わたしはかもめ2021年鴎の便り(1月)

便

1月16日

ロッテ小沼健太が阪神キャンプで得た“バイト代”[ニッカン]

ロッテの育成ドラフト2位・小沼健太投手(22=BC・茨城)は、ルーキーながら3年連続3度目となるNPBキャンプに向け、新人合同自主トレに励む。

19、20年と沖縄・宜野座村で球春を迎えた。茨城アストロプラネッツの3月のキャンプインを前に、阪神の春季キャンプでアルバイト。打撃投手にティー打撃補助、球拾いと裏方の仕事に励んだ。仕事の合間に自身の練習を行った。

打撃投手とはいえ重圧があった。大観衆に大勢のマスコミ。「たくさんのファンの方の前で、打撃投手ですけど、プレーをするのは初めてで、すごい緊張してて、当てたらどうしようとか思って」。緊張を見かねた練習補助の先輩から助言された。「お前のこと、1年後に覚えている人、いないから」。吹っ切れて、若虎たちの懐を攻めて経験を積んだ。

猛虎のオーラにただただ圧倒された。外国人選手にティー打撃のトスを上げた。萎縮してトスが乱れた。「ティー上げイップスになってしまいました」と苦笑しながら振り返る。少し慣れてきた昨春は、福留(現中日)の専属ティー上げ担当に。見て聞いて、色々なものを吸収した。

夢だったNPBの選手として、初めてのキャンプはもうすぐだ。何となくイメージはある。「練習が多く、きついイメージ。自主トレ中に体を仕上げていかないと。あと、思ったよりキャンプの期間が短く感じたので、入ってすぐにアピールしていかないといけないなと思っています」。緊張しながら得た“バイト代”を、無駄にはできない。

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ロッテ4位河村&育成2位小沼155キロ超え目指す[ニッカン]

ロッテのドラフト4位河村説人投手(23=星槎道都大)と育成ドラフト2位の小沼健太投手(22=BC・茨城)が16日、新人合同自主トレで報道陣のオンライン取材に対応した。

河村は192センチの長身から、最速150キロを投げ下ろす。189センチ右腕の小沼も最速は151キロに到達している。

ロッテはリーグの中でも投手陣の平均球速が遅く、19年ドラフト1位の佐々木朗をはじめ、力強い直球を投げる投手の獲得が、近年の編成テーマの1つになっている。河村、小沼ともその方針に合致する指名となった。

河村は先発候補、小沼はリリーフ候補として飛躍が期待される。「自分の平均球速はまだ遅い。(最速で)155キロは現実的に出したいです」(河村)、「速ければ速いほどいい。155キロは超えたいと思っています」(小沼)と、ともに155キロ超えを目指し、プロでのトレーニングを積んでいる。

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ロッテ育成ドラ2右腕・小沼「3度目」キャンプ目指す、過去2度アルバイトで参加の経験[報知]

ロッテの育成ドラフト2位右腕・小沼(BC・茨城)が「3度目」の春季キャンプを目指し、新人合同自主トレ2度目のブルペン投球を行った。

19、20年にアルバイトとして阪神の沖縄・宜野座キャンプに参加。ユニホームにも袖を通し、打撃投手も務めた。「当てたらどうしよう」と緊張する一方「近本選手、大山選手の打撃は凄かった」と回顧。ブルペンも見学し、昨季限りで引退した藤川球児氏の投球を目の当たりにし「あの年齢で1番凄い球を投げていた」とプロ野球選手への夢を膨らませて、実現させた。

目標は1日も早い支配下登録と、甲子園での阪神戦登板。気持ち良く打ってもらった打者たちと、今度は真剣勝負で再戦する。

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ロッテのドラ4河村、マイペース調整で目標は155キロ[報知]

ロッテのドラフト4位・河村説人投手(星槎道都大学)は16日、ロッテ浦和の新人合同自主トレで「マイペース調整」を行っている。同期入団のドラフト1位・鈴木、育成2位・小沼(BCリーグ・茨城)、育成4位・佐藤(専大)がブルペンで立ち投げする中で、「自分は立ち投げがあまり好きではなく、キャッチボールの中でつくっていきたい」と力を込めた。

1メートル92の長身右腕は角度のある最速150キロの直球が武器。「現実的に155キロは出したい」と目標を掲げるが、そんな長所を生かすのも捕手を座らせてからの投球になりそうだ。なお、新人合同自主トレ最終日となる19日にはブルペンに入る予定だ。

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ロッテ育成2位小沼、ルーキーなのに3度目の春季キャンプ、昨季は阪神打撃投手のアルバイト[報知]

ロッテの育成ドラフト2位・小沼健太投手(BCリーグ・茨城)が16日、ロッテ浦和球場での新人合同自主トレを行い、練習後のリモート取材で意外な経歴を明かした。

ピカピカのプロ1年生だが、実は春季キャンプは3年連続3回目となる。昨年、一昨年と阪神の宜野座キャンプに打撃投手として参加。最初の頃は「当てたらどうしよう」と緊張しながら投球し、北條、江越に対しては「危なかったような気がする」と“死球疑惑”を持っていることを打ち明けた。

それでも、練習の合間には投手陣のブルペン投球を見学し、昨季限りで現役引退した藤川の剛速球も目の当たりにした。「藤川さんはあの年齢で1番凄い球を投げていた」。プロ野球選手になりたいとの思いが、さらに強くなった貴重な経験だった。

この日は、ドラフト1位・鈴木(法大)、育成4位・佐藤(専大)とともに2度目のブルペン入りも果たした。立ち投げながらも「マウンドが硬い。足を使って投げないと、球が低めにいかない」とプロ仕様の感覚を磨きつつある。

プロ野球選手となる夢をかなえ、次なる夢は甲子園の阪神戦でマウンドに上がることだ。「フリー打撃で対戦した近本選手、大山選手は凄かった」。1日も早い支配下登録をつかみ、今度は真剣勝負で抑え込みたい。

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ロッテ育成2位・小沼、打撃投手のアルバイトからプロ野球選手へ[デイリー]

ロッテの育成ドラフト2位・小沼健太投手(BC・茨城)が16日、新人合同自主トレ終了後、オンライン取材に応じ、2019年からの2年間、阪神宜野座キャンプで打撃投手のアルバイト経験を明かした。

当時の五十嵐章人GMの紹介で実現し、阪神の若手野手陣に自慢の直球を投げ込んでいた。近本、大山に軽く柵越えをされ「すごいなと思った」と振り返る。北條、江越にはデッドボールも当ててしまったことがある右腕は「危なかった」といいながらもプロ相手に投げて、度胸も身についたという。

打撃投手の合間にはブルペンで藤川の投球練習にも見入り「あの年で1番すごいボールを投げていた」と感心。阪神は春のキャンプ時に独立リーグの選手らを雇って打撃投手をお願いしている。シーズン中とは違い、通常のフリー打撃だけでなく、特打などのメニューが組まれるためで、コーチ陣や裏方スタッフも総出でマウンドに立つ。

打撃投手の投球数は1日150球前後くらいにのぼると見られ、他にもノックの補助やティー打撃のトス上げなど仕事は多岐にわたる。間近でプロのレベルを実感し、刺激を受けたという小沼は「甲子園で、タイガース相手に投げたい」。最速151キロ右腕は近い将来、目標を必ず実現させる。

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ロッテ安田は“本物の4番”に成長できるか?向上した変化球の対応と見つかった課題[Full-Count]

2020年のロッテを語る上では、シーズンの大半で4番打者を務めた安田尚憲内野手の存在は外すことができない。プロ2年目の2019年は2軍で4番を務め、19本塁打82打点でイースタンの2冠王に輝く活躍を見せた。昨季は開幕1軍を勝ち取ると、そのまま1軍の4番へとステップアップ。シーズン最終盤には打順を下げたものの、自身初の規定打席到達を果たし、21歳の若さで三塁手のレギュラーの座をつかんでいる。

今回は、2020年のシーズンにおいて安田が残した各種の数字から、若き逸材のバッティングを分析。コース別・球種別の打率、打順ごとの成績、ポストシーズンも含めた今季の本塁打の内訳といった要素から見えてくる、安田の長所と課題に迫るとともに、若き4番が年間を通じて見せた奮闘ぶりを、いま1度振り返っていきたい。

まずは、安田がこれまで1軍の舞台で残してきた数字について見ていく。過去2年間における出場試合数は合計17試合にとどまっていたが、昨季は全120試合中113試合と、大幅に出場機会を伸ばした。打率.221、6本塁打という数字はやはり4番としては物足りなさを感じるが、出塁率は.326、IsoD(出塁率から打率を引いた値)は.105。これらの数字からは、優れた選球眼を持ち合わせていることが読み取れる。

選球眼についてより踏み込んだ数字を紹介すると、昨季の安田が相手投手に費やさせた1打席あたりの平均投球数は4.254となっている。この数字は、今季のパ・リーグで規定打席に到達した選手達の中では、近藤健介、西川遥輝に次ぐ3番目の多さである。打席での粘り強さ、投手に球数を使わせるといった貢献度という面では、既にリーグ屈指のものを備えていると言えそうだ。

◇ラストバッターを務めた試合では、また違った存在感を見せていた

安田尚憲選手 先発打順別成績
打順試合打席打数安打本塁打打点盗塁犠飛四球三振打率出塁率長打率OPS
1番先発出場なし
2番先発出場なし
3番418161000023.063.167.063.230
4番8737031373444235384.233.343.332.675
5番1440000001.000.000.000.000
6番1552000001.400.400.400.800
7番12454082601412.200.267.375.642
8番先発出場なし
9番414113040043.273.429.364.793
途中出場4440000003.000.000.000.000

次に、昨季の安田が先発メンバーとして出場した打順と、その打撃成績について紹介。4番での出場が87試合と最も多く、必然的にその成績も昨季を通して記録した数字と類似したものに。とはいえ、打率、出塁率、長打率、OPSといった各種の数字は年間成績をいずれもわずかに上回っており、多少の差とはいえ、4番に対して一定の適正を示していたとは言えそうだ。

ただ、先述の通りにシーズン最終盤には4番を外れて7番に回り、最終的には9番も経験。その9番という立ち位置では、2試合以上に出場した打順の中では最も優秀な数字を記録しており、中でも出塁率は.429と、まさに出色の数字を残した。11月5日のソフトバンク戦では2死満塁から点差を3点に広げる貴重な押し出し四球を選び、後続の荻野貴司の2点適時打につなげたように、粘り強く上位につなぐ役割を果たしていた。

また、途中出場では4打数無安打と1安打も放つことができず、代打としては活躍を見せられなかった。早い段階でレギュラーに抜擢されたこともあり、そもそも代打としての出場機会自体が少なかったこともあるが、安田は3打席以上に立って真価を発揮するという見方もできる。

◇走者の有無によって打率には大きな変化が

続けて、塁状況別打率を見ていこう。走者なしが打率.160、走者ありが打率.285となっており、走者ありを細分化すると、走者一塁が打率.329、得点圏が打率.256という数字だった。このように走者がいない場面での打率はかなり低くなっていたものの、走者が1人でもいれば、その打率は.125も上昇。また、得点圏よりも走者が一塁にいる際の数字のほうが高く、その打率は.329と高水準に達していた。

昨季のロッテは機動力を生かした攻撃を行うケースも多く、一塁走者がバッテリーに揺さぶりをかける中できっちりと狙い球を仕留めることができているこの傾向は、チームの主軸として頼もしい要素と言えるだろう。得点圏での打率もシーズン打率に比べて.035高く、4番に必要な勝負強さという点では、一定のものを示していた。

その一方で、走者がいない際の打率の低さは気になるところ。当然ながら、初回が3者凡退で終わった場合は、続くイニングは走者なしの状況で4番からの攻撃が始まる。すなわち、今後も4番の座にとどまるためには、自らがチャンスメークを行うべき局面でも結果を残せるかが、重要になってくることだろう。持ち前の選球眼が生きる分野でもあるだけに、来季以降はこの課題を克服していって欲しい。

◇重圧に負けず、常に自分のバッティングを貫けるか

また、アウトカウント別の数字についても見ていくと、0アウト時の得点圏打率が.375、1アウトの得点圏打率が.289であるのに対し、2アウトの得点圏打率は.206と大きく落ち込んでいた。すなわち、比較的プレッシャーのかからない場面では勝負強さを発揮できているものの、チームにとってもそのイニングではもう後がないという状況になると、一転して数字を落としているということになる。

自分が凡退したらチャンスが潰えるという場面でも、必要以上に気負うことなく自分のバッティングができるかが、もう1つの課題となってきそうだ。チームの主軸には単なる技術面のみならず、メンタル面でも高いレベルの安定性が求められる。来季以降はその重圧に負けることなく、あらゆる場面で自分のバッティングを貫けるようになれば、その存在はチームにとっても、より頼もしいものになるだろう。

昨季記録した殊勲安打の数は16本で、チーム内では井上晴哉の18本に次ぎ、レオネス・マーティンと並んで2位の成績。内訳は先制打9、同点打3(うち1本塁打)、勝ち越し打3(うち1本塁打)、逆転打1となっていた。

初回に先制のチャンスで打席に入る4番を務める機会が多く、先制打が9本と頭1つ抜けて多かった。同点打と勝ち越し打はそれぞれ3本、そのうち1本が本塁打と、この2つは全く同じ数字に。

その一方で、逆転打はシーズンを通じて1本のみだった。同点打に比較して逆転打の数が少ない理由としては、チーム全体の打率が低く、塁状況を考えても2打点以上を挙げるチャンスがそこまで多くはなかったことや、安田自身の長打率がそこまで高くなかったことが考えられるだろうか。複数の打点を一度に稼ぐためには長打、特に本塁打の数が重要になってくるだけに、来季はさらなるパワーアップに期待したい。

◇得意な球種と苦手な球種、その傾向とは?

安田尚憲選手 2020年球種別打率
シンカー・ツーシーム.333
カットボール.321
カーブ.310
チェンジアップ.280
ストレート.217
シュート.200
フォーク.152
スライダー.109

続けて昨シーズン記録した、球種別の打率を紹介したい。投手の球種を8つに分類した場合、得意としている球種と苦手としている球種がそれぞれ4個ずつと、まさに二分されるような結果となった。打率.109と大苦戦を強いられたスライダーをはじめ、ストレート、シュート、フォークといった球種への対応には苦慮していたが、その中でもストレートを苦手としている点は、威力のある速球を投げ込んでくる投手の多いパ・リーグにあって、やや気がかりなポイントと言えるか。

その一方で、シンカー・ツーシーム、カットボール、カーブといった球種はかなり得意としていることがわかる。カーブ・チェンジアップというブレーキの効いた球に対する反応に優れていることからも、緩急をつけた攻めにはしっかりと対応することができ、緩い球を捉えられるだけの読みと技術を持ち合わせていることが読み取れる。

また、シュートに関してはやや苦手としているものの、カットボール、シンカー・ツーシームといった、速球に近い球速から鋭く変化するボールを得意としているのも見逃せない点だ。速い変化球への対応力に関しては優れたものがあるだけに、速球そのものに対するコンタクト力が向上してくれば、投手にとってはより攻めづらくなる打者となってくる。

◇昨季記録した7本塁打の内訳は、様々な面で興味深いものに

安田尚憲選手 2020年本塁打内訳
日付投手球種コース打球方向
7月7日L橋光成フォーク真ん中低め右本
7月18日F井口和朋スライダー内角真ん中右本
7月28日E辛島航カットボール内角高め右中本
8月20日H松本裕樹カットボール内角低め右本
9月6日H石川柊太カーブ内角真ん中右中本
10月3日L森脇亮介カットボールど真ん中右中本
11月14日H千賀滉大フォーク真ん中低め右本

先ほど紹介した球種別の打率に関連して、ポストシーズンも含めた、安田が2020年に公式戦で放った本塁打の内訳を参照。長所と課題が、また違った角度から見えてきた。

表にある通り、7本全てが変化球を打って記録したものに。裏を返せば、速球を打ち返して本塁打にしたケースは、今季を通じて1つも存在しなかったということだ。パ・リーグの投手達のストレートに力負けしない打撃ができるかどうかは今後長距離砲として覚醒できるかどうかを占う上でも、非常に重要な課題となるだろう。

しかしながら、この結果は安田の変化球を捉える技術の高さを証明するものでもある。苦手としているフォークを捉えて記録した本塁打も2本あり、ソフトバンクの千賀と西武の高橋光という、鋭いフォークを決め球とする投手から放っているという点でも価値がある。また、内角に入ってくる石川のパワーカーブを引っ張って本塁打にしたケースもあり、変化球であれば、一線級の投手の得意球を捉えられるだけの技量を備えていることがうかがえる。

打球方向としては全てが引っ張りで、変化球を強くたたいて引っ張ることが得意と言えそうだ。ただ、8月9日のオリックス戦で見せた、左腕・山田の速球に対して逆らわずに弾き返し、レフトの頭上を越える2点適時打を放ったシーンに象徴されるように、逆方向に伸びる打球が全く見られなかった訳ではない。そういった打球がより力強さを増し、スタンドまで届くようになってくれば、長距離砲としての幅もさらに広がってくる。

◇得意分野と課題が見える、今季のコース別打率

安田尚憲選手 コース別打率(内角←→外角)
.000.000.125.000.000
.000.360.192.139.000
.000.250.351.283.250
.500.222.343.209.200
.000.125.125.059.000

最後に昨季記録したコース別の打率についても見ていきたい。内角高め、ど真ん中、真ん中低めという3つのコースに対しては、かなりの強さを発揮していたと言える。とりわけ、真ん中に入ってきた失投をミスショットせずに捉えることができている点は、勝負強さが求められる4番として頼もしいポイントと言える。また、内角高め、ひざ元のボール球といった厳しいコースの攻めに対して、臆することなく対応できている点もポジティブな要素だろう。

また、先ほど紹介した千賀、高橋光から放った本塁打は、いずれも真ん中低めのフォークを捉えたもの。ボールゾーンまで落ちきらずにストライクゾーンに入ってきた変化球を、いわゆる高確率で長打にできる“ツボ”とすることができれば、相手投手にとっては追い込んでからも一筋縄ではいかない打者となることだろう。それに加えて、今季は苦戦したフォークに対する打率も、相応に改善される可能性が高まってくるはずだ。

また、真ん中の高さに来る球に対しては、内角のボール球を除いていずれも打率.250以上を記録しており、他のゾーンに比べて得意とする傾向が出ている。その一方で、内角を除く高めの球にはいずれも打率.100台以下と苦戦しており、低めの球に対しても真ん中と、内角のボール球以外は打率.200台前半と、やや不得手としていた。

外角の高めは打率.139と極端に苦手としており、高めに浮いた球を捉えきれていない。内角、真ん中に来る球についてはさほど苦手としていないだけに、外角攻めに対する対応が大きな課題と言えそうだ。同じ外角でも、真ん中の高さに来る球に対しては一定の数字を残しているため、アウトコースに対する対応力を総合的に上げていければ、より穴の少ない打者へと成長していけそうだ。

それ以外の細かな数字に目を向けると、安田がレギュラーシーズンで本塁打を放った試合では6戦全勝。安田のホームランはチームにとっても縁起の良いものとなっており、いわゆる“不敗神話”が形成されている。来季もこの流れが継続するか否かに、注目してみる価値はあるかもしれない。

左右別の打撃成績に目を向けると、対左の打率が.177、対右の打率が.243と、左投手のことをかなり苦手としていることが見えてくる。また、今季記録した本塁打のうち、左腕から放ったものは辛島のカットボールを捉えた1本のみ。先述の通り安田はアウトコースを苦手としており、左投手が投じる外角低めのボールへの対応力向上は急務と言えそうだ。

それでも、8月20日のソフトバンク戦では、左キラーとして知られる嘉弥真新也投手の速球を逆方向に流し打って安打にし、サヨナラ勝ちのきっかけを作ったように、左腕の外角攻めに流し打ちで対応するシーンも散見された。パ・リーグには優秀な左のリリーフ投手が多く存在するだけに、来季は対戦内容と成績の両面で、左腕とのマッチアップに改善がみられるかが重要なファクターとなってくるだろう。

◇昨季の貴重な経験をさらなる飛躍につなげられるか

21歳の若さで4番として抜てきされ、順位争いの重圧の中でチームの中心を務めた経験は、安田の今後の野球人生においても、大きな価値を持つだろう。だが、チームが激しい2位争いを繰り広げたシーズン最終盤に4番の座から外されたように、将来への期待を抜きにして単純な数字だけで判断すれば、4番打者に相応しい成績を残せていたとは言い難い。

それでも、エース格の投手の決め球を本塁打にしている点をはじめ、重圧のかかる打席が多い中で冷静にボールを選べている点、走者がいる局面では優れた打率を記録していた点、緩い変化球に対してきっちりと対応できている点といった、今後に期待が持てる非凡な打撃センスの一端は、今シーズンの戦いを通じて着実に示していたことも間違いない。

このオフに、昨季の戦いを通じて浮かび上がってきた課題へ取り組み、選球眼やブレーキングボールへの対応力といった長所はそのままに、打者としての弱点を徐々に減らしていくことができれば、今後は押しも押されもせぬ4番打者へと進化を遂げることも、十二分に可能なはず。この1年で得がたい経験を積んだ俊英は、この苦戦を糧にさらなる飛躍を果たせるか。安田が新たなシーズンで見せるバッティングには、あらゆる意味で要注目だ。

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