わたしはかもめ2015年鴎の便り(6月)

便

6月2日

阪神3−6千葉ロッテ(甲子園)

ロッテが土壇場で逆転勝ちして4月18日以来の貯金1とした。1点を追う9回に2死から根元、清田の連打と四球で満塁として角中が右越え本塁打を放った。3番手の上野が今季初勝利を挙げた。阪神は呉昇桓が誤算で3連敗を喫した。

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千葉ロッテ1001000046
阪神0110001003

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ロッテ角中逆転満弾、自称「脇役」が交流戦首位主役[ニッカン]

劇的な1発で貯金をもたらした。ロッテ角中勝也外野手(28)が2−3の9回2死満塁で、阪神呉昇桓から右翼へ逆転の3号満塁本塁打を放った。2死走者なしの土俵際から味方がつないで作った好機に、自身2本目のグランドスラムで応えた。終盤の逆転勝利で、チームは4月18日以来の貯金1とした。

角中にとって、思わぬ展開だった。1点を追う9回。打席に向かう本音は「まさか、2アウトから回ってくるとは」だった。無理もない。マウンドには、阪神の守護神が仁王立ち。簡単に2死を奪われた。だが、そこから根元が遊撃手に当てながら中前に運ぶ。清田も遊撃内野安打で続く。さらに、鈴木が四球を選び塁が埋まった。「つないでくれた人のためにも打たないといけない」と念じた。

3球で追い込まれたが、動じない技量があった。「審判とアウトコースの感覚が合った」と、際どい外の球も自信を持って見逃した。ファウルを重ね、フルカウント。「インは思い切って。見逃し三振はしない。低めの変化球ならごめんなさい」と腹をくくった9球目、内角高めのスライダーに手を出した。「ボール球。振ってしまった。外野の頭は越えてくれ」という当たりは、右翼席最前列へ飛び込んだ。実は、8回の守備に就く際「2死満塁で回ってくる」と想像した。ただし、打撃のイメージは右中間を破る当たり。現実が想像を超えた。

敵地でヒーローインタビューを受けたが「タイプじゃない」と少し恥ずかしそうに笑った。小学校で野球を始めたが「楽しいと思ったことはない。やめたかったけど、やめられなかった。父親が厳しくて。ヒーローになりたいとも思わない」という。「野球は仕事」と言い切るバットマンが、どでかい仕事をした。「また脇役に徹したい」。ヒーローは、渋い言葉で勝利を喜んだ。

角中の満塁本塁打は13年4月8日楽天戦(Kスタ宮城)で加藤大から放って以来、通算2本目。逆転満塁弾は初めてだ。1試合5打点は自己最多。相手の阪神呉昇桓は走者満塁の場面で昨季は打者4人を無安打、今季も試合前まで打者5人を無安打に抑え来日以来、失点がなかった。

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ロッテ角中驚いた「まさか」9回2死から逆転満弾[ニッカン]

ロッテが角中勝也外野手(28)の3号満塁本塁打で逆転勝ちし、4月18日以来の貯金1とした。

2−3の9回2死走者無しからつないだ。根元が中前打。清田が遊撃内野安打。鈴木が四球を選び満塁とすると、角中が阪神呉昇桓から右翼へ1発を放った。

劇的な一打に「まさか2アウトから回ってくるとは」と、打った本人も驚きを隠せなかった。

伊東勤監督(52)は「2アウト、ランナー無しから。1つアウトを取るのは難しい。接戦になって、うちがリードしていても、1つアウトを取るのを苦しんでいた。よく、あそこから逆転してくれた」と興奮気味に話した。

貯金を1としたことには、「そういうことより、ひっくり返して勝ったことに価値がある。明日からの試合につなげていかないといけない」と、チームを引き締めるように話した。

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ロッテ・クルーズ13号「ド会心の当たり」[ニッカン]

ロッテのルイス・クルーズ内野手(31)が同点の13号ソロを放った。

1−2の4回先頭で、阪神岩田の直球を左翼席中段まで運んだ。

直前の3回裏に1点を勝ち越されていただけに、「打った瞬間に行ったと思ったよ。ド会心の当たり。すぐに追いつくことが出来て良かったよ。甲子園でのホームラン。気分は最高だよ」と喜んだ。

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ロッテ角中が岩田打ち「いい先制点が取れた」[ニッカン]

ロッテ角中勝也外野手(28)が先制打を放った。

1回1死二塁で、阪神岩田から右前打を放ち1点を挙げた。直前に、岩田の暴投で一塁走者が二塁に進んでいた。

先制チャンスをものにした角中は「相手のミスで得点圏にランナーが進んだので、何とかかえしたいと思っていたので、いい先制点が取れました」と話した。

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ロッテ8年目植松、4日阪神戦先発に前倒し[ニッカン]

ロッテの8年目左腕、植松優友投手(25)の1軍デビューが2日、前倒しとなった。

当初は、5日からのヤクルト戦に先発予定だった。だが、4日の阪神戦に先発予定だった唐川侑己投手(25)が胃腸炎を発症。復調はしているが、調整期間を延ばすため、次カードのヤクルト戦に回る。

代わって、4日の阪神戦には植松が先発することになった。伊東勤監督(52)は「初めての登板。余計なことは考えず、良いものを出してくれたらいい」と期待していた。

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ロッテ涌井の登場曲公募、ミスチルが最多[ニッカン]

ロッテは涌井秀章投手(28)がQVCマリンで先発登板する際の登場曲6月分の一般募集を行った結果、1005通の応募があったことを発表した。

アーティスト別では、Mr.Childrenが35件。三代目JSoulBrothersが20件。GLAYが15件。大事マンブラザーズバンドが10件。

選ばれた曲は、QVCマリンでの先発登板前日の予告先発発表後に球団ホームページで発表する。

涌井は「毎月、沢山のご応募ありがとうございます。5月はマリンでの登板が1回しかありませんでしたので、6月は沢山あるといいなあと思います」とコメントした。

なお、7月分の募集は6月4日より開始。6月24日まで行う予定。

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ロッテ・角中、逆転満弾!9回2死から呉昇桓撃ち「まさかです!」[サンスポ]

ロッテは2日、阪神1回戦(甲子園)に6−3で逆転勝ち。9回2死満塁から、3番・角中勝也外野手(28)が劇的な逆転満塁弾。打った本人もビックリの一発で、チームは貯金1とした。

「高めのボール球を、やばい振っちまったと思った。まさかです!!」。

敗戦ムードが漂う1点を追う9回2死無走者からドラマは始まった。根元と清田が連続安打、鈴木が四球で続いた。ここで打席に角中。虎の守護神、呉昇桓(オ・スンファン)の9球目、136キロのカットボールを一撃すると、聖地は静まり返った。

四国アイランドリーグ・高知を経て2007年に大学生・社会人ドラフト7巡目でロッテに入団した角中。独立リーグ出身者として初の首位打者に輝いた12年にブレークしたが、年俸は7100万円となった今も、銭湯を愛する庶民派だ。「大きな湯船につかりたいんですよね」。現在、東京都内の自宅周辺には銭湯がない。そのため遠征先での銭湯探しが楽しみになっている。

そんな庶民派の一発で、チームは3位西武に1ゲーム差。伊東監督は価値ある白星に「野球の醍醐味を改めて知った。最後は2死から泥臭く勝った」と興奮を隠せなかった。

角中勝也(かくなか・かつや)
1987(昭和62)年5月25日生まれ、28歳。石川県出身。日本航空二(現日本航空石川)高から四国IL・高知を経て2007年大学生・社会人ドラフト7巡目でロッテ入団。レギュラーに定着した12年に独立リーグ出身者として初の首位打者に輝き、ベストナインに選出された。通算成績は525試合に出場、打率.286、20本塁打、202打点(2日現在)。13年第3回WBC日本代表。1メートル80、85キロ。右投げ左打ち。既婚。年俸7100万円。背番号61。

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ロッテ・清田、4回の空振り三振を猛省「ワクを助けられなかった」[サンスポ]

ロッテの清田が9回の第5打席で遊撃内野安打を放ち、18試合連続安打とした。その後に角中の満塁弾が飛び出し「(粘る)ウチらしい勝ち方だった」。それでも4回1死満塁での空振り三振を猛省。「あそこで打たないとだめ。ワク(涌井)を助けられなかった」と振り返っていた。

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ロッテ・唐川の次回先発、5日のヤクルト戦に変更[サンスポ]

胃腸炎にかかっていた、ロッテ・唐川侑己投手(25)の次回先発が2日、4日の阪神戦(甲子園)から5日のヤクルト戦(神宮)に変更となった。4日は植松優友投手(25)がプロ初登板する。

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ロッテ・涌井、140球の力投「まだまだ投げる力あった」[サンスポ]

ロッテの涌井は今季最多となる140球の力投だった。120球を超えた7回、この日最速の148キロをマーク。「まだまだ投げる力はあった」と言うだけに1死一、三塁で上本に適時打を許し「あそこで抑えられれば良かった」と残念がった。

5月13日を最後に白星から遠ざかるが、今季は6回を持たずに降板したのは1試合だけとエースの役目を果たしている。それでも「開幕戦以来ゼロで抑えてない。次はゼロに抑えたい」と納得していなかった。

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ロッテ・角中、土壇場で逆転満塁弾「ワクさんから『俺が投げるときにお前打たんな』と…」[サンスポ]

ロッテは1点ビハインドの9回、2死から連打と四球で好機をつくると、角中勝也外野手(28)が呉昇桓から逆転満塁弾。6−3で勝利し、先発したエース・涌井の黒星を消すと同時に、チームには貯金1をもたらした。

1点を追いかける9回に角中が劇的な逆転満塁弾だ。抑えの呉昇桓に簡単に2死とされたロッテは、根元が中前打、清田が内野安打で一、二塁とすると、鈴木が四球を選んで満塁。ここで1回に先制打を放っている角中が打席に立つと、フルカウントから緩い変化球にタイミングを崩されることなく、右翼スタンドへ逆転の満塁ホームランを突き刺した。

ヒーロの角中は「いやー、打った本人がびっくりしています」と笑顔。「いつもなら前のバッターでなんとか1点取ってくれ、と思うけど、今日は珍しくいける気がしたので、いい気分で打席に立った」と振り返りつつ、「正直、入ると思わなかった」と喜んだ。エースの負けを消す1発に「いつもワクさんに『俺が投げるときにお前打たんな』と言われる。本当は投げている時に打てればよかったけど、(ワクさんの)負けが消せてよかった」と安堵した。チームも貯金1となり「もっともっと(貯金を)増やして、1番上まで目指したい」と意気込んだ。

伊東監督
「野球の醍醐味をあらためて知った。1つのアウトはそれだけ難しい。全員が最後まで諦めなかった。」(土壇場での逆転勝ちに)
清田
「それよりも(1死満塁の)4回に打てなかったのが反省。ワク(涌井)を助けたかった。」(9回の内野安打で18試合連続安打)
上野
「野手の皆さんが打ってくれたおかげ。嬉しいです。」(8回を3人で抑え、今季初登板で白星)

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ロッテ・クルーズ、完璧な当たりの13号「打った瞬間行ったと思った」[サンスポ]

ロッテのクルーズが長打力を発揮した。1−2の4回、高めに浮いた速球を軽々と左翼席に放り込む13号ソロ。左翼手のマートンが打球を追わないほど完璧な当たりで「打った瞬間に行ったと思ったよ」と振り返った。

5月29日は背中の張りで欠場し、30、31日は指名打者での出場だった。この日はセ・リーグの本拠地で指名打者制のない試合。定位置の二塁の守備でも軽快に動き、元気なところを見せた。

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ロッテ交流戦首位浮上!角中、球団25年ぶり9回2死逆転満弾[スポニチ]

ロッテの角中勝也外野手(28)が2日、阪神戦で1点を追う9回2死満塁から劇的な3号逆転グランドスラムを放った。2死無走者から粘っての起死回生弾。あと1死で敗戦からの満塁本塁打は、球団では90年5月4日のダイエー(現ソフトバンク)戦で愛甲猛が記録して以来、25年ぶりの一発となった。チームは劇的勝利で、4月18日以来の貯金1とした。

粘って粘ってフルカウントからの9球目。虎の守護神・呉昇桓(オ・スンファン)が投じた高めに浮いたカットボール。見逃せばボールだっただけに、角中に「やべぇ、振っちまった」と一瞬、後悔の念がよぎった。しかし、加速度を増した打球は甲子園の右翼席へ飛び込む。自身2年ぶりのグランドスラムは価値ある逆転弾となった。

「まさかですね。自分はヒーローというタイプではないので。外角の見極めはできていたので、インコースに来たら全部振るつもりでした」。

そう照れたが、未来予想図は描かれていた。8回の守備に就いている時に、9回2死満塁で自分に打席が回ってくる場面が自然と浮かんできたという。そして現実も、2−3の9回2死無走者から連続安打と四球で回ってきた。「本当に来るとは…。8回に頭に浮かんだ時は右中間安打だったけど、それ以上の結果。手応えは“芯詰まり”って感じかな」と充実感に浸った。

4月下旬にインフルエンザB型に感染するアクシデントはあったが、開幕から好調を持続する3番打者。この日は初回に先制適時打も放ち、デスパイネ、荻野と主力外野手が相次いで故障離脱する中で、その存在はチームに欠かせない。

12年に独立リーグ出身者初の首位打者に輝いた。高卒後に四国アイランドリーグplusの高知のトライアウトを受験。実戦形式の試合では3打数無安打だったが、最後の1人として獲得された。当時、高知にはナイター設備がなく、全てデーゲーム。自宅に帰って、9時すぎから近隣の公園で素振りをするなど野球漬けの日々は生涯の思い出で「野球だけでなく、人として成長させてもらった場所」と振り返る。

そして、その高知にレンジャーズを5月に自由契約となった藤川球児の入団が決まった。くしくも、満塁弾で打ち砕いた呉昇桓の前に、阪神で背番号22をつけていたのが藤川。故郷・高知から野球人生の再スタートを切る大リーガーの決断に、角中は「また盛り上がって欲しいですね。そして(NPBに入団するような)若い子がたくさん出てきてくれれば」と期待を込めた。

チームは交流戦に入って5勝2敗で堂々の単独首位。4月18日以来の貯金1とした伊東監督は「野球の醍醐味をあらためて知りました」と最敬礼。それでも、角中は帰りのバスに乗り込む時には「また明日から脇役に徹します」といつもの顔に戻っていた。

90年ロッテ・愛甲の逆転満塁弾
博多どんたく開催中の5月4日、敵地平和台でのダイエー戦は0−4の5回、3番・愛甲が反撃の3号2ラン。そのまま2点を追う9回、2死満塁から西村の押し出し四球で1点差。続く愛甲が代わったばかりの左腕・永射の初球を叩き、右翼席へ4号逆転満塁弾を放った。就任1年目の金田正一監督も、派手なガッツポーズで大喜び。4安打6打点の愛甲は「ロッテは最後まで試合を諦めない」と胸を張った。

◇交流戦打点トップ

角中(ロ)が9回2死から逆転満塁本塁打。自身満塁弾は13年4月8日楽天戦で放ったのに次いで2本目だ。また、あと1人で敗戦からの起死回生の満塁弾は12年4月26日に米野(西)がソフトバンク戦で記録して以来3年ぶり。ロッテでは90年5月4日ダイエー戦で愛甲が3−4の9回2死からマークして以来25年ぶり4本目の劇的な一発となった。この日は初回の先制適時安打と合わせ5打点。交流戦の打点は12打点となり、中田(日)、中村(西)の10打点を抜いて一気にトップに立った。

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涌井、140球の力投も「あそこで抑えられれば」[スポニチ]

ロッテの涌井は今季最多となる140球の力投だった。120球を超えた7回、この日最速の148キロをマーク。「まだまだ投げる力はあった」と言うだけに1死一、三塁で上本に適時打を許し「あそこで抑えられれば良かった」と残念がった。

5月13日を最後に白星から遠ざかるが、今季は6回を持たずに降板したのは1試合だけとエースの役目を果たしている。それでも「開幕戦以来ゼロで抑えてない。次はゼロに抑えたい」と納得していなかった。

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角中、あと1球からトドメ!9回2死から逆転満弾[報知]

まさに起死回生だった。9回2死満塁、2ストライク。角中は「あと1球」コールの中、内角高めのカットボールを振り抜いた。打球は逆風を切り裂き、右翼席への3号逆転満塁弾となった。「打った本人がビックリしてます。『何とか落ちてくれ』と思ったんですが」。

2ストライクに追い込まれてから、3球ファウルで粘った。5球目には、顔面付近に来た149キロ直球をカット。最後は「『やべ、振っちまった!』と思った」という高めのボール球をとらえた。「見逃し三振だけはなくそうと、内角は全部打つつもりだった。外角の直球は見極める自信がある」。必死に食らいつき、最高の結果を出した。

未来を予知していた。1点を追う8回裏の守備の時、なぜか自分がヒーローになる気がした。「何となく、2死満塁で回ってくる絵が頭に浮かんだ」。予感は的中、2死から2安打と四球で舞台が整った。「そのときは右中間(を破る打球)だったけど、それ以上の結果が出た。入るとは」。“エスパー角中”自身の想像を超える一発だった。

伊東監督は「野球の醍醐味を改めて知った。あそこの局面からよく逆転してくれた」と手放しで褒めた。藤川球児入団に沸く四国アイランドリーグplus・高知出身の男は「あまりヒーローってタイプじゃないので、本来の脇役に次から徹したい」と照れたが、チームは4月18日以来の貯金1。交流戦5勝2敗で首位に立ったロッテを、中軸として支えていく。

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ロッテ9回2死走者なしから満塁弾、逆転[デイリー]

ロッテが土壇場で試合をひっくり返し、白星を奪い取った。

2−3で1点を追う9回だ。虎の守護神・呉昇桓に対し、先頭のハフマンが三飛、代打・岡田が空振り三振に倒れて2死走者なし。しかしここから驚異の粘りを見せた。

続く根元が中前打で出塁。さらに清田が遊撃内野安打で一、二塁とし、鈴木が四球で歩いて2死満塁とした。

ここで打席には3番・角中。フルカウントからの9球目をとらえ、右翼席最前列へと運んだ。起死回生の逆転満塁本塁打。その裏を西野が三者凡退に抑えて、勝利をたぐり寄せた。

角中は「打った本人がびっくりしています。いつもなら前のバッターで何とか1点取ってくれ、と思うんですが、何か珍しくいける気がしたんで、そのいい気分のまま打席に入りました」と振り返っていた。

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[千葉魂]1軍合流、ハフマン魂見せる、泥まみれの球児から元気[千葉日報]

夕焼けがきれいな時間帯に帰宅をする。すると、いつも同じ光景が広がっている。チャド・ハフマン外野手は帰宅時に決まって玄関のドアを開ける前に、廊下から見える景色をジッと眺めるようになっていた。高層階のマンション。そこからは夕焼け空と高校のグラウンドが見えた。決まって野球部の高校生達が必死にボールを追っかけている姿が、遠くからだが、ハッキリと見えた。

「いつもこの景色を見ているんだ。すると、何か初心を思い出すことが出来る。自分も若い頃、ああやって、いつまでも練習をしてボールを追っかけていた。少しでもうまくなりたい、プロになりたいとの思いだけで純粋な気持ちで野球をしていた」。

開幕から2軍暮らしが続いた。千葉市内からさいたま市にあるロッテ浦和球場に電車に乗って通う日々。異国の地のファームの試合で必死にアピールを繰り返し、夕方、自宅に戻ってくる。時には疲れ、力なく帰宅することもあった。そんな時、この光景を見ると元気になれる気がした。いつしか大事な初心を思い出せる貴重なルーティンとなっていた。

「試合に負けたり、結果が出なかったりすることもある。そんな時に遅い時間に戻ってきても彼らはあそこで練習をしているんだ。その姿を見ると、オレも負けてはいられないと思うよね。また、明日も頑張ろうという元気が湧いてくる」。

白いユニホームを泥まみれにして高校球児達がノックを受けている姿が、かすかに見えた。飽きることなく、ハフマンはその景色を眺める。時にはニヤリと笑みを浮かべながら、ジッと見つめていた。そして、1つ深呼吸をつくと自宅のドアを開けた。

ハフマンの自宅はどこまでも殺風景だ。家具も少なく、ソファーと自慢のシアター型のテレビが置かれているぐらい。写真も飾られていない。家族の写真も部屋にはなかった。

「家族の写真はあえて置かないようにしているんだ。だって、見ると寂しくなるじゃないか。今は野球に専念をしないといけない。日本で成功をするためには寂しい思いすらも、どこかにしまっておくぐらい集中をしていないといけないと思う。もちろん、寂しいよ。でも成功して結果を出して再会したい。だから、今は我慢なんだよ」。

疲れた体をソファーに委ねながらハフマンは優しい目で話し出した。誰もいない自宅はどこかガランとして寂しい。夕焼けがなおさら、その気持ちを増長させる。それでも、だからこそ、その思いを必死に我慢して、日々を過ごした。その気持ちをパワーに変え、明日の糧にした。だから、ハフマンは自宅に戻り夕食をとると、すぐにベッドに入る。次の日の試合に備えた。

「調子はいい。ここまでマイナーでやってきたことを1軍でしっかりと出したい。ファンに喜んでもらえるプレーをしたい。自分らしい全力プレーをしたい」。

5月29日、ハフマンはついに1軍に合流した。ファームでは誰よりも全力疾走をした。どんな場面でも走り、凡打になれば全力で悔しがった。ユニホームを泥まみれにするプレーを続けた。マリーンズには欠かせないそのハングリーさ、熱さ、泥くささ。1軍首脳陣も高く評価をしていた。昇格を告げられると、何度となくガッツポーズを見せ、嬉しさを隠そうとはしなかった。それほど待ちに待ったチャンスだった。

「自分に期待されていることは分かっているつもり。ファンに、チームに喜んでもらえるよう全力でプレーをし、チームに貢献する。チャンスをものにしたい」。

昨シーズン、そのガッツあふれるプレーで何度となくチームを救い、勢いづかせた。これまでの気持ち、我慢した思い、頑張った日々をグラウンドにて全力でぶつける。ハフマン魂を見せつける時が来た。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

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