ロッテは1回に今江の2ランで先制、3回には井口の2ランなどで3点を追加。その後も効果的に加点して主導権を握った。グライシンガーが5回2失点で今季初勝利。李大浩が2本塁打したオリックスは先発の八木の不調が痛かった。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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千葉ロッテ | 2 | 0 | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 8 |
オリックス | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 4 |
ロッテ・セス・グライシンガー投手(37)のアクシデントに首脳陣が冷や汗だ。2回2死三塁、オリックス高橋信に3球目を投げた時だった。右腕は突如背中をさすり、ベンチに戻った。「つったような鈍痛を感じた」という。斉藤投手コーチは慌ててブルペンを確認し、伊東監督はそわそわして待った。
「またか、ってのが頭をよぎったよ」と指揮官。キャンプから故障で出遅れ、今季初先発だった5月15日の巨人戦後も右肩痛で抹消されていた。春先から投げては「痛い」→2軍落ちの繰り返し。「次ダメなら今年はもう呼ばない」と与えたラストチャンスだった。
結局マッサージで回復し、5回5安打2失点。それでも昨季12勝の稼ぎ頭が、ようやく先発2戦目で初勝利だ。伊東監督は「そのうち体中痛いって言い出すんじゃないか、それじゃ困るんだよ」と頭を抱えた。
次回も登板機会を用意するつもりでいるが、まずは数日後の背中の状態確認が必須だ。お騒がせ右腕は「ケガが多くて、フラストレーションがたまるシーズンだ」と、嘆いたが、巻き込まれる周囲のヒヤヒヤも終わりそうにない。
グライシンガーの初勝利にも、伊東監督は苦笑いするしかなかった。
2回2死三塁、高橋信に3球目を投げたところで、背中の痛みを訴えベンチに。すぐに戻り五回まで63球を投げ2失点で先発の役目は果たしたものの、指揮官は「明日、明後日、急にまた痛みが出る可能性がある」と不信感を募らせた。
昨年12勝8敗で2年契約を結んだ右腕は、オープン戦で1試合に登板した直後に右肩痛で開幕2軍。5月15日に初登板も、6日後に右上腕の張りを訴え、首脳陣は「2軍では投げるのに、1軍に来ると痛いと言い出す」と頭を抱えている。
伊東監督は「次、もし同じようになれば、今年は呼ばない」と最後通告していたが“2度あることは…”となりかねない展開。もちろん「全く選手がいない訳ではないので、特別扱いはしない」と容赦しない構えだ。
右腕は「ちょっとつったような症状だった。次回までに治さないと。フラストレーションがたまるシーズンだ。肩の状態はいいので、それだけはいい方向に進んでいる」と説明したが、痛みは本人にしか分からない。
古谷効果で今月2度目の連勝を飾った。1回に今江が先制の7号2ランを放つと、3回には井口が15号2ラン。12安打8得点での勝利に伊東監督は「昨日(あと1人で無安打無得点試合を逃した)古谷がいい流れを持ってきてくれた。本塁打だけの点だったらヤバイけれど、里崎とサブローが犠飛をあげて、中盤もいい点の取り方をした」と上げ潮ムードを強調。
ロッテは打線が12安打8得点と奮起して2連勝したが、不安の種も生じた。
右肩痛から復帰登板したグライシンガーが2回途中に背中の筋肉の張りを訴えた。ベンチで応急措置を施し、5回を投げ終えて降板。2失点での今季初勝利に「制球が悪かった。とにかく早く治したい」と話した。今季初登板した5月15日巨人戦(東京ドーム)後に右肩痛を訴え2軍降格。度重なる故障に伊東監督は「何日か経って(状態を)聞いてみないとね。投手がいない訳じゃないので特別扱いはしない」。再び出場選手登録を抹消される可能性も出てきた。
27日のオリックス―ロッテ戦で9回2死から坂口に三塁打を浴び、ノーヒットノーランを逃したロッテ・古谷は一夜明けて試合前の全体練習に参加。
1安打完封劇に祝福のメールや電話が殺到し「数え切れないぐらい。こんなに応援してくれている人がいることをあらためて感じた」と笑顔で話した。前夜は球団スタッフらとお好み焼きで祝杯を挙げ「疲れたのでゆっくり休みたいです」と漏らした。
けがから復帰したロッテのグライシンガーが今季初勝利。序盤に背中がつるアクシデントに見舞われたそうだが「最低限の仕事として5回を投げ切れたのは良かった」と控えめに喜んだ。
ただ、伊東監督は故障が多い右腕について「何日か経って、彼のコンディションを聞いてみないと。全く選手がいない訳ではない。彼をずっと待っている状況ではない」と厳しい評価だった。
ロッテの今江が1回、先制の7号2ランを左越えに放った。3試合ぶりの安打が3日以来の本塁打となり「1本出て良かった」と喜んだ。
前日は古谷がノーヒットノーランまであと1人という快投を見せた。4番打者は「好投でいい勝ち方、そしていい流れをチームに持ってきてくれた。今日も先制できたので勢いがつけばいい」と話した。
首位ロッテがリーグ戦再開後初めて連勝し、3連戦を勝ち越した。
1回に4番今江敏晃内野手(29)の7号2ランで先制すると、3回には3番井口資仁内野手(38)にも15号2ランが飛び出した。1発だけでなく、盗塁や犠飛を絡めて5回に1点、8回も2点を追加した。
伊東勤監督(50)は「昨日(1安打完封した)古谷がいい流れを持ってきてくれた。ホームラン以外の点の取り方が大事。中盤以降はいい取り方ができた」と快勝を喜んだ。
ロッテの先発セス・グライシンガー投手(37)が4点リードの5回5安打2失点でマウンドを降りた。2回の投球中に背中を痛め、治療でベンチへ引き揚げる場面もあったが、間もなく戻って投げきった。
5月15日の巨人戦以来、今季2度目の先発。「今日はチェンジアップが今までに経験がないくらい決まらず、高めに浮いてしまいストライクが取れなかった。それに加え、背中のアクシデントもあり苦しいピッチングになってしまった。その中でも、最低限の仕事として5回を投げ切れたのは良かったと思うが、次回へ向けてしっかり調整し、次は自分のボール、ピッチングができるようにしたいね」とコメントした。
ロッテ荻野貴司外野手(27)が“結果オーライ打”で3点目を追加した。2点リードの3回無死二塁、122キロのスライダーを左越え二塁打とした。
前日26日までの6番から2番に昇格。犠打のはずが、最初の2球でバントを失敗し連続ファウルになった。
3球目での適時打に「右打ちで走者を進める打撃をしなくてはいけなかったのですが…。結果オーライになってしまいしました。次はしっかりバントを決めないといけないです。反省しています」と話した。
ロッテ井口資仁内野手(38)が、今季15号2ランでリードを広げた。3点目を追加した3回、なおも無死二塁で、123キロのスライダーをバックスクリーンへたたき込んだ。
日米通算2000安打まで残り26本、国内通算1500安打まで残り20本とし「低めのボールに対してうまく角度をつけることができた。パ・リーグが再開してから連勝がないから、勝って勢いをつけて千葉に帰りたい」と話した。
ロッテ今江敏晃内野手(29)が、今季7号となる先制2ランを放った。1回2死二塁で、118キロのスライダーを左翼スタンド中段に放り込んだ。
3日のヤクルト戦以来の本塁打で「大阪に来てから1本も打ててなかったから、1本出て良かったです。昨日は古谷さんの好投でいい勝ち方、そしていい流れをチームに持ってきてくれた。今日も先制できたので勢いがつけばいいですね」と話した。
セントラル・リーグ | 守備位置 | パシフィック・リーグ | ||||||
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選手名 | 球団 | 得票数 | 投手 | 選手名 | 球団 | 得票数 | ||
◎1 | 前田健太 | 広 | 185 | ◎1 | 田中将大 | 楽 | 362 | |
2 | 菅野智之 | 巨 | 101 | 2 | 菊池雄星 | 西 | 66 | |
3 | 能見篤史 | 神 | 84 | 3 | 金子千尋 | オ | 47 | |
選手名 | 球団 | 得票数 | 捕手 | 選手名 | 球団 | 得票数 | ||
◎1 | 阿部慎之助 | 巨 | 589 | 1 | 嶋基宏 | 楽 | 351 | |
2 | 谷繁元信 | 中 | 101 | 2 | 炭谷銀仁朗 | 西 | 158 | |
3 | 藤井彰人 | 神 | 23 | ◎3 | 伊藤光 | オ | 101 | |
選手名 | 球団 | 得票数 | 一塁手 | 選手名 | 球団 | 得票数 | ||
◎1 | ブランコ | デ | 575 | ◎1 | 李大浩 | オ | 348 | |
2 | ロペス | 巨 | 70 | 2 | 井口資仁 | ロ | 116 | |
3 | 新井貴浩 | 神 | 46 | 3 | 浅村栄斗 | 西 | 80 | |
選手名 | 球団 | 得票数 | 二塁手 | 選手名 | 球団 | 得票数 | ||
◎1 | 西岡剛 | 神 | 533 | ◎1 | 井口資仁 | ロ | 144 | |
2 | 荒木雅博 | 中 | 64 | 2 | 本多雄一 | ソ | 122 | |
3 | 内村賢介 | デ | 40 | 3 | 根元俊一 | ロ | 113 | |
選手名 | 球団 | 得票数 | 三塁手 | 選手名 | 球団 | 得票数 | ||
1 | ルナ | 中 | 384 | ◎1 | 松田宣浩 | ソ | 311 | |
2 | 村田修一 | 巨 | 156 | 2 | バルディリス | オ | 144 | |
3 | 中村紀洋 | デ | 99 | 3 | 今江敏晃 | ロ | 130 | |
選手名 | 球団 | 得票数 | 遊撃手 | 選手名 | 球団 | 得票数 | ||
1 | 坂本勇人 | 巨 | 453 | ◎1 | 松井稼頭央 | 楽 | 316 | |
◎2 | 鳥谷敬 | 神 | 225 | 2 | 鈴木大地 | ロ | 148 | |
3 | 井端弘和 | 中 | 44 | 3 | 大引啓次 | 日 | 86 | |
選手名 | 球団 | 得票数 | 外野手 | 選手名 | 球団 | 得票数 | ||
◎1 | バレンティン | ヤ | 478 | ◎1 | 糸井嘉男 | オ | 493 | |
2 | マートン | 神 | 400 | ◎2 | 中田翔 | 日 | 399 | |
3 | 長野久義 | 巨 | 399 | 3 | 陽岱鋼 | 日 | 339 | |
4 | 大島洋平 | 中 | 168 | 4 | 内川聖一 | ソ | 243 | |
◎5 | 丸佳浩 | 広 | 141 | 5 | 栗山巧 | 西 | 125 | |
6 | 和田一浩 | 中 | 116 | 6 | 長谷川勇也 | ソ | 110 | |
◎6 | 廣瀬純 | 広 | 116 | 7 | 秋山翔吾 | 西 | 87 | |
8 | ミレッジ | ヤ | 86 | 8 | 角中勝也 | ロ | 81 | |
9 | 大和 | 神 | 40 | ◎9 | 大谷翔平 | 日 | 67 | |
DH | 選手名 | 球団 | 得票数 | |||||
◎1 | ジョーンズ | 楽 | 275 | |||||
2 | アブレイユ | 日 | 113 | |||||
3 | 李大浩 | オ | 84 |
日本野球機構(NPB)が統一球を秘密裏に変更していた問題で、労組プロ野球選手会(会長=楽天嶋基宏)が、加藤良三コミッショナー(71)に“解任要求”を突きつけた。28日に第三者委員会が発足するのに先駆け、選手会の松原徹事務局長が27日、都内のNPB事務局を訪れて統一球問題に関する要望書を提出した。この文書の中で、コミッショナーを「プロ野球の将来について消極的で責任回避的な人物」とばっさり切り捨て、新しいコミッショナーのもとでNPBの組織構造改革に取り組むべきと指摘した。
嶋会長と松原事務局長の連名でNPBおよび第三者委員会に宛てた要望書の内容は、ほとんどがコミッショナー批判だった。「加藤良三」という具体名こそ記されていなかったが、事実上の解任要求と言っていい。A4サイズ2枚の紙には、新体制のもとでNPBの組織改革を本気で進めて欲しい、という選手達の思いがつづられていた。
今回の統一球問題の原因を「プロ野球の将来について消極的で責任回避的な人物がこれまでコミッショナーを務め続けてきたことにある」と指摘。「ビジョンと責任感を持った、強いリーダーシップを発揮できる人物」が理想とした。今後は新しいコミッショナーのもとでNPBの改革を「具体的に実行に移すこと」を強く求めた。
過去のスポーツ界における第三者委員会は、十分な実態解明に至らなかったケースが多かった。今回もファンの怒りを鎮めるためのガス抜きで終わってしまう可能性がある。要望書には、厳しい追及が公開されている全日本柔道連盟の「助成金に関する第三者委員会」が例に挙げられ、プロ野球界も調査経過を広く公開して、公正・中立な判断が下されることを要求した。28日の第三者委員会発足を前にクギを刺した形だ。
加藤コミッショナーの任期は来年夏のオーナー会議まで、あと1年残っている。進退問題を先延ばしにする玉虫色の決着では、選手はもちろん、ファンも納得しない。嶋会長は「ファンの皆さんの憤りを思うと、今後NPBが、誰が責任者か分からない組織ではなく、強力なリーダーシップを持ったコミッショナーのもと、ファンの声、現場で戦う選手の想いも1つにし、プロ野球を発展させる組織に変われるかどうかが問われている」とコメントした。要望書提出後、報道陣の取材に応じた松原事務局長も「第三者委員会にはきちっとした調査をしてもらいたいと思います」と話した。
選手会の追及による問題発覚から2週間が経ち、収束ムードが漂い始めていた。ところが、巨人渡辺球団会長が26日にこの騒動について初めて言及し「加藤コミッショナーに責任はない」と擁護したことが影響したのか、事態は大きく動きだした。見計らったかのような絶妙なタイミングで、選手会が統一球問題に再び活を入れた。
一昨日、一般社団法人日本野球機構、日本プロフェッショナル野球組織(NPB)が「統一球問題における有識者による第三者調査・検証委員会」(以下、第三者委員会)の委員等を発表したことに伴い、当会は、この問題に関する今後の対応について、NPBおよび第三者委員会に対し、以下のことを要望します。
統一球問題は、選手の労働条件のみならず、プロ野球に対するファン、社会からの信頼をゆるがすNPBの組織的な問題であり、それを生み出した要因、NPBの組織構造の問題にあります。
つまり、統一球は、まさにコミッショナー自らの主導により、野球の国際化への対応という観点から2011年に導入されたものですが、その変更について、コミッショナーが知らないうちに行われたという説明をしていること自体、NPBと言う組織のトップに、プロ野球の将来について消極的で責任回避的な人物を選任し続けてきたことの問題点のあらわれといえます。
従って、この問題の根本的解決は、事実関係、原因、背景等の究明だけではなく、今後このようなことが繰り返されないための、「社長不在の組織」ともいえるNPBの組織構造の改革に関する具体的な方策、端的に言えば、NPBがプロ野球の将来を、利害関係人との十分な協議のもとに、リーダーシップをもって決められる体制にすること、そのために適任といえるリーダーをコミッショナーに据えるべきことを中心とする改革が不可欠だと考えます。
当会は、第三者委員会の調査・提言とそれに基づくNPBの改革が、抽象的なものに終わったり、実行されないまま棚上げになるような結果とならないことを強く希望し、そのために必要な行動をとっていくつもりです。そのため、当会は、NPBおよび第三者委員会に対して上記のことを要望する次第です。
以上。(原文まま)
日本プロ野球選手会の松原徹事務局長(56)は27日、日本野球機構(NPB)と、統一球問題を調査する第三者委員会に対し、嶋基宏選手会長(28)=楽天=との連名で組織改革を求める要望書を提出した。加藤良三コミッショナー(71)への事実上の解任要求で、強いリーダーシップを発揮できるコミッショナーが必要と主張した。第三者委から示された改善策を具体的に実行に移すことも要求。選手会が強烈な主張を繰り広げた。
要望書は過激なものだった。要望内容は5つで、強調したい部分に傍線が引かれており、選手会の“本気度”が表れていた。
その「1」で、いきなり加藤コミッショナーを断罪。統一球を飛ぶように変更しながら公表しなかったことに関し、加藤コミッショナーは「不祥事ではない」とした。これに対し、選手会はNPBの組織構造上の問題とし、加藤コミッショナーについても、プロ野球の将来について消極的で責任回避的な人物とし、事実上の解任を要求した。
さらに「2」で、今後のコミッショナーはビジョンと責任感を持った強いリーダーシップを発揮できる人物、若く、ビジネスセンスを持った人物を登用すべき、と“理想のコミッショナー”を提言している。
その上で、NPBの組織構造にも切り込み、情報公開、説明責任を尽くす体制を確立してほしい、と訴えた。「5」では、第三者委員会から出された改善策は、オーナー会議の反対で潰さないで欲しい、と願いを込めた。新しいコミッショナーによる指導力で具体的に実行に移して欲しい、と言い切った。
嶋会長は文書で、「強力なリーダーシップを持ったコミッショナーのもと、ファンの声、選手の思いも1つにし、(NPBが)プロ野球を発展させる組織に変われるかが問われている。大きな変革へ踏み出すことを切望する」とコメントした。
都内で要望書をNPB・井原敦事務局次長に手渡した松原事務局長も「ビジョンを持った人達の組織にして欲しいんです。プロアマの垣根も取り払われたんですから」と話した。
選手会はコミッショナー解任の権限は、もちろん持たない。だが、NPBの改革が実行されない場合、「必要な行動をとっていくつもり」と強硬な姿勢もみせている。球界再編問題が起きた2004年にはストライキも敢行した。統一球問題を調査する第三者委員会の第1回会合の前日に、選手会が強烈なメッセージを送った。
日本野球機構(NPB)が統一球の規格を無断変更した問題で、労組・日本プロ野球選手会(楽天・嶋基宏会長)は27日、NPBと問題を調査する第三者委員会に対し「統一球問題に関する当会の要望と見解」を提出した。加藤良三コミッショナー(71)に事実上の退任を要求する内容。加藤コミッショナーの適性を否定し、NPBの組織構造上の問題を指摘した。さらに新しいコミッショナーの条件も提示し、球界トップの入れ替えによるNPBの改革要求を突きつけた。
加藤コミッショナーの退任なくして前に進めない。嶋会長は西武戦(県営大宮)後、きっぱりと言った。「加藤さんに代わる若くてリーダーシップのある中立的な新しいコミッショナーを立てることが今後のプロ野球界のために最善」。この日、選手会・松原徹事務局長がA4紙2枚の要望書をNPB・井原敦事務局次長に手渡した。
要望は5項目で「消極的で責任回避的な人物がこれまでコミッショナーを務め続けてきた」など、退任を既定路線とした内容だ。28日に第1回会合を行う「統一球問題における有識者による第三者調査・検証委員会」(以下、第三者委員会)を前に表明した選手会の強い意志だった。
NPBによる統一球反発係数の無断変更はファンの不信感を呼び、事務局への抗議のメールは発覚直後の2日間だけで4000通を超えた。変更を「知らなかった」と発言した加藤コミッショナーだが、事態は組織の構造改革を求める声にまで発展。選手会は、それを現体制で推進するのは不可能と断定したのだ。
新しいコミッショナーの条件として挙げたのが、
特に(2)には注釈で「特定の球団等と過度に密接な関係を持たない」と明記し、人選の過程が不透明な12球団オーナー会議の選任方法を批判した。
選手会はこれまでも加藤コミッショナーの適性に疑問を投げかけてきた。11年3月の東日本大震災影響下におけるセ・リーグの開幕問題では文科省まで巻き込んだ騒動に発展。昨年のWBCをめぐる選手会のボイコット問題では、日本のスポンサー権利などを求める選手会の主張を受けながら主催者側と直接交渉を行わず、当時の新井貴浩会長(阪神)には一選手の立場から異例の批判を浴びせられた。今回がいわば「最後通告」である。
今後は、第三者委員会の調査報告を待って7月10日のオーナー会議、もしくは臨時オーナー会議で統一球問題を議論。そこで加藤コミッショナーの責任が問われる可能性もある。ただ、オーナー会議の不透明性を危惧する選手会は要望書の中でNPBの改革を「棚上げ」にしないようクギを刺した。そして、それが実行されない場合は「必要な行動を取っていく」と表明した。
松原事務局長が「繰り返してはいけない不幸な出来事」と振り返る04年のストライキ、そして昨年のWBC不参加決議。ファンが最優先と主張する選手会はあえてそれらを断行した。NPBが導く結末次第では強硬手段も辞さない構えだ。
NPBは27日、統一球問題を調査する第三者委員会の初会合を28日に都内のNPBで行うと発表した。
出席者は委員長の那須弘平氏(71)、佐々木善三氏(60)、米正剛氏(58)の弁護士3人のメンバーと特別アドバイザーで元巨人の桑田真澄氏(45)。NPB側からはセ、パ両リーグの理事長が参加し、加藤コミッショナーは出席しない。
NPBの井原事務局次長は「1回目でお伝えすることがあるかどうか」と、初会合は今後の調査方法や日程などの確認にとどまる方針を示した。人選について、選手会の松原事務局長は「法曹界からで信頼できる」と評価。コミッショナーのヒアリングを希望している桑田氏についても「プレーヤーとしての感覚が分かる」と期待した。第三者委は関係者へのヒアリングなどを行い、事実関係の把握、問題が生じた背景や原因を探って提言。7月末をめどに最終報告を予定している。
今季から統一球を飛びやすく変更しながら公表していなかった問題で、労組日本プロ野球選手会の松原徹事務局長が27日、日本野球機構(NPB)を訪れ、NPBと第三者委員会に対して新コミッショナー選出などの組織改革を求める要望書を提出した。加藤良三コミッショナー(71)への事実上の退任要求で、強いリーダーシップを発揮できるコミッショナーが必要と主張している。NPBは第三者委の第1回会合を28日に行うと発表した。
第三者委の初会合を前に、選手会が強烈な先制パンチを見舞った。加藤コミッショナーが統一球変更を「知らなかった」と説明していることを問題視する選手会はこの日、松原事務局長がNPBを訪れ、嶋基宏会長(楽天)との連名による要望書を提出した。A4用紙2枚に5つの要望内容を書き連ねていた。
始めに、統一球問題が生じた大きな原因として「プロ野球の将来について消極的で責任回避的な人物がこれまでコミッショナーを務め続けてきたことにある」と指摘。「加藤良三」の文字はなかったが、現コミッショナーを厳しく“断罪”した。
2つ目に、今後のコミッショナーに「プロ野球の将来についてビジョンと責任感を持った、強いリーダーシップを発揮できる人物」を要望。「比較的若い年齢で、中立性の高い(特定の球団等と過度に密接な関係を持たない)、優れたビジネスセンスを持った人物を登用すべき」とし、加藤コミッショナーの退任が大前提の要求だった。
NPBには、3で組織構造の健全化のため「ファンや選手に対する隠蔽が行われないような情報公開・説明責任を尽くす体制の確立」と「選手その他利害関係人の意見を十分吸い上げる意思決定構造の確立」を提言。第三者委に対しても、4で「幅広い関係者の意見聴取」と「公正な調査」が行われるべきとし、最後に、NPBは第三者委から示された改善策について、「新しいコミッショナーによる指導力等に基づいて、具体的に実行に移すこと」を求めている。
松原事務局長は、12球団の選手会長にも意見を求めた上で要望書を作成したと説明。「しっかりしたビジョンを持った方をコミッショナーにできる組織にして欲しい」と話した。
コミッショナーの任免権は12球団オーナー会議にあり、退任には7月10日の会議で4分の3以上の賛成が必要だ。