DeNAが連敗を5で止めた。三浦は打たせて取る投球で散発の4安打に抑え、今季初完封で4勝目。打線は5回にモーガンの中前打で1点を先制、7回に多村の二塁打などで2点を加えた。ロッテは淡泊な攻めで今季初の4連敗。
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横浜DeNA | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 3 |
千葉ロッテ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
三浦の老獪なピッチングに手も足も出ず散発4安打の零封負け。伊東監督は「打てそうで打てない。緩急をつけられ、狙い球を絞れなかった。カットボールにやられた。あんなボールは見たことない」と脱帽した。交流戦Vも遠のく、今季初の4連敗。「とりあえず勝たないことには…。明日(13日)は打線を入れ替えるかもね」と渋い表情だった。
ロッテは今季3度目の零敗を喫し、今季初めての4連敗となった。
三浦の丁寧な投球に歯が立たず、わずか4安打。6回1/3を2失点だった西野を援護できず、7年ぶりの交流戦優勝が大きく遠のいた伊東監督は「打線のつながりも悪いし、四球も取れなくなっている」と頭を抱えた。連敗の4試合は計5得点と、貧打にあえいでいる。指揮官は「交流戦優勝どうこうを言える状況じゃない。打線を入れ替えて、何とかしたい」と打開策を練っていた。
ロッテはDeNA三浦に4安打完封負けし、今季初の4連敗を喫した。
今季初スタメンの5番大松尚逸内野手(30)が4打数2安打と唯一のマルチ安打をマーク。しかし、ほかは1回の井口資仁内野手(38)の中前打と、8回の荻野貴司外野手(27)の二塁打だけだった。
得点圏に走者を進めたのはこの8回のみ。伊東勤監督(50)は「打てなかったねー、打てそうで。両サイドにうまく散らされて、緩急もうまく使われてねらい球が絞れなかった」と相手をたたえた。交流戦順位は変わらず5位。「優勝とか言える状況じゃない。とにかく連敗を止めたい」と話した。
7回途中2失点と粘投したロッテ西野勇士投手(22)に、7勝目はつかなかった。初回からピンチをつくりながらも要所を締めていたが、5回に先制点を献上。7回に先頭打者を四球で出塁させ、犠打で1死二塁としたところで降板した。
6回1/3を5安打2失点。「調子自体はあまり良くなかったのですが、ランナーを出しても踏ん張ることができていましたが、無駄な四球が多かった。7回は先頭を簡単に出してしまい、失点につないでしまった。慎重にいきつつ、大胆に攻めていき、無駄な四球をなくしていかないといけない。7回も投げ切って次の投手へつなぎたかったのですが、ああいう形でマウンドを降りてしまい悔しいです」と話した。
ロッテは4月28日以来の零封負けを喫し、今季初めての4連敗となった。三浦の丁寧な投球に歯が立たず、わずか4安打。伊東監督は「狙い球を絞りきれなかった。最後までつかまえきれなかった」と嘆いた。
連敗の4試合は計5得点と貧打にあえいでいる。現状を打開するために打線の組み替えも示唆した指揮官。交流戦で首位ソフトバンクと3ゲーム差となり、逆転優勝への道が険しくなったが「残り3試合。気を引き締めてやります」と前向きに話した。
ロッテの大松が「5番・一塁」で今季初めて先発出場した。2回の第1打席で、先頭として打席に立つと三浦の緩い変化球を捉えた。右前に運び今季初安打を放った。
2008年に24本塁打をマークした強打者も近年は好成績を残せていない。4月上旬から不振のために2軍で再調整していたが6月8日に再登録され「状態はいいので自信を持っていきたい」と話していた。雪辱を期す30歳がようやく今季の第一歩を踏み出した。
プロ野球の統一球を飛びやすく変更しながら公表しなかった問題で、日本野球機構(NPB)が12日、東京・内幸町の事務局で「釈明会見」を開き、下田邦夫事務局長(59)が独断で変更していたと発表した。加藤良三コミッショナー(71)は、騒動について謝罪したものの「私は(問題が発覚した)昨日まで全く知らなかった。事前に知っていれば公表していた」と、自身の関与については完全否定した。下田事務局長は辞任を示唆した。
会見の冒頭、加藤コミッショナーは統一球の仕様を変更していたことについて謝罪した。「私を含めボールの変更はないと説明してきたが、実際には(コルク芯を覆う)ゴムの成分に変化があった。選手の皆さま、球団の皆さま、関係各位にお詫び申し上げます」。ここまでは普通の謝罪会見だった。だが、その後は、驚くような釈明が続いた。
理解に苦しむような食い違いだった。前日、下田事務局長は「コミッショナーには相談して進めていた」と、コミッショナーの了承を得ていたと明かした。しかし、加藤コミッショナーは「私は昨日まで全く知りませんでした。(下田事務局長から仕様を変更する)経緯、経過、説明を受けたという認識はありません」と、関与を真っ向から否定し、下田事務局長の独断だったと説明した。
加藤コミッショナーは今季本塁打が増えたことについても「疑問はありませんでした。選手の能力に信頼を置いているし、工夫したというのもあるのだろうと思った」と話し「知っていれば公表していた」と繰り返した。結果的には組織のトップとして「ガバナンス(統治)」の問題を認めただけ。「批判には値すると思うが、隠蔽ではない」「不祥事だとは思っていません」など、開き直りとも受け取れるような言葉を連発した。
もう1つ不可解だったのは、井原事務局次長が公表した経緯と事実関係の説明。前日に報道陣に対して下田事務局長が発言した内容とは大違い。下田事務局長は、前日に発言した内容のほとんどを修正、または撤回する形となった。これについて、下田事務局長は「確かに昨日はそういう趣旨の発言をしたが、私も(記憶が)混乱していた。コミッショナーにご迷惑をかけた。全て私の責任です」と、頭を下げ続けた。さらに、下田事務局長は進退について「コミッショナーの判断にお任せしますが、私の心の中では当然考えている」と、辞任を示唆した。
一方で加藤コミッショナーが自らの進退に言及することはなかった。報道陣から何度も責任や進退について問われ「私の話も聞いていただきたいのですが」と、顔を紅潮させ語気を強める場面もあった。
一夜明けても、選手からNPBへ対する不信感、失望感が続出した。労組日本プロ野球選手会の嶋基宏会長(28=楽天)は「悲しいといいますか。ボールが変わったことよりも、何も聞いていなかった。選手会との話し合いが1度もなかったので、少し寂しい」と落胆していた。
NPBへの要望を問われると「ベンチ前のキャッチボールや、リストバンド(の規制)もそう。全て結論が出てからしか、僕ら(選手会)のところに話がこない」と話した。5月13日の実行委員会で、来季からイニング間のベンチ前でのキャッチボール禁止を検討することが決まった際も、NPBから相談は一切なかったという。
元会長のヤクルト宮本も失望感を口にした。「飛ぶ、飛ばないの話ではなく、変わるなら先に言わないと。職業としている以上、ボールどうこうを知るのは当然だし、夏の検査でそういう結果があるなら、その時点で言うべき。極端な話をすると、(飛ぶと分かっていれば)去年辞めた選手で、もう1年できた選手がいたかもしれない」と指摘した。
前会長の阪神新井貴も「ファンや選手にちゃんとした説明責任を果たしてほしい。なぜ、今になって言わないといけないようになってしまったのか分からない」と言った。3人の会長経験者の言葉から、選手会とNPBの間に距離があることがにじんだ。
この日の広島戦後、加藤コミッショナーの会見の様子を伝え聞いた嶋は「自分のやっていることに責任を持って欲しい。仮に知らなかったとしても、組織のトップとして部下のやっていることに責任を持って欲しい。知らなかったでは、選手も、ファンも、納得できない。コミッショナーが各球団に行って、選手を全員集めて、直接、どういうボールを使っていたのか報告、説明をすればいいと思う」と、嘆きつつも提案を口にしていた。
仕様変更のあった統一球を納品していたミズノ社も「選手やファンを欺いた」と謝罪した。加藤コミッショナーらと会見に同席したミズノ鶴岡秀樹取締役は、NPBの意向で新たな反発係数の統一球を非公開で納めていたことに「コンプライアンスの観点から申し訳ない対応をしてしまったことを反省している。命懸けで戦っている選手、ファンを欺く形になり申し訳ない」と話した。
反発係数の変更は同社でも数人しか知らされていなかったという。各球団の担当者などから変更の情報が漏れる可能性について、同取締役は「この件を知っているのは数名。社員から(漏れることは)考えにくい」と説明した。
中心にあるコルク芯を覆う低反発素材の配合を少なくすることで、反発係数を高めるボールになるという。昨年までの“低反発球”と交じる可能性について、同社の久保田グローバルイクイップメントプロダクト部部長は「製造年月日で見分けることができる。交じる可能性はゲームにおいてはない」と否定した。
あ然、ぼう然の開き直りだ!プロ野球で使用する統一球を今季から飛びやすく変更しながら公表していなかった問題で、日本野球機構(NPB)の加藤良三コミッショナー(71)ら幹部と統一球の製造元であるミズノが12日、東京・内幸町の事務局で会見を行った。同コミッショナーは前日11日まで仕様の変更を知らなかったと驚きの釈明。混乱を招いたことなどへの謝罪の言葉は口にしたが「これは不祥事ではない」と開き直り、辞意を否定した。会見ではミズノとともに統一球の変更を進めてきた下田邦夫事務局長(59)が辞任を示唆した。
説明責任はおろか誠意すら見せなかった。午後8時から始まった加藤コミッショナーによる約50分間の記者会見。駐米大使まで務めた71歳にとって10台以上のテレビカメラの前で、100人以上の報道陣に対して釈明するのは屈辱以外の何物でもなかった。蒸し暑い会見場で時に声を裏返らせ、時に顔を真っ赤にして保身の言葉を連ねた。
「昨日(11日)まで全く知りませんでした。これは不祥事ではない。(下田事務局長ら部下から)ボールに変更が加えられたという説明はなかった。私がその事実を知っていたら公表したし、公表するべきだった」。
開き直りともとれる謝罪の言葉は小声で無数のカメラのシャッター音にかき消された。昨年から統一球の変更をミズノとともに進めたのは、NPB側では下田事務局長ほか、2人の職員だけ。「2日前まで、本当に変わっていないと信じていた。選手の調整の能力を高く評価していた」と、変更されていた事実をまったく知らなかったと打ち明けた。元官僚で組織のトップでありながらそれを恥じるそぶりも一切、見せなかった。そもそも“隠蔽”という批判は見当違いであり、辞める必要などどこにあるのか−というのが、加藤コミッショナーの言い分だった。
現場やファン、世間に対して混乱を招いたことについては「お詫びを申し上げます」などと謝罪したものの、今後については「これからは内部の意思疎通とガバナンス(統治能力)の強化に務めていきたい」と繰り返すばかり。進退について問われると「私の話も聞いていただきたい」と声を荒らげ、組織の長としての責任をどう考え、どう取ろうとしているのかをはぐらかし続けた。その姿勢に報道陣の間には半ば諦めにも似た空虚な雰囲気が漂った。
加藤コミッショナーが無責任な態度を取る一方で、前日11日に“飛ぶボール”への変更を「コミッショナーの了解を取りながら進めていた」と爆弾証言した下田事務局長は「(11日は記憶が)混乱していた」と一転して、自分の責任だとした。その上で「私の心の中では考えていることはあります」と辞任する考えを示唆した。
世間の常識がプロ野球の非常識なのか。知らぬ存ぜぬで通し、職を辞そうともしない加藤コミッショナーの球界での求心力が一層、低下したのだけは間違いない。
日本野球機構の加藤良三コミッショナー(71)ら幹部と製造元であるミズノが12日、統一球問題で会見を行った。統一球を製造しているミズノ社の鶴岡秀樹取締役らも記者会見に同席。担当者はボールの芯のコルク材を覆うゴムの材質を変えていたことを明らかにした。「球そのものの反発係数を変えるというのは、重大な変化です」と解説した。統一球はアマの国際大会などでも使用されている上に、NPBと共に旧統一球の在庫を使い切ることを優先した。鶴岡氏は「コンプライアンス(法令順守)の観点から非常に申し訳ない対応をしたと反省している。命懸けで戦っている選手と、支えてくださるファンの方々を欺く形になり、申し訳ない」と謝罪した。
日本プロ野球機構(NPB)の加藤コミッショナーの謝罪会見を受けて、労組・日本プロ野球機構選手会、楽天・嶋基宏会長(28)=捕手=が12日の広島戦(Kスタ宮城)後、同コミッショナーを追及した。
「組織のトップとして、自分のやっていることや知らないこと、自分の部下がやっていることには責任を持ってもらいたいです」。
嶋は前日11日に選手会側の代表としてNPBと折衝。疑惑の解明に尽力し、怒りの矛先を今度は加藤コミッショナーに向けた。それは事実上の“辞任勧告”だった。
「コミッショナーには各球団に直接行ってもらい、説明してもらいたい。ファンにもです」と行脚してでも説明責任を果たせと注文した。
“飛ぶボール”騒動は1日にして球界全体に飛び火。選手会がこの日、登録約700人の選手に「事の顛末」をメールで一斉送信した。使用する道具の変更は直接、出来高などの契約問題にもリンクするだけに選手や球団が神経をとがらせるのは当然だった。
日本のエース、楽天・田中も「隠してもこうなることは分かっていた。選手、球団、ファンに失礼なのではないか。その体質がよくないと思う」とNPBを両断した。
お役所ともいうべき古い体質を改善すべし。嶋、田中のみならず怒りの声が一気に噴出した。
プロ野球の統一球が変更されていたことが明らかになり、球界では12日、日本野球機構(NPB)の対応に対する不満の声が上がった。
日本野球機構(NPB)の加藤良三コミッショナー(71)は12日、公式戦で使用する統一球を昨季より反発力の大きい「飛ぶ」球に変更した事実を隠蔽していた問題で、都内のNPB事務局で会見を行い、変更の事実を「知らなかった」と主張した。選手及びファンには謝罪したものの、変更は下田邦夫事務局長(59)の独断とし「不祥事ではない」とも発言。自らの責任問題には当たらないとの見解を示した。
答えは知らぬ存ぜぬ、だった。午後8時から始まった会見は、約100人の報道陣が集結し、約50分間にわたった。だが、コミッショナーは昨季までの「飛ばなすぎる」ボールを修正していたという事実を「昨日まで全く知らなかった。説明は(下田事務局長から)なかった。知っていたら公表したであろう。申し訳なかった」と、繰り返し謝罪。だが、責任を問う声には「これは別に不祥事じゃない」と開き直った。
11日の選手会との事務折衝の後、隠蔽の事実を明らかにした下田邦夫事務局長らNPB幹部は、午前10時前から緊急会議を行い、数時間にわたり対応を協議。苦情電話は60件にのぼり、コミッショナーの辞任を求める声もあった。ボールの製造元であるミズノ社の担当者も訪れ、善後策を練った。下田事務局長は11日には「(変更は)コミッショナーに相談して進めていた」と明言していたが、この日になって急転。「昨日は混乱していた」とし、隠蔽にコミッショナーは関与せず、自らの独断によるものと強調した。
「加藤良三」と自らの名前が刻まれたボールを巡る問題。コミッショナーは今後「内部の意思疎通、ガバナンス(統治)強化に努めたい」と力説したが、ボール変更という一大事をまったく把握していなかったのならば、その統治力には大いに疑問が残る。
NPBと、製造元のミズノ社の説明によれば、下田事務局長はボールの反発係数が基準値を下回るケースがあったため、NPBが基準内に収まるよう反発力を高めるように調整したボールの製造を、昨年10月ミズノ社に依頼。ミズノ社ではボールの芯にゴムの成分を入れて、昨季より「飛ぶ」ボールに改良していた。この事実を知っていたのは、下田事務局長のほか、実務担当の2人だという。公表を控えた理由については「新旧の球が混在することで混乱を招かないため」としたが、この3人について今後、減俸などの処分が検討される模様だ。
下田事務局長は「心の中で思っていることはある」と話し、コミッショナーに進退を一任する意向。一方のコミッショナーは本塁打が激増している実態について「疑問に思ったことはない」と断言し、問題意識の差が浮き彫りになった。NPBは14日に臨時実行委員会を招集して12球団に事情を説明する方針だが、事態が収束するかどうかは不透明だ。
プロ野球の統一球を飛びやすく変更しながら公表していなかった問題で、日本野球機構(NPB)の加藤良三コミッショナー(71)が12日、東京・内幸町のNPB事務局で緊急会見。統一球の変更について聞いたのは11日とし、事実を隠蔽する意図はなかったと強調。その上で、自身の進退問題にも言及し、辞任の意思がないことを明らかにした。ただ、会見は「詭弁」とも取れる主張に終始。幕引きに必死な姿だけが印象に刻まれた。
統一球問題はついに球界トップの謝罪という事態に発展した。100人を超える報道陣と10台以上のテレビカメラの前で、加藤コミッショナーは切り出した。「選手の皆さま、球団の皆さま、関係各位におわび申し上げます」。
前日の労組・日本プロ野球選手会との事務折衝の中で、NPBがミズノ社へボールの変更を指示していたことが明らかになった。当初、下田邦夫事務局長は「昨夏にコミッショナーにも相談した」と話していたが、11日深夜になって「混乱していた」とし、ミズノ社への指示はコミッショナーに伝えていないと前言を撤回。この日の会見で加藤コミッショナーは「私が知ったのは昨日(11日)が初めて」と自らの関与を否定し、「知っていたら公表した。公表して悪いことは何もなかった」と続けた。
もし、その言葉を信じるなら、コミッショナーとして機能していないことを自ら明かしたも同然だ。むろん「知らなかった」では済まされない。プロ野球の最高責任者であり、統一球を自ら主導して導入したにもかかわらず、変更の事実を知らなかったとすれば、それこそが大問題だ。NPBで、統一球の変更を知っていたのは全部で2人という。12球団にも報告せず、コミッショナーにも相談せずに事務局だけで決めたことになる。密室で球界の大事が進行し、コミッショナーがその事実を知らされていないのなら、NPBはプロ野球の統括機関として機能を失っていることになる。
開幕後に本塁打が増えたことで各方面から「ボールが変わったのではないか」と指摘を受けながら否定し続けたことに、コミッショナーは「批判には値するが、隠蔽ではない」と言い切り、「天才集団であるプロ野球を信じております。(打者の)工夫や適応力でこうなった」と認識していたと続けた。だが、今年4月と6月に計測した反発係数の数値は確認しているという。その上で今季の統一球に変更が加えられたことを知らなかったというのはあまりにも説得力に欠ける。
さらに加藤コミッショナーは自らの進退問題についても「私は不祥事だとは思っていない」と、時に怒気といら立ちを込めた口調で繰り返した。対照的に下田事務局長は「全て私の責任。コミッショナーの判断にお任せしております。私の心の中では考えていることはある」と辞任を示唆。ここでコミッショナーは「事務局のガバナンス(統治)強化に努める。その責任は私にある」と、ようやく責任の所在を自らとした。
NPB事務局では下田事務局長らが早朝から協議、対応に追われたが、加藤コミッショナーが訪れたのは午後8時からの会見の直前。決して説明責任を果たしたとまでは言えないこの日の会見。選手会関係者の1人は「統一球は加藤コミッショナーが始めたし、メンツ、プライドの問題でしょう。責任は重い」とため息交じりに語った。この会見で決して幕が下りた訳ではない。むしろ、NPBの隠蔽体質をあらためて浮き彫りにした感が強い。
日本野球機構(NPB)が説明した統一球の調整の経緯は次の通り。
加藤コミッショナーによる「知らなかった」発言。労組・日本プロ野球選手会の嶋会長(楽天捕手)はKスタ宮城での広島戦の試合後、「知らなかった、では選手もファンも納得しない。仮に知らなかったとしても、組織のトップとして部下がやっていることに責任を持って欲しい」と厳しい表情を崩さなかった。
11年に導入された「飛ばない」統一球。本塁打数が激減したことで、選手会は12年4月の事務折衝で、当時の新井選手会長(阪神)が「面白みがない。野手だけでなく、投手からも(統一球は)どうなのかという意見を聞いている」とNPB側に見直しを求めた。それが1年以上が経ち、シーズン途中で突然、ボールが変わっていたことが明らかになった。この日朝には、選手会事務局が12球団の全選手に経過報告のメールを一斉送信。嶋会長は「コミッショナーは12球団を回って、選手の前でどういうボールを使っていたのかの報告や経過の説明をするべき」と力説。NPB側による現場への説明責任を求めた上で、「ファンの方々に対してもそう。野球界にもっと目配り、気配りをして欲しいと思う」と締めた。
会見に同席したミズノ社の鶴岡秀樹取締役も「命懸けで戦っている選手と、支えてくださるファンの方々を欺く形になり、申し訳ない」と謝罪した。
統一球を製造している同社の担当者は会見で、ボールの芯のコルク材を覆うゴムの材質を変えていたことを明らかにした。天然ゴムに低反発性のゴムを混ぜることで反発力を調整しており、その配合比率を下げることで反発係数を上げたと説明。プロ野球の使用球の反発係数は、0.4134〜0.4374に収まるように定められている。11年の導入時、統一球は下限の0・4134を目指していたが、それを下回るものがあったため、今季の球は目標を0.415〜0.416に設定。時速144キロの球を126キロのスイングで打ち返し、打球の角度が27度だった場合、飛距離が約40センチ伸びるといい、ミズノ社は「重大な変化」と表現した。
一方で、各球団の用具担当者から選手らに統一球の変更情報が漏れていた可能性について、鶴岡取締役は「(球を)変えたこと自体、ミズノでも数人しか知らない。選手に漏れることはなかった」と否定した。
日本プロ野球選手会の石渡進介弁護士が、ネット上に自身の署名を入れたコラムを掲載。
コミッショナー事務局の対応を「不誠実」とした上で、加藤コミッショナーの辞任について言及した。コラムは「加藤コミッショナーは統一球の刻印とともに退場すべき?」と題されたもの。その中で同弁護士は「自らの直筆サインまでボールに刻印した加藤コミッショナーのプライドのようなものが透けて見えてこないであろうか」とし、「“自らのプライドの象徴とも言える統一球の刻印とともに退場すべき”と言っても批判されることはないであろう」としている。