ野球選手冥利に尽きるな」と笑った。
兄に負けても、試合には勝った。西野ら3投手を好リード。ヤクルト打線を5安打無失点に抑えた。首位躍進のきっかけとなった5月頭の8連勝も、江村と西野が1−0に抑えたオリックス戦が始まりだった。西武時代、高卒ルーキーの炭谷を抜てきした伊東監督は「あいつが雰囲気をつくってくれてる」と評価し、開幕から使い続けている。息子と同い年の江村を、指揮官は時にマンツーマン指導しながら、大事に育成している。
1軍メンバー最年少の21歳は、高校球児さながらの丸刈り頭でみんなからいじられる愛されキャラ。4日からは広島戦で故郷に戻る。「(6日の試合会場の)しまなみ球場は、中学の時よく試合をやってた球場。大事に戦いたい。今日の対決も、親が1番喜んでるんじゃないですかね」。ビジターなど関係なく、江村が故郷に錦を飾る。
ヤクルト江村将也投手と弟のロッテ江村直也捕手が対戦。兄弟が投手と打者で対戦は昨年の陽耀勲(ソフトバンク)と陽岱鋼(日本ハム)以来で、陽兄弟は昨年8月8日に初対戦し通算5打数2安打、1四球(今年は対戦なし)。日本人兄弟では98年7月16日に山田勉(広島)と弟の洋(中日)が対戦(結果は三振)して以来、15年ぶり。山田兄弟はともに投手で、日本人投手と野手の兄弟対決は定岡正二(巨人)と弟の徹久(広島)が83年4月21日(結果は三振、遊飛)と84年9月17日(結果は二ゴ)に対戦して以来のこと。
ロッテ・西野勇士投手(22)がヤクルト戦に先発。8回途中4安打無失点で6勝目(1敗)を挙げ、チームを4−0の快勝に導いた。ヤクルト戦の連敗も3でストップ。球宴ファン投票の第1回中間発表では、パ・リーグ先発投手部門の9位(1739票)だが、パ・リーグでは初の育成出身からの球宴出場も夢じゃない。
肌寒いQVCマリンに歓喜の声が渦巻く。西野が8回途中4安打無失点の好投。爽快なツバメ退治でヤクルト戦の連敗を3で止めた。
「(連敗の)プレッシャーはありましたが、結果で応えられてよかったです。調子はよかった」。
5回1死から畠山に左前打されるまでパーフェクト投球。ミレッジ、バレンティンの助っ人コンビを無安打に封じ、成瀬に並ぶチームトップの6勝目(1敗)を挙げた。
「6勝?できすぎですね。(1軍に)出てきたばかりなので、アピールする気持ちが勝ちにつながっています」。
昨年11月に支配下契約を結び、今季はプロ初勝利を挙げるなど大躍進。だが、シンデレラストーリーには続きがある。それは初の球宴出場だ。
この日、発表された球宴ファン投票の第1回中間発表はパ先発部門の9位(1739票)。「球宴に関しては、まだ考えていない。選ばれようが選ばれまいが、1試合1試合やっていくだけ」とそっけないが、このままいけば(全パ・栗山)監督推薦による出場は確実。松本哲、山口(ともに巨人)に続くパ・リーグでは初の育成出身選手の夢舞台が見えてきた。
「(連打された)8回は失投が目立った。球威も落ちたし」と反省の弁も並べた西野。まだ22歳。これから数々のドラマを生み出していく。
西野は今でこそ1メートル82、82キロの立派な体格だが、新湊高入学当初は1メートル77、70キロ。球速も120キロほどだったが「自分で考え、黙々と走り込んでいた」とは当時野球部監督の手繰(てぐり)能人さん(53)。富山・高岡市の自宅から射水(いみず)市の高校まで片道40分の自転車通学も足腰の鍛錬になり、3年時には最速143キロ右腕へと急成長した。
ロッテは好投の西野を今江が援護した。4回無死二塁から左翼ポール直撃の6号先制2ラン。今季の本塁打を全て交流戦で放っている4番は「4番目の打者」と謙遜しつつ、3連敗していた相手に「やっと勝てた」と笑顔。スタンドでは4日のサッカーW杯アジア最終予選で日本と対戦する豪州のサポーター約80人が観戦。試合後に突然『イ・マ・エ!!』とコールされ、手を挙げて応えていた。
ヤクルトD4位・江村将也(ワイテック)が、弟のロッテ・江村直也との『兄弟対決』を制した。0−4の8回1死、捕手のサインに首を振って全球直球勝負。5球目に高めの140キロ直球で遊ゴロに打ち取った。「ボール球で、優しい弟を持ったなと思った」と将也。前日2日に食事をともにした直也も「力んでしまいました。親が喜ぶと思う」と話した。公式戦での兄弟対決は昨年9月15日のソフトバンク・陽耀勲(ヤン・ヤオシュン)と日本ハム・陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)以来だった。
昨季まで1軍登板がなかった育成選手出身の5年目右腕は、もう勝利を手にしただけでは満足しない男に成長していた。7回1/3を4安打無失点でつかんだ6勝目にも、ロッテ・西野の口から次々と出たのは反省の言葉だった。「少し球数を抑えようとの意識が心のどこかにあったのかもしれない。8回は追い込んでからの制球が甘かった」。
初回は3者連続三振。5回1死まで1人の走者も許さず、7回まで114球でわずか1安打。しかし、8回1死から3連打されてプロ初完封は夢と消えた。3連打はいずれも2ストライクと追い込んでからのもので「直球の球威も少し落ちてきたところ。ミスを減らすべきところで失投が出た」と意識はどこまでも高かった。
それでも、6勝はエース成瀬と並ぶチーム勝ち頭。ハーラートップの楽天・田中にも1勝差だ。伊東監督も「自信を持ってマウンドに上がっている」と評した。
昨年、速球の腕の振りを見直した。「フォークボールは前から良かった。僕が意識したのは、速球とフォークボールの腕の振りを一緒にすること」と明かす。連日のようにパソコンで試合やブルペン映像をチェック。本人は「ほとんどフォームは変わっていない」と話すが、試行錯誤の末、フォークボールと同じ縦方向に体を使えるようになった。低めの速球は、軌道までフォークボールと同じ。先発9試合目。相手にデータがそろっても、狙い球を絞ることが難しい投手となった。
チームが交流戦で3連敗していたヤクルトに初勝利。「出来過ぎですね」と最後は安どの表情を浮かべた西野。前日に連勝が6で止まったロッテだが、22歳の好投ですぐに走り始めた。
ロッテ・今江が4回無死二塁で左翼ポール直撃の6号先制2ラン。
2ストライクと追い込まれたが、ボールを見極め、2ボール2ストライクからのスライダーを仕留めた。「最低でも走者を進めようと思った。負けられない試合で先制できた」と喜んだ。交流戦2戦目の5月15日から4番に座って15戦6発と本塁打を量産。「4番目の打者として、できることをやろうとしている結果」と自然体を強調していた。
江村兄弟対決が実現した。ヤクルトのルーキーで4歳上の兄・将也が8回に登板。1死後、ロッテの弟・直也に全球直球勝負を挑み、3ボール1ストライクから遊ゴロに打ち取った。
兄は「ちょっと力んでボール球だけど、打ってくれた。優しい弟だな、と。弟との対決を実現できて凄く嬉しい。先にプロ入りした弟が頑張ってるから自分も頑張れた」。前夜は兄弟で食事に出かけて真剣勝負を誓い、チームは敗れたものの兄の面目は保った。弟は「力んでしまった。兄との真剣勝負は初めて。親が一番喜んでると思う」と話した。
もはや、エースの貫禄すら漂っていた。育成出身の西野が、8回途中4安打無失点の好投で今季6勝目。成瀬に並ぶチームトップタイだ。それでも、ベンチ前でナインとハイタッチを交わす表情が崩れることはなかった。「調子はよかったけど、8回にピンチを作ってしまったので。最後まで投げきりたかった」。無心で白星を積み重ねていくうちに、ただ勝つだけでは喜べなくなっていた。
立ち上がりから快調だった。初回を3者連続三振で滑り出すと、5回1死まで完全投球。7回までは1安打に封じ、初完封の期待が膨らんだ。だが8回1死後に3連打を浴びて無念の降板。いずれも追い込んでから甘く入った球を打たれたもので、「投げ急ぎが失投につながった。もっとボールの意味を考えて投げないと」。口を突くのは反省の弁ばかりだ。
本人の険しい表情とは裏腹に、夢の球宴出場が見えてきた。育成ドラフト出身者では、巨人・山口、松本哲だけで、パ・リーグではいない。「超一流の選手と一緒にプレーできたら、たくさん勉強できると思う。出たいですね」。デビュー当初は「緊張します。出たくないです」と言っていただけに、意識も一流になりつつある。
「出てきたばっかりなので、アピールしたいという気持ちが強いんです」。いつまでも初心を忘れない雑草男は、どこまでも突き進んでいく。
ロッテの今江が4回に先制の6号2ランを放った。無死二塁で八木が投じた甘い変化球を捉え、6試合ぶりのアーチを架けた。4番打者の一発を足掛かりにこの回は4点を奪った。
パ・リーグ首位を走るチームも今季のヤクルト戦はここまで3戦全敗と相性が悪かった。今江は「今日は絶対に負けられない試合。その試合で先制することができて良かった」と話した。
ロッテ今江敏晃内野手(29)が6号2ランで先制した。4回無死二塁、カウント2−2から内角115キロのスライダーを左翼ポールに直撃させた。「ヤクルトには3つ負けているので、今日は絶対に負けられない試合。その試合で先制することができて良かった」と話した。
ロッテ鈴木大地内野手(23)が3点目を追加した。今江の2ランで先制し、なおも1死三塁の4回、外角135キロの直球を中前に落とした。「内野が前進守備だったので、しっかり振り切れた分いい所に落ちてくれました。いい追加点になりました」と話した。
ロッテ伊志嶺翔大外野手(25)が4点目を追加した。3点を先制した4回1死一、三塁で、内角132キロの直球を中前に運んだ。
右腕を負傷した清田に代わって8試合ぶりのスタメン、適時打は4月19日の楽天戦以来で「少し詰まったがいい感じで押し込めました。久しぶりのスタメンですから、何とか結果を出したかった。チャンスで1本打てて良かったです。まだまだ中盤ですから、守備、走塁そして打撃でもアピールしていきたいです」と話した。