ロッテは本前が先発し5回途中4安打無失点と好投した。山口はオープン戦2号ソロを含む2安打と好調を維持し、安田は2回に適時二塁打でオープン戦初打点をマーク。日本ハムは開幕投手の上沢が4回7安打3失点と不安を残した。
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千葉ロッテ | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 4 |
北海道日本ハム | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 3 |
ロッテ山口航輝外野手(20)がオープン戦第2号を放ち、開幕スタメンへさらに前進した。
3−0の6回、先頭で打席へ立つと、追い込まれながらも日本ハム鈴木健の内角から入ってくるスライダーにしっかり踏ん張り、広い札幌ドームの左翼席まで放り込んだ。
まさしく、課題としていた球だった。「自分の背中から来るスライダーがあるのは頭に入っていたので、その球をしっかり捉えることができて良かったです」と満足げ。「広い球場で打つことができて自信になります」と喜んだ。
恒例の一句披露も。
「まだ寒い 北の大地で ぼく熱い」。
数秒の余韻を置いてから「ありがとうございました!」と締め、バスへ向かった。
ロッテ本前郁也投手が、開幕ローテーション入りする可能性が高まった。17日、日本ハム戦で先発し5回途中4安打無失点。左手人差し指の腹にマメがむけて降板したが、次回登板に影響はない模様。
まだ固まっていなかった開幕6戦目、4月1日の楽天戦(ZOZOマリン)の先発について、井口資仁監督(46)は「いま投げている中では非常にいいので、その可能性は非常に高いと思います」とはっきりと口にした。
札幌出身の最速149キロ左腕は、4日前まで1軍公式戦登板の権利さえなかった。プロ2年目、14日に背番号49で支配下登録され、家族らが見守る中で好投した。緊張の登板でも「いつも通り投げられたと思います」と強いハートで日本ハム打線を押し込み、時には技でかわした。140キロ台前半が多くても、球質が良くなかなか痛打されない。シーズン目前、頼もしい左腕が現れた。
ロッテ山口航輝外野手(20)がオープン戦第2号を放ち、開幕スタメンへさらに前進した。
3−0の6回、先頭で打席へ立つと、追い込まれながらも日本ハム鈴木健の内角から入ってくるスライダーにしっかり踏ん張り、広い札幌ドームの左翼席まで放り込んだ。
広報を通じて「自分の背中から来るスライダーがあるのは頭に入っていたので、その球をしっかり捉えることができて良かったです」と満足げなコメント。札幌ドームでのプレーは初だが「広い球場で打つことができて自信になります」と寄せた。
なかなか記事にする機会はないものの、ロッテで今季ひそかに期待している選手がいる。
コーチのように重めの背番号76を背負う、ホセ・フローレス投手(31)だ。体重も重く、120キロ。アジャこと井上の114キロを上回り、チーム最重量を誇っている。
19年オフにBCリーグ・富山GRNサンダーバーズから育成選手として入団し、20年3月末に支配下登録された。当時の会見で日本の好きなところを問われ「1番好きなところは、人々がそれぞれを尊重し合うこと。どこの世界でも野球は一緒だけれど、日本で学んだのは細かいところにすごく注意を払うことを勉強しました」という言葉が今も印象に残っている。
昨年7月12日の初先発は3回6失点と打ち込まれたが、8月13日にリリーフ登板で嬉しい初白星を挙げた。その後不調で2軍調整になったが、10月中旬に再び1軍へ。コツをつかんできたのか、7試合で12回1/3を投げ、17奪三振をマーク。激しいCS争いの中、イニングまたぎのできるリリーフとして貴重な役回りを果たした。
球速は140キロ台中盤から終盤が多いが、とにかく球が強い。スライダーも含めて低めに決まりだすと、かなり無双の投球をする。沢村が抜けたものの、唐川−ハーマン−益田の終盤3イニングは今季も盤石だ。小野も台頭する。外国人枠の兼ね合いはあるが、ここにフローレスが入ってくるとさらに強くなる。
赤道に近い南米ベネズエラの出身。夏には「湿気がこっちの方が多くて汗がたくさん出るよ」と苦笑いしていたが、独立リーグも入れれば3年目となる日本でのプレー。空気にも慣れ、飛躍が期待される。なお好きな日本語は「な〜に?」。みんながそう言うと笑ってくれるから、だそうだ。
ロッテの山口がオープン戦2号ソロを放った。3−0の6回先頭打者で、この回に代わったばかりの鈴木健に対して追い込まれながらも、甘く入った変化球を逃さずフルスイング。打球は左翼スタンドへ突き刺さり「打った瞬間に行ったと思った。広い球場で打つことができて自信になる」と喜んだ。
2回にも先頭打者として中前打を放ち2安打をマーク。オープン戦は全11試合で4番打者を任され、打率2割8分6厘で堂々と務めている。
秋田・明桜高から2019年にドラフト4位で入団し、昨季までの2年間で1軍出場はない。持ち味の打力を発揮し、いきなり開幕戦で4番打者として先発出場する可能性が高まり「迷いなくバットを出せている。本当に早く開幕したいなという気持ち」と自信を漂わせた。
ロッテの2年目左腕の本前が5回途中まで投げて4安打無失点と好投した。1回を三者凡退で滑り出してリズムをつかむと2回以降もスピンの利いた直球を次々と投げ込んだ。4回無死一、二塁のピンチでは中田を遊ゴロ併殺打、続く大田を投ゴロに仕留めて切り抜け「収穫の多い登板だった。いつも通りに投げられた」と振り返った。
北海道出身で札幌光星高から北翔大を経て2020年の育成ドラフト1位で入団。11日の楽天とのオープン戦で3回無失点と好投し、15日に支配下選手登録されたばかりだった。子供の頃に応援していたという日本ハム相手に故郷で堂々の投球を見せた。
ロッテの安田がオープン戦11試合、35打席目で待望の初打点をマークした。0−0の2回2死一塁で、上沢の甘く入った速球を引きつけて振り抜くと、強烈な打球が逆方向の左中間を破った。適時二塁打とし「打点を挙げることができて良かった」とほっと息をついた。
昨季4番を経験し、今季は打線の軸としてさらなる飛躍を期待されている。キャンプでは2004年に平成唯一の三冠王に輝いた松中臨時コーチに「強化指定選手」と位置づけられ、熱心な指導を受けた。オープン戦でなかなか好結果が出ず、4番も3年目の山口に譲っていただけに、大きな一打となった。
東日本大震災発生から10年。今年3月11日にオープン戦で楽天と対戦したロッテは、楽天と同じく試合会場の静岡から被災地に思いをはせた。
10年前の「3・11」も楽天対ロッテと同カードだった。試合会場は兵庫・明石市。当時、選手だった井口資仁監督(46)は「2打席くらい終わって帰りかけたときに、バックネット裏がざわざわして、地震があったんだと…。あれから10年もたつんだなという思いもあるし、被災されている人が苦労してここまできている。イーグルスもそうですけど、我々も野球で色々なパワーを与えられたら」と神妙な面持ちで振り返った。
千葉県では、成田市と印西市で県内最大の震度6弱を観測した。本拠地のQVCマリンフィールド(現ZOZOマリンスタジアム)は、液状化現象で地盤沈下の恐れ。旭市内の海岸に津波が押し寄せ、14人が死亡、2人が行方不明となった。
千葉県成田市出身の唐川侑己投手(31)は「風化させてはいけない。今はコロナ(ウイルス)もあって、大変な思いをしている人がたくさんいると思う。その中で僕たちの仕事として、勇気を与えられる立場にいる。そういう人達のために頑張りたい」と野球を通じて、復興に貢献したい姿勢を強調した。10年前の「3・11」は先発で登板していた。
荻野貴司外野手(35)も出場しており、当時は入団2年目で内野手登録だった。10年間を振り返り「チーム全体が若返った。でも、やることは変わらない。全員でやるってことは変わらずにやっていきたい」と不変のチームカラー『結束力』を強くアピールした。
2011年はレギュラーシーズン3位から日本シリーズを制した“下克上日本一”の翌年。連覇を目指したが、5位に10ゲーム差の最下位に沈んだ。10年後の今季は、1974年以来47年ぶりとなる勝率1位でのリーグ優勝に照準。震災当時を知る井口監督、唐川、荻野は意を決して3月26日開幕のシーズンに臨む。
プロ野球が緊急事態宣言解除後の段階的な規制緩和に対応するため、延長戦なしの9回打ち切りやナイターの開始時間の前倒しを検討していることが17日、分かった。ナイターは通常午後6時に始まり、シーズン開幕の26日も5試合が午後6時以降の開始時間で組まれるが、午後5時などに早める案も挙がる。
首都圏4都県への緊急事態宣言は21日で解除の方向で、18日の諮問委員会後に正式に決まる予定。ただ東京都などは解除後も段階的な規制緩和として現在午後8時までの飲食店などへの営業時短要請を、1時間繰り下げて午後9時までとする方針だ。従来の午後6時以降のナイター開催は午後9時以降まで試合が続くケースが多かった。
昨季の12球団平均試合時間は3時間16分。延長は従来の12回までを10回までに短縮したが、9回で終了した試合も3時間13分だった。仮に開始を午後5時に早めて延長もなくせば、計算上は午後9時前に試合が終わる。
首都圏より先に宣言が解除された地域の球団は段階的な規制緩和に対し本拠地で開催するオープン戦を同様の措置で開催。中日は16〜19日の3試合を午後5時開始に変更し、ソフトバンクも2〜5日の3試合を午後4時開始に早めた。延長戦をなくす9回打ち切りは、一試合の価値や記録を公平に保つため、適用される場合は制限外地域を含めて12球団で統一される見込みだ。
プロ野球は開幕直前の3月に東日本大震災が発生した11年に節電のため開始から3時間30分を超えた場合は9回を超える新しいイニングに入らない「3時間半ルール」を導入した。日本野球機構(NPB)の井原敦事務局長は宣言解除後の対応は「政府や自治体の方針が決まり、伝わってからの議論になると思う」としていた。22日には12球団代表者会議を予定。開幕は目前だが、制限の範囲内で可能な形を模索する。
4番での出場を続ける3年目のロッテ・山口が6回に先頭でオープン戦2号となる左越えソロ。サイド右腕の鈴木健が投じたスライダーを捉え「自分の背中から来るスライダーは頭に入っていた」と納得の表情だ。
2回にも中前打を放っており2安打1打点。雪も残る札幌での一撃に試合後は「まだ寒い、北の大地で僕熱い!」と得意の川柳も詠んでいた。
14日に育成から支配下登録されたばかりのロッテ・本前(もとまえ)が先発で4回1/3を4安打無失点。5回途中で左手人差し指にできたマメがつぶれて緊急降板となったが、井口監督は「次回登板に問題はない。(開幕ローテーションに入る)その可能性は非常に高い」とし、4月1日の楽天戦(ZOZOマリン)先発が有力だ。
札幌市出身の2年目左腕は少年時代から日本ハムの大ファン。「前日は変な気持ちだったけど…、(中田との対戦も)あっ、テレビの人だとはなりませんでした」と凱旋登板を振り返った。
ロッテの3年目・山口が6回に左翼席へオープン戦2号となるソロアーチ。
日本ハムの3番手・鈴木のスライダーを叩いた一発で、「背中からくるスライダーがあるのは頭に入っていたのでその球をしっかり捉えることができて良かった。札幌ドームは今回が初めてですが広いですね。その広い球場で打つことが出来て自信になります」と嬉しそうだった。
14日に育成から支配下登録されたロッテ・本前が4回1/3を4安打無失点。札幌出身の左腕が開幕ローテーション入りへ猛アピールとなったが、5回途中で緊急降板。指先を気にしており、マメなどができたとみられる。
ロッテは安田と藤原の若手コンビが、それぞれ適時打をマークした。まずは2回2死一塁から安田が左中間を破る先制適時二塁打。「打ったのはストレート系の球です。久しぶりに打点を挙げることができたよかった」とコメントした。
また、3回1死三塁では、藤原も中前適時打。その後、菅野にも適時打が出て、ロッテ打線は日本ハムの先発・上沢から3回までに3点を奪った。
“第6の男”に前進だ。ロッテの2年目左腕・本前が支配下登録後初登板で4回1/34安打無失点。地元・北海道で背番号「49」の真新しいユニホームが輝いた。
「真っ直ぐが高めにいったボールは1軍じゃ簡単に打たれるんだなと。そこは次回までに修正して、それ以外は収穫だったかなと」。初回から3者凡退でスタートすると、140キロ後半の直球と変化球を織りまぜ打者を翻弄。5回1死二塁、宇佐見に投じた69球目で左手人差し指のマメの皮がはがれ緊急降板したが、堂々とした投球を披露した。
19年育成1位でロッテに入団。いつも胸にあるのは「雑草魂」だ。札幌光星高では無名の投手。だが17年に小中高の先輩だった現西武・斉藤誠人捕手が北海道教育大岩見沢から育成2位で指名され大きな刺激を受けた。「雑草魂というか。(北海道の)無名な選手でもプロでやっていけるんだと」と勇気をもらった。
北翔大で才能が開花した左腕は昨季2軍で11試合を投げ防御率2.56。「失うものは何もないと思った」とプロでも雑草魂を忘れず、14日に念願の支配下登録をつかみ取った。井口監督も「今投げている投手の中では(ローテの)可能性は非常に高い」と称賛。「今できることをしっかりやっていければ」と貴重な先発左腕が地元で開幕ローテへと前進した。
まさかの降板となった。ロッテの先発・本前郁也投手(23)が5回1死二塁から迎えた宇佐美の打席で4球目を投じた後、左人差し指を気にする仕草を見せ、そのまま降板。14日に育成から支配下登録されたばかりでこの日が地元・北海道での凱旋試合だった。
初回から三者凡退スタートを切り、予定していた4回まで3安打無失点の好投。5回もそのままマウンドに上がったが緊急降板となった。2番手には同じく北海道出身のドラ4・河村が登板し、ベンチに下がった左腕を井口監督は心配そうな表情で見つめていた。
故郷の北海道で力投し、開幕ローテ入りをつかんだ。14日に支配下契約を結んだばかりの本前が4回1/3を4安打無失点。左人差し指にマメができて緊急降板したが問題はなく「全体的にはいつも通り投げられました。収穫の多い登板になりました」と充実の表情で振り返った。
両親や大学時代の恩師が観戦。地元の北翔大出身の左腕は、大学のリーグ戦で経験済みのマウンドで躍動した。伸びのある直球で憧れの中田を2打席凡退に抑えた。幼少期は日本ハムファン。「テレビの人だとならなくてよかった」。二回の打席は内角直球で詰まらせ三邪飛。4回はツーシームで遊ゴロ併殺打に抑え「ビビらずにいけた」とニンマリだ。
オープン戦は2試合で計7回1/3を無失点。左人差し指のマメについて井口監督は「全く問題ない。彼らしく攻めたピッチングだった」と安堵した後、ローテ入りについて「非常にいいので可能性は高い」と評価した。
ロッテの山口航輝外野手が特大のオープン戦2号ソロを放った。
6回、先頭。2ボール2ストライクからの5球目。鈴木健のスライダーを豪快に振り抜き、左翼席中段へ運んだ。11日の楽天戦に続く2号ソロ。広い札幌ドームでの初アーチに「打ったのはスライダーです。今回が初めてですね。広い球場で打てて自信になります」とコメントした。
先発したロッテの本前郁也投手が5回途中で緊急降板した。
14日に支配下契約を結んだ左腕は4回まで無失点に抑えていたが、5回1死二塁。宇佐見への4球目。スライダーを投じた後、指を気にするしぐさをみせ、吉井投手コーチがマウンドへ。1度、治療のためベンチを下がったが、井口監督は2番手に河村を告げた。
初回から主力が並ぶ日本ハム打線を強気の投球で封じた。2回、先頭の中田には内角直球で詰まらせ三邪飛。1死一塁から浅間を直球でバットを折り、一ゴロ。清宮は直球で空振り三振に抑えるなど力投していた。
ロッテの安田尚憲内野手がオープン戦初タイムリーを放ち、打線を活気づけた。
2回2死一塁。上沢の低めの直球をはじき返した打球は左中間を深々と破る先制適時二塁打。一塁走者の中村奨が生還。打率が低調だった4番候補は二塁上でホッとした表情をみせた。
「打ったのはストレート系のボールです。久しぶりに打点を挙げることができてよかったです。次も頑張ります」とコメントした。3回にも藤原、菅野の適時打で開幕投手が有力な日本ハムの上沢を攻略した。
「今年やらないと、自分のプロ野球人生もダメになる。それくらいの覚悟を持ってやっていきます」。
まだ発展途上の高卒4年目、21歳で開幕を迎える安田尚憲(ロッテ)が強い決意を示した裏には、プロ野球の厳しさを肌で知ったことがある。
高校時代から「東の清宮(幸太郎/日本ハム)、西の安田」と注目された世代で、一早く抜け出したのは村上宗隆(ヤクルト)だった。同じ左の大型スラッガーは侍ジャパンにも選ばれ、はるか先に行っている。
加えて、後輩の突き上げもある。2021年のオープン戦では苦しむ安田を尻目に、1歳下の山口航輝がロッテの4番に抜擢され、鋭い打球を放った。
「危機感は常にあります。いい選手はどんどん入ってきますし。相手との戦いでもあるので、自分が常に成長していかないと、この世界で生き残れないと感じています」。
ここまでの3年間、順調にステップを踏んできたように見える。
高卒1年目は17試合に出場、翌年は2軍のイースタンリーグで本塁打と打点王に輝いた。3年目の昨季は113試合に出場し、87試合で4番を張った。打率.221、6本塁打とまるで歯が立たなかったが、今後に向けて大きな一歩になったことは間違いない。
「1軍で何打席も立たせてもらい、自分とトップの実力差をものすごく感じました。そこをどうやって埋めていくか。1軍のピッチャーの球を打ち返せないことには、自分の野球人生の限界が見えてくると思います」。
真のレギュラー奪取へのスタートラインに立ち、分かったことがある。安田の課題を明確に示すのが、以下の数字だ。ストレートに対して打率.214と、パ・リーグの剛腕投手達に力負けした。
さらに、1打席あたりで相手投手に費やさせた投球数は4.254。規定打席に到達した打者では日本ハムの近藤健介、西川遥輝に次いで3番目に多かったが、安田自身は決して前向きなデータと捉えていない。
「甘いストレートや、捕らえるべきボールを捕えきれていなかったことも多くあると思います。速いストレートを弾き返すことができず、ファウル、ファウルになって追い込まれ、三振や凡打というパターンが多くありました。今年は初球のストライクや、1ストライクからカウントを取りにきたボールをしっかり弾き返せるようにしないとダメだと思っています」。
なかなか打率が上がらずに結果を欲しがり、ヒットを打ちにいくあまりスイングが小さくなった。だが、それでは自分の魅力が消えてしまう。
そこで安田はシーズン終了後、殻を破るべく行動に出た。昨年97試合でサードを守るなか、「1番すごいと思った左バッター」の柳田悠岐(ソフトバンク)に自主トレを申し込んだのだ。
「柳田さんは規格外です。日本一の選手の下で、何か吸収できることがあるのではとお願いしました。柳田さんから言われたのは、『バッティング練習でも試合でも、できるだけフライを打て』ということです。体全体を使って、バットを内側からしっかり出していくことを教えてもらいました」。
どうすれば柳田のように力強いスイングを繰り返し、長打になるような強い打球を打てるか。ちょうど安田と同じ188cmの柳田は、体を大きく使い、バットを内側から出しながら、ボールに入射角をつけて遠くに飛ばしている。
対して安田は昨季、トップを早くつくることを意識したものの、「それだけではダメ」と気づいた。今年は「ホームランを打てる準備」として、強いスイングを心がけつつ、打球に角度をつけられる打ち方を模索している。
具体的には、下半身主導で全身から力をつくり出し、ボールにパワーを伝えていくイメージだ。春季キャンプで臨時コーチを務めた松中信彦氏に師事し、何度もバットを振った。昨年と比べてトップを高くとり、右足を大きく上げて力を生み出そうとしている。練習試合では思うような結果が出なかったが、スイングに力が増した実感はある。
今季掲げる目標は「打率3割&20本塁打」。柳田からどちらかを達成するように言われ、あえて2つとも狙うことに決めた。
「今の自分の実力のままでは、その壁をなかなか越せないことは分かっています。でも、高い目標を持って取り組んでいかなければ、そんなに簡単に成績も残せないと思います。
ホームランを打て、その中でも勝負どころで打てるバッターが自分の中で理想です。そういった意味でも、打率はしっかり残せるようにならないといけない。自分に求められるスタイルとして、その目標にしました」。
目指すは、日本の伝統的な「4番打者」像だ。
昨季はレアードの戦線離脱もあって87試合で抜擢されたが、井口資仁監督には「お前は4番目のバッターだぞ」と言われた。自身の実力で掴み取った場所とは全く思っておらず、正真正銘の主砲になるべく打撃の土台を固めている。
「自分が子供の頃から、4番はチームの主軸が任される打順というイメージです。今年はその打順を、自分の実力で掴み取れるようにしたい。この席に戻って来られるように、頑張りたいと思っています」。
バッターとして恵まれた体格を誇り、高い理想を目指して前向きに取り組む21歳。心身両面に大きなポテンシャルを誇るから、周囲は期待をかけたくなるのだろう。
「去年1軍でさせてもらった経験を、活かすかどうかも自分次第だと思います。逆に活かせないと、去年は何をやっていたんだ、となる。今年にかける想いは、去年以上にあります」。
高卒4年目の左打者は強い覚悟と責任感を胸に、勝負のシーズンに臨む。